(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043711
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】出力装置、状態監視装置、風車、出力方法、状態監視方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
F03D 17/00 20160101AFI20220309BHJP
F03D 1/06 20060101ALI20220309BHJP
F03D 7/04 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
F03D17/00
F03D1/06 A
F03D7/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149147
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】浅川 雄一
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA22
3H178AA24
3H178AA43
3H178BB35
3H178BB41
3H178BB46
3H178BB56
3H178BB59
3H178CC23
3H178CC25
3H178DD43X
3H178DD50Z
3H178DD52X
3H178DD54X
3H178EE06
3H178EE08
3H178EE09
3H178EE10
3H178EE15
3H178EE26
3H178EE28
(57)【要約】
【課題】アクチュエータの負荷分担率を出力する。
【解決手段】風車の駆動装置用の出力装置は、風車の駆動装置に含まれ且つ協働している複数のアクチュエータのそれぞれにかかる負荷に関する情報を取得する取得部と、取得部が取得した情報に基づき、複数のアクチュエータの負荷の合計である合計負荷に対するアクチュエータの各々の負荷の割合である負荷分担率を計算する処理部と、負荷分担率を出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車の駆動装置に含まれ且つ協働している複数のアクチュエータのそれぞれにかかる負荷に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した情報に基づき、複数の前記アクチュエータの負荷の合計である合計負荷に対する前記アクチュエータの各々の負荷の割合である負荷分担率を計算する処理部と、
前記負荷分担率を出力する出力部と、を備える、風車の駆動装置用の出力装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記駆動装置が駆動している間における複数の前記アクチュエータにかかる負荷に関する情報を取得する、請求項1に記載の風車の駆動装置用の出力装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記駆動装置が停止している間における複数の前記アクチュエータにかかる負荷に関する情報を取得する、請求項1又は2に記載の風車の駆動装置用の出力装置。
【請求項4】
風車の駆動装置に含まれ且つ協働している複数のアクチュエータのそれぞれにかかる負荷に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した情報に基づき、複数の前記アクチュエータの負荷の合計である合計負荷に対する前記アクチュエータの各々の負荷の割合である負荷分担率を計算する処理部と、
前記処理部が計算した前記負荷分担率と前記合計負荷に基づいて前記アクチュエータの状態を診断する診断部と、を備える、風車の駆動装置用の状態監視装置。
【請求項5】
前記取得部はトルクセンサである、請求項4に記載の風車の駆動装置用の状態監視装置。
【請求項6】
複数の前記アクチュエータに制動力を与えるブレーキと、
前記診断部の診断結果に基づいて前記ブレーキを制御する駆動制御部と、を備える、請求項4又は5に記載の風車の駆動装置用の状態監視装置。
【請求項7】
前記負荷分担率を示す軸と前記合計負荷を示す軸とを有したグラフ上に、前記取得部が取得した情報を表示する表示部を備える、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の風車の駆動装置用の状態監視装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記合計負荷に応じて前記アクチュエータの各々が許容可能な前記負荷分担率の上限を示す線を、グラフ上に表示する、請求項7に記載の風車の駆動装置用の状態監視装置。
【請求項9】
協働している複数のアクチュエータを含む駆動装置と、
前記駆動装置によって駆動される可動部を有する風車本体と、
複数の前記アクチュエータのそれぞれにかかる負荷に関する情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した情報に基づき、複数の前記アクチュエータの負荷の合計である合計負荷に対する前記アクチュエータの各々の負荷の割合である負荷分担率を計算する処理部と、前記負荷分担率に基づいて前記駆動装置の状態を診断する診断部と、前記診断部の診断結果に基づいて前記駆動装置を制御する駆動制御部と、を有する、風車の駆動装置用の状態監視装置と、を備える、風車。
【請求項10】
駆動装置に含まれ且つ協働している複数のアクチュエータのそれぞれにかかる負荷に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した情報に基づき、複数の前記アクチュエータの負荷の合計である合計負荷に対する前記アクチュエータの各々の負荷の割合である負荷分担率を計算する処理部と、
前記処理部が計算した前記負荷分担率と前記合計負荷に基づいて前記アクチュエータの状態を診断する診断部と、
を備える、状態監視装置。
【請求項11】
風車の駆動装置に含まれ且つ協働している複数のアクチュエータのそれぞれにかかる負荷に関する情報を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された情報に基づき、複数の前記アクチュエータの負荷の合計である合計負荷に対する前記アクチュエータの各々の負荷の割合である負荷分担率を計算する処理工程と、
前記処理工程において計算した前記負荷分担率と前記合計負荷に基づいて前記アクチュエータの状態を診断する診断工程と、
前記診断工程での診断結果に基づいて前記駆動装置を制御する駆動制御工程と、
を備える、風車の駆動装置の状態監視方法。
【請求項12】
前記駆動制御工程では、前記診断工程での診断結果に基づいて、複数の前記アクチュエータに制動力を与えるブレーキを制御する、請求項11に記載の風車の駆動装置の状態監視方法。
【請求項13】
コンピュータに、風車の駆動装置に含まれ且つ協働している複数のアクチュエータのそれぞれにかかる負荷に関する情報を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された情報に基づき、複数の前記アクチュエータの負荷の合計である合計負荷に対する前記アクチュエータの各々の負荷の割合である負荷分担率を計算する処理工程と、
前記負荷分担率を出力する出力工程と、を備える風車の駆動装置用の出力方法を実行させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力装置、状態監視装置、風車、出力方法、状態監視方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、風向きに応じてブレードの方向を調整するヨー制御機能を備えた風力発電装置が知られている。この種の風力発電装置は、例えば、特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1に記載された風力発電装置は、地上又は洋上に設置され、発電機の支柱となるタワーと、タワー上に設けられ、発電機を内蔵するナセルと、ナセルの一端に設けられ、風を受けて回転エネルギーへ変換するハブ及びブレードからなるロータと、を有する風力発電装置である。この風力発電装置は、タワーに設けられたヨーベーリングギアとナセルに設けられた複数のヨーアクチュエータのピニオンギアとを噛み合わせて、ヨーアクチュエータを駆動させることにより、タワーに対するナセル及びロータの位置を制御するヨー制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
他のアクチュエータが破損していないにも関わらず、複数のアクチュエータのうち一部のアクチュエータのみが破損している場合があった。本発明者がこの理由について検討したところ、複数のアクチュエータにかかる負荷を合計した合計負荷に対する、アクチュエータの各々にかかる負荷の割合(負荷分担率とも称する)が不均一となっている場合があることが見出された。また、負荷分担率が不均一となっている場合には、特に、負荷分担率の大きなアクチュエータに、突風等のために突発的に大きな負荷がかかることによって、アクチュエータが破損するおそれがあることが見出された。以上より、特定のアクチュエータの負荷分担率を監視し、また特定のアクチュエータの負荷分担率が大きくなることを抑制する制御に役立てるために、アクチュエータの負荷分担率を出力することが求められる。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、アクチュエータの負荷分担率を出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による風車の駆動装置用の出力装置は、
風車の駆動装置に含まれ且つ協働している複数のアクチュエータのそれぞれにかかる負荷に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した情報に基づき、複数の前記アクチュエータの負荷の合計である合計負荷に対する前記アクチュエータの各々の負荷の割合である負荷分担率を計算する処理部と、
前記負荷分担率を出力する出力部と、を備える。
【0007】
本発明による風車の駆動装置用の出力装置において、
前記取得部は、前記駆動装置が駆動している間における複数の前記アクチュエータにかかる負荷に関する情報を取得してもよい。
【0008】
本発明による風車の駆動装置用の出力装置において、
前記取得部は、前記駆動装置が停止している間における複数の前記アクチュエータにかかる負荷に関する情報を取得してもよい。
【0009】
本発明による風車の駆動装置用の状態監視装置は、
風車の駆動装置に含まれ且つ協働している複数のアクチュエータのそれぞれにかかる負荷に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した情報に基づき、複数の前記アクチュエータの負荷の合計である合計負荷に対する前記アクチュエータの各々の負荷の割合である負荷分担率を計算する処理部と、
前記処理部が計算した前記負荷分担率と前記合計負荷に基づいて前記アクチュエータの状態を診断する診断部と、を備える。
【0010】
本発明による風車の駆動装置用の状態監視装置において、
前記取得部はトルクセンサであってもよい。
【0011】
本発明による風車の駆動装置用の状態監視装置は、
複数の前記アクチュエータに制動力を与えるブレーキと、
前記診断部の診断結果に基づいて前記ブレーキを制御する駆動制御部と、を備えてもよい。
【0012】
本発明による風車の駆動装置用の状態監視装置は、
前記負荷分担率を示す軸と前記合計負荷を示す軸とを有したグラフ上に、前記取得部が取得した情報を表示する表示部を備えてもよい。
【0013】
本発明による風車の駆動装置用の状態監視装置において、
前記表示部は、前記合計負荷に応じて前記アクチュエータの各々が許容可能な前記負荷分担率の上限を示す線を、グラフ上に表示してもよい。
【0014】
本発明による風車は、
協働している複数のアクチュエータを含む駆動装置と、
前記駆動装置によって駆動される可動部を有する風車本体と、
複数の前記アクチュエータのそれぞれにかかる負荷に関する情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した情報に基づき、複数の前記アクチュエータの負荷の合計である合計負荷に対する前記アクチュエータの各々の負荷の割合である負荷分担率を計算する処理部と、前記負荷分担率に基づいて前記駆動装置の状態を診断する診断部と、前記診断部の診断結果に基づいて前記駆動装置を制御する駆動制御部と、を有する、風車の駆動装置用の状態監視装置と、を備える。
【0015】
本発明による状態監視装置は、
駆動装置に含まれ且つ協働している複数のアクチュエータのそれぞれにかかる負荷に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した情報に基づき、複数の前記アクチュエータの負荷の合計である合計負荷に対する前記アクチュエータの各々の負荷の割合である負荷分担率を計算する処理部と、
前記処理部が計算した前記負荷分担率と前記合計負荷に基づいて前記アクチュエータの状態を診断する診断部と、
を備える。
【0016】
本発明による風車の駆動装置の状態監視方法は、
風車の駆動装置に含まれ且つ協働している複数のアクチュエータのそれぞれにかかる負荷に関する情報を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された情報に基づき、複数の前記アクチュエータの負荷の合計である合計負荷に対する前記アクチュエータの各々の負荷の割合である負荷分担率を計算する処理工程と、
前記処理工程において計算した前記負荷分担率と前記合計負荷に基づいて前記アクチュエータの状態を診断する診断工程と、
前記診断工程での診断結果に基づいて前記駆動装置を制御する駆動制御工程と、
を備える。
【0017】
本発明による風車の駆動装置の状態監視方法において、
前記駆動制御工程では、前記診断工程での診断結果に基づいて、複数の前記アクチュエータに制動力を与えるブレーキを制御してもよい。
【0018】
本発明による風車の駆動装置用の出力方法を実行させるためのプログラムは、
コンピュータに、風車の駆動装置に含まれ且つ協働している複数のアクチュエータのそれぞれにかかる負荷に関する情報を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された情報に基づき、複数の前記アクチュエータの負荷の合計である合計負荷に対する前記アクチュエータの各々の負荷の割合である負荷分担率を計算する処理工程と、
前記負荷分担率を出力する出力工程と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、アクチュエータの負荷分担率を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態における、風車の構成例を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態における、タワーと駆動装置との関係を示す上面図である。
【
図3】本実施形態における、取得部及びアクチュエータの構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態における、駆動装置が駆動している期間と停止している期間とを示す図である。
【
図5】本実施形態における、状態監視装置の構成例を示す図である。
【
図6】本実施形態における、表示部が表示するグラフの例を示す図である。
【
図7】変形例における、状態監視装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態においては、出力装置及び状態監視装置の一例として、風車の駆動装置用の出力装置及び風車の駆動装置用の状態監視装置について説明する。しかしながら、出力装置及び状態監視装置の用途は風車の駆動装置用に限られず、協働している複数のアクチュエータを有する駆動装置に広く適用することができる。
図1は、風車10の構成例を示す斜視図である。風車10は、風車本体101を備える。風車本体101は、タワー102と、ナセル103と、ロータ104(主軸部)と、複数のブレード105(羽根)とを備える。タワー102は、陸上又は海上において、鉛直方向の上向きに延びる。
【0022】
風車10は、風車本体101に加えて駆動装置を備える。そして、風車本体101は、駆動装置によって駆動される可動部を有する。本実施形態においては、ナセル103が、タワー102の上部に対して回転可能なように、タワー102に取り付けられている。すなわち、タワー102とナセル103との接続部が、タワー102に対してナセル103を回転可能な可動部となっている。そして、駆動装置は、可動部を駆動させることによって、タワー102に対してナセル103を回転させる。一例として、駆動装置は、ナセル103の内部に備えられている。駆動装置は、具体的には、協働する複数のアクチュエータを含む。複数のアクチュエータは、ナセル103を、タワー102の長手方向を回転軸として回転させるように協働する。これによって、ナセル103は、タワー102に対してヨー方向(YAW)に回転する。
【0023】
ロータ104は、ナセル103においてロール方向(ROLL)に回転する。複数枚(例えば、3枚)のブレード105は、ロール方向の回転軸から放射方向に延びるように、互いに等角度でロータ104に備えられる。
【0024】
図2は、本実施形態におけるタワー102と駆動装置2に含まれるアクチュエータ3との関係を示す上面図である。ナセル103には、ヨー駆動力を発生させるアクチュエータ3が取り付けられる。本実施形態において、4台のアクチュエータ3-1、3-2、3-3、及び3-4がナセル103に取り付けられる。以下、アクチュエータを総称する場合には単に「アクチュエータ3」と記載する。複数のアクチュエータ3は、駆動対象部を駆動する。本実施形態において、複数のアクチュエータ3が駆動する駆動対象部は、リングギア106である。
図2に示す例では、タワー102の内壁に、リングギア106が形成されている。この場合、リングギア106は、内周に複数の内歯を備える部材である。また、図示はしないが、リングギア106は、外周に複数の外歯を備える部材でもよい。リングギア106は、アクチュエータ3のピニオン34と噛み合う。アクチュエータ3は、モータ駆動力により
図2中のR方向に回転駆動する。なお、アクチュエータ3は、R方向とは反対方向にも回転可能であってよい。
【0025】
リングギア106とピニオン34とが噛み合っている状態で、ナセル103、又はタワー102等に突風等の力が印加された場合、リングギア106とピニオン34との間に接線力が発生する。接線力とは、リングギア106のギア形成面の接線方向に生ずる力である。接線力は、アクチュエータ3における減速部に捻り応力を与える。また、接線力は、アクチュエータ3における固定具に引っ張り応力、圧縮応力及び曲げ応力を与える。なお、本実施形態においては、タワー102にリングギア106が設けられ、ナセル103にアクチュエータ3が固定された一例を説明したが、これに限定されず、ナセル103にリングギア106に相当するギア部が設けられ、タワー102にアクチュエータ3に相当するアクチュエータが設けられてよい。
【0026】
また、風車本体101のうち、ナセル103をタワー102に対してヨー方向に回転させるヨー旋回部は、複数のアクチュエータ3によって駆動される駆動対象部に制動力を与えるブレーキを備える。本実施形態において、ヨー旋回部は、駆動対象部であるリングギア106に対して制動力を与える油圧ブレーキを備える。油圧ブレーキは、例えば、キャリパーブレーキ機構である。油圧ブレーキは、図示しない油圧ブレーキ駆動部と、
図2に示す摩擦体50とを有する。油圧ブレーキ駆動部は、外部から供給された制御信号に応じて摩擦体50を
図2中のZ方向(アクチュエータ3の後述する軸33が延びる方向)に移動させる。油圧ブレーキ駆動部は、摩擦体50をリングギア106に押し当てることでリングギア106に制動力を印加する。風車10は、リングギア106に付与する制動力を調整することができることが望ましい。
【0027】
図3は、アクチュエータ3の構成例を、アクチュエータ3にかかる負荷に関する情報を取得する取得部41の構成例とともに示す図である。
図3に示す例では、リングギア106はタワー102の上部に備えられている。
【0028】
アクチュエータ3は、風車本体101のナセル103に、N(Nは、2以上の整数)本のボルト35で固定される。N本のボルト35は、円周状に配置される。
【0029】
アクチュエータ3は、駆動部30と、制動部31と、減速機32と、軸33と、ピニオン34とを備える。減速機32は、減速機構としてのギアを備える。ピニオン34は、リングギア106と噛み合うように、軸33の端部に備えられる。ボルト35-1~35-Nは、アクチュエータ3をナセル103に固定する部材である。風等の外部負荷に起因するモーメントに応じて、ボルト35には歪が生じる。
【0030】
駆動部30は、モータである。駆動部30は、駆動部30に供給された電流に応じて、軸33の長手方向を回転軸として軸33を回転させる。また、状態監視装置1は、複数のアクチュエータ3に制動力を与えるブレーキを備える。本実施の形態において、アクチュエータ3の制動部31は、電磁ブレーキを用いて、軸33の回転速度を抑える。この場合、制動部31の電磁ブレーキが、アクチュエータ3に制動力を与えるブレーキに相当すると言える。制動部31は、電磁ブレーキを用いて、軸33の回転の停止状態を維持してもよい。減速機32は、減速機32に備えられたギアを用いて、軸33の回転速度を定める。
【0031】
軸33は、駆動部30に駆動されることによって、減速機32によって定められた回転速度で回転する。軸33は、駆動部30に駆動されることによって、所定のトルク(軸トルク)で回転する。ピニオン34は、軸33の回転量に応じて、リングギア106の内歯と噛み合いながら回転する。これによって、ナセル103は、タワー102に対してヨー方向に回転することができる。
【0032】
図4は、本実施形態における、駆動装置2が2つの異なったモードをとる期間を示す図である。風車10は、例えば
図6に示すように、駆動装置2が駆動している駆動期間と、駆動装置2が停止している停止期間とで、異なったモードをとる。駆動期間とは、風の向きに基づいてナセル103の向きを移動させる期間である。停止期間とは、ナセル103の向きを固定させる期間である。駆動装置2は、駆動期間中にタワー102に対してナセル103を目標位置まで移動させる。駆動装置2は、停止期間中にタワー102に対してナセル103を目標位置で停止させる。目標位置とは、風の向きに基づいて決定されるタワー102に対するナセル103の最適な位置である。
【0033】
駆動装置2は、駆動期間の開始タイミングが到来した場合、タワー102に対してナセル103を目標位置まで移動させる。駆動装置2は、駆動期間の終了タイミングが到来するまでに、ナセル103の位置を目標位置に位置決めする。駆動装置2は、停止期間中にナセル103の位置を目標位置に固定するように制動力を発生させる。
【0034】
本実施形態における風車10は、駆動装置2の状態を監視する状態監視装置1を備える。状態監視装置1は、駆動装置2の状態として、例えば駆動装置2の異常の有無を監視する。
図5は、風車10のうち駆動装置2及び状態監視装置1を示すブロック図である。
図5に示すように、状態監視装置1は、負荷分担率を出力する出力装置4と、出力部43が出力する負荷分担率を表示する表示部45と、出力部43が出力する負荷分担率に基づいて駆動装置2の状態を診断する診断部44と、駆動装置2を制御する駆動制御部47と、を備える。
図5に示す例では、状態監視装置1が出力装置4とコントローラ40とを備え、コントローラ40が診断部44、表示部45、駆動制御部47、通信部48及び記憶部49を有する。また、出力装置4及びコントローラ40は、通信回線100を介してユーザ端末5と接続されている。
【0035】
出力装置4は、取得した情報に基づいて負荷分担率を計算して出力する装置である。出力装置4は、例えば風車10のナセル103に備えられる。出力装置4は、複数のアクチュエータ3のそれぞれにかかる負荷に関する情報を取得する取得部41と、取得部41が取得した情報に基づき負荷分担率を計算する処理部42と、負荷分担率を出力する出力部43と、を備える。本実施形態において、出力装置4のうち処理部42及び出力部43は、プログラマブルロジックコントローラ(programmable logic controller : PLC)である。
【0036】
取得部41は、複数のアクチュエータ3の各々にかかる負荷に関する情報を取得する。ここで、「負荷」は、駆動装置2が駆動している間にアクチュエータ3にかかる負荷と、駆動装置2が停止している間にアクチュエータ3にかかる負荷とを含む。すなわち、負荷は、駆動装置2が動作している時にも、駆動装置2が停止している時にも、発生する。駆動装置2が駆動している間、アクチュエータ3には、アクチュエータ3自身が駆動することにより生じる負荷、及び風等の外力による負荷がかかる。また、駆動装置2が停止している間、アクチュエータ3には、風等の外力による負荷がかかる。
【0037】
また、「負荷に関する情報」は、例えばアクチュエータ3にかかる負荷を表す物理量、又は負荷を表す物理量を導出するのに用いられる情報である。負荷を表す物理量は、該物理量の測定結果に基づいて後述する負荷分担率を計算できるのであれば、特に限られない。アクチュエータ3にかかる負荷を表す物理量は、例えば、アクチュエータ3の軸33のトルク、制動部31のエアギャップ量又は制動に用いられる電流量(以下「制動電流量」という。)である。なお、エアギャップとは、制動部31が有する摩擦板に生じている隙間を指す。駆動装置2が駆動している間におけるアクチュエータ3の軸33のトルクは、例えば、駆動部30の駆動に用いられる電流量(以下「駆動電流量」という。)に基づいて導出可能である。また、駆動装置2が停止しており、駆動部30に電流が供給されていない場合におけるアクチュエータ3の軸33のトルクは、例えば、モーメントに応じたボルト35の歪量に基づいて導出可能である。
【0038】
一例として、取得部41はトルクセンサである。本実施形態において、取得部41はトルクセンサを有する。また、取得部41は電流センサを有する。取得部41は、複数のアクチュエータ3の各々に対して設けられている、複数のトルクセンサ及び複数の電流センサを有する。
【0039】
図3に示す例では、取得部41は、トルクセンサとして、ボルト35の歪量を測定するデバイスである歪センサ20を有する。歪量とは、変形量である。歪センサ20-n(nは、1以上N以下の整数)は、ボルト35-nに備えられる。軸33の回転に起因するモーメントに応じて、各ボルト35には歪が生じる。歪センサ20-nは、ボルト35-nの歪量を検出する。
【0040】
また、
図3に示す例では、取得部41は、電流センサとして、駆動部30に供給された電流量(駆動電流量)を検出する駆動電流センサ21と、制動部31における電磁ブレーキ(制動)の電流量(制動電流量)を検出する制動電流センサ23と、を有する。電流量とは、単位時間に通過する電気量である。
図3に示す例では、取得部41は、作動モニタ22を有する。作動モニタ22は、制動部31において電磁ブレーキが作動しているか否か(作動状態)を検出する。
【0041】
本実施形態の取得部41は、PLCのインプット端子を有する。本実施形態において、インプット端子は、取得部41の歪センサ20、駆動電流センサ21及び制動電流センサ23に接続されている。
【0042】
取得部41は、駆動装置2が駆動している間における複数のアクチュエータ3にかかる負荷に関する情報を取得する。一例として、取得部41は、駆動装置2が駆動している間における複数のアクチュエータ3にかかる負荷に関する情報として、駆動電流センサ21によって検出される駆動電流量を取得する。また、取得部41は、駆動装置2が停止している間における複数のアクチュエータ3にかかる負荷に関する情報を取得する。一例として、取得部41は、駆動装置2が停止している間における複数のアクチュエータ3にかかる負荷に関する情報として、歪センサ20によって検出される歪量を取得する。
【0043】
図示はしないが、取得部41は、インプット端子を有し、且つトルクセンサ及び電流センサ等のアクチュエータ3の負荷を検出するセンサを有しなくてもよい。この場合、取得部41は、アクチュエータ3の負荷を検出するセンサであって出力装置4に含まれないセンサに接続して、接続しているセンサが検出する情報を取得してもよい。
【0044】
処理部42は、取得部41が取得した情報に基づき、アクチュエータ3の負荷分担率を計算する。一例として、処理部42は、複数のアクチュエータ3の負荷の合計である合計負荷を計算する。そして、処理部42は、算出した合計負荷を用いて、合計負荷に対するアクチュエータ3の各々の負荷の割合である負荷分担率を計算する。取得部41が負荷を表す物理量を導出するのに用いられる情報を取得した場合、処理部42は、取得部41が取得した情報に基づいて負荷を表す物理量を算出してもよい。
【0045】
出力部43は、処理部42が計算した負荷分担率を出力する。出力部43は、例えばPLCのアウトプット端子である。出力部43は、例えば後述する診断部44及び表示部45に接続される。本実施形態において、出力部43は、後述するコントローラ40の通信部48を介して、コントローラ40の診断部44及び表示部45に接続されている。この場合、出力部43は、通信部48を介して診断部44及び表示部45へと負荷分担率を出力する。
【0046】
コントローラ40は、例えば、サーバ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、タブレット端末又はスマートフォン端末である。コントローラ40は、例えば、風車10の管理者の社屋に設置される。本実施形態のコントローラ40は、診断部44、表示部45、駆動制御部47、通信部48及び記憶部49を有する。
【0047】
表示部45、診断部44、駆動制御部47、通信部48及び記憶部49の各部は、バスを経由して互いに通信可能である。
【0048】
一例として、記憶部49は、後述する駆動装置2の状態監視方法及び出力方法をコンピュータであるコントローラ40に実行させるためのプログラムを記憶している。診断部44、駆動制御部47及び通信部48の一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、記憶部49に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。一例として、記憶部49は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。記憶部49は、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記録媒体(非一時的な記録媒体)が好ましい。記憶部49は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の記録媒体を備えてもよい。診断部44、駆動制御部47及び通信部48とのうち一部又は全部は、例えば、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0049】
表示部45は、出力部43が出力する負荷分担率を表示する。表示部45は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスである。表示部45は、タッチパネル等の操作デバイスを備えてもよい。
【0050】
本実施形態において、表示部45は、負荷分担率を示す軸と合計負荷を示す軸とを有したグラフ上に、取得部41が取得した情報を表示する。
図6は、表示部45が表示するグラフの一例を示す図である。
図6に示すグラフは、負荷分担率を示す縦軸と、合計負荷を示す横軸とを有する。グラフ上の点の各々は、ある時刻における複数のアクチュエータ3のうちいずれか一つのアクチュエータ3の負荷分担率と、その時刻における合計負荷とを示す。
【0051】
表示部45は、複数のアクチュエータ3のうち、負荷分担率が最大となったアクチュエータ3に関する情報のみを表示してもよい。
図6に示す例において、グラフ上の点の各々は、ある時刻における、複数のアクチュエータ3のうち負荷分担率が最大となったアクチュエータ3の負荷分担率と、その時刻における合計負荷とを示す。例えば、第1の時刻t1において
図2の4つのアクチュエータ3の合計負荷が第1の時刻t1以前に記録された合計負荷と比べて最大となった場合に、グラフ上には、第1の時刻t1におけるアクチュエータ3のうちいずれか一つの負荷分担率と、第1の時刻t1における合計負荷とを表す点が打たれる。この場合において、仮に、第1の時刻t1における負荷分担率が4つのアクチュエータのうちアクチュエータ3-1で最大であったならば、グラフ上には、第1の時刻t1におけるアクチュエータ3-1の負荷分担率と、第1の時刻t1における合計負荷とを表す点が打たれる。負荷分担率が最大となったアクチュエータ3に関する情報のみを表示することによって、特に破損が懸念される負荷分担率が最大となったアクチュエータ3に関する情報を把握しやすくすることができる。
【0052】
図6に示す例においては、負荷を表す物理量として、アクチュエータ3の軸33のトルクを用いている。このため、合計負荷として、アクチュエータ3の各々の軸33のトルクの合計(合計トルクとも称する)が示されている。また、負荷分担率として、ある時刻における、負荷分担率が最大となったアクチュエータ3の軸33のトルクの、合計トルクに対する割合が百分率によって示されている。なお、
図6に示す例においては、4つのアクチュエータ3のうち負荷分担率が最大となったアクチュエータ3の負荷分担率を示すため、グラフ上の点が示す負荷分担率は、25%以上100%以下となっている。アクチュエータ3の軸33のトルクは、歪センサ20によって測定されるボルト35の歪量に基づいて導出される。
【0053】
また、表示部45は、合計負荷に応じてアクチュエータ3の各々が許容可能な負荷分担率の上限を示す線L1を、グラフ上に表示する。線L1は、複数のアクチュエータ3の各々が許容可能な負荷(負荷許容値とも称する)に基づいて引くことができる。負荷を表す物理量としてアクチュエータ3の軸33のトルクを用いている場合、負荷許容値は、例えばアクチュエータ3の各々が許容可能な軸33のトルクの基準値である。一つのアクチュエータ3にかかる負荷は、合計負荷と、当該アクチュエータの負荷分担率との積で表される。このため、
図6に示すグラフにおいて、線L1は、合計負荷と負荷分担率との積が負荷許容値と等しくなる反比例の関係を示す曲線となる。グラフ上の、線L1の上側の範囲では合計負荷と負荷分担率との積が負荷許容値を上回り、線L1の下側の範囲では合計負荷と負荷分担率との積が負荷許容値を下回る。
【0054】
負荷分担率を表示する表示部45によって、状態監視装置1の使用者が、負荷分担率を把握することが容易となる。このため、使用者が駆動装置2の状態を判断して、手動で駆動装置2を制御することが容易となる。特に、負荷分担率が不均一であることに起因して一つのアクチュエータ3に大きな負荷がかかり、アクチュエータ3の部品が塑性変形してしまうことを、制御によって抑制できる。
【0055】
また、仮にアクチュエータ3の部品が塑性変形するほどの負荷が突発的に生じなくとも、一つのアクチュエータ3にかかる負荷が他のアクチュエータ3にかかる負荷よりも比較的大きい状態が続くと、負荷の大きいアクチュエータ3が疲労によって早期に破損するおそれがある。使用者が表示部45によって駆動装置2の状態を判断し、特に負荷分担率の大きなアクチュエータ3が生じないように駆動装置2を制御することで、負荷の大きいアクチュエータ3が疲労によって早期に破損することを抑制することができる。例えば、複数のアクチュエータ3にかかる負荷を均一化することによって、一つのアクチュエータ3のみが早期に破損することを抑制して、駆動装置2の全体の寿命を長寿命化することができる。
【0056】
また、負荷分担率を示す軸と合計負荷を示す軸とを有したグラフ上に、取得部41が取得した情報を表示することによって、使用者が負荷分担率とともに合計負荷も把握することを容易にすることができる。また、一つのアクチュエータ3にかかる負荷も、合計負荷と負荷分担率との積として把握することができる。このため、合計負荷は大きくないが負荷分担率の大きなアクチュエータ3がある状態や、突風等の突発的負荷によって合計負荷が大きくなっている状態等、駆動装置2の状態を使用者がさらに正確に把握して、駆動装置2を制御することができる。
【0057】
また、本実施形態では、ボルト35の歪量に基づいて導出されるアクチュエータ3の軸33のトルクを、負荷を表す物理量として用いる。この場合、風等の外力による負荷、特に駆動装置2が停止しているときに外力のためにアクチュエータ3にかかっている負荷を把握することができる。このため、本実施形態の表示部45を備える状態監視装置1は、可動部が長時間停止している場合があり、且つ屋外に設置されるために風等の大きな外力を受け得る、風車10の駆動装置2用に、特に適している。
【0058】
また、表示部45は、線L1を引く際に用いられた負荷許容値よりも小さな第2の負荷許容値に基づいて、合計負荷と負荷分担率との積が第2の負荷許容値と等しくなる反比例の関係を示す曲線である線L2を表示してもよい。線L2は、合計負荷とアクチュエータ3の負荷分担率との関係を示す点が線L1の下側に位置するものの線L1の付近に位置する場合に、使用者が手動で駆動装置2を制御するか否かを判断する目安とすることができる。例えば、合計負荷とアクチュエータ3の負荷分担率との関係を示す点が線L1と線L2との間に打たれた場合、使用者は、手動で駆動装置2を制御するか否かを適宜判断してもよい。
【0059】
また、表示部45は、負荷分担率の基準値Fを示す直線L3、及び合計負荷の基準値Tを示す直線L4を表示してもよい。この場合、負荷分担率の基準値Fは、駆動装置2が有するアクチュエータの数に応じて適宜定められる。また、合計負荷の基準値Tは、アクチュエータ3の各々が許容可能な負荷に応じて適宜定められる。直線L3及び直線L4は、合計負荷とアクチュエータ3の負荷分担率との関係を示す点が線L1の下側に位置するものの、合計負荷及び負荷分担率のいずれか一方の値が特に大きい場合に、使用者が手動で駆動装置2を制御するか否かを判断する目安とすることができる。
【0060】
図示はしないが、表示部45は、アクチュエータ3の各々に関する情報が他のアクチュエータ3に関する情報から識別可能となるように、取得部41が取得した情報を表示してもよい。例えば、
図2に示すアクチュエータ3-1に関する点、アクチュエータ3-2に関する点、アクチュエータ3-3に関する点及びアクチュエータ3-4に関する点の形状を変更することによって、互いに識別可能としてもよい。例えば、アクチュエータ3-1に関する点を白抜きされた丸形、アクチュエータ3-2に関する点を塗りつぶされた四角形とすることができる。また、
図2に示すアクチュエータ3-1に関する点、アクチュエータ3-2に関する点、アクチュエータ3-3に関する点及びアクチュエータ3-4に関する点の色彩を変更することによって、互いに識別可能としてもよい。例えば、アクチュエータ3-1に関する点を赤色、アクチュエータ3-2に関する点を塗りつぶされた青色とすることができる。
【0061】
アクチュエータ3の各々に関する情報が他のアクチュエータ3に関する情報から識別可能であることによって、状態監視装置1の使用者がグラフを見た際に、グラフ上の点がどのアクチュエータ3に関するものなのかを把握することが容易となる。
【0062】
診断部44は、処理部42が計算し、出力部43が出力した負荷分担率に基づいて駆動装置2の状態を診断する。一例として、診断部44は、駆動装置2のうちアクチュエータ3の状態を診断する。また、診断部44は、負荷分担率を基準値Fと比較することで、駆動装置2の状態を診断する。この場合、診断部44は、一つのアクチュエータ3の負荷分担率が、基準値F以下の場合には、駆動装置2の制御は不要と診断する。また、診断部44は、一つのアクチュエータ3の負荷分担率が基準値Fより大きい場合には、駆動装置2の制御が必要と診断する。
【0063】
また、診断部は、合計負荷を基準値Tと比較することで、駆動装置2の状態を診断してもよい。この場合、診断部44は、合計負荷が、基準値T以下の場合には、駆動装置2の制御は不要と診断する。また、診断部44は、合計負荷が基準値Tより大きい場合には、駆動装置2の制御が必要と診断する。一例として、診断部44は、処理部42が計算した負荷分担率と合計負荷に基づいてアクチュエータ3の状態を診断する。
【0064】
また、診断部44は、負荷許容値と、取得部41が取得した情報とを比較することで、駆動装置2の状態を診断してもよい。この場合、診断部44は、一つのアクチュエータにかかる負荷が負荷許容値以下の場合には、駆動装置2の制御は不要と診断する。また、診断部44は、一つのアクチュエータにかかる負荷が負荷許容値より大きい場合には、駆動装置2の制御が必要と診断する。一例として、診断部44は、負荷許容値と、合計負荷と負荷分担率との積とを比較する。
【0065】
負荷分担率に基づいて駆動装置2の状態を診断することによって、負荷分担率が不均一であることに起因して一つのアクチュエータ3に大きな負荷がかかり、アクチュエータ3が破損することを抑制することができる。また、一つのアクチュエータ3にかかる負荷を負荷許容値と比較することによって、合計負荷は大きくないが負荷分担率の大きなアクチュエータ3がある場合、及び合計負荷が大きくなっている場合のいずれも、駆動装置2の制御が必要と診断することができる。
【0066】
また、診断部44による駆動装置2の状態の診断にも、表示部45と同様に、負荷を表す物理量として、ボルト35の歪量に基づいて導出されるアクチュエータ3の軸33のトルクを用いることができる。この場合、風等の外力による負荷、特に駆動装置2が停止しているときに外力のためにアクチュエータ3にかかっている負荷に基づいて、駆動装置2の状態を診断することができる。このため、本実施形態の診断部44を備える状態監視装置1は、可動部が長時間停止している場合があり、且つ屋外に設置されるために風等の大きな外力を受け得る、風車10の駆動装置2用に、特に適している。
【0067】
駆動制御部47は、診断部44の診断結果に基づいて駆動装置2を制御する。駆動制御部47は、負荷分担率が大きいアクチュエータ3の負荷を減少させる制御を行う。一例として、駆動制御部47は、負荷分担率が最も大きくなっているアクチュエータ3の負荷分担率を低下させることによって、負荷分担率が最も大きくなっているアクチュエータ3の負荷を減少させる。
【0068】
診断部44が、一つのアクチュエータ3の負荷分担率を基準値Fと比較することで駆動装置2の状態を診断している場合、駆動制御部47は、一つのアクチュエータ3の負荷分担率が基準値F以下となるように、駆動装置2を制御する。また、診断部44が、合計負荷を基準値Tと比較することで駆動装置2の状態を診断している場合、駆動制御部47は、合計負荷が基準値T以下となるように、駆動装置2を制御する。また、診断部44が、一つのアクチュエータにかかる負荷を負荷許容値と比較することで駆動装置2の状態を診断している場合、駆動制御部47は、一つのアクチュエータ3にかかる負荷が負荷許容値以下となるように、駆動装置2を制御する。
【0069】
駆動制御部47による制御の具体例について説明する。駆動装置2が駆動している場合において、診断部44が駆動装置2の制御が必要と診断したとき、駆動制御部47は、駆動装置2の駆動を停止させる制御を行う。また、駆動制御部47は、診断部44の診断結果に基づいて、アクチュエータ3に制動力を与えるブレーキを制御しても良い。例えば駆動制御部47は、診断部44がアクチュエータ3の制御が必要と診断した場合においてブレーキがアクチュエータ3に制動力を与えているときに、任意のアクチュエータ3へのブレーキの制動力を弱め、又はブレーキの制動力を強める。これにより、例えば風等の外力によってアクチュエータ3にかかる負荷が大きくなっている場合に、外力に応じてタワー102がナセル103に対して回転し得る余地を残して、アクチュエータ3にかかる負荷を減少させることができる。駆動の停止とブレーキ制御を組み合わせても良い。
【0070】
ユーザ端末5は、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、タブレット端末又はスマートフォン端末である。ユーザ端末5は、例えば、風車10のユーザの社屋に設置される。ユーザ端末5は、通信回線100を介して、出力装置4及びコントローラ40との通信が可能である。
【0071】
次に、上述の状態監視装置1を用いた駆動装置の状態監視方法、及び上述の出力装置4を用いた出力方法について説明する。まず、取得工程において、取得部41が、複数のアクチュエータ3のそれぞれにかかる負荷に関する情報を取得する。次に、処理工程において、処理部42が、取得工程において取得された情報に基づき、アクチュエータ3の負荷分担率を計算する。次に、出力工程において、出力部43が、負荷分担率を出力する。
【0072】
次に、診断工程において、診断部44が、処理工程において計算され、出力工程において出力された負荷分担率に基づいて駆動装置2の状態を診断する。具体的には、診断部44は、アクチュエータ3の状態を診断する。また、診断部44は、駆動装置2の制御が必要か否かを診断する。診断部44が駆動装置2の制御は不要と診断した場合には、状態監視を続けるために、再び取得部41による取得工程を行う。
【0073】
診断部44が、駆動装置2の制御が必要と判断した場合には、制御工程において、駆動制御部47が、診断工程の診断結果に基づいて駆動装置2を制御する。一例として、駆動制御工程では、診断工程での診断結果に基づいて、複数のアクチュエータ3に制動力を与えるブレーキを制御する。
【0074】
また、表示部45が、処理工程において計算され、出力工程において出力された負荷分担率を表示する。表示部45は、例えば
図6に示すように、ある時刻におけるアクチュエータ3の負荷分担率を示す点が打たれたグラフを表示する。一例として、表示部45は、取得工程において負荷に関する情報が取得され、出力工程において負荷分担率が出力される度に、新たに出力された負荷分担率を示す点を追加で表示する。この場合、状態監視装置1の使用者は、新たに出力された負荷分担率をリアルタイムで把握して、手動で制御することが容易となる。
【0075】
以上の通り、具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述した具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0076】
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0077】
(変形例)
上述の実施形態では、一つのコントローラ40が、診断部44、表示部45、駆動制御部47、通信部48及び記憶部49を有する例について説明した。しかしながら、状態監視装置1の形態は、これに限られない。
図7は、変形例における状態監視装置1の構成例を示す図である。
図7に示す状態監視装置1は、出力装置4と、取得部41と、複数のコントローラ40とを備える。
【0078】
複数のコントローラ40は、通信回線100を介して分散配置される。コントローラ40における機能部(例えば、診断部44や駆動制御部47)は、分散配置されてもよい。複数のコントローラ40は、通信回線100を介して互いに通信することによって、クラウドコンピューティングを実行する。複数のコントローラ40は、例えばクラウドコンピューティングによって、上述の診断工程や制御工程を行うことができる。
【0079】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 状態監視装置
2 駆動装置
3 アクチュエータ
4 出力装置
5 ユーザ端末
10 風車
20 歪センサ
21 駆動電流センサ
22 作動モニタ
23 制動電流センサ
40 コントローラ
41 取得部
42 処理部
43 出力部
44 診断部
45 表示部
47 駆動制御部
48 通信部
49 記憶部
100 通信回線
101 風車本体