IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043436
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】光学系及びそれを有する撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20220309BHJP
【FI】
G02B13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148705
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】仲田 丈晴
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA02
2H087LA02
2H087MA07
2H087NA07
2H087NA15
2H087PA08
2H087PA10
2H087PB11
2H087PB12
2H087PB14
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA32
2H087UA06
(57)【要約】
【課題】小型かつ色収差等の諸収差が良好に補正された光学系を提供する。
【解決手段】物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、1以上のレンズ群を含み全体で正の屈折力の後群LRからなる光学系であって、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、第2レンズ群L2は像側へ移動し、隣接するレンズ群の間隔が変化し、第1レンズ群L1のうち最も像側に配置された正レンズGPの材料のアッベ数νdGP、第1レンズ群L1における最も物体側のレンズ面から第1レンズ群L1における最も像側のレンズ面までの光軸上での距離D1、光学系における最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上での距離LD、第1レンズ群L1の焦点距離fL1は、所定の条件式を満足する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、1以上のレンズ群を含み全体で正の屈折力の後群からなる光学系であって、
無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、前記第2レンズ群は像側へ移動し、隣接するレンズ群の間隔が変化し、
前記第1レンズ群のうち最も像側に配置された正レンズの材料のアッベ数をνdGP、前記第1レンズ群における最も物体側のレンズ面から前記第1レンズ群における最も像側のレンズ面までの光軸上での距離をD1、前記光学系における最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上での距離をLD、前記第1レンズ群の焦点距離をfL1とするとき、
15<νdGP<24
0.20<D1/LD<0.45
1.60<LD/fL1<2.50
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記光学系の焦点距離をfとするとき、
1.00<LD/f
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記第2レンズ群の焦点距離をfL2とするとき、
2.00<|LD/fL2|<3.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の光学系。
【請求項4】
前記後群の焦点距離をfLRとするとき、
1.00<LD/fLR<3.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項5】
無限遠物体に合焦した際の前記光学系における最も像側のレンズ面から像面までの距離をBF、前記光学系の焦点距離をfとするとき、
BF/f<0.50
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項6】
フォーカシングに際して、前記第1レンズ群および前記後群は不動であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項7】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、光軸と直交する方向の成分を含む方向へ移動する第3レンズ群、1以上のレンズ群を含み全体で正の屈折力の後群からなる光学系であって、
無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、前記第2レンズ群は像側へ移動し、
前記第1レンズ群のうち最も像側に配置された正レンズの材料のアッベ数をνdGP、前記第1レンズ群における最も物体側のレンズ面から前記第1レンズ群における最も像側のレンズ面までの光軸上での距離をD1、前記光学系における最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上での距離をLD、前記第1レンズ群の焦点距離をfL1とするとき、
15<νdGP<24
0.20<D1/LD<0.45
1.60<LD/fL1<2.50
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【請求項8】
フォーカシングに際して、前記第1レンズ群、前記第3レンズ群、および前記後群は不動であることを特徴とする請求項7に記載の光学系。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光学系と、該光学系によって形成される像を受光する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系及びそれを有する撮像装置に関し、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、監視用カメラ、車載カメラなどの撮像装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アッベ数の小さな材料(高分散材料)を使用した正レンズを適切に配置することで、色収差等の諸収差が良好に補正された光学系が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-215495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された光学系では、フォーカス群から比較的遠い位置に高分散材料を使用した正レンズが配置されている。このため、フォーカス群のピント敏感度(フォーカス群の移動量に対するピントの移動量)を高くすることが困難である。その結果、フォーカシングに際してのフォーカス群の移動量が増大するため、光学系の小型化が難しい。
【0005】
そこで本発明は、小型かつ色収差等の諸収差が良好に補正された撮像光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、1以上のレンズ群を含み全体で正の屈折力の後群からなる光学系であって、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、前記第2レンズ群は像側へ移動し、隣接するレンズ群の間隔が変化し、前記第1レンズ群のうち最も像側に配置された正レンズの材料のアッベ数νdGP、前記第1レンズ群における最も物体側のレンズ面から前記第1レンズ群における最も像側のレンズ面までの光軸上での距離D1、前記光学系における最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上での距離LD、前記第1レンズ群の焦点距離fL1は、所定の条件式を満足する。
【0007】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型かつ色収差等の諸収差が良好に補正された光学系および撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1における無限遠合焦時の光学系の断面図である。
図2】実施例1における無限遠合焦時の光学系の収差図である。
図3】実施例2における無限遠合焦時の光学系の断面図である。
図4】実施例2における無限遠合焦時の光学系の収差図である。
図5】実施例3における無限遠合焦時の光学系の断面図である。
図6】実施例3における無限遠合焦時の光学系の収差図である。
図7】実施例4における無限遠合焦時の光学系の断面図である。
図8】実施例4における無限遠合焦時の光学系の収差図である。
図9】各実施例における光学系を備えた撮像装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の光学系及びそれを有する撮像装置の実施例について、添付の図面に基づいて説明する。
【0011】
図1図3図5、及び図9は、それぞれ実施例1~4の光学系1a~1dの無限遠合焦時における断面図である。各実施例の光学系は、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、監視用カメラ、車載カメラなどの撮像装置に用いられる。各断面図において、左方が物体側(前方)で、右方が像側(後方)である。
【0012】
各実施例の光学系は、複数のレンズ群を有して構成されている。本願明細書においてレンズ群とは、フォーカシングに際して一体的に移動または静止するレンズのまとまりである。すなわち、各実施例の光学系では、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、隣接するレンズ群同士の間隔が変化する。なお、レンズ群は1枚のレンズから構成されていても良いし、複数のレンズから成っていても良い。また、レンズ群は開口絞りを含んでいても良い。
【0013】
図1図3、および図5(実施例1~3)の光学系1a~1cはそれぞれ、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、1以上のレンズ群を含み全体で正の屈折力の後群LRからなる。無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、第2レンズ群L2は像側へ移動し、隣接するレンズ群の間隔が変化する。なおフォーカシングに際して、第1レンズ群L1および後群LR(すなわち、第2レンズ群L2以外の光学要素)は不動である。
【0014】
SPは、Fnoの光束を決定(制限)する開口絞りである。IPは像面であり、各実施例の光学系をデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラの撮像光学系として使用する際には、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が配置される。各実施例の光学系1a~1dを銀塩フィルム用カメラの撮像光学系として使用する際には、像面IPにはフィルム面に相当する感光面が置かれる。GBは、像面IPの物体側に置かれる光学フィルタである。各断面図における光軸OAに沿った方向(光軸方向)の矢印は、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際するフォーカス群(第2レンズ群L2)の移動方向を示している。
【0015】
図7(実施例4)の光学系1dは、更に、第2レンズ群L2と後群LRとの間に防振群としての第3レンズ群L3を有する。すなわち光学系1dは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、光軸と直交する方向の成分を含む方向へ移動する第3レンズ群L3、1以上のレンズ群を含み全体で正の屈折力の後群LRからなる。防振群を光軸OAと直交する方向の成分を含む方向へ移動させることにより、光学系1dの振動等に起因する像位置の変更が補正されるように構成されている。無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、第2レンズ群L2は像側へ移動する。なおフォーカシングに際して、第1レンズ群L1、第3レンズ群L3、および後群LR(すなわち、第2レンズ群L2以外の光学要素)は不動である。
【0016】
なお各実施例において、後群LRは1つのレンズ群のみから構成されているが、これに限定されるものではなく、複数のレンズ群から構成されていてもよい。ここでレンズ群とは、フォーカシングまたはズーミングに際して一体的に移動または静止するレンズのまとまりである。
【0017】
図2図4図6、及び図8は、それぞれ実施例1~4の光学系1a~1dの無限遠合焦時の収差図である。各収差図において、FnoはFナンバー、ωは半画角(度)であり、近軸計算における画角である。球面収差図において、d線(波長587.56nm)、g線(波長435.835nm)に対する球面収差量を示している。非点収差図において、Sはd線に対するサジタル像面における非点収差量、Mはd線に対するメリディオナル像面における非点収差量を示している。歪曲収差図において、d線に対する歪曲収差量を示している。色収差図において、g線に対する色収差量を示している。
【0018】
次に、実施例1~4のそれぞれの光学系1a~1dにおける特徴的な構成について述べる。各実施例の光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1と、負の屈折力の第2レンズ群L2と、正の屈折力の後群LRとを有する。無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、第2レンズ群L2は像側へ移動する。第1レンズ群L1のうち最も像側に配置された正レンズGPの材料のアッベ数をνdGPとする。第1レンズ群L1における最も物体側のレンズ面S1(レンズG1の物体側レンズ面)から第1レンズ群L1における最も像側のレンズ面S2(正レンズGPの像側レンズ面)までの光軸上での距離をD1とする。光学系1a~1dのそれぞれにおける最も物体側のレンズ面(各実施例ではレンズG1の物体側レンズ面S1)から像面IPまでの光軸上での距離(レンズ全長)をLDとする。第1レンズ群L1の焦点距離をfL1とする。このとき、以下の条件式(1)~(3)を満足する。
【0019】
15<νdGP<24 ・・・(1)
0.20<D1/LD<0.45 ・・・(2)
1.60<LD/fL1<2.50 ・・・(3)
条件式(1)は、正レンズGPの材料のアッベ数νdGPを規定している。条件式(1)の下限を超えるほどアッベ数νdGPが小さくなると、正レンズGPにおいて色収差が過剰に発生してしまうため好ましくない。一方、条件式(1)の上限を超えるほどアッベ数νdGPが大きくなると、正レンズGPにおいて発生する色収差が不足してしまうため好ましくない。
【0020】
条件式(2)は、第1レンズ群L1のうち光学系1a~1dのそれぞれの最も物体側のレンズ面S1から最も像側のレンズ面S2までの光軸上での距離D1とレンズ全長LDとの比を規定している。条件式(2)の下限を超えるほど距離D1が小さくなると、光学系1a~1dの小型化は容易となるが、球面収差や軸上色収差の補正が難しくなる。一方、条件式(2)の上限を超えるほど距離D1が大きくなると、収差補正の観点からは有利であるが、光学系1a~1dの小型化が難しくなる。
【0021】
条件式(3)は、レンズ全長LDと第1レンズ群L1の焦点距離fL1との比を規定している。条件式(3)の下限を超えるほど第1レンズ群L1の焦点距離fL1が大きくなると、第1レンズ群L1の屈折力が小さくなり過ぎて、レンズ全長LDの増大を招く。一方、条件式(3)の上限を超えるほど第1レンズ群L1の焦点距離fL1が小さくなると、第1レンズ群L1の屈折力が大きくなり過ぎて、球面収差や軸上色収差の補正が難しくなる。
【0022】
このように各実施例の光学系は、前述の条件式(1)~(3)を満足するように各要素を適切に設定している。これにより、小型かつ色収差等の諸収差が良好に補正された光学系を得ることができる。
【0023】
各実施例において、好ましくは、条件式(1)~(3)の数値範囲をそれぞれ以下の条件式(1a)~(3a)のように設定する。
【0024】
15<νdGP<23 ・・・(1a)
0.23<D1/LD<0.43 ・・・(2a)
1.63<LD/fL1<2.30 ・・・(3a)
各実施例において、より好ましくは、条件式(1a)~(3a)の数値範囲をそれぞれ以下の条件式(1b)~(3b)のように設定する。
【0025】
16<νdGP<21 ・・・(1b)
0.27<D1/LD<0.40 ・・・(2b)
1.66<LD/fL1<2.00 ・・・(3b)
各実施例において、さらに好ましくは、以下の条件式(4)~(7)のうち少なくとも一つを満足する。
【0026】
1.00<LD/f ・・・(4)
2.00<|LD/fL2|<3.00 ・・・(5)
1.00<LD/fLR<3.00 ・・・(6)
BF/f<0.50 ・・・(7)
ここで、光学系1a~1dのそれぞれの全系の焦点距離をf、第2レンズ群L2の焦点距離をfL2、後群LRの焦点距離をfLRとする。また、無限遠物体に合焦した際における光学系1a~1dのそれぞれの最も像側のレンズ面(各実施例では後群LRの最も像側のレンズ面S3)から像面IPまでの距離(空気換算でのバックフォーカス)をBFとする。
【0027】
条件式(4)は、レンズ全長LDと光学系1a~1dのそれぞれの全系の焦点距離fの適切な範囲を規定している。各実施例の光学系は、全系の焦点距離が75mm~135mm程度の所謂中望遠レンズが好ましいため、条件式(4)を満足する。
【0028】
条件式(5)は、レンズ全長LDと第2レンズ群L2の焦点距離fL2との比を規定している。条件式(5)の下限を超えるほど第2レンズ群L2の焦点距離fL2が大きくなると、第2レンズ群L2のピント敏感度が小さくなり過ぎてしまい、レンズ全長LDの増大を招く。一方、条件式(5)の上限を超えるほど第2レンズ群L2の焦点距離fL2が小さくなると、第2レンズ群L2のピント敏感度が大きくなり過ぎてしまい、合焦時の光学性能を満足することが難しくなる。
【0029】
条件式(6)は、レンズ全長LDと後群LRの焦点距離fLRとの比を規定している。条件式(6)の下限を超えるほど後群LRの焦点距離fLRが大きくなると、後群LRの屈折力が小さくなり過ぎて、レンズ全長LDの増大を招く。一方、条件式(6)の上限を超えるほど後群LRの焦点距離fLRが小さくなると、後群LRの屈折力が大きくなり過ぎて、倍率色収差の補正が難しくなる。
【0030】
条件式(7)は、バックフォーカスBFと光学系1a~1dのそれぞれの全系の焦点距離fとの比を規定している。条件式(7)の上限を超えるほどバックフォーカスBFが大きくなると、レンズ全長LDの増大を招く。
【0031】
各実施例において、好ましくは、条件式(5)~(7)の数値範囲をそれぞれ以下の条件式(5a)~(7a)のように設定する。
【0032】
2.20<|LD/fL2|<2.95 ・・・(5a)
1.70<LD/fLR<2.75 ・・・(6a)
BF/f<0.35 ・・・(7a)
さらに好ましくは条件式(5a)乃至(7a)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
【0033】
2.40<|LD/fL2|<2.90 ・・・(5b)
1.40<LD/fLR<2.50 ・・・(6b)
BF/f<0.22 ・・・(7b)
以下に、実施例1~4にそれぞれ対応する数値実施例1~4を示す。各数値実施例の面データにおいて、面番号は物体側(光入射側)から数えた面番号、rは各光学面の曲率半径、d(mm)は第m面と第(m+1)面との間の軸上間隔(光軸上での距離)を表わしている。ただし、mは物体側から数えた面番号である。また、ndは各光学部材のd線に対する屈折率、νdは光学部材のアッベ数を表わしている。間隔が可変のところは物体距離(撮影倍率)が変化したときの値である。なお、ある材料のアッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.6nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)における屈折率をNd、NF、NCとするとき、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
で表される。
【0034】
なお、各数値実施例において、d、焦点距離(mm)、Fナンバー、半画角(度)は全て各実施例の光学系が無限遠物体に焦点を合わせた時の値である。「バックフォーカス」は、レンズ最終面(最も像側のレンズ面)から近軸像面までの光軸上での距離を空気換算長により表記したものである。「レンズ全長」は、光学系の最前面(最も物体側のレンズ面)から最終面までの光軸上での距離にバックフォーカスを加えた長さである。「レンズ群」は、複数のレンズから構成される場合に限らず、1枚のレンズから構成される場合も含むものとする。
【0035】
また、数値実施例1~4のそれぞれにおける各数値及び各条件式の値を表1に示す。
【0036】

(数値実施例1)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 83.952 5.47 1.75500 52.3
2 232.198 0.20
3 66.102 8.39 1.49700 81.5
4 616.793 0.20
5 41.449 11.19 1.43875 94.7
6 1294.215 2.26 1.59551 39.2
7 30.596 4.27
8 49.083 8.22 1.52841 76.5
9 -102.078 1.74 1.78472 25.7
10 72.702 7.35
11(絞り) ∞ 0.52
12 93.021 2.54 1.98612 16.5
13 1235.996 (可変)
14 -1586.300 2.15 1.95906 17.5
15 -110.796 1.33 1.69680 55.5
16 31.310 (可変)
17 102.081 8.33 1.83481 42.7
18 -56.202 6.05
19 -56.514 1.54 1.95906 17.5
20 -318.002 23.88
21 ∞ 1.50 1.51633 64.1
22 ∞ (可変)
像面 ∞

焦点距離 130.77
Fナンバー 2.06
半画角 9.39
像高 21.64
レンズ全長 132.51
BF 25.26

d13 1.98
d16 33.00
d22 0.40

レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 77.26
2 14 -48.84
3 17 91.57

(数値実施例2)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 103.676 5.18 1.74100 52.6
2 433.772 0.20
3 66.853 7.76 1.53775 74.7
4 388.775 0.20
5 41.981 11.07 1.49700 81.5
6 762.916 3.00 1.62004 36.3
7 31.374 4.34
8 52.272 7.62 1.59522 67.7
9 -117.495 1.73 1.85896 22.7
10 69.495 4.44
11(絞り) ∞ 1.05
12 158.457 1.73 1.64769 33.8
13 70.677 3.38 1.98612 16.5
14 -1358.025 (可変)
15 -8807.532 2.42 1.95906 17.5
16 -96.227 1.33 1.75500 52.3
17 31.995 (可変)
18 100.382 8.00 1.77250 49.6
19 -53.373 5.38
20 -55.873 1.56 1.95906 17.5
21 -184.770 26.29
22 ∞ 1.50 1.51633 64.1
23 ∞ (可変)
像面 ∞

焦点距離 130.52
Fナンバー 2.06
半画角 9.41
像高 21.64
レンズ全長 132.58
BF 27.68

d14 1.98
d17 32.00
d23 0.40

レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 75.24
2 15 -46.40
3 18 87.15

(数値実施例3)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 96.717 5.36 1.72916 54.1
2 361.994 0.20
3 71.559 7.59 1.43875 94.7
4 539.696 0.20
5 42.055 12.00 1.49700 81.5
6 -2951.988 2.49 1.58144 40.8
7 31.238 3.88
8 45.862 7.51 1.53775 74.7
9 -252.663 1.74 1.85478 24.8
10 59.408 8.02
11 82.307 2.79 1.95906 17.5
12 649.522 2.21
13(絞り) ∞ (可変)
14 -687.828 2.18 1.95906 17.5
15 -97.721 1.33 1.67790 55.3
16 31.153 (可変)
17 92.898 5.66 1.80400 46.5
18 -59.094 6.09
19 -64.940 1.54 1.95906 17.5
20 -400.559 25.87
21 ∞ 1.50 1.51633 64.1
22 ∞ (可変)
像面 ∞

焦点距離 130.70
Fナンバー 2.06
半画角 9.40
像高 21.64
レンズ全長 132.53
BF 27.26

d13 1.98
d16 32.00
d22 0.40

レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 79.47
2 14 -49.31
3 17 87.07

(数値実施例4)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 82.948 4.58 1.98612 16.5
2 160.683 0.24
3 84.024 7.09 1.49700 81.5
4 1473.206 0.20
5 45.404 8.46 1.49700 81.5
6 162.104 2.35 1.60342 38.0
7 32.247 4.07
8 46.543 10.84 1.49700 81.5
9 -73.771 1.87 1.95906 17.5
10 84.334 5.22
11(絞り) ∞ 4.70
12 104.201 4.31 1.92286 20.9
13 -144.035 (可変)
14 639.220 1.54 1.59522 67.7
15 33.673 (可変)
16 -444.458 3.20 1.92286 20.9
17 -48.623 1.21 1.78880 28.4
18 81.570 (可変)
19 32.814 5.68 1.63854 55.4
20 -228.874 1.43 1.92286 20.9
21 49.521 5.61
22 58.638 8.36 1.85896 22.7
23 -112.475 21.03
24 -24.376 1.53 1.56384 60.7
25 -45.947 16.54
26 ∞ 1.50 1.51633 64.1
27 ∞ (可変)
像面 ∞

焦点距離 130.46
Fナンバー 2.06
半画角 9.42
像高 21.64
レンズ全長 146.16
BF 17.93

d13 1.00
d15 19.59
d18 3.60
d27 0.40

レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 76.46
2 14 -59.78
3 16 -111.00
4 19 60.72
【0037】
【表1】
【0038】
次に、図9を参照して、各実施例の光学系を撮像光学系として用いたデジタルスチルカメラ(撮像装置100)の一例を説明する。図9は、各実施例の光学系を備えた撮像装置100の概略図である。
【0039】
図9において、10はカメラ本体、11は実施例1~4の光学系1a~1dのいずれかによって構成された撮像光学系である。12はカメラ本体10に内蔵され、撮像光学系11によって形成された像(被写体像、光学像)を受光して光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。カメラ本体10は、クイックターンミラーを有する所謂一眼レフカメラでも良いし、クイックターンミラーを有さない所謂ミラーレスカメラでも良い。なお、各実施例の光学系1a~1dは、撮像光学系に限定されるものではなく、投射装置(プロジェクタ)用の投射光学系等の他の光学系として用いることもできる。
【0040】
各実施例によれば、小型かつ色収差等の諸収差が良好に補正された光学系および撮像装置を提供することができる。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1a~1d 光学系
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
LR 後群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9