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特開2022-43644無人飛行体およびそれを用いた健康管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043644
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】無人飛行体およびそれを用いた健康管理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 80/00 20180101AFI20220309BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20220309BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20220309BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220309BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20220309BHJP
   B64D 1/22 20060101ALI20220309BHJP
   B64D 1/12 20060101ALI20220309BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20220309BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20220309BHJP
   G16Y 10/60 20200101ALI20220309BHJP
【FI】
G16H80/00
A61B5/01 350
A61B5/11 120
B64C39/02
B64D47/08
B64D1/22
B64D1/12
A61J3/00 310Z
A61G12/00 Z
G16Y10/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149024
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】517198724
【氏名又は名称】株式会社セベック
(71)【出願人】
【識別番号】520342378
【氏名又は名称】株式会社エアーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100169775
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 祐史
(72)【発明者】
【氏名】小豆嶋 和洋
(72)【発明者】
【氏名】村山 明宏
【テーマコード(参考)】
4C038
4C047
4C117
4C341
5L099
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB03
4C038VB35
4C038VC05
4C047KK21
4C047KK22
4C047NN20
4C117XE23
4C117XE43
4C117XH02
4C341LL30
5L099AA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】人が容易に近づけない地区や地域へ、弁当などの物品を運ぶばかりでなく、医療従事者同士の情報伝達、医療従事者と医療サービスを受ける人の間の医療情報等のやり取りを可能にする無人飛行体及びそれを用いた健康管理システムを提供する。
【解決手段】健康管理システム10において、遠隔操作または自動操縦により空中を飛行する飛行体100にカメラ及びセンサを設置し、対象となる人の人物認証と健康チェックのために画像300を撮影する。診断装置400は、その画像から人物の体温分布(診断結果310)の履歴を記憶し、履歴を参照して健康状態を診断し、医療従事者等の支援機関500a、500bに送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作または自動操縦により空中を飛行する飛行体であって、
荷物を保持する保持部と、
前記保持部に近づく人物に対して自動に焦点を合わせて前記人物の身体の一部または全身を撮影して画像を得るカメラと、
前記画像を、前記画像を用いて前記人物の健康状態を診断して診断結果を得る診断装置に送る通信部と、を含む飛行体。
【請求項2】
前記カメラは、前記荷物を前記保持部から取り出した、または前記荷物を前記保持部に持ち込んだ前記人物を撮影する、請求項1記載の飛行体。
【請求項3】
前記診断装置は、前記人物の前記診断結果の履歴を記憶し、前記履歴を参照して、前記人物の前記健康状態を診断し、支援機関および/または前記人物に送信する、請求項1または2に記載の飛行体。
【請求項4】
前記診断装置は、前記人物の前記診断結果の履歴を記憶し、前記履歴を参照して、前記人物の前記健康状態および/または前記健康状態の改善のための処方を推定する、必要に応じて緊急対応の要不要の印を付して、支援機関および/または前記人物に送信する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の飛行体。
【請求項5】
前記診断装置は、前記履歴を参照して、作業依存的な確率推定、連想学習、信頼性・相関推定のいずれか一つの機能を含む人工知能を用いて、前記人物の前記健康状態および/または前記健康状態の改善のための処方を推定する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の飛行体。
【請求項6】
前記支援機関は医療機関または/および行政機関である、請求項3に記載の飛行体。
【請求項7】
前記画像は前記人物の顔並びに身体の動きの画像である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の飛行体。
【請求項8】
前記診断装置は、前記画像から前記人物の体温を推定する、請求項7に記載の飛行体。
【請求項9】
前記保持部はさらに生体センサを含み、前記生体センサは接触または非接触で前記荷物を引き取りに来る人物の体温、脈拍を生体情報として推定し、
前記通信部は前記生体情報を前記診断装置に送信する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の飛行体。
【請求項10】
さらに、前記人物の前記健康状態について前記診断装置または/および前記支援機関の見解を発する表示部を含む、請求項2乃至9のいずれか一項に記載の飛行体。
【請求項11】
前記表示部はスピーカー、ディスプレイの少なくとも一つを含む、請求項10に記載の飛行体。
【請求項12】
さらに、入力部を含み、前記入力部を介して入力される前記人物のコメントをリアルタイムに、または記録して前記診断装置または/および前記支援機関に伝える、請求項2乃至11のいずれか一項に記載の飛行体。
【請求項13】
前記入力部はマイクを含む音声入力装置、キーボードを含む文字入力装置、複数の選択肢から一つ又は複数を選択する選択装置の少なくとも一つを含む、請求項12に記載の飛行体。
【請求項14】
前記通信部は、さらに前記荷物が前記飛行体から取り出されたとき、前記荷物の発送者にその旨の信号を発信する、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の飛行体。
【請求項15】
前記荷物は、弁当を含む食料、飲料、医薬品の少なくとも一つを含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の飛行体。
【請求項16】
前記荷物は、前記弁当を前記人物が食べた後の食べ残しである、請求項15に記載の飛行体。
【請求項17】
前記診断装置または/および前記支援機関は、前記食べ残しから前記人物の健康状態を診断する請求項16に記載の飛行体。
【請求項18】
前記荷物は、前記医薬品を前記人物が服用しないまま残った未服用医療品である、請求項15乃至17のいずれか一項に記載の飛行体。
【請求項19】
前記診断装置は、前記診断結果に基づいて前記荷物の候補を前記荷物の発送者に知らせる、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の飛行体。
【請求項20】
前記カメラは可視光カメラおよび赤外線カメラである、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の飛行体。
【請求項21】
荷物を保持する保持部と、前記荷物を取得する人物に対して自動に焦点を合わせて前記人物の顔並びに身体の動きを撮影して画像を得るカメラと、前記画像を送信する通信部と、を含む遠隔操作または自動操縦により空中を飛行する飛行体と、
前記画像を用いて前記人物を診断して前記人物の健康状態に関する診断結果を得る診断装置と、を含む健康管理システム。

























【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体およびそれを用いた健康管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンと呼ばれる自律飛行が可能な無人飛行体の活用が注目されている。それはそのような無人飛行体が、人が容易に近づけない地区や地域にアクセス可能であることも一因である。例えば、無人飛行体は、災害時に道路が遮断されているような状況で、空路でモノを運ぶことが出来る。また、平時でも陸路を使うより早く、モノを運ぶことが出来る。
【0003】
一般に、自律的に飛行する無人飛行体では、予め定められた空路を飛ぶように設定され、飛行体はグローバル・ポジショニング・システム(GPS)等を用いて、自律的に飛行することが出来る。また、無人飛行体は、人が操縦せずともモノを運ぶことが出来るだけでなく、無人飛行体に備えられている装置を離れたところから操作して、作業をさせることもできる。
【0004】
一方で、医療分野では医師が直接的に患者と直接的には向き合わず、通信を介して診断等を行う遠隔診断が広まりつつある。遠隔診断は、触診を必要としないレベルでの診断に向いており、プライマリー・ヘルスケアと呼ばれる分野での活用が期待されている。
【0005】
特許文献1には、医療従事者が実施すべき作業(医療支援作業)を補助または代替する無人航空機と、無人航空機によりそのような作業を行う医療支援方法が開示されている。無人航空機は、医療従事者から医療支援作業の内容を受け付ける受付部と、その内容に従って医療支援作業の実行を制御する制御部を有している。無人航空機を診断・治療を受ける人の近くまで飛ばせば、無人飛行機はその人に対する医療支援作業の実行を行う。このような無人航空機および医療支援方法によれば、医療従事者が指定した処理内容に応じて、医療従事者が現場にいなくとも、医療支援作業が実施される。医療支援作業としては、医療従事者同士の情報伝達、医療従事者と医療サービスを受ける人の間の情報伝達、物品の搬送、患者の動作補助などが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-204244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1で開示されている無人航空機および医療支援方法では、たとえば医療従事者同士の情報伝達、医療従事者と医療サービスを受ける人の間の情報伝達に同時性が要求され、もし両者がコミュニケーションを取ろうとすれば、予め医療従事者同士、医療従事者と医療サービスを受ける人の間での調整が必要であり煩雑さを避けられないという課題がある。
【0008】
特に、医療従事者による診断に同時性が必ずしも必要ではない健康管理サービスでは、医療従事者同士の情報伝達、医療従事者と医療サービスを受ける人の間の情報伝達に同時性は常に必要ということではなく、特許文献1で開示されている無人航空機および医療支援方法では逆に不便さをもたらすこともあるという課題がある。
【0009】
従って、医療従事者同士の情報伝達、医療従事者と医療サービスを受ける人の間の情報伝達に同時性が要求されない無人飛行機および健康管理システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一つの実施形態に従う遠隔操作または自動操縦により空中を飛行する飛行体は、荷物を保持する保持部と、保持部に近づく人物に対して自動に焦点を合わせて人物の身体の一部または全身を撮影して画像を得るカメラと、画像を、画像を用いて人物の健康状態を診断して診断結果を得る診断装置に送る通信部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一つの実施形態に従う健康管理システムは、荷物を保持する保持部と、荷物を取得する人物に対して自動に焦点を合わせて人物の顔を撮影して画像を得るカメラと、画像を送信する通信部と、を含む遠隔操作または自動操縦により空中を飛行する飛行体と、画像を用いて人物を診断して人物の健康状態に関する診断結果を得る診断装置と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、医療従事者同士の情報伝達、医療従事者と医療サービスを受ける人の間の情報伝達に同時性が要求されず、しかも飛行体に備えたカメラで得た人物の画像を用いて自動的に人物の栄養状態を含む健康状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は一実施形態の健康管理システムを説明する図である。
図2図2は一実施形態の無人飛行体を説明する図である。
図3図3は一実施形態の無人飛行体の内部構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一つの実施形態に従う遠隔操作または自動操縦により空中を飛行する飛行体であって、荷物を保持する保持部と、保持部に近づく人物に対して自動に焦点を合わせて人物の身体の一部または全身を撮影して画像を得るカメラと、画像を、画像を用いて前記人物の健康状態を診断して診断結果を得る診断装置に送る通信部と、を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の一つの実施形態に従う健康管理システムは、飛行体と診断装置を含む。飛行体は、荷物を保持する保持部と、荷物を取得する人物に対して自動に焦点を合わせて人物の顔並びに身体の動きを撮影して画像を得るカメラと、画像を送信する通信部とを含み、遠隔操作または自動操縦により空中を飛行する。診断装置は、画像を用いて前記人を診断して人物の健康状態に関する診断結果を得る。
【0016】
ここで、人の「健康状態」とは人の「栄養状態」を含んでいても良い。また、「健康状態」とは、西洋医学的な疾患の有無のみならず、未病状態での気分の良し悪しなどでも良い。ここで「気分の良し悪し」は、人の自律神経に関わるデータによって推測され得るものを指しても良い。
【0017】
ここで「診断結果」は、単に医師等の医療従事者の診断が緊急に必要かどうかという簡単なものでも良いし、飛行体のカメラで顔や動作を撮影されている人物、即ち、医療サービスを受ける人の健康状態、栄養状態が数値化されたものでも良い。
【0018】
ここで、「医療サービスを受ける人」は健康体であっても良く、すなわちここでの「医療サービス」とは、健康管理を含んでいる。
【0019】
ここで、遠隔操作または自動操縦により空中を飛行する「飛行体」は無人で航行する飛行体であって、一般にドローンと呼ばれる無人飛行体であって良い。無人飛行体であることによって、平時のみならず災害時などの緊急時でも飛行することができる。
【0020】
また、「カメラ」は、可視光カメラや赤外線カメラであって良い。さらに、「カメラ」とは可視光カメラおよび赤外線カメラの2つであっても良い。赤外線カメラでは、撮影の対象物の温度を計測することができる。そして、カメラは、荷物を保持部から取り出した、または荷物を保持部に持ち込んだ人物の顔並びに身体の動きを撮影しても良い。
【0021】
健康管理において、人物の顔と身体の動きの両方を用いることによって、顔には現れない身体の不調を検知することができる。さらに、人物の体温の分布を知ることによって、不調の箇所を特定することもできる。
【0022】
「診断装置」は、人物の診断結果の履歴を記憶し、履歴を参照して、人物の健康状態および/または前記健康状態の改善のための処方を推定する、送信元および/または支援機関および/または人物に送信しても良い。ここで「送信元」とは、飛行体自身である。
【0023】
このような構成の診断装置は、特定の人物の健康状態や栄養状態についての傾向等を分析、診断する人工知能(AI)を備えていても良い。ここで、人工知能(AI)とは、例えば作業依存的な確率推定、連想学習、信頼性・相関推定などの機能を実現するソフトウェアによって実現しても良い。
【0024】
また「人工知能(AI)」はAI診断を行って、人物の健康状態、栄養状態の診断のみならず、処方の推定、たとえば状態に応じた服用すべき医薬品の推定に用いても良い。
【0025】
ここで「AI診断」とは、個々人の過去のデータからその人特有の標準値を割り出して、最新データと比較することで健康状態、栄養状態を判定したりすることを含む。即ち、「人工知能(AI)」とは作業依存的な確率推定、連想学習、信頼性・相関推定のいずれか一つの機能を含んでも良い。
【0026】
このように人口知能(AI)を備える診断装置を用いることによって、医療従事者と医療サービスを受ける人(飛行体のカメラで顔や動作を撮影されている人)の間のコミュニケーションに同時性がなくとも、医療サービスを受ける人は自分自身の健康状態や栄養状態についての概要を知ることができる。そして、それによって自分自身で容易に対策、たとえば食べ物の選択などを行うことができる。
【0027】
また、「診断装置」は、人物の診断結果の履歴を記憶し、履歴を参照して、人物の健康状態を診断し、送信元および/または支援機関および/または人物に送信する際に、緊急対応の要不要の印を一緒に送信しても良い。
【0028】
このような構成を採用することによって、医療従事者と医療サービスを受ける人(飛行体のカメラで顔や動作を撮影されている人)の間のコミュニケーションに同時性がなくとも、支援機関を通じて、医療従事者等の手配を迅速に行うことができる。
【0029】
ここで、「支援機関」とは、医療機関または/および行政機関であり得る。例えば、ある市であれば、市役所、市立病院、市内の病院、さらには契約している医師などの医療従事者(医師の他、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、介護士などを含む)であっても良い。
【0030】
「支援機関」は、診断装置によって、医療サービスを受ける人(飛行体のカメラで顔や動作を撮影されている人)の体調が不良であると診断されたときに、その人に処方を指示するなどの対応を行う。ここで、「処方」とは、「動かないでじっとしていなさい」、「横になりなさい」、「ここに行きなさい」、「これから送付する医薬品を服用しなさい」というような指示であり得る。また、「支援機関」は、飛行体のカメラで顔や動作を撮影されている人に対して第三者を派遣する判断を行っても良い。この第三者は、医療従事者であり得るし、警察官、救急隊員、自衛官など特殊な技能を持った人であっても良い。
【0031】
ここで、「保持部」は生体センサを含み、生体センサは接触または非接触で荷物を引き取りに来る人物の体温、脈拍等を生体情報として検知、推定しても良い。このとき、以下で説明する「表示部」から接触している時間の長さに関する情報などを生体センサに触れる人への告知を行っても良い。そして、そのようにして検知、推定された生体情報は通信部から診断装置に送信されても良い。また、飛行体にメモリ(記憶装置)を備えて、生体情報をメモリに一時的に記憶させても良い。メモリに一時期億された生体情報は、支援機関などで医療従事者等によって、人物の健康状態、栄養状態等の判定、診断に用いられても良い。カメラで得られた画像から健康状態、栄養状態等の判定、診断を行うためには、診断装置の人工知能は事前に学習をすることが好ましい必要があるが、生体センサの情報を利用することで、事前の学習なしにデータを取得することができる。
【0032】
さらに、飛行体は、人物の健康状態、栄養状態について診断装置または/および支援機関から通信部で受けた情報を発する「表示部」を備えても良い。そして、この「表示部」は、スピーカー、ディスプレイの少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0033】
このような構成を採用することによって、飛行体のカメラで顔や動作を撮影されている人は、緊急対応時でも音声または映像によって、支援機関からの指示または診断装置からの指示を受けることができ、迅速な対応をすることができる。
【0034】
さらに飛行体は、「入力部」を含み、入力部を介して入力される人物(飛行体のカメラで顔や動作を撮影されている人)またはその人物の近くにいる人のコメントをリアルタイムに、または記録して診断装置または/および支援機関に伝えても良い。
【0035】
支援機関からの指示または診断装置からの指示をスマートフォンなどのパーソナルデバイスで受けるような構成も考えらえる。しかし、このような構成を採用することによって、診断装置または/および支援機関は、善意の第三者のコメントを受信することができ、客観的な状況の把握をすることができる。
【0036】
「入力部」はマイクを含む音声入力装置、キーボードを含む文字入力装置、複数の選択肢から一つ又は複数を選択する選択装置等であり得る。このような構成を採用することによって、入力を試みる人は早く的確に情報を入力することができる。
【0037】
さらに、「通信部」は、荷物が飛行体から取り出されたときに荷物の発送者にその旨の信号を発信するように構成されていても良い。このような構成を採用することによって、荷物の発送者は、配送状況を確認することができる。
【0038】
「荷物」は、弁当を含む食料、飲料、医薬品等であり得る。「荷物」は、サプリメントなどの健康食品であっても良い。荷物が弁当である場合、未開封の弁当を届けた帰りに、飛行体は弁当を特定の人が食べた後の食べ残しを荷物として運んでも良い。このとき、「診断装置」は、特定の人の弁当の食べ具合、たとえば何を残したか、をその人の健康状態、栄養状態の判断、診断に用いても良い。さらに診断装置の判断、診断の結果およびその結果に基づくアドバイス等を「表示部」から出力しても良い。そのアドバイスは、弁当に含まれる特定のモノを食するようにというようなものであっても良い。
【0039】
「荷物」は、医薬品を人物が服用しないまま残った未服用医療品であっても良い。つまり、飛行体は一度、医薬品を運び、そのまま服用されずに残った医薬品の一部を持ち帰っても良い。
【0040】
「荷物」が医薬品の場合、診断装置での診断結果に基づいてリストアップされた医薬品の候補を荷物の発送者に知らせても良い。「荷物」が飲料や弁当の場合も同様である。
【0041】
このような構成を採用することによって、本飛行体は、次のような健康管理システムの主要装置として用いられることになる。即ち、荷物の発送者がいる場所Aと、場所Aから離れた場所Bがある。診断装置、例えば人口知能搭載のコンピュータは、場所Aでも場所Bでも、場所A,B以外の場所Cのどこにあっても良い。支援機関は市町村役場、病院、保健所等であり得て、一般には場所Aまたは場所Aの近くにあっても良いし、場所A,B以外の場所Cにあっても良い。もちろん、場所Bまたは場所Bの近くにあれば好ましいが、本飛行体はそのような環境にない状況で活躍が期待される。
【0042】
(図示された実施形態の説明)
図1乃至図3を参照しながら、本発明の一つの実施形態に従う医薬品特定装置および方法について説明する。以下の本発明の実施形態について説明の説明で、図中の参照符号を付けた部位や機能の呼称が上記の説明と類似または一致する場合は、上記の説明を参照され得る。
【0043】
図1は一実施形態の健康管理システムを説明する図である。無人飛行体は、健康管理システムの中で利用され得る。もちろん、無人飛行機は健康管理システム以外でも利用され得る。
【0044】
本実施形態は、都会から中山間地域への食料の供給と共に、中山間地域にいる人々の健康管理のためのシステムである。健康管理システム10は、無人飛行体100を利用し、場所Aから荷物200を場所Bまで運び、場所Bで荷物200を取りに来る人の顔の写真300を撮影する。場所Bは、荷物の発送者がいる場所Aは都会であり、場所Bは都会から離れた中山間地域であるとする。図中で、荷物200は、弁当と飲み物である。
【0045】
健康管理システム10は、無人飛行体100の他、診断装置400および支援機関500a、500bを含む。場所Bにいる人物(医療サービスを受ける人)が飛行体100に積み込まれている弁当200を取り出すために飛行体に近寄ってくると、飛行体100は、その人物の顔の写真300を撮影する。飛行体100は、人物認証と健康チェックのために画像300を診断装置400に送信する。診断装置400は、人物の顔の写真300の診断結果310、例えば人物の体温分布の履歴を記憶し、履歴を参照して、医療サービスを受ける人の健康状態を診断し、送信元(すなわち飛行体100)および/または支援機関500a、500bおよび/または場所Bにいる人物に送信する。
【0046】
飛行体100は、遠隔操作または自動操縦により空中を飛行する飛行体である。遠隔操作は場所Aにいる人によって行われても良いし、場所Bにいる人によって行われても良いし、場所A、B以外にいる人によって行われても良い。
【0047】
画像300と同時に、生体センサ1410で検知された体温、脈拍等の生体情報を検知し、診断装置400に送信しても良い。生体センサ1410については後に説明をする。また、同時に飛行体100から荷物200の発送者に、荷物200が受け取られたという通知が送信される。
【0048】
診断装置400には人工知能が搭載されており、画像300や生体センサ1410で検知された生体情報を用いて、場所Bにいる人物(医療サービスを受ける人)の健康状態や栄養状態を人工知能(AI)で推定、判断(AI診断)して、送信元(すなわち飛行体100)および/または支援機関500a、500bおよび/またはその人物や、飛行体100に送信する。
【0049】
支援機関500a、500bは、図中ではそれぞれ医療機関500aと行政機関500bである。医療機関500aは、病院、保健所等であり得る。行政機関500bの例は、役所、消防署である。医療機関500aには医療従事者がいるし、行政機関500bには、たとえば行政から指名された相談員等、種々の相談の窓口となる人の他、警察官、救急隊員など特殊技能を有する人たちがおり、診断装置400による人物の顔の写真300の診断の結果に応じた対応を取ることができる。支援機関500a、500bは、場所Aまたは場所Aの近くにあっても良いし、場所A,B以外の場所Cにあっても良い。もちろん支援機関500a、500bは、場所Bまたは場所Bの近くにあれば好ましいが、本実施形態はそのような環境にない状況で利用され得る。
【0050】
上記の無人飛行体100を用いた健康管理システム10は、中山間地域での市民生活の改善のための対策、高齢者・買い物困難者を減らすと同時に健康状態確認を行うための対策として利用され得る。すなわち、健康管理システム10は、短期間配送を実現し、同時に省力化も実現し得るし、また均一でリアルタイムな健康状態確認が実現可能であり、宅配サービスはオンデマンドで提供可能である、画像記録によるトレーサビリティの確保が可能である、電動飛行体を用いれば二酸化炭素の削減に寄与できるなどの利点がある。
【0051】
さらに、上記のような飛行体100を用いることによって、医療従事者同士の情報伝達、医療従事者と医療サービスを受ける人の間の情報伝達に同時性が要求されず、しかも飛行体に備えたカメラで得た人物の画像300を用いて診断装置400は、人物の栄養状態を含む健康状態310を得ることができる。
【0052】
図2は一実施形態の無人飛行体100を説明する図である。
【0053】
飛行体100は、回転翼110a、110b、本体部120、カメラ130、保持部140、表示部160および入力部170を含む。図中では、表示部160と入力部170が一体化したタッチパネル160(170)が備えられている。本図では回転翼110a、110bは2枚であるが、4枚でも6枚でも任意の数で良い。
【0054】
本体部120の構造については、後に図3を参照しながら説明するが、本体部120は外部との通信の機能、飛行体100を所定の姿勢や飛行方向に定めるために回転翼110a、110bを制御する機能、カメラ130や保持部140の動きを制御するための機能などを有する。
【0055】
カメラ130は、飛行体100に近づいてくる人物の顔や動作を、外部からの指示に従って、または自動的に撮影する。結果として得られる画像、たとえば顔の写真300は、本体部120から診断装置300に送られる。
【0056】
保持部140は、荷物200を保持するように構成されている。荷物200は、弁当を含む食料、飲料、医薬品等であり得る。よって、保持部140は、そのような荷物200を保持するのに適した構造をしている。例えば、食料、飲料、医薬品等を包む袋を固定するようにホックであっても良いし、荷台であっても良い。
【0057】
また保持部140には生体センサ1410が備えられていても良い。生体センサ1410は、飛行体100に接触または非接触で荷物200を引き取りに来る人物の体温、脈拍等を生体情報として検知、推定する。生体センサ1410の例としては、温度計、脈拍計などを含む。
【0058】
表示部160は、診断装置400または/および支援機関500a、500bからの伝達事項を表示する。表示部160にスピーカーが搭載されている場合は、伝達事項は音声によって出力されても良い。表示部160は、文字や画像等を表示するための液晶ディスプレイ、タッチパネル等で構成することができる。また音声出力のためのスピーカーであっても良い。
【0059】
入力部170、入力部170を介して入力される人物(飛行体のカメラで顔や動作を撮影されている人)またはその人物の近くにいる人のコメントをリアルタイムに、または記録して診断装置400または/および支援機関500a、500bに伝える。もちろん、リアルタイムではなく、一度、入力部170で記憶して、飛行体100を診断装置400または/および支援機関500a、500bに飛ばすことで情報の伝達を行っても良い。入力部170は文字入力または選択肢から選択するためのテンキー、ボタン、タッチパネル等であっても良いし、音声入力のためのマイクであっても良い。
【0060】
図1で見たように、表示部160と入力部170は一体で構成されても良い。
【0061】
図3は、一実施形態の無人飛行体の内部構造を説明する図である。
【0062】
飛行体100は、制御部120、カメラ130、保持部140、通信部150、制御部160、入力部170を含んでいる。
【0063】
制御部120は、遠隔からの指示もしくは既に設定された指示、または以下で説明する位置情報取得部1100によって取得された情報からの推測に基づいて、飛行体100の動作を制御する。そのため制御部120は、演算処理を行うCPU、データを記憶するためのメモリ(RAM、ROM等)を備えている。メモリには、飛行体100の各部、カメラ130、保持部140、通信部150、表示部160と入力部170等の成業プログラムが格納されている。また、メモリには、以下で説明する位置情報取得部1100、生体センサ1410等からの情報に応じて、自律的に判断をするためのプログラムが格納されている。
【0064】
また、制御部120に含まれるメモリには、飛行体100の飛行ルートに関する情報が予め記憶されている。
【0065】
制御部120は、遠隔からの指示もしくは既に設定された指示、または以下で説明する位置情報取得部1100によって取得された情報からの推測に基づいて、飛行体100の駆動部160に指令を送り、回転翼110a、110bを制御して飛行体100の姿勢や飛行方向を定める。また、制御部120は、さらに撮影制御部1210、入出力制御部1220、駆動制御部1230、保持部制御部1240を含む。
【0066】
制御部120の撮影制御部1210は、遠隔からの指示または既に設定された指示に基づいて、カメラ130の動作を制御する。
【0067】
制御部120の入出力制御部1220は、遠隔からの指示または既に設定された指示に基づいて、表示部160と入力部170の動作を制御する。
【0068】
制御部120の駆動制御部1230は、遠隔からの指示または既に設定された指示に基づいて、駆動部180の動作を制御する。
【0069】
制御部120の保持部制御部1240は、保持部140の動作を制御する。保持部140に生体センサ1410が含まれている場合は、制御部120の保持部制御部1240は、遠隔からの指示または既に設定された指示に基づいて、生体センサ1410の動作を制御する。保持部140の動作は、飛行体100の飛行状況と関連しても良い。例えば、保持部140は、飛行体100が着地しているときにしか動作しないように構成されても良い。
【0070】
通信部150は、場所Aにいる荷物200の発送者が有する無線装置、診断装置400、支援機関500a、500b、場所Bにいる荷物200を受け取る人が有する無線装置と無線通信を行う。
【0071】
駆動部180は、回転翼110a、110bに駆動力を付与するための電気モータ、駆動アクチュエータ等である。
【0072】
位置情報取得部1100は、飛行体100の高度、速度、飛行方向、障害物との方向、距離などの情報を取得する。位置情報取得部1100は、GPS(Global Positioning System)装置、気圧計、加速度センサ、ジャイロセンサ、障害物の存在の有無、方向、距離などを推定するレーダー等を含み得る。
【0073】
以下で上述の無人飛行体100およびそれを用いた健康管理システム10の利用方法について説明する。
【0074】
一つのシーンは、荷物200として「弁当」を運ぶものである。場所Bが都会から離れた中山間地域であったり、過疎地であったり、離島であったりという状況を想定でしも良い。この場合、場所Aから場所Bへの食料の供給と共に、場所Bにいる人々の健康管理のために本飛行体100は活用され得る。まず飛行体100は、場所Aで弁当を飛行体100の保持部140に荷物200として積み込まれ、場所Aを飛び出す。飛行体100は制御部120のメモリに格納されたデータに基づき、駆動部180が回転翼110a、110bを制御し飛行し、飛行体100は場所Bに到着する。すると場所Bにいる人(サービスを受ける人)が飛行体100に積み込まれている弁当200を取り出すために飛行体100に近寄ってくる。このとき、表示部160には誰がどの弁当を受け取るべきかなどに関する情報が文字や音声で出されても良い。すると、飛行体100は寄ってくる人々の一人一人をカメラ130で撮影し、人物認証と健康チェックのために画像300を診断装置400に送信する。画像300と同時に、生体センサ1410で検知された体温、脈拍等の生体情報を検知し、診断装置300に送信しても良い。また、同時に飛行体100から場所Aにいる荷物200の発送者に、荷物200が受け取られたという通知が飛行体100の通信部150から送信される。診断装置400には人工知能が搭載されており、画像300や生体センサで検知された生体情報を用いて、健康状態や栄養状態を人工知能(AI)で推定、判断(AI診断)して、飛行体100、支援機関500a、500bおよび/またはその人物に送信する。このような構成を採用することによって、迅速な対応を取ることができる。
【0075】
このシーンではまた、飛行体100は場所Bからの帰りに弁当の食べ残しを荷物として積んでも良い。食べ残しを見れば、サービスを受ける人が食べたカロリーの大きさのみならず、どのような栄養分を摂取し、どのような栄養分が足りないのか、というようなことを判断、推定することができる。すると、次に飛行体100が場所Aから場所Bに飛ぶときに、特定の人物に向けてサプリメントなどの健康食品や医薬品を弁当と共に運んでも良い。そうすることによって、サービスを受ける人は、弁当で不足の栄養分をサプリメント等の健康食品で補うことができる。
【0076】
さらに、本シーンで、場所Bにはサービスを受ける人を補助する人(補助人)がいることがある。サービスを受ける人自身や補助人の意見等は、飛行体100の入力部170からの入力を通じて、支援機関500a、500bの医療従事者にリアルタイムで伝えても良いし、録音/録画して伝えても良い。
【0077】
このような構成に基づくサービスは、は行政サービスとして展開しても良いし、民間業者によって展開されても良い。場所Bにいる人々の健康管理を、無人飛行体100を利用して行うことができる。
【0078】
別のシーンは、健康管理というより遠隔医療のためのツールとして無人飛行体100を利用するものである。場所Aには医療従事者がおり、さらに医療機器や医薬品が十分に存在するが、場所Bはそれらが十分には揃っていない状況を想定しても良い。
【0079】
このシーンでは、例えば、場所Bに体調不良を訴える人がいるとする。このとき、場所Aから荷物200として一通りの医薬品を積んで無人飛行体100は場所Bに向かう。場所Bに着いた飛行体100は、体調不良を訴える人の顔写真や動作を撮影し、診断装置400に送る。体調不良を訴える人の身体の一部を飛行体に掲載されている生体センサ1410に触れさせて、数値としてその人の生体情報を取得し、診断装置400に送っても良い。診断装置400では画像/映像300や生体センサ1410からの生体情報を使い、パーソナライズされた数値の標準値と比較し、AI診断を行う。診断装置400のAI診断の結果から、病院等の支援機関500a、500bは体調不良を訴える人に対する指示を作成し、飛行体100に送信する。所定の医薬品を服用するなどの指示は飛行体100の表示部160から出されて、体調不良を訴える人および/またはその人を補助する人は表示部に提示された指示に従う対応を行う。このシーンでは無人飛行体は遠隔医療のための主要ツールである。
【0080】
もちろん、上に記載した無人飛行体100の利用シーンは一例であり、これらに限定されるものでもない。例えば、無人飛行体100が場所Aから場所Bに飛行するときに弁当を運び、人の健康管理を行う場合でも、例えば荷物200として弁当と共に(飛行体100に装備されているものとは別の独立した)生体センサを積み、場所Bの人々は弁当と食べている間に、生体センサを人体の一部に装着し、脈拍数、心拍数、体温などの生体情報を取得し、場所Bから場所Aへの復路で無人飛行体は弁当の食べ残しと、生体情報を記録した生体センサ1410を運ぶような使い方も可能である。
【0081】
上記の無人飛行体100およびそれを用いた健康管理システム10は、中山間地域での市民生活の改善のための対策、高齢者・買い物困難者を減らすと同時に健康状態確認を行うための対策として利用され得る。
【0082】
一般に、このような対策を講じようとすると、広大な地域サービス維持は、コストと労力の負荷が大きいこと、宅配業務、健康管理業務の品質維持が必要であること、今後ますます高まる高齢化率への追随対策が必要であること、などが課題である。しかしながら、上記の無人飛行体100およびそれを用いた健康管理システム10は、短期間配送を実現し、同時に省力化も実現し得るし、また均一でリアルタイムな健康状態確認が実現可能であり、宅配サービスはオンデマンドで提供可能である、画像記録によるトレーサビリティの確保が可能である、電動飛行体を用いれば二酸化炭素の削減に寄与できるなどの利点がある。
【0083】
さらに、上記のような飛行体を用いることによって、医療従事者同士の情報伝達、医療従事者と医療サービスを受ける人の間の情報伝達に同時性が要求されず、しかも飛行体に備えたカメラで得た人物の画像を用いて自動的に人物の栄養状態を含む健康状態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
医療従事者同士の情報伝達、医療従事者と医療サービスを受ける人の間の情報伝達に同時性が要求されず、しかも飛行体に備えたカメラで得た人物の画像を用いて自動的に人物の栄養状態を含む健康状態を得ることができる。
【符号の説明】
【0085】
10 健康管理システム
100 飛行体
200 荷物
300 画像
310 診断結果
400 診断装置
500a、500b 支援機関
110a、110b 回転翼
120 制御部
130 カメラ
140 保持部
1410 生体センサ
150 通信部
160 表示部
170 入力部
180 駆動部
1100 位置情報取得部
1210 撮影制御部
1220 入出力制御部
1230 駆動制御部
1240 保持部制御部


















図1
図2
図3