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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043591
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】気体発生装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/20 20060101AFI20220309BHJP
   C01B 11/02 20060101ALI20220309BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220309BHJP
   A01N 25/34 20060101ALI20220309BHJP
   A01N 59/00 20060101ALI20220309BHJP
   A61L 101/06 20060101ALN20220309BHJP
【FI】
A61L2/20
C01B11/02 F
A01P3/00
A01N25/34 Z
A01N59/00 A
A61L101:06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148936
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】000230630
【氏名又は名称】株式会社ルミカ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】原田 士郎
【テーマコード(参考)】
4C058
4H011
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058BB07
4C058JJ16
4C058JJ30
4H011AA01
4H011AA03
4H011BB18
4H011DA23
(57)【要約】
【課題】薬剤の化学反応によって所定の気体を発生させる気体発生装置において、所定の気体を発生させることなく長い期間にわたって保管しておいても、薬剤でのカビの発生を抑える。
【解決手段】第1の薬剤507が収容されている第1の容器503と、第1の容器503と、第1の薬剤597と化学反応を起こして除菌剤としての働きを備えた気体を発生する第2の薬剤509とが収容されている第2の容器505とを有し、第1の容器503が壊れることで第1の薬剤507と第2の薬剤509とが化学反応を起こして気体を発生するように構成されているとともに、カビが発生するおそれが高い薬剤が入っている容器には、除菌剤としての働きを備えた物質が予め少量入っている気体発生装置501である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の薬剤が収容されている第1の容器と、
前記第1の容器と、前記第1の薬剤と化学反応を起こして除菌剤としての働きを備えた気体を発生する第2の薬剤とが収容されている第2の容器と、
を有し、前記第1の容器が壊れることで前記第1の薬剤と前記第2の薬剤とが化学反応を起こして前記気体を発生するように構成されているとともに、前記第1の薬剤、前記第2の薬剤のうちでカビが発生するおそれが高い薬剤が入っている容器には、除菌剤としての働きを備えた物質が予め少量入っていることを特徴とする気体発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の気体発生装置であって、
前記第2の容器は、前記化学反応で発生した気体を透過する材料で構成されており、
前記第2の容器と前記化学反応で生成された気体を溶存させる溶存液とが収容されている第3の容器を有することを特徴とする気体発生装置。
【請求項3】
第1の薬剤が収容されている第1の容器と、
前記第1の薬剤と化学反応を起こして除菌剤としての働きを備えた気体を発生する第2の薬剤が収容されている第2の容器と、
前記第1の薬剤と前記第2の薬剤とをお互いに混じり合わせる薬剤混じり合わせ部と、
を有し、前記第1の薬剤、前記第2の薬剤のうちでカビが発生するおそれが高い薬剤が入っている容器には、除菌剤としての働きを備えた物質が予め少量入っていることを特徴とする気体発生装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の気体発生装置であって、
前記カビが発生するおそれが高い薬剤が前記第1の薬剤である場合においては、前記第1の薬剤が入っている容器に予め少量入っている除菌剤としての働きを備えた物質が、前記第1の容器に収容されている第1の薬剤と、前記第1の容器に前記第1の薬剤とともに収容された微量の前記第2の薬剤との化学反応で生成された気体であり、
前記カビが発生するおそれが高い薬剤が前記第2の薬剤である場合においては、前記第2の薬剤が入っている容器に予め少量入っている除菌剤としての働きを備えた物質が、前記第2の容器に収容されている第2の薬剤と、前記第2の容器に前記第2の薬剤とともに収容された微量の前記第1の薬剤との化学反応で生成された気体であることを特徴とする気体発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の気体を発生させる気体発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、亜塩素酸ナトリウムと酸化剤としてのクエン酸とを化学反応させることで、二酸化塩素を発生する二酸化塩素発生装置が知られている。このような二酸化塩素発生装置として、たとえば特許文献1に記載されているものを掲げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-256141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の二酸化塩素発生装置では、二酸化塩素を発生されることなく長い期間にわたって保管しておくと、ごくまれにではあるがクエン酸にカビが発生してしまうおそれがある。
【0005】
なお、上記カビの発生はクエン酸やクエン酸以外の物質を用いて二酸化塩素を発生させる場合や、二酸化塩素以外の気体を発生させる場合に同様に発生する。
【0006】
本発明は、薬剤の化学反応によって所定の気体を発生させる気体発生装置において、所定の気体を発生させることなく長い期間にわたって保管しておいても、上記薬剤でのカビの発生を抑えることができる気体発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、第1の薬剤が収容されている第1の容器と、前記第1の容器と、前記第1の薬剤と化学反応を起こして除菌剤としての働きを備えた気体を発生する第2の薬剤とが収容されている第2の容器とを有し、前記第1の容器が壊れることで前記第1の薬剤と前記第2の薬剤とが化学反応を起こして前記気体を発生するように構成されているとともに、前記第1の薬剤、前記第2の薬剤のうちでカビが発生するおそれが高い薬剤が入っている容器には、除菌剤としての働きを備えた物質が予め少量入っている気体発生装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の気体発生装置であって、前記第2の容器は、前記化学反応で発生した気体を透過する材料で構成されており、前記第2の容器と前記化学反応で生成された気体を溶存させる溶存液とが収容されている第3の容器を有する気体発生装置である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、第1の薬剤が収容されている第1の容器と、前記第1の薬剤と化学反応を起こして除菌剤としての働きを備えた気体を発生する第2の薬剤が収容されている第2の容器と、前記第1の薬剤と前記第2の薬剤とをお互いに混じり合わせる薬剤混じり合わせ部とを有し、前記第1の薬剤、前記第2の薬剤のうちでカビが発生するおそれが高い薬剤が入っている容器には、除菌剤としての働きを備えた物質が予め少量入っている気体発生装置である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の気体発生装置であって、前記カビが発生するおそれが高い薬剤が前記第1の薬剤である場合においては、前記第1の薬剤が入っている容器に予め少量入っている除菌剤としての働きを備えた物質が、前記第1の容器に収容されている第1の薬剤と、前記第1の容器に前記第1の薬剤とともに収容された微量の前記第2の薬剤との化学反応で生成された気体であり、前記カビが発生するおそれが高い薬剤が前記第2の薬剤である場合においては、前記第2の薬剤が入っている容器に予め少量入っている除菌剤としての働きを備えた物質が、前記第2の容器に収容されている第2の薬剤と、前記第2の容器に前記第2の薬剤とともに収容された微量の前記第1の薬剤との化学反応で生成された気体である気体発生装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、薬剤の化学反応によって所定の気体を発生させる気体発生装置において、所定の気体を発生させることなく長い期間にわたって保管しておいても、上記薬剤でのカビの発生を抑えることができる気体発生装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る気体発生装置の概略構成を示す図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る気体発生装置の概略構成を示す図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係る気体発生装置の概略構成を示す図である。
図4】第4実施形態に係る気体発生装置の斜視図である。
図5】第4実施形態に係る気体発生装置の分解斜視図である。
図6】第4実施形態に係る気体発生装置の断面図である。
図7図6の要部拡大図である。
図8】第4実施形態に係る気体発生装置の第2容器に第2キャップを取り付けたときの斜視図である。
図9図8の断面図である。
図10】第4実施形態に係る気体発生装置の第1容器に第1キャップを取り付けたときの斜視図である。
図11図10の断面図である。
図12】第5実施形態に係る気体発生装置の斜視図である。
図13】第5実施形態に係る気体発生装置の正面図である。
図14】第5実施形態に係る気体発生装置の側面図である。
図15】第5実施形態に係る気体発生装置の断面図である。
図16】第5実施形態に係る気体発生装置の他例を示す斜視図である。
図17】第5実施形態に係る気体発生装置の他例を示す正面図である。
図18】第5実施形態に係る気体発生装置の他例を示す側面図である。
図19】第5実施形態に係る気体発生装置の他例を示す断面図である。
図20】第5実施形態に係る気体発生装置の他例を示す斜視図である。
図21】第5実施形態に係る気体発生装置の他例を示す正面図である。
図22】第5実施形態に係る気体発生装置の他例を示す側面図である。
図23】第5実施形態に係る気体発生装置の他例を示す断面図である。
図24】第5実施形態に係る気体発生装置の他例を示す斜視図である。
図25】第5実施形態に係る気体発生装置の他例を示す正面図である。
図26】第5実施形態に係る気体発生装置の他例を示す側面図である。
図27】第5実施形態に係る気体発生装置の他例を示す断面図である。
図28】第6実施形態に係る気体発生装置の斜視図である。
図29】第6実施形態に係る気体発生装置の正面図である。
図30】第6実施形態に係る気体発生装置の側面図である。
図31】第6実施形態に係る気体発生装置の断面図である。
図32】第6実施形態に係る気体発生装置の他例を示す斜視図である。
図33】第6実施形態に係る気体発生装置の他例を示す正面図である。
図34】第6実施形態に係る気体発生装置の他例を示す側面図である。
図35】第6実施形態に係る気体発生装置の他例を示す断面図である。
図36】第6実施形態に係る気体発生装置の他例を示す斜視図である。
図37】第6実施形態に係る気体発生装置の他例を示す正面図である。
図38】第6実施形態に係る気体発生装置の他例を示す側面図である。
図39】第6実施形態に係る気体発生装置の他例を示す断面図である。
図40】第7実施形態に係る気体発生装置の斜視図である。
図41】第7実施形態に係る気体発生装置の正面図である。
図42】第7実施形態に係る気体発生装置の分解斜視図である。
図43】第7実施形態に係る気体発生装置の分解正面図である。
図44】第7実施形態に係る気体発生装置の他例を示す斜視図である。
図45】第7実施形態に係る気体発生装置の他例を示す正面図である。
図46】第7実施形態に係る気体発生装置の他例を示す分解斜視図である。
図47】第7実施形態に係る気体発生装置の他例を示す分解正面図である。
図48】第8実施形態に係る気体発生装置の斜視図である。
図49】第8実施形態に係る気体発生装置の斜視図である。
図50】第8実施形態に係る気体発生装置の正面図である。
図51】第8実施形態に係る気体発生装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る気体発生装置501は、常温、常圧下で使用されるものであり、化学反応によって除菌剤(第1の除菌剤)としての働きを備えた気体(殺菌作用を備えた気体)を発生する装置であり、図1で示すように、第1の容器503と第2の容器505とを備えてされている。
【0014】
第1の容器503の内部には、第1の薬剤507が密閉された状態で収容されている。第2の容器505の内部には、第1の容器503と第2の薬剤509とが密閉された状態で収容されている。第1の薬剤507と第2の薬剤509とは、お互いが化学反応を起こして除菌剤(第1の除菌剤)としての働きを備えた所定の気体を発生するようになっている。なお、この所定の気体は、防カビ剤としての働きもするようになっている。
【0015】
さらに説明すると、第1の薬剤507は第1の容器503内に入っているが、第2の薬剤509は、第2の容器505内であって第1の容器503の外側の空間511内に入っている。そして、第1の容器503の肉部によって、第1の薬剤507と第2の薬剤509とはお互いが分離されており、第1の容器503が壊れなければ、第1の薬剤507と第2の薬剤509とはお互いが混じり合わないようになっている。
【0016】
第1の容器503に外部から力を加えて第1の容器503が壊れると、第1の薬剤507と第2の薬剤509とが第2の容器505の内部で混じり合って化学反応を起こし、第1の除菌剤としての働きを備えた気体を発生するように構成されている。
【0017】
第1の薬剤507、第2の薬剤509のうちでカビが発生するおそれが高い薬剤が入っている容器には、防カビ剤(第2の除菌剤)としての働きを備えた物質が予め少量入っている。なお、防カビ剤としての働きを備えた物質は、第1の薬剤507と第2の薬剤509とが化学反応を起こして発生する気体(第1の除菌剤としての働きを備えた気体)と同じものであるが、防カビ剤(第2の除菌剤)としての働きを備えた物質が、第1の薬剤507と第2の薬剤509とが化学反応を起こして発生する気体(第1の除菌剤)とは異なるものであってもよい。
【0018】
ここで、第2の薬剤509がカビの発生のおそれが高い薬剤とすると、第2の容器505の内部であって第1の容器503の外側の空間511内には、第2の薬剤509に加えて、防カビ剤(第2の除菌剤)としての働きを備えた物質が予め少量入っている。第1の薬剤507がカビの発生のおそれが高い薬剤である場合にも、第1に容器503内に、第1の薬剤507に加えて、防カビ剤(第2の除菌剤)としての働きを備えた物質が予め少量入っている。
【0019】
また、第1の容器503が壊れることで第1の薬剤507の総てと第2の薬剤509の総てとが、たとえば数秒以内の短い時間(長くても数分以内の時間)でお互いに混じり合うようになっている。しかし、除菌剤(第1の除菌剤)としての働きを備えた気体は、たとえば、長い時間(数週間程度)継続して発生するようになっている。
【0020】
ここで、微量の防カビ剤(第2の除菌剤)としての働きを備えた物質が、第1の薬剤507と第2の薬剤509とが化学反応を起こして発生する気体と同じものであり、カビが発生するおそれが高い薬剤が第2の薬剤509である場合について説明する。この場合、第2の薬剤509が入っている第2の容器505に予め少量入っている物質は、第2の容器505に収容されている第2の薬剤509と、第2の容器505に第2の薬剤509とともに収容された微量の第1の薬剤507との化学反応で生成された気体になっている。
【0021】
たとえば、気体発生装置501の製造時に、第2の容器505内に、第1の薬剤507が入っている第1の容器503と第2の薬剤509と微量の第1の薬剤507とを投入し、この後、第2の容器505を密閉している。
【0022】
また、微量の防カビ剤(第2の除菌剤)としての働きを備えた物質が、第1の薬剤507と第2の薬剤509とが化学反応を起こして発生する気体と同じものであり、カビが発生するおそれが高い薬剤が第1の薬剤507である場合について説明する。この場合、第1の薬剤507が入っている第1の容器503に予め少量入っている物質は、第1の容器503に収容されている第1の薬剤507と、第1の容器503に第2の薬剤509とともに収容された微量の第2の薬剤509との化学反応で生成された気体になっている。
【0023】
たとえば、気体発生装置501の製造時に、第1の容器503内に、第1の薬剤507と微量の第2の薬剤509とを投入し、この後、第1の容器503を密閉している。
【0024】
ここで気体発生装置501について例を掲げてさらに詳しく説明する。
【0025】
第1の容器503は、耐薬品性があり気体や液体を透過しない合成樹脂やガラス等のアンプルで構成されており、第1の薬剤507と第2の薬剤59とを隔てている。第2の容器505は、弾性を備えており耐薬品性があり気体のみを透過させるポリプロピエン、ポリエチレン、シリコン等の合成樹脂等で構成されている。
【0026】
なお、第1の容器503が壊れたときに第1の薬剤507と第2の薬剤509とは、上述したように、短い時間でお互いが混じり合うが、第2の容器505が気体のみを僅かに透過する材料で構成されていることで、除菌剤としての働きを備えた気体は、長い時間をかけて第2の容器505の外部に出てくるようになっている。
【0027】
気体発生装置501では、たとえば、第1の薬剤507として、亜塩素酸ナトリウムが採用されており、第2の薬剤509として、クエン酸が採用されている。亜塩素酸ナトリウム507は、水溶液の状態で第1の容器503内(空間511)に収容されており、クエン酸509は、粉末状もしくはタブレット状になって第2の容器505内に収容されている。
【0028】
また、気体発生装置(二酸化塩素発生装置)501の出荷時(第1の容器503内の亜塩素酸ナトリウム507と第2の容器505内のクエン酸509とを化学反応させる前)には、第2の容器505内であって第1の容器503の外側の空間511には、クエン酸の他に少量の二酸化塩素が入っている。この二酸化塩素は、たとえば、二酸化塩素発生装置501の製造時に、第2の容器505内に入れられたクエン酸509と微量の亜塩素酸ナトリウム507との化学反応によって生成されたものである。
【0029】
なお、気体発生装置501において、第1の薬剤507と第2の薬剤509とが入れ替わっていてもよい。すなわち、第1の容器503の内部空間にクエン酸が収容されており、第2の容器505の内部であって第1の容器503の外側の空間511に亜塩素酸ナトリウムが収容されていてもよい。
【0030】
また、第1の薬剤507を水溶液にし、第2の薬剤509も水溶液にしてもよいし、もしくは、第1の薬剤507を粉末状もしくはタブレット状にし、第2の薬剤509水溶液にしてもよい。
【0031】
第1の容器503が壊れることで、第2の容器505内で、亜塩素酸ナトリウムとクエン酸との化学反応が起こり二酸化塩素とクエン酸ナトリウムと塩化ナトリウムと水とが生成されるようになっている。これを反応式で示すと、「15NaClO+4C(OH)(CHCOOH)COOH→12ClO+4CNa+3NaCl+2HO」となる。
【0032】
そして、二酸化塩素のみが、第2の容器505の肉部を透過し、第2の容器505の外部に出てきるようになっている。
【0033】
次に、気体発生装置501の使用態様について説明する。
【0034】
初期状態では、第2の容器505の内部には、第1の容器503と第2の薬剤(クエン酸)509と微量の二酸化塩素とが収容されており、第1の容器503の内部には、第1の薬剤(亜塩素酸ナトリウム)507が収容されている。上記初期状態で、第2の容器505に力を加えて、第2の容器505を弾性変形させ、第1の容器503を破壊する。これにより、第2の容器505内での化学反応によって二酸化塩素が生成され、この生成された二酸化塩素のみが第2の容器505の肉部を透過して第2の容器505の外部に出てくる。
【0035】
二酸化塩素発生装置501によれば、クエン酸509が入っている第2の容器505内に二酸化塩素が予め少量入っているので、亜塩素酸ナトリウム507とクエン酸509とを化学反応させることなく二酸化塩素発生装置501を長い期間(たとえば数年間)にわった保管しておいても、クエン酸509でのカビの発生を抑えることができる。
【0036】
また、二酸化塩素発生装置501では、クエン酸509が入っている第2の容器505内に予め入っている二酸化塩素が、クエン酸509と微量の亜塩素酸ナトリウム507との化学反応で生成された気体であるので、二酸化塩素発生装置501で使用する薬剤の種類を少なくすることができ、二酸化塩素発生装置501の製造コスト等を下げることができる。
【0037】
なお、第2の容器505が二酸化塩素を透過する材料で構成されているので、二酸化塩素発生装置501を不使用のまま長時間放置すると、第2の容器505内に予め入っていた二酸化塩素が第2の容器505の外部に出てしまうおそれがある。しかし、予め入っていた二酸化塩素が第2の容器505の外部に出てしまっても、第2の容器505は気体しか通さない状態でほぼ密閉されているので、第2の容器505内でのカビの発生を抑えることができる。
【0038】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係る気体発生装置501a(図2参照)は、第3の容器513を備えている点が本発明の第1の実施形態に係る気体発生装置501と異なり、その他の点は、気体発生装置501と同様に構成されている。
【0039】
気体発生装置501aの第2の容器505は、上述したように、気体のみを透過し液体や固体を透過しない材料で構成されており、第1の薬剤507と第2の薬剤509との化学反応で発生した気体を透過する材料で構成されている。
【0040】
第3の容器513には、第2の容器505と、化学反応で生成された気体(たとえば二酸化塩素)を溶存させる溶存液(たとえば水)515とが内部に収容されている。第3の容器513の内部には、密閉空間が形成されており、この密閉空間内に、第2の容器505と溶存液515とが入っている。また、第3の容器513は、第2の容器505と同様に気体のみを透過する材料で構成されている。そして、第3の容器513の肉部を透過して第3の容器513の外部に出てくるようになっている。
【0041】
なお、第3の容器513を気体も液体も透過しない材料で構成し、第3の容器513のたとえば上端に開口部9を設けてもよい。そして、化学反応で生成され溶存液515に溶存している気体が、上記開口部を通って第3の容器513の外部に出てくるようになっていてもよい。
【0042】
次に、気体発生装置501aの使用態様について説明する。
【0043】
初期状態では、第2の容器505は、第3の容器513の外部にあるものとする。また、第1の容器503の内部には、第1の薬剤507が収容されており、第2の容器505の内部(空間511)には、第1の容器503と第2の薬剤509と微量の除菌剤とが収容されて収容されている。
【0044】
上記初期状態で、第2の容器505に力を加えて、第2の容器505を弾性変形させ、第1の容器503を破壊し、この後ただちに第2の容器505を第3の容器513の溶存液515内に投入する。
【0045】
これにより、第2の容器505内での化学反応によって生成された二酸化塩素のみが第2の容器505の肉部を透過して第3の容器513内の溶存液515に溶存する。この後、溶存液515に溶存している二酸化塩素が、溶存液515から徐々に放出され、第3の容器513の肉部を通って、第3の容器513の外部に出てくる。
【0046】
気体発生装置501aは、第2の容器505と化学反応で生成された所定の気体を溶存させる溶存液515とが内部に収容されている第3の容器513を備えている。これによって、第2の容器505から出てきた二酸化塩素のみが第3の容器513内の溶存液515に溶存することになる。そして、溶存液515に溶存している二酸化塩素のみが第3の容器513から出てくることで、必要とする二酸化塩素のみを得ることができる。
【0047】
また、二酸化塩素が溶存液に溶存していることで、二酸化塩素の分散速度が遅くなり、二酸化塩素の使い勝手が良くなる。たとえば、第3の容器513に開口部を設け、二酸化塩素のみが溶存している溶存液515を上記開口部から取り出して除菌剤対象(殺菌対象)であるテーブル上に霧状に散布すれば、二酸化塩素が溶存液から徐々に放出され、除菌剤作用を持続させることができる。
【0048】
〔第3実施形態〕
本発明の第3の実施形態に係る気体発生装置501b(図3参照)は、第3の容器513を備えている点、薬剤混じり合わせ部517が設けられている点が本発明の第1の実施形態に係る気体発生装置501と異なり、その他の点は、気体発生装置501と同様に構成されている。
【0049】
薬剤混じり合わせ部517が設けられていることで、第1の容器503と第2の容器505とが離れて第3の容器513内に設置されている。
【0050】
薬剤混じり合わせ部517では、第1の容器503内に収容されている第1の薬剤507と、第2の容器505内に収容されている第2の薬剤509とをお互いに混じり合わせるようになっている。
【0051】
薬剤混じり合わせ部517では、第1の容器503から所定の時間あたり所定の少量の第1の薬剤507を連続して所定の時間放出し、また、第2の容器505からも所定の時間あたり所定の少量の第2の薬剤509を第1の薬剤の放出にあわせて連続して放出し、これらの放出された第1の薬剤507と第2の薬剤509とがお互いに混じり合うようになっている。
【0052】
そして、第1の薬剤507と第2の薬剤509とがお互いに混じり合ったときに化学反応が起こり、除菌剤(第1の除菌剤)としての働きを備えた気体が発生するようになっている。
【0053】
また、各容器503、505のそれぞれから所定の時間あたり所定の少量の薬剤507、509を連続して所定の時間放出する場合、第1の容器503からの第1の薬剤507の放出と第2の容器505からの第2の薬剤509を放出とを一旦止めておいてその後再開することもできるようになっている。なお、薬剤混じり合わせ部517を第1の薬剤507と第2の薬剤509との化学反応を起こさせる化学反応誘発部と称してもよい。
【0054】
また、本発明の第3の実施形態に係る気体発生装置501bでも、第1の薬剤507、第2の薬剤509のうちでカビが発生するおそれが高い薬剤が入っている容器には、防カビ剤(第2の除菌剤)としての働きを備えた物質が予め少量入っている。
【0055】
気体発生装置501bについてさら詳しく説明すると、第1の容器503は、気体も液体も透過しない弾性を備えた材料で構成されている。第2の容器505も、気体も液体も透過しない弾性を備えた材料で構成されている。第3の容器513は、気体も液体も透過さずしかも弾性をほとんど備えていない金属もしくは硬い合成樹脂で構成されている。
【0056】
第1の薬剤507や第2の薬剤509は、水溶液になって、第1の容器503内や第2の容器505内に収容されている。また、第3の容器513の内部であって、第1の容器503や第2の容器505の外側の空間519は、大気圧よりも圧力の高い気体523で満たされている。そして、スプレーベッド521が押されることで、圧力の高い気体523の作用で、第1の容器503内に収容されている第1の薬剤507と第2の容器505内に収容されている第2の薬剤509が、第1の容器503や第2の容器505から出てきてお互いに混じり合い、この混じり合った液体525が霧状になってスプレーベッド521から気体発生装置501bの外部に出てくるようになっている。
【0057】
次に、第4実施形態~第8実施形態で、第3実施形態に係る気体発生装置と同様な薬剤混じり合わせ部を備えた気体発生装置についてさらに記述する。
【0058】
〔第4実施形態〕
図4図12を用いて第4実施形態について説明する。
【0059】
本実施形態に係る気体発生装置(混合装置)1は、それぞれ液体が収容された複数の容器3を備えている。また、複数の容器3には、内部に収容された液体をミスト状に噴出する噴出部5が設けられている。
【0060】
そして、噴出部5近傍には、噴出部5から噴出されたミスト状の液体を混合する混合部7が設けられている。
【0061】
図4図7に示すように、気体発生装置1は、複数の容器3と、蓋体9と、噴出部5と、混合部7とを備えている。
【0062】
複数の容器3は、第1容器11と、第2容器13とを備えている。
【0063】
第1容器11は、高さ方向の一側に第1開口部15が設けられ、底壁と周壁とによって外部から区画された第1収容空間17が形成されている。この第1収容空間17には、例えば、亜塩素酸ナトリウム溶液が収容される。また、第1収容空間17には、第1開口部15から挿入される第2容器13の大部分が収容されて配置される。このような第1容器11の第1開口部15の外周は、ねじ形状に形成され、蓋体9がねじ止めによって固定される。
【0064】
第2容器13は、第2容器本体19と、貫通体21とを備えている。
【0065】
第2容器本体19は、高さ方向の一側に第2開口部23が設けられ、外径が第1容器11の第1開口部15の内径よりわずかに小さく設定された筒状に形成されている。この第2容器本体19には、底壁と周壁と貫通体21の外周とによって外部から区画された第2収容空間25が形成されている。この第2収容空間25には、例えば、酸としてのクエン酸溶液(たとえばクエン酸水溶液)が収容されている。さらに、クエン酸水溶液には、カビの発生を防止するための少量の二酸化塩素が予め含まれている。第2容器本体19の第2開口部23の外周は、ねじ形状に形成され、蓋体9がねじ止めによって固定される。
【0066】
貫通体21は、長さ方向の両側が開口された中空の筒状に形成され、長さ方向の一端側が第2容器本体19の底壁から露出するように第2容器本体19と連続する一部材で形成されている。この貫通体21の内部には、第1容器11の第1収容空間17に収容された液体を毛細管現象によって吸い上げる第1フェルト27が配置される。また、貫通体21の外部には、第2容器本体19の第2収容空間25に収容された液体を毛細管現象によって吸い上げる第2フェルト29が配置される。
【0067】
このような第2容器13は、第1容器11の第1開口部15から第1容器11の第1収容空間17に収容されて配置される。このとき、第2容器13の貫通体21の端部は、第1収容空間17に連通するように配置され、第1フェルト27によって第1収容空間17に収容された液体を吸い上げることができる。このように配置された第1容器11の第1開口部15と第2容器13の第2開口部23とには、蓋体9がねじ止めによって固定される。
【0068】
蓋体9は、外径が第1容器11の最も大きい外径とほぼ同一に設定された筒状に形成されている。この蓋体9の内周は、ねじ形状に形成され、第1容器11の第1開口部15と第2容器13の第2開口部23とにねじ止めされる。なお、第1開口部15と第2開口部23との隙間は、シリコンなどの弾性体からなり、環状に形成された第1閉塞部材31と第2閉塞部材33とによって閉塞される。このような蓋体9には、高さ方向の一側に、例えば、噴出部5から噴出された亜塩素酸ナトリウムとクエン酸との化学反応によって発生された二酸化塩素ガスを外部に放出する放出口35が設けられている。
【0069】
噴出部5は、電源などに電気的に接続される円盤状の超音波発生部37と、この超音波発生部37の外周を覆うシリコンなどの弾性体39とからなる。この噴出部5は、蓋体9の内部に弾性体39を介して配置され、超音波発生部37の一面側が第1フェルト27と第2フェルト29とに接触される。このような噴出部5は、超音波発生部37において、第1フェルト27と第2フェルト29とによって吸い上げられたそれぞれの液体をミスト状にして混合部7に噴出する。
【0070】
混合部7は、蓋体9の放出口35の内部側と噴出部5の超音波発生部37の外部側との間に形成された空間部となっている。この混合部7は、超音波発生部37でミスト状にされた、例えば、亜塩素酸ナトリウムとクエン酸とを混合して化学反応させ、二酸化塩素ガスを発生させる。このような混合部7で発生された二酸化塩素ガスは、蓋体9の放出口35から外部に放出される。
【0071】
このように噴出部5で複数の液体をミスト状にし、混合部7で混合することにより、複数の液体を液体の状態で混合するのに比較して、互いの接触機会を増大させることができ、混合効率を向上させることができる。
【0072】
なお、複数の液体をミスト状にして混合させるものしては、上述した亜塩素酸ナトリウムと酸との化学反応による二酸化塩素ガスの発生に限らず、例えば、酸化液と化学発光のために必要な液体とを混合して、ミスト状の液体を発光させてもよい。
【0073】
また、化学反応を目的としたものに限らず、例えば、消臭性能を有する液体をミスト状にして放出する場合において、香料が追加された液体をミスト状にして混合することで、香料の香りを消臭することなく、香りを追加することが可能となる。
【0074】
ここで、気体発生装置1では、第1容器11と、第2容器13と、蓋体9とを組付ける前の状態で、第2容器13のみに液体を収容した状態、或いは第1容器11と第2容器13とにそれぞれ液体を収容した状態で、保存や搬送を行うことができる。
【0075】
第2容器13のみに液体を収容した状態では、図8図9に示すように、第2容器13の第2収容空間25に液体が収容された状態で、第2キャップ41が組付けられる。この第2キャップ41の内周は、ねじ形状に形成され、第2開口部23にねじ止めされる。このような第2キャップ41の内部には、貫通体21の開口に挿入され、貫通体21の開口を閉塞する止水部43が突設されている。また、第2キャップ41の内面と第2開口部23の端面との間には、第2閉塞部材33が配置されて止水されている。このように第2容器13に第2キャップ41を組付けることにより、第2容器13のみに液体を収容した状態で、保存や搬送を行うことができる。
【0076】
なお、第2容器13の貫通体21には、第1フェルト27が貫通体21の外部に露出して配置されているが、第2キャップ41を取り外し、第2容器13を第1容器11に組付けることによって、第1フェルト27の露出部分が貫通体21の内部に配置される。また、第2容器13に第2キャップ41を組付けるときには、第1フェルト27と第2フェルト29とを貫通体21に配置させなくともよい。
【0077】
第1容器11と第2容器13とにそれぞれ液体を収容した状態では、図10図11に示すように、第1容器11の第1収容空間17と第2容器13の第2収容空間25とにそれぞれ液体が収容された状態で、第1キャップ45が組付けられる。この第1キャップ45の内周は、ねじ形状に形成され、第1容器11の第1開口部15にねじ止めされる。
【0078】
このような第1キャップ45の内部には、第2容器13の貫通体21の開口に挿入され、貫通体21の開口を閉塞する止水部47が突設されている。また、第2容器13の外面と第1開口部15の端面との間には、第1閉塞部材31が配置されて止水されている。さらに、第1キャップ45の内面と第2開口部23の端面との間には、第2閉塞部材33が配置されて止水されている。このように第1容器11に第1キャップ45を組付けることにより、第1容器11と第2容器13とにそれぞれ液体を収容した状態で、保存や搬送を行うことができる。
【0079】
なお、第2容器13の貫通体21には、第1フェルト27が配置されておらず、第2フェルト29のみが配置されている。第1フェルト27は、第1キャップ45を取り外すことによって、貫通体21に配置される。
【0080】
このような気体発生装置1では、複数の容器3に、内部に収容された液体をミスト状に噴出する噴出部5が設けられ、噴出部5近傍に、噴出部5から噴出されたミスト状の液体を混合する混合部7が設けられている。このため、混合部7において、液体がミスト状になることで、混合部7内における互いの接触機会が増大する。
【0081】
従って、このような気体発生装置1では、混合部7内で複数の液体がミスト状になることによって、互いの接触機会が増大し、混合効率を向上することができる。
【0082】
〔第5実施形態〕
図12図27を用いて第5実施形態の変形例について説明する。
【0083】
本実施形態に係る気体発生装置101は、混合部7に、複数の容器3の噴出部5から噴出されたミスト状の液体を接触させるように導く案内部103が設けられている。
【0084】
なお、第4実施形態と同様の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は第4実施形態を参照するものとし省略するが、第4実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
【0085】
図12図15に示すように、複数の容器3は、第1容器105と、第2容器107とを備えている。
【0086】
第1容器105は、第1容器本体109と、第1流通体111とを備えている。
【0087】
第1容器本体109は、高さ方向の一側に第1開口部113が設けられ、底壁と周壁とによって外部から区画された第1収容空間115が形成されている。この第1収容空間115には、例えば、亜塩素酸ナトリウム溶液が収容される。このような第1容器本体109の第1開口部113側の外周には、蓋体117が組付けられる。
【0088】
第1流通体111は、高さ方向の一側が開口され、高さ方向の他側が閉塞された有底の筒状に形成されている。この第1流通体111の開口側には、第1容器本体109の第1開口部113を閉塞する第1閉塞部119が設けられている。また、第1流通体111の側面には、外部と内部とを連通するスリット(不図示)が設けられている。このような第1流通体111は、第1開口部113から第1容器本体109に収容され、第1閉塞部119が第1開口部113の内周面に弾性的に密着することによって、第1開口部113を閉塞する。
【0089】
この第1流通体111には、第1容器本体109の第1収容空間115に収容された液体を吸い上げる第1フェルト27が収容されて配置される。この第1フェルト27は、第1流通体111の底部に配置された第1バネ121によって上方に向けて付勢されている。
【0090】
このような第1流通体111の第1閉塞部119には、電源などに電気的に接続される円盤状の超音波発生部37を有する第1噴出部123(5)が固定されている。このため、第1フェルト27は、第1バネ121の付勢力によって第1噴出部123に押圧されて接触されている。この第1噴出部123は、第1フェルト27から吸い上げられた液体をミスト状にして混合部7に噴出する。
【0091】
第2容器107は、第2容器本体125と、第2流通体127とを備えている。
【0092】
第2容器本体125は、高さ方向の一側に第2開口部129が設けられ、底壁と周壁とによって外部から区画された第2収容空間131が形成されている。この第2収容空間131には、例えば、クエン酸溶液(たとえばクエン酸水溶液)が収容されている。さらに、クエン酸水溶液には、カビの発生を防止するための少量の二酸化塩素が予め含まれている。このような第2容器本体125の第2開口部129側の外周には、蓋体117が組付けられる。
【0093】
第2流通体127は、高さ方向の一側が開口され、高さ方向の他側が閉塞された有底の筒状に形成されている。この第2流通体127の開口側には、第2容器本体125の第2開口部129を閉塞し、第1閉塞部119と連続する一部材で形成された第2閉塞部133が設けられている。また、第2流通体127の側面には、外部と内部とを連通するスリット(不図示)が設けられている。このような第2流通体127は、第2開口部129から第2容器本体125に収容され、第2閉塞部133が第2開口部129の内周面に弾性的に密着することによって、第2開口部129を閉塞する。
【0094】
この第2流通体127には、第2容器本体125の第2収容空間131に収容された液体を吸い上げる第2フェルト29が収容されて配置される。この第2フェルト29は、第2流通体127の底部に配置された第2バネ135によって上方に向けて付勢されている。
【0095】
このような第2流通体127の第2閉塞部133には、電源などに電気的に接続される円盤状の超音波発生部37を有する第2噴出部137(5)が固定されている。このため、第2フェルト29は、第2バネ135の付勢力によって第2噴出部137に押圧されて接触されている。この第2噴出部137は、第2フェルト29から吸い上げられた液体をミスト状にして混合部7に噴出する。
【0096】
混合部7は、第1容器105の第1開口部113側と第2容器107の第2開口部129側とに跨って組付けられ、第1噴出部123と第2噴出部137とを覆う直方体状の蓋体117の内部空間となっている。この混合部7は、第1噴出部123と第2噴出部137とでそれぞれミスト状にされた、例えば、亜塩素酸ナトリウムとクエン酸とを混合して化学反応させ、二酸化塩素ガスを発生させる。このような混合部7で発生された二酸化塩素ガスは、蓋体117に設けられた混合部7と外部とを連通する複数(ここでは2つ)の放出口139から外部に放出される。
【0097】
このような混合部7を形成する蓋体117には、案内部103が設けられている。案内部103は、複数の放出口139より上方に位置する部分に設けられ、蓋体117の内面を湾曲して形成された湾曲面となっている。この案内部103は、第1噴出部123と第2噴出部137とから噴出されたミスト状の液体をそれぞれ湾曲面に沿って混合部7内で滞留させ、ミスト状の液体の接触を促進させる。このように混合部7に案内部103を設けることにより、混合部7内での複数のミスト状の液体の接触を促進でき、さらに混合効率を向上することができる。
【0098】
ここで、混合部7の案内部103としては、図16図19に示すような案内部103aとしてもよい。この案内部103aは、蓋体117の内面において、第1噴出部123と第2噴出部137とから噴出されたミスト状の液体が、上方の部分で互いに接触するように湾曲して形成された湾曲面となっている。このような案内部103aに沿って流れ、混合部7で混合されたミスト状の液体は、蓋体117の中央部に形成された放出口139から外部に放出される。
【0099】
また、混合部7の案内部103としては、図20図23に示すような案内部103bとしてもよい。この案内部103bは、蓋体117の内面において、第1噴出部123と第2噴出部137とから噴出されたミスト状の液体が、上方に流れるにつれて互いに集約されて接触するように湾曲して形成された湾曲面となっている。このような案内部103bに沿って流れ、混合部7で混合されたミスト状の液体は、蓋体117の頂部に形成された放出口139から外部に放出される。
【0100】
さらに、混合部7の案内部103としては、図24図27に示すような案内部103cとしてもよい。ここで、蓋体117は、中央部に設けられた柱部141によって、第1噴出部123及び第2噴出部137が位置する部分と、上方に位置する部分とを分割するように形成され、柱部141が位置する部分が放出口139となっている。このような蓋体117において、案内部103cは、柱部141より上方に位置する部分の混合部7を形成する内面に設けられ、第1噴出部123と第2噴出部137とから噴出されたミスト状の液体を滞留させる滞留空間となっている。このような案内部103cで滞留され、混合部7で混合されたミスト状の液体は、蓋体117の放出口139から外部に放出される。
【0101】
このような気体発生装置101では、混合部7に、複数の容器3の噴出部5から噴出されたミスト状の液体を接触させるように導く案内部103が設けられている。このため、案内部103によって、混合部7内での複数のミスト状の液体の接触を促進でき、さらに混合効率を向上することができる。
【0102】
〔第6実施形態〕
図28図39を用いて第6実施形態について説明する。
【0103】
本実施形態に係る気体発生装置201は、複数の容器3の噴出部5が、噴出されたミスト状の液体が混合部7内で接触するように配置されている。
【0104】
なお、他の実施形態と同様の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
【0105】
図28図31に示すように、複数の容器3は、第1容器105と、第2容器107とを備えている。第1容器105には、例えば、亜塩素酸ナトリウム溶液が収容されている。第2容器107には、例えば、クエン酸溶液(たとえばクエン酸水溶液)が収容されている。さらに、クエン酸水溶液には、カビの発生を防止するための少量の二酸化塩素が予め含まれている。この第1容器105と第2容器107とには、それぞれ第1噴出部203(5)と第2噴出部205(5)とが設けられている。
【0106】
第1噴出部203と第2噴出部205とは、それぞれ電源などに電気的に接続される円盤状の超音波発生部37と、この超音波発生部37と一体に設けられたシリコンなどの弾性体39とからなる。この第1噴出部203と第2噴出部205とは、それぞれ第1フェルト27と第2フェルト29とが収容された第1流通体111と第2流通体127とに弾性体39を介して配置されている。また、第1噴出部203と第2噴出部205とは、超音波発生部37の一面側が第1フェルト27と第2フェルト29とにそれぞれ接触されている。このような第1噴出部203と第2噴出部205とは、それぞれ超音波発生部37において、第1フェルト27と第2フェルト29とによって吸い上げられたそれぞれの液体をミスト状にして混合部7に噴出し、混合部7内でミスト状の液体を混合する。
【0107】
このような混合部7内において、第1噴出部203と第2噴出部205とは、噴出されたミスト状の液体が混合部7内で接触するように配置されている。詳細には、第1噴出部203と第2噴出部205との超音波発生部37,37は、互いに対向するように傾斜して配置されている。このように第1噴出部203と第2噴出部205とを配置することにより、第1噴出部203と第2噴出部205とから噴出されたミスト状の液体が、混合部7内で接触し易くなり、さらに混合効率を向上することができる。この混合部7で混合されたミスト状の複数の液体は、蓋体9の中央部に形成された長穴状の放出口35から外部に放出される。
【0108】
ここで、第1噴出部203と第2噴出部205との配置としては、図32図35に示すような第1噴出部203aと第2噴出部205aの配置としてもよい。この第1噴出部203aと第2噴出部205aとは、それぞれの超音波発生部37が互いに対向するように平行に配置されている。このように配置された第1噴出部203aと第2噴出部205aとから噴出されたミスト状の液体は、混合部7内で衝突するように接触されて混合され、蓋体9の中央部に形成された放出口35から外部に放出される。
【0109】
また、複数の容器3としては、図36図39に示すような第3容器207を追加してもよい。この第3容器207は、例えば、香料が添加された香料溶液が収容される第3収容空間209が形成された第3容器本体211を備えている。また、第3容器207は、第3収容空間209に収容された液体を吸い上げる第3フェルト213が第3バネ215を介して収容された第3流通体217を備えている。この第3容器207の第3流通体217には、電源などに電気的に接続される円盤状の超音波発生部37を有する第3噴出部219(5)が配置されている。なお、第3容器207内に、カビの発生を防止するための微量の二酸化塩素が予め加えられていてもよい。
【0110】
このような複数(ここでは3つ)の容器3に組付けられる蓋体221には、第1噴出部203と第2噴出部205と第3噴出部219との近傍に位置する部分に混合部7が設けられている。詳細には、混合部7は、蓋体221の第1噴出部203と第2噴出部205と第3噴出部219とが配置される面が中央部に向けて湾曲するようにして形成された空間部となっている。このような混合部7内において、第1噴出部203と第2噴出部205と第3噴出部219とは、それぞれの超音波発生部37が互いに対向するように傾斜して配置されている。このように配置された第1噴出部203と第2噴出部205と第3噴出部219とから噴出されたミスト状の液体は、混合部7内で混合され、外部に放出される。
【0111】
このような気体発生装置201では、複数の容器3の噴出部5が、噴出されたミスト状の液体が混合部7内で接触するように配置されている。このため、混合部7内で複数のミスト状の液体が接触し易くなり、さらに混合効率を向上することができる。
【0112】
〔第7実施形態〕
図40図47を用いて第7実施形態について説明する。
【0113】
本実施形態に係る気体発生装置301は、混合部7に、噴出部5から噴出されたミスト状の液体を回転して混合するファン303が設けられている。
【0114】
なお、他の実施形態と同様の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
【0115】
図40図43に示すように、複数の容器3は、第1容器305と、第2容器307とを備えている。
【0116】
第1容器305と第2容器307とは、それぞれ第1容器本体309と第2容器本体311と、第1流通体313と第2流通体315とを備えている。
【0117】
第1容器本体309と第2容器本体311とは、断面形状が半円状に形成された筒状に形成され、平面部分で一体に接合され、全体として円筒状に形成されている。この第1容器本体309と第2容器本体311とには、底壁と周壁とによって外部から区画された第1収容空間317と第2収容空間319とがそれぞれ形成されている。この第1収容空間317と第2収容空間319とには、例えば、それぞれ亜塩素酸ナトリウム溶液とクエン酸溶液(たとえばクエン酸水溶液)が収容されている。さらに、クエン酸水溶液には、カビの発生を防止するための少量の二酸化塩素が予め含まれている。
【0118】
第1流通体313と第2流通体315とは、高さ方向の一側が開口され、高さ方向の他側が閉塞された有底の筒状に形成されている。この第1流通体313と第2流通体315との開口側には、シリコンなどの弾性体からなり、第1容器本体309と第2容器本体311との開口を閉塞する閉塞部321が設けられている。この閉塞部321は、第1流通体313と第2流通体315とを連結する。また、第1流通体313と第2流通体315との側面には、それぞれ外部と内部とを連通するスリット323が設けられている。
【0119】
この第1流通体313と第2流通体315との底部には、それぞれ第1バネ121と第2バネ135とが配置されている。このような第1流通体313と第2流通体315とには、第1容器本体309と第2容器本体311とに収容された液体を吸い上げる第1フェルト27と第2フェルト29とが収容されて配置される。この第1流通体313と第2流通体315とを連結する閉塞部321には、第1噴出部325(5)と第2噴出部327(5)とが設けられている。
【0120】
第1噴出部325と第2噴出部327とは、それぞれ閉塞部321内に固定され電源などに電気的に接続される円盤状の超音波発生部37(図15参照)を有する。この第1噴出部325と第2噴出部327との超音波発生部37は、それぞれ第1バネ121と第2バネ135との付勢力によって、第1フェルト27と第2フェルト29とに接触されている。このような第1噴出部325と第2噴出部327とは、それぞれ第1フェルト27と第2フェルト29とによって吸い上げられたそれぞれの液体をミスト状にして混合部7に噴出し、混合部7内でミスト状の液体を混合する。
【0121】
混合部7は、第1容器305と第2容器307とに組付けられ、第1噴出部325と第2噴出部327との外部を覆う蓋体329の内部空間となっている。この混合部7には、ファン303が配置されている。
【0122】
ファン303は、蓋体329の内部に配置された電源などに電気的に接続される電動モータ331のモータ軸333に軸部335を介して回転可能に接続され、混合部7内に回転可能に配置されている。このファン303は、第1噴出部325と第2噴出部327とから噴出されたミスト状の液体を、回転することによって攪拌し、混合部7内でのミスト状の液体の混合を促進する。この混合部7で混合されたミスト状の液体は、蓋体329の側面に形成された複数(ここでは2つ)の放出口337から外部に放出される。このように混合部7にファン303を設けることにより、混合部7内での複数のミスト状の液体の混合を促進でき、さらに混合効率を向上することができる。
【0123】
ここで、ファン303としては、図44図47に示すようなファン303aとしてもよい。このファン303aは、閉塞部321の第1噴出部325(図42参照)と第2噴出部327(図42参照)とが位置する部分に設けられた周壁部339の内部に配置された電源などに電気的に接続される電動モータ341によって回転する。なお、混合部7は、ファン303aの下方に位置する周壁部339の内部と、ファン303aの周囲とファン303aの上方に位置する蓋体329の内部とで形成されている。
【0124】
このようなファン303aは、第1噴出部325と第2噴出部327とから噴出され、周壁部339の内部である程度混合されたミスト状の液体を、回転することによって攪拌し、混合部7内でのミスト状の液体の混合を促進する。この混合部7で混合されたミスト状の液体は、蓋体329の上面に形成された複数(ここでは4つ)の放出口337から外部に放出される。
【0125】
このような気体発生装置301では、混合部7に、噴出部5から噴出されたミスト状の液体を回転して混合するファン303が設けられている。このため、ファン303の回転によって、混合部7内での複数のミスト状の液体の混合を促進でき、さらに混合効率を向上することができる。
【0126】
〔第8実施形態〕
図48図51を用いて第8実施形態について説明する。
【0127】
本実施形態に係る気体発生装置401は、噴出部5が、容器3の下方に配置されている。
【0128】
なお、他の実施形態と同様の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
【0129】
図48図51に示すように、複数の容器3は、第1容器403と、第2容器405とを備えている。
【0130】
第1容器403と第2容器405とは、それぞれ高さ方向の一側が開口され、左右対称形状となるように筒状に形成されている。この第1容器403と第2容器405とは、底壁と周壁とによって外部から区画された第1収容空間407と第2収容空間409とがそれぞれ形成されている。この第1収容空間407と第2収容空間409とには、例えば、それぞれ亜塩素酸ナトリウム溶液とクエン酸溶液(たとえばクエン酸水溶液)とが収容されている。さらに、クエン酸水溶液には、カビの発生を防止するための少量の二酸化塩素が予め含まれている。
【0131】
このような第1容器403と第2容器405とは、底壁側と周壁の一部が連結部材411に配置され、開口が第1容器403と第2容器405と連結部材411とに組付けられる蓋部材413によって閉塞される。この連結部材411によって一体に連結された第1容器403と第2容器405との底壁には、それぞれ第1噴出部415(5)と第2噴出部417(5)とが設けられている。
【0132】
第1噴出部415と第2噴出部417とは、それぞれ電源などに電気的に接続される円盤状の超音波発生部37と、この超音波発生部37と一体に設けられたシリコンなどの弾性体39とからなる。この第1噴出部415と第2噴出部417とは、それぞれ弾性体39を介して第1容器403と第2容器405との底壁に形成された孔に取り付けられ、超音波発生部37が第1容器403と第2容器405とに収容された液体に接触される。このような第1噴出部415と第2噴出部417とは、超音波発生部37への通電により、それぞれ第1容器403と第2容器405とに収容された液体をミスト状にして混合部7に向けて噴出する。
【0133】
混合部7は、第1噴出部415と第2噴出部417との周囲を覆う連結部材411に形成された周壁部419の内部空間となっている。この混合部7は、第1噴出部415と第2噴出部417とから噴出されたミスト状の液体を混合し、開口から混合されたミスト状の液体を放出する。
【0134】
なお、第1噴出部415と第2噴出部417とを、第1容器403と第2容器405との底壁に、それぞれの超音波発生部37が互いに対向するように傾斜して配置してもよい。加えて、連結部材411の混合部7を形成する周壁部419に、例えば、案内部103(図15参照)のような案内部を設けてもよい。さらには、混合部7内に、例えば、ファン303(図42参照)のようなファンを設けてもよい。
【0135】
このような気体発生装置401では、噴出部5が、容器3の下方に配置されている。このため、重力によって、容器3に収容された液体を直接的に噴出部5に供給することができ、容器3に収容された液体を噴出部5に供給するまでの構造を簡易化することができる。
【0136】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0137】
本実施形態に係る気体発生装置では、噴出部が、電気的な手段を用いて液体をミスト状に噴出している。噴出部は、これに限らず、液体を加熱してミスト状にする、霧吹きのように液体を直接的にミスト状にするなど、液体をミスト状にできれば、噴出部はどのような形態であってもよい。
【0138】
また、複数の容器は、2つ、或いは3つとなっているが、これに限らず、容器を4つ以上設けてもよい。加えて、複数の容器に収容される液体は、どのような液体であってもよい。
【0139】
さらに、本実施形態に係る気体発生装置では、噴出部の配置、案内部、ファン、噴出部が容器の下方に配置のように、各実施形態の特徴部分を独立して開示している。しかしながら、気体発生装置に、各実施形態の特徴部分を複数有するように適用してもよい。
【符号の説明】
【0140】
501、501a、501b 気体発生装置(二酸化塩素発生装置)
503 第1の容器(アンプル)
505 第2の容器
507 第1の薬剤(亜塩素酸ナトリウム)
509 第2の薬剤(クエン酸)
513 第3の容器
515 溶存液(水)
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