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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043468
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】微細バブル発生装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/10 20220101AFI20220309BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20220309BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20220309BHJP
   B01F 35/75 20220101ALI20220309BHJP
【FI】
B01F5/00 G
B01F3/04 A
B01F15/02 A
B01F15/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148754
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】519187104
【氏名又は名称】株式会社ナノバブル研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100103148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 輝美
(72)【発明者】
【氏名】本田 正
(72)【発明者】
【氏名】小森 幹雄
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4G035AB05
4G035AC44
4G035AE13
4G037AA02
4G037AA11
4G037EA01
(57)【要約】
【課題】 本発明はマイクロバブルやナノバブル等の微細な気泡を発生させる旋回液流方式の微細バブル発生装置に関する。
【解決手段】 外観が円錐形状の微細バブル発生装置であって、円錐形状の外側部材と、該外側部材内に配設された第1の円柱部材と、該第1の円柱部材内に配設された第2の円柱部材とを備え、上記外側部材の円周方向に対して所定の角度を有して取り付けられ、外側部材と第1の円柱部材間の空間内に供給する液体に渦流を生成する液体供給部と、上記液体の渦流が第1、第2の円柱部材間を通って第2の円柱部材内に供給された液体の渦流に気体を供給する気体供給部と、上記第2の円柱部材内において液体に気体が混じった気液体を微細気泡を含有する微細気泡含有液体として外部に排出する微細気泡含有液体排出部と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外観が円錐形状の微細バブル発生装置であって、
円錐形状の外側部材と、該外側部材内に配設された第1の円柱部材と、該第1の円柱部材内に配設された第2の円柱部材とを備え、
前記外側部材の円周方向に対して所定の角度を有して取り付けられ、前記外側部材と第1の円柱部材間の空間内に供給する液体に渦流を生成する液体供給部と、
前記液体の渦流が前記第1、第2の円柱部材間を通って前記第2の円柱部材内に供給された液体の渦流に気体を供給する気体供給部と、
前記第2の円柱部材内において前記液体に前記気体が混じった気液体を微細気泡を含有する微細気泡含有液体として外部に排出する微細気泡含有液体排出部と、
を備えたことを特徴とする微細バブル発生装置。
【請求項2】
前記第1、第2の円柱部材の内周面には、前記渦流の生成を促進する渦流生成促進加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載の微細バブル発生装置。
【請求項3】
前記第1、第2の円柱部材は複数形成されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載の微細バブル発生装置。
【請求項4】
外観が円錐形状の微細バブル発生装置であって、
円錐形状の外側部材と、該外側部材内に配設された第1の円錐部材と、該第1の円錐部材内に配設された第2の円錐部材とを備え、
前記外側部材の円周方向に対して所定の角度を有して取り付けられ、前記外側部材と第1の円錐部材間の空間内に供給する液体に渦流を生成する液体供給部と、
前記液体の渦流が前記第1、第2の円錐部材間を通って前記第2の円錐部材内に供給された液体の渦流に気体を供給する気体供給部と、
前記第2の円錐部材内において前記液体に前記気体が混じった気液体を微細気泡を含有する微細気泡含有液体として外部に排出する微細気泡含有液体排出部と、
を備えたことを特徴とする微細バブル発生装置。
【請求項5】
前記第1、第2の円錐部材の内周面には、前記渦流の生成を促進する渦流生成促進加工が施されていることを特徴とする請求項4に記載の微細バブル発生装置。
【請求項6】
前記第1、第2の円錐部材は複数形成されていることを特徴とする請求項4、又は5に記載の微細バブル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロバブルやナノバブル等の微細な気泡を発生させる微細バブル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、マイクロバブルやナノバブル等の微細バブルは、その物性や発生(気泡微細化)のメカニズム、具体的な用途、及びその実用化についての研究が急速に進んでいる。例えば、汚染水の浄化や殺菌等の研究や、マイクロオーダ或いはナノオーダの微細気泡を含有する微細バブル含有水を用いたウナギ等の水性生物の育成や、水田に微細バブルの含有水を供給して水質の向上を図る研究も行われている。
【0003】
また、例えば土壌粒子に付着した油幕を微細バブルの表面に付着させることによる油汚染土壌の改善や、船体の周りに微細バブルを吹き出すことによって船体が進行する際の船体抵抗の低減や、凹凸のある建造物の内外壁の洗浄、更にオゾンを含むナノバブル化された水による抗菌効果の研究も行われている。
【0004】
従来微細バブルの発生方法としては、旋回液流方式や、加圧溶解方式、オリフィスやベンチュリ管方式、超音波振動の利用や、微細孔フィルタの使用等、多くの方式が提案されている。例えば、一例として、特許文献1に開示する微細バブルの発生装置が知られている。
【0005】
図8(a)、(b)は、この微細バブル発生装置を説明する図であり、旋回液流方式の微細バブル発生装置である。尚、同図(b)は同図(a)の縦断面図である。
【0006】
微細バブル発生装置50は、液体供給口51aと気体供給口51bを備えた外殻槽51と、この外殻槽51に覆われた気体発生槽52で構成され、気体発生槽52は円筒形状で内面の接線方向に後述する気泡混じり水を注入する複数の注入孔52a、52bが備えられている。
【0007】
そして、気体供給口51bから所望の気体をコンプレッサ等によって圧送すると共に、液体供給口51aから水を外殻槽51の円周方向に勢いよく供給し、外殻槽51内に気泡混じり水を注入する。この気泡混じり水は、上記注入孔52a、52bから気体発生槽52内に取り込まれ、気体発生槽52の内周面に沿って気泡混じり水が旋回する旋回流を生成する。この旋回流の剪断力によって気泡混じり水内の気泡はマイクロバブルの微細気泡となり、気液排出口53から微細気泡含有水として排出され、例えば洗浄や殺菌等の用途に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015―167946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記微細バブル発生装置50では、気体供給口51bに所望の気体を圧送する為のコンプレッサが必要である。また、気体発生槽52内の旋回流による剪断力のみでは充分な微細気泡を生成することができない。
そこで、本発明は気体を圧送する為のコンプレッサ等の圧送装置を使用することなく、微細な気泡を充分生成することができる旋回液流方式の微細バブル発生装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は第1の発明によれば、外観が円錐形状の微細バブル発生装置であって、円錐形状の外側部材と、該外側部材内に配設された第1の円柱部材と、該第1の円柱部材内に配設された第2の円柱部材とを備え、上記外側部材の円周方向に対して所定の角度を有して取り付けられ、上記外側部材と第1の円柱部材間の空間内に供給する液体に渦流を生成させる液体供給部と、上記液体の渦流が上記第1、第2の円柱部材間を通って上記第2の円柱部材内に供給された液体の渦流に気体を供給する気体供給部と、上記第2の円柱部材内において上記液体に気体が混じった気液体を微細気泡を含有する微細気泡含有液体として外部に排出する微細気泡含有液体排出部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、上記外側部材、及び第1、第2の円柱部材の内周面には、前記渦流の生成を促進する渦流生成促進加工が施されていることを特徴とする。
【0012】
上記課題は第2の発明によれば、外観が円錐形状の微細バブル発生装置であって、円錐形状の外側部材と、該外側部材内に配設された第1の内部円錐部材と、該第1の内部円錐部材内に配設された第2の内部円錐部材とを備え、上記外側部材の円周方向に対して所定の角度を有して取り付けられ、上記外側部材と第1の内部円錐部材間の空間内に供給する液体に渦流を生成させる液体供給部と、上記液体の渦流が上記第1、第2の内部円錐部材間を通って上記第2の内部円錐部材内に供給された液体の渦流に気体を供給する気体供給部と、上記第2の円錐部材内において上記液体に気体が混じった気液体を微細気泡を含有する微細気泡含有液体として外部に排出する微細気泡含有液体排出部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、上記外側部材、及び第1、第2の内部円錐部材の内周面にも、前記渦流の生成を促進する渦流生成促進加工が施されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の微細バブル発生装置の外観図である。
図2】本実施形態の微細バブル発生装置の内部構成を説明する図である。
図3】微細気泡含有液体排出部の断面拡大図である。
図4】(a)は、第1、第2の円柱部材の内周面に形成する渦流生成促進加工の一例を示す図である。(b)は、凸状と凹溝が同間隔で形成された矩形形状である渦流生成促進加工の例を示す図である。(c)は、凹溝の断面を半円形状とした渦流生成促進加工の例を示す図である。(d)は、凸状の断面を直立辺と斜辺を有する三角形状とした渦流生成促進加工の例を示す図である。
図5】本実施形態の微細バブル発生装置を使用した微細バブル発生システムを説明するシステム図である。
図6図2のA-A断面図である。
図7】本実施形態の微細バブル発生装置の他の実施例を説明する図である。
図8】(a)、(b)は、従来の微細バブル発生装置の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施形態の微細バブル発生装置の外観図である。同図において、本実施形態の微細バブル発生装置1は所定の厚さを有する外観が円錐形(逆円錐形)の円錐形部材2と、この円錐形部材2の上面に設けられた気体供給部3と、円錐形部材2の上部側面に設けられた液体供給部4と、円錐形部材2の下面に設けられた微細気泡含有液体排出部5で構成されている。
【0016】
気体供給部3には後述するボンベから所望の気体が供給される。また、液体供給部4にはポンプ等によって所定の圧力が付加され、後述する水槽から水(又は所望の液体)が供給される。また、本例の微細バブル発生装置1で生成されたマイクロバブル又はナノバブルの微細気泡を含む気液体が微細気泡含有液体排出部5から排出される。
【0017】
尚、使用する液体として、本例では水を使用するが、水に限らず、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、ヘキサン、トルエン等の有機溶媒や石油等の鉱油でもよい。また、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の塩基、塗料や乳等のコロイド、塩酸、硫酸、炭酸、リン酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸等の有機酸を使用してもよい。
【0018】
尚、円錐形部材2はステンレス等の金属や樹脂等で構成されている。また、上記気体供給部3や、液体供給部4、微細気泡含有液体排出部5は、上記円錐形部材2と一体構成であってもよく、又は別体で製造し、後に接合加工等によって製作してもよい。尚、例えば透明なアクリル樹脂等を使用することによって、装置1内での気泡の発生状況を観察することもできる。
【0019】
図2は上記外観構成の微細バブル発生装置1(円錐形部材2)の内部構成を説明する図である。微細バブル発生装置1の内部には上面が円錐形部材2の上壁2aに遮蔽された円柱部材6、及びこの円柱部材6の内側に設けられ、下面が円錐形部材2の下壁2bに遮蔽された内部円柱部材7が設けられている。上記内部構成から、本例の微細バブル発生装置1は円錐形部材2と円柱部材6との間に形成された外層空間(以下、単に外層で示す)8aと、円柱部材6と内部円柱部材7との間に形成された円筒状の中層空間(以下、単に中層で示す)8bと、内部円柱部材7内の内層空間(以下、単に内層で示す)8cを備える。
【0020】
尚、この円柱部材6及び内部円柱部材7も上記円錐形部材2と同じ材料で作成され、例えばステンレス等の金属や樹脂等で構成され、特に気体としてオゾンを使用する際には酸化防止の為、ステンレスが推奨される。
【0021】
気体供給部3は、図2に示すように円錐形部材2の上面中心部分に配設され、気体供給部3には上壁2aを貫通して設けられた微細孔9が形成され、微細孔9によって気体供給部3と上記内層8cの上部とを連通している。後述するように、この微細孔9を通して所望の気体が微細バブル発生装置1(円錐形部材2)の上記内層8cの上部に吸引される。尚、微細孔9の直径は、例えば1~2mm程度である。
【0022】
一方、液体供給部4は円錐形部材2に対して所定角度αを有して配設され、後述する水槽等から水、又は所望の液体が供給される。尚、上記所定角度αは、例えば円錐形部材2に対して10°以上の角度であり、円錐形部材2に水等の液体を供給し、円錐形部材2内に回転する渦流を生成し易くする最適な角度である。
【0023】
一方、微細気泡含有液体排出部5は円錐形部材2の下面中心部分に設けられている。図3は微細気泡含有液体排出部5の断面拡大図である。
【0024】
微細気泡含有液体排出部5には円錐形部材2の下壁2bを貫通して形成された開口10が設けられ、開口10を通して後述する気液体が排出される。開口10は同図に示すように、下壁2bの所定の範囲(例えば、下壁2bの厚さの半分程度)までは一定の直径の円柱状の開口10aであり、そこから外に向かって円錐台状に拡がる開口10bで構成されている。
【0025】
このように微細気泡含有液体排出部5を構成することによって、微細バブル発生装置1内の内層8cによって気体が含有された気液体をマイクロオーダ或いはナノオーダの微細気泡を含有する微細気泡含有液体に生成する。
【0026】
一方、円錐形部材2、及び円柱部材6、内部円柱部材7の内周面には渦流の生成を促進する渦流生成促進加工が施されている。この渦流生成促進加工は、例えば微小な凹凸を円柱部材6,7等の内周面に一様に形成することによって、内周面に沿った水の流れにおいて、圧力損失が抑制され、渦流の生成を促進する。
【0027】
図4(a)は上記渦流生成促進加工25の一例を示す図であり、微小な凹凸26、27が内部円柱部材7等の内周面の全面にわたって形成されている。
この渦流生成促進加工は、例えば同図(b)に示すように凸状26と凹溝27が同間隔で形成された矩形形状であり、矢印24で示す水の流れの交差方向に形成されている。このように構成することによって、上記凹凸の高低差は流れに対して流れの圧力変化を生じさせるような大きさの二次流れ生じさせないレベルの摩擦作用を発生させ、内周面に沿った水の流れの圧力損失が抑制され渦流の生成を促進する。
【0028】
尚、渦流生成促進加工25の凹凸形状は同図(c)に示すように、凹溝27の断面を半円形状としてもよい。また、同図(d)に示すように、凸状26の断面を直立辺と斜辺を有する三角形状としてもよい。
【0029】
図5は上記構成の微細バブル発生装置1を使用した微細バブル発生システムを説明するシステム図である。
同図に示すボンベ11a、11b、11cには異なる気体、例えば空気や、オゾン、水素、窒素等の気体が収納され、夫々のボンベ11a、11b、11cには、夫々バルブ12a、12b、12cが取り付けられている。そして、用途に応じて何れかのバルブ12a、12b、12cを開くことによって、選択されたボンベ11a、11b、11cから所望する気体を上記気体供給部3に供給する。
【0030】
尚、同図に示すバルブ12dは、更に他の気体が入ったボンベを取り付ける場合に使用する為の予備のバルブである。
上記実施形態の説明では気体としてボンベ31aに収納した空気を使用したが、他のボンベ31b、31cに、例えば水素や、重水素、酸素、オゾン、窒素、二酸化炭素、塩素、二酸化窒素、硫化水素、ヘリウム、アルゴン、ネオン等の希ガスを収納し、用途に応じて使用する構成としてもよい。
【0031】
尚、同図に示すP1は気体の流路13に設けられた圧力インジケータであり、この流路13を流れる気体の圧力を計測する。また、F1は流量インジケータであり、流路13を介して気体供給部3に供給される気体流量を計測する。
【0032】
一方、貯水槽14には、本例の微細バブル発生装置1に供給する液体として、例えば水が蓄えられており、バルブ14a及び15を開くことによって、貯水槽14に蓄えられた水を微細バブル発生装置1に供給することができる。貯水槽14から供給される水は前述の液体供給部4から微細バブル発生装置1(円錐形部材2)内に供給される。
【0033】
ポンプ20は貯水槽14又は16に蓄積された水を使用する際に駆動する装置である。例えば、バルブ16aを開き、更にバルブ17~19を順次開き、ポンプ20を駆動することによって、貯水槽16に溜まった水を微細バブル発生装置1(円錐形部材2)に戻し、再使用する。尚、ポンプ20を駆動し、バルブ17を貯水槽14側に開き、更にバルブ21を開くことによって、貯水槽16に溜まった水を貯水槽14に戻すこともできる。
【0034】
尚、同図に示すP2は水の流路22に設けられた圧力インジケータであり、この流路22を流れる水圧を計測する。また、F2は流量インジケータであり、流路22を介して微細バブル発生装置1(円錐形部材2)に供給される水の流量を計測する。
【0035】
以上の構成の微細バブル発生装置1及び微細バブル発生システムを使用して、以下に微細バブルの生成処理について説明する。
先ず、貯水槽14から微細バブル発生装置1に水を供給する。この為、先ずバルブ14a、及び15を開き、貯水槽14に溜められた水を流路22を介して液体供給部4から微細バブル発生装置1(円錐形部材2)内に供給する。
【0036】
円錐形部材2内の外層8aの空間に水が勢いよく供給されると、外層8aの円周方向に水が旋回し、旋回流となる。図6図2のA-A断面図であり、微細バブル発生装置1内の水の流れを説明する図である。
【0037】
同図に示すように、外層8a内に供給された水は時計周りに勢いよく旋回する。この時、液体には旋回による矢印Bで示す方向に遠心力が働く。そして、水は旋回しながら円錐形部材2の下壁2bに向かって下方に流れる。
【0038】
その後、円錐形部材2の下壁2bに達した水は、旋回運動を維持したまま円筒部材6の内部に流れ込む。円筒部材6の内部に流れ込んだ水には、旋回による遠心力が矢印B方向に同様に働き、水は円筒部材6の内周面に沿って上方に移動し、上壁2aに達する。
【0039】
この間、前述のように円柱部材6及び7等の内周面には、図4(a)~(d)に示すような渦流生成促進加工が施されており、微細バブル発生装置1内の渦流の生成を促進し、効率良く渦流を生成させることができる。
【0040】
そして、上壁2aに達した水は、図2に示す矢印方向に流れ、内部円筒部材7(内層8c)の上部中心部が圧力の低い状態となる。この時、気体供給部3にはボンベ11aから気体が供給されており、気体供給部3の微細孔9を通して気体が微細バブル発生装置1(内部円柱部材7)の内部に吸引される。
【0041】
そして、吸引された気体は内部円柱部材7の内層8c内で気体渦流となって、旋回しながら円錐形部材2の下壁2bに向かって流れる。この時、内部円柱部材7の内径は最も狭く、回転力が強まり、水の旋回による遠心力が最も強く働く。
この結果、旋回する水流に吸引された気体は気体渦流となり下壁2bに形成された開口10に流れ込む。
【0042】
そして、気体渦流は微細気泡含有液体排出部5において急激に不安定となり、気体渦流が強制的に切断されて微細な気泡となる。すなわち、微細気泡含有液体排出部5内の開口10の構造によって、旋回流内の気体は、微細な気泡に切断され、微細気泡含有液体排出部5から外部に排出される際、大気又は液体の外部環境との質量差等により、気泡が更に微細に切断されたマイクロバブル又はナノバブルの微細な気泡を大量に生成する。
【0043】
この様にして生成されたマイクロバブル又はナノバブルの微細な気泡を含む微細気泡含有水は、微細気泡含有液体排出部5から放出され、必要な用途に使用される。
【0044】
その後、バルブ15を閉じ、ポンプ20を駆動してバルブ16a、17~19を開放することによって、貯水槽16に放出された水を循環させ、ボンベ11aから空気を気体供給部3に自動的に送り、継続的に微細気泡含有液体排出部5から微細気泡含有水を放出して、必要な用途に使用することができる。
【0045】
以上のように、本例の微細バブル発生装置1は、多重層構造となっている為、注入する水等の液体の圧力や流速が低くても安定して微細な気泡を生成することが可能である。また、水等の液体の旋回によって気体を吸い込む構造であるため、気体をボンベ11から気体供給部3に送る際、気体を加圧する必要がなく、気体を導入するための複雑な機構等も省略することができる。
【0046】
さらに、本例の微細バブル発生装置1の円柱部材6及び7等の内周面には、渦流生成促進加工が施されており、渦流の生成を促進することによって、水流速度を加速させることができ、微細気泡含有液体の生成を促進させることができる。
【0047】
図7は本発明の微細バブル発生装置の他の実施例を説明する図であり、他の実施例の微細バブル発生装置31の内部構成を説明する図である。尚、本例においても、微細バブル発生装置31の外観は前述の実施形態の図1に示す円錐形(逆円錐形)である。
【0048】
本例の微細バブル発生装置31には前述の実施形態と同様、円錐形部材32、気体供給部33、液体供給部34、及び微細気泡含有液体排出部35が配設され、気体供給部33には前述のボンベ11a等から所望の気体が供給され、液体供給部34には前述のポンプ20によって所定の圧力が付加された水が供給され、微細気泡含有液体排出部35から装置31内で生成されたマイクロバブルやナノバブルの微細気泡を含む微細気泡含有液体が排出される。
【0049】
同図において、本例の微細バブル発生装置31は円錐形部材32と、この円錐形部材32内に配設された内部円錐形部材36、37で構成されている。すなわち、前述の実施例と異なる構成は、円柱部材6及び内部円柱部材7に対して内部円錐形部材36、37が使用されている点である。
【0050】
具体的には、円柱部材6に代えて内部円錐形部材36が使用され、内部円柱部材7に代えて内部円錐形部材37が使用されている。このように構成することによって、前述と同様、円錐形部材32内の外層38aの空間に水を勢いよく供給すると、外層38aの円周方向に水が旋回し、旋回流となり、矢印Bで示す方向に遠心力が働く。そして、水は旋回しながら円錐形部材32の下壁32bに向かって下方に流れる。
【0051】
その後、円錐形部材32の下壁32bに達した水は、前述と同様、旋回運動を維持したまま内部円錐部材36の内部に流れ込み、内部円錐部材36の内部に流れ込んだ水には、旋回による遠心力が矢印B方向に同様に働き、水は内部円錐部材36の内周面に沿って上方に移動し、上壁32aに達する。
【0052】
この間、前述のように内部円錐部材36及び37の内周面には、図4(a)~(d)に示すような渦流生成促進加工が施されており、微細バブル発生装置31内の渦流の生成を促進し、効率良く渦流を生成させることができる。
【0053】
そして、上壁32aに達した水は、図7に示す矢印方向に流れ、内部円錐部材37(内層38c)の上部中心部が圧力の低い状態となり、気体供給部33の微細孔39を通して気体が微細バブル発生装置31(内部円錐部材37)の内部に吸引される。
【0054】
そして、吸引された気体は内部円錐部材37の内層38c内で気体渦流となって、旋回しながら円錐形部材32の下壁2bに向かって流れ、水の旋回による遠心力も強く働き、旋回する水流に吸引された気体は気体渦流となり下壁32bに形成された開口40に流れ込む。
【0055】
そして、気体渦流は微細気泡含有液体排出部35において急激に不安定となり、気体渦流が強制的に切断されて微細な気泡となり、微細気泡含有液体排出部35から外部に排出する際、大気又は液体の外部環境との質量差等により、気泡が更に微細に切断され、マイクロバブル又はナノバブルの微細な気泡を大量に生成する。
【0056】
この様にして生成されたマイクロバブル又はナノバブルの微細な気泡を含む微細気泡含有水は、前述と同様、微細気泡含有液体排出部35から放出され、必要な用途に使用される。
【0057】
以上のように、本例の旋回液流方式の微細バブル発生装置31によっても、注入する水等の液体の圧力や流速が低くても安定して微細な気泡を生成することが可能であり、また、水等の液体の旋回によって気体を吸い込む構造であるため、気体をボンベ11から気体供給部33に送る際、気体を加圧する必要がなく、気体を導入するための複雑な機構等を省略することができる。
【0058】
さらに、本例の微細バブル発生装置31の内部円錐部材36及び37等の内周面には、渦流生成促進加工が施されており、渦流の生成を促進することによって、水流速度を加速させることができ、微細気泡含有液体の生成を促進させることができる。
【0059】
尚、上記実施形態の説明では、微細バブル発生装置1内に配設する円柱部材は円柱部材6及び7の2円筒としたが、3円筒以上の円柱部材を設けて構成しても良く、又は1個の円柱部材のみを設ける構成としても良い。
【0060】
同様に、微細バブル発生装置31内に配設する内部円錐部材36及び37も2円錐部材で構成したが、3円錐部材以上設けて構成しても良く、又は1個の内部円錐部材のみを設ける構成としても良い。
【0061】
また、本実施形態の説明では微細バブルの発生装置について説明したが、外部が外気の場合には、微細気泡含有液体を放出する微細バブルを含む霧発生装置の発明としてもよい。
【0062】
さらに、本実施形態の説明において、円柱部材や円錐部材の内面に凹凸形状の渦流生成促進加工を施したが、凹凸形状に限定される訳ではなく、他の形状の渦流生成促進加工を施す構成としても良い。
【符号の説明】
【0063】
1・・・微細バブル発生装置
2・・・円錐形部材
2a・・上壁
2b・・下壁
3・・・気体供給部
4・・・液体供給部
5・・・微細気泡含有液体排出部
6・・・円柱部材
7・・・内部円錐形部材
8a・・外層
8b・・中層
8c・・内層
9・・・微細孔
10、10a、10b・・開口
11a、11b、11c・・ボンベ
12a、12b、12c、12d・・バルブ
13・・気体流路
14、16・・貯水槽
14a、15、16a、17~19・・バルブ
20・・ポンプ
21・・バルブ
22・・液体流路
24・・水流
25・・渦流生成促進加工
26・・凸状
27・・凹溝
31・・微細バブル発生装置
32・・円錐形部材
32a・・上壁
32b・・下壁
33・・気体供給部
34・・液体供給部
35・・微細気泡含有液体排出部
36・・円錐部材
37・・内部円錐部材
38a・・外層
38b・・中層
38c・・内層
39・・微細孔
40・・開口
P1、P2・・圧力インジケータ
F1、F2・・流量インジケータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8