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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043519
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】フェイスシールド
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220309BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
A41D13/11 L
A41D13/11 H
A41D13/11 Z
A62B18/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148828
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】520341795
【氏名又は名称】中央紙業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(72)【発明者】
【氏名】下田 城聖
(72)【発明者】
【氏名】杉本 宗明
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185CC36
(57)【要約】
【課題】簡易な構成でありながらホールド性に優れたフェイスシールドを提供する。
【解決手段】可撓性のシート材で形成されたフェイスフレーム12に透明のフィルム11が取り付けられ、使用者の面前を覆うフェイス部1と、フェイスフレーム12に折り曲げ形成され、フェイス部1と使用者の前頭部との間に位置するルーフ部2と、フェイスフレーム12に折り曲げ形成され、使用者の側頭部および後頭部に巻き回されるベルト部3と、を備え、ルーフ部2が、フェイスフレーム12に連設する天板部21と、天板部21を折り下げて使用者の前頭部に付勢当接する付勢部22と、を備え、フェイスフレーム12と天板部21との境界の前折部21a、および、天板部21と付勢部22との境界の後折部21bが、天板部21に直交する方向視において共に使用者の側に向く凹状に形成されたフェイスシールドF。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するシート材で形成されたフェイスフレームに透明のフィルムが取り付けられ、使用者の面前を覆うフェイス部と、
前記フェイスフレームに対して折り曲げ形成され、前記フェイス部と使用者の前頭部との間に位置するルーフ部と、
前記フェイスフレームに対して折り曲げ形成され、使用者の側頭部および後頭部に巻き回されるベルト部と、を備え、
前記ルーフ部が、前記フェイスフレームに連設する天板部と、前記天板部を折り下げて使用者の前頭部に付勢当接する付勢部と、を備え、
前記フェイスフレームと前記天板部との境界を形成する前折部、および、前記天板部と前記付勢部との境界を形成する後折部が、前記天板部に直交する方向視において共に使用者の側に向く凹状に形成されているフェイスシールド。
【請求項2】
前記ベルト部の一部に、前記ベルト部の長手方向に沿う折線にそって折り曲げ、使用者の耳に面当接可能な耳当部が設けられている請求項1に記載のフェイスシールド。
【請求項3】
前記ベルト部が前記フェイス部から遠ざかる方向に延出するよう、前記ベルト部と前記フェイスフレームとの境界に折返し部が設けられ、折り返された前記ベルト部に係止する爪部が前記フェイスフレームに切欠き形成されている請求項1または2に記載のフェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の作業時や会話時に頭部に装着し、微細な飛沫の授受および拡散を防止するフェイスシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店における接客作業や調理作業、あるいは医療現場や研究機関・学校における各種作業や実験、さらには、イベント会場や日常の会話に際して、微細な飛沫の授受・拡散を防止するためにフェイスシールドが用いられる。
【0003】
このようなフェイスシールドとしては例えば特許文献1に示すものがある(〔0011〕,〔0020〕,図1等参照)。このフェイスシールドは、装着者の鼻先及び口を覆う透明の覆い部位と、この覆い部位の左右を装着者の頭部の後方を介して繋ぐ装着用繋ぎ部位と、装着時に覆い部位と鼻先及び口を離隔させる離隔用部位とを備えており、これら覆い部位・装着用繋ぎ部位・離隔用部位は、未装着時に全て同一平面内に展開可能となっている。そのために、これら覆い部位や装着用繋ぎ部位等は、例えば、一枚のポリプロピレン樹脂等で構成されている。
【0004】
このうち、装着用繋ぎ部位は、一対の帯状の部材であり、一方の帯状部材の端部を他方の帯状部材に形成した切り込みに差し込んで円弧状に繋げられる。同様に離隔用部位も、帯状部材を覆い部位の一部に形成した切り込みに差し込んで円弧状に形成される。これにより、装着用繋ぎ部位と離隔用部位は、装着者の頭部を取り巻くようにリング状に構成される。
【0005】
特許文献1の記載によれば、このような構成のフェイスシールドであれば、装着者の顔と覆い部位との間に所定の間隔を設けることができるため覆い部位の曇りを改善することができるとのことである。
【0006】
さらに、フェイスシールドが一枚の部材で構成されるから、材料シートから製品を一挙に切り出すことができ、出荷時の梱包体積が小さくなって製造コストも低減できるとのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3227067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ただし、上記従来のフェイスシールドでは装着感が十分とは言えない。例えば、上記フェイスシールドでは、装着用繋ぎ部位と離隔用部位とが一つのリング状となる。この部位は装着者の頭部形状に沿って変形し、リング状の部位は頭部の全周に沿ってフィットすることとなる。ただし、このリング状の部位の長さは、帯状部材を切り込みに差し込んで固定した状態では変化しない。よって、フェイスシールドを装着した状態では、リング状部位が頭部の周囲に単にフィットしているだけであって特段の締め付け力は生じていない。また、使用されるポリプロピレン樹脂等は、例えば0.1mm以上0.5mm以下の厚みを有するから覆い部位の重量が嵩むこととなる。
【0009】
このため当該フェイスシールドの装着時に装着者の頭部姿勢が頻繁に変化すると、フェイスシールドが容易に位置ずれすることとなる。その結果、覆い部位が装着者の鼻に接触して覆い部位が汚れたり、覆い部位が顔に近付くことで呼気による曇りが生じる等の不都合が生じていた。
【0010】
このように、従来のフェイスシールドは、使用に際して装着姿勢を頻繁に修正しなければならず、快適な装着感を得るには未だ改善の余地がある。そこで本発明は、簡易な構成でありながら頭部へのホールド性に優れたフェイスシールドの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(特徴構成)
本発明に係るフェイスシールドは、
可撓性を有するシート材で形成されたフェイスフレームに透明のフィルムが取り付けられ、使用者の面前を覆うフェイス部と、
前記フェイスフレームに対して折り曲げ形成され、前記フェイス部と使用者の前頭部との間に位置するルーフ部と、
前記フェイスフレームに対して折り曲げ形成され、使用者の側頭部および後頭部に巻き回されるベルト部と、を備え、
前記ルーフ部が、前記フェイスフレームに連設する天板部と、前記天板部を折り下げて使用者の前頭部に付勢当接する付勢部と、を備え、
前記フェイスフレームと前記天板部との境界を形成する前折部、および、前記天板部と前記付勢部との境界を形成する後折部が、前記天板部に直交する方向視において共に使用者の側に向く凹状に形成されている点に特徴を有する。
【0012】
(効果)
本発明のフェイスシールドは、天板部に対して凹状の後折部を介して連接される付勢部を有する。つまり、フェイスシールドの装着時において、頭部の側部および後部はベルト部で保持され、前頭部には付勢部が当接する。
【0013】
後折部は使用者の側に向く凹状であり、例えば曲線状に形成することで、付勢部を天板部に対して下方に折り曲げる際に、付勢部の折り曲げ角度が大きいほど天板部の撓み量が大きくなる。使用するシート材は可撓性を有するから、天板部の撓みが大きいほど付勢部の折り曲げ角度を戻そうとする力が大きくなる。
【0014】
つまり、本構成のフェイスシールドは、付勢部が前頭部を弾性的に付勢するから、頭部に対するホールド性が極めて良好なものとなる。
【0015】
また、前折部についても、使用者側に向く凹状とすることで、例えばここを直線状に折る場合に比べて、前折部と後折部との間隔が広くなる。これは付勢部の付勢力を調節するのに役立つ。
【0016】
本構成の付勢部は、天板部に対する折り曲げ角度を大きくするほど天板部の撓みが大きくなり付勢力が増大する。ただし、この付勢力が強過ぎると使用者が不快に感じる。よって、付勢力が過度に増大しないように、天板部の前折部を前方に凸となるように構成することで、前折部を直線状に構成する場合に比べて天板部の面積を増大させている。これにより、天板部の単位面積当たりの撓み量が軽減され、付勢部の折り曲げ角度の変化に対して天板部の撓み状態の変化が緩和されて付勢力の増減が穏やかなものとなる。
【0017】
(特徴構成)
本発明に係るフェイスシールドにあっては、前記ベルト部の一部に、前記ベルト部の長手方向に沿う折線に沿って折り曲げ、使用者の耳に面当接可能な耳当部を設けておくことができる。
【0018】
(効果)
仮に、眼鏡を掛けるときのようにベルト部のエッジを耳の付け根に置く構成の場合、フェイスシールドの重さが局所的に作用して痛みが発生し易くなる。
【0019】
しかし、本構成のごとく使用者の耳に面当たりする耳当部を設けることで、耳当部と耳との当接面積が増大する。これにより、耳に作用する応力が低減する。しかも、耳自体が柔軟に変形するから、フェイスシールドが揺れるような場合でも耳が柔軟に変形し、押し付け力の瞬間的な増大を緩和する。よって、長時間の装着に際しても快適性が保持される。
【0020】
また、耳当部を折り曲げることでこの部位の剛性が増し、直線形状が保持される。この場合、ベルト部を側頭部および後頭部に巻き付ける場合、耳当部が設けられた部位は強い剛性のために僅かに曲がり変形し、その他の部位は、側頭部および後頭部に沿って比較的容易に変形することとなる。直線状の耳当部の端部は側頭部から離間し、一方、耳当部に隣接するベルト部は後頭部に向けて大きく曲がり変形する。このように一部に隙間を設けてベルト部が装着されることで、ベルト部の全体で弾性力が発揮され頭部へのホールド感が向上する。
【0021】
(特徴構成)
本発明に係るフェイスシールドにあっては、前記ベルト部が前記フェイス部から遠ざかる方向に延出するよう、前記ベルト部と前記フェイスフレームとの境界に折返し部が設けられ、折り返された前記ベルト部に係止する爪部が前記フェイスフレームに切欠き形成されていると好都合である。
【0022】
(効果)
ベルト部がフェイスフレームから折り返されることでこの部位の剛性が高まる。この部位は、フェイス部がベルト部によって支持される際の基部となるから、フェイスシールドを装着している際のフェイス部の揺れが少なくなり装着感が向上する。
【0023】
また、ベルト部を折り返す構造であれば、折り返した後のベルト部の延出方向と、フェイス部との角度設定が容易である。よって、フェイスシールドの原紙においてベルト部の配置状態には比較的自由度を持たせながら、ベルト部の折り方を変えるだけで、装着時のフェイス面の角度を適切に設定することができる。
【0024】
さらに、ベルト部は爪部によって固定されるから、フェイスフレームとベルト部とが密着した一体状態となり、より高品質な外観を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】フェイスシールドの型紙を示す平面図
図2】フェイスシールドの前方外観を示す斜視図
図3】フェイスシールドの後方外観を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔概要〕
本発明に係るフェイスシールドFは、可撓性を有するシート材である、例えば紙で形成され、折り曲げによって簡単に組み立てられることができる。このフェイスシールドFは、使用者の面前を覆う透明なフィルム11が取り付けられたフェイス部1と、このフェイス部1と連続して使用者の側頭部および後頭部に巻き回されるベルト部3とを備えている。フェイス部1の上部には、フェイス部1と使用者の前頭部との間に位置して、使用者の顔とフェイス部1との距離を確保するルーフ部2が備えられている。以下、フェイスシールドFに係る各実施形態につき図面に基づいて説明する。
【0027】
図1には、フェイスシールドFの折り曲げ前の型紙を示す。図2および図3には、フェイスシールドFの斜視図を示す。
【0028】
〔フェイス部〕
図1および図2に示すように、フェイス部1は環状のフェイスフレーム12と、このフェイスフレーム12に一体に取り付けられたフィルム11とを備えている。フェイスフレーム12は使用者の顔の全体が視認できる程度の大きさであり、型紙の状態において台形状の開口部を備えている。フィルム11は各種の透明素材で構成されており、予めフェイスフレーム12にラミネート工法などによって一体的に積層されている。
【0029】
尚、紙の型紙にフィルム11がラミネートされる都合上、フェイスフレーム12に連続するルーフ部2とベルト部3にもフィルム11が一体に積層される。これにより、後述するように使用者の頭に装着した際に、汗などが素材の紙に浸透するのを防止している。
【0030】
フィルム11は、透明素材であれば任意の素材を適用可能である。本実施形態ではフェイスフレーム12が存在するため、フィルム11は極めて薄いものの使用が可能である。ただし、視界を良好に確保するために表裏面の平滑性が高いものが好ましい。また、呼気によって容易に曇ることがなく、適度な厚みを有しシワが生じ難いものがよい。
【0031】
フェイスフレーム12のうち例えば下方部の中央には折線部13を設けておいても良い。この折線部13に沿ってフェイスフレーム12を僅かに山折りすることで、フェイスフレーム12を一定の形状に近付けることができる。その結果、フィルム11の曲がり状態が整えられ、視界に影響する光の乱反射の発生を抑えることができる。尚、フェイスフレーム12は、環状に連続した形状のものの他、下縁部を省略したものであっても良い。
【0032】
〔ルーフ部〕
ルーフ部2は、図2に示すように、フェイス部1と使用者の頭との間に位置する部位である。ルーフ部2は二つの部位から構成される。即ち、フェイス部1に対して前折部21aを介して一体形成される天板部21と、この天板部21に後折部21bを介して一体形成される付勢部22とを備えている。
【0033】
前折部21aは、図1に示すように使用者の側に向く凹状に形成され、例えば曲線状とされる。前折部21aは、曲げ作業を容易にするために予め型押しされた折り目が設けられている。
【0034】
一方、後折部21bも例えば曲線状に構成されている。ただし、後折部21bにはミシン目加工が施されており、より折り曲げ易く構成されている。これら前折部21aおよび後折部21bは曲線状に形成する他、短い直線部を連続させて凹状に構成してもよい。尚、後折部21bの両端部は、図1および図3に示すように、天板部21と付勢部22との間が完全に分離した切込み21cとなっている。
【0035】
付勢部22が使用者の前頭部に適度な力を作用させることができるように、天板部21は撓み変形自在に構成されている。前折部21aおよび後折部21bの曲線は、天板部21に直交する方向視において共に使用者の側に中心点をもつようにカーブしている。
【0036】
紙で形成される付勢部22は、材料が持つ撓み力に基づいて前頭部を押す付勢力を発揮する。その場合に、後折部21bを曲線状に形成することで、使用者の頭の形状にフィットし、前頭部と天板部21との隙間を少なくすることができる。また、後折部21bを曲線状にすることで、天板部21に対して付勢部22を下方に折り曲げる際に天板部21に撓みが発生する。この撓みが戻ろうとする力に基づいて付勢部22が使用者の前頭部に押し当てられ、フェイスシールドFの保持力が発揮される。
【0037】
また、前折部21aについては、図1に示すように、使用者側に向く凹状にすることで、例えばここを直線状に折る場合に比べて、前折部21aと後折部21bとの間隔Dが広くなる。これは付勢部22の付勢力を調節するのに役立つ。
【0038】
例えば、フェイスシールドFを使用者の頭部にフィットさせる場合、天板部21に対する付勢部22の曲げ方向が変化することで使用者の前頭部を押す力が変化する。つまり、天板部21に対する付勢部22の角度を強くすると天板部21の撓みが大きくなり付勢力が増大する。ただし、この付勢力が強過ぎると使用者が不快に感じる。
【0039】
よって、図1に示すように、前折部21aを前方に凸となるように例えば曲線状にすることで、前折部21aを直線状に構成する場合に比べて天板部21の面積が増大し、天板部21の単位面積当たりの撓み量が減少する。これにより、付勢力が過度に増大することがなく、付勢部22がどのような角度に設定されても、適切な付勢力を発揮することができる。
【0040】
後折部21bはミシン目加工がされており、天板部21に対する付勢部22の姿勢変化が容易となるよう構成されている。後折部21bの両側には切込み21c設けてある。これにより、天板部21と付勢部22との間で実際に接続される後折部21bの長さが適切に形成され、付勢部22を天板部21に対して折り曲げる際の天板部21の撓み量が調整される。この結果、付勢部22が過度な力で使用者の前頭部に押し付けられることが防止され、前頭部に対する付勢部22のフィット感が向上する。
【0041】
尚、付勢部22の縁部には、前頭部に直接触れる凸辺22aが形成されている。この凸辺22aを設けることで、付勢部22の前後方向の長さを増し、付勢部22が何れかの角度に設定されたときに凸辺22aが前頭部に確実に触れることができるようにしてある。よって、後述するベルト部3の長さ調整が最適でなくとも、付勢部22が前頭部に確実に当接するから、使用者はより良好な装着感を得ることができる。
【0042】
天板部21の左右にはスリット21dが形成されており、フェイス部1の上縁12aに凸設された差込片14を差し込むことができる。差込片14の先端部には幅広の係止部14aが形成されており、スリット21dに差し込まれた差込片14の抜け出しが防止される。これにより、フェイスフレーム12の上縁12aが天板部21の側縁21eに位置合わせされ固定される。これにより、フェイスフレーム12と天板部21との一体感が増す。
【0043】
〔ベルト部〕
図1に示すように、ベルト部3は、型紙の状態ではフェイスフレーム12の側部から下方に延出している。このように配置することで、ベルト部3を当初から横方向に延出配置するものに比べて型紙がコンパクトになる。ベルト部3の基部には、ベルト部3がフェイス部1から遠ざかる方向に延出するよう、ベルト部3とフェイスフレーム12との境界に折返し部3aが設けられている。
【0044】
ベルト部3は、フェイスフレーム12に対して内側に折り返す。図2に示すように、折り返したベルト部3は、フェイスフレーム12に切欠き形成された爪部16に係止させる。ベルト部3が爪部16によって固定されることで、フェイスフレーム12とベルト部3とが密着した一体状態となり、より高品質な外観を得ることができる。ベルト部3の表面にもフィルム11が積層されているから、このように内側に折り込むことでフィルム11の面が側頭部に向くことになり汗などの浸透が防止される。
【0045】
図1に示すように、折返し部3aがフェイスフレーム12の水平方向に対してなす角度θは43度に設定してある。これにより、フェイスシールドFを頭部に装着した時、顔とフェイス部1との距離が適切に維持される。
【0046】
ベルト部3を折り返す構造であれば、折り返した後のベルト部3の延出方向と、フェイス部1との角度設定が容易である。よって、フェイスシールドFの型紙においてベルト部3の配置状態には比較的自由度を持たせながら、ベルト部3の折り方を変えるだけで、装着時のフェイス部1の角度を適切に設定することができる。
【0047】
また、ベルト部3がフェイスフレーム12から折り返されることでこの部位の剛性が高まる。この部位は、フェイス部1がベルト部3によって支持される際の基部となるから、フェイスシールドFを装着している際のフェイス部1の揺れが少なくなり装着感が向上する。
【0048】
ベルト部3の一部には、ベルト部3の長手方向に沿う折線3bにそって折り曲げ、使用者の耳に面当接可能な耳当部31が設けられている。
【0049】
仮に、眼鏡を掛けるときのようにベルト部3のエッジを耳の付け根に置く構成の場合、フェイスシールドFの重さが耳の付け根の局所に作用して痛みが発生し易くなる。しかし、本構成のように使用者の耳の上部に面当たりする耳当部31を設けることで、耳当部31と耳との当接面積が増大する。これにより、耳に作用する応力が低減する。しかも、耳自体が柔軟に変形するから、フェイスシールドFが揺れるような場合でも耳が押し付け力の瞬間的な増大を緩和する。よって、長時間の装着に際しても快適性が保持される。
【0050】
また、耳当部31を折り曲げることで、この部位の剛性が増し、ベルト部3の直線形状が保持される。この場合、ベルト部3を側頭部および後頭部に巻き付ける場合、耳当部31が設けられた部位は高剛性となって曲がり程度が減少する。一方、その他の部位は、側頭部および後頭部に沿って比較的容易に変形する。直線状の耳当部31の端部は側頭部との間に隙間を作り、耳当部31に隣接するベルト部3が耳当部31の端部から後頭部に向けて大きく曲がり変形する。このように一部に隙間を設けてベルト部3が装着されることで、ベルト部3の全体で弾性力を発揮することとなり、頭へのホールド感が向上する。
【0051】
双方のベルト部3の端部には、互いに係合可能であり、ベルト部3の長さを調節する複数の調整スリット32が設けてある。調整スリット32の位置は、それ程厳密に選択する必要はない。上述の如く、付勢部22の可動範囲が広いことと、ベルト部3に耳当部31を設けたことによる弾性力向上とによって、調整スリット32の位置が最適でない場合でも確かなホールド感を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るフェイスシールドは、医療現場や各種イベントあるいは飲食店等において簡易に用いられるものとして広く適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 フェイス部
11 フィルム
12 フェイスフレーム
16 爪部
2 ルーフ部
21 天板部
21a 前折部
21b 後折部
22 付勢部
3 ベルト部
3a 折返し部
31 耳当部
F フェイスシールド
図1
図2
図3