IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川原 敦雄の特許一覧

<>
  • 特開-熱変色性インク修正具 図1
  • 特開-熱変色性インク修正具 図2
  • 特開-熱変色性インク修正具 図3
  • 特開-熱変色性インク修正具 図4
  • 特開-熱変色性インク修正具 図5
  • 特開-熱変色性インク修正具 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043582
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】熱変色性インク修正具
(51)【国際特許分類】
   B43K 29/02 20060101AFI20220309BHJP
   B43L 19/00 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
B43K29/02 F
B43L19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148923
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】520341980
【氏名又は名称】川原 敦雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】川原 敦雄
(57)【要約】
【課題】熱変色性インクをなぞるだけで消せ、かつ消した部分をなぞるだけで文字が復活する。
【解決手段】媒体に描かれた熱変色性インクを変色させる熱変色性インク修正具において、媒体に描かれた熱変色性インクに接触可能な熱伝導体と、熱伝導体に直接または間接に接触する熱電素子と、熱電素子に電流を供給する電源部と、熱電素子の温度を変化させる制御手段とを備えた熱変色性インク修正具である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に描かれた熱変色性インクを変色させる熱変色性インク修正具において、
前記媒体に描かれた熱変色性インクに接触可能な熱伝導体と、
前記熱伝導体に直接または間接に接触する熱電素子と、
前記熱電素子に電流を供給する電源部と、
前記熱電素子の温度を変化させる制御手段と、を備えたことを特徴とする熱変色性インク修正具。
【請求項2】
前記制御手段は熱変色性インクを消色する昇温手段と、熱変色性インクを復元する冷却手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の熱変色性インク修正具。
【請求項3】
前記熱電素子はペルチェ素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱変色性インク修正具。
【請求項4】
2つのペルチェ素子を備え一方のペルチェ素子は昇温用であり、他方のペルチェ素子は冷却用であることを特徴とする請求項3に記載の熱変色性インク修正具。
【請求項5】
1つのペルチェ素子で、電流の極性を変えることにより昇温または冷却を行うことを特徴とする請求項3に記載の熱変色性インク修正具。
【請求項6】
前記熱変色性インク修正具はペン型に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の熱変色性インク修正具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱変色性インク修正具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、消せるボールペン「フリクション」が広く用いられている。この消せるボールペンは熱変色性のインクで紙に文字等を描くものである。例えば、特許文献1の熱変色性筆記具は、熱変色性のインクで紙に描いた文字、線等の筆跡を摩擦体(以下、ラバーという)で摩擦し、その際に生じる摩擦熱により、筆跡を熱変色させる(消色)ものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-104516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ラバーで文字、線を消すには、紙を摩擦することであるので、以下の(1)から(7)に記載した問題がある。
【0005】
(1)紙にラバーのカスが付着し、同じ箇所を何度も消していると、インクが乗らなくなり、書けなくなる。
(2)小さい文字の1文字だけを消したい場合、摩擦熱が発生しにくく、文字が消しにくい。
(3)こすることで紙が痛み、文字が書きにくくなる。
(4)用紙の端に書いた文字を消す場合、紙がクシャっとならないように手で押さえる必要がある。
(5)印刷物の上に書いた文字を擦ると、その箇所のトナーもしくはインクがはがれ汚れて、文字が書きづらくなる。
(6)さらに、ラバーで紙を擦って消すには、ある程度の力が必要となり、力が小さい場合(例えば、老人、女性、子供等が使用する場合)は容易に消すことができない。
(7)一方、文字、線は消した後で、それが必要になる場合がある。しかし、従来は一度消した後はそれを復元できない。
【0006】
本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、なぞるだけで消せ、かつ消した部分をなぞるだけで文字が復活できる熱変色性インク修正具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく本発明の第1の態様は、媒体に描かれた熱変色性インクを変色させる熱変色性インク修正具において、前記媒体に描かれた熱変色性インクに接触可能な熱伝導体と、前記熱伝導体に直接または間接に接触する熱電素子と、前記熱電素子に電流を供給する電源部と、前記熱電素子の温度を変化させる制御手段とを備えた熱変色性インク修正具である。
【0008】
第2の態様は、前記制御手段は熱変色性インクを消色する昇温手段と、熱変色性インクを復元する冷却手段とを備えた熱変色性インク修正具である。
【0009】
第3の態様は、前記熱電素子はペルチェ素子である熱変色性インク修正具である。
【0010】
第4の態様は、2つのペルチェ素子を備え一方のペルチェ素子は昇温用であり、他方のペルチェ素子は冷却用である熱変色性インク修正具である。
【0011】
第5の態様は、1つのペルチェ素子で、電流の極性を変えることにより昇温または冷却を行う熱変色性インク修正具である。
【0012】
第6の態様は、前記熱変色性インク修正具はペン型に形成されている載の熱変色性インク修正具である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の各態様によれば、文字、線等を、なぞるだけで消せ、かつ消した部分をなぞるだけで文字が復活できる熱変色性インク修正具を得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面は、本開示に係る本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
図1】本発明の一実施形態に係る(a)及び(b)は熱変色性インク修正具の全体斜視図及び断面斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る(a)、(b)及び(c)は冷却、中立及び昇温の場合の状態を説明する説明図である。
図3】本発明の一実施形態に係る(a)及び(b)は冷却及び昇温の場合の熱と空気の流れを説明する説明図である。
図4】本発明の一実施形態に係る(a)及び(b)は描いた線の復活および消去を説明する説明図である。
図5】本発明の二実施形態に係る(a)及び(b)は熱変色性インク修正具の全体斜視図及び断面斜視図である。
図6】本発明の二実施形態に係る(a)及び(b)は冷却及び昇温の場合の熱と空気の流れを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態及び二実施形態に係る熱変色性インク修正具について詳細に説明する。
【0016】
図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。また、本例では、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。なお、既に公知の技術である部分は説明を省略している。
【0017】
芯棒が発熱用(色消し用)と冷却用(復元用)との2本を有する熱変色性インク修正具の一例を実施の形態1として説明する。また、発熱用(色消し専用)と冷却用(復元用)とを1本の芯棒で行う熱変色性インク修正具の一例を実施の形態2として説明する。冷却、発熱用の素子として本実施の形態ではペルチェ素子を用いている。また、本実施の形態は、金属性の棒状の熱伝導体を昇温又は冷却するものであり、この熱伝導体を芯棒と称する。特に、昇温を専用に行う芯棒を昇温用芯棒と称し、冷却を専用に行う芯棒を冷却用芯棒と称する。本例では昇温用芯棒及び冷却用芯棒は、間接にペルチェ素子と接触している。
【0018】
<実施の形態1>
図1は実施の形態1の熱変色性インク修正具1の概略構成図である。図1(a)には実施の形態1の熱変色性インク修正具1の全体斜視図を示し、図1(b)には図1(a)の熱変色性インク修正具1の断面斜視図を示す。
【0019】
図1(a)に示すように、熱変色性インク修正具1の外形は長手方向に長く伸びた直方体であり、本体部2と、先端部4と、上蓋部3等よりなる。直方体の各辺はアール形状が形成されている。上蓋部3はネジ8により本体部2に螺合している。また、本体部2の先端部4には、キャップ103が着脱可能に取り付けられている。キャップ103は、耐熱性の透明又は半透明のプラスチック製であって、着脱可能にキャップ103が取り付けられることで、熱変色性インク修正具1の携帯時において、先端部4を保護して破損等を防止することができる。
【0020】
本体部2の周囲には、ファン17による空気を排出又は吸収させるための複数の本体開口部5が設けられている。
【0021】
また、先端側である先端部4はすり鉢状であり、この周囲には、後述するファン17による空気を排出又は吸収させるための複数の先端開口部6が設けられている。
【0022】
先端部4は、冷却用芯棒34及び昇温用芯棒35を出し入れするために下端が円状に開口されている。
【0023】
さらに、本体部2には、後述する冷却、昇温又は中立の切換を決める切換カム22のカムシャフト23が挿通するためのカム用開口部7が設けられている。
【0024】
図1(b)に示すように、熱変色性インク修正具1の内部は、バッテリー9と、制御手段15と、ファン17と、モータ16と、昇温用ヒートシンク18と、冷却用ヒートシンク19等を備えている。バッテリー9のプラス電極11は制御手段15に接続されると共にマイナス電極10はバネ12と導版13とケーブル14を介し制御手段15に接続される。
【0025】
図1(b)を垂直方向から視て左側には冷却用ペルチェ素子28と連結された冷却用ペルチェ素子連結ブラケット20が冷却用ヒートシンク19と接続されている。これにより、冷却を効率的に行うことができる。また、右側には昇温用ペルチェ素子29と連結された昇温用ペルチェ素子連結ブラケット21が昇温用ヒートシンク18と接続されている。これにより、昇温を効率的に行うことができる。
【0026】
冷却用芯棒34は、冷却用芯棒保持部材30により傾斜した状態で保持され、この冷却用芯棒保持部材30と、冷却用ペルチェ素子連結ブラケット20とで冷却用ペルチェ素子28を挟持している。これにより、冷却用芯棒34は冷却される。また、冷却用芯棒34には、冷却用芯棒保持部材30を付勢する第1バネ32が設けられている。
【0027】
昇温用芯棒35は、昇温用芯棒保持部材31により傾斜した状態で保持され、この昇温用芯棒保持部材31と、昇温用ペルチェ素子連結ブラケット21とで昇温用ペルチェ素子29を挟持している。これにより、昇温用芯棒35は昇温される。また、昇温用芯棒35には、昇温用芯棒保持部材31を付勢する第2バネ33が設けられている。
【0028】
図1(b)を垂直方向から視て冷却用ヒートシンク19の左下側には冷却用マイクロスイッチ36(図2(a)参照)が備えられている。右下側には昇温用マイクロスイッチ37(図2(a)参照)が備えられている。また、切換カム22は冷却用ヒートシンク19の中央下側に配置されている。
【0029】
冷却用ペルチェ素子28は、例えばマイナス20度まで冷却可能であり、昇温用ペルチェ素子29は、例えばプラス60度まで昇温する。
【0030】
昇温用芯棒35の昇温用芯棒保持部材31には昇温用温度センサ27が取り付けられている。昇温用温度センサ27は昇温用ペルチェ素子29がプラス60度より昇温することを防止するために設けられている。
【0031】
ペルチェ素子(冷却用ペルチェ素子28及び昇温用ペルチェ素子29)は、通常よく知られたもので、簡単に説明すると熱電素子の一種であり、直流電圧の制御により冷却・加熱・温度制御を自由に行える半導体素子である。
【0032】
図2(a)は切換カム22のレバー24を冷却(図2を垂直に視て上側)に合わせたときのヒートシンクと芯棒の動作の説明図であり、図2(b)は切換カム22のレバー24を中立に合わせたときのヒートシンクと芯棒の動作の説明図であり、図2(c)は切換カム22のレバー24を昇温(図2を垂直に視て下側)に合わせたときのヒートシンクと芯棒の動作の説明図である。なお、図2(a)には電気配線も示している。
【0033】
図2(a)に示すように、切換カム22のレバー24を上側に操作すると、カム25が下に下がるので、冷却用ペルチェ素子連結ブラケット20が下方に下がる。この下方の下がりに伴って、冷却用ヒートシンク19が下がり、冷却用芯棒34を斜め下側に下げると共に、冷却用マイクロスイッチ36をオンさせる。この状態が図2(a)の冷却状態である。
【0034】
ここで、配線について説明する。冷却用マイクロスイッチ36と制御手段15はケーブル39により接続されている。昇温用マイクロスイッチ37と制御手段15はケーブル38により接続されている。制御手段15とモータ16はケーブル36aで接続されている。制御手段15と冷却用ペルチェ素子28はケーブル41で接続されている。制御手段15と昇温用ペルチェ素子29はケーブル37aで接続されている。
【0035】
図2(b)に示すように、切換カム22のレバー24を右側に操作すると、カム25及びカム26は作動しないので、このとき、冷却用ペルチェ素子連結ブラケット20が上がる。この上がりに伴って、冷却用ペルチェ素子連結ブラケット20に接続されている冷却用ヒートシンク19が上がり、冷却用芯棒34を上げると共に、冷却用マイクロスイッチ36をオフさせる。この状態が図2(b)の中状態である。
【0036】
図2(c)に示すように、切換カム22のレバー24を下側に操作すると、カム26の作動により、昇温用ペルチェ素子連結ブラケット21が下に下降する。この下降に伴って、昇温用ヒートシンク18が下降し、昇温用芯棒35を斜め下側に下降させると共に、ピン40が昇温用マイクロスイッチ37をオンさせる。この状態が図2(c)の昇温状態である。
【0037】
次に、図3の昇温、冷却したときの熱変色性インク修正具1内部の空気の流れについて説明する。制御手段15はマイクロコンピュータ及びIC回路等よりなる。また、冷却用マイクロスイッチ36と、昇温用マイクロスイッチ37と、バッテリー9と、冷却用ペルチェ素子28と、昇温用ペルチェ素子29と、切換カム22とを参照して説明する。
【0038】
なお、各マイクロスイッチ(冷却用マイクロスイッチ36及び昇温用マイクロスイッチ37)は、押下されることでオン信号を出力し、バッテリー9は、その押下量に対応する電圧を出力するのが好ましい。
【0039】
冷却用マイクロスイッチ36は、圧電素子を備えてなるものである、例えば押下量に応じて、-1V、-2V、・・・を出力し、昇温用マイクロスイッチ37は、例えば押下量に応じて、+1V、+2V、・・・と出力する。すなわち、切換カム22のレバー24の回動が冷却側又は昇温側に操作されるに伴って、その操作量に応じた電圧を出力する。
【0040】
制御手段15は電源スイッチ15aが接続されている。また、図示しない電源オン、冷却オン、昇温オン、中のLEDが接続されている(カバーに設けるのが好ましい)。
【0041】
制御手段15は、冷却用マイクロスイッチ36からの冷却用マイクロスイッチ出力信号及び昇温用マイクロスイッチ37からの昇温用マイクロスイッチ出力信号を取得し、冷却用マイクロスイッチ出力信号又は昇温用マイクロスイッチ出力信号がオン(例えば、1V以上)を示しているかどうかを判定する。
【0042】
冷却用マイクロスイッチ出力信号がオンを示している場合は、冷却電流出力部及びファン駆動電流出力部に対して冷却指示を出力し、昇温用マイクロスイッチ出力信号がオン(例えば、1V以上)を示している場合は、昇温電流出力部及びファン駆動電流出力部に対して昇温指示を出力する。
【0043】
また、制御手段15は、電源オンで、かつ冷却用マイクロスイッチ出力信号及び昇温用マイクロスイッチ出力信号がオフ(例えば1V未満)を示している場合は、「中」と判定し、中指令を冷却駆動電力出力部と昇温駆動電力出力部とファン駆動電力出力部に対して中状態指示(停止指示ともいう)を出力する。
【0044】
冷却駆動電流出力部は、制御手段15から冷却指示が入力した場合は、冷却用マイクロスイッチ36からの冷却用マイクロスイッチ電圧信号と、冷却用電圧算出部からの冷却温度相当電圧とを読み込み、次第に冷却側操作量電圧(例えば、-1V(-10度に相当)、-2V(-20度に相当)・・)になるマイナス電圧(以下、冷却用逆電圧という)を求め、この冷却用逆電圧の電流をバッテリー9から冷却用ペルチェ素子28に出力させる。
【0045】
冷却用ペルチェ素子28は、冷却用芯棒保持部材30を介して冷却用芯棒34に接続されているので、冷却用芯棒34もマイナス温度(例えば、最低マイナス20度)になる。従って、紙上の文字跡をなぞるだけで、その文字が復帰する。
【0046】
停止指示が入力した場合は、バッテリー9から冷却用ペルチェ素子28への電流の出力を停止する。
【0047】
昇温駆動電流出力部は、制御手段15から昇温指示が入力した場合は、昇温用マイクロスイッチ37からの昇温用マイクロスイッチ電圧信号(昇温側操作量電圧ともいう)と、昇温用電圧算出部からの昇温温度相当電圧とを読み込み、次第に昇温側操作量電圧(例えば、+1V(+10度に相当)、+2V(+20度に相当)・・)になるプラス電圧(以下、昇温用正電圧という)を求め、この昇温用正電圧の電流をバッテリー9から昇温用ペルチェ素子29に出力させる。また、停止指示が入力した場合は、バッテリー9から昇温用ペルチェ素子29への電流の出力を停止する。
【0048】
昇温用ペルチェ素子29は、昇温用芯棒保持部材31を介して昇温用芯棒35に接続されているので、昇温用芯棒35もプラス温度(例えば、最高60度)になる。従って、紙上の文字をなぞるだけで、その文字が消える。
【0049】
すなわち、切換カム22のレバー24を操作することで、昇温用ペルチェ素子29を昇温させたり、冷却用ペルチェ素子28をマイナス温度にしたり、或いは昇温用ペルチェ素子29及び冷却用ペルチェ素子28への電流を停止して「中」に保っている。これによって、各芯棒(冷却用芯棒34及び昇温用芯棒35)は、冷却又は昇温或いは常温にされることになる。
【0050】
ファン駆動電流出力部は、制御手段15からの冷却指示の入力に伴って、冷却用マイクロスイッチ36からの冷却側操作量電圧に相当する逆電圧の電流をバッテリー9からファン17に出力する。また、制御手段15からの昇温指示の入力に伴って、昇温用マイクロスイッチ37からの昇温側操作量電圧に相当する正電圧の電流をバッテリー9からファン17に出力する。さらに、停止指示が入力した場合は、バッテリー9からの電力供給を停止させる。
【0051】
図2及び図3を参照する。切換カム22のレバー24を上側に操作すると、図2(a)に示す冷却状態となる。
【0052】
この冷却状態での動作を説明する。すなわち、冷却用ヒートシンク19と冷却用ヒートシンク19に接続されている冷却用ペルチェ素子連結ブラケット20が下降し、冷却用芯棒34を下降する。また、冷却用マイクロスイッチ36がオン状態になる。
【0053】
冷却用マイクロスイッチ36は、制御手段15及びファン駆動電力出力部に対して冷却指示を出力すると共に、冷却用マイクロスイッチ36からの冷却側操作量電圧を出力する。
【0054】
ファン駆動電力出力部は、この冷却指示の入力に伴って、冷却用マイクロスイッチ36からの冷却側操作量電圧に相当する逆電圧の電力をバッテリー9からファン17に出力する。このときの空気の流れを矢印42~矢印45として図3(a)に示している。
【0055】
従って、冷却用芯棒34は冷却温度を維持できるので、消された文字の付近をなぞるだけでその文字を再現できることになる。
【0056】
一方、切換カム22のレバー24を下側に操作すると、図2(c)に示す昇温状態となる。つまり、昇温用ヒートシンク18及び昇温用ヒートシンク18の右側に接続されている昇温用ペルチェ素子連結ブラケット21が下降し、昇温用芯棒35を下降させると共に、昇温用マイクロスイッチ37がオン状態になる。
【0057】
この昇温状態での動作を説明する。昇温用マイクロスイッチ37は、制御手段15のファン駆動電力出力部に対して昇温指示を出力すると共に、昇温用マイクロスイッチ37からの昇温側操作量電圧を出力する。
【0058】
ファン駆動電力出力部は、この昇温指示の入力に伴って、昇温用マイクロスイッチ37からの昇温側操作量電圧に相当する昇温用正電圧の電力をバッテリー9からファン17に出力する。このときの空気の流れを矢印46~矢印49として図3(b)に示している。従って、昇温用芯棒35は昇温温度を維持できるので、文字の付近をなぞるだけでその文字を消すことができる。
【0059】
図4を用いて実際の使用方法と使用結果を説明する。図4(a)に示すように、熱変色性インク修正具1を手50で持ち紙51に描かれた有色の熱変色性インク52に昇温用芯棒35を接触させ、なぞると無色になる。また、図4(b)に示すとおり、熱変色性インク修正具1を手50で持ち紙51に描かれた無色の熱変色性インク52に冷却用芯棒34を接触させ、なぞると有色になる。
【0060】
<実施の形態2>
図5は熱変色性インク修正具の概略構成図である。図5(a)には実施の形態2の熱変色性インク修正具の外観図を示し、図5(b)には図5(a)の熱変色性インク修正具の内部構成図を示す。図6(a)及び(b)は熱変色性インク修正具の昇温、冷却の空気の流れの説明図である。
【0061】
図5(a)及び(b)に示すように、ヒートシンク73は一個である。また、芯棒78は1個である。また、ペルチェ素子75も1個である。ペルチェ素子75は電流の極性を変えることにより冷却用と昇温用を兼ねている。また、制御手段70は電源スイッチ67及び電源オン、冷却オン、昇温オンのLEDが接続されている(カバーに設けるのが好ましい)。熱変色性インク修正具60の外形は長手方向に長く伸びた円筒体であり、本体部61と、先端部63と、上蓋部62等よりなる。上蓋部62はネジ68により本体部61に螺合している。直方体の各辺はアール形状が形成されている。本体部61の周囲には、ファン72による空気を排出又は吸収させるための複数の本体開口部64が設けられている。また、先端側である先端部63はすり鉢状であり、この周囲には、ファン72による空気を排出又は吸収させるための複数の先端開口部65が設けられている。
【0062】
先端部63は、芯棒78を出し入れするために下端が円状に開口されている。さらに、本体部61には、電源スイッチ67が挿通するための開口部66が設けられている。熱変色性インク修正具60の内部は、バッテリー69と、制御手段70と、ファン72と、モータ71と、ヒートシンク73等を備えている。また、本体部61の先端部63には、キャップ104が着脱可能に取り付けられている。キャップ104は、耐熱性の透明又は半透明のプラスチック製であって、着脱可能にキャップ104が取り付けられることで、熱変色性インク修正具60の携帯時において、先端部63を保護して破損等を防止することができる。
【0063】
図5(b)を垂直方向から視て左側にはペルチェ素子75と連結されたペルチェ素子連結ブラケット74がヒートシンク73と接続されている。これにより、冷却又は昇温を効率的に行うことができる。
【0064】
冷却用の場合は、冷却駆動電力出力部が電源オンに伴ってペルチェ素子75に対して直接、バッテリー69から逆電圧の電力を出力し、かつファン駆動電流出力部が逆電流をバッテリー69から出力させる。従って、空気の流れは図6(a)に示す矢印83~矢印86の流れになる。一方、昇温の場合は、昇温駆動電力出力部が電源オンに伴ってペルチェ素子75に対して直接、バッテリー69から正電圧の電力を出力し、かつファン駆動電流出力部がバッテリー69から正電圧の電流を出力させる。従って、空気の流れは図6(b)に示す矢印87~矢印90の流れとなる。
【0065】
ここで、配線について説明する。温度センサ77と制御手段15はケーブル81により接続されている。制御手段70とペルチェ素子75はケーブル82で接続されている。バッテリー69のプラス電極は制御手段70に接続されると共にマイナス電極はバネと導版とケーブル79を介し制御手段70に接続される。
【0066】
なお、上記実施の形態では、ヒートシンク、ファンを備えて説明したが、これらは必須ではない、制御手段の回路部品が正常に動作する温度を内部で維持できる場合は、これらは必須ではない。
【0067】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 熱変色性インク修正具
2 本体部
3 上蓋部
4 先端部
5 本体開口部
6 先端開口部
7 カム用開口部
8 ネジ
9 バッテリー
15 制御手段
16 モータ
17 ファン
18 昇温用ヒートシンク
19 冷却用ヒートシンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6