(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043700
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】刃先ガード
(51)【国際特許分類】
B23Q 13/00 20060101AFI20220309BHJP
B23D 55/00 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
B23Q13/00
B23D55/00 Z
B23D55/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149128
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(71)【出願人】
【識別番号】504279326
【氏名又は名称】株式会社アマダマシナリー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】松村 裕
(72)【発明者】
【氏名】辻本 晋
【テーマコード(参考)】
3C040
【Fターム(参考)】
3C040AA16
3C040GG00
(57)【要約】
【課題】帯鋸刃がチッピング等で破損せず、作業者が安全に帯鋸刃装着を行えると共に、作業者の刃先ガード取り外し作業を省くこと。
【解決手段】帯鋸刃12の刃先12tを保護する刃先ガード10であって、少なくとも刃先12tを収納するように取り付け可能であって、帯鋸盤18装着後に除去装置20により除去可能に構成される。また、刃先ガード10は水溶性材料からなり、その水溶性材料は多孔質構造に形成されている。更に、除去装置20は水溶性切削油供給装置からなり、刃先ガード10は溶解されて除去に至る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯鋸刃の刃先を保護する刃先ガードであって、
少なくとも前記刃先を収納するように取り付け可能であって、
帯鋸盤装着後に除去装置により除去可能に構成される、刃先ガード。
【請求項2】
前記刃先ガードは水溶性材料からなる、請求項1記載の刃先ガード。
【請求項3】
前記水溶性材料は多孔質構造に形成されている、請求項2に記載の刃先ガード。
【請求項4】
前記除去装置は水溶性切削油供給装置からなり、溶解されて除去に至る、請求項2又は請求項3に記載の刃先ガード。
【請求項5】
前記除去装置は切粉除去装置からなり、剥ぎ取られて除去に至る、請求項1記載の刃先ガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状の帯鋸刃の刃先を保護する刃先ガードに関する。
【背景技術】
【0002】
帯鋸刃の輸送又は取扱い時における衝撃から帯鋸刃の刃先を保護したり、帯鋸刃を取扱う作業者の身体を保護したりするために、ポリエチレン等のプラスチックにより構成された長尺状の刃先ガードが用いられている(特許文献1参照)。刃先ガードは、帯鋸刃の刃先を収納する収納溝(刃収納室)と、鋸刃胴部を挟持するグリップ部(挟持部)とから構成され、無端状の帯鋸刃の刃先を収納するように、鋸刃走行方向の帯鋸刃全長に亘る長さを有する。また、刃先ガードは、帯鋸刃の屈曲に耐え、外力から刃先を保護できる程度で脱着可能な程度に柔軟性、弾性、及び靭性を有する。
【0003】
帯鋸盤によってワーク材(金属ワーク)の切断加工を行う際には、帯鋸刃を帯鋸盤に装着する必要があり、通常、次の2つの手法よって帯鋸盤への帯鋸刃の装着及び帯鋸刃からの刃先ガードの取外しが行われる。
【0004】
第1の手法としては、刃先ガードを帯鋸刃の刃先に取付けた状態で、手作業によって帯鋸刃を帯鋸盤に装着する。そして、帯鋸盤の起動と停止を交互に繰り返して、帯鋸刃を鋸刃走行方向へ間欠的に走行させながら、手作業によって刃先ガードを帯鋸刃の刃先から取外す。また、第2の手法としては、手作業によって刃先ガードを帯鋸刃の刃先から取外して、帯鋸刃を帯鋸盤に装着する。
【0005】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1の他に、特許文献2に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-279852号公報
【特許文献2】実開昭60-036203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、第1の手法によって帯鋸刃からの刃先ガードを取り外す場合は、帯鋸盤の起動と停止を交互に繰り返す操作が厄介であり、作業が繁雑である。また、操作ミスによって帯鋸盤が連続起動されると、作業者の身体が危険にさらされることになる。
【0008】
第2の手法は、帯鋸盤へ帯鋸刃を装着するときに、帯鋸刃の刃先が帯鋸盤に接触して、チッピング等が発生する可能性がある。また、帯鋸刃の鋭利な刃先によって作業者の身体を傷つけるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、帯鋸刃はチッピング等で破損せず、作業者が安全に帯鋸刃装着を行えると共に、作業者の刃先ガード取り外し作業を省くことができる、刃先ガードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施態様に係る刃先ガードは、帯鋸刃の刃先を保護する刃先ガードであって、少なくとも前記刃先を収納するように取り付け可能である。本実施態様に係る刃先ガードは、帯鋸盤装着後に除去装置により除去可能に構成される。
【0011】
本実施態様では、前記刃先ガードは水溶性材料からなってもよい。この場合に、前記水溶性材料は多孔質構造に形成されてもよい。また、前記除去装置は水溶性切削油供給装置からなり、溶解されて除去に至るようにしてもよい。また、前記除去装置は切粉除去装置からなり、剥ぎ取られて除去に至るようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、帯鋸刃はチッピング等で破損せず、作業者が安全に帯鋸刃装着を行えると共に、作業者の刃先ガード取り外し作業を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1(a)は、第1実施形態に係る刃先ガードが帯鋸刃の刃先に取付けられた様子を示す図である。
図1(b)(c)は、
図1(a)におけるI-I線に沿った拡大断面図であり、
図1(c)は、刃先ガードが多孔質構造に形成された様子を示している。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る刃先ガードの構成の特徴及び第1実施形態に係る刃先ガードの除去方法の特徴を説明する図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る刃先ガードの除去方法を説明する図である。
【
図4】
図4(a)は、第2実施形態に係る刃先ガードを構成する刃先ガードチップが複数の鋸歯の刃先にのみに取付けられた様子を示す図である。
図4(b)は、第2実施形態の変形例1に係る刃先ガードを構成する刃先ガードチップが複数の鋸歯の刃先にのみに取付けられた様子を示す図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る刃先ガードの特徴及び第2実施形態に係る刃先ガードの除去方法の特徴を説明する図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る刃先ガードの除去方法、及び第2実施形態の変形例1に係る刃先ガードの除去方法を説明する図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の変形例1に係る刃先ガードの特徴及び第2実施形態の変形例1に係る刃先ガードの除去方法の特徴を説明する図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態の変形例2に係る刃先ガードを構成する刃先ガードチップが複数の鋸歯の刃先にのみに取付けられた様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、第1実施形態及び第2実施形態(変形例1及び変形例2を含む)について図面を参照して説明する。なお、図面中、「F」は、鋸刃走行方向を指している。
【0015】
(第1実施形態)
図1(a)(b)に示すように、第1実施形態に係る刃先ガード10は、無端状の帯鋸刃12の刃先12tを保護する帯鋸刃12の付属品であり、帯鋸刃12の刃先12tに取付けられた状態で工場に納品される。ここで、帯鋸刃12は、複数の鋸歯14を有しており、複数の鋸歯14は、刃先12tを有する。
【0016】
刃先ガード10は、帯鋸刃12の刃先12tを保護できるように、刃先12tを収容する収納溝(刃収納室)16と、鋸歯14を保護し鋸刃胴部を挟持するグリップ部(挟持部)17が、帯鋸刃12の全長に亘って形成されている。刃先ガード10の断面は、U字形状に形成されているが、刃先ガード10は刃先12tを保護できる形状であればよく、様々な形状に変更してもよい。
【0017】
従来の刃先ガードは、帯鋸刃12の屈曲に耐え、外力から刃先12tを保護できる程度で脱着可能な程度に柔軟性、弾性、及び靭性を有するプラスチック製であったが、刃先ガード10は、その性質を備えた上で、水溶性材料、具体的には、例えば、水溶性ポバール等の水溶性ポリマーにより構成されている。刃先ガード10を構成する水溶性ポリマーには、水溶性切削油SC(
図2参照)の品質を保持するための添加剤として消泡剤や防腐剤が含まれてもよい。また、
図1(c)に示すように、刃先ガード10が多孔質構造に形成されてもよい。なお、刃先ガード10は水溶性ポリマー以外の水溶性材料により構成されてもよい。
【0018】
図2に示すように、帯鋸盤18(
図3参照)の水溶性切削油供給装置(除去装置)としての切削油供給ノズル20から供給される水溶性切削油SCによって、水溶性材料の刃先ガード10は溶解して除去に至り、帯鋸刃12の刃先12tが露出する。つまり、刃先ガード10は、帯鋸盤18装着後に切削油供給ノズル20により除去可能に構成されている。
図2における二点鎖線で囲んだ部分は、刃先ガード10の一部が帯鋸刃12の刃先12tから除去された様子を示している。
【0019】
続いて、第1実施形態に係る刃先ガードの除去方法について説明する。ここで、第1実施形態に係る刃先ガードの除去方法は、刃先ガード10を帯鋸刃12の刃先12tから除去するための方法である。
【0020】
図3に示すように、帯鋸刃12は水溶性ポリマー等の水溶性材料の刃先ガード10が取付けられた状態で、帯鋸盤18の駆動ホイール22と従動ホイール24に装着される。その際に、帯鋸刃12の一部は、帯鋸盤18の一対の鋸刃ガイド26,28に支持され、刃先12tが切削方向に向くよう捻った状態となる。そして、
図2及び
図3に示すように、切削油供給ノズル20から水溶性切削油SCを帯鋸刃12に供給しながら、駆動ホイール22及び従動ホイール24の回転によって帯鋸刃12を走行させることにより、刃先ガード10は溶解されて除去に至り、刃先12tが露出する。なお、未溶解の刃先ガード10は、帯鋸盤18のオイルパンに収納され、切削油で更に溶解されるか、或いは切粉と一緒に廃棄処理される。
【0021】
続いて、第1実施形態の効果について説明する。
【0022】
第1実施形態によれば、刃先ガード10を刃先12tに取付けた状態の帯鋸刃12を駆動ホイール22と従動ホイール24に装着するため、帯鋸刃12はチッピング等の発生を抑えられ、作業者は帯鋸盤18への帯鋸刃12の装着を安全に行うことができる。
【0023】
また、帯鋸盤18を起動させるだけで、刃先ガード10は水溶性切削油SCにより帯鋸刃12の刃先12tから自動的に除去され、作業者は帯鋸刃12の刃先12tからの刃先ガード10を取外す手間を省くことができる。
【0024】
更に、刃先ガード10が多孔質構造に形成されている場合は、切削油供給ノズル20から水溶性切削油SCを帯鋸刃12に供給されたとき、溶解し始めた刃先ガード10の表面積は増加するので、刃先ガード10の溶解速度を高めることができる。これにより、帯鋸刃12からの刃先ガード10を除去するまでの時間を短縮することができる。
【0025】
また、刃先ガード10を構成する水溶性ポリマーに添加剤として消泡剤や防腐剤が含まれている場合には、水溶性切削油SCの品質を安定的に保持することができる。
【0026】
(第2実施形態)
図4(a)に示すように、第2実施形態に係る刃先ガード30は、第1実施形態に係る刃先ガード10(
図1参照)と同様に、無端状の帯鋸刃12の刃先12tを保護する帯鋸刃12の付属品である。刃先ガード30は、帯鋸刃12の鋸歯14の刃先12tのみに取付けられる、粒状(球状)の刃先ガードチップ32である。なお、刃先12tを保護できる形状であればよく、粒状の他に様々な形状に変更してもよい。
【0027】
刃先ガードチップ32は、ポリエチレン等のプラスチック(合成樹脂)により構成され、外力から刃先12tを保護できる程度で脱着可能な程度に柔軟性及び弾性の性質を持っている。なお、各刃先ガードチップ32は前記性質があれば足り、プラスチック以外の材料により構成されてもよい。
【0028】
図5に示すように、刃先ガードチップ32は、帯鋸盤18(
図6参照)の切粉除去装置としての回転ブラシ34の回転によって剥ぎ取られて除去に至り、帯鋸刃12の刃先12tが露出する。回転ブラシ34は、例えば、特許文献2に示すように周知の構成からなり、その回転によって帯鋸刃12の刃先12tに付着した切粉を剥ぎ取る。つまり、複数の刃先ガードチップ32からなる刃先ガード30は、帯鋸盤18装着後に回転ブラシ34により除去可能に構成されている。
図5における二点鎖線で囲んだ部分は、複数の刃先ガードチップ32が複数の鋸歯14の刃先12tから除去された様子を示している。
【0029】
続いて、第2実施形態に係る刃先ガードの除去方法について説明する。ここで、第2実施形態に係る刃先ガードの除去方法は、複数の刃先ガードチップ32からなる刃先ガード30を帯鋸刃12の刃先12tから除去するための方法である。
【0030】
図6に示すように、帯鋸刃12はプラスチックの刃先ガードチップ32が鋸歯14の刃先12tのみに取付けられた状態で、帯鋸盤18の駆動ホイール22と従動ホイール24に装着される。その際に、帯鋸刃12の一部は、帯鋸盤18の一対の鋸刃ガイド26,28に支持され、刃先12tが切削方向に向くよう捻った状態となる。そして、
図5及び
図6に示すように、回転ブラシ34を帯鋸刃12の刃先12tに接触させた状態で、回転ブラシ34を回転させながら、駆動ホイール22及び従動ホイール24の回転によって帯鋸刃12を走行させることにより、刃先ガードチップ32は剥ぎ取られて除去に至り、刃先12tが露出する。なお、剥ぎ取られた刃先ガードチップ32は、帯鋸盤18のオイルパンに収納され、切削油で溶解されるか、或いは切粉と一緒に廃棄処理される。
【0031】
続いて、第2実施形態の効果について説明する。
【0032】
第2実施形態によれば、鋸歯14の刃先12tのみに刃先ガードチップ32を取付けた状態の帯鋸刃12を駆動ホイール22と従動ホイール24に装着するため、帯鋸刃12はチッピング等の発生を抑えられ、作業者は帯鋸盤18への帯鋸刃12の装着を安全に行うことができる。
【0033】
また、帯鋸盤18を起動させるだけで、刃先ガードチップ32は鋸歯14の刃先12tから自動的に除去され、作業者は帯鋸刃12の刃先12tからの刃先ガードチップ32を取外す手間を省くことができる。
【0034】
(第2実施形態の変形例1)
第2実施形態の変形例1においては、各刃先ガードチップ32がプラスチックにより構成される代わりに、水溶性材料、具体的には、例えば水溶性ポバール等の水溶性ポリマーにより構成されている。刃先ガードチップ32を構成する水溶性ポリマーには、水溶性切削油SC(
図7参照)の品質を保持するための添加剤として消泡剤や防腐剤が含まれてもよい。
図4(b)に示すように、各刃先ガードチップ32が多孔質構造に形成されてもよい。なお、各刃先ガードチップ32は水溶性ポリマー以外の水溶性材料により構成されてもよい。
【0035】
図7に示すように、帯鋸盤18(
図3参照)の水溶性切削油供給装置(除去装置)としての切削油供給ノズル20から供給される水溶性切削油SCによって、水溶性材料の刃先ガードチップ32は溶解して除去に至り、帯鋸刃12の刃先12tが露出する。未溶解の刃先ガードチップ32は、切粉除去装置としての回転ブラシ34の回転によって剥ぎ取られて除去に至り、帯鋸刃12の刃先12tが露出する。つまり、複数の刃先ガードチップ32からなる刃先ガード30は、帯鋸盤18装着後に切削油供給ノズル20及び回転ブラシ34により除去可能に構成されている。
図7における一点鎖線で囲んだ部分は、複数の刃先ガードチップ32が溶解して複数の鋸歯14の刃先12tから除去された様子を示している。
図7における二点鎖線で囲んだ部分は、未溶解の複数の刃先ガードチップ32が複数の鋸歯14の刃先12tから除去された様子を示している。
【0036】
続いて、第2実施形態の変形例1に係る刃先ガードの除去方法について説明する。ここで、第2実施形態の変形例1に係る刃先ガードの除去方法は、複数の刃先ガードチップ32からなる刃先ガード30を帯鋸刃12の刃先12tから除去するための方法である。
【0037】
図6に示すように、帯鋸刃12は水溶性ポリマー等の水溶性材料により構成された刃先ガードチップ32が鋸歯14の刃先12tのみに取付けられた状態で、帯鋸盤18の駆動ホイール22と従動ホイール24に装着される。その際に、帯鋸刃12の一部は、帯鋸盤18の一対の鋸刃ガイド26,28に支持され、刃先12tが切削方向に向くよう捻った状態となる。
図6及び
図7に示すように、回転ブラシ34を帯鋸刃12の刃先12tに接触させた状態で、回転ブラシ34を回転させかつ切削油供給ノズル20から水溶性切削油SCを帯鋸刃12に供給しながら、駆動ホイール22及び従動ホイール24の回転によって帯鋸刃12を走行させることにより、刃先ガードチップ32は溶解されて除去に至り、未溶解の刃先ガードチップ32は剥ぎ取られて除去に至り、刃先12tが露出する。なお、未熔解の刃先ガードチップ32は、帯鋸盤18のオイルパンに収納され、切削油で更に溶解されるか、或いは切粉と一緒に廃棄処理される。
【0038】
そして、第2実施形態の変形例1によれば、前述の第2実施形態と同様の効果を奏する他に、次のような効果を奏する。
【0039】
各刃先ガードチップ32が多孔質構造に形成されている場合は、切削油供給ノズル20から水溶性切削油SCを帯鋸刃12に供給されたとき、溶解し始めた刃先ガードチップ32の表面積は増加するので、刃先ガードチップ32の溶解速度を高めることができる。これにより、帯鋸刃12からの刃先ガードチップ32を除去するまでの時間を短縮することができる。
【0040】
また、刃先ガードチップ32を構成する水溶性ポリマーに添加剤として消泡剤や防腐剤が含まれている場合には、水溶性切削油SCの品質を安定的に保持することができる。
【0041】
(第2実施形態の変形例2)
図8に示すように、第2実施形態の変形例2においては、各刃先ガードチップ32がプラスチック又は水溶性ポリマーの代わりに液体ゴムで構成されている。尤も、ポリエチレンや水溶性ポリマーなど熱可塑性樹脂を加熱して溶融したものであってもよい。第2実施形態及びその変形例1に係る刃先ガードチップ32(
図4参照)が粒状(球状)であるのに対し、第2実施形態の変形例2に係る刃先ガードチップ32は、液体ゴムが鋸歯14又は刃先12tの形状に沿って塗布され、その後その液体ゴムが弾性力のあるゴム皮膜の状態で硬化するものである。
図8は、その硬化した液体ゴムが刃先ガードチップ32となることを示している。
【0042】
そして、第2実施形態の変形例2によれば、前述の第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0043】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、適宜の変更を行うことにより、種々な態様で実施可能である。そして、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態の説明に限定されないものである。
【符号の説明】
【0044】
10 刃先ガード
12 帯鋸刃
12t 刃先
14 鋸歯
16 収納溝
17 グリップ部(挟持部)
18 帯鋸盤
20 切削油供給ノズル(水溶性切削油供給装置、除去装置)
22 駆動ホイール
24 従動ホイール
26 鋸刃ガイド
28 鋸刃ガイド
30 刃先ガード
32 刃先ガードチップ
34 回転ブラシ(切粉除去装置、除去装置)
SC 水溶性切削油