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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043618
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】重合性液晶組成物および液晶重合体類
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/30 20060101AFI20220309BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20220309BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220309BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
C08F220/30
G02B5/30
G02F1/1335 510
G02F1/13363
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148985
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596032100
【氏名又は名称】JNC石油化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】菊地 彩子
(72)【発明者】
【氏名】森 さくら
(72)【発明者】
【氏名】大槻 大輔
【テーマコード(参考)】
2H149
2H291
4J100
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AB01
2H149AB13
2H149BA02
2H149DA02
2H149DA12
2H149EA02
2H149FA24Y
2H149FA33Y
2H149FD25
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA30Z
2H291FB03
2H291FB04
2H291FB05
2H291FB21
2H291FC32
2H291FC33
2H291FD35
2H291GA08
2H291LA04
2H291LA22
2H291PA04
2H291PA08
2H291PA44
2H291PA82
4J100AL66P
4J100AL66Q
4J100AL66R
4J100BA02P
4J100BA02Q
4J100BA02R
4J100BA15P
4J100BA15Q
4J100BC04P
4J100BC15R
4J100BC43P
4J100BC43Q
4J100BC48R
4J100BD13P
4J100BD13Q
4J100BD13R
4J100FA19
4J100JA32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】正面コントラストを向上させ、かつ、230℃の処理であってもReの減少を抑制する位相差膜を与える、重合性液晶組成物の提供。
【解決手段】式(1)で表される重合性液晶化合物と、式(2)または式(3)で表される重合性液晶化合物とを含有する重合性液晶組成物。



【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される重合性液晶化合物と、
式(2)または式(3)で表される重合性液晶化合物とを
含有する重合性液晶組成物。
式(1)中、
は、独立して、1,4-フェニレン、1,4-シクロヘキシレンまたはナフタレン-2,6-ジイルであり、この1,4-フェニレンまたはナフタレン-2,6-ジイルにおいて少なくとも1つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ホルミル、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ、炭素数1~5のアルケニル、炭素数1~5のアルコキシカルボニル、炭素数1~5のアルカノイル、炭素数1~5のアルカノイルオキシ、炭素数1~5のフルオロアルキルまたは式(P-1)で表される基で置き換えられてもよく、
は、独立して、単結合、-CHCH-、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CHCHCOO-または-OCOCHCH-であり、
nおよびmは、0、1または2であり、かつnおよびmのうち少なくとも一つは1であり、
は、独立して、式(P-1)で表される基であり、
式(P-1)中、
は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-または-OCOO-であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの-CH-は-O-、-COO-または-OCO-で置き換えられてもよく、
PGは、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシである。
式(2)中、
は、炭素数1~5のアルキル、炭素数1~5のアルコキシ、炭素数2~5のアルケニル、炭素数1~5のアルコキシカルボニル、炭素数1~5のアルカノイル、炭素数1~5のアルカノイルオキシ、炭素数1~5のフルオロアルキルまたは式(P-2)で表される基であり、これらの基において少なくとも一つの-CH-は-O-で置き換えられてもよく、
は、独立して、1,4-フェニレン、1,4-シクロヘキシレンまたはナフタレン-2,6-ジイルであり、この1,4-フェニレンまたはナフタレン-2,6-ジイルにおいて少なくとも1つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ホルミル、炭素数1~5のアルキル、炭素数1~5のアルコキシ、炭素数1~5のアルケニル、炭素数1~5のアルコキシカルボニル、炭素数1~5のアルカノイル、炭素数1~5のアルカノイルオキシ、炭素数1~5のフルオロアルキルまたは式(P-2)で表される基で置き換えられてもよく、
は、独立して、単結合、-CHCH-、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-OCHCHO-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CHCHCOO-または-OCOCHCH-であり、かつZのうち少なくとも一つは-CHCHCOO-または-OCOCHCH-であり、
rおよびsは、独立して、1または2であり、かつrおよびsのうち少なくとも一つは2であり、
は、独立して、式(P-2)で表される基であり、
式(P-2)中、
は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-または-OCOO-であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの-CH-は、-O-、-COO-または-OCO-で置き換えられてもよく、
PGは、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシである。
式(3)中、
は、独立して、水素、フッ素、炭素数1~5のアルキル、炭素数2~5のアルケニルまたは炭素数1~5のフルオロアルキルであり、
は、独立して、1,4-フェニレン、1,4-シクロヘキシレンまたはナフタレン-2,6-ジイルであり、この1,4-フェニレンまたはナフタレン-2,6-ジイルにおいて、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ホルミル、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ、炭素数1~5のアルケニル、炭素数1~5のアルコキシカルボニル、炭素数1~5のアルカノイル、炭素数1~5のフルオロアルキルまたは式(P-3)で表される基で置き換えられてもよく、
は、独立して、単結合、-CHCH-、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-OCHCHO-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CHCHCOO-、-OCOCHCH-、-CHCHOCO-または-COOCHCH-であり、
tおよびuは、独立して、0、1または2であり、
は独立して式(P-3)で表される基である。
式(P-3)中、
は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-または-OCOO-であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの-CH-は-O-、-COO-または-OCO-で置き換えられてもよく、
PGは、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシである。
【請求項2】
重合性液晶組成物全量に基づいて、式(1)で表される重合性液晶化合物の総量が5~50重量%であり、かつ、式(2)および式(3)で表される重合性液晶化合物の総量が5~80重量%である請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【請求項3】
式(1)で表される重合性液晶化合物と、
式(2)で表される重合性液晶化合物と、
式(3)で表される重合性液晶化合物とを含む請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【請求項4】
式(1)で表される重合性液晶化合物の総量が5~50重量%であり、
式(2)で表される重合性液晶化合物の総量が5~80重量%であり、かつ、
式(3)で表される重合性液晶化合物の総量が5~80重量%である請求項1または3に記載の重合性液晶組成物。
【請求項5】
重合開始剤、界面活性剤および酸化防止剤のうちの少なくとも1つを含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物を含有する溶液。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物の硬化物からなる液晶重合体類。
【請求項8】
請求項7の液晶重合体類からなる位相差膜。
【請求項9】
請求項8に記載の位相差膜を含む偏光板。
【請求項10】
請求項8に記載の位相差膜を含む表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、重合性液晶組成物および液晶重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
重合性液晶組成物を硬化させて得られる液晶重合体は、光学素子になる。画像表示の高品位化を意図し、表示素子は当該光学素子を内蔵する。
【0003】
特許文献1は、液晶重合体からなる位相差膜について言及する。
特許文献2は、重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物を硬化させて得た液晶重合体について言及する。
特許文献3は、シルセスキオキサン構造を有する重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物を硬化させて得た位相差膜について言及する。
【0004】
高画質を実現するため、正面コントラストの向上が求められている。
【0005】
液晶セルの内側に位相差膜を配置する液晶表示素子がある。当該表示素子における典型的な製造工程では、230℃前後での表示素子に対する熱処理工程がある。そのため、位相差膜の耐熱性が低いと、当該表示素子は、高画質を維持して、量産化しにくい。
【0006】
【特許文献1】特開2016-051178号公報
【特許文献2】国際公開2018/030190号
【特許文献3】特開2015-105986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
液晶重合体からなる位相差膜の、光学的性能を向上させ、かつ、耐熱性を向上させることであり、詳しくは、正面コントラストを向上させ、かつ、230℃の処理であってもReの減少を抑制することが、本態様の課題である。高画質な表示素子であって、当該位相差膜により熱処理工程により製造されるものが量産しやすくさせることも、本態様の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の態様は、以下の[1]から[11]である。
【0009】
[1]
式(1)で表される重合性液晶化合物と、
式(2)または式(3)で表される重合性液晶化合物とを
含有する重合性液晶組成物。
式(1)中、
は、独立して、1,4-フェニレン、1,4-シクロヘキシレンまたはナフタレン-2,6-ジイルであり、この1,4-フェニレンまたはナフタレン-2,6-ジイルにおいて少なくとも1つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ホルミル、炭素数1~5のアルキル、炭素数1~5のアルコキシ、炭素数1~5のアルケニル、炭素数1~5のアルコキシカルボニル、炭素数1~5のアルカノイル、炭素数1~5のアルカノイルオキシ、炭素数1~5のフルオロアルキルまたは式(P-1)で表される基で置き換えられてもよく、
は、独立して、単結合、-CHCH-、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CHCHCOO-または-OCOCHCH-であり、
nおよびmは、0、1または2であり、かつnおよびmのうち少なくとも一つは1であり、
は、独立して、式(P-1)で表される基であり、
式(P-1)中、
は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-または-OCOO-であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの-CH-は-O-、-COO-または-OCO-で置き換えられてもよく、
PGは、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシである。
式(2)中、
は、炭素数1~5のアルキル、炭素数1~5のアルコキシ、炭素数2~5のアルケニル、炭素数1~5のアルコキシカルボニル、炭素数1~5のアルカノイル、炭素数1~5のアルカノイルオキシ、炭素数1~5のフルオロアルキルまたは式(P-2)で表される基であり、これらの基において少なくとも一つの-CH-は-O-で置き換えられてもよく、
は、独立して、1,4-フェニレン、1,4-シクロヘキシレンまたはナフタレン-2,6-ジイルであり、この1,4-フェニレンまたはナフタレン-2,6-ジイルにおいて少なくとも1つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ホルミル、炭素数1~5のアルキル、炭素数1~5のアルコキシ、炭素数1~5のアルケニル、炭素数1~5のアルコキシカルボニル、炭素数1~5のアルカノイル、炭素数1~5のアルカノイルオキシ、炭素数1~5のフルオロアルキルまたは式(P-2)で表される基で置き換えられてもよく、
は、独立して、単結合、-CHCH-、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-OCHCHO-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CHCHCOO-または-OCOCHCH-であり、かつZのうち少なくとも一つは-CHCHCOO-または-OCOCHCH-であり、
rおよびsは、それぞれ独立して、1または2であり、かつrおよびsのうち少なくとも一つは2であり、
は、独立して、式(P-2)で表される基であり、
式(P-2)中、
は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-または-OCOO-であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの-CH-は-O-、-COO-または-OCO-で置き換えられてもよく、
PGは、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシである。
式(3)中、
は、独立して、水素、フッ素、炭素数1~5のアルキル、炭素数2~5のアルケニルまたは炭素数1~5のフルオロアルキルであり、
は、独立して、1,4-フェニレン、1,4-シクロヘキシレンまたはナフタレン-2,6-ジイルであり、この1,4-フェニレンまたはナフタレン-2,6-ジイルにおいて、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ホルミル、炭素数1~5のアルキル、炭素数1~5のアルコキシ、炭素数1~5のアルケニル、炭素数1~5のアルコキシカルボニル基、炭素数1~5のアルカノイル、炭素数1~5のフルオロアルキルまたは式(P-3)で表される基で置き換えられてもよく、
は、独立して、単結合、-CHCH-、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-OCHCHO-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CHCHCOO-、-OCOCHCH-、-CHCHOCO-または-COOCHCH-であり、
tおよびuは、独立して、0、1または2であり、
は独立して式(P-3)で表される基である。
式(P-3)中、
は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-または-OCOO-であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの-CH-は-O-、-COO-または-OCO-で置き換えられてもよく、
PGは、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシである。
【0010】
[2]式(1)で表される重合性液晶化合物の総量が5~50重量%であり、かつ、式(2)および式(3)で表される重合性液晶化合物の総量が5~80重量%である[1]の重合性液晶組成物。
【0011】
[3]式(1)で表される重合性液晶化合物と、
式(2)で表される重合性液晶化合物と、
式(3)で表される重合性液晶化合物とを含む[1]に記載の重合性液晶組成物。
【0012】
[4]式(1)で表される重合性液晶化合物の総量が5~50重量%であり、
式(2)で表される重合性液晶化合物の総量が5~80重量%であり、かつ、
式(3)で表される重合性液晶化合物の総量が5~80重量%である[1]に記載の重合性液晶組成物。
【0013】
[5]重合開始剤、界面活性剤および酸化防止剤の少なくとも1つを含有する[1]から[4]に記載の重合性液晶組成物。
【0014】
[6][1]から[5]のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物を含有する溶液。
【0015】
[7][1]から[5]のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物の硬化物からなる液晶重合体類。
【0016】
[8] [7]に記載のの液晶重合体類からなる位相差膜。
【0017】
[9][8]に記載の位相差膜を含む偏光板。
【0018】
[10][8]に記載の位相差膜を含む表示素子。
【発明の効果】
【0019】
[1]から[5]に記載の重合性液晶組成物の硬化物からなる位相差膜は、光学的性能が高く、かつ、耐熱性がある。
[6]に記載の溶液の硬化物からなる位相差膜は、光学的性能が高く、かつ、耐熱性がある。
[7]の液晶重合体類からなる位相差膜は、光学的性能が高く、かつ、耐熱性がある。
[8]の位相差膜は、光学的性能が高く、かつ、耐熱性がある。
[9]の偏光板は、光学的性能が高く、かつ、耐熱性がある。
[10]の表示素子は高画質であり、かつ、当該表示素子は熱処理工程により製造される場合でも量産されやすい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示において、「易設計性」は、重合性液晶組成物に対する特性をいう。
本開示において、「保存性」とは、重合性液晶組成物に対する特性をいう。
【0021】
本開示において、「耐熱性」は、液晶重合体類に対する特性をいう。
本開示において、「光学特性」は、液晶重合体類に対する特性をいう。
本開示において、「機械的特性」は、液晶重合体類に対する特性をいう。
本開示において、「耐久性」とは、液晶重合体類に対する特性をいう。
【0022】
本開示において、「量産化」とは、低コスト、短時間および/または多量に製造できることなどを含む。
【0023】
本開示において、「正面コントラスト」とは、2枚の偏光板の間に物体を配置した際の、(パラレルニコル状態での輝度)/(クロスニコル状態での輝度)の値である。
本開示において、「パラレルニコル状態」とは対向配置した偏光板の偏光軸が一致した状態である。
本開示において、「クロスニコル状態」とは対向配置した偏光板の偏光軸が直交した状態である。
【0024】
本開示において、「Δn」は液晶重合体の複屈折率である。
本開示において、「d」は、液晶重合体の厚みである。
本開示において、「Re」とは、常光に対する異常光の位相の遅れ、レターデーションである。
Re=Δn・dの関係がある。
【0025】
本開示において「化合物(X)」とは、式(X)で表わされる化合物である。ここで「化合物(X)」中のXは文字列、数字、記号等である。
式(X)で表わされる化合物が複数存在するときは、「化合物(X)を含有する」との記載は、式(X)で表わされる化合物が複数含有してもいい。
【0026】
本開示において「液晶組成物」とは、液晶相を有する混合物である。
本開示において「液晶化合物」とは、(A)純物質として液晶相を有する化合物および(B)液晶組成物の成分となる化合物の総称である。
【0027】
本開示において、「重合性基」とは、化合物中に有すると、光、熱、触媒などの手段により重合しより大きな分子量を有する高分子へと変化させる官能基である。
本開示において、「単官能化合物」とは、重合性基を一つ有する化合物である。
【0028】
本開示において、「重合性化合物」とは、重合性基を少なくとも一つ有する化合物である。
本開示において「重合性液晶化合物」とは、液晶化合物であって、重合性化合物であるものをいう。
本開示において、「非液晶性重合性化合物」とは、純物質では液晶相を有さない化合物である重合性化合物である。
【0029】
本開示において、「重合性液晶組成物」とは、重合性化合物および液晶化合物を含む組成物又は「重合性液晶化合物」を含む組成物であって、液晶相を有する組成物である。
本開示において、「重合性液晶組成物溶液」とは、重合性液晶組成物と溶媒を含む混合物である。
【0030】
本開示において、「液晶重合体」とは、重合性液晶組成物の硬化物である。
本開示において、「基材付き液晶重合体」とは、基材上の重合性液晶組成物を硬化させて作成した、基材と液晶重合体からなる物である。
本開示において、「液晶重合体類」とは、「液晶重合体」と「基材付き液晶重合体」の総称である。
液晶重合体は、基材付き液晶重合体から、基材を取り除くことで、基材から分離できる。
本開示において、「位相差膜」とは、光学的異方性を有する素子であって、膜状または板状のものである。
【0031】
本開示において「プレチルト角」とは、液晶分子の配向方向と支持基材の面の間の角度である。
本開示において「チルト配向」とは、プレチルト角が5度から85度のことを指す。
本開示において「ホモジニアス配向」とは、プレチルト角が0度から5度のことを指す。
本開示において「ホメオトロピック配向」とは、プレチルト角が、85度から90度のことを指す。
本開示において「ツイスト配向」とは、液晶分子の長軸方向の配向方向が基材に対して平行であり、かつ、基材から離れるにしたがって、らせん軸を中心として階段状にねじれている状態である。
【0032】
本開示において「室温」とは、15℃から35℃の範囲である。
【0033】
化学式中に下記の基の記載があった場合には、波線部が該基の結合位置である。ここで下記のArbitraryは任意の原子または基である。
【0034】
≪重合性液晶組成物≫ 本開示の重合性液晶組成物は、式(1)で表される重合性液晶化合物と、式(2)または式(3)で表される重合性液晶化合物とを含有する。重合性液晶組成物中のそれぞれ、化合物(1)、化合物(2)または化合物(3)は、1つでも複数でもかまわない。式(1)および式(2)または式(3)で表される重合性液晶化合物を加えた重合性液晶組成物を原料とする液晶重合体は、正面コントラストが向上し、耐熱性が向上する。
【0035】
本開示の重合性液晶組成物は、重合性液晶化合物を多量に含有しても、溶剤を除去した後も重合性液晶組成物中に、波長が100nm以上の紫外線及び可視光では、結晶が認識できない。この重合性液晶組成物から、光学的な欠陥が認められない硬化物を得ることができる。
【0036】
【0037】
式(1)中、
は、独立して、1,4-フェニレン、1,4-シクロヘキシレンまたはナフタレン-2,6-ジイルであり、この1,4-フェニレンまたはナフタレン-2,6-ジイルにおいて少なくとも1つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ホルミル、炭素数1~5のアルキル、炭素数1~5のアルコキシ、炭素数1~5のアルケニル、炭素数1~5のアルコキシカルボニル、炭素数1~5のアルカノイル、炭素数1~5のアルカノイルオキシ、炭素数1~5のフルオロアルキルまたは式(P-2)で表される基で置き換えられてもよい。
【0038】
は、それぞれ独立して、単結合、-CHCH-、-COO-、-OCO-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CHCHCOO-または-OCOCHCH-である。
【0039】
nおよびmは、それぞれ独立して、0、1または2であり、かつnおよびmのうち少なくとも一つは1である。
【0040】
は、独立して、式(P-1)で表される基である。
式(P-1)中、
は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-または-OCOO-であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの-CH-は-O-、-COO-または-OCO-で置き換えられてもよく、
PGは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である。
耐久性のため、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が、好ましい。
【0041】
式(1-1)~(1-3)で表される化合物が、式(1)で表される重合性液晶化合物例である。
【0042】
【0043】
式(1-1)~(1-3)において、
は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-または-OCOO-であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの-CH-は、-O-、-COO-または-OCO-で置き換えられてもよく、
PGは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である。
【0044】
式(2)中、
は、炭素数1~5のアルキル、炭素数1~5のアルコキシ、炭素数2~5のアルケニル、炭素数1~5のアルコキシカルボニル、炭素数1~5のアルカノイル、炭素数1~5のアルカノイルオキシ、炭素数1~5のフルオロアルキルまたは式(P-2)で表される基であり、これらの基において少なくとも一つの-CH2-は、-O-で置き換えられてもよい。
易設計性ため、Wは、炭素数1~5のアルコキシ、炭素数1~5のアルコキシカルボニル、炭素数1~5のアルカノイルまたは炭素数1~5のアルカノイルオキシが、好ましい。
【0045】
式(2)中、
は、独立して、1,4-フェニレン、1,4-シクロヘキシレンまたはナフタレン-2,6-ジイルである。この場合、1,4-フェニレンまたはナフタレン-2,6-ジイルにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、シアノ、ホルミル、炭素数1~5のアルキル、炭素数1~5のアルコキシ、炭素数1~5のアルケニル、炭素数1~5のアルコキシカルボニル、炭素数1~5のアルカノイル、炭素数1~5のアルカノイルオキシ、炭素数1~5のフルオロアルキルまたは式(P-2)で表される基で置き換えられてもよい。
【0046】
式(2)中、
は、それぞれ独立して、単結合、-CHCH-、-COO-、-OCO-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CHCHCOO-または-OCOCHCH-であり、かつZのうち少なくとも一つは-CHCHCOO-または-OCOCHCH-である。易設計性のため、Zのうち少なくとも一つは、-CHCHCOO-または-OCOCHCH-が好ましい。
【0047】
rおよびsは、それぞれ独立して、1または2であり、かつ、rおよびsのうち少なくとも一つは、2である。
【0048】
は独立して式(P-2)で表される基である。
式(P-2)中、
は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-または-OCOO-である。
は、単結合または炭素数1~20のアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの-CH-は、-O-、-COO-または-OCO-で置き換えられてもよい。
PGは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である。
【0049】
式(2-1)~(2-9)で表される化合物が、式(2)で表される重合性液晶化合物の例である。
【0050】
【0051】
式(2-1)~(2-9)において、
は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-または-OCOO-であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの-CH-は-O-、-COO-または-OCO-で置き換えられてもよく、
PGは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である。
【0052】
【0053】
式(3)中、
は、独立して、水素、フッ素、炭素数1~5のアルキル、炭素数2~5のアルケニルまたは炭素数1~5のフルオロアルキルである。
【0054】
は、独立して、1,4-フェニレン、1,4-シクロヘキシレンまたはナフタレン-2,6-ジイルである。この場合、1,4-フェニレンまたはナフタレン-2,6-ジイルにおいて、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ基、ホルミル基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のアルケニル基、炭素数1~5のアルコキシカルボニル基、炭素数1~5のアルカノイル基、炭素数1~5のフルオロアルキル基または式(P-3)で表される基で置き換えられてもよい。
【0055】
は、それぞれ独立して、単結合、-CHCH-、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-OCHCHO-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CHCHCOO-、-OCOCHCH-、-CHCHOCO-または-COOCHCH-である。
【0056】
tおよびuは、それぞれ0、1または2である。
【0057】
は、独立して、式(P-3)で表される基である。
式(P-3)中、
は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-または-OCOO-であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの-CH-は-O-、-COO-または-OCO-で置き換えられてもよく、
PGは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である。
【0058】
式(3-1)~(3-6)で表される化合物が、式(3)で表される重合性液晶化合物の例である。
【0059】
【0060】
式(3-1)~式(3-6)において、
は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-または-OCOO-であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの-CH-は-O-、-COO-または-OCO-で置き換えられてもよく、PGは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である。
【0061】
光学特性および耐熱性のため、本開示の重合性液晶組成物は、化合物(1)を少なくとも1種と化合物(2)を少なくとも1種、および化合物(3)を少なくとも1種含有することがより好ましい。光学特性および/または易設計性のため、重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物(1)の総重量は、5~50重量%が好ましい。光学特性および/または易設計性のため、重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物(2)の総重量は、5~80重量%が好ましい。光学特性および/または易設計性のため、重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物(3)の総重量は、5~80重量%が好ましい。
【0062】
本開示の重合性液晶組成物は、式(4)で表される重合性液晶化合物を含有してもよい。
【0063】
【0064】
式(4)中、
は、独立して、1,4-フェニレン、1,4-シクロヘキシレンまたはナフタレン-2,6-ジイルである。この場合、1,4-フェニレンまたはナフタレン-2,6-ジイルにおいて、少なくとも一つの水素は、フッ素、塩素、シアノ基、ホルミル基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のアルケニル基、炭素数1~5のアルコキシカルボニル基、炭素数1~5のアルカノイル基、炭素数1~5のフルオロアルキル基または式(P-4)で表される基で置き換えられてもよい。
【0065】
は、独立して、単結合、-CHCH-、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-OCHCHO-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CHCHCOO-、-OCOCHCH-、-CHCHOCO-または-COOCHCH-である。
【0066】
qは、独立して、1または2である。
【0067】
tおよびuは、それぞれ、0、1または2である。
【0068】
Rは、水素、フッ素、塩素、シアノ基、ホルミル基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルケニル基、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基、炭素数1~10のアルカノイル基、炭素数1~5のフルオロアルキル基または式(P-4)で表される基である。
式(P-4)中、
は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-または-OCOO-であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレンである。この場合、該アルキレンにおいて、少なくとも一つの-CH-は、-O-、-COO-または-OCO-で置き換えられてもよく、
PGは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である。
【0069】
≪重合性液晶組成物の添加物≫
重合性液晶組成物の液晶相の発現を損なわない限り、本開示の重合性液晶組成物は、重合性液晶化合物以外の添加物を、含有してもよい。
【0070】
光学特性のため、重合性液晶組成物に対し、界面活性剤の添加が好ましく、非イオン性界面活性剤の添加がより好ましい。
【0071】
光学特性のため、非イオン性界面活性剤は、液晶重合体の空気界面側のチルト配向を抑制する効果があるため好ましく、当該界面活性剤は、紫外線で重合反応を開始する界面活性剤がより、好ましい。シリコーン系非イオン性界面活性剤、フッ素系非イオン性界面活性剤、ビニル系非イオン性界面活性剤、炭化水素系非イオン性界面活性剤などが、非イオン性界面活性剤である。
【0072】
光学特性および易設計性のため、重合性液晶組成物全量に対する、重合性液晶組成物中の界面活性剤の総量は、0.01~5重量%が好ましく、0.05~1重量%がより好ましい。
【0073】
シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーであって、側鎖および/または末端にポリエーテルや長鎖アルキルなどの有機基を導入した化合物などが、シリコーン系非イオン性界面活性剤である。
【0074】
炭素数2~7のパーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基を有する化合物などが、フッ素系非イオン界面活性剤である。
ビニル系非イオン性界面活性剤として、重量平均分子量が1000~1000000の(メタ)アクリル系高分子などが挙げられる。
【0075】
本開示の重合性液晶組成物は、非液晶性重合性化合物を含有してもよい。易設計性のため、当該重合性液晶組成物中の非液晶性重合性化合物の総量は、当該重合性液晶組成物中の重合性化合物の合計重量比で30重量%以下が好ましい。
【0076】
機械的特性および/または耐久性のため、重合性液晶組成物は、多官能非液晶性重合性化合物の添加が好ましい。
非液晶性重合性化合物はビニル系重合性基を1つまたは2つ以上有する化合物が典型的である。
【0077】
重合性液晶組成物への側鎖および/または末端に極性基を有する非液晶性重合性化合物の添加により、液晶重合体と光配向膜との密着性の向上が期待できる。
スチレン、核置換スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸、脂肪酸ビニル、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸、アルキルの炭素数が1~18である(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、ヒドロキシアルキルの炭素数が1~18である(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、アミノアルキルの炭素数が1~18である(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル、エーテル酸素含有アルキルの炭素数が3~18である(メタ)アクリル酸のエーテル酸素含有アルキルエステル、N-ビニルアセトアミド、p-t-ブチル安息香酸ビニル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2,2-ジメチルブタン酸ビニル、2,2-ジメチルペンタン酸ビニル、2-メチル-2-ブタン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、2-エチル-2-メチルブタン酸ビニル、ジシクロペンタニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2-アクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、2-アクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート、2-メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート、重合度2~100のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルまたはジ(メタ)アクリル酸エステル若しくは末端が炭素数1~6のアルキルによってキャップされた重合度2~100のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体であるポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルなどが、単官能化合物である非液晶性重合性化合物である。酢酸ビニルなどが「肪肪酸ビニル」である。アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などが、「α,β-エチレン性不飽和カルボン酸」である。メトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、メトキシプロピルエステル、メチルカルビルエステル、エチルカルビルエステル、ブチルカルビルエステルなどが、「エーテル酸素含有アルキルの炭素数が3~18である(メタ)アクリル酸のエーテル酸素含有アルキルエステル」である。
【0078】
1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールA EO付加ジアクリレート、ビスフェノールAグリシジルジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、これらの化合物のメタクリレート化合物などが、2官能非液晶性重合性化合物である。
【0079】
ペンタエリストールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールEO付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリストールトリメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、トリメチロールEO付加トリメタアクリレート、トリスメタアクリロイルオキシエチルフォスフェート、トリスメタアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリメタアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリメタアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレートなどが、3官能以上の多官能非液晶性重合性化合である。
【0080】
ビスフェノール構造又はカルド構造を有する重合性化合物の重合性液晶組成物への添加は、重合体の硬化度の向上及び液晶重合体のホメオトロピック配向を誘導する。
【0081】
カルド構造を有する重合性フルオレン誘導体として、化合物(α-1)~(α-3)などが挙げられる。
【0082】
式(α-1)~(α-3)において、Rαは独立して水素またはメチルであり、sは独立して0~4の整数である。
【0083】
重合開始剤の添加は、重合性液晶組成物の重合速度を最適化する。硬化プロセスの容易さから、重合開始剤は光ラジカル開始剤が好ましい。
【0084】
該光ラジカル開始剤として、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、p-メトキシフェニル-2,4-ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2-(p-ブトキシスチリル)-5-トリクロロメチル-1,3,4-オキサジアゾール、9-フェニルアクリジン、9,10-ベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン混合物、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール混合物、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2,4-ジエチルキサントン/p-ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物、ベンゾフェノン/メチルトリエタノールアミン混合物、アデカアークルズN-1919、アデカアークルズNCI-831、アデカアークルズNCI-930、アデカアークルズNCI-730、オムニラッド127、オムニラッド184、オムニラッド369、オムニラッド379、オムニラッド500、オムニラッド651、オムニラッド754、オムニラッド819、オムニラッド907、オムニラッド1173、オムニラッド2022、オムニラッド2100、オムニラッド2959、オムニラッド4265、イルガキュアーOXE01、イルガキュアーOXE02、オムニラッドMBF、オムニラッドTPOなどが挙げられる。ここでアデカアークルズ、オムニラッドおよびイルガキュアーは、登録商標である。
【0085】
光学特性、機械的特性および耐久性の観点から、重合性液晶組成物中の光ラジカル重合開始剤の総含有重量は、重合性液晶組成物全量に対して、1~30重量%が好ましく、1~15重量%がより好ましく、3~10重量%が更に好ましい。
【0086】
機械的特性および耐久性の観点から、光ラジカル重合開始剤を含有する重合性液晶組成物は、増感剤を添加することが好ましい。イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチル-4ジメチルアミノベンゾエート、および2-エチルヘキシル-4-ジメチルアミノベンゾエートなどが増感剤である。
【0087】
重合性液晶組成物への連鎖移動剤の添加により、重合性液晶化合物の反応率および液晶重合体中の重合体の鎖の長さが調整できる。該連鎖移動剤の量の増加により、重合性液晶化合物の反応率は低下する。該連鎖移動剤の量の増加により、該重合体の鎖の長さは減少する。機械的特性および耐久性の観点から、重合性液晶化合物の反応率および液晶重合体中の重合体の鎖の長さの調整は、好ましい。
【0088】
単官能チオール誘導体、多官能知オール誘導体およびスチレンダイマー誘導体などが、連鎖移動剤である。
【0089】
ドデカンチオール、2-エチルへキシル-(3-メルカプト)プロピオネートなどが、チオール誘導体である。
【0090】
トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンなどが、多官能チオール誘導体である。
【0091】
2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-1-ブテンなどが、スチレンダイマー系連鎖移動剤である。
保存性のため、重合性組成物への重合防止剤の添加が好ましい。
【0092】
(a)フェノール系酸化防止剤、(b)イオウ系酸化防止剤、(c)リン酸系酸化防止剤、(d)ヒンダードアミン系酸化防止剤などが、重合阻害剤である。易設計性や光学特性の観点から、フェノール系酸化防止剤が好ましい。易設計性の観点から、水酸基のオルト位にt-ブチル基を有するフェノール系酸化防止剤が好ましい。
【0093】
保存性、耐久性、機械的特性のため、重合性液晶組成物中の重合防止剤の総含有重量は、0.01~5重量%が好ましく、0.01~0.5重量%がより好ましい。
【0094】
重合性液晶組成物への紫外線吸収剤の添加は、重合性液晶組成物の耐候性を向上させる。
重合性液晶組成物への光安定剤の添加は、重合性液晶組成物の耐候性を向上させる。
重合性液晶組成物への酸化防止剤の添加は、重合性液晶組成物の耐候性を向上させる。
重合性液晶組成物へのシランカップリング剤の添加は、耐久性、光学的特性、機械的特性を改善する。
【0095】
≪重合性液晶組成物溶液≫
易設計性野ため、重合性液晶組成物に、溶剤を添加することが好ましい。易設計性のため、重合性液晶組成物溶液中の重合性液晶組成物の含有量は、5~50重量%が好ましく、15~40重量%がより好ましい。
【0096】
エステル系溶媒、アミド系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、環状エーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アセテート系溶媒などが、典型的な溶媒の成分である。
【0097】
エステル系溶媒とは、エステル結合を有する化合物であって、溶媒の成分となるものを指す。
酢酸アルキル、トリフルオロ酢酸エチル、プロピオン酸アルキル、酪酸アルキル、マロン酸ジアルキル、グリコール酸アルキル、乳酸アルキル、モノアセチン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトンなどが、エステル系溶媒である。
【0098】
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸3-メトキシブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチルなどが、酢酸アルキルである。
【0099】
プロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチルなどが、プロピオン酸アルキルである。
酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸プロピルなどが酪酸アルキルである。
【0100】
マロン酸ジエチルなどが、マロン酸ジアルキルである。
グリコール酸メチル、グリコール酸エチルなどが、グリコール酸アルキルである。
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸イソプロピル、乳酸n-プロピル、乳酸ブチル、乳酸エチルヘキシルなどが、乳酸アルキルである。
【0101】
アミド系溶媒とは、アミド結合を有する化合物であって、溶媒の成分となるものである。
N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロピオンアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミドジメチルアセタール、N-メチルカプロラクタム、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが、アミド系溶媒である。
【0102】
アルコール系溶媒とは、水酸基を有する化合物であって、溶媒の成分となるものである。
メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-メトキシ-2-プロパノール、t-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、ブタノール、3-メトキシブタノール、2-エチルブタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、1-ドデカノール、エチルヘキサノール、3、5、5-トリメチルヘキサノール、n-アミルアルコール、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-3-メトキシブタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、テルピネオール、ジヒドロテルピネオールなどが、アルコールである。
【0103】
エーテル系溶媒とは、エーテル結合を有する化合物であって、溶媒の成分となるものである。
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ビス(2-プロピル)エーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、アニソール、シクロペンチルメチルエーテル、メチルt-ブチルエーテルなどが、エーテル系溶媒である。
【0104】
環状エーテル系溶媒とは、エーテル結合を有する環状化合物であって、溶媒の成分となるものである。
1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフランなどが、環状エーテル系溶媒である。
【0105】
芳香族炭化水素系溶媒とは、芳香族炭化水素を有する化合物であって、溶媒の成分となるものである。
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、i-プロピルベンゼン、n-プロピルベンゼン、t-ブチルベンゼン、s-ブチルベンゼン、n-ブチルベンゼン、テトラリンなどが、芳香族炭化水素系溶媒である。
【0106】
クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼンなどが、ハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒である。
ヘキサン、ヘプタン、ミルセンなどが、脂肪族炭化水素系溶媒である。
【0107】
クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどがハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒である。
シクロヘキサン、シクロヘプタン、デカリン、α-ピネン、β-ピネン、D-リモネンなどが、脂環式炭化水素である。
【0108】
ケトン系溶媒とは、ケトン構造を有する化合物であって、溶媒の成分となるものである。
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルプロピルケトンなどが、ケトン系溶媒である。
【0109】
アセテート系溶媒とは、アセトキシ基を有する化合物であって、溶媒の成分となるものである。
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、アセト酢酸メチル、1-メトキシ-2-プロピルアセテートなどが、アセテート系溶媒である。
【0110】
本開示の重合性液晶組成物は光学活性を有する化合物を含有してもよい。光学活性を有する化合物の液晶組成物への添加は、液晶重合体をツイスト配向に誘導する。該液晶重合体は、300~2000nmの波長領域における選択反射フィルム及びネガティブ型Cプレートとして使用できる。
光学活性を有する化合物の含有量を調整することで、特定の波長領域の光であって特定の円偏光を選択的に反射する、反射膜として用いることが出来る。光学活性を有する化合物の含有量の調整による当該反射の選択性の調整は、当業者による設計事項である。
【0111】
光学活性を有する化合物として、イソソルビドおよびイソマンニドなどの不斉炭素を有する化合物、ビナフチル構造及びヘリセン構造などを有する軸不斉化合物並びにシクロファン構造などを有する面不斉化合物などが、挙げられる。耐久性のため、この場合の光学活性を有する化合物は、重合性の化合物であることが好ましい。
【0112】
本開示の液晶重合体は二色性色素を含有してもよい。二色性色素と複合化した液晶重合体は、偏光板として使用することができる。
【0113】
可視領域に偏光性能を示すため、二色性色素は、300~700nmの範囲に極大吸収波長を有するものが好ましい。二色性色素として、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素、アントラキノン色素などが利用できる。アゾ色素として、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素、スチルベンアゾ色素などが挙げられる。
【0114】
本開示の液晶重合体は、蛍光色素を含有してもよい。蛍光色素と複合化した液晶重合体は、偏光発光型フィルムおよび波長変換フィルムとして使用できる。
【0115】
≪基材≫
ガラス、プラスチック、および金属などが、基材として、利用できる。該ガラスや該金属は、表面にスリット状の加工を施してもよい。該プラスチックは、延伸処理並びに親水化処理および疎水化処理などの表面処理を施してもよい。
【0116】
基材上にホモジニアス配向およびチルト配向の液晶重合体を形成する場合は、重合性液晶組成物を基材に塗布する前に、基材に対し、表面処理を行い、液晶重合体の配向を誘導する。(a)基材に対しラビング、(d)基材に対し酸化ケイ素を傾斜蒸着、(c)偏光UV照射などの方法が、該表面処理である。
【0117】
光学特性のため、基材上に配向膜を形成することが好ましい。
【0118】
以下の手順は、該ラビングの例である。
(1)レーヨン、綿、ポリアミドなどの素材からなるラビング布を金属ロールなどに捲き付け、
(2)基材に該ロールを接し、
(3)該ロールを回転させながら基材表面と平行に該ロールを移動させる、又は該ロールを固定したまま基材を移動させる。
ラビングの前に、基材は、基材上に重合体の被膜を設け、該被膜上をラビングしてもいい。該被膜はポリイミド、ポリアミック酸またはポリビニルアルコールなどのラビング配向膜と呼ばれるものが用いられる。
光学的特性のため、ラビングが好ましい。
【0119】
以下の手順は、該偏光UV照射の一例である。
(1)基材上に、光配向膜と呼ばれる重合体被膜を設け、
(2)基材に波長250~400nmの直線偏光を照射する。
光学特性および/または機械的特性のため、基材は、加熱処理を施してもいい。
該光配向膜は、感光性基を含むポリイミド、ポリアミック酸またはポリアクリレートなどがある。該感光性基はカルコン、シンナメート、シンナモイルまたはアゾ基であることが好ましい。
光学特性および/または機械的特性のため、偏光UV照射が好ましい。
【0120】
≪液晶重合体≫
本開示の液晶重合体は、以下の工程で得る。
(1)重合性液晶組成物を基材上に塗布し、必要に応じて乾燥させて塗膜を形成させる。
(2)光、熱、触媒などの手段で該重合性液晶組成物を重合させ、液晶重合体を得る。
これにより、塗膜中の重合性液晶組成物が液晶状態の様態まま硬化する。
【0121】
機械的特性のため、重合性液晶組成物の基材への塗布は、スピンコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、メニスカスコート法およびダイコート法が好ましい。
【0122】
量産化のため、重合性液晶組成物から構成される塗膜を形成する際、乾燥中に熱処理することが好ましい。ホットプレートまたは乾燥炉の使用並びに温風又は熱風の吹き付けなどが該熱処理である。
【0123】
重合性液晶組成物を硬化させるため、電子線、光などが、利用できる。この場合、光の波長の範囲は、150~500nmが好ましく、250~450nmがより好ましく、300~400nmが最も好ましい。
【0124】
該光の光源として、低圧水銀ランプ、高圧放電ランプ、ショートアーク放電ランプが利用できる。殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ラックライトなどが、該低圧水銀ランプである。高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどが、該高圧放電ランプである。超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプなどが、該ショートアーク放電ランプである。
【0125】
偏光板の上に、重合性液晶組成物を塗布し、硬化させることで、光学補償等の機能を有する偏光板が、製造できる。1/4波長板のReを有する液晶重合体と、偏光板とを組合すことで、円偏光板が、製造できる。この場合、ヨウ素又は二色性色素をドープした吸収型の偏光板およびワイヤーグリッド偏光板等の反射型偏光板などが、該偏光板である。
【実施例0126】
本開示は公開した実施例のみに制限されない。
【0127】
1.用語の定義
実施例において、「NCI-730」は、(株)ADEKA製の開始剤、アデカアークルーズ(商標)NCI-730である。
実施例において、「NCI-930」は、(株)ADEKA製の開始剤、アデカアークルーズ(商標)NCI-930である。
実施例において、「FTX-218」は、(株)ネオス製の界面活性剤、フタージェント(商標)FTX-218である。
実施例において、「ポリフローNo.75」は、共栄社化学(株)のアクリル系界面活性剤、ポリフローNo.75である。
実施例において、「F-556」は、DIC(株)のフッ素系界面活性剤、メガファック(商標)F-556である。
実施例において、「AO-60」は、(株)ADEKA製の重合禁止剤、アデカスタブ(商標)AO-60である。
実施例において、「CHN」は、シクロヘキサノンである。
実施例において、「CPN」は、シクロペンタノンである。
化合物(1-2-1)、化合物(1-3-1)、化合物(2-5-1)、化合物(2-6-1)、化合物(3-1-1)、化合物(3-4-1)、化合物(4-1)、化合物(4-2)及び化合物(M-1)の構造は、以下のとおりである。
化合物(1-2-1)および化合物(1-3-1)は特開2013-253041に従い合成できる。化合物(2-5-1)は国際公開2018/030190に従い合成できる。化合物(2-6-1)は特開2018-076491に従い合成できる。化合物(3-1-1)特開2003-238491に従い合成できる。化合物(3-4-1)は特開2018-39990に従い合成できる。化合物(4-1)はMakromolekulare Chemie,(1991),192(1),59-74に従い合成できる。化合物(4-2)は特開2000-310715に従い合成できる。化合物(M-1)は特願2017-125009に従い合成できる。
【0128】
本開示の実施例において、「ワイヤーグリッド偏光板」は、ポラテクノ社製のUVT300Aである。
本開示の実施例において、「超高圧水銀灯」は、ウシオ電機社製のマルチライトUSH-250BYである。
本開示の実施例において、「365受光器」は、ウシオ電機社製のUVD-S365にウシオ電機社製のUIT-150-Aをつないだものである。
【0129】
2.光配向処理済み配向膜付きガラス基材の作製
光配向処理済み配向膜付きガラス基材を、以下の手順で作成する。
(1)ガラスに、光配向剤を、スピンコートし、
(2)得られたガラスを、スピンコートした面を上にして、60℃のホットプレートに置き、該光配向剤中の溶媒を除去することで塗膜を作成し、
(3)該塗膜に、空気雰囲気下において、室温で、塗布面の法線から、超高圧水銀灯を用いて365nmの波長の直線偏光を2000mJ/cmになるまで、照射し、
(4)その後、230℃に設定したオーブン中で、30分間静置し、光配向処理済み配向膜付きガラス基材を得る。
ここで、光配向剤は、PIA-105C-03Xは、JNC(株)製の、光配向処理用ポリマーである。当該光配向処理は、水平配向モードを誘導ものである。スピンコートは、スピンコート後の膜厚が、100nmとなるよう、調整する。
超高圧水銀灯からの光をワイヤーグリッド偏光板に透過することで、該直線偏光紫外線を得る。
該直線偏光紫外線は、365受光器で面積当たりのエネルギーを確認する。
【0130】
3.重合性液晶組成物溶液の調製
重合性液晶組成物溶液は以下の手順で作成する:
(1)表1に記載の重量比で、重合性液晶化合物、光重合開始剤、界面活性剤および重合禁止剤を混合し、重合性液晶組成物を得、
(2)表1に記載の重量比で、当該重合性液晶組成物と溶剤を、混合し、
(3)0.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、表1に記載の重合性液晶組成物溶液名を名付ける。
【0131】
表1


【0132】
4.液晶重合体の作成
液晶重合体を、以下の手順で作成する:
(1)重合性液晶組成物溶液を、室温で、光配向処理済み配向膜付きガラス基材上にスピンコートし、
(2)80℃のホットプレート上にスピンコートされて部分を上にして、当該ガラス基材を、2分間静置し、
(3)室温で当該ガラス基材を1分間、静置し、
(4)当該ガラス基材に、基材の法線方向から500mJ/cmのUVを照射し、液晶重合体を作成し、表2に記載の液晶重合体の名称を名付ける。
【0133】
表2

【0134】
5.液晶重合体の評価方法
実施例において、「偏光解析装置」は、シンテック(株)製のOPIPRO偏光解析装置である。
実施例において、「偏光顕微鏡」は(株)ニコン社製のECLIPSE E600 POLである。
実施例において、「輝度計」は、YOKOGAWA 3298Fである。
実施例において、「微細形状測定装置」は、KLA TENCOR(株)製のアルファステップIQである。
【0135】
<偏光解析装置による測定>
液晶重合体のReは、偏光解析装置で、光の入射角を0°にして計測する。計測に使用した光の波長は、550nmである。
【0136】
<ホモジニアス配向の判定>
偏光解析装置を用いて、液晶重合体の表面に対する光の入射角を-50°から50まで5°刻みで変えて、Reを計測した。ここで光の入射角の傾き方向は液晶重合体の遅相軸と同じである。以下の両方の条件を満たすときは、液晶重合体がホモジニアス配向であるとみなす。
(a)液晶重合体の入射角に対するReが上に凸である場合、かつ
(b)それぞれの、入射角の絶対値(absolute value)が同じときのReの計測値の差が、5%以内である場合。
【0137】
<クロスニコル状態での輝度の計測>
クロスニコル状態での輝度を以下の手順で測定。
(1)位相差膜を2枚の偏光板の間に挟持し、かつ、該両偏光板がクロスニコルになるように、輝度計に配置し、
(2)該位相差膜を水平に回転させた時に最小となった輝度を、「クロスニコル状態での輝度」とする。
【0138】
<パラレルニコル状態での輝度の計測>
パラレルニコル状態での輝度を以下の手順で測定した。
(1)位相差膜を2枚の偏光板の間に挟持し、かつ、該両偏光板がパラレルニコルになるように、輝度計に配置し、
(2)該位相差膜を水平に回転させた時に最大となった輝度を、「パラレルニコル状態での輝度」とする。
【0139】
<液晶重合体の正面コントラストの測定>
液晶重合体の正面コントラストは、「パラレルニコル状態での輝度」/「クロスニコル状態での輝度」で算出する。
【0140】
6.液晶重合体の評価結果
得られた液晶重合体(F-1)から液晶重合体(F-7)、液晶重合体(SF-7)および液晶重合体(SF-7)は、ホモジニアス配向である。
【0141】
得られた液晶重合体(F-1)から液晶重合体(F-7)、液晶重合体(SF-7)および液晶重合体(SF-7)は、偏光顕微鏡および偏光解析装置によって、配向欠陥が見つからない。
【0142】
液晶重合体の耐熱性評価を以下の手順で行った。
(1)基材付き液晶重合体の液晶重合体のReを求め、Re_aとし、
(2)当該基材付き液晶重合体を、230℃のオーブンに、30分静置し、
(3)当該基材付き液晶重合体を空冷し、
(4)当該基材付き液晶重合体の液晶重合体のReを求め、Re_bとし、
(5)Re_a/(Re_a/Re_b)を算出し、耐熱性を評価する。
【0143】
得られた液晶重合体(F-1)から液晶重合体(F-7)、液晶重合体(SF-7)および液晶重合体(SF-7)の、正面コントラスト、Re_a、Re_bおよびRe_a/(Re_a/Re_b)を、表3に記載する。
【0144】
表2は、本開示の液晶重合体(F-1)~(F-7)は液晶重合体(CF-1)および(CF-2)と比較し、正面コントラストが高く、かつ耐熱位相差維持率が高い液晶重合体が得られることを、示す。