(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043788
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置
(51)【国際特許分類】
H02H 3/347 20060101AFI20220309BHJP
H02H 3/16 20060101ALI20220309BHJP
H02H 3/34 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
H02H3/347
H02H3/16 B
H02H3/34 M
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149250
(22)【出願日】2020-09-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】507184096
【氏名又は名称】日本テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】馬本 英一
【テーマコード(参考)】
5G004
5G058
【Fターム(参考)】
5G004AA01
5G004AB01
5G004BA01
5G058AA02
5G058BB02
5G058CC02
5G058EE01
5G058EF03
5G058EH03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】絶縁不良による三相交流の零相電流が生じた場合において、どの程度の将来時期にトリップが到来するかを予測することができ、その結果、計画的に電源を遮断することが可能になる三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置を提供する。
【解決手段】三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置0200は、零相電流(≠0)に基づく地絡情報と、時間情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得部0201と、監視情報履歴保持部0202と、遮断予測情報演算ルール保持部0203と、遮断予測情報演算取得部0204と、遮断予測情報保持部0205と、故障予測情報出力部0206と、を有する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器を流れる三相交流の零相電流(≠0)に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間(時刻を示す情報であってもよい。)情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得部と、
監視対象である開閉器(又はこれと一対一に対応するもの)を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持部と、
保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持部と、
遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得部と、
取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持部と、
保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力部と、を有する
三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置。
【請求項2】
地絡情報は零相変流器から得られる電流である一次電流の電流変化を示す微小電流である二次電流に基づく情報である請求項1に記載の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置。
【請求項3】
監視対象識別情報と、時間情報とを、関連付けて開閉器の遮断動作の発生を示す情報である遮断動作発生情報を取得する遮断動作発生情報取得部と、
取得した遮断動作発生情報を保持する遮断動作発生情報保持部と、
遮断動作発生情報と、監視情報履歴との関係である故障発生履歴情報を取得する故障発生履歴情報取得部と、
取得した故障発生履歴情報に基づいて保持されている遮断予測情報演算ルールを修正する遮断予測情報演算ルール修正部と、
をさらに有する請求項1又は請求項2に記載の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置。
【請求項4】
監視情報取得部は、零相変流器と増幅器を用いて一次電流の電流変化を検知する一次電流変化検知手段を有する請求項2又は、請求項2に従属する請求項3に記載の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置。
【請求項5】
絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器を流れる三相交流の零相電流(≠0)に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間(時刻を示す情報であってもよい。)情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得プログラムと、
監視対象である開閉器(又はこれと一対一に対応するもの)を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持プログラムと、
保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持プログラムと、
遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得プログラムと、
取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持プログラムと、
保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力プログラムと、
を有するコンピュータに読み取らせて実行可能な三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測プログラム。
【請求項6】
前記監視情報取得プログラムにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は零相変流器から得られる電流である一次電流の電流変化を示す電流である二次電流に基づく情報である請求項5に記載のコンピュータに読み取らせて実行可能な三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測プログラム。
【請求項7】
監視対象識別情報と、時間情報とを、関連付けて開閉器の遮断動作の発生を示す情報である遮断動作発生情報を取得する遮断動作発生情報取得プログラムと、
取得した遮断動作発生情報を保持する遮断動作発生情報保持プログラムと、
遮断動作発生情報と、監視情報履歴との関係である故障発生履歴情報を取得する故障発生履歴情報取得プログラムと、
取得した故障発生履歴情報に基づいて保持されている遮断予測情報演算ルールを修正する遮断予測情報演算ルール修正プログラムと、
をさらに有する請求項5又は請求項6に記載のコンピュータに読み取らせて実行可能な三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測プログラム。
【請求項8】
監視情報取得プログラムは、零相変流器と増幅器を用いて一次電流の電流変化を検知する一次電流変化検知サブプログラムを有する請求項6又は、請求項6に従属する請求項7に記載のコンピュータに読み取らせて実行可能な三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測プログラム。
【請求項9】
絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器を流れる三相交流の零相電流(≠0)に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間(時刻を示す情報であってもよい。)情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得ステップと、
監視対象である開閉器(又はこれと一対一に対応するもの)を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持ステップと、
保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持ステップと、
遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得ステップと、
取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持ステップと、
保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力ステップと、
を有するコンピュータである絶縁現状把握と遮断動作予測装置の動作方法。
【請求項10】
前記監視情報取得ステップにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は零相変流器から得られる電流である一次電流の電流変化を示す電流である二次電流に基づく情報である請求項9に記載のコンピュータである絶縁現状把握と遮断動作予測装置の動作方法。
【請求項11】
監視対象識別情報と、時間情報とを、関連付けて開閉器の遮断動作の発生を示す情報である遮断動作発生情報を取得する遮断動作発生情報取得ステップと、
取得した遮断動作発生情報を保持する遮断動作発生情報保持ステップと、
遮断動作発生情報と、監視情報履歴との関係である故障発生履歴情報を取得する故障発生履歴情報取得ステップと、
取得した故障発生履歴情報に基づいて保持されている遮断予測情報演算ルールを修正する遮断予測情報演算ルール修正ステップと、
をさらに有する請求項9又は請求項10に記載のコンピュータである絶縁現状把握と遮断動作予測装置の動作方法。
【請求項12】
監視情報取得ステップは、零相変流器と増幅器を用いて一次電流の電流変化を検知する一次電流変化検知サブステップを有する請求項10又は、請求項10に従属する請求項11に記載の有するコンピュータである絶縁現状把握と遮断動作予測装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源である電力会社から三相交流相電流が給電される需要家構内において、引込ケーブル等の絶縁現状把握と故障予測を行うのに用いられる三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力会社から給電される三相交流相電流を需要家が受電する場合、開閉器を介して成される受電方式や、需要家構外に位置する電力会社の電柱から高圧ケーブルを需要家構内に直接引き込む受電方式、所謂出向え受電方式が採用される。
【0003】
前者の開閉器を介して成される受電方式の開閉器には、電力会社と需要家の保安上の責任範囲を分ける責任分界点近辺において、需要家構内に設置された1号柱上(需要家側)に配置される柱上気中負荷開閉器(PAS;Pole mounted Air Switch,PGS;Pole mounted Gas Switch)や、責任分界点近辺において、需要家構内の地上に配置される地中線用負荷開閉器(UGS;Underground Gas Switch,UAS;Underground Air Switch)が用いられる。
【0004】
通常、このような開閉器を用いた受電方式の場合、SOG制御装置(Storage Overcurrent Ground;過電流蓄勢付き地絡保護装置)が開閉器の近傍に配置されており、万が一、需要家設備で絶縁不良事故が発生して、開閉器に内蔵された零相変流器が絶縁不良により生じる零相電流を検出した場合には、この零相変流器から二次電流として出力される零相電流をSOG制御装置が受けて開閉器をトリップ(開放)させることで、停電などの障害を責任分岐点の需要家側で止める、すなわち、他の需要家に停電などの障害が及ばないようにしている。
【0005】
一方、後者の出向え受電方式の場合、電力会社の電柱から高圧ケーブルが直接引き込まれるキュービクルには、通常、零相変流器及び地絡継電器(GR;Ground Relay)が内蔵されていると共に、高圧交流負荷開閉器(LBS;Load Break Switch)或いは真空遮断器(VCB:Vacuum Circuit Breaker)が内蔵されている。
【0006】
そして、この出向え受電方式では、万が一、需要家設備で絶縁不良事故が発生して、キュービクルに内蔵された零相変流器が絶縁不良により生じる零相電流を検出した場合には、この零相変流器から二次電流として出力される零相電流を地絡継電器が受けて高圧交流負荷開閉器又は真空遮断器をトリップ(開放)させることで、停電などの障害を責任分岐点の需要家側で止める、すなわち、他の需要家に停電などの障害が及ばないようにしている。
【0007】
従来において、開閉器を用いた受電方式における柱上気中開閉器及びSOG制御装置を備えた他需要家地絡保護システムが特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した従来の地絡保護システムにあっては、柱上気中開閉器内の零相変流器から絶縁不良に起因する閾値以上の零相電流が二次電流としてSOG制御装置に流れると、このSOG制御装置が作動して瞬時のうちに柱上気中開閉器をトリップさせて電源を遮断するので、工場内の全設備が突然急停止するなどといった好ましくない事態が生じているのが実情であり、これを解決することが従来の課題となっている。
【0010】
本発明は、上記した従来の課題を解決するために成されたものであり、絶縁不良による三相交流の零相電流が生じた場合において、どの程度の将来時期にトリップが到来するかを予測することができ、その結果、計画的に電源を遮断することが可能になる三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置を提供する。
すなわち、本発明の第一の態様は、絶縁不良進行に伴う需要家側地絡(主に高圧回路において大地に電流が流れる現象)によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器を流れる三相交流の零相電流(≠0)に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間(時刻を示す情報であってもよい。)情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得部と、監視対象である開閉器(又はこれと一対一に対応するもの)を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持部と、 保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持部と、遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得部と、取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持部と、保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力部と、を有する構成としている。
【0012】
ここで、非対称の三相交流回路(三相のベクトルの大きさがそれぞれ異なり互いの位相差も120°にはならない回路)の電流は、対称な各成分に分解して考えられる。すなわち、各線の同一相回転方向に流れる「正相電流」と、逆方向の相回転で流れる「逆相電流」と、各線に共通して同相で流れる「零相電流」に分解して考えられる。
「零相電流」は、対称三相交流回路(三相のベクトルの大きさがいずれも等しく互いの位相差が120°であり、三相のベクトル和が「0」である回路)では発生しないものである(大きさが0である)。この際、元のベクトルと同一の回転方向の対称成分を正相分と呼び、逆方向の相回転をもつ対称成分を逆相分と呼ぶ。
【0013】
つまり、対称三相交流回路の各線を流れる電流を零相変流器で一括して測定すると、指示値は「0」を示すが、回路内に地絡が生じている場合には、零相変流器において零相電流が流れるので、指示値は「0」以外の値になる。零相変流器によれば、この現象を利用して地絡の有無を調べることができる。
【0014】
なお、例えば、需要家構内に配置されるデジタル制御工作機器やパルス変調を用いて波形を出力するインバータ等の機器の負荷の大きさの違いがある場合にも、三相のベクトルの大きさがそれぞれ異なり互いの位相差も120°にはならないので、三相交流回路の電流のバランスは崩れているが、三相のベクトルの大きさ及び方向の総和はやはり「0」であり、零相変流器において零相電流は発生しない。つまり、不平衡ではあるが地絡は発生していない。
そして、このような負荷の大きさの違いによる三相交流回路の電流のバランス崩れが生じている場合において、回路内に地絡が生じていると零相電流が発生するので、この零相電流を検出することによって地絡の有無を把握することができる。
【0015】
本発明の第一の態様において、「絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる開閉器での三相交流の零相電流に基づく検出電流」は、三相のベクトル総和が「0」にならないのに伴って開閉器の零相変流器で発生する零相電流によるものであって、この零相電流に基づく検出電流が所定の閾値を超える場合等に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報を「地絡情報」としている。
この際、「零相電流に基づく検出電流のあらかじめ定めた所定の兆候」とは、一般的に技術常識から地絡の兆候ないしは微地絡の兆候であると把握される零相電流の傾向である。具体的には、検出電流の計測値の変化状況を多様に評価するべく、検出電流が所定の閾値を超える場合の他に、検出電流の計測値の増加傾向(微視的に見た場合に減少傾向に基づく場合もある:例えばスパイク状の電流の変化)例えば変曲点の出現などに目立つ変化が出てきた場合や、検出電流の計測値の所定時間間隔の分散や標準偏差の増減傾向に目立つ変化が出てきた場合等を指すがこれらに限定されるものではない。
【0016】
そして、本発明の第二の態様において、地絡情報は零相変流器から得られる電流である一次電流の電流変化を示す微小電流である二次電流に基づく情報である構成としている。
【0017】
また、本発明の第三の態様は、監視対象識別情報と、時間情報とを、関連付けて開閉器の遮断動作の発生を示す情報である遮断動作発生情報を取得する遮断動作発生情報取得部と、取得した遮断動作発生情報を保持する遮断動作発生情報保持部と、遮断動作発生情報と、監視情報履歴との関係である故障発生履歴情報を取得する故障発生履歴情報取得部と、取得した故障発生履歴情報に基づいて保持されている遮断予測情報演算ルールを修正する遮断予測情報演算ルール修正部と、をさらに有する構成としている。
【0018】
さらに、本発明の第四の態様において、監視情報取得部は、零相変流器と増幅器を用いて一次電流の電流変化を検知する一次電流変化検知手段を有する構成としている。
【0019】
また、以下の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測プログラムを提供する。
すなわち、本発明の第五の態様は、絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器等を流れる三相交流の零相電流(≠0)に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間(時刻を示す情報であってもよい。)情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得プログラムと、監視対象である開閉器(又はこれと一対一に対応するもの)を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持プログラムと、保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持プログラムと、遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得プログラムと、取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持プログラムと、保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力プログラムと、を有する構成としている。
【0020】
また、本発明の第六の態様において、前記監視情報取得プログラムにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は零相変流器から得られる電流である一次電流の電流変化を示す電流である二次電流に基づく情報である構成としている。
【0021】
さらに、発明の第七の態様は、監視対象識別情報と、時間情報とを、関連付けて開閉器の遮断動作の発生を示す情報である遮断動作発生情報を取得する遮断動作発生情報取得プログラムと、取得した遮断動作発生情報を保持する遮断動作発生情報保持プログラムと、遮断動作発生情報と、監視情報履歴との関係である故障発生履歴情報を取得する故障発生履歴情報取得プログラムと、取得した故障発生履歴情報に基づいて保持されている遮断予測情報演算ルールを修正する遮断予測情報演算ルール修正プログラムと、をさらに有する構成としている。
【0022】
さらにまた、本発明の第八の態様において、監視情報取得プログラムは、零相変流器と増幅器を用いて一次電流の電流変化を検知する一次電流変化検知サブプログラムを有する構成としている。
【0023】
さらに、以下の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置の動作方法を提供する。
すなわち、本発明の第九の態様は、絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器等を流れる三相交流の零相電流(≠0)に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間(時刻を示す情報であってもよい。)情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得ステップと、監視対象である開閉器(又はこれと一対一に対応するもの)を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持ステップと、保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持ステップと、遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得ステップと、取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持ステップと、保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力ステップと、を有する構成としている。
【0024】
また、本発明の第十の態様において、前記監視情報取得ステップにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は零相変流器から得られる電流である一次電流の電流変化を示す電流である二次電流に基づく情報である構成としている。
【0025】
さらにまた、本発明の第十一の態様は、監視対象識別情報と、時間情報とを、関連付けて開閉器の遮断動作の発生を示す情報である遮断動作発生情報を取得する遮断動作発生情報取得ステップと、取得した遮断動作発生情報を保持する遮断動作発生情報保持ステップと、 遮断動作発生情報と、監視情報履歴との関係である故障発生履歴情報を取得する故障発生履歴情報取得ステップと、取得した故障発生履歴情報に基づいて保持されている遮断予測情報演算ルールを修正する遮断予測情報演算ルール修正ステップと、をさらに有する構成としている。
【0026】
さらにまた、本発明の第十二の態様において、監視情報取得ステップは、零相変流器と増幅器を用いて一次電流の電流変化を検知する一次電流変化検知サブステップを有する構成としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、需要家構内に配置された零相変流器、例えば、柱上気中開閉器内の零相変流器が三相交流の零相電流を検知したとしても、需要家設備において電源遮断に伴う突然の停電が生じるのを回避することが可能であるという効果が得られる。また、すでに設置されている柱上気中開閉器内の零相変流器と、SOG制御装置、並びにこれらの結線に何ら手を入れることなく、後付で設置可能な装置であるので、これらシステムや、工場内への電流の供給の停止などを伴うことなく設置工事を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】本発明の実施形態1に係る三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置を需要家構内の1号柱上に配置した状況の説明図
【
図1B】
図1Aの断面で示す柱上気中開閉器に対する三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置及びSOG制御装置のつながりを示す図
【
図1D】本発明の実施形態1に係る三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置が他の開閉器を用いる受電方式に採用される場合の説明図
【
図1E】本発明の実施形態1に係る三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置が出向え受電方式に採用される場合の説明図
【
図2A】実施形態1の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置の機能ブロック図
【
図2B】柱上気中開閉器の変流器からSOG制御装置に向けて流れる電流(一次電流)に基づく間接情報である微小電流(二次電流)の地絡に至るまでの増大の仕方の一例を示すグラフ
【
図2C】柱上気中開閉器の変流器からSOG制御装置に向けて流れる電流(一次電流)に基づく間接情報である微小電流(二次電流)の地絡に至るまでの他の増大の仕方の一例を示すグラフ
【
図2D】柱上気中開閉器の変流器からSOG制御装置に向けて流れる電流(一次電流)に基づく間接情報である微小電流(二次電流)の地絡に至るまでのさらに他の増大の仕方の一例を示すグラフ
【
図2E】柱上気中開閉器の零相変流器からSOG制御装置に向けて流れる電流(一次電流)に基づく間接情報である微小電流(二次電流)において観測しなければならない点である二次電流の不安定性を示すグラフ
【
図2F】柱上気中開閉器の零相変流器からSOG制御装置に向けて流れる電流(一次電流)に基づく間接情報である微小電流(二次電流)において観測しなければならない点である二次電流にとげ状の部分が存在するグラフ
【
図3】実施形態1の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置のハードウェア構成例を示す図
【
図4】実施形態1の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置のハードウェアによる動作処理フローチャート
【
図5】実施形態2の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置の機能ブロック図
【
図6】実施形態2の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置のハードウェア構成例を示す図
【
図7】実施形態2の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置のハードウェアによる動作処理フローチャート
【
図8】実施形態3の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置の機能ブロック図
【
図9】実施形態3の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置のハードウェア構成例を示す図
【
図10】実施形態3の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置のハードウェアによる動作処理フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の実施形態を説明する。実施形態と請求項の相互の関係は以下のとおりである。実施形態1は主に請求項1,2に関し、実施形態2は主に請求項3に関し、実施形態3は主に請求項4に関する。なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0030】
<ハードウェアの説明>
以下に記載する本発明の計算機は、一例としてマザーボード上などに備えられる、CPU、不揮発性メモリ、メインメモリ、グラフィックカード、さらにI/Oコントローラ、USBやIEEE。LANなどのインターフェースや、BIOS、PCIスロット、リアルタイムクロックなど、及び、これらを相互に接続するバス並びにバスを接続するチップセット(ノースブリッジ、サウスブリッジ)から構成される。
「バス」は、CPU(MPU)と、周辺機器や各種制御部を繋ぐために備えられる。又、バスは前述のチップセットによって連結される。
「CPU」(MPU)は、メインメモリ上にあるプログラムと呼ばれる命令列を順に読み込んで解釈・実行することで信号からなる情報を同じくメインメモリ上に出力する。この「CPU」は計算機内での演算を行なう中心として機能する。
「不揮発性メモリ」(HDD)の一例はハードディスクドライブである。基本構造は、磁気ディスク、磁気ヘッド、および磁気ヘッドを搭載するアームから構成される。
なお、不揮発性メモリとしては「NANDフラッシュ」から構成されるSSDをHDDとともに採用してもよいし、HDDに置き換えて採用してもよい。
メインメモリは、揮発性のメモリで構成される。最も代表的なものはダイナミックラムである。
I/Oコントローラは、外部機器との接続に利用される。USBコネクタもその一例である。
IEEE1394コネクタは、最も代表的な通信規格のインターフェースである。
OS(オペレーティングシステム)は、コンピュータを稼働するための基本ソフトウェアである。ユーザやアプリケーションプログラムに対してインターフェースを提供し、ハードウェアなどの機能部や、各リソースに対して効率的な管理を行う役割を果たす。
デバイスドライバは、オペレーティングシステムを介して計算機に付属する各種のデバイスをユーザやアプリケーションに利用可能等するためのデバイスのハードウェアを制御するためのプログラムである。
<実施形態1(主に請求項1,2に対応)>
<概要>
【0031】
本実施形態に係る三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置は、開閉器を用いた受電方式における柱上気中開閉器での三相交流の零相電流に基づく地絡情報と時間情報(或いは時刻情報)とを演算ルールに則って演算することで遮断予測情報を取得し、この取得した遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力することを主たる特徴とする。
本実施形態に係る三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置によれば、需要家設備において絶縁劣化による三相交流の零相電流が生じていたとしても、監視対象識別情報と関連付けて遮断予測情報を出力するので、計画的な電源遮断が可能であり、需要家設備が電源遮断に伴う突然の停電よる経済的損失等の不都合を被るのを防ぐことができる。
<構成>
【0032】
図1Aに示すように、本実施形態の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置(以降、「遮断動作予測装置」と呼称する。)0100は、柱上気中開閉器0120及びSOG制御装置0140とともに用いられる装置である。
【0033】
柱上気中開閉器0120は、開閉器を用いた受電方式で採用される開閉器であって、電力会社と需要家の保安上の責任範囲を分ける責任分界点RP近傍において、需要家構内に設置された柱P(需要家側の1号柱P)上に配置されており、SOG制御装置0140は、1号柱Pの上下の中程に配置されている。
【0034】
柱上気中開閉器0120は、
図1Bに示すように、金属ケース0121の内部に、零相変流器0122と、固定接触子0123と、可動接触子0124と、トリップ機構0125を収容して成っている。
【0035】
固定接触子0123には、電源側(図示左側)からブッシング0126を介して金属ケース0121の内部に引き込んだ3本の電源ケーブル0136が接続され、一方、簡略に示すトリップ機構0125により固定接触子0123と接触離間動作する可動接触子0124には、ブッシング0126を介して金属ケース0121の外部に引き出したキュービクルCへ向けての3本の引込ケーブル0135が接続されている。
【0036】
零相変流器0122には、3本の電源ケーブル0136がブッシング0126を介して一括で挟み込まれており、この零相変流器0122は、2本の出力ケーブル0128a,128bを介してSOG制御装置0140に接続されている。
また、トリップ機構0125も、2本の制御ケーブル0129a,0129bを介してSOG制御装置0140に接続されている。
【0037】
一方、SOG制御装置0140は、
図1Cに示すように、樹脂ケース0141の内部に、操作盤0142及び端子ターミナル0143を収容して成っており、この端子ターミナル0143の所定の端子に、上記零相変流器0122に接続する2本の出力ケーブル0128a,128b及びトリップ機構0125に接続する2本の制御ケーブル0129a,0129bがそれぞれ接続されている。
【0038】
このような柱上気中開閉器0120及びSOG制御装置0140において、例えば、1号柱Pから需要家設備であるキュービクルCに電源を引き込む引込ケーブル0135に絶縁劣化による微地絡が発生して、柱上気中開閉器0120内の零相変流器0122が零相電流を検出した場合には、この零相変流器0122から零相電流の電気信号が出力ケーブル0128a,128bを介してSOG制御装置0140に送られる。
【0039】
そして、この零相電流の電気信号を受けたSOG制御装置0140では、柱上気中開閉器0120のトリップ機構0125に対して、2本の制御ケーブル0129a,0129bを介して可動接触子0124を固定接触子0123から離間させるための制御信号を送ってトリップ(開放)させることで、他の需要家に害が及ぶ波及事故を防ぐようにしている。
【0040】
本実施形態の遮断動作予測装置0100は、柱上気中開閉器0120及びSOG制御装置0140とともに1号柱Pに配置されており、SOG制御装置0140の樹脂ケース0141の内部に配置されて後述するようにして微小電流を検知するリング状の変流器(電流センサ)0111を備えている。
【0041】
この場合、リング状の変流器0111は、SOG制御装置0140の樹脂ケース0141の内部において、そのリング内に出力ケーブル0128aが通るように配置されている。
この遮断動作予測装置0100では、柱上気中開閉器0120内の零相変流器0122が、上記のように、例えば、需要家構内における引込ケーブル0135の絶縁劣化による零相電流を検出した場合には、この零相変流器0122で生じて出力ケーブル0128aを流れる電流(一次電流;
図1Cに白抜き矢印で示す)の電流変化を示す微小電流を変流器0111で検知し、この検知した微小電流(二次電流;
図1Cに黒太矢印で示す)を地絡情報として情報用ケーブル0115a,0115bを介して取得するようになっている。
【0042】
なお、図示例では、リング状の変流器0111のリング内に出力ケーブル0128aが通るように電流センサ0111を配置することで、出力ケーブル0128aを流れる一次電流の電流変化を示す微小電流を検知するようにしているが、SOG制御装置0140の樹脂ケース0141内における端子ターミナル0143の所定端子を囲むように変流器0111を配置してもよい。
また、遮断動作予測装置0100は、必ずしも1号柱Pに配置する必要はない。
【0043】
図2Aに示すように、本実施形態における遮断動作予測装置0200は、監視情報取得部0201と、監視情報履歴保持部0202と、遮断予測情報演算ルール保持部0203と、遮断予測情報演算取得部0204と、遮断予測情報保持部0205と、故障予測情報出力部0206と、を有している。
【0044】
「監視情報取得部」0201は、絶縁不良進行に伴う需要家側の微地絡等によって生じる柱上気中開閉器での三相交流の零相電流に基づく検出電流であって所定の閾値を超える場合に柱上気中開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間(時刻を示す情報であってもよい。)情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する。
【0045】
これらの監視情報取得部は、センサとして変流器(CT)、ホール素子、磁気抵抗素子、半導体磁気抵抗素子(SMR)、異方性磁気抵抗素子〈AMR〉、巨大磁気抵抗素子(GMR)、トンネル磁気抵抗素子 (TMR)などを採用することができる。監視情報としては、時間経過と電流の大きさ(交流の場合には最大値ないしは最大値/21/2)の変化値、電流値の単位時間変化率、電流値の単位時間速度変化率、電流値の時間変化の傾向(時間(横軸)―二次電流値(縦軸)グラフの時間微分係数が所定の時間幅の中で最大となる点(時刻)と、飽和点(絶縁破壊が発生する所定時間前の点)との時間距離、電流値の時間微分係数の所定時間幅中で最大となる点(時刻)と、加速度収束点との時間距離)など工場等に配置されている負荷の稼働変化と、監視情報との関係などを利用してもよい。ZCT(変流器)が代表的な監視情報取得部に利用されるセンサである。これらは、従来から利用されている柱上気中開閉器のSOG制御装置へのケーブルに直接的に接触しない、つまり非接触で監視情報を取得することが出来るので、従来の柱上気中開閉器やSOG制御装置からなるシステムに簡便に付加することができる。
【0046】
具体的には、需要家構内において、例えば、引込ケーブルに絶縁劣化による微地絡が生じた場合に、柱上気中開閉器の遮断動作を監視するための情報に基づく間接情報、すなわち、この実施形態において、柱上気中開閉器内の零相変流器で発生する零相電流(一次電流)に基づく電流(二次電流)を地絡情報として取得し、この地絡情報に時間情報或いは時刻情報を関連付けた情報である監視情報を取得する。つまり、この監視情報からは、地絡情報を取得した年月日時分秒の時刻を示す情報が含まれる。
【0047】
なお、地絡情報を柱上気中開閉器から直接情報として取得することも考えられるが、既存の柱上気中開閉器の機能を損なうことなく本実施形態に係る遮断動作予測装置0200による監視を実現するためには、出力ケーブルを流れる電流(一次電流)に基づく間接情報である微小電流(二次電流)を地絡情報として取得することが好ましい。
【0048】
「監視情報履歴保持部」0202は、監視対象である柱上気中開閉器を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する。
【0049】
監視対象識別情報は、監視している柱上気中開閉器を識別するための情報であるが、柱上気中開閉器に接続されている引込ケーブルを識別する情報であってもよい。
このように、監視情報の履歴を蓄積することで、地絡情報の経時的変化や、経時的変化の速度や、経時的変化の加速度を分析取得することができるので、蓄積した実際にトリップした監視情報に類似する地絡情報が確認できる場合には、遮断のタイミングが近づいていることの程度を示して警告し得ることとなる。
【0050】
「遮断予測情報演算ルール保持部」0203は、監視情報履歴保持部0202で保持されている監視情報履歴に基づいて柱上気中開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する。
【0051】
この遮断予測情報演算ルールとしては、例えば、監視情報取得部0201が、出力ケーブル(柱上気中開閉器の零相変流器からSOG制御装置に至るまでの電流路)を流れる電流(一次電流)に基づく間接情報である微小電流(二次電流)を地絡情報として取得した場合に、一次電流の増加率に伴う二次電流の変化から遮断が起きるタイミングを予測する方法が考えられる。
【0052】
一次電流は、極めて微小な地絡によって三相交流のベクトル和が「0」にならなくなり、三相のバランスが崩れてゆくにつれて徐々に増大する傾向がある。この一次電流の変化の傾向を二次電流によって取得し、最終的に微小な地絡と呼べない程度の地絡に至るまでの時間などを予測するルールがここで言う、遮断予測情報演算ルールである。何ら手を施さない場合には一次電流は増大傾向をたどるのみで、大きく減少することはない。基本的には一次電流と二次電流とは比例関係にあるので、二次電流の変化を見ることで地絡に至るまでの予測をすることができる。経験値(実際の二次電流の変化と地絡の発生との関係等)に基づいて、どの程度の二次電流がどのようなカーブで増大してゆくかを見ることでどの程度の時間経過後に地絡が実際に起こるか予測できる。
【0053】
例えば、
図2B~2Dに示すように、二次電流を地絡情報として取得し始めてからある程度の時間t1,t2,t3において、二次電流はいずれも緩やかなカーブを描いて増大する。
そして、二次電流はある時点で大きく増大して(二次電流の上昇率が増大して)、やがて地絡に至る。この二次電流が増大し出して地絡に至るまでの時間tは、
図2B~2Dの各状況においてそれぞれほぼ同程度であることが経験値から分かることなので、微小電流の上昇率が増大する時刻(上昇加速度が最大の時刻)等を取得することで、どの程度の将来時期に地絡が実際に起きるのかを予測することができる。すなわち、トリップが到来する時期を予測することができ、その結果、電源遮断による突然の停電の発生を回避することが可能になる。
【0054】
また、二次電流における観測しなければならない点は、その絶対値、変化率(電流値上昇速度:単位時間当たり:地絡時点に時間的に近づくほど変化率は大きくなる)、変化の加速度(単位時間当たり:地絡時点に時間的に近づくほど加速度は大きくなる)、
図2Eに示す不安定性(ボラティリティ:二次電流の変動の激しさ:地絡時点に時間的に近づくほどボラティリティは大きくなる)、
図2Fに示す二次電流の変化のグラフに生じる突起状の波形(スパイク状電流波形)であるとげ状の部分の存在(これは、瞬間的に三相交流のバランスが崩れて瞬間的に復帰する現象で生じる)、その存在の密度、その存在の発生率の変化(微小な地絡の程度、つまり絶縁性能が悪化するほど頻繁に発生する:落雷のようなもの)などである。これらの情報と経験則からトリップまでのおおよその時間を予測することができる。
【0055】
「遮断予測情報演算取得部」0204は、遮断予測情報演算ルール保持部0203で保持された遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴保持部0202で保持されている監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする。
【0056】
「遮断予測情報保持部」0205は、遮断予測情報演算取得部0204における演算により取得した遮断予測情報を保持する。この際、遮断予測情報は、遮断までの残り時間とそれを算出するために利用した監視情報とを特定できるように、監視情報履歴と関連付けられるように保持しておくことが好ましい。
【0057】
「故障予測情報出力部」0206は、遮断予測情報保持部0205で保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力する。つまり、監視対象毎に、絶縁現状把握と遮断予測情報を関連付けて出力する。
【0058】
図3に示すように、本実施形態における遮断動作予測装置0300は、CPU0311と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ0312と、D-RAM等のメインメモリ0313と、インターフェースとから構成されている。不揮発性メモリ0312には、プログラムとして監視情報取得プログラム、監視情報履歴保持プログラム、遮断予測情報演算ルール保持プログラム、遮断予測情報演算取得プログラム、遮断予測情報保持プログラム、故障予測情報出力プログラムが格納されている。データとしては、電流信号や位相角の情報であり、これらのプログラムやデータは、メインメモリ0313の保持領域に読み込まれて作動領域で実行される。また、インターフェースには、特定小電力無線等がある。
<処理の流れ>
【0059】
本実施形態の遮断動作予測装置では、まず、
図4に示すように、需要家構内において、例えば、引込ケーブルに絶縁劣化による微地絡が生じて三相交流のベクトル和が「0」にならなくなると、監視情報取得ステップS0401が実行されて、柱上気中開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報、すなわち、この実施形態において、零相変流器で発生する電流に基づく二次電流である地絡情報と、時間情報或いは時刻情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する。
【0060】
次に、監視情報履歴保持ステップS0402が実行されて、監視対象である柱上気中開閉器又はこれに接続する引込ケーブルを識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴が取得されて保持される。
【0061】
続いて、遮断予測情報演算ルール保持ステップS0403が実行されて、監視情報履歴保持ステップS0402で保持されている監視情報履歴に基づいて柱上気中開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールが保持される。
【0062】
次いで、遮断予測情報演算取得ステップS0404が実行されて、遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算が成される。
【0063】
この後、遮断予測情報保持ステップS0405が実行されて、遮断予測情報演算取得ステップS0404における演算により取得した遮断予測情報を保持し、最後に、故障予測情報出力ステップS0406が実行されて、遮断予測情報保持ステップS0405で保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力する。つまり、監視対象毎に、絶縁現状把握と遮断予測情報を関連付けて出力する。
<効果>
【0064】
上記したように、本実施形態の遮断動作予測装置では、需要家設備において絶縁劣化によって三相交流のベクトル和が「0」にならなくなり、三相のバランスが失われていたとしても、監視対象識別情報と関連付けて遮断予測情報を出力するので、どの程度の将来時期に地絡が実際に起きるのかを予測することができる。すなわち、監視対象毎に絶縁劣化の程度に応じた計画的な電源遮断が可能であり、需要家設備が電源遮断に伴う突然の停電よる経済的損失等の不都合を被るのを防ぐことが可能である。
【0065】
また、本実施形態の遮断動作予測装置は、すでに設置されている柱上気中開閉器内の零相変流器及びSOG制御装置、並びに、これらの結線に何ら手を入れることなく後付で設置することが可能なので、これらシステムや、工場内に対する電源供給の停止などを伴うことなく設置作業を行うことができる。
【0066】
なお、本実施形態では、本発明に係る三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置を開閉器が用いられる受電方式に採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、
図1Dに示すように、本発明に係る三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置0100Dを他の開閉器が用いられる受電方式、すなわち、零相変流器0122Dを有する地中線用開閉器0120DをSOG制御装置0140Dとともに配置する受電方式に採用してもよい。
【0067】
この場合には、電力会社と需要家の保安上の責任範囲を分ける責任分界点RPの需要家側近傍に地中線用開閉器0120Dが配置され、この地中線用開閉器0120Dには、電力会社側に3本の電源ケーブル0136が接続され、一方、キュービクルCへ向けての3本の引込ケーブル0135が接続される。
【0068】
また、
図1Eに示すように、本発明に係る三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置0100Eを出向え受電方式、すなわち、零相変流器0122E及び地絡継電器0140Eが内蔵されていると共に、高圧交流負荷開閉器0120Ea或いは真空遮断器0120Ebが内蔵されている責任分界点RPの需要家側に位置するキュービクルCに電力会社の電柱から高圧ケーブル0135を直接引き込む受電方式に採用してもよい。
<実施形態2(主に請求項3に対応)>
<概要>
【0069】
本実施形態は実施形態1を基本とし、実際に遮断動作が発生した監視対象の故障発生履歴情報を取得し、この故障発生履歴情報に基づいて、遮断動作が発生した柱上気中開閉器の監視情報を取得して、遮断予測情報演算ルールを修正し、遮断動作の予測精度を高め続ける構成としたことを特徴としている。
<構成>
【0070】
図5に示すように、本実施形態の遮断動作予測装置0500において、先の実施形態と相違するところは、遮断動作発生情報取得部0507と、遮断動作発生情報保持部0508と、故障発生履歴情報取得部0509と、遮断予測情報演算ルール修正部0510と、をさらに有している点にあり、他の構成は先の実施形態と同じである。
【0071】
「遮断動作発生情報取得部」0507は、監視対象識別情報と、時間情報と、を関連付けて柱上気中開閉器の遮断動作の発生を示す情報である遮断動作発生情報を取得する。これは、適切な遮断予測情報の利用が出来なくて、又はそもそも遮断予測情報はあったものの、実際に遮断動作を予防する措置をとるに至らずに、実際に柱上気中開閉器において遮断動作が起こった場合のその遮断動作の発生に基づいて、その監視対象識別情報で識別される監視対象の監視情報履歴と、その遮断動作が発生した時間情報とを用いて、両者の関係性を取得し、その関係性に関する情報に基づいて遮断動作予測ルールを更新し、その遮断動作予測ルールの予測精度の向上を図ることを目的としている。この遮断動作と監視情報履歴は別ルートで取得されてもよいし、故障予測装置が柱上気中開閉器の遮断動作の情報をも監視情報履歴として取得できるように構成してもよい。この遮断動作発生情報は、SOG制御装置から取得するように構成してもよいし、SOG制御装置から柱上気中開閉器のトリップ機構に出力する遮断命令信号を取得して遮断動作発生情報としてもよい。
【0072】
「遮断動作発生情報保持部」0508は、遮断動作発生情報を保持する。遮断動作発生情報は、監視対象識別情報と時間情報とを関連付けて保持される。監視情報履歴としてこの遮断動作情報を取得する場合には、監視情報履歴保持部が遮断動作発生情報保持部を兼ねていてもよい。
【0073】
「故障発生履歴情報取得部」0509は、遮断動作発生情報と、監視情報履歴との関係である故障発生履歴情報を取得する。この関係は、監視情報履歴の特徴的情報と、遮断動作発生との関係性を定量的、ないしは定性的に定める情報で、前述のとおり、「時間経過と電流の大きさ(交流の場合には最大値ないしは最大値/21/2)の変化値」、「電流値の単位時間変化率」、「電流値の単位時間速度変化率」、「電流値の時間変化の傾向(時間(横軸)―二次電流値(縦軸)グラフの時間微分係数が所定の時間幅の中で最大となる点(時刻)と、飽和点(絶縁破壊が発生する所定時間前の点)との時間距離、電流値の時間微分係数の所定時間幅中で最大となる点(時刻)と、加速度収束点との時間距離など)」、「工場等に配置されている負荷の稼働変化と、監視情報との関係」及び、「遮断動作の発生した時間」との関係性を示す情報である。
【0074】
「遮断予測情報演算ルール修正部」0510は、監視情報履歴に基づいて遮断動作の発生を予測するためのルールである遮断予測情報演算ルールを修正する。修正は故障発生履歴情報に基づいて行われる。故障発生履歴情報は、一の監視対象のものを用いて遮断予測情報演算ルールを修正してもよいが、できるだけ多くの監視対象について故障発生履歴情報に基づいて修正する方が修正の精度が向上する。修正する要素について、多数の故障発生履歴情報を統計処理等して、最適な修正値を求めることが好ましい。また監視対象の種別に故障発生履歴情報を収集して、母集団に機械的な共通性を持たせて修正を行うことが好ましい。柱上気中開閉器の種類によって動作の癖があったり、あるいは、CVケーブルの種類に応じて微地絡の変化傾向の癖があったりすることが認められるからである。さらに柱上気中開閉器の零相変流器の種類に応じて地絡情報の癖があると考えられるので、特に零相変流器が共通の母集団毎に故障発生履歴情報を収集し、遮断予測情報演算ルールを修正することが好ましい。この場合には当然のことながら遮断予測情報演算ルールも柱上気中開閉器やSOG制御装置、CVケーブルないしは柱上気中開閉器に利用されている各種部品(特に零相変流器の種別)に応じて遮断予測情報演算ルール保持部に保持されていることを前提としている。
【0075】
図6に示すように、本実施形態の遮断動作予測装置0600は、CPU0611と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ0612と、D-RAM等のメインメモリ0613と、インターフェースとから構成されている。不揮発性メモリ0612には、プログラムとして監視情報取得プログラム、監視情報履歴保持プログラム、遮断予測情報演算ルール保持プログラム、遮断予測情報演算取得プログラム、遮断予測情報保持プログラム、故障予測情報出力プログラム、遮断動作発生情報取得プログラム、遮断動作発生情報保持プログラム、故障発生履歴情報取得プログラム、遮断予測情報演算ルール修正プログラムが格納されている。データとしては、電流信号や位相角の情報であり、これらのプログラムやデータは、メインメモリ0613の保持領域に読み込まれて作動領域で実行される。また、インターフェースには、特定小電力無線等がある。
<処理の流れ>
【0076】
本実施形態に係る遮断動作予測装置では、
図7に示すように、遮断動作発生情報取得ステップS0707が実行されて、監視対象識別情報と、時間情報と、を関連付けて柱上気中開閉器の遮断動作の発生を示す情報である遮断動作発生情報が取得され、次いで、遮断動作発生情報保持ステップS0708が実行されて、遮断動作発生情報取得ステップS0707で取得した遮断動作発生情報を保持する。
【0077】
そして、故障発生履歴情報取得ステップS0709が実行されて、故障発生情報と、監視履歴情報との関係である故障発生履歴情報が取得され、この後、遮断予測情報演算ルール修正ステップS0710が実行されて、取得した故障発生履歴情報に基づいて保持されている遮断予測情報演算ルールの修正が成される。
<効果>
【0078】
上記したように、この実施形態2に係る遮断動作予測装置では、実際に遮断動作が発生した監視対象の故障発生履歴情報を取得して、この故障発生履歴情報に基づいて、遮断動作が発生した柱上気中開閉器の監視情報を取得して、遮断予測情報演算ルールを修正するので、遮断動作の予測精度を高め続けることが可能となる。
<実施形態3(主に請求項4に対応)>
<概要>
【0079】
本実施形態は実施形態1,2を基本とし、監視情報取得部が、零相変流器と増幅器を用いて一次電流の電流変化を検知する一次電流変化検知手段を有することを特徴としている。
<構成>
【0080】
図8に示すように、本実施形態の遮断動作予測装置0800において、先の実施形態と相違するところは、監視情報取得部0801が、零相変流器と増幅器を用いて一次電流の電流変化を検知する一次電流変化検知手段0801aを有している点にあり、他の構成は先の実施形態と同じである。
【0081】
具体的には、本実施形態の遮断動作予測装置0800において、柱上気中開閉器からSOG制御装置に流れる一次電流の電流変化を示す微小電流を検知するセンサとして、変流器(CT)、ホール素子、磁気抵抗素子、半導体磁気抵抗素子(SMR)、異方性磁気抵抗素子〈AMR〉、巨大磁気抵抗素子(GMR)、トンネル磁気抵抗素子 (TMR)のいずれかの精密電流センサを採用すると共に、これに伴って微小な電流の増幅の線形性に優れていて波形の相似性が保たれる増幅器を採用する。
【0082】
図9に示すように、本実施形態の遮断動作予測装置0900は、CPU0911と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ0912と、D-RAM等のメインメモリ0913と、インターフェースとから構成されている。不揮発性メモリ0912には、プログラムとして監視情報取得プログラム、一次電流変化検知サブプログラム、監視情報履歴保持プログラム、遮断予測情報演算ルール保持プログラム、遮断予測情報演算取得プログラム、遮断予測情報保持プログラム、故障予測情報出力プログラム、遮断動作発生情報取得プログラム、遮断動作発生情報保持プログラム、故障発生履歴情報取得プログラム、遮断予測情報演算ルール修正プログラムが格納されている。データとしては、電流信号や位相角の情報であり、これらのプログラムやデータは、メインメモリ0913の保持領域に読み込まれて作動領域で実行される。また、インターフェースには、特定小電力無線等がある。
<処理の流れ>
【0083】
本実施形態に係る遮断動作予測装置では、
図10に示すように、需要家構内において、例えば、引込ケーブルに絶縁劣化による微地絡が生じて三相交流のベクトル和が「0」にならなくなると、監視情報取得ステップS1001が実行される。
【0084】
この際、一次電流変化検知サブステップS1001aが実行されて、柱上気中開閉器の遮断動作を実行するための情報に基づく間接情報、すなわち、この実施形態において、精密電流センサ、及び、微小な電流の増幅の線形性に優れていて波形の相似性が保たれる増幅器によって、柱上気中開閉器の零相変流器で生じて出力ケーブルを流れる一次電流に基づいて発生する二次電流である地絡情報と、時間情報或いは時刻情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する。
<効果>
【0085】
上記したように、この実施形態3に係る遮断動作予測装置では、微地絡による三相交流の零相電流に基づく検出電流である一次電流の電流変化を精密に検知し得るので、遮断動作の予測精度をより一層高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0086】
0100 三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置
0120 柱上気中開閉器
0201 監視情報取得部
0202 監視情報履歴保持部
0203 遮断予測情報演算ルール保持部
0204 遮断予測情報演算取得部
0205 遮断予測情報保持部
0206 故障予測情報出力部
【手続補正書】
【提出日】2021-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器を流れる三相交流の零相電流に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得部と、
監視対象である開閉器を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持部と、
保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持部と、
遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得部と、
取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持部と、
保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力部と、を有し、
前記監視情報取得部は、開閉器が有する零相変流器から前記開閉器に遮断動作を行わせる地絡保護装置に接続されている線の電流を変流器、ホール素子、磁気抵抗素子、半導体磁気抵抗素子、異方性磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗素子、トンネル磁気抵抗素子等のいずれか一以上のセンサによって間接的に計測して地絡情報として取得する
三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置。
【請求項2】
地絡情報は零相変流器から得られる電流である一次電流の電流変化を示す微小電流である二次電流に基づく情報である請求項1に記載の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置。
【請求項3】
監視対象識別情報と、時間情報とを、関連付けて開閉器の遮断動作の発生を示す情報である遮断動作発生情報を取得する遮断動作発生情報取得部と、
取得した遮断動作発生情報を保持する遮断動作発生情報保持部と、
遮断動作発生情報と、監視情報履歴との関係である故障発生履歴情報を取得する故障発生履歴情報取得部と、
取得した故障発生履歴情報に基づいて保持されている遮断予測情報演算ルールを修正する遮断予測情報演算ルール修正部と、
をさらに有する請求項1又は請求項2に記載の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置。
【請求項4】
監視情報取得部は、零相変流器と増幅器を用いて一次電流の電流変化を検知する一次電流変化検知手段を有する請求項2又は、請求項2に従属する請求項3に記載の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置。
【請求項5】
絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器を流れる三相交流の零相電流に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得プログラムと、
監視対象である開閉器を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持プログラムと、
保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持プログラムと、
遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得プログラムと、
取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持プログラムと、
保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力プログラムと、
を有し、
前記監視情報取得プログラムにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は、開閉器が有する零相変流器から前記開閉器に遮断動作を行わせる地絡保護装置に接続されている線の電流を変流器、ホール素子、磁気抵抗素子、半導体磁気抵抗素子、異方性磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗素子、トンネル磁気抵抗素子等のいずれか一以上のセンサによって間接的に計測する情報であるコンピュータに読み取らせて実行可能な三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測プログラム。
【請求項6】
前記監視情報取得プログラムにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は零相変流器から得られる電流である一次電流の電流変化を示す電流である二次電流に基づく情報である請求項5に記載のコンピュータに読み取らせて実行可能な三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測プログラム。
【請求項7】
監視対象識別情報と、時間情報とを、関連付けて開閉器の遮断動作の発生を示す情報である遮断動作発生情報を取得する遮断動作発生情報取得プログラムと、
取得した遮断動作発生情報を保持する遮断動作発生情報保持プログラムと、
遮断動作発生情報と、監視情報履歴との関係である故障発生履歴情報を取得する故障発生履歴情報取得プログラムと、
取得した故障発生履歴情報に基づいて保持されている遮断予測情報演算ルールを修正する遮断予測情報演算ルール修正プログラムと、
をさらに有する請求項5又は請求項6に記載のコンピュータに読み取らせて実行可能な三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測プログラム。
【請求項8】
監視情報取得プログラムは、零相変流器と増幅器を用いて一次電流の電流変化を検知する一次電流変化検知サブプログラムを有する請求項6又は、請求項6に従属する請求項7に記載のコンピュータに読み取らせて実行可能な三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測プログラム。
【請求項9】
絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器を流れる三相交流の零相電流に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得ステップと、
監視対象である開閉器を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持ステップと、
保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持ステップと、
遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得ステップと、
取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持ステップと、
保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力ステップと、
を有し、
前記監視情報取得ステップにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は、開閉器が有する零相変流器から前記開閉器に遮断動作を行わせる地絡保護装置に接続されている線の電流を変流器、ホール素子、磁気抵抗素子、半導体磁気抵抗素子、異方性磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗素子、トンネル磁気抵抗素子等のいずれか一以上のセンサによって間接的に計測する情報であるコンピュータである絶縁現状把握と遮断動作予測装置の動作方法。
【請求項10】
前記監視情報取得ステップにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は零相変流器から得られる電流である一次電流の電流変化を示す電流である二次電流に基づく情報である請求項9に記載のコンピュータである絶縁現状把握と遮断動作予測装置の動作方法。
【請求項11】
監視対象識別情報と、時間情報とを、関連付けて開閉器の遮断動作の発生を示す情報である遮断動作発生情報を取得する遮断動作発生情報取得ステップと、
取得した遮断動作発生情報を保持する遮断動作発生情報保持ステップと、
遮断動作発生情報と、監視情報履歴との関係である故障発生履歴情報を取得する故障発生履歴情報取得ステップと、
取得した故障発生履歴情報に基づいて保持されている遮断予測情報演算ルールを修正する遮断予測情報演算ルール修正ステップと、
をさらに有する請求項9又は請求項10に記載のコンピュータである絶縁現状把握と遮断動作予測装置の動作方法。
【請求項12】
監視情報取得ステップは、零相変流器と増幅器を用いて一次電流の電流変化を検知する一次電流変化検知サブステップを有する請求項10又は、請求項10に従属する請求項11に記載のコンピュータである絶縁現状把握と遮断動作予測装置の動作方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置を提供する。
すなわち、本発明の第一の態様は、絶縁不良進行に伴う需要家側地絡(主に高圧回路において大地に電流が流れる現象)によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器を流れる三相交流の零相電流(≠0)に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間(時刻を示す情報であってもよい。)情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得部と、監視対象である開閉器(又はこれと一対一に対応するもの)を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持部と、保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持部と、遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得部と、取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持部と、保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力部と、を有し、前記監視情報取得部は、開閉器が有する零相変流器から前記開閉器に遮断動作を行わせる地絡保護装置に接続されている線の電流を変流器、ホール素子、磁気抵抗素子、半導体磁気抵抗素子、異方性磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗素子、トンネル磁気抵抗素子等のいずれか一以上のセンサによって間接的に計測して地絡情報として取得する構成としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
また、以下の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測プログラムを提供する。
すなわち、本発明の第五の態様は、絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器等を流れる三相交流の零相電流(≠0)に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間(時刻を示す情報であってもよい。)情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得プログラムと、監視対象である開閉器(又はこれと一対一に対応するもの)を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持プログラムと、保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持プログラムと、遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得プログラムと、取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持プログラムと、保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力プログラムと、を有し、前記監視情報取得プログラムにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は、開閉器が有する零相変流器から前記開閉器に遮断動作を行わせる地絡保護装置に接続されている線の電流を変流器、ホール素子、磁気抵抗素子、半導体磁気抵抗素子、異方性磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗素子、トンネル磁気抵抗素子等のいずれか一以上のセンサによって間接的に計測する情報である構成としている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
さらに、以下の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置の動作方法を提供する。
すなわち、本発明の第九の態様は、絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器等を流れる三相交流の零相電流(≠0)に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間(時刻を示す情報であってもよい。)情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得ステップと、監視対象である開閉器(又はこれと一対一に対応するもの)を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持ステップと、保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持ステップと、遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得ステップと、取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持ステップと、保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力ステップと、を有し、前記監視情報取得ステップにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は、開閉器が有する零相変流器から前記開閉器に遮断動作を行わせる地絡保護装置に接続されている線の電流を変流器、ホール素子、磁気抵抗素子、半導体磁気抵抗素子、異方性磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗素子、トンネル磁気抵抗素子等のいずれか一以上のセンサによって間接的に計測する情報である構成としている。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器を流れる三相交流の零相電流に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得部と、
監視対象である開閉器を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持部と、
保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持部と、
遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得部と、
取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持部と、
保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力部と、を有し、
前記監視情報取得部は、開閉器が有する零相変流器から前記開閉器に遮断動作を行わせる地絡保護装置に接続されている三相交流の零相電流に基づく検出電流回路の電流を結線に何ら手を入れることなく後付の変流器、ホール素子、磁気抵抗素子、半導体磁気抵抗素子、異方性磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗素子、トンネル磁気抵抗素子等のいずれか一つのセンサによって間接的に計測して地絡情報として取得する
三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置。
【請求項2】
地絡情報は零相変流器から得られる電流である一次電流の電流変化を示す微小電流である二次電流に基づく情報である請求項1に記載の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置。
【請求項3】
監視対象識別情報と、時間情報とを、関連付けて開閉器の遮断動作の発生を示す情報である遮断動作発生情報を取得する遮断動作発生情報取得部と、
取得した遮断動作発生情報を保持する遮断動作発生情報保持部と、
遮断動作発生情報と、監視情報履歴との関係である故障発生履歴情報を取得する故障発生履歴情報取得部と、
取得した故障発生履歴情報に基づいて保持されている遮断予測情報演算ルールを修正する遮断予測情報演算ルール修正部と、
をさらに有する請求項1又は請求項2に記載の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置。
【請求項4】
監視情報取得部は、零相変流器と増幅器を用いて一次電流の電流変化を検知する一次電流変化検知手段を有する請求項2又は、請求項2に従属する請求項3に記載の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置。
【請求項5】
絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器を流れる三相交流の零相電流に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得プログラムと、
監視対象である開閉器を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持プログラムと、
保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持プログラムと、
遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得プログラムと、
取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持プログラムと、
保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力プログラムと、
を有し、
前記監視情報取得プログラムにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は、開閉器が有する零相変流器から前記開閉器に遮断動作を行わせる地絡保護装置に接続されている三相交流の零相電流に基づく検出電流回路の電流を結線に何ら手を入れることなく後付の変流器、ホール素子、磁気抵抗素子、半導体磁気抵抗素子、異方性磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗素子、トンネル磁気抵抗素子等のいずれか一つのセンサによって間接的に計測する情報であるコンピュータに読み取らせて実行可能な三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測プログラム。
【請求項6】
前記監視情報取得プログラムにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は零相変流器から得られる電流である一次電流の電流変化を示す電流である二次電流に基づく情報である請求項5に記載のコンピュータに読み取らせて実行可能な三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測プログラム。
【請求項7】
監視対象識別情報と、時間情報とを、関連付けて開閉器の遮断動作の発生を示す情報である遮断動作発生情報を取得する遮断動作発生情報取得プログラムと、
取得した遮断動作発生情報を保持する遮断動作発生情報保持プログラムと、
遮断動作発生情報と、監視情報履歴との関係である故障発生履歴情報を取得する故障発生履歴情報取得プログラムと、
取得した故障発生履歴情報に基づいて保持されている遮断予測情報演算ルールを修正する遮断予測情報演算ルール修正プログラムと、
をさらに有する請求項5又は請求項6に記載のコンピュータに読み取らせて実行可能な三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測プログラム。
【請求項8】
監視情報取得プログラムは、零相変流器と増幅器を用いて一次電流の電流変化を検知する一次電流変化検知サブプログラムを有する請求項6又は、請求項6に従属する請求項7に記載のコンピュータに読み取らせて実行可能な三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測プログラム。
【請求項9】
絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器を流れる三相交流の零相電流に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得ステップと、
監視対象である開閉器を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持ステップと、
保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持ステップと、
遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得ステップと、
取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持ステップと、
保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力ステップと、
を有し、
前記監視情報取得ステップにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は、開閉器が有する零相変流器から前記開閉器に遮断動作を行わせる地絡保護装置に接続されている三相交流の零相電流に基づく検出電流回路の電流を結線に何ら手を入れることなく後付の変流器、ホール素子、磁気抵抗素子、半導体磁気抵抗素子、異方性磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗素子、トンネル磁気抵抗素子等のいずれか一つのセンサによって間接的に計測する情報であるコンピュータである絶縁現状把握と遮断動作予測装置の動作方法。
【請求項10】
前記監視情報取得ステップにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は零相変流器から得られる電流である一次電流の電流変化を示す電流である二次電流に基づく情報である請求項9に記載のコンピュータである絶縁現状把握と遮断動作予測装置の動作方法。
【請求項11】
監視対象識別情報と、時間情報とを、関連付けて開閉器の遮断動作の発生を示す情報である遮断動作発生情報を取得する遮断動作発生情報取得ステップと、
取得した遮断動作発生情報を保持する遮断動作発生情報保持ステップと、
遮断動作発生情報と、監視情報履歴との関係である故障発生履歴情報を取得する故障発生履歴情報取得ステップと、
取得した故障発生履歴情報に基づいて保持されている遮断予測情報演算ルールを修正する遮断予測情報演算ルール修正ステップと、
をさらに有する請求項9又は請求項10に記載のコンピュータである絶縁現状把握と遮断動作予測装置の動作方法。
【請求項12】
監視情報取得ステップは、零相変流器と増幅器を用いて一次電流の電流変化を検知する一次電流変化検知サブステップを有する請求項10又は、請求項10に従属する請求項11に記載のコンピュータである絶縁現状把握と遮断動作予測装置の動作方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置を提供する。
すなわち、本発明の第一の態様は、絶縁不良進行に伴う需要家側地絡(主に高圧回路において大地に電流が流れる現象)によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器を流れる三相交流の零相電流(≠0)に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間(時刻を示す情報であってもよい。)情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得部と、監視対象である開閉器(又はこれと一対一に対応するもの)を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持部と、保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持部と、遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得部と、取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持部と、保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力部と、を有し、前記監視情報取得部は、開閉器が有する零相変流器から前記開閉器に遮断動作を行わせる地絡保護装置に接続されている三相交流の零相電流に基づく検出電流回路の電流を結線に何ら手を入れることなく後付の変流器、ホール素子、磁気抵抗素子、半導体磁気抵抗素子、異方性磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗素子、トンネル磁気抵抗素子等のいずれか一つのセンサによって間接的に計測して地絡情報として取得する構成としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
また、以下の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測プログラムを提供する。
すなわち、本発明の第五の態様は、絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器等を流れる三相交流の零相電流(≠0)に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間(時刻を示す情報であってもよい。)情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得プログラムと、監視対象である開閉器(又はこれと一対一に対応するもの)を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持プログラムと、保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持プログラムと、遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得プログラムと、取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持プログラムと、保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力プログラムと、を有し、前記監視情報取得プログラムにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は、開閉器が有する零相変流器から前記開閉器に遮断動作を行わせる地絡保護装置に接続されている三相交流の零相電流に基づく検出電流回路の電流を結線に何ら手を入れることなく後付の変流器、ホール素子、磁気抵抗素子、半導体磁気抵抗素子、異方性磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗素子、トンネル磁気抵抗素子等のいずれか一つのセンサによって間接的に計測する情報である構成としている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
さらに、以下の三相交流の零相電流に基づく絶縁現状把握と遮断動作予測装置の動作方法を提供する。
すなわち、本発明の第九の態様は、絶縁不良進行に伴う需要家側地絡によって生じる保安上の責任分界点での需要家の責任を果たすために設置される開閉器等を流れる三相交流の零相電流(≠0)に基づく検出電流があらかじめ定めた所定の兆候を示した場合に開閉器の遮断動作を実行するための電流情報に基づく間接情報である地絡情報と、時間(時刻を示す情報であってもよい。)情報と、を関連付けた情報である監視情報を取得する監視情報取得ステップと、監視対象である開閉器(又はこれと一対一に対応するもの)を識別するための監視対象識別情報と関連付けて取得した監視情報の履歴である監視情報履歴を保持する監視情報履歴保持ステップと、保持されている監視情報履歴に基づいて開閉器の遮断動作の予測を示す情報である遮断予測情報を取得するための演算ルールである遮断予測情報演算ルールを保持する遮断予測情報演算ルール保持ステップと、遮断予測情報演算ルールと、監視情報履歴と、に基づいて遮断予測情報を取得するための演算をする遮断予測情報演算取得ステップと、取得した遮断予測情報を保持する遮断予測情報保持ステップと、保持されている遮断予測情報を監視対象識別情報と関連付けて出力するための故障予測情報出力ステップと、を有し、前記監視情報取得ステップにて取得される監視情報に含まれる地絡情報は、開閉器が有する零相変流器から前記開閉器に遮断動作を行わせる地絡保護装置に接続されている三相交流の零相電流に基づく検出電流回路の電流を結線に何ら手を入れることなく後付の回路の電流を変流器、ホール素子、磁気抵抗素子、半導体磁気抵抗素子、異方性磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗素子、トンネル磁気抵抗素子等のいずれか一つのセンサによって間接的に計測する情報である構成としている。