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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043802
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】額縁
(51)【国際特許分類】
   A47G 1/06 20060101AFI20220309BHJP
   A63F 9/10 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
A47G1/06 E
A63F9/10 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149267
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】000128234
【氏名又は名称】株式会社エポック社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】特許業務法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関水 英人
【テーマコード(参考)】
3B111
【Fターム(参考)】
3B111BA05
3B111BB04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】強度を向上させた組立式の額縁を提供する。
【解決手段】額縁1は、係合部及び被係合部を各々有する第一枠部材31a及び第二枠部材31bと、梁部材4,5と、を備える。第一枠部材31a及び第二枠部材31bは、係合部と被係合部との係合により連結されて環状の枠体を形成可能であり、梁部材4,5は、両端側に第一枠部材31a及び第二枠部材31bの連結部30において第一枠部材31a及び第二枠部材31bの連結状態を支持する連結支持部を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
係合部及び被係合部を各々有する第一枠部材及び第二枠部材と、
梁部材と、
を備え、
前記第一枠部材及び前記第二枠部材は、前記係合部と前記被係合部との係合により連結されて環状の枠体を形成可能であり、
前記梁部材は、両端側に前記第一枠部材及び前記第二枠部材の連結部において前記第一枠部材及び前記第二枠部材の連結状態を支持する連結支持部を有する、
ことを特徴とする額縁。
【請求項2】
前記梁部材は、長尺状に形成された第一梁部材及び第二梁部材を含み、
前記第一梁部材及び前記第二梁部材は、第一端側に前記係合部及び前記被係合部の連結状態を支持する前記連結支持部を有し、第一端の反対の第二端側に前記第一梁部材及び前記第二梁部材同士を連結させる梁部材連結部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の額縁。
【請求項3】
前記係合部及び前記被係合部は、前記第一枠部材及び前記第二枠部材の連結状態において開口位置が重なる開口部を有し、
前記連結支持部は、連結された前記第一枠部材及び前記第二枠部材の前記開口部に挿入される連結突起部を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の額縁。
【請求項4】
前記第一枠部材及び前記第二枠部材は、L字状に形成され、
前記枠体は、前記第一枠部材及び前記第二枠部材を各々2個含んで形成され、
前記第一梁部材及び前記第二梁部材を同方向に連結させた梁部材連結体は、第一方向と、該第一方向とは異なる第二方向とに各々配置される、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の額縁。
【請求項5】
前記第一梁部材及び前記第二梁部材は、前記梁部材連結部に先端側係合部と内側係合部とを有し、
前記第一方向の前記第一梁部材の前記先端側係合部及び前記内側係合部は、各々、前記第二方向の前記第一梁部材の前記内側係合部及び前記第二方向の前記第二梁部材の前記先端側係合部に係合し、
前記第一方向の前記第二梁部材の前記先端側係合部及び前記内側係合部は、各々、前記第二方向の前記第二梁部材の前記内側係合部及び前記第二方向の前記第一梁部材の前記先端側係合部に係合する、
ことを特徴とする請求項4に記載の額縁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、額縁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ジグソーパズル等の薄板状の掲示物を収容する額縁が提案されている。例えば、特許文献1には、分解及び組立が可能な額縁が開示されている。この額縁は、隣り合う複数の枠体ピースの欠円筒形凹部と円柱形凸部とにより連結して囲繞枠体を形成している。額縁は、掲示物であるジグソーパズル盤を囲繞枠体の背面側から嵌め入れ、囲繞枠体の内側のキー溝に係止キーを係入することにより、複数の枠体ピースの固定とジグソーパズル盤の固定とを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-14490号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように複数の枠部材(枠体ピース)によって枠体を構成すると、枠体の連結や変形等に対する強度が十分確保できないことが想定される。
【0005】
本発明は、強度を向上させた組立式の額縁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係る額縁は、係合部及び被係合部を各々有する第一枠部材及び第二枠部材と、梁部材と、を備え、前記第一枠部材及び前記第二枠部材は、前記係合部と前記被係合部との係合により連結されて環状の枠体を形成可能であり、前記梁部材は、両端側に前記第一枠部材及び前記第二枠部材の連結部において前記第一枠部材及び前記第二枠部材の連結状態を支持する連結支持部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記の態様によれば、強度を向上させた組立式の額縁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る掲示物を収容した額縁の正面斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る掲示物を収容した額縁の背面斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る短尺な直線部に係合突起を有する枠部材の背面斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る長尺な直線部に係合突起を有する枠部材の背面斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る額縁の背面支持部周辺の拡大図である。
図6】本発明の実施形態に係る長尺な梁部材の中間を省略した図であり、(a)は正面斜視図を示し、(b)は背面斜視図を示す。
図7】本発明の実施形態に係る短尺な梁部材の中間を省略した図であり、(a)は正面斜視図を示し、(b)は背面斜視図を示す。
図8】本発明の実施形態に係る駒部材を示す図であり、(a)は正面斜視図を示し、(b)は背面斜視図を示す。
図9】本発明の実施形態に係る額縁の背面支持部に駒部材を取り付けた状態を示す図である。
図10】本発明の実施形態に係る図9に示した額縁の背面支持部周辺の断面図であり、(a)は第一状態の駒部材を含むXa-Xa断面を示し、(b)は第二状態の駒部材を含むXb-Xb断面を示す。
図11】本発明の実施形態に係る図9に示した枠部材の連結部分の断面図であり、(a)はXIab-XIab断面において梁部材を枠部材に挿入する様子を示し、(b)はXIab-XIab断面において枠部材の連結状態を梁部材により支持させた状態を示し、(c)は枠部材の連結状態を梁部材により支持させた状態のXIc-XIc断面を示す。
図12】本発明の実施形態に係る梁部材同士の連結部の拡大図である。
図13】本発明の実施形態に係る枠部材を纏めた組体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図1乃至図13に基づいて、本発明の実施形態を説明する。図1及び図2に示す額縁1は、中空状の内側に矩形平板状の掲示物2を収容可能とし、全体が長矩形平板状に形成される。額縁1は、掲示物2の外周縁に合わせて、任意の大きさや形状とすることができる。本実施形態の掲示物2は、複数のピースを組み合わせて作成された紙製のジグソーパズル盤21を含む構成を例示しているが、絵画、写真、賞状等その他の板状の掲示物とすることができる。ジグソーパズル盤21は、例えば1000ピースにより構成され、完成状態では凡そ長辺が75cm、短辺が50cmの長矩形薄板状に形成される。なお、図1等においてジグソーパズル盤21を構成する各ピースの境界は図示を省略している。以下の説明では、収容される掲示物2の正面2a側(図1参照)を額縁1の前、その反対側の背面2c側(図2参照)を額縁1の後ろとする。
【0010】
額縁1は、複数の枠部材31によって環状に形成された枠体3と、枠体3を連結させた状態に支持する梁部材4,5とを有する(図2参照)。本実施形態の枠部材31は、図3及び図4に示すように、形状の異なる枠部材31a(第一枠部材)及び枠部材31b(第二枠部材)をそれぞれ2個ずつ用いている。
【0011】
枠部材31a,31b(31)は、角部313において略垂直に接続された二本の直線部311,312を有し、全体がL字状に形成される。枠部材31aの直線部311及び枠部材31bの直線部312は、略同じ長さで形成される。枠部材31aの直線部312及び枠部材31bの直線部311も、略同じ長さで形成される。枠部材31aの直線部312及び枠部材31bの直線部311は、枠部材31aの直線部311及び枠部材31bの直線部312よりも長尺に形成される。角部313は、枠体3の角部に対応する。
【0012】
枠部材31a、31bは、直線部311の端部に、直線部311よりも小径で外形が四角柱状の係合突起314(係合部)を有する。また、枠部材31a,31bは、直線部312の端部に、有底角孔状の係合孔部315(被係合部)を有する。図11(c)にも示すように、係合突起314は、先端側に向かって僅かに窄まるように形成される。係合孔部315も、係合突起314の外形形状に倣い、奥側へ向かって内径が僅かに窄まるように形成される。複数の枠部材31a,31bは、一方の枠部材31a(又は枠部材31b)の係合孔部315に他方の枠部材31b(又は枠部材31a)の係合突起314を挿入することで、係合部と被係合部との係合により連結することができる。本実施形態では、枠部材31a及び枠部材31bをそれぞれ2個ずつ組み合わせることで、長矩形環状の枠体3を形成することができる。
【0013】
図3において(図4も同様)、係合突起314は、枠部材31aの前後方向に貫通する開口部314aを有する。前方から見た図3のP部拡大図に示すように、係合突起314は、開口部314aの前側の縁部に、被係合溝314bを有する。また、係合孔部315は、直線部312の端部における後面側に、係合孔部315の内部に貫通する開口部315aを有する。係合孔部315に係合突起314を挿入させると係合孔部315の開口縁部と係合突起314の基端側の段部314cとが当接し、開口部314aと開口部315aとの開口位置が略一致して重なった状態で係合突起314の挿入位置が設定される(図11(c)参照)。
【0014】
枠部材31a,31bは、掲示物2の外周縁部を正面側から支持する板状の正面支持部6を有する。正面支持部6は、L字状に形成された枠部材31a,31bの内側(入隅側)である内面316側に設けられ、直線部311,312に沿ってL字板状に形成される。正面支持部6は、内面316における枠体3の前側(掲示物2の正面2a側)に設けられる(図11(a)も参照)。
【0015】
図5は、図2に示す枠部材31bのQ部位置における背面支持部7周辺の拡大斜視図である。正面支持部6には、背面支持部7と対向する位置に支持当接部61が設けられる。支持当接部61は、正面支持部6及び内面316と略直交する向きに設けられた複数のリブ部を有する。支持当接部61は、支持当接部61と背面支持部7に挟持された掲示物2の外周縁部と当接して、掲示物2のズレを規制することができる。背面支持部7は、各枠部材31a,31bに複数形成され、掲示物2の外周縁部の背面側を支持する。背面支持部7は、枠部材31a,31bの内面316に設けられる。背面支持部7は、被支持部32と、被支持部32の両側に隣接配置される軸支部33と、軸支部33に対して着脱可能な駒部材8(図8等参照)とにより形成される。被支持部32は、矩形板枠状に形成されて前後方向(図5の上下方向)に貫通する開口部321を有する。また、被支持部32は、軸支部33よりも枠部材31a,31bの後側にオフセットされて配置される。
【0016】
軸支部33は、略台形の平板状に形成され、前後方向に貫通する円形孔である被係合部331と、軸支部33の後面側の先端部であって被支持部32側に配置される規制突起332と、を有する。軸支部33は、被係合部331から縁部までの距離が第一方向X及び第二方向Yにおいて異なる。直線部311,312の延設方向(第一方向X)の距離W1は短く、枠部材31a,31bの内側方向(第二方向Y)の距離W2は長く形成される。軸支部33は、直線部311,312の上記延設方向よりも、枠部材31a,31bの内側方向に対して幅広に形成された規制部333を有する。軸支部33は、後述の駒部材8を所定の回動角度(本実施形態では駒部材8が枠部材31a,31bの内側方向を向いた角度)に取り付けると、駒部材8の掲示物2に対する離間方向(後方向)への移動を規制する。被支持部32の両側に配置された二つの軸支部33の外側縁部334は、内面316側に向かって徐々に幅広となるように形成される。
【0017】
次に、梁部材4及び梁部材5について説明する。図2に示す梁部材4及び梁部材5は、長尺状に形成される。梁部材4及び梁部材5は、枠部材31a,31bと連結して矩形環状に組み立てられた枠体3を支持することができる。梁部材4は、梁部材5よりも長尺に形成される。梁部材4は、枠体3の長尺方向である第一方向Xに配置される。梁部材5は、枠体3の短尺方向である第二方向Yに配置される。
【0018】
図6(a)及び図6(b)は、梁部材4を中間省略した斜視図であり、(a)は正面側を示し、(b)は背面側を示している。また、図7(a)及び図7(b)は、梁部材5を中間省略した斜視図であり、(a)は正面側を示し、(b)は背面側を示している。梁部材4,5は、両面にリブ部が形成された長尺板状の本体部41,51と、本体部41,51の第一端側に枠部材31a,31bを連結状態で支持する連結支持部42,52と、本体部41,51の第一端の反対の第二端側に梁部材4,5同士を連結させる梁部材連結部43,53とを有する。
【0019】
連結支持部42,52は、略扇型の平板状に突出して形成される連結突起部421,521と、連結突起部421,521の先端部から本体部41,51の長軸方向に突出した先端突起部422,522とを有する。
【0020】
梁部材連結部43,53は、本体部41,51に対して直交方向に凹溝状の先端側係合部431a,531a及び凹溝状の内側係合部431b,531bと、先端側係合部431a,531a及び内側係合部431b,531bの幅方向(換言すれば、本体部41,51の長尺方向)両側に立設する固定部432,532と、先端側係合部431a,531a及び内側係合部431b,531bの反対面側において本体部41,51の幅方向両側に設けられた被固定部433,533と、を有する。
【0021】
固定部432,532は、先端側において互いに内向き方向に突出する係合爪を有する。被固定部433,533は、角部が段状に窪んでおり、固定部432,532の係合爪の幅よりも幅広に形成される。
【0022】
図8(a)及び図8(b)に示すように、駒部材8は、中空ブロック状の先端部81と、先端部81から延設される腕部82とを有する。腕部82は、額縁1の正面側に配置される第一腕部82aと、額縁1の背面側に配置される第二腕部82bとにより、二股状に形成される。第一腕部82a及び第二腕部82bは、先端部81よりも幅狭であり板状に形成される。第一腕部82aは、第二腕部82bよりも短尺に形成される。
【0023】
駒部材8は、軸支部33に取り付けた際に正面支持部6と対向する対向面821に、爪部822を有する。爪部822の先端822aは、R方向から見た拡大図に示すように、対向面821側から見た平面視では第一腕部82aの幅方向に向かって直線状に形成される。また、先端822aに沿って切断したVIIIa-VIIIa断面図に示すように、爪部822の先端822aは、第一腕部82aの端面側から見て凸円弧状に形成される。爪部822は、先端822aから先端部81側方向に向かって傾斜した傾斜面822bを有する(図10(b)のXb-Xb断面の拡大図も参照)。また、爪部822は、先端822aから駒部材8の回動軸A(軸部824)側に、傾斜面822bよりも急峻な側面822cを有する。このような構成により、爪部822は、横断面視凸円弧状(図8(a)のVIIIa-VIIIa断面拡大図)であって、縦断面視三角形状(図10(b)のS部拡大図参照)となるように形成される。
【0024】
駒部材8は、第二腕部82bの先端側における内側面823に、短円柱状の軸部824を有する。第二腕部82bは、基端側において第一腕部82aと対向している。第一腕部82aの先端部は、第二腕部82bの軸部824よりも基端側(先端部81側)に配置される。駒部材8は、軸部824を被係合部331に係合して回動軸A周りに回動可能とされる。
【0025】
次に、額縁1の使用例について説明する。本実施形態の掲示物2は、使用者が紙製のジグソーパズル盤21を額縁1へ収容する前に、予め加工が施される。まず、複数のピースにより構成されたジグソーパズル盤21の正面2aは、水のり等の接着材が塗工されてコーティングされる。また、ジグソーパズル盤21の背面2b側には同様の接着材が塗工され、各ピースよりも面積の広い支持シート22が背面2bに貼着される。支持シート22は、例えば、図2に示すようにジグソーパズル盤21の縦方向及び横方向に境界22aを隔てて分割された大きさであり、各々掲示物2全体の4分の1程度の面積を有する紙製により形成される。使用者は、支持シート22を複数のピースに跨って貼着させてジグソーパズル盤21を多層とすることにより、各ピースの連結を補強してジグソーパズル盤21の強度を高めることができる。
【0026】
まず、使用者は、掲示物2の外周縁周りを囲うように枠部材31a及び枠部材31bを連結させて額縁1を組み立てて、枠部材31a及び枠部材31bを掲示物2に装着する。掲示物2の外周縁部は、図5等に示した正面支持部6と背面支持部7との間に配置される。
【0027】
駒部材8は、掲示物2に装着した枠部材31a,31bの背面支持部7の軸支部33に取り付けられて、使用者は、掲示物2を枠部材31a及び枠部材31bに固定することができる。
【0028】
図9の右側の駒部材8に示すように、駒部材8は、枠部材31a,31bの延設方向(直線部311,312の長尺方向)と略平行となる第一状態の向きで装着される。この場合、図10(a)に示すように、軸支部33に対して、駒部材8の回動軸A方向の第一方側(軸支部33の背面側)に第二腕部82bが位置して第一方の反対の第ニ方側(軸支部33の正面側)に第一腕部82aが位置しない状態となる。このため、駒部材8は、枠部材31a,31bの背面側(図10(a)の上方)へ移動可能であり、使用者は、軸支部33の背面側から駒部材8を軸支部33に着脱することができる。
【0029】
その後、図9の破線で示すように、使用者は、駒部材8を、先端部81が枠体3の内側へ向いた第二状態となるように回動軸A周りに回動させる。すると、第一腕部82aは、図10(b)に示すように、規制部333の掲示物2側に潜り込む。そして、軸支部33に対して回動軸の回動軸A方向の第一方側及び第二方側にそれぞれ第一腕部82a及び第二腕部82bが位置する状態となる。これにより、駒部材8は、第一腕部82aと規制部333との当接により、枠部材31a,31bの後方への移動を規制する。なお、使用者が駒部材8を第一状態から第二状態へ回動させる際、第一腕部82aは、図10(a)及び図10(b)に示す軸支部33の縁部に形成された傾斜部335にガイドされる。これにより、使用者は、駒部材8を容易に第二状態側となるように回動させることができる。
【0030】
ここで、本実施形態の掲示物2は正面支持部6と第一腕部82aとの間隙と略同じ厚みのジグソーパズル盤21を含む。具体的には、図10(b)の断面図に示すように、正面支持部6から第二状態における駒部材8の対向面821までの距離は、掲示物2の厚み(ジグソーパズル盤21及び支持シート22の合計厚み)以上に設定され、正面支持部6から第二状態における爪部822の先端822aまでの距離は、掲示物2の厚み未満に設定される。そのため、使用者は、駒部材8を第一状態から第二状態へ回動させると、爪部822を掲示物2の背面2cにめり込ませる或いは突き刺すことができる(図10(b)のS部拡大図参照)。また、爪部822は、駒部材8の幅方向に亘って先端822aが形成されて(図8(a)のR部拡大図参照)その幅方向に突円弧状に形成される(図8(a)のVIIIa-VIIIa断面図参照)。そのため、駒部材8の回動方向の摩擦抵抗が低減され、使用者は駒部材8を回動させた際に爪部822を掲示物2の背面2cに徐々に押し付けることができる。駒部材8の回動は、第二腕部82bが規制突起322と当接して規制される。駒部材8を第二状態とすることで、掲示物2の外周縁部は正面支持部6及び背面支持部7により挟圧された状態で支持される。
【0031】
使用者は、掲示物2の外周縁部の全周に枠部材31a,31bを装着した後、連結した枠部材31a,31bに対して梁部材4,5を装着させる。図11(a)乃至図11(c)は、使用者が図9に示した枠部材31a,31bの連結部30に梁部材5を取り付ける様子を示している。なお、枠部材31a,31b同士の他の位置における連結部30においても梁部材4又は梁部材5が同様に接続される。
【0032】
まず、図11(a)において、使用者は、直線部311,312が連結された枠部材31a及び枠部材31bの係合突起314及び係合孔部315の各開口部314a,315aに、梁部材5を傾斜させながら連結支持部52の連結突起部521を挿入する。その後、図11(b)に示すように、使用者が梁部材5を枠部材31a及び枠部材31bに対して略平行となるように倒すと、本体部51のリブ部の一部は、開口部315aに隣接して設けられた溝部315bに収容される。また、係合突起314の下端部に形成された被係合溝314bには、先端突起部522が挿入される。これにより、開口部314a,315aからの梁部材5の抜けが防止される。また、図11(c)に示すように、各開口部314a、315aに連結支持部52の連結突起部521が挿入されると、係合突起314と係合孔部315の抜け方向の移動が連結突起部521により規制される。このため、枠部材31a及び枠部材31bの連結状態が支持される。
【0033】
図2に戻り、梁部材4,5を枠部材31a及び枠部材31bの各連結部30に取り付けると、梁部材4,5を同方向の略直線状に連結させた梁部材連結体40,50は第一方向X及び第二方向Yの二方向に略十字状に配置される。梁部材連結体40、50の交差する位置では、各梁部材4,5が梁部材連結部43,53により互いに連結される。
【0034】
図12図2に示した額縁1における梁部材4,5同士の連結部の拡大図である。第一方向Xの梁部材4a(第一梁部材)の先端側係合部431a及び内側係合部431bは、各々、第二方向Yの梁部材5a(第一梁部材)の内側係合部531b及び第二方向Yの梁部材5b(第二梁部材)の先端側係合部531aと係合する。また、第一方向Xの梁部材4b(第二梁部材)の先端側係合部431a及び内側係合部431bは、各々、第二方向Yの梁部材5b(第二梁部材)の内側係合部531b及び第二方向Yの梁部材5a(第一梁部材)の先端側係合部531aと係合する。各梁部材4,5は、先端側係合部431a,531a及び内側係合部431b,531bの二箇所によって互いに接続されるため、互いの連結強度を高めることができる。使用者が先端側係合部431a,531aと内側係合部431b,531bを互いに向かい合わせて近接方向に付勢させると、各固定部432,532は、弾発して本体部41,51の幅方向の両縁を乗り越えて、被固定部433,533に固定される。よって、使用者は先端側係合部431a,531aと内側係合部431b,531bを容易に係合することができる。
【0035】
このように、各枠部材31a,31bの連結部30を梁部材4,5によって対辺同士を接続し、二方向に張られた梁部材4,5(梁部材連結体40,50)についても互いに連結することによって、枠体3の歪みや変形が防止されて枠体3全体の強度が高まる。
【0036】
なお、駒部材8の取り付け順については、使用者は、まず枠部材31a及び枠部材31bを一つずつ掲示物2に装着させて、掲示物2に取り付けた枠部材31a,31bの軸支部33に一部の駒部材8を取り付ける。そして、使用者は、残りの枠部材31a及び枠部材31bを一つずつ掲示物2に取り付けて枠体3を形成させ、梁部材4,5により枠体3を固定した後に、残りの駒部材8を取り付けてもよい。
【0037】
使用者は、掲示物2を収容した額縁1を、背面支持部7に設けられた被支持部32の開口部321に任意の紐体や固定部材を挿通させ又は引掛けて、壁面や載置面等へ支持又は固定することができる。使用者は、使用する被支持部32の箇所を、額縁1の使用場所や方法に応じて任意に選択することができる。
【0038】
また、本実施形態では、使用者は16個の駒部材8を使用することができる。図2に示したように、枠体3には背面支持部7が16カ所に形成されており、駒部材8を取り付け可能な軸支部33は32カ所に設けられる。使用者は、駒部材8を任意の場所に配置することができるが、額縁1を立てた姿勢で維持させる場合は上方に位置する軸支部33に多く取り付けることで、掲示物2をより安定して保持することができる。例えば、図2の額縁1では、使用者は10個の駒部材8を取り付けた辺側を上として、額縁1を立てて掲示等することができる。これにより、駒部材8における爪部822の先端822aは、その多くが重力方向に対して略直交する方向に掲示物2にめり込む或いは突き刺されることとなる。よって、掲示物2が自重等によりずれ落ちて額縁1から脱落することが防止される。
【0039】
図13は、使用者が複数の枠部材31a,31bを重ねて纏め、矩形環状の組体1aとした状態を示す図である。図13において、矩形状に組んだ2個の枠部材31bは下段に配置され、矩形状に組んだ2個の枠部材31aは枠部材31bの上段に配置される。なお、枠部材31a及び枠部材31bは、互いに背面側を向き合うように(換言すれば、正面支持部6が外側に位置するように)配置される。また、下段の枠部材31b及び上段の枠部材31aの各係合突起314は、連結部材9の係合孔部91に挿入されて、連結部材9を介して下段の枠部材31bと上段の枠部材31a同士が連結される。連結部材9の係合孔部91は、平面視において略直交方向に形成される。このように、組体1aの対角において連結すると、上段の枠部材31aは、上段の他の枠部材31aの下に位置する枠部材31bと連結されて、上下に重ねた枠部材31a及び枠部材31bが分離しにくくなる。よって、枠部材31aと枠部材31bとの連結状態が容易に維持される。
【0040】
また、組体1aは、袋や箱等の容器に収容して、保管や流通に供することができる。その容器には、組体1aとともに、前述の梁部材4,5、駒部材8及び支持シート22を纏めて収容することができる。梁部材4,5のうち長尺に形成された梁部材4は、枠部材31a,31bの長尺に形成された直線部311(又は直線部312)と略同じ長さであるため、梁部材4,5、駒部材8及び支持シート22を、組体1aの内側の開口部に配置させる等して組体1aとともにコンパクトに収容することができる。このため、額縁1の保管や運搬が容易でありコストも低減することができる。
【0041】
以上のような本発明の実施形態によれば、下記の態様の額縁を提供することができる。
【0042】
第1の態様に係る額縁は、係合部及び被係合部を各々有する第一枠部材及び第二枠部材と、梁部材と、を備え、前記第一枠部材及び前記第二枠部材は、前記係合部と前記被係合部との係合により係合されて環状の枠体を形成可能であり、前記梁部材は、両端側に前記第一枠部材及び前記第二枠部材の連結部において前記第一枠部材及び前記第二枠部材の連結状態を支持する連結支持部を有する。
【0043】
この構成によれば、第一枠部材(31a)と第二枠部材(31b)の連結状態を安定支持させて、組み立てた環状の枠体の強度を向上させることができる。
【0044】
第2の態様に係る額縁は、前記梁部材は、長尺状に形成された第一梁部材及び第二梁部材を含み、前記第一梁部材及び前記第二梁部材は、第一端側に前記係合部及び前記被係合部の連結状態を支持する前記連結支持部を有し、第一端の反対の第二端側に前記第一梁部材及び前記第二梁部材同士を連結させる梁部材連結部を有する。
【0045】
この構成によれば、梁部材4,5を第一梁部材(梁部材4a,5a)と第二梁部材(梁部材4b,5b)とに分割されるため、額縁1を構成する部品を小さくすることができ、部品収納等において容量を低減させることができる。
【0046】
第3の態様に係る額縁は、前記係合部及び前記被係合部は、前記第一枠部材及び前記第二枠部材の連結状態において開口位置が重なる開口部を有し、前記連結支持部は、連結された前記第一枠部材及び前記第二枠部材の前記開口部に挿入される連結突起部を有する。
【0047】
この構成によれば、第一枠部材(31a)と第二枠部材(31b)の連結状態を簡易な構成により安定して連結支持させることができる。
【0048】
第4の態様に係る額縁は、前記第一枠部材及び前記第二枠部材は、L字状に形成され、前記枠体は、前記第一枠部材及び前記第二枠部材を各々2個含んで形成され、前記第一梁部材及び前記第二梁部材を同方向に連結させた梁部材連結体は、第一方向と、該第一方向とは異なる第二方向とに各々配置される。
【0049】
この構成によれば、第一枠部材(31a)及び第二枠部材(31b)によって略矩形環状の枠体3を構成することができ、また、梁部材連結体45を複数用いることで枠体3の強度を更に向上させることができる。
【0050】
第5の態様に係る額縁は、前記第一梁部材及び前記第二梁部材は、前記梁部材連結部に先端側係合部と内側係合部とを有し、前記第一方向の前記第一梁部材の前記先端側係合部及び前記内側係合部は、各々、前記第二方向の前記第一梁部材の前記内側係合部及び前記第二方向の前記第二梁部材の前記先端側係合部に係合し、前記第一方向の前記第二梁部材の前記先端側係合部及び前記内側係合部は、各々、前記第二方向の前記第二梁部材の前記内側係合部及び前記第二方向の前記第一梁部材の前記先端側係合部に係合する。
【0051】
この構成によれば、第一方向Xにおける第一梁部材(梁部材4a)及び第二梁部材(梁部材4b)と、第二方向Yにおける第一梁部材(梁部材5a)及び第二梁部材(梁部材5b)との連結強度を向上させて、各梁部材連結体40,50が枠体3と二方向において接続されるため、枠体3全体の強度も向上させることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は本実施形態によって限定されることは無く、種々の変更を加えて実施することができる。例えば、本実施形態では、駒部材8について、腕部82を二股状とした構成について説明したが、腕部82は一つの板状部材に軸部824と爪部822を有する構成としてもよい。この場合、腕部82は、軸支部33と掲示物2との間から挿入して掲示物2を押える構成としてもよい。駒部材8は、軸部824と被係合部331とを係合させて第一状態と第二状態との間で状態変化させることができる。軸支部33を駒部材8との当接面において傾斜させる等により、駒部材8は第一状態側から第二状態側へ移動するに従って掲示物2を付勢する構成としてもよい。
【0053】
また、軸支部33を二つの突起部により二股状に形成してもよい。一方の突起部は図5等に示した軸支部33と同様の構成として、他方の突起部は第二状態に位置する駒部材8を掲示物2側へ押圧(又は近接)させて、駒部材8が掲示物2に対して離間方向へ移動することを規制する構成としてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、駒部材8の第一状態を枠部材31a,31bの延設方向(直線部311,312の長尺方向)と略平行となる角度とし、駒部材8の第二状態を先端部81が枠体3の内側を向く角度として説明したがいずれの状態もその他の向きとしてもよい。例えば、第一状態は駒部材8の先端部81が枠体3の内側を向けた角度とし、第二状態は枠部材31a,31bの延設方向(直線部311,312の長尺方向)と略平行となる角度とし、第二状態において駒部材8の掲示物2に対する離間方向への移動が規制されるように、駒部材8の形状や爪部822の配置を適宜変更することもできる。
【0055】
また、本実施形態に示した枠部材31a,31bの他に、一端部に係合突起314を有し他端部に係合孔部315を有する直線棒状の枠部材を更に備えてもよい。この直線棒状の枠部材を図3及び図4等に示した各枠部材31a,31bの間に連結させて、枠体を構成する枠部材の数を増やすことができる。従って、組み立て状態の枠体3の大きさに対して、更にコンパクトに分解して纏めておくことができる。また、当該直線棒状の枠部材により増加した枠体3における各連結部30に対応して、前述の梁部材を増設してもよい。
【0056】
また、梁部材4,5の代わりに、両端側に連結支持部(形状は連結支持部42,52と同じでもよいし、連結支持部42,52に限らない)を有する一本の梁部材を用い、枠体3の対辺に位置する連結部30において枠部材31a及び枠部材31bの連結状態を支持する構成としてもよい。このような梁部材を図2の梁部材4,5のように交差させる場合は、交差部における梁部材は連結させてもよいし、連結させなくてもよい。
【0057】
また、支持シート22は、大きさを掲示物2と同じとして一枚により形成してもよいし、本実施形態で示した分割数(4分割)よりも多くてもよいが、額縁1を部品単位に分解して各部品を纏めた際の大きさの範囲内に収めることにより、袋等に支持シート22も折り曲げることなく纏めて収容することができる。
【0058】
また、本実施形態では、被支持部32と軸支部33は隣接して配置する例について示したが、被支持部32と軸支部33とは離間してもよい。
【0059】
また、本実施形態では、額縁1が矩形平板状の掲示物2を収容する例について示したが、掲示物2の形状は楕円形、円形、多角形、又は直線状及び曲線状の一方若しくは両方により構成された外周縁を有する他の形状とすることができ、枠体3の形状も長矩形環状に限らず掲示物2に合わせた形状とすることができる。
【0060】
また、掲示物2は、正面側及び背面側に、それぞれ透明保護シート及び厚板状の背面ボードを重ねて、額縁1に収容させることもできるが、本実施形態で説明したように透明保護シート及び背面ボード(バックボード)を用いなくてもよく、これにより掲示物2を収容した額縁1を軽量化することができる。
【0061】
また、本実施形態では、掲示物2を正面支持部6及び背面支持部7により固定する例について説明したが、掲示物2を固定する方法はその他任意の手段により行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
1 額縁 1a 組体
2 掲示物 2a 正面
2b 背面 2c 背面
3 枠体 4 梁部材
4a 梁部材(第一梁部材) 4b 梁部材(第二梁部材)
5 梁部材 5a 梁部材(第一梁部材)
5b 梁部材(第二梁部材) 6 正面支持部
7 背面支持部 8 駒部材
9 連結部材 21 ジグソーパズル盤
22 支持シート 22a 境界
30 連結部 31 枠部材
31a 枠部材(第一枠部材) 31b 枠部材(第二枠部材)
32 被支持部 33 軸支部
41 本体部 42 連結支持部
43 梁部材連結部 40 梁部材連結体
50 梁部材連結体 51 本体部
52 連結支持部 53 梁部材連結部
61 支持当接部 81 先端部
82 腕部 82a 第一腕部
82b 第二腕部 91 係合孔部
311 直線部 312 直線部
313 角部 314 係合突起
314a 開口部 314b 被係合溝
314c 段部 315 係合孔部
315a 開口部 315b 溝部
316 内面 321 開口部
331 被係合部 332 規制突起
333 規制部 334 外側縁部
335 傾斜部 421 連結突起部
422 先端突起部 431a 先端側係合部
431b 内側係合部 432 固定部
433 被固定部 521 連結突起部
522 先端突起部 531a 先端側係合部
531b 内側係合部 532 固定部
533 被固定部 821 対向面
822 爪部 822a 先端
822b 傾斜面 822c 側面
823 内側面 824 軸部
A 回動軸 X 第一方向
Y 第二方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13