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特開2022-43518エレベータ制御装置およびエレベータ制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043518
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置およびエレベータ制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20220309BHJP
【FI】
B66B1/14 F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148827
(22)【出願日】2020-09-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】荒井 佑樹
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502HB01
3F502JA14
3F502JA22
3F502JA25
3F502KA02
3F502KA05
3F502KA10
3F502KA19
(57)【要約】
【課題】 運転効率を向上させるように乗りかごの次停止階を判定して運転するエレベータ制御装置およびエレベータ制御方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によればエレベータ制御装置は、閾値情報記憶部と次停止階判定部とを備える。閾値情報記憶部は、新たに乗り込む人数が1人以上且つ所定の乗り込み人数閾値以下となる可能性が所定値以上となるかご内利用者数の最小値を第1かご内人数閾値として記憶する。次停止階判定部は、かご内利用者数と全停止候補階床のホール利用者数との合計が第1かご内人数閾値以上であるときに、停止候補階床に順次応答した場合にかご内利用者数が第1かご内人数閾値を超えない、現在の乗りかご位置から最も離れた階床である運転切替階床に乗りかごが停止したことを検知すると、残りの停止候補階床のうち、ホール利用者数が最大の階床との間のホール呼びに応答しないようにして乗りかごの次停止階を判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置されたエレベータの乗りかごに関して、予め設定された最大定員よりも少なく、新たに乗り込む人数が1人以上且つ所定の乗り込み人数閾値以下となる可能性が所定値以上となるかご内利用者数の最小値を第1かご内人数閾値として記憶する閾値情報記憶部と、
前記乗りかご内のかご内利用者数を検出するかご内利用者数検出部と、
前記建物内の各階床のエレベータホールのホール利用者数を検出するホール利用者数検出部と、
前記かご内利用者数検出部で検出されたかご内利用者数が前記第1かご内人数閾値未満であるときに、現在の乗りかごの運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床を停止候補階床として認識し、当該かご内利用者数と、全停止候補階床のホール利用者数との合計が前記第1かご内人数閾値以上であるときに、前記停止候補階床のホール呼びに順次応答した場合にかご内利用者数が前記第1かご内人数閾値を超えない、現在の前記乗りかご位置から最も離れた階床を運転切替階床として認識し、前記乗りかごが前記運転切替階床に停止したことを検知すると、残りの停止候補階床のうち、ホール利用者数が最大の階床との間のホール呼びに応答しないようにして前記乗りかごの次停止階を判定する次停止階判定部と
を備えることを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項2】
建物に設置されたエレベータの乗りかごに関して、予め設定された最大定員よりも少なく、新たに乗り込む人数が1人以上且つ所定の乗り込み人数閾値以下となる可能性が所定値以上となるかご内利用者数の最小値を第1かご内人数閾値として記憶する閾値情報記憶部と、
前記乗りかご内のかご内利用者数を検出するかご内利用者数検出部と、
前記建物内の各階床のエレベータホールのホール利用者数を検出するホール利用者数検出部と、
前記かご内利用者数検出部で検出されたかご内利用者数が前記第1かご内人数閾値未満であるときに、現在の乗りかごの運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床を停止候補階床として認識し、当該かご内利用者数と、全停止候補階床のホール利用者数との合計が前記第1かご内人数閾値以上であるときに、前記停止候補階床のホール呼びに順次応答した場合にかご内利用者数が前記第1かご内人数閾値を超えない、現在の前記乗りかご位置から最も離れた階床を運転切替階床として認識し、前記乗りかごが前記運転切替階床に停止したことを検知すると、残りの停止候補階床のうち、最も早くホール呼びが登録された階床との間のホール呼びに応答しないようにして前記乗りかごの次停止階を判定する次停止階判定部と
を備えることを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記次停止階判定部は、前記かご内利用者数検出部で検出されたかご内利用者数が前記第1かご内人数閾値未満であるときに、現在の乗りかごの運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床を停止候補階床として認識し、前記かご内利用者数検出部で検出されたかご内利用者数と、全停止候補階床のホール利用者数との合計が前記第1かご内人数閾値以上であるときに、前記停止候補階床のホール呼びに順次応答した場合にかご内利用者数が前記第1かご内人数閾値を超えない、現在の前記乗りかご位置から最も離れた階床を運転切替階床として認識し、前記乗りかごが前記運転切替階床に停止したことを検知したときに、残りの停止候補階床の中に、この時点のかご内利用者数とホール利用者数との合計が前記第1かご内人数閾値を超えない状態になった階床があると判断すると、該当する階床のうち、最も前記乗りかごに近い階床を次停止階として判定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記閾値情報記憶部は、さらに、予め設定された最大定員よりも少ないが実利用上で満員状態となるかご内利用者数の最小値を第2かご内人数閾値として記憶し、前記かご内利用者数が前記第1かご内人数閾値よりも多い場合にホールから乗り込みが期待できる人数の最大値を乗り込み人数閾値として記憶し、
前記次停止階判定部は、前記かご内利用者数検出部で検出されたかご内利用者数が前記第2かご内人数閾値以上のときには、登録されたホール呼びに応答せず、当該かご内利用者数が前記第2かご内人数閾値よりも少なく、前記第1かご内人数閾値以上であるときに、現在の乗りかごの運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床を停止候補階床として認識し、認識した停止候補階床のうち、前記ホール利用者数検出部で検出されたホール利用者数が前記乗り込み人数閾値以下であり現在の前記乗りかご位置から最も近い階床を前記乗りかごの次停止階として判定する
ことを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記次停止階判定部は、前記かご内利用者数検出部で検出されたかご内利用者数が前記第2かご内人数閾値よりも少なく、前記第1かご内人数閾値以上であるときに、認識した停止候補階床のうち、前記ホール利用者数検出部で検出されたホール利用者数が前記乗り込み人数閾値以下であり、所定時間内に、前記乗りかごが戸開しても利用者が乗り込まなかった回数が所定値未満の階床であり、現在の前記乗りかご位置から最も近い階床を前記乗りかごの次停止階として判定する
ことを特徴とする請求項4に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
建物に設置されたエレベータの乗りかごに関して、予め設定された最大定員よりも少なく、新たに乗り込む人数が1人以上且つ所定の乗り込み人数閾値以下となる可能性が所定値以上となるかご内利用者数の最小値を第1かご内人数閾値として記憶する閾値情報記憶ステップと、
前記乗りかご内のかご内利用者数を検出するかご内利用者数検出ステップと、
前記建物内の各階床のエレベータホールのホール利用者数を検出するホール利用者数検出ステップと、
前記かご内利用者数検出部で検出されたかご内利用者数が前記第1かご内人数閾値未満であるときに、現在の乗りかごの運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床を停止候補階床として認識し、当該かご内利用者数と、全停止候補階床のホール利用者数との合計が前記第1かご内人数閾値以上であるときに、前記停止候補階床のホール呼びに順次応答した場合にかご内利用者数が前記第1かご内人数閾値を超えない、現在の前記乗りかご位置から最も離れた階床を運転切替階床として認識し、前記乗りかごが前記運転切替階床に停止したことを検知すると、残りの停止候補階床のうち、ホール利用者数が最大の階床との間のホール呼びに応答しないようにして前記乗りかごの次停止階を判定する次停止階判定ステップと
を有することを特徴とするエレベータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置およびエレベータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、利用者の操作によるホール呼びおよびかご呼びに順次応答しながら走行する。ホール呼びが発生した際には、満員状態ではなく乗り込み可能な乗りかごが該当する階床のエレベータホールに着床することで、当該ホール呼びへの応答が行われる。利用者は、自身が行ったホール呼び操作に応答して着床した乗りかごに乗り込み、目的階まで移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-163569号公報
【特許文献2】特開2019-38683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホール呼びに応答して乗りかごがエレベータホールに着床して戸開した際に、乗りかご内に空きスペースがあっても、かごドア付近が混雑しているとエレベータホールの利用者が乗り込まず、積み残しが発生することがある。この場合、エレベータホールの利用者は当該乗りかごが出発した後に再度ホール呼び操作を行うことになり、エレベータの運転効率が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、運転効率を向上させるように乗りかごの次停止階を判定して運転するエレベータ制御装置およびエレベータ制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための実施形態によればエレベータ制御装置は、閾値情報記憶部と次停止階判定部とを備える。閾値情報記憶部は、新たに乗り込む人数が1人以上且つ所定の乗り込み人数閾値以下となる可能性が所定値以上となるかご内利用者数の最小値を第1かご内人数閾値として記憶する。次停止階判定部は、かご内利用者数と全停止候補階床のホール利用者数との合計が第1かご内人数閾値以上であるときに、停止候補階床に順次応答した場合にかご内利用者数が第1かご内人数閾値を超えない、現在の乗りかご位置から最も離れた階床である運転切替階床に乗りかごが停止したことを検知すると、残りの停止候補階床のうち、ホール利用者数が最大の階床との間のホール呼びに応答しないようにして乗りかごの次停止階を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1~第5実施形態によるエレベータ制御装置を利用したエレベータの構成を示す全体図。
図2】第1~第4実施形態によるエレベータ制御装置の構成を示すブロック図。
図3】第1実施形態によるエレベータ制御装置の動作を示すフローチャート。
図4】第2実施形態によるエレベータ制御装置の動作を示すフローチャート。
図5】第3実施形態によるエレベータ制御装置の動作を示すフローチャート。
図6】第4実施形態によるエレベータ制御装置の動作を示すフローチャート。
図7】第5実施形態によるエレベータ制御装置の構成を示すブロック図。
図8】第5実施形態によるエレベータ制御装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
《第1実施形態》
〈第1実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの構成〉
本発明の第1実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの構成について、図1を参照して説明する。
【0009】
本実施形態によるエレベータ1Aは、n階建ての建物の昇降路2内を昇降する乗りかご3と、当該建物内の各階のエレベータホール4-1~4-nにそれぞれ設置されたホール操作盤41-1~41-n、およびエレベータホール4-1~4-n内をそれぞれ撮影するホールカメラ装置42-1~42-nと、乗りかご3およびホール操作盤41-1~41-nに接続されたエレベータ制御装置5Aとを備える。乗りかご3は、乗り込んだ利用者が行先階を指定するかご呼び操作を行うための操作ボタン(図示せず)を有するかご内操作盤31と、乗りかご3内を撮影するかご内カメラ装置32とを有する。
【0010】
ホール操作盤41-1~41-nは、エレベータホール4-1~4-nにいる利用者が、乗りかご3を呼び寄せるホール呼び操作を行うための操作ボタン(図示せず)を有する。以下、エレベータホール4-1~4-nのうち、いずれの階床のエレベータホールであるかを特定する必要がない場合には、エレベータホール4と記載する。同様に、ホール操作盤41-1~41-nについてはホール操作盤41と記載し、ホールカメラ装置42-1~42-nについてはホールカメラ装置42と記載する。
【0011】
エレベータ制御装置5Aは、図2に示すように、閾値情報記憶部51Aと、かご内利用者数検出部52と、かご呼び情報取得部53と、ホール利用者数検出部54と、ホール呼び情報取得部55と、次停止階判定部56Aと、動作制御部57とを有する。
【0012】
閾値情報記憶部51Aは、予め設定された最大定員よりも少なく、新たに乗り込む人数が1人以上且つ所定の乗り込み人数閾値以下となる可能性が所定値以上(例えば、75%以上)となるかご内利用者数の最小値を第1かご内人数閾値として記憶する。ここで、所定の乗り込み人数閾値は例えば2人であり、乗りかご3がある程度混雑していても乗り込み可能な人数である。
【0013】
本実施形態においては、乗りかご3の最大定員が24人として設定され、第1かご内人数閾値が13人として記憶されている。
【0014】
かご内利用者数検出部52は、かご内カメラ装置32で撮影された撮像情報を解析して乗りかご3内のかご内利用者数を検出する。かご呼び情報取得部53は、かご内操作盤31における操作に基づいて登録されたかご呼び情報を取得する。ホール利用者数検出部54は、ホールカメラ装置42-1~42-nで撮影された撮像情報を解析して各階床のエレベータホールのホール利用者数を検出する。ホール呼び情報取得部55は、ホール操作盤41-1~41-nにおける操作に基づいて登録されたホール呼び情報を取得する。
【0015】
次停止階判定部56Aは、かご内利用者数検出部52で検出されたかご内利用者数が第1かご内人数閾値未満であるときに、現在の乗りかごの運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床を停止候補階床として認識する。そして、かご内利用者数検出部52で検出されたかご内利用者数と、全停止候補階床のホール利用者数との合計が第1かご内人数閾値以上であるときに、停止候補階床のホール呼びに順次応答した場合にかご内利用者数が第1かご内人数閾値を超えない、現在の乗りかご3の位置から最も離れた階床を運転切替階床として認識する。さらに、乗りかご3が運転切替階床に停止したことを検知すると、残りの停止候補階床のうち、ホール利用者数が最大の階床との間のホール呼びに応答しないようにして乗りかご3の次停止階を判定する。動作制御部57は、次停止階判定部56Aで判定された次停止階に乗りかご3を着床させるように、エレベータ1A内の機器を制御する。
【0016】
〈第1実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの動作〉
本実施形態によるエレベータ1Aの動作について説明する。図3は、エレベータ1Aの動作中にエレベータ制御装置5Aで実行される処理を示すフローチャートである。
【0017】
エレベータ制御装置5Aでは、通常運転実行中に(S1)次停止階判定部56Aにおいて、かご内利用者数検出部52で検出されたかご内利用者数が第1かご内人数閾値以上であるか否かが判定される(S2)。ここで、かご内利用者数が第1かご内人数閾値未満であるときには(S2の「NO」)、現在の乗りかご3の運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床があるか否かが判定される(S3)。
【0018】
ステップS3において該当する条件に合致する階床があると判定されると(S3の「YES」)、次停止階判定部56Aは、該当する階床を停止候補階床として認識する(S4)。次に、次停止階判定部56Aは、かご内利用者数検出部52で検出されたかご内利用者数と、全停止候補階床のホール利用者数との合計が第1かご内人数閾値以上であるか否かを判定する(S5)。
【0019】
ステップS5において、かご内利用者数と全停止候補階床のホール利用者数との合計が第1かご内人数閾値以上であると判定されると(S5の「YES」)、次停止階判定部56Aは、停止候補階床のホール呼びに順次応答した場合にかご内利用者数が第1かご内人数閾値を超えない、現在の乗りかご3の位置から最も離れた階床を運転切替階床として認識する。そして、次停止階判定部56Aで認識された停止候補階床のホール呼びに順次応答して運転するように、動作制御部57によりエレベータ1A内の機器が制御される(S6)。
【0020】
その後、次停止階判定部56Aは、乗りかご3が運転切替階床に停止したことを検知すると(S7の「YES」)、残りの停止候補階床のうち、ホール利用者数が最大の階床との間のホール呼びに応答しないようにして乗りかご3の次停止階を判定する。そして、判定された次停止階に停止するように、動作制御部57によりエレベータ1A内の機器が制御され(S8)、ステップS1に戻る。
【0021】
ステップS2においてかご内利用者数が第1かご内人数閾値以上であると判定されたときは(S2の「YES」)、登録されたホール呼びへは非応答とし(S9)、ステップS1に戻る。また、ステップS3において現在の乗りかご3の運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床がないと判定されたとき(S3の「NO」)、ステップS5においてかご内利用者数と全停止候補階床のホール利用者数との合計が第1かご内人数閾値未満であると判定されたとき(S5の「NO」)、および、ステップS7において乗りかご3が運転切替階床に停止していないと判定されたとき(S7の「NO」)には、ステップS1に戻る。
【0022】
以上の第1実施形態によれば、乗りかごがある程度混雑する可能性が高いときに、現在の乗りかごの運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床のうちホール利用者数が最大の階床との間の階床のホール呼びを非応答として次停止階を決定することで、エレベータの運転効率を向上させることができる。
【0023】
《第2実施形態》
〈第2実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの構成〉
本発明の第2実施形態によるエレベータ1Bの構成は、第1実施形態で説明したエレベータ1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態においてエレベータ制御装置5Bの次停止階判定部56Bは、第1実施形態と同様に運転切替階床を認識し、乗りかご3が運転切替階床に停止したことを検知すると、残りの停止候補階床のうち、最も早くホール呼びが登録された階床との間のホール呼びに応答しないようにして乗りかご3の次停止階を判定する。
【0024】
〈第2実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの動作〉
本実施形態によるエレベータ1Bの動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。本実施形態において、ステップS1~S7で実行する処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0025】
ステップS7において次停止階判定部56Bが、乗りかご3が運転切替階床に停止したことを検知すると(S7の「YES」)、残りの停止候補階床のうち、最も早くホール呼びが登録された階床との間のホール呼びに応答しないようにして乗りかご3の次停止階を判定する。そして、判定された次停止階に停止するように、動作制御部57によりエレベータ1A内の機器が制御され(S10)、ステップS1に戻る。
【0026】
以上の第2実施形態によれば、乗りかごがある程度混雑する可能性が高いときに、現在の乗りかごの運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床のうち最も早くホール呼びが登録された階床との間の階床のホール呼びを非応答として次停止階を決定することで、利用者の利便性をなるべく低下させないようにしつつエレベータの運転効率を向上させることができる。
【0027】
《第3実施形態》
〈第3実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの構成〉
本発明の第3実施形態によるエレベータ1Cの構成は、第1実施形態で説明したエレベータ1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態においてエレベータ制御装置5Cの次停止階判定部56Cは、第1実施形態と同様に運転切替階床を認識し、乗りかご3が運転切替階床に停止したことを検知したときに、残りの停止候補階床の中に、この時点のかご内利用者数とホール利用者数との合計が第1かご内人数閾値を超えない状態になった階床があると判断すると、該当する階床のうち、最も乗りかご3に近い階床を次停止階として判定する。
【0028】
〈第3実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの動作〉
本実施形態によるエレベータ1Cの動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。本実施形態において、ステップS1~S7で実行する処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0029】
ステップS7において次停止階判定部56Cが、乗りかご3が運転切替階床に停止したことを検知すると(S7の「YES」)、さらに、残りの停止候補階床の中に、この時点のかご内利用者数とホール利用者数との合計が第1かご内人数閾値を超えない状態になった階床があるか否かを判断する(S11)。ここで、「この時点のかご内利用者数とホール利用者数との合計が第1かご内人数閾値を超えない状態になった階床」は、ホールの利用者が乗り込み不可能な状態から可能な状態に変化した階床である。
【0030】
ここで、該当する階床がないと判断すると(S11の「NO」)、次停止階判定部56Cは、残りの停止候補階床のうち、ホール利用者数が最大の階床または最も早くホール呼びが登録された階床との間の階床のホール呼びを非応答として次停止階を判定する。そして、判定された次停止階に停止するように、動作制御部57によりエレベータ1A内の機器が制御され(S12)、ステップS1に戻る。
【0031】
ステップS11において、該当する階床があると判断したときには(S11の「YES」)、次停止階判定部56Cは、該当する階床のうち、最も乗りかご3に近い階床を次停止階として判定する。そして、判定された次停止階に停止するように、動作制御部57によりエレベータ1A内の機器が制御され(S13)、ステップS1に戻る。
【0032】
以上の第3実施形態によれば、乗りかごがある程度混雑する可能性が高い状態で運転しているときに、ホール呼びが登録された階床のうち、ホールの利用者が乗り込み不可能な状態から可能な状態に変化した階床があると判断すると、該当する階床のうち、乗りかごに近い階床から停止するようにすることで、利用者の利便性をなるべく低下させないようにしつつエレベータの運転効率を向上させることができる。
【0033】
《第4実施形態》
〈第4実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの構成〉
本発明の第4実施形態によるエレベータ1Dの構成は、第1実施形態で説明したエレベータ1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態においてエレベータ制御装置5Dの閾値情報記憶部51Dは、さらに、予め設定された最大定員よりも少ないが実利用上で満員状態となるかご内利用者数の最小値を第2かご内人数閾値として記憶する。また、かご内利用者数が第1かご内人数閾値よりも多い場合にホールから乗り込みが期待できる人数の最大値を乗り込み人数閾値として記憶する。ここで、「実利用上で満員状態となるかご内利用者数」とは、最大定員より少ないが、新たに利用者が乗り込んだ実績がないかご内利用者数である。
【0034】
次停止階判定部56Dは、かご内利用者数検出部52で検出されたかご内利用者数が第2かご内人数閾値以上のときには、登録されたホール呼びに応答せず、当該かご内利用者数が第2かご内人数閾値よりも少なく、第1かご内人数閾値以上であるときに、現在の乗りかご3の運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床を停止候補階床として認識し、認識した停止候補階床のうち、ホール利用者数検出部54で検出されたホール利用者数が乗り込み人数閾値以下であり現在の乗りかご3の位置から最も近い階床を乗りかご3の次停止階として判定する。
【0035】
〈第4実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの動作〉
本実施形態によるエレベータ1Dの動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0036】
エレベータ制御装置5Dでは、通常運転実行中に(S21)次停止階判定部56Dにおいて、かご内利用者数検出部52で検出されたかご内利用者数が第2かご内人数閾値以上であるか否かが判定される(S22)。ここで、かご内利用者数が第2かご内人数閾値以上であるときには(S22の「YES」)、次停止階判定部56Dは、登録されたホール呼びへは非応答とする(S23)。
【0037】
ステップS22においてかご内利用者数が第2かご内人数閾値未満であるときには(S22の「NO」)、次停止階判定部56Dはさらに、かご内利用者数が第1かご内人数閾値以上であるか否かを判定する(S24)。ここで、かご内利用者数が第1かご内人数閾値未満であるときには(S24の「NO」)、第1~第3実施形態のいずれかのステップS3以降と同様の処理が実行される。
【0038】
ステップS24において、かご内利用者数が第1かご内人数閾値以上であると判定したときには(S24の「YES」)、次停止階判定部56Dはさらに、現在の乗りかご3の運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床があるか否かを判定する(S25)。
【0039】
ステップS25において該当する条件に合致する階床があると判定すると(S25の「YES」)、次停止階判定部56Dは、該当する階床を停止候補階床として認識する(S26)。次に、次停止階判定部56Dは、認識した停止候補階床のうち、ホール利用者数検出部54で検出されたホール利用者数が乗り込み人数閾値以下の階床があるか否かを判定する(S27)。
【0040】
ここで、ホール利用者数が乗り込み人数閾値以下の階床があると判定すると(S27の「YES」)、該当する階床のうち、現在の乗りかご3の位置から最も近い階床を乗りかご3の次停止階として判定する。そして、判定された次停止階に停止するように、動作制御部57によりエレベータ1D内の機器が制御され(S28)、ステップS21に戻る。
【0041】
ステップS27においてホール利用者数が乗り込み人数閾値以下の階床がないと判定されたときには(S27の「NO」)、登録されたホール呼びへは非応答とし(S23)、ステップS21に戻る。また、ステップS25において、現在の乗りかご3の運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床がないと判定されたとき(S25の「NO」)には、ステップS21に戻る。
【0042】
以上の第4実施形態によれば、乗りかごがある程度混雑しているときに、ホール利用者数が所定値以下の階床のホール呼びのみに応答するようにすることで、エレベータの運転効率を向上させることができる。
【0043】
《第5実施形態》
〈第5実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの構成〉
本発明の第5実施形態によるエレベータ1Eは、図7に示すように、エレベータ制御装置5Eが非乗り込み回数計数部58を有する他は、第1実施形態で説明したエレベータ1Aと同様の構成を有するため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施形態において非乗り込み回数計数部58は、各階床ごとに、直近の過去の所定時間内に、乗りかご3が戸開しても利用者が乗り込まなかった回数を計数する。乗りかご3が戸開したときに利用者が乗り込まなかったか否かは、ホールカメラ装置42の撮像情報、かご内カメラ装置32の撮像情報、乗りかご3の荷重検知情報、かごドアに設置された、乗りかご3に乗降する利用者を検知するセンサのセンシング情報等に基づいて判断される。
【0045】
次停止階判定部56Eは、かご内利用者数検出部52で検出されたかご内利用者数が第2かご内人数閾値よりも少なく、第1かご内人数閾値以上であるときに、停止候補階床として認識した階床のうち、ホール利用者数検出部54で検出されたホール利用者数が乗り込み人数閾値以下であり、非乗り込み回数計数部58で計数された値が所定値(例えば「3」)未満の階床であり、現在の乗りかご3の位置から最も近い階床を、乗りかご3の次停止階として判定する。
【0046】
〈第5実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの動作〉
本実施形態によるエレベータ1Eの動作について、図8のフローチャートを参照して説明する。本実施形態において、ステップS21~S27で実行する処理は、第4実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。ステップS27において次停止階判定部56Cが、停止候補階床のうち、ホール利用者数検出部54で検出されたホール利用者数が乗り込み人数閾値以下の階床があると判定すると(S27の「YES」)、該当する階床のうち、非乗り込み回数計数部58で計数された値が所定値未満の階床があるか否かを判定する(S29)。
【0047】
ここで、非乗り込み回数計数部58で計数された値が所定値未満の階床があると判定すると(S29の「YES」)、該当する階床のうち、現在の乗りかご3の位置から最も近い階床を、乗りかご3の次停止階として判定する。そして、判定された次停止階に停止するように、動作制御部57によりエレベータ1E内の機器が制御され(S28)、ステップS21に戻る。
【0048】
ステップS29において、非乗り込み回数計数部58で計数された値が所定値未満の階床がないと判定されたときには(S29の「NO」)、登録されたホール呼びへは非応答とする(S23)。
【0049】
以上の第5実施形態によれば、乗りかごがある程度混雑しているときに、ホール利用者数が所定値以下であり、過去の所定時間内に、戸開しても利用者が乗り込まなかった回数が所定値未満の階床のホール呼びのみに応答するようにすることで、さらにエレベータの運転効率を向上させることができる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1A,1B,1C,1D,1E…エレベータ、2…昇降路、3…乗りかご、4,4-1~4-n…エレベータホール、5A,5B,5C,5D,5E…エレベータ制御装置、31…かご内操作盤、32…かご内カメラ装置、41,41-1~41-n…ホール操作盤、42,42-1~42-n…ホールカメラ装置、51A~51D…閾値情報記憶部、52…かご内利用者数検出部、53…かご呼び情報取得部、54…ホール利用者数検出部、55…ホール呼び情報取得部、56A,56B,56C,56D,56D,56E…次停止階判定部、57…動作制御部、58…非乗り込み回数計数部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8