IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱製鋼株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社金子製作所の特許一覧

<>
  • 特開-空気調和装置 図1
  • 特開-空気調和装置 図2
  • 特開-空気調和装置 図3
  • 特開-空気調和装置 図4
  • 特開-空気調和装置 図5
  • 特開-空気調和装置 図6
  • 特開-空気調和装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043497
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/22 20060101AFI20220309BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20220309BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20220309BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
B60H1/22 611C
B60H1/32 613C
B60H1/32 613E
B60H1/32 613P
F28F1/32 A
F28D1/053 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148797
(22)【出願日】2020-09-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000176833
【氏名又は名称】三菱製鋼株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000142399
【氏名又は名称】株式会社金子製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小川 学
(72)【発明者】
【氏名】宮林 清美
【テーマコード(参考)】
3L103
3L211
【Fターム(参考)】
3L103BB37
3L103DD33
3L211AA08
3L211AA09
3L211AA20
3L211BA02
3L211BA03
3L211BA15
3L211BA32
3L211CA04
3L211DA42
(57)【要約】
【課題】アイドリングの停止時でも動作できるような空気調和装置を提供する。
【解決手段】空気調和装置は、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁14及び蒸発器15を含むヒートポンプによって構成され、蒸発器15との熱交換によって車内の空気を冷やす冷房ユニット10と、ヒーター22及び放熱器21を含み、ヒーター22で加熱された放熱器21との熱交換によって車内の空気を温める暖房ユニット20と、冷房ユニット10及び暖房ユニット20に電力を供給する充電池とを含み、車両のアイドリングの停止時に、冷房ユニット10及び暖房ユニット20を動作させることができ、ヒーター22は棒状の形状を有し、放熱器21は複数の伝熱フィン21a及び伝熱フィン21aを貫通する複数の伝熱管21bで構成され、ヒーター22は前記伝熱管21bに挿入されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置であって、
圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を含むヒートポンプによって構成され、前記蒸発器との熱交換によって車内の空気を冷やす冷房ユニットと、
ヒーター及び放熱器を含み、前記ヒーターで加熱された前記放熱器との熱交換によって車内の空気を温める暖房ユニットと、
前記冷房ユニット及び前記暖房ユニットに電力を供給する充電池と
を含み、車両のアイドリングの停止時に、前記冷房ユニット及び前記暖房ユニットを動作させることができる空気調和装置。
【請求項2】
前記膨張弁、前記蒸発器及び前記放熱器を格納し、空気調和する空気が前記蒸発器及び前記放熱器と熱交換するように流す室内機をさらに含む請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記蒸発器及び前記放熱器は、前記空気の流路において隣接して設置された請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記蒸発器は、複数の伝熱フィンと、前記伝熱フィンを貫通して冷媒を流す伝熱管とを含む請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記放熱器は、複数の伝熱フィンと、前記伝熱フィンを貫通する複数の伝熱管とを含む請求項3又は4のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記蒸発器は、複数の伝熱フィンと、前記伝熱フィンを貫通して冷媒を流す伝熱管とを含み、前記放熱器は、前記複数の伝熱フィンと、前記伝熱フィンを貫通する複数の伝熱管とを含み、前記蒸発器及び放熱器は一体として構成された請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記ヒーターは棒状の形状を有し、前記ヒーターは前記伝熱管に挿入された請求項5又は6に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記暖房ユニットは、前記ヒーターと直列に接続されたサーモスタットをさらに含み、前記サーモスタットは前記伝熱管に挿入された請求項7に記載の空気調和装置。
【請求項9】
前記暖房ユニットは、前記ヒーターと直列に接続された温度ヒューズをさらに含み、前記温度ヒューズは前記伝熱管に挿入された請求項7又は8に記載の空気調和装置。
【請求項10】
前記室内機は、空気調和する空気を前記蒸発器及び前記放熱器と熱交換するように室内機の内部の流路に沿って流すファンをさらに含む請求項3から9のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項11】
前記圧縮機及び前記凝縮器を格納する室外機をさらに含む請求項1から10のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項12】
前記凝縮器は、複数の伝熱フィンと、前記伝熱フィンを貫通して冷媒を流す伝熱管とを含む請求項11に記載の空気調和装置。
【請求項13】
前記室外機は、空気を前記凝縮器と熱交換するように室外機の内部の流路に沿って流すファンをさらに含む請求項11又は12に記載の空気調和装置。
【請求項14】
前記充電池は、リチウムイオン充電池である請求項1から13のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項15】
車両に後付けで取り付けることができる請求項1から14のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項16】
前記車両は、トラックである請求項15に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大型トラックなどの車両に後付けで取り付け、アイドリングの停止時に空調を提供することができるような空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型トラックなどの車両において、休憩や荷待ち時にアイドリングを停止するアイドリングストップが行われている。アイドリングストップ時には、車載の空気調和装置も停止するため、車内の空気の温度などが調整できなくなり、車両にいる乗員の快適さが損なわれることがあった。
【0003】
アイドリングストップ時にも車内の空気を冷やすことができるように車両に後付けする冷房装置が市販されている。このような冷房装置は、車載のバッテリーから供給された電力を使用してヒートポンプを駆動している。アイドリングストップ時に、充電池から供給された電力によって温めることができるマットも市販されている。
【0004】
一方、空気調和装置の室内機において、冷房時に蒸発器、暖房時に凝縮器として使用する熱交換器のフィンに設けた伝熱管にヒーターを通し、暖房時に補助として使用する技術が提供されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63-54292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アイドリングストップ時に動作する従来の空気調和装置は、ヒートポンプを使用して冷房を提供するものであった。このような空気調和装置は、原理的にはヒートポンプを逆サイクルで運転することによって暖房にも使用することができるが、その場合には大きな消費電力を要していた。
【0007】
この発明は、上述の実情に鑑みて提供されるものであって、トラックなどの車両のアイドリングストップ時に冷房及び暖房を提供することができ、暖房時の消費電力を低減するような空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、この発明に係る空気調和装置は、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を含むヒートポンプによって構成され、蒸発器との熱交換によって車内の空気を冷やす冷房ユニットと、ヒーター及び放熱器を含み、ヒーターで加熱された放熱器との熱交換によって車内の空気を温める暖房ユニットと、冷房ユニット及び暖房ユニットに電力を供給する充電池とを含み、車両のアイドリングの停止時に、冷房ユニット及び暖房ユニットを動作させることができる。
【0009】
膨張弁、蒸発器及び放熱器を格納し、空気調和する空気が蒸発器及び放熱器と熱交換するように流す室内機をさらに含んでもよい。
【0010】
蒸発器及び放熱器は、空気の流路において隣接して設置されてもよい。蒸発器は、複数の伝熱フィンと、伝熱フィンを貫通して冷媒を流す伝熱管とを含んでもよい。放熱器は、複数の伝熱フィンと、伝熱フィンを貫通する複数の伝熱管とを含んでもよい。
【0011】
蒸発器は、複数の伝熱フィンと、伝熱フィンを貫通して冷媒を流す伝熱管とを含み、放熱器は、複数の伝熱フィンと、伝熱フィンを貫通する複数の伝熱管とを含み、蒸発器及び放熱器は一体として構成されてもよい。
【0012】
ヒーターは棒状の形状を有し、ヒーターは伝熱管に挿入されてもよい。暖房ユニットは、ヒーターと直列に接続されたサーモスタットをさらに含み、サーモスタットは伝熱管に挿入されてもよい。暖房ユニットは、ヒーターと直列に接続された温度ヒューズをさらに含み、温度ヒューズは伝熱管に挿入されてもよい。
【0013】
室内機は、空気調和する空気を蒸発器及び放熱器と熱交換するように室内機の内部の流路に沿って流すファンをさらに含んでもよい。
【0014】
圧縮機及び凝縮器を格納する室外機をさらに含んでもよい。凝縮器は、複数の伝熱フィンと、伝熱フィンを貫通して冷媒を流す伝熱管とを含んでもよい。室外機は、空気を凝縮器と熱交換するように室外機の内部の流路に沿って流すファンをさらに含んでもよい。
【0015】
充電池は、リチウムイオン充電池であってもよい。車両に後付けで取り付けることができてもよい。車両は、トラックであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によると、トラックなどの車両のアイドリングストップ時にも暖房及び冷房を提供することができ、暖房時の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】空気調和装置の概略的な構成を説明する図である。
図2】空気調和装置の室外機及び充電池を取り付けたトラックヘッドを示す斜視図である。
図3】空気調和装置の室内機を取り付けたキャビンを示す斜視図である。
図4】空気調和装置の室内機を示す斜視図である。
図5】空気調和装置の室内機の破断斜視図である。
図6】空気調和装置の室内機に格納された蒸発器及び放熱器の斜視図である。
図7】空気調和装置のコントローラーを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、空気調和装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態の空気調和装置は、大型トラックなどのトラックヘッドのキャビンに後付けで取り付けることを想定している。しかしながら、本実施の形態の空気調和装置は、大型トラックに限らず、一般のトラックやバンなどの他の種類の車両、建設機械やユニットハウスのような建物などにも同様に適用することができる。
【0019】
図1は、本実施の形態の空気調和装置の概略的な構成を示す図である。本実施の形態の空気調和装置は、ヒートポンプによって構成された冷房ユニット10、ヒーター22を熱源とする暖房ユニット20と、冷房ユニット10及び暖房ユニット20に電力を供給する図示しない充電池から構成されている。
【0020】
冷房ユニット10において、圧縮機11、凝縮器12、ドライヤー13、膨張弁14及び蒸発器15は、閉じた流路を形成して冷媒を流すように配管18によって接続されている。冷媒には、フロンなどが使用されている。
【0021】
凝縮器12は、冷媒が空気と熱交換するように、複数枚の伝熱フィン12aと、伝熱フィン12aを複数回にわたり貫通するように折り返されて冷媒を流す伝熱管12bとから構成されている。伝熱管12bには、配管18を通じて供給された冷媒が流される。伝熱フィン12a及び伝熱管12bは、熱伝導率の高い銅やアルミニウムなどの金属で構成されている。
【0022】
蒸発器15は、凝縮器12と同様に、冷媒が空気と熱交換するように、複数枚の伝熱フィン15aと、伝熱フィン15aを複数回にわたり貫通するように折り返された伝熱管15bとから構成されている。伝熱管15bには、配管18を通じて供給された冷媒が流される。
【0023】
配管18を矢印で示した向きに流れる冷媒は、圧縮機11によって圧縮され、凝縮器12で放熱して凝縮し、ドライヤー13で水分を除去され、膨張弁14によって減圧され、蒸発器15で吸熱して蒸発し、さらに圧縮機11に送られる。このようなサイクルによってヒートポンプが構成され、車内に設置された蒸発器15から吸収した熱を車外に設置された凝縮器12から排出することを可能にしている。
【0024】
暖房ユニット20は、複数枚の伝熱フィン21a及び伝熱フィン21aを貫通する複数本の伝熱管22bから構成された放熱器21と、伝熱管22bに挿入されて放熱器21を加熱するヒーター22とを有している。ヒーター22は、金属製の鞘で覆われたシーズヒーターなどの棒状の電気ヒーターである。ヒーター22は伝熱管22bに嵌るような径を有しているが、熱伝導を容易にするため、ヒーター22と伝熱管22bとの間に熱伝導率の高い接着剤などが充填されてもよい。
【0025】
暖房ユニット20においては、図示しない充電池から端子27を介してヒーター22に電力が供給される。端子27とヒーター22との間には、サーモスタット23及び温度ヒューズとが直列に接続されている。このようにヒーター22、サーモスタット23及び温度ヒューズ24を直列に接続した回路は、2個のヒーター22について端子27に並列に接続されている。なお、ヒーター22に電力を供給する回路は、各ヒーター22について端子27に並列に接続されればよく、2個のヒーター22に限らない。また、サーモスタット23及び温度ヒューズ24の少なくとも一方が省略されてもよい。
【0026】
サーモスタット23及び温度ヒューズは、それぞれ棒状の形状に構成される。または、金属製のシースで覆うことにより棒状に形成されてもよい。このようなサーモスタット23及び温度ヒューズ24は、それぞれ伝熱管22bに挿入される。サーモスタット23及び温度ヒューズ24は伝熱管22bに嵌るような径を有しているが、熱伝導を容易にするため、ヒーター22とサーモスタット23及び温度ヒューズ24の間に熱伝導率の高い接着剤などが充填されてもよい。放熱器21には、ヒーター22、サーモスタット23及び温度ヒューズ24を挿入できるような所定の本数の伝熱管21bが形成されている。
【0027】
暖房ユニット20において、ヒーター22は充電池から供給された電力によって発熱し、この熱は放熱器21の伝熱管21bから伝熱フィン22aに伝えられ、放熱器21が空気と熱交換することにより空気を温める。サーモスタット23は、放熱器21が所定の温度範囲にあるように、ヒーター22への電気の供給を断続する。温度ヒューズ24は、放熱器21の温度が所定値を超えると、安全のためにヒーター22に接続する回路を遮断する。
【0028】
図示しない充電池は、冷房ユニット10及び暖房ユニット20に電力を供給している。暖房ユニット20には、端子27を介して電力を供給している。充電池は、リチウムイオン充電池で構成され、12Vの電圧を有している。充電池にはエンジンの駆動中にはオルタネーターで発電された電気が供給され、充電池に次第に充電される。なお、リチウムイオン充電池の電圧は12Vに限らず、24Vなど他の電圧であってもよい。
【0029】
本実施の形態の空気調和装置において、冷房ユニット10及び暖房ユニット20は、この空気調和装置に備えられた充電池から供給された電力によって駆動される。したがって、アイドリングストップ時にエンジンが停止しても、車載バッテリーに負担をかけることがなく空気調和装置を動作させることができる。また、アイドリングストップ時にも車内の冷房及び暖房の空気調和を継続することができ、乗員に与える快適さを保つことができる。
【0030】
本実施の形態の空気調和装置は、冷房ユニット10にはヒートポンプを使用しているが、暖房ユニット20にはヒーター22により加熱された放熱器21を使用している。したがって、ヒートポンプを暖房に使用する際に圧縮機を駆動するために大きな消費電力を要することがない。
【0031】
図2は、空気調和装置の室外機33及び充電池35を取り付けたトラックヘッド30を示す斜視図である。トラックヘッド30のリア面31には、リアウィンドウ32の横に隣接するように空気調和装置の室外機33が取り付けられている。室外機33の略中央には、室外機33から空気を排出するための排出口33aが形成されている。また、室外機33の下部が窪んで棚33bが形成され、この棚33bには充電池35が格納されている。棚33bの上部には室外機33に空気を吸入するための図示しない吸入口が形成されていてもよい。
【0032】
室外機33には、暖房ユニット20の圧縮機11、凝縮器12及びドライヤー13などが格納されている。室外機33には、車外の空気との熱交換によって凝縮器12から冷媒の凝縮熱を放出するように、室外機33の内部の流路に沿って凝縮器12を通して空気を流すための図示しないファンが備えられている。このファンは、排出口33aの内側に配置されてもよい。室外機33において、圧縮機11およびファンは、充電池35から供給された電力によって駆動される。
【0033】
図3は、空気調和装置の室内機46を取り付けたトラックヘッドのキャビン40を示す斜視図である。この斜視図は、キャビン40の運転席41の前方からリアウィンドウ43に向かう視点によるものである。室内機46は、キャビン40の後方の壁42において、天井に近く、リアウィンドウ43の横に隣接するような位置に取り付けられている。室内機46は、車外にある室外機33に冷媒を流す配管18によって接続されている。また、室内機46には、室外機33とともに車外に設置された充電池から電力が供給されている。
【0034】
室内機46の下側の壁42には、室内機46のコントローラー47が取り付けられている。壁42に沿ってリアウィンドウの下側に簡易ベッド48が設置されている。コントローラー47は、簡易ベッド48に横たわった乗員の手が届くような範囲に取り付けられてもよい。
【0035】
図4は、空気調和装置の室内機46を示す斜視図である。室内機46は、箱形の形状を有し、前面の大部分に格子状の吸い込み口46aが形成され、前面の下部には吹き出し口46bが形成されている。向かって右側面に隣接した前面の一部には、空気調和装置を操作するための操作盤46cが形成されている。室内機46で空気調和される空気は、吸い込み口46aから吸入され、空気調和された空気は吹き出し口46bから放出される。
【0036】
室内機46には、膨張弁14、蒸発器15及び放熱器21などが格納されている。室内機46には、空気と蒸発器15及び放熱器21が熱交換するように、室内機46の内部の流路に沿って蒸発器15及び放熱器21を通して空気を流す図示しないファンが備えられている。空気調和装置の冷房ユニット10が動作するときには蒸発器15によって空気が冷やされ、暖房ユニット20が動作するときには放熱器21によって空気が温められる。
【0037】
制御盤42cは、空気調和装置の運転又は停止、冷房ユニット10及び暖房ユニット20の切り替え、温度の設定などを制御するために、ダイヤル、スイッチ、LCDによる表示板などを備えている。空気調和装置の動作は、制御盤42cによる設定に従い、室内機46又は室外機33に備えられた図示しない制御装置によって所定の手順で実施されるように制御されてもよい。
【0038】
図5は、空気調和装置の室内機46の破断斜視図である。図6は、室内機46に格納された蒸発器15及び放熱器21を示す斜視図である。室内機46には、図の手前側から奥側に向かって順に蒸発器15及び放熱器21が順に配置されている。吸い込み口46aから吸入された空気は、図の手前側から順に蒸発器15及び放熱器21を通る空気の流路に沿って熱交換し、空気調和した空気は蒸発器15及び放熱器21の裏側から下部に向かう図示しないダクトを通って吹き出し口46bから放出される。空気を流路に沿って流すファンは、ダクトと吹き出し口46bの間に設けられてもよい。
【0039】
蒸発器15及び放熱器21は、室内機46の内部の空気の流路において、蒸発器15が上流側に、放熱器21が下流側に位置するように、蒸発器15及び放熱器21を一体として構成されている。蒸発器15及び放熱器21は、それぞれの伝熱フィン15a、21aを共通に構成し、蒸発器15を構成する冷媒を流す伝熱管15bと、放熱器21を構成する複数の伝熱管21bとの両方は、共通の伝熱フィン15a、21aを貫通している。蒸発器15と放熱器21との共通の伝熱フィン15a、21aは、蒸発器15と放熱器21との間の熱伝達を最小限に低減するような形状に形成されている。このように蒸発器15及び放熱器21を一体として構成することにより、室内機46の小型化を図ることができる。
【0040】
なお、蒸発器15及び放熱器21は、一体の構造に限らず、別々に設けてもよい。この場合には、室内機46の内部の空気の流路において、蒸発器15が上流側に、放熱器21が下流側に位置するように、蒸発器15及び放熱器21が隣接するように配置してもよい。隣接する蒸発器15と放熱器21との間には、これらの間の熱伝達を遮断するように断熱板を挟んでもよい。
【0041】
図7は、空気調和装置のコントローラー47を示す正面図である。コントローラー47の前面には、LCDなどによる表示部47a、電源スイッチ47b、冷房・暖房の運転切替スイッチ47c及び選択ボタン47dが設けられている。表示部47aには空気調和装置の冷房・暖房の運転モード、設定温度などが表示される。表示部47aの表示に従って選択ボタン47dを操作することで、温度などを設定することができる。コントローラー47は、簡易ベッド48の直上の壁に取り付けられ、簡易ベッド48に横になった乗員が容易に操作することができるものであってもよい。
【0042】
上述したように、本実施の形態の空気調和装置は、室外機33、室外機33に格納された充電池35、室内機46及び室内機46に付属するコントローラー47から構成されている。したがって、大型トラックなどの車両に後付けで容易に取り付けることができる。取り付けは、トラックヘッド30のリア面31に充電池35を備えた室外機33を取り付け、キャビン40の壁42に室内機46及び付属のコントローラー47を取り付け、室外機33及び室内機46を冷媒の配管18、室内機に電力を供給する電線などで接続すれば足りる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明は、大型トラックなどの車両、建設機械やユニットハウスのような建物などに後付けで取り付ける空気調和装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
10 冷房ユニット
11 圧縮機
12 凝縮器
14 膨張弁
15 蒸発器
20 暖房ユニット
21 放熱器
22 ヒーター
23 サーモスタット
24 温度ヒューズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置であって、
圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を含むヒートポンプによって構成され、前記蒸発器との熱交換によって車内の空気を冷やす冷房ユニットと、
ヒーター及び放熱器を含み、前記ヒーターで加熱された前記放熱器との熱交換によって車内の空気を温める暖房ユニットと、
前記冷房ユニット及び前記暖房ユニットに電力を供給する充電池と
前記膨張弁、前記蒸発器及び前記放熱器を格納し、空気調和する空気が前記蒸発器及び前記放熱器と熱交換するように流す室内機と
を含み、
前記放熱器は、複数の伝熱フィンと、前記伝熱フィンを貫通する複数の伝熱管とを含み、前記ヒーターは前記放熱器の伝熱管に嵌るような棒状の形状を有し、前記ヒーターは前記放熱器の伝熱管に挿入され、
前記放熱器の伝熱管には、前記ヒーターに直列に接続され、前記放熱器の伝熱管に嵌るような棒状な形状を有するサーモスタット及び温度ヒューズの少なくとも一方がさらに挿入され、
車両のアイドリングの停止時に、前記冷房ユニット及び前記暖房ユニットを動作させることができる空気調和装置。
【請求項2】
前記ヒーター、前記サーモスタット及び前記温度ヒューズは、金属製の鞘に覆われた請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記ヒーター並びに前記サーモスタット及び温度ヒューズの少なくとも一方と前記伝熱管との間には、熱伝導のための接着剤が充填された請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記蒸発器及び前記放熱器は、前記空気の流路において、前記蒸発器が上流側に、前記放熱器が下流側になるように隣接して設置され、前記蒸発器と前記放熱器との間にはこれらの間の熱伝達を遮断するように断熱板が挟まれた請求項1~3のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記蒸発器は、複数の伝熱フィンと、前記伝熱フィンを貫通して冷媒を流す伝熱管とを含む請求項に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記蒸発器は、複数の伝熱フィンと、前記伝熱フィンを貫通して冷媒を流す伝熱管とを含み、前記蒸発器及び放熱器は、前記室内機の空気の流路において、前記蒸発器が上流側に、前記放熱器が下流側になるように隣接して設置され、共通の伝熱フィンにより一体として構成され、前記伝熱フィンは前記蒸発器と前記放熱器との間の熱伝達が低減されるような形状に形成された請求項1~3のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記室内機は、空気調和する空気を前記蒸発器及び前記放熱器と熱交換するように室内機の内部の流路に沿って流すファンをさらに含む請求項からのいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記圧縮機及び前記凝縮器を格納する室外機をさらに含む請求項1からのいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項9】
前記凝縮器は、複数の伝熱フィンと、前記伝熱フィンを貫通して冷媒を流す伝熱管とを含む請求項に記載の空気調和装置。
【請求項10】
前記室外機は、空気を前記凝縮器と熱交換するように室外機の内部の流路に沿って流すファンをさらに含む請求項又はに記載の空気調和装置。
【請求項11】
前記充電池は、リチウムイオン充電池である請求項1から10のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項12】
車両に後付けで取り付けることができる請求項1から11のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項13】
前記車両は、トラックである請求項12に記載の空気調和装置。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置であって、
圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を含むヒートポンプによって構成され、前記蒸発器との熱交換によって車内の空気を冷やす冷房ユニットと、
ヒーター及び放熱器を含み、前記ヒーターで加熱された前記放熱器との熱交換によって車内の空気を温める暖房ユニットと、
前記冷房ユニット及び前記暖房ユニットに電力を供給する充電池と、
前記膨張弁、前記蒸発器及び前記放熱器を格納し、空気調和する空気が前記蒸発器及び前記放熱器と熱交換するように流す室内機と
を含み、
前記放熱器は、複数の伝熱フィンと、前記伝熱フィンを貫通する複数の伝熱管とを含み、前記ヒーターは前記放熱器の伝熱管に嵌るような棒状の形状を有し、前記ヒーターは前記放熱器の伝熱管に挿入され、
前記放熱器の伝熱管には、前記ヒーターに直列に接続され、前記放熱器の伝熱管に嵌るような棒状な形状を有するサーモスタット及び温度ヒューズの少なくとも一方がさらに挿入され、
車両のアイドリングの停止時に、前記冷房ユニット及び前記暖房ユニットを動作させることができる空気調和装置。
【請求項2】
前記ヒーター、前記サーモスタット及び前記温度ヒューズは、金属製の鞘に覆われた請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記ヒーター並びに前記サーモスタット及び温度ヒューズの少なくとも一方と前記伝熱管との間には、熱伝導のための接着剤が充填された請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記蒸発器及び前記放熱器は、前記空気の流路において、前記蒸発器が上流側に、前記放熱器が下流側になるように隣接して設置され、前記蒸発器と前記放熱器との間にはこれらの間の熱伝達を遮断するように断熱板が挟まれた請求項1~3のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記蒸発器は、複数の伝熱フィンと、前記伝熱フィンを貫通して冷媒を流す伝熱管とを含む請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記室内機は、空気調和する空気を前記蒸発器及び前記放熱器と熱交換するように室内機の内部の流路に沿って流すファンをさらに含む請求項1からのいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記圧縮機及び前記凝縮器を格納する室外機をさらに含む請求項1からのいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記凝縮器は、複数の伝熱フィンと、前記伝熱フィンを貫通して冷媒を流す伝熱管とを含む請求項に記載の空気調和装置。
【請求項9】
前記室外機は、空気を前記凝縮器と熱交換するように室外機の内部の流路に沿って流すファンをさらに含む請求項又はに記載の空気調和装置。
【請求項10】
前記充電池は、リチウムイオン充電池である請求項1からのいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項11】
車両に後付けで取り付けることができる請求項1から10のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項12】
前記車両は、トラックである請求項11に記載の空気調和装置。