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  • 特開-電力変換回路、及び車載電源装置 図1
  • 特開-電力変換回路、及び車載電源装置 図2
  • 特開-電力変換回路、及び車載電源装置 図3
  • 特開-電力変換回路、及び車載電源装置 図4
  • 特開-電力変換回路、及び車載電源装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043841
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】電力変換回路、及び車載電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20220309BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149311
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中田 健一
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS01
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB27
5H730CC01
5H730CC02
5H730DD03
5H730EE07
5H730EE14
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】電力変換回路の構成を簡易とする。
【解決手段】電力変換回路20は、トランス21の一次側、及び二次側の巻線L1、L2にそれぞれ接続された一次側、及び二次側のブリッジ回路22、25と、直列接続された第1及び第2のコンデンサC1、C2を有する。一次側のブリッジ回路22は、直列接続された2つのスイッチング素子によりそれぞれ構成された第1及び第2のレグ22A、22Bを有する。第1のレグ22Aにおける2つのスイッチング素子S1、S2の接続点P5は第1のリアクトルL3を介して巻線L1の第1端P1に接続されている。第2のレグ22Bにおける2つのスイッチング素子S3、S4の接続点P6は、第2のリアクトルL4を介して巻線L1の第2端P2に接続されている。交流電源E1は、コンデンサC1、C2の接続点P7とトランス21の一次側の巻線L1の中間タップP8との間に接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源と直流電源との間に介設される電力変換回路であって、
一次側及び二次側の2つの巻線を有したトランスと、
直列接続された2つのスイッチング素子によりそれぞれ構成された第1及び第2のレグを有する一次側のブリッジ回路と、
前記二次側の巻線と前記直流電源との間に設けられて、整流機能を有した二次側のブリッジ回路と、
を備えており、
前記一次側の巻線の両端のうちの一方を第1端とし、他方を第2端としたとき、
前記第1のレグにおける前記2つのスイッチング素子の接続点は第1のリアクトルを介して前記第1端に接続されており、
前記第2のレグにおける前記2つのスイッチング素子の接続点は第2のリアクトルを介して前記第2端に接続されており、
直列接続された第1及び第2のコンデンサが、前記第1及び第2のレグと並列に接続されており、
かつ、前記第1及び第2のコンデンサの接続点と、前記一次側の巻線における前記第1端及び前記第2端の間の部分と、の間に前記交流電源が接続される
ことを特徴とする電力変換回路。
【請求項2】
前記二次側のブリッジ回路は、直列接続された2つのスイッチング素子により構成されたレグを有する請求項1に記載の電力変換回路。
【請求項3】
車両に搭載される車載電源装置であって、請求項1又は請求項2に記載の電力変換回路と、充放電可能な蓄電機能を有した前記直流電源と、を備えており、前記直流電源が前記電力変換回路を介して車外の前記交流電源に接続される車載電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換回路、及び車載電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に見られるように、放電可能な蓄電装置を備え、車外から供給される交流電圧により蓄電装置を充電可能な車載電源装置が知られている。車載電源装置は、車外の交流電源から供給された交流電圧を直流電圧に変換して蓄電装置に出力する電力変換回路を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-014794号公報
【特許文献2】特開2013-034279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような車載電源装置の電力変換回路は、交流電源から入力された交流電圧を直流電圧に変換するAC/DC変換回路と、直流電圧の電圧レベルを変換するDC/DC変換回路を備える必要があり、回路規模が大きく、かつ製造コストが高いものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電力変換回路は、交流電源と直流電源との間に介設される電力変換回路であって、一次側及び二次側の2つの巻線を有したトランスと、直列接続された2つのスイッチング素子によりそれぞれ構成された第1及び第2のレグを有する一次側のブリッジ回路と、前記二次側の巻線と前記直流電源との間に設けられて、整流機能を有した二次側のブリッジ回路と、を備えており、前記一次側の巻線の両端のうちの一方を第1端とし、他方を第2端としたとき、前記第1のレグにおける前記2つのスイッチング素子の接続点は第1のリアクトルを介して前記第1端に接続されており、前記第2のレグにおける前記2つのスイッチング素子の接続点は第2のリアクトルを介して前記第2端に接続されており、直列接続された第1及び第2のコンデンサが、前記第1及び第2のレグと並列に接続されており、かつ、前記第1及び第2のコンデンサの接続点と、前記一次側の巻線における前記第1端及び前記第2端の間の部分と、の間に前記交流電源が接続されるように構成されている。
【0006】
上記のように構成された電力変換回路では、一次側のブリッジ回路により整流を行うことで、交流電圧を直流電圧に変換できる。また、一次側のブリッジ回路の各スイッチング素子のスイッチングにより、トランスの一次側の巻線から二次側の巻線に伝送する電力を調整することで、直流電源に出力する直流電圧の電圧レベルを変換できる。このように上記電力変換回路では、交流電圧から直流電圧への変換を行う部分と、直流電圧の電圧レベルを変換する部分とが、一次側のブリッジ回路を共有しており、その分、電力変換回路の回路の規模が小さくなる。
【0007】
上記電力変換回路における前記二次側のブリッジ回路は、直列接続された2つのスイッチング素子により構成されたレグを有する構成とするとよい。こうした場合、交流電源、直流電源間の双方向の電力変換が可能となる。なお、上記のような二次側のブリッジ回路には、上記レグを一つだけ有したハーフブリッジ構成の回路や、上記レグを2つ有したフルブリッジ構成の回路がある。
【0008】
上記課題を解決する車載電源装置は、車両に搭載される車載電源装置であって、請求項1又は請求項2に記載の電力変換回路と、充放電可能な蓄電機能を有した前記直流電源と、を備えており、前記直流電源が前記電力変換回路を介して車外の前記交流電源に接続されるように構成されている。こうした場合、電力変換回路の構成が簡易化された分、車載電源装置の構成も簡易となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電力変換回路の構成が簡易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車載電源装置の一実施形態の電気回路図。
図2】同実施形態の電力変換回路の比較例の電気回路図。
図3】三相交流電源に対応した車載電源装置の変形例の模式図。
図4】電力変換回路の変形例の電気回路図。
図5】電力変換回路の他の変形例の電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、電力変換回路、及び車載電源装置の一実施形態を、図1及び図2を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、車両Cに搭載された車載電源装置10は、電力変換回路20と、直流電源E2と、を備えている。直流電源E2は、例えばリチウムイオン二次電池のような、充放電可能な蓄電機能を有している。車両Cには、車外の交流電源E1が接続可能な充電コネクタ11が設けられている。直流電源E2は、交流電源E1が充電コネクタ11に接続されると、充電コネクタ11及び電力変換回路20を介して交流電源E1に接続される。本実施形態の車載電源装置10では、車外の交流電源E1として、単相の商用電圧の交流電源を使用する。
【0012】
次に、電力変換回路20の構成を説明する。電力変換回路20は、一次側、及び二次側の巻線L1、L2を有したトランス21と、一次側の巻線L1に接続された一次側のブリッジ回路22と、二次側の巻線L2に接続された二次側のブリッジ回路25と、を備えている。以下の説明では、トランス21の一次側の巻線L1の両端のうちの一方を第1端P1と記載し、もう一方を第2端P2と記載する。また、トランス21の二次側の巻線L2の両端のうちの一方を第3端P3と記載し、もう一方を第4端P4と記載する。
【0013】
一次側のブリッジ回路22は、直列接続された2つのスイッチング素子S1,S2により構成された第1のレグ22Aと、同様に直列接続された2つのスイッチング素子S3,S4により構成された第2のレグ22Bと、を備えている。ブリッジ回路22の各スイッチング素子S1~S4にはそれぞれ、ダイオードD1~D4が逆並列に接続されている。第1のレグ22Aにおける2つのスイッチング素子S1、S2の接続点P5は、第1のリアクトルL3を介してトランス21の一次側の巻線L1の第1端P1に接続されている。また、第2のレグ22Bにおける2つのスイッチング素子S3、S4の接続点P6は、第2のリアクトルL4を介してトランス21の一次側の巻線L1の第2端P2に接続されている。なお、トランス21の巻線L1の漏れインダクタンスを、第1及び第2のリアクトルL3、L4として用いることも可能である。
【0014】
一次側のブリッジ回路22における第1及び第2のレグ22A、22Bには、直列接続された2つのコンデンサC1、C2が並列に接続されている。電力変換回路20は、それら2つのコンデンサC1、C2の接続点P7と充電コネクタ11とを繋ぐ配線23と、トランス21の一次側の巻線L1の中間タップP8と充電コネクタ11とを繋ぐ配線24と、を備えている。よって、充電コネクタ11に接続されたときの車外の交流電源E1は、第1及び第2のコンデンサC1、C2の接続点P7と、一次側の巻線L1の中間タップP8と、の間に接続される。
【0015】
したがって、スイッチング素子S1とスイッチング素子S3とコンデンサC1との接続点P11には、交流電源E1の正の振幅以上の電圧であるVHが発生し、スイッチング素子S2とスイッチング素子S4とコンデンサC2との接続点P12には、交流電源E1の負の振幅以上の電圧である-VHが発生する。なお、本実施形態の中間タップP8は、トランス21の一次側の巻線L1の中点である。
【0016】
一方、二次側のブリッジ回路25は、直列接続された2つのスイッチング素子S5,S6により構成された第3のレグ25Aと、同様に直列接続された2つのスイッチング素子S7,S8により構成された第4のレグ25Bと、を有する。ブリッジ回路25の各スイッチング素子S5~S8にはそれぞれ、ダイオードD5~D8が逆並列に接続されている。第3のレグ25Aにおける2つのスイッチング素子S5、S6の接続点P9は、トランス21の二次側の巻線L2の第3端P3に接続されている。また、第4のレグ25Bにおける2つのスイッチング素子S7、S8の接続点P10は、トランス21の二次側の巻線L2の第4端P4に接続されている。
【0017】
電力変換回路20は更に第3のコンデンサC3を備えている。第3のコンデンサC3は、二次側のブリッジ回路25の第3及び第4のレグ25A、25Bと並列に接続されている。また、車載電源装置10において直流電源E2は、二次側のブリッジ回路25の第3及び第4のレグ25A、25B、並びに第3のコンデンサC3と並列に接続されている。
【0018】
さらに、車載電源装置10は、制御ユニット12を備えている。制御ユニット12は、一次側、及び二次側のブリッジ回路22、25に設けられた各スイッチング素子S1~S8に駆動信号をそれぞれ出力する。そして、駆動信号に応じて各スイッチング素子S1~S8のスイッチングが行われる。ちなみに、本実施形態では、IGBTをスイッチング素子S1~S8として採用している。
【0019】
本実施形態の作用及び効果について説明する。
まず、一次側、及び二次側のブリッジ回路22、25の各スイッチング素子S1~S8をすべてオフとした状態で、交流電源E1から電力変換回路20に交流電圧を入力した場合を考える。このときの一次側の回路部は、整流平滑回路として機能する。
【0020】
制御ユニット12は、スイッチング素子S1、S4とスイッチング素子S2、S3とがデッドタイムを置いて交互にオンとなるように、スイッチング素子S1~S4のスイッチングを行う。
【0021】
各スイッチング素子S1~S8がすべてオフの状態から、スイッチング素子S1、S4がオンとなると、接続点P5の電圧値は「VH」となり、接続点P6の電圧値は「-VH」となる。このとき、二次側のブリッジ回路25のスイッチング素子S5、S8をオンとすると、二次側の巻線L2に電圧が発生して、電力変換回路20の一次側の回路部から二次側の回路部へと電力が転送される。
【0022】
その後、スイッチング素子S1,S4,S5,S8をオフし、各スイッチング素子S1~S8がすべてオフの状態から、スイッチング素子S2、S3がオンとなると、接続点P5の電圧値は「-VH」となり、接続点P6の電圧値は「VH」となる。このとき、二次側のブリッジ回路25のスイッチング素子S6、S7をオンとすると、二次側の巻線L2に電圧が発生して、電力変換回路20の一次側の回路部から二次側の回路部へと電力が転送される。
【0023】
本実施形態では、一次側、及び二次側のブリッジ回路22、25の各スイッチング素子S1~S8のスイッチングを同周期、同位相で行っている。これに対して、一次側のブリッジ回路22の各スイッチング素子S1~S4のスイッチング周期に対して位相差を設けて二次側のブリッジ回路25の各スイッチング素子S5~S8のスイッチングを行うと、一次側の回路部から二次側の回路部に伝送される電力が変化する。そしてその結果、電力変換回路20が直流電源E2に出力する直流電圧の電圧レベルが変化する。すなわち、電力変換回路20において、一次側のブリッジ回路22、リアクトルL3、L4、トランス21、及び二次側のブリッジ回路25は、直流電圧の電圧レベルを変換するDC/DC変換部としての機能を担っている。そして、一次側のブリッジ回路22、リアクトルL3、L4、及びトランス21の一次側の巻線L1は、AC/DC変換部、及びDC/DC変換部の双方が共有している。
【0024】
車載電源装置10の制御ユニット12は、各スイッチング素子S1~S8の駆動信号のデューティ比や一次側、二次側のブリッジ回路22、25間の駆動信号の位相差を制御することで、直流電源E2の出力電圧を制御している。
【0025】
なお、一次側のブリッジ回路22のスイッチング素子S1~S4よりも位相を遅らせて二次側のブリッジ回路22のスイッチング素子S5~S8のスイッチングを行えば、トランス21を通じて一次側の回路部から二次側の回路部へと電力が転送される。これに対して、一次側のブリッジ回路22のスイッチング素子S1~S4よりも位相を早めて二次側のブリッジ回路22のスイッチング素子S5~S8のスイッチングを行えば、トランス21を通じて二次側の回路部から一次側の回路部へと電力が転送される。そのため、本実施形態の電力変換回路20は、交流電源E1、直流電源E2間の双方向の電力変換を行える。こうした電力変換回路20を備える車載電源装置10では、直流電源E2に充電した電力を交流電圧に変換して車外等に給電可能である。
【0026】
図2に示される電力変換回路100は、本実施形態の電力変換回路20と同様の機能を有し、かつAC/DC変換部とDC/DC変換部とに共有部分が存在しないように構成されている。この電力変換回路100は、交流電源E1から供給された交流電圧を直流電圧に変換するAC/DC変換部110と、直流電圧の電圧レベルを変換するDC/DC変換部120と、を有している。AC/DC変換部110は、ブリッジ回路111と、2つのリアクトル112、113と、極性反転用の2つのダイオード114、115とを備えている。こうしたAC/DC変換部110は、力率の制御機能を有している。DC/DC変換部120は、平滑用のコンデンサ116を介してAC/DC変換部110に接続されている。DC/DC変換部120は、トランス121と、そのトランス121を介して接続された一次側、二次側のブリッジ回路122、123と、を有している。そして、DC/DC変換部120は、平滑用のコンデンサ124を介して直流電源E2に接続されている。さらに、一次側のブリッジ回路122とトランス121の一次側の巻線との間には、リアクトル125、及びコンデンサ126が接続されている。こうした電力変換回路100の各ブリッジ回路111、122、123はそれぞれ、4個のスイッチング素子を有したフルブリッジ構成のブリッジ回路として構成されている。
【0027】
こうした電力変換回路100には、全部で12個のスイッチング素子が設けられており、本実施形態の電力変換回路20よりもスイッチング素子の数が4個多くなっている。また、電力変換回路100のAC/DC変換部110には、全波整流を行うための極性反転用の2つのダイオード114、115を備えている。そのため、本実施形態の電力変換回路20に比べてダイオードの数も多くなっている。このように、本実施形態の電力変換回路20は、電力変換回路100よりも、素子数が少なく、規模の小さい回路となっている。
【0028】
本実施形態の車載電源装置10及び電力変換回路20によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)交流電圧の直流電圧への変換を行うAC/DC変換部と、直流電圧の電圧レベルの変換を行うDC/DC変換部とが、一次側のブリッジ回路22を共有している。そのため、電力変換回路20の回路構成が簡易となる。そして、その結果、車載電源装置10及び電力変換回路20の小型化や、製造コストの低減を実現できる。
【0029】
(2)電力変換回路20の二次側のブリッジ回路22が、直列接続された2つのスイッチング素子を有するレグを2つ有するフルブリッジ構成のブリッジ回路とされている。そのため、交流電源E1、直流電源E2間の双方向の電力変換を行える。さらに、同電力変換回路20を備える車載電源装置10では、直流電源E2に充電した電力を交流電圧に変換して車外等に給電することが可能となる。
【0030】
(3)一次側のブリッジ回路22において、それぞれ半波整流により正負の直流電圧VH、-VHを発生している。そのため、全波整流に必要な極性反転用のダイオードを設けずとも、全波整流を行う場合と同様の効率でAC/DC変換を行える。
【0031】
(4)交流電源E1、直流電源E2間の絶縁分離が法規等により要請される場合にも、その要請に応えられる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0032】
〇 トランス21の一次側の巻線L1に対して交流電源E1を、同巻線L1の中点から若干ずれた位置に接続してもよい。
図3に示すように、上記実施形態の電力変換回路20を3つ用いることで、三相交流電源E3、直流電源E2間の電力変換を行うことが可能である。図4の構成例では、三相交流電源E3の第一相R、第二相S、及び第三相Tの各端子に電力変換回路20がそれぞれ接続されている。中性相Nの端子を有する4線式の三相交流電源E3を用いる場合には、破線で示すように、各電力変換回路20を中性相Nとも接続してもよい。なお、同図4に示す車載電源装置の変形例では、スイッチSW1、SW2により、次の2つの状態の切替えが可能である。すなわち、3つの電力変換回路20を介して三相交流電源E3と直流電源E2とが接続された状態と、3つの電力変換回路20のうちの一つを介して直流電源E2がアウトレットE4とが接続された状態とである。なお、アウトレットE4は、車室に設けられた交流電圧の取り出し口である。こうした車載電源装置では、直流電源E2に充電した電力を交流電圧に変換してアウトレットE4に供給できる。
【0033】
図4に例示するように、二次側のブリッジ回路25をハーフブリッジ構成としてもよい。同図4に示される電力変換回路の変形例では、二次側のブリッジ回路25の第3のレグ25Aは、上記実施形態の電力変換回路20と同様に、直列接続された2つのスイッチング素子S5、S6により構成されている。一方、同ブリッジ回路25の第4のレグ25Bは、直列接続された2つのコンデンサC4、C5により構成されている。このように二次側のブリッジ回路25をハーフブリッジ構成とした場合にも、上記実施形態の電力変換回路20と同様に、交流電源E1、直流電源E2間の双方向の電力変換が可能である。
【0034】
図5に例示するように、二次側のブリッジ回路25を、4つのダイオードD5~D8により構成されたダイオードブリッジとしてもよい。こうした場合の二次側のブリッジ回路25は、電力変換回路20の一次側の回路部からトランス21の二次側の巻線L2に伝送された電力を整流して直流電源E2に出力する。こうした場合にも、交流電源E1から直流電源E2への単方向の電力変換を行える。また、こうした場合にも、一次側のブリッジ回路22の各スイッチング素子S1~S4のスイッチングにより、トランス21の一次側の巻線L1から二次側の巻線L2への電力伝送を制御することで、直流電源E2に出力する直流電圧の電圧レベルを制御できる。
【0035】
〇 スイッチング素子S1~S8として、MOSFET等のIGBT以外のスイッチング素子を採用してもよい。
〇 二次側の回路部に設けられる第3のコンデンサC3を割愛してもよい。
【0036】
〇 上記実施形態及び変形例の電力変換回路を、車載電源装置以外の交流電源、直流電源間の電力変換を行う回路として用いるようにしてもよい。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0037】
(イ)前記二次側のブリッジ回路は、直列接続された2つのスイッチング素子によりそれぞれ構成された第3及び第4のレグを有しており、かつ前記第3のレグにおける前記2つのスイッチング素子の接続点と前記第4のレグにおける前記2つのスイッチング素子の接続点との間に前記二次側の巻線が接続されている請求項2に記載の電力変換回路。
【0038】
(ロ)前記二次側のブリッジ回路と前記直流電源との間に介設される平滑用のコンデンサを有する請求項1、2、及び前記(イ)のいずれか1項に記載の電力変換回路。
【符号の説明】
【0039】
10…車載電源装置、20…電力変換回路、21…トランス、22…一次側のブリッジ回路、22A…第1のレグ、22B…第2のレグ、25…二次側のブリッジ回路、25A…第3のレグ、25B…第4のレグ、C…車両、C1…第1のコンデンサ、C2…第2のコンデンサ、C3…第3のコンデンサ、E1…交流電源、E2…直流電源、L1…一次側の巻線、L2…二次側の巻線、L3…第1のリアクトル、L4…第2のリアクトル、S1~S8…スイッチング素子、P1…第1端、P2…第2端、P5、P6、P7、P9、P10…接続点、P8…中間タップ。
図1
図2
図3
図4
図5