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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043667
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 21/032 20060101AFI20220309BHJP
   B65D 5/22 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
B65D21/032
B65D5/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149067
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 諒
【テーマコード(参考)】
3E006
3E060
【Fターム(参考)】
3E006AA03
3E006BA01
3E006CA03
3E006DA03
3E006DA04
3E006DB01
3E006DB05
3E060AA03
3E060AB16
3E060BB01
3E060BC02
3E060BC04
3E060CA01
3E060CA12
3E060CA23
3E060CD12
3E060DA08
3E060DA11
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】積み重ねた際の上下の包装箱の横ずれを防止できると共に、床面等に載置した状態で横滑りさせることを容易に行い得る包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1は、底板10の側縁11から起立する内側板20と内側板20の上端縁21から内側板20の外表面に沿うように折り曲げられた外側板30とを有し、外側板30の下端縁32から延設された係止片38が底板10の裏面側に折り曲げられて、底板10の切込み12に挿入され、又は底板10に接着されている。包装箱1の上端部には、各係止片38の直上箇所で凹部41,45が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形状の底板と、
該底板の周囲の4つの側縁から各々起立する4つの内側板と、
該4つの内側板のそれぞれの上端縁に各々連接されており、各内側板の上端縁から該内側板の外面に沿わせるように各々折り曲げられた4つの外側板とを備えており、
前記4つの内側板のうち、互いに対向する2つの内側板のそれぞれを第1内側板、他の2つの内側板のそれぞれを第2内側板、該第1内側板のそれぞれの上端縁に連接された外側板のそれぞれを第1外側板、該第2内側板のそれぞれの上端縁に連接され外側板のそれぞれを第2外側板と定義したとき、各第1内側板の両側縁に各々連接された2つの第1補助側板が、前記第2内側板とその上端縁から折り曲げられた前記第2外側板との間に挟まれるようにして該第1内側板の両側縁のそれぞれから隣接する第2内側板側に各々折り曲げられており、
前記4つの外側板のそれぞれの下端縁から延設された係止片が、前記底板の裏面側に折り曲げられて、該底板に形成されている切込みに挿入され、又は該底板に接着されており、
前記内側板のそれぞれと、該内側板のそれぞれに連接された前記外側板との上端部には、前記係止片のそれぞれの直上箇所に、それぞれの係止片に嵌合可能な幅を有する凹部が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1記載の包装箱において、
前記第2外側板のそれぞれの両側縁に各々連接された2つの第2補助側板が、前記第1内側板とその上端縁からり曲げられた前記第1外側板との間に挟まれるようにして、該第2外側板の両側縁のそれぞれから隣接する第1内側板側に各々折り曲げられていることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
方形状の底板と、
該底板の周囲の4つの側縁から各々起立する4つの内側板と、
該4つの内側板のそれぞれの上端縁に各々連接されており、各内側板の上端縁から該内側板の外面に沿わせるように各々折り曲げられた4つの外側板とを備えており、
前記4つの内側板のうち、互いに対向する2つの内側板のそれぞれを第1内側板、他の2つの内側板のそれぞれを第2内側板、該第1内側板のそれぞれの上端縁に連接された外側板のそれぞれを第1外側板、該第2内側板のそれぞれの上端縁に連接され外側板のそれぞれを第2外側板と定義したとき、各第2外側板の両側縁に各々連接された2つの第2補助側板が、前記第1内側板とその上端縁から折り曲げられた前記第1外側板との間に挟まれるようにして該第2外側板の両側縁のそれぞれから隣接する第1内側板側に各々折り曲げられており、
前記4つの外側板のそれぞれの下端縁から延設された係止片が、前記底板の裏面側に折り曲げられて、該底板に形成されている切込みに挿入され、又は該底板に接着されており、
前記内側板のそれぞれと、該内側板のそれぞれに連接された前記外側板との上端部には、前記係止片のそれぞれの直上箇所に、それぞれの係止片に嵌合可能な幅を有する凹部が形成されていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレー状の包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の包装箱では、複数の包装箱を上下に積み重ねた場合における包装箱の相互の横ずれを防止するために、例えば特許文献1に見られる如く、包装箱の底板に形成した複数の折り返し片を、底板の下方に突き出るように折り返した構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-104935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に見られる包装箱では、折り返し片を折り返す際に、底板から折り返し片が抜け出すことで複数の貫通孔が形成されるため、重量物を収容したときに、底板の折り返し片付近の強度が不足して底板が変形するおそれがある。
【0005】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、積み重ねた際の上下の包装箱の横ずれを防止できると共に、強度を高めた包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装箱の第1の態様は、上記の目的を達成するために、
方形状の底板と、
該底板の周囲の4つの側縁から各々起立する4つの内側板と、
該4つの内側板のそれぞれの上端縁に各々連接されており、各内側板の上端縁から該内側板の外面に沿わせるように各々折り曲げられた4つの外側板とを備えており、
前記4つの内側板のうち、互いに対向する2つの内側板のそれぞれを第1内側板、他の2つの内側板のそれぞれを第2内側板、該第1内側板のそれぞれの上端縁に連接された外側板のそれぞれを第1外側板、該第2内側板のそれぞれの上端縁に連接され外側板のそれぞれを第2外側板と定義したとき、各第1内側板の両側縁に各々連接された2つの第1補助側板が、前記第2内側板とその上端縁から折り曲げられた前記第2外側板との間に挟まれるようにして該第1内側板の両側縁のそれぞれから隣接する第2内側板側に各々折り曲げられており、
前記4つの外側板のそれぞれの下端縁から延設された係止片が、前記底板の裏面側に折り曲げられて、該底板に形成されている切込みに挿入され、又は該底板に接着されており、
前記内側板のそれぞれと、該内側板のそれぞれに連接された前記外側板との上端部には、前記係止片のそれぞれの直上箇所に、それぞれの係止片に嵌合可能な幅を有する凹部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
かかる第1の態様の包装箱によれば、複数の包装箱を上下に積み重ねた場合に、上側の包装箱の各外側板のそれぞれの下端縁から底板の裏面側に折り曲げられた係止片を、該包装箱の下側の包装箱の各凹部に嵌合させることができる。このため、上下の包装箱の横ずれを防止することができる。
【0008】
また、第1の態様の包装箱によれば、外側板のそれぞれの下端縁から延設された係止片を、底板に形成された切込みに挿入し、又は底板に接着することで係止片を係止することができるため、底板に係止片を備えるための貫通孔を形成する必要がない。
【0009】
よって、本発明の第1の態様の包装箱によれば、積み重ねた際の上下の包装箱の横ずれを防止できると共に、底板の係止片付近の強度を高めることができる。
【0010】
上記第1の態様の包装箱では、前記第2外側板のそれぞれの両側縁に各々連接された2つの第2補助側板が、前記第1内側板とその上端縁から折り曲げられた前記第1外側板との間に挟まれるようにして、該第2外側板の両側縁のそれぞれから隣接する第1内側板側に各々折り曲げられていることが好ましい。
【0011】
これによれば、各第2内側板とこれに連接された第2外側板との間に、第1内側板に連接された第1補助側板が挟まれた状態で第2外側板が係止片を介して底板に係止されると共に、各第1内側板とこれに連接された第1外側板との間に、第2外側板に連接された第2補助側板が挟まれた状態で第1外側板が係止片を介して底板に係止されるので、各内側板と各外側板との相互の姿勢が強固に一定に保たれる。ひいては、包装箱の強度をより一層高めることができる。
【0012】
また、本発明の包装箱の第2の態様は、上記の目的を達成するために、
方形状の底板と、
該底板の周囲の4つの側縁から各々起立する4つの内側板と、
該4つの内側板のそれぞれの上端縁に各々連接されており、各内側板の上端縁から該内側板の外面に沿わせるように各々折り曲げられた4つの外側板とを備えており、
前記4つの内側板のうち、互いに対向する2つの内側板のそれぞれを第1内側板、他の2つの内側板のそれぞれを第2内側板、該第1内側板のそれぞれの上端縁に連接された外側板のそれぞれを第1外側板、該第2内側板のそれぞれの上端縁に連接され外側板のそれぞれを第2外側板と定義したとき、各第2外側板の両側縁に各々連接された2つの第2補助側板が、前記第1内側板とその上端縁から折り曲げられた前記第1外側板との間に挟まれるようにして該第2外側板の両側縁のそれぞれから隣接する第1内側板側に各々折り曲げられており、
前記4つの外側板のそれぞれの下端縁から延設された係止片が、前記底板の裏面側に折り曲げられて、該底板に形成されている切込みに挿入され、又は該底板に接着されており、
前記内側板のそれぞれと、該内側板のそれぞれに連接された前記外側板との上端部には、前記係止片のそれぞれの直上箇所に、それぞれの係止片に嵌合可能な幅を有する凹部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
かかる第2の態様の包装箱によれば、第1の態様の包装箱と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の包装箱を積み重ねた状態で示す斜視図。
図2】実施形態の包装箱の展開図。
図3】実施形態の包装箱の組立途中の状態を示す斜視図。
図4】実施形態の包装箱の組立途中の状態を示す斜視図。
図5】実施形態の包装箱の組立途中の状態での底面側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を図1図5を参照して以下に説明する。図1に示すように、本実形態の包装箱1は、紙製の包装箱であり、上方に開口する直方体形状のトレー状に形成されている。この包装箱1は、その底面を形成する方形状の底板10と、底板10の周縁から該底板10に対して垂直に起立する方形枠状の胴部(側壁部)の内周面を形成する4つの内側板20と、該胴部の外周面を形成する4つの外側板30とを有する。なお、図1では2つの包装箱1,1を上下に積み重ねた状態で示している。
【0016】
包装箱1は、図2の展開図で示すように形成されたダンボール紙等の紙を折り曲げて組み立てられている。同図に示す如く、各内側板20は、底板10の周縁を形成する4つの線分状の側縁11のそれぞれを介して底板10に連接されている。
【0017】
各内側板20は、略方形状に形成され、各内側板20が連なる底板10の側縁11の延在方向での該内側板20の長さは該側縁11の長さと同程度の長さに設定されている。また、各内側板20が連なる底板10の側縁11と直交する方向での各内側板20の長さはいずれも同一である。そして、組立状態の包装箱1では、各内側板20は、図1又は図3に示す如く、底板10に対して垂直に起立するように該底板10の各側縁11で折り曲げられている。
【0018】
以降の説明では、各内側板20の周縁のうち、組立状態の包装箱1において、該内側板20の上端で底板10と平行に延在する部分(辺)を該内側板20の上端縁21、該上端縁21の両端のそれぞれから底板10に対して垂直に延在する部分(辺)を該内側板20の側縁22、各内側板20の上端縁21の延在方向(又は各内側板20が連なる底板10の側縁11の延在方向)を該内側板20の幅方向、各内側板20の側縁22の延在方向を該内側板20の高さ方向という。
【0019】
また、以降の説明では、4つの内側板20のうち、組立状態の包装箱1において、互いに平行に対向する2つの対の内側板20を区別するために、一方の対の(2つの)内側板20,20を第1内側板20a,20a、他方の対の(2つの)内側板20,20を第2内側板20b,20bと称する場合がある。
【0020】
図2の展開図で示す如く、各外側板30は、4つの内側板20のそれぞれの上端縁21を介して各内側板20に連接されている。各外側板30は、略方形状に形成され、各外側板30が連なる内側板20の幅方向での該外側板30長さと該内側板20の高さ方向での該外側板30長さとは、該内側板20と同程度の長さに設定されている。
【0021】
そして、組立状態の包装箱1では、各外側板30は、図1又は図4に示す如く、該外側板30が連接された内側板20の外表面に平行に沿うように(該内側板20と平行に底板10に対して起立するように)、該内側板20の上端縁21と、該上端縁21から若干の間隔を存して同方向に延在するように該外側板30に設定された折り目線31とで折り曲げられている。
【0022】
以降の説明では、各外側板30の周縁のうち、組立状態の包装箱1において、該外側板30の下端で底板10と平行に延在する部分(辺)を該外側板30の下端縁32、該下端縁32の両端のそれぞれから底板10に対して垂直に延在する部分(辺)を該外側板30の側縁33、各外側板30の下端縁32の延在方向を該外側板30の幅方向、各外側板30の側縁33の延在方向を該外側板30の高さ方向という。
【0023】
また、以降の説明では、4つの外側板30のうち、前記一対の第1内側板20a,20aのそれぞれに連接された一対の(2つの)外側板30,30を第1外側板30a,30a、前記一対の第2内側板20b,20bのそれぞれに連接された一対の(2つの)外側板30,30を第2外側板30b,30bと称する場合がある。
【0024】
図2の展開図で示すように、前記一対の第1内側板20a,20aのそれぞれの幅方向の両側には、各第1内側板20aの各側縁22を介して第1補助側板25が各々延設されている。各第1補助側板25は、略方形状に形成され、該第1補助側板25が連接された第1内側板20aの高さ方向での該第1補助側板25の長さは、該第1内側板20aと同程度の長さに設定され、該高さ方向と直交する方向での該第1補助側板25の長さは、該第1内側板20aに隣接する第2内側板20bの幅方向での長さの半分以下の長さに設定されている。
【0025】
そして、組立状態の包装箱1では、各第1内側板20aに連なる各第1補助側板25は、該包装箱1の後述の組立方法によって、該第1内側板20aに隣接する第2内側板20bと、該第2内側板20bの外表面に沿わせられる第2外側板30bとの間に挟み込まれるようにして、該第1内側板20aの側縁22で折り曲げられている(図3を参照)。
【0026】
また、前記一対の第2外側板30b,30bのそれぞれの幅方向の両側には、各第2外側板30bの各側縁33を介して第2補助側板35が各々延設されている。各第2補助側板35は、略方形状に形成され、該第2補助側板35が連接された第2外側板30bの高さ方向での長さは、該第2外側板30bと同程度の長さに設定され、該高さ方向と直交する方向での長さは、該第2外側板30bが連接された第2内側板20bに隣接する第1内側板20aの幅方向での長さの半分以下の長さに設定されている。
【0027】
そして、組立状態の包装箱1では、各第2外側板30bに連なる各第2補助側板35は、該包装箱1の後述の組立方法によって、該第2外側板30bを沿わせる第2内側板20bに隣接する第1内側板20aと、該第1内側板20aの外表面に沿わせられる第1外側板30aとの間に挟み込まれるようにして、第2外側板30bの側縁33で折り曲げられている(図4を参照)。
【0028】
補足すると、第1内側板20aの高さ方向での第1補助側板25の長さは、該高さ方向での第1内側板20の長さよりも短くてもよい。また、第2外側板30bの高さ方向での第2補助側板35の長さは、該高さ方向での第2外側板30bの長さよりも短くてもよい。また、第1補助側板25及び第2補助側板35のそれぞれの形状は方形状と異なる形状(例えば台形状、半長円形状等)であってもよい。
【0029】
図2の展開図に示すように、各外側板30の下端縁32から、該外側板30を底板10に係止させるための1つ以上の係止片38が該外側板30の高さ方向に延設されている。また、底板10の周縁寄りの箇所には、各係止片38の先端部の差し込み部となる切込み12が形成されている。以降の説明では、各第1外側板30aに連なる係止片38と、各第2外側板30bに連なる係止片38とを区別するために、それぞれの係止片38の参照符号として38a,38bを用いる場合がある。また、係止片38aの先端部を差し込む切込み12と、係止片38bの先端部を差し込む切込み12とを区別するために、それぞれの切込み12の参照符号として12a,12bを用いる場合がある。
【0030】
本実施形態の包装箱1では、各第1外側板30aの下端縁32の中央部から1つの係止片38aが延設され、各第2外側板30bの下端縁32の両端寄りの2つの箇所から2つの係止片38b,38bが各々延設されている。そして、各係止片38(38a,38b)は、それが連なる外側板30の下端縁32と平行に該係止片38に設定された2つの折り目線38x,38yで折り曲げることが可能である。
【0031】
また、底板10の周縁寄りの箇所のうち、各第1内側板20aが連なる底板10の側縁11の中央部寄りの箇所(詳しくは、該側縁11の中央部からある程度の間隔を有する箇所)に、各第1外側板30aに連なる係止片38aの先端部を差し込むための1つの切込み12aが形成され、各第2内側板20bが連なる底板10の側縁11の両端部近辺の箇所(詳しくは、該側縁11の両端部のそれぞれからある程度の間隔を有する箇所)に、各第2外側板30bに連なる2つの係止片38b,38bののそれぞれの先端部を差し込むための2つの切込み12b,12bが各々形成されている。
【0032】
そして、組立状態の包装箱1では、各係止片38は、図5に示す如く、それぞれの折り目線38x,38yで折り曲げられて、それぞれの先端部(折り目線38yよりも先端側の部分)が対応する切込み12に差し込まれている。この場合、各係止片38の先端部と該係止片38が連なる外側板30との間の部分(折り目線38x,38yの間の部分)は、底板10の裏面(下側の面)に沿わせられている。このため、組立状態の包装箱1では、図5に示すように、折り目線38xで底板10側に折り曲げられた係止片38の、底板10の裏面に沿わせられた部分は、底板10の裏面よりも下方に若干突き出るようになっていると共に、底板10とほぼ平行な平坦部となっている。
【0033】
なお、本実施形態では、各係止片38は、その先端部の幅(該係止片38が連なる外側板30の幅方向での長さ)が、該先端部と外側板30との間の部分の幅よりも若干大きくなる形状に形成されている。
【0034】
図2の展開図で示すように、1つの係止片38aが延設された各第1外側板30aとこれが連接された第1内側板20aとの境界部分の中央箇所(組立状態の包装箱1において各第1外側板30aに連なる該係止片38bの直上に位置する箇所)には、包装箱1の展開状態にて、該第1外側板30a及び第1内側板20aの幅方向に延在する長孔40が穿設されている。
【0035】
該第1外側板30a及び第1内側板20aの高さ方向での該長孔40の長さ(該長孔40の短軸方向の長さ)は、該第1外側板30aの折り目線31と該第1内側板20aの上端縁21との間の間隔よりも若干大きい長さに設定されている。また、該第1外側板30a及び第1内側板20aの幅方向での該長孔40の長さ(該長孔40の長軸方向の長さ)は、該第1外側板30aに連なる係止片38aの先端部と該第1外側板30aとの間の部分(底板10に沿わせられる部分)の当該幅方向での長さと同程度の長さに設定されている。
【0036】
このため、組立状態の包装箱1では、各第1内側板20aとこれに連なる第1外側板30aの境界部分(該第1内側板20a及び該第1外側板30aのそれぞれの上端部)には、該第1外側板30aに連なる係止片38aの直上箇所に、図1に示す如く、第1内側板20aの上端縁21よりも下方に凹んだ凹部41が形成されるようになっている。そして、この凹部41には、包装箱1の上方に積み重ねられる他の包装箱1の第1外側板30aに連なる係止片38aの、当該他の包装箱1の底板10の裏面に沿わせられた部分を嵌合させることが可能である。
【0037】
また、図2の展開図で示すように、外側板30のうち、2つの係止片38b,38bが延設された各第2外側板30bとこれが連接された第2内側板20bとの境界部分の両端寄りの箇所(組立状態の包装箱1において各第2外側板30bに連なる係止片38b,38bの直上に位置する箇所)には、該第2外側板30b及び第2内側板20bの側縁33,22から該第2外側板30b及び第2内側板20bの幅方向に延在する細長の切欠き44,44が形成されている。
【0038】
この場合、該第2外側板30b及び第2内側板20bの高さ方向での各切欠き44の長さ(各切欠き44の幅)は、該第2外側板30bの折り目線31と該第2内側板20bの上端縁21との間の間隔よりも若干大きい長さに設定されている。また、該第2外側板30b及び第2内側板20bの幅方向での各切欠き44の長さは、該第2外側板30bに連なる各係止片38bの先端部と該第2外側板30bとの間の部分(底板10の裏面に沿わせられる部分)の当該幅方向での長さと同程度の長さに設定されている。
【0039】
このため、組立状態の包装箱1では、各第2内側板20bとこれに連なる第2外側板30bの境界部分(該第2内側板20b及び該第2外側板30bのそれぞれの上端部)には、該第2外側板30bに連なる係止片38b,38bのそれぞれの直上箇所に、図1に示す如く、第2内側板20b上端縁21よりも下方に凹んだ凹部45が各々形成されるようになっている。そして、この凹部45には、包装箱1の上方に積み重ねられる他の包装箱1の第2外側板30bに連なる各係止片38bの当該他の該包装箱1の底板10の裏面に沿わせられた部分を嵌合させることが可能である。
【0040】
また、図2の展開図に示すように、各第1内側板20aの中央箇所には、包装箱1の取っ手として機能する取っ手穴50が穿設されている。さらに、各第1外側板30aの中央箇所には、該第1外側板30aの幅方向に延在する折り目線53aで折り曲げ可能に形成された取っ手穴形成部53が設けられている。該取っ手穴形成部53は、折り目線53aの両端間で概略矩形状に延在するように該第1外側板30aに形成された切込み53bと、該折り目線53aとにより囲まれた部分である。そして、組立状態の包装箱1において、取っ手穴形成部53を折り目線53aで折り曲げることにより、該第1外側板30aが沿わせられた第1内側板20aの取っ手穴50に連通する開口54(図1に示す)が該第1外側板30aに形成されるようになっている。
【0041】
また、各第2外側板30bの幅方向の両側の側縁33から各々延設された各第2補助側板35の先端部には、矩形状の切欠き55が形成されている。該切欠き55は、組立状態の包装箱1において、各第1内側板20aの取っ手穴50と、該第1内側板20aに沿わせられた第1外側板30aの取っ手穴形成部53により形成される開口54とが、該第1内側板20aと第1外側板30aとの間に介在する第2補助側板35により閉塞されないようにするための切欠きである。
【0042】
以上の如く構成される包装箱1は、図2に示す展開状態の紙から、以下に説明する方法(手順)で組立られる。まず、図3に示すように、4つの内側板20のそれぞれが、底板10に対して垂直に起立するように各内側板20が連なる底板10の各側縁11で折り曲げられる。
【0043】
次いで、各第1内側板20aに連なる各第1補助側板25が、図3の矢印Y1で示すように、該第1内側板20aに隣接する第2内側板20bの外表面に重なるように該1内側板20aの各側縁22で折り曲げられる。
【0044】
さらに、図3の矢印Y2で示すように、各第2外側板30bが、それが連なる第2内側板20bの外表面に沿わせられると共に、該第2内側板20bに重ねられた2つの第1補助側板25,25に重ね合わせられるように該第2内側板20bの上端縁21と該第2外側板30bの折り目線31とで折り曲げられる。これにより、各第2外側板30bとこれが連なる第2内側板20bとの間に2つの第1補助側板25,25が挟み込まれた状態で、該第2外側板30bが第2内側板20bの外表面に平行に沿わせられる。
【0045】
次いで、図4の矢印Y3で示すように、各第2外側板30bに連なる各第2補助側板35が、該第2外側板30bが連なる第2内側板20bに隣接する第1内側板20aの外表面に重なるように、該第2外側板30bの各側縁33で折り曲げられる。
【0046】
さらに、図4の矢印Y4で示すように、各第1外側板30aが、それが連なる第1内側板20aの外表面に沿わせられると共に、該第1内側板20aに重ねられた2つの第2補助側板35,35に重ね合わせられるように、該第1内側板20aの上端縁21と該第1外側板30aの折り目線31とで折り曲げられる。これにより、各第1外側板30aとこれが連なる第1内側板20aとの間に2つの第2補助側板35,35が挟み込まれた状態で、該第1外側板30aが第1内側板20aの外表面に平行に沿わせられる。
【0047】
次いで、図5に示すように、各第1外側板30aに連なる係止片38aが、折り目線38x,38yで折り曲げられると共に、該係止片38aの先端部が、矢印Y5で示す如く、該係止片38aに対応する底板10の切込み12aに差し込まれる。同様に、各第2外側板30bに連なる各係止片38bが、折り目線38x,38yで折り曲げられると共に、該係止片38bの先端部が、矢印Y6で示す如く、該係止片38bに対応する底板10の切込み12bに差し込まれる。この場合、各係止片38(38a,38b)の2つの折り目線38x,38yの間の部分は、底板10に沿わせられる。
【0048】
これにより、各第1外側板30aが、それが連なる第1内側板20aとの間に第2補助側板35,35を挟み込んだ状態で底板10に係止片38aを介して係止されると共に、各第2外側板30bが、それが連なる第2内側板20bとの間に第1補助側板25,25を挟み込んだ状態で底板10に係止片38b,38bを介して係止される。ひいては、包装箱1の組立が完成する。
【0049】
以上の如く組み立てられる包装箱1では、各第1外側板30aとそれが連なる第1内側板20aとの間に、第2外側板30bに連なる第2補助側板35,35が挟み込まれると共に、各第2外側板30bとそれが連なる第2内側板20bとの間に、第1内側板20aに連なる第1補助側板25,25が挟み込まれるため、4つの内側板20と4つの外側板30との相互の姿勢関係を強固に一定に保つことができる。従って、包装箱1の強度を高い強度に確保できる。
【0050】
また、包装箱1の上端部の周縁(詳しくは、各内側板20とそれに連なる外側板30との境界部分)には、各係止片38の直上箇所に凹部41,45が形成される。そして、図1に示すように、包装箱1の上端部の各凹部41,45には、該包装箱1の上方に積み上げられる他の包装箱1の各係止片38のうちの該他の包装箱1の底板10の裏面に沿わせられた部分を嵌合させることができる。このため、複数の包装箱1を相互の位置関係が安定に保たれるようにして、容易に積み重ねることができる。
【0051】
また、各係止片38を底板10の裏面側に折り曲げて、その先端部を底板10に形成した各切込み12に係止することで、各係止片38を底板10の裏面側に配置することができるため、底板10に貫通孔を形成することを必要とせずに、該係止片38を底板の裏面側に備えることができる。ひいては、底板10の各係止片38付近の強度を高めることができる。
【0052】
また、包装箱1の各係止片38の基端側の折り目線38aと、該係止片38の先端部を差し込む底板10の切込み12との間にある程度の間隔を有するため、各係止片38の、底板10の裏面に沿わせられた部分(各係止片38の2つの折り目線38x,38yの間の部分)は、底板10にほぼ平行な平坦部となるので、包装箱1を載置した床や台上で、該包装箱1を横滑りさせやすいと共に、該包装箱1に重量物を収容しても、各係止片38が損傷を受けるのを回避できる。
【0053】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態を採用することもできる。例えば、前記実施形態の包装箱1では、第1内側板20aに連接された第1補助側板25と、第2外側板30bに連接された第2補助側板35との両方を備えたが、第1補助側板25及び第2補助側板35の一方だけを備えるようにしてもよい。
【0054】
また、前記実施形態の包装箱1では、第1外側板30aに連接された係止片38aを一つだけ備えたが、複数の係止片を第1外側板30aに連接してもよい。また、前記実施形態の包装箱1では、第2外側板30bに連接された係止片38bを2つ備えたが、1つ又は3つ以上の係止片を第2外側板30bに連接してもよい
【0055】
また、前記実施形態の包装箱1では、各係止片38をそれぞれに対応する底板10の切込み12に差し込むようにしたが、例えば各係止片38の先端部を底板10の裏面に接着するようにしてもよい。
【0056】
また、前記実施形態の包装箱1では、第1内側板20aに取っ手穴50を形成すると共に、第1外側板30aに取っ手穴形成部53を形成したが、第2内側板20bに取っ手穴を形成すると共に、第2外側板30bに取っ手穴形成部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…包装箱、10…底板、11…底板の側縁、12…底板の切込み、20…内側板、20a…第1内側板、20b…第2内側板、21……内側板の上端縁、22…内側板の側縁、25…第1補助側板、30…外側板、30a…第1外側板、30b…第2外側板、32…外側板の下端縁、33…外側板の側縁、38(38a,38b)…係止片、41,45…凹部。
図1
図2
図3
図4
図5