(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043872
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】動物用輸液装置
(51)【国際特許分類】
A61D 7/00 20060101AFI20220309BHJP
【FI】
A61D7/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149366
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】520342943
【氏名又は名称】株式会社サーランド・アイエヌイー
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】李 良郁
(72)【発明者】
【氏名】石坂 欣也
(72)【発明者】
【氏名】小鮒 亨
(57)【要約】
【課題】複数の動物に対して輸液を行う場合であっても、輸液作業を効率化することができる、動物用輸液装置を提供する。
【解決手段】動物用輸液装置は、動物に装着されて液体を動物の体内に輸液する輸液部と、輸液部と無線通信を行うコントローラとを備える動物用輸液装置であって、輸液部は、輸液する液体を収納する液体バッグに収納された液体を動物の体内に輸液し、コントローラとの無線通信を制御し、コントローラから提供されたポンプを制御するための制御情報に基づきポンプを制御し、コントローラは、無線通信を制御し、ポンプを識別するための識別情報に対応した設定情報を表示させて、利用者に設定可能にし、設定された設定情報を記憶し、記憶された設定情報に基づき、輸液部に対して制御情報を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物に装着されて液体を動物の体内に輸液する輸液部と、前記輸液部と無線通信を行うコントローラとを備える動物用輸液装置であって、
前記輸液部は、
輸液する液体を収納する液体バッグに収納された液体を動物の体内に輸液するポンプと、
前記コントローラとの無線通信を制御する第1通信部と、
前記第1通信部を介して前記コントローラから提供された前記ポンプを制御するための制御情報に基づき前記ポンプを制御する第1制御部と、を備え、
前記コントローラは、
前記第1通信部との無線通信を制御する第2通信部と、
前記ポンプを識別するための識別情報に対応した設定情報を、表示装置に表示させて、利用者に設定可能にするUI部と、
前記UI部を介して設定された前記設定情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記設定情報に基づき、前記第2通信部を介して前記輸液部に対して前記制御情報を提供する第2制御部と、を備える動物用輸液装置。
【請求項2】
前記UI部は、複数の前記ポンプの前記識別情報と、それぞれの前記識別情報に対応した前記設定情報と、を表示装置に一覧表示させる、請求項1に記載の動物用輸液装置。
【請求項3】
前記UI部は、前記識別情報と、前記識別情報において識別される前記ポンプによって輸液される動物の個体情報と、を表示装置に表示させる、請求項1または2に記載の動物用輸液装置。
【請求項4】
前記輸液部は、前記個体情報を読み取る読取部をさらに備え、
前記UI部は、前記読取部において読み取られた前記個体情報を表示装置に表示させる、請求項3に記載の動物用輸液装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記個体情報と前記識別情報との正しい組み合わせを示す組合情報をさらに記憶し、
前記第2通信部は、前記第1通信部から前記識別情報を取得し、
前記第2制御部は、前記読取部において読み取られた前記個体情報と前記第2通信部において取得された前記識別情報との組合せが前記組合情報における組合せと一致する場合、前記輸液部に対して前記制御情報を提供する、請求項4に記載の動物用輸液装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記設定情報と前記個体情報とを対応付けて記憶し、
前記第2制御部は、前記記憶部に記憶された前記設定情報および前記個体情報に基づき、前記輸液部に対して前記制御情報を提供し、
前記第1制御部は、提供された前記制御情報に含まれる前記個体情報が前記ポンプによって輸液される動物の個体情報と一致する場合、提供された前記制御情報に基づき前記ポンプを制御する、請求項3から5のいずれか一項に記載の動物用輸液装置。
【請求項7】
前記輸液部は、前記ポンプにおける輸液の状態を示す状態情報を検出する検出部をさらに備え、
前記UI部は、前記検出部において検出された前記状態情報を表示装置に表示させる、請求項1から6のいずれか一項に記載の動物用輸液装置。
【請求項8】
前記コントローラは、利用者が携帯可能な携帯端末との通信を制御する第3通信部をさらに備え、
前記UI部は、前記第3通信部を介して、前記設定情報を前記携帯端末の表示装置に表示させる、請求項1から7のいずれか一項に記載の動物用輸液装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用輸液装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体に対して予め定められた液量および流量において液体を輸液する輸液装置がある。例えば、特許文献1には、輸液バッグからヒトへ輸液する液体投与装置において、液体投与装置がホストから流量調整情報を無線受発信器で受信して液体の流量を調整する技術が記載されている。
【0003】
また、動物病院等の施設においては、複数の動物(個体)に対して同時に輸液を行う場合があり、輸液ポンプとホストの組合せからなる輸液装置が複数利用される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、複数の輸液装置を使用する場合、利用者がそれぞれの輸液装置において、輸液流量の設定、輸液量(総量)の設定、または輸液状態の監視等の作業をそれぞれ行う必要があり、輸液作業に手間がかかってしまう場合があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、複数の動物に対して輸液を行う場合であっても、輸液作業を効率化することができる、動物用輸液装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記の課題を解決するため、動物用輸液装置は、動物に装着されて液体を動物の体内に輸液する輸液部と、輸液部と無線通信を行うコントローラとを備える動物用輸液装置であって、輸液部は、輸液する液体を収納する液体バッグに収納された液体を動物の体内に輸液するポンプと、コントローラとの無線通信を制御する第1通信部と、第1通信部を介してコントローラから提供されたポンプを制御するための制御情報に基づきポンプを制御する第1制御部と、を備え、コントローラは、第1通信部との無線通信を制御する第2通信部と、ポンプを識別するための識別情報に対応した設定情報を、表示装置に表示させて、利用者に設定可能にするUI部と、UI部を介して設定された設定情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された設定情報に基づき、第2通信部を介して輸液部に対して制御情報を提供する第2制御部と、を備える。
【0008】
(2)また、実施形態の動物用輸液装置において、UI部は、複数のポンプの識別情報と、それぞれの識別情報に対応した設定情報と、を表示装置に一覧表示させるものであってもよい。
【0009】
(3)また、実施形態の動物用輸液装置において、UI部は、識別情報と、識別情報において識別されるポンプによって輸液される動物の個体情報と、を表示装置に表示させるものであってもよい。
【0010】
(4)また、実施形態の動物用輸液装置において、輸液部は、個体情報を読み取る読取部をさらに備え、UI部は、読取部において読み取られた個体情報を表示装置に表示させるものであってもよい。
【0011】
(5)また、実施形態の動物用輸液装置において、記憶部は、個体情報と識別情報との正しい組み合わせを示す組合情報をさらに記憶し、第2通信部は、第1通信部から識別情報を取得し、第2制御部は、読取部において読み取られた個体情報と第2通信部において取得された識別情報との組合せが組合情報における組合せと一致する場合、輸液部に対して制御情報を提供するものであってもよい。
【0012】
(6)また、実施形態の動物用輸液装置において、記憶部は、設定情報と個体情報とを対応付けて記憶し、第2制御部は、記憶部に記憶された設定情報および個体情報に基づき、輸液部に対して制御情報を提供し、第1制御部は、提供された制御情報に含まれる個体情報がポンプによって輸液される動物の個体情報と一致する場合、提供された制御情報に基づきポンプを制御するものであってもよい。
【0013】
(7)また、実施形態の動物用輸液装置において、輸液部は、ポンプにおける輸液の状態を示す状態情報を検出する検出部をさらに備え、UI部は、検出部において検出された状態情報を表示装置に表示させるものであってもよい。
【0014】
(8)また、実施形態の動物用輸液装置において、コントローラは、利用者が携帯可能な携帯端末との通信を制御する第3通信部をさらに備え、UI部は、第3通信部を介して、設定情報を携帯端末の表示装置に表示させるものであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一つの実施形態によれば、動物用輸液装置は、動物に装着されて液体を動物の体内に輸液する輸液部と、輸液部と無線通信を行うコントローラとを備える動物用輸液装置であって、輸液部は、輸液する液体を収納する液体バッグに収納された液体を動物の体内に輸液し、コントローラとの無線通信を制御し、コントローラから提供されたポンプを制御するための制御情報に基づきポンプを制御し、コントローラは、無線通信を制御し、ポンプを識別するための識別情報に対応した設定情報を表示させて、利用者に設定可能にし、設定された設定情報を記憶し、記憶された設定情報に基づき、輸液部に対して制御情報を提供することにより、輸液作業を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態における動物用輸液装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態における動物用輸液装置の概要の一例を示す図である。
【
図3】実施形態における動物用輸液装置の構成の他の一例を示すブロック図である。
【
図4】実施形態における動物用輸液装置の表示画面の第1の例を示す図である。
【
図5】実施形態における動物用輸液装置の表示画面の第2の例を示す図である。
【
図6】実施形態における動物用輸液装置の表示画面の第3の例を示す図である。
【
図7】実施形態における動物用輸液装置の表示画面の第4の例を示す図である。
【
図8】実施形態における動物用輸液装置の表示画面の第5の例を示す図である。
【
図9】実施形態における動物用輸液装置の表示画面の第6の例を示す図である。
【
図10】実施形態における動物用輸液装置の表示画面の第7の例を示す図である。
【
図11】実施形態における動物用輸液装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態における動物用輸液装置について詳細に説明する。
【0018】
先ず、
図1を用いて、動物用輸液装置の構成を説明する。
図1は、実施形態における動物用輸液装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
図1において、動物用輸液装置100は、輸液部1、コントローラ2、および携帯端末3を有する。輸液部1とコントローラ2は、無線通信91によって通信可能に接続される。また、コントローラ2とおよび携帯端末3は、無線通信92によって通信可能に接続される。無線通信91または無線通信92は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信規格に基づく無線通信を用いることができる。また、無線通信91または無線通信92は、Wifi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)の無線通信を用いることができる。無線通信91と無線通信92は同じ規格の無線通信を用いてもよく、また異なる規格の無線通信を用いてもよい。本実施形態においては、無線通信91としてBluetooth(登録商標)による無線通信を、無線通信92としてWifi(登録商標)による無線通信を用いる場合を例示するが、無線通信の方法はこれに限定されるものではない。例えば、無線通信92は、携帯電話のキャリアを利用した無線通信を用いてもよい。
【0020】
輸液部1は、ポンプ11、第1通信部12、記憶部13、第1制御部14および読取部15の各機能部を有する。輸液部1は、輸液対象の動物に装着される。しかし、輸液部1の一部は、輸液対象の動物の近傍に設置されてもよい。例えば、動物がケージの中に入れられている場合、輸液部1の一部は、ケージに取り付けられてもよい。
【0021】
ポンプ11は、輸液する液体を収納する液体バッグ(不図示)に収納された液体を動物の体内に輸液するポンプである。輸液とは、水分、電解質または薬液等の液体を、動物の静脈内に留置した注射針から少量ずつ動物の体内に投与する治療方法である。ポンプ11には、例えば、ペリスタルティックポンプを用いることができる、ペリスタルティックポンプは、例えば、シリコンチューブまたはホースの圧縮および弛緩を交互に行うにより液体バッグに収納された液体を引き込み吐出するポンプである。ペリスタルティックポンプを用いることにより、液体バッグと動物との位置関係に拘わらず輸液する液体の流量(輸液流量(例えば、ml/min))を安定させることができる。例えば、重力による自然落下による点滴においては、動物が動いてしまうと点滴の流量が変わってしまうため、動物を拘束したり麻酔を打ったりして行動を制限する必要があり、動物に負荷を与えてしまう可能性がある。ペリスタルティックポンプを用いることにより、輸液対象の動物の負荷を軽減させることが可能となる。
【0022】
ペリスタルティックポンプの駆動には、例えば、遊星歯車を使用したDCギアードモータを用いることができる。遊星歯車を使用したDCギアードモータを用いることにより、モータを含めた駆動部の小型化および軽量化を図ることが可能となる。駆動部の小型化および軽量化を図ることにより、輸液部1が装着される動物の負担を軽減させることができる。モータへの電力供給は、例えば、リチウムイオン電池を用いることができる。
【0023】
第1通信部12は、コントローラ2との無線通信を制御する。第1通信部12は、例えばBluetooth(登録商標)を用いてコントローラ2との無線通信を制御する。第1通信部12は、コントローラ2の後述する第2通信部21とペアリングされることにより、特定のコントローラ2と無線通信を行うことができる。ペアリングとは、無線通信の通信相手を予め設定しておくことにより、無線通信を開始するための通信手順である。ペアリングをしておくことにより、通信相手と通信可能な状態になった場合に自動的に無線通信を開始することが可能となる。
【0024】
記憶部13は、第1通信部12を介してコントローラ2から提供された、ポンプ11を制御するための制御情報を記憶する。第1制御部14は、記憶部13に記憶された制御情報に基づきポンプ11を制御する。制御情報は、例えば、輸液流量、または輸液する液体の予定量等である。輸液流量は、例えば、ポンプを駆動するモータの回転速度(RPM)等で表されてもよい。予定量とは、輸液される予定の液体の総量である。例えば、ポンプ(またはモータ)が1回転する際に吐出する液体の量が決まっている場合、予定量は、ポンプ(またはモータ)の総回転数等で表されてもよい。
【0025】
また、制御情報には個体情報が含まれていてもよい。個体情報とは、輸液対象の動物の個体を特定するための情報であり、例えば、個体ユニークな15桁の数字によって構成される。個体情報は、例えば、マイクロチップに記録される。マイクロチップの内部には、例えば、個体情報を記録するIC(Integrated Circuit)、コンデンサ、および電極コイルを含めることができる。マイクロチップは、円筒形の生体適合ガラスで被覆され、動物の体内に埋め込まれる。
【0026】
読取部15は、動物の体内に埋め込まれたマイクロチップに記録された個体情報を読み取る。例えば、読取部15は、マイクロチップ内部の電極コイルを介してマイクロチップに給電し、給電されたマイクロチップから発信される個体情報を読み取る。なお、読取部15は輸液部1と一体に実装されてもよく、あるいは輸液部1とは別体に実装されてもよい。また、マイクロチップには、個体情報に加えて、飼い主の情報、または動物の種類、性別、生年月日もしくは予防接種記録等(以下、個体情報等という場合がある)が記録され、読取部15によって読み取られるようにしてもよい。読取部15によって読み取られた個体情報等は、第1通信部12を介してコントローラに供給される。
【0027】
第1制御部14は、コントローラ2から提供された制御情報に含まれる個体情報と読取部15から読み取られた個体情報が一致しているか否かを判断し、個体情報が一致している場合に制御情報に基づきポンプ11を制御するようにしてもよい。個体情報の一致を確認することにより、第1制御部14は、誤った個体に対する輸液を防止して、正しい個体に対して輸液をすることが可能となる。読取部15から読み取られた個体情報は、記憶部13に記憶されて、第1制御部14から読み出されるようにしてもよい。なお、第1制御部14は、個体情報の一致を確認せずに、制御情報に基づきポンプ11を制御するようにしてもよい。
【0028】
コントローラ2は、第2通信部21、UI(User Interface)部22、記憶部23、第2制御部24、第3通信部25および表示装置26の各機能部を有する。コントローラ2は、輸液部1と無線通信91によって通信する際に、通信可能な範囲に設置される。コントローラ2は、固定的な位置に設置されるものでもよく、あるいは利用者によって可搬されるものでもよい。本実施形態における利用者とは、動物用輸液装置100を利用する者であり、例えば、動物の体内に輸液流量もしくは予定輸液量等を設定し、輸液を開始し、または輸液状態を監視等する者である。利用者は、例えば、動物用輸液装置100を利用する獣医であり、または獣医の指示に従って動物用輸液装置100を利用する者であってもよい。
【0029】
第2通信部21は、第1通信部12との無線通信を制御する。第2通信部21は、例えばBluetoothにおいて、第1通信部12をスレーブとしたマスターとして動作させることができる。Bluetoothにおけるマスターとは、最大7台のスレーブとの無線通信を制御するものであり、ピコネットと呼ばれる通信単位でそれぞれのスレーブと通信する。マスターとスレーブは上述のペアリングによって予め通信相手として設定される。第2通信部21は、Bluetoothにおけるマスターとして動作する場合、スレーブとして動作する最大7台の第1通信部12との無線通信を制御することができる。
【0030】
UI部22は、ポンプ11を識別するための識別情報に対応した設定情報を表示装置26に表示させて、利用者が設定情報を設定可能にする。識別情報とは、利用者が複数のポンプ11の中から一のポンプ11を識別するための情報であり、例えば、「PUMP01」、「PUMP02」、または「PUMP03」等のテキスト情報である。本実施形態における輸液部1はそれぞれ1台のポンプ11を有しているため、識別情報は、ポンプ11を有する輸液部1を識別する情報であってもよい。表示装置26は、UI部22から提供される表示情報を表示する装置であり、例えば、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。
【0031】
UI部22が設定可能にする設定情報とは、上述した制御情報を生成するための情報であり、例えば、利用者によって設定される輸液流量または予定量等である。設定情報には、上述の個体情報、または識別情報が含まれていてもよい。例えば、利用者は、輸液対象の動物の個体情報を入力した上で、輸液に使用されるポンプ11の識別情報を選択または入力し、選択したポンプ11における液体の流量または予定量等を入力することができる。識別情報に対応した設定情報を表示装置26に表示させて、利用者が設定情報を設定可能にすることにより、複数のポンプ11を使用する場合であっても、輸液作業を効率化することができる。
【0032】
また、UI部22は、複数のポンプ11の識別情報と、それぞれの識別情報に対応した設定情報と、を表示装置26に一覧表示させるものであってもよい。上述の通り、コントローラ2は、複数台の輸液部1との無線通信91を介して輸液部1に対して制御情報を提供することができる。UI部22は、通信可能に予め設定された輸液部1の一覧を表示装置26に表示させて利用者に選択させて、選択された輸液部1のポンプ11における設定情報を設定可能にするようにしてもよい。設定された設定情報は、複数のポンプ11の識別情報と対応させて表示装置26に一覧表示される。識別情報と、それぞれの識別情報に対応した設定情報とを表示装置26に一覧表示させることにより、それぞれの識別情報に対応した設定情報の一覧性が向上し、輸液作業を効率化することができる。なお、一覧表示の具体例は図を用いて後述する。
【0033】
また、UI部22は、識別情報と、識別情報において識別されるポンプ11によって輸液される動物の個体情報と、を表示装置26に表示させるものであってもよい。利用者は、輸液作業において輸液を開始する際には、輸液対象の個体とポンプ11との組合せが正しいか否かの確認作業を行う必要がある。識別情報と個体情報とを表示装置26に表示させることにより、利用者は、個体情報によって特定される個体に対して、どのポンプ11によって輸液されるかを視認することが可能となり、輸液作業を効率化することができる。
【0034】
また、UI部22は、読取部15において読み取られた個体情報を表示装置26に表示させるものであってもよい。読取部15において読み取られた個体情報を表示装置26に表示させることにより、実際の個体の個体情報を確認することが可能となり、UI部22において誤った個体情報と実際の個体情報との一致を確認することが可能となる。記憶部23は、UI部22を介して設定された設定情報を記憶する。
【0035】
また、UI部22は、輸液部1における輸液状態を表示装置26に表示させるものであってもよい。輸液状態とは、例えば、個体に対して輸液した液体の量、輸液完了、輸液エラー等の状態を示す情報である。輸液エラーとは、例えば、ポンプ11の故障による停止、流量異常、輸液中の気泡の発生、輸液圧力の異常、または無線通信91の通信エラー等の情報である。コントローラ2は、輸液部1から輸液エラーの情報を取得して表示するようにしてもよい。
【0036】
第2制御部24は、記憶部23に記憶された設定情報に基づき、第2通信部21を介して輸液部1に対して制御情報を提供する。制御情報は、上述のように、第1制御部14がポンプ11を制御するための情報であって、ポンプ11における輸液流量等の情報が含まれる。例えば、第2制御部24は、利用者によって設定された輸液流量等の設定情報を、第1制御部14において使用されるデータ形式に変換して提供する。制御情報には、設定情報の一部または全部が含まれていてもよく、また、設定情報以外の情報が含まれていてもよい。
【0037】
第3通信部25は、無線通信92を介した携帯端末3との無線通信を制御する。無線通信92には、上述の通り、BluetoothまたはWifi等の無線通信を用いることができる。なお、本実施形態は、コントローラ2が、第2通信部21と第3通信部25とを有する場合を例示したが、例えば、無線通信91と無線通信92が同じ方式の無線通信である場合、第2通信部21と第3通信部25は1つの機能部において共通化してもよい。
【0038】
携帯端末3は、第4通信部31および表示装置32を有する。携帯端末3は、利用者によって携帯される端末であり、例えば、スマートフォンまたはタブレットPC等である。第4通信部31は、無線通信92を介したコントローラ2の第3通信部25との無線通信を制御する。表示装置32は、例えば、スマートフォンの操作表示画面である。
【0039】
携帯端末3は、コントローラ2から、表示装置26において表示される表示内容を取得して、表示装置32に表示する。例えば、携帯端末3は、コントローラ2から輸液状態の情報を取得して表示させる。携帯端末3は利用者によって携帯されるため、例えば、利用者がコントローラから離れた位置にいる場合であっても、コントローラ2の監視をすることができる。携帯端末3は、例えば、アラームまたはバイブレーションの機能を有し、コントローラ2からの通知を取得した場合、アラーム等によって利用者に報知をするようにしてもよい。なお、
図1においては、携帯端末3は、コントローラ2と別体に構成される場合を例示したが、例えば、コントローラ2の機能の一部または全部を携帯端末3で実現するようにしてもよい。例えば、上述したコントローラ2の機能を携帯端末3のアプリケーションとして携帯端末3で動作させるようにしてもよい。例えば、動物業院内において無線LAN環境が構築されている場合、輸液部1と携帯端末3は、無線LANによって通信可能に接続されて、携帯端末3のアプリケーションがコントローラ2の機能を実現するようにしてもよい。
【0040】
なお、
図1は動物用輸液装置100が有する機能部をブロック図で示したものであり、それぞれの機能部は、ハードウェアによって構成される。ただし、動物用輸液装置100が有する機能部の一部はソフトウェアによって構成されるものであってもよい。すなわち、動物用輸液装置100のそれぞれの機能部は、ハードウェアまたはソフトウェアに限定されるものではない。
【0041】
次に、
図2を用いて、動物用輸液装置100の概要を説明する。
図2は、実施形態における動物用輸液装置100の概要の一例を示す図である。
【0042】
動物用輸液装置100において、輸液部1は個体4の首輪部分に取り付けられる。輸液部1は、コントローラ2と無線通信で接続される。輸液部1は、電線ケーブルまたは液体用のチューブを外部に接続していないため、個体4は、自由に移動することが可能となる。これにより、個体4の体をベルト等で固定したり、麻酔をかけて睡眠状態としたりする必要がなくなり、個体4の輸液によるストレスを軽減させることができる。
【0043】
次に、
図3を用いて、動物用輸液装置100の構成の他の一例を説明する。
図3は、実施形態における動物用輸液装置100の構成の他の一例を示すブロック図である。
【0044】
図3は、輸液部1(1-1)~輸液部6(1-6)の6台が、コントローラ2と無線通信91を介して接続される場合を示している。輸液部1(1-1)はPUMP01を有している。それぞれの輸液部(1-1~1-6)は、動物の個体情報と識別情報(ポンプ機体情報)を有している。個体情報とポンプ機体情報は、例えば、記憶部13に記憶される。
【0045】
個体情報には、例えば、動物の体に埋め込まれているICチップの識別番号、動物のカルテ番号、およびその他の情報が含まれる。動物のカルテ番号は、その動物病院におけるカルテの番号である。カルテ番号またはその他の情報は、UI部22から入力できるようにしてもよい。
【0046】
ポンプ機体情報には、例えば、製造番号、機器管理番号、およびその他の情報が含まれる。製造番号はポンプ11を識別するための情報である。機器管理番号は、ポンプ11を管理するための情報であり、例えば、製造ロット、型式、または年式等の情報である。
【0047】
コントローラ2は、輸液部1(1-1)~輸液部6(1-6)の6台それぞれにおける設定情報を記憶している。設定情報には、例えば、ポンプ11の識別情報、ポンプ11が取り付けられる(または取り付けられている)個体(動物)情報、ポンプ機体情報、および流量・予定量が含まれる。これらの設定情報は、UI部22を介して利用者が入力することが可能となる。コントローラ2は、それぞれの輸液部1における設定情報を1台のコントローラから入力可能にする。これにより、コントローラ2は、複数台のコントローラに対してそれぞれ入力作業を行う場合に比べて、作業者の入力作業の負荷を軽減することができ、輸液作業を効率化することができる。
【0048】
なお、
図3は、コントローラ2が6台分の輸液部1の設定情報を記憶する場合を説明したが、コントローラ2は、無線通信91で同時に接続できる台数以上の輸液部1の設定情報を記憶するようにしてもよい。例えば、コントローラ2が同時に接続できる輸液部1の台数が7台である場合、コントローラ2は7台以上の輸液部1の設定情報を記憶できるようにしてもよい。
【0049】
また、コントローラ2は、無線通信91においてペアリングされた輸液部1の設定情報を設定可能にしてもよい。例えば、コントローラ2は、ペアリングによって無線通信91が確立された輸液部1から個体情報またはポンプ機体情報の情報を取得し、取得された情報に基づき設定情報が入力できるようにしてもよい。これにより、ペアリングされておらず輸液に使用出来ない輸液部1に対する設定情報の入力を防止することが可能となる。
【0050】
次に、
図4を用いて、動物用輸液装置100における輸液状態の表示を説明する。
図4は、実施形態における動物用輸液装置100の表示画面の第1の例を示す図である。
【0051】
図4において、表示装置26には、無線通信91において接続されている「APP-PUMP01」の輸液状態261が表示されている。輸液状態261は、流量262、予定量263、および輸液量264の情報を含む。流量262および予定量263は、上述した設定情報により設定することができる。輸液量264は、ポンプ11において実際に輸液した液体の総量である。輸液量264は、例えば、輸液中において輸液部1から定期的に取得されて、輸液状態261に表示される。これにより利用者は、予定量263に対する輸液量を視認することができるので、輸液の進捗状況を容易に把握することが可能となる。
【0052】
また、輸液状態261は、通信マーク265を表示する。通信マーク265は、無線通信91による通信が確立していることを示す。
図4は、「APP-PUMP01」のみとの通信が確立されていることを示している。
図4は、6台分の輸液部1の輸液状態を表示することができることを示している。これにより利用者は、複数台の輸液部1における輸液の進捗状況を容易に把握することが可能となる。
【0053】
次に、
図5を用いて、動物用輸液装置100における設定情報の入力を説明する。
図5は、実施形態における動物用輸液装置100の表示画面の第2の例を示す図である。
図5は、表示装置26に1台分の輸液部1の輸液状態261を表示する。
図5は、例えば、
図4において1つの輸液部1の輸液状態261を選択したときの表示例である。
【0054】
図5において、輸液状態261は、流量262、予定量263、輸液量264および通信マーク265の情報を含む。また、輸液状態261は、アラート266、アラート267、電池残量268の情報を含む。また、輸液状態261は、輸液開始269、輸液停止270および設定271の操作部を含む。なお、流量262、予定量263、輸液量264および通信マーク265の情報は
図4と同様であるため説明を省略する。なお、流量262および予定量263は、それぞれの設定を入力するための操作部であってもよい。流量262および予定量263が操作部である場合の説明は後述する。
【0055】
アラート266は、輸液チューブの折れ等によって生じる、圧量異常を報知するための表示である。輸液には上述のように、シリコンチューブ等の可撓性のチューブが利用されるため、チューブの折れが発生する場合がある。チューブが折れると輸液量が低下してポンプ11の吐出側の圧力が上昇する。吐出側の圧力異常が発生した場合、ポンプ11は停止する。輸液状態261にアラート266を表示することにより、ポンプ11の吐出側の圧力異常を報知することにより、輸液異常を利用者に報知することができ、輸液状態の監視作業を効率化することができる。
【0056】
アラート267は、輸液内に気泡が混入したことを報知するための表示である。輸液内の気泡は、例えばチューブに取り付けられた気泡センサによって検出することができる。気泡が検出されるとポンプ11は停止して動物の体内に気泡が入ってしまうことを防止する。輸液状態261にアラート267を表示することにより、気泡の発生による輸液異常を利用者に報知することができ、輸液状態の監視作業を効率化することができる。
【0057】
電池残量268は、輸液部1の電池残量を報知するための表示である。輸液状態261に電池残量268を表示することにより、輸液部1の電池残量を利用者に報知することができ、輸液状態の監視作業を効率化することができる。
【0058】
輸液開始269、輸液停止270および設定271は、利用者が操作可能な操作部(ボタン)である。輸液開始269は、輸液部1における輸液を開始させるためのボタンである。輸液停止270は、輸液部1における輸液を停止させるためのボタンである。設定271は、動物用輸液装置100のシステム設定を行うためのボタンである。
【0059】
輸液状態261は、流量262、予定量263、輸液量264、通信マーク265、アラート266、アラート267または電池残量268等情報の表示、および、輸液開始269、輸液停止270および設定271の操作部を含むことにより、利用者が1台の輸液部1に対して設定情報を入力し、または輸液状態を監視する輸液作業を効率化させることができる。
【0060】
次に、
図6を用いて、流量の設定方法を説明する。
図6は、実施形態における動物用輸液装置100の表示画面の第3の例を示す図である。
【0061】
図6において、輸液状態261は、流量設定部272を有する。流量設定部272は、輸液の流量(流速)を設定するための設定部であり、利用者はテンキーにより流量を設定する。流量設定部272は、例えば、
図5の流量262を選択することにより、表示される。輸液状態261から流量を設定出来ることにより、利用者は、設定情報を入力する輸液作業を効率化させることができる。
【0062】
次に、
図7を用いて、気泡混入時の表示を説明する。
図7は、実施形態における動物用輸液装置100の表示画面の第4の例を示す図である。
【0063】
図7において、輸液状態261は、ポップアップ273を有する。ポップアップ273は、輸液する液体に気泡が混入したことが検知されてポンプ11が停止したことを利用者に報知する表示である。ポップアップ273は、利用者がポップアップ273の右上の×印によって閉じる操作を行うまで輸液状態261に表示される。輸液状態261は、ポップアップ273を表示することにより、利用者が輸液状態を監視する輸液作業を効率化させることができる。
【0064】
次に、
図8を用いて、履歴情報の表示を説明する。
図8は、実施形態における動物用輸液装置の表示画面の第5の例を示す図である。
【0065】
図8において、輸液状態261は、履歴情報274を有する。履歴情報274は、輸液部1における、輸液の履歴を示す情報である。履歴情報274は、例えば、記憶部13または記憶部23に記憶するようにしてもよい。履歴情報274は、日付、流量、予定量、輸液量、警告内容、およびバッテリ状態の情報を有する。利用者は履歴情報274の情報に基づき、輸液部1の交換、または追加の輸液等の対応をすることができる。履歴情報274は、履歴情報274を表示することにより、利用者が輸液状態を監視する輸液作業を効率化させることができる。
【0066】
次に、
図9を用いて、システム設定の内容を説明する。
図9は、実施形態における動物用輸液装置の表示画面の第6の例を示す図である。
【0067】
図9において、輸液状態261は、設定275を有する。設定275は、それぞれの設定項目を設定するための設定画面である。設定275は、言語、バックライト、ワイヤレス通信、気泡警報、圧力警報の設定項目を有する。言語は表示する言語の設定、バックライトはバックライトの明るさの設定、ワイヤレス通信は無線通信の通信方式の設定、さらに、気泡警報および圧力警報は警報を表示するか否かの設定をするための設定項目である。履歴情報274は、設定275を表示することにより、設定情報を入力する輸液作業を効率化させることができる。
【0068】
次に、
図10を用いて、無線通信の設定について説明する。
図10は、実施形態における動物用輸液装置100の表示画面の第7の例を示す図である。
【0069】
図10において、輸液状態261は、設定276を有する。設定276は、Bluetoothのペアリングを行い、または通信状態を表示するための設定画面である。設定276は、スレーブである輸液部1とのペアリング操作のための操作ボタン、および輸液部1の識別情報が表示される。輸液状態261は、設定276を表示することにより、無線通信の設定をする輸液作業を効率化させることができる。
【0070】
次に、
図11を用いて、動物用輸液装置100の動作を説明する。
図11は、実施形態における動物用輸液装置100の動作の一例を示すフローチャートである。以下に示すフローチャートにおける動作の実行主体は動物用輸液装置100であるものとして説明するが、それぞれの動作は、上述した動物用輸液装置100の各機能部において実行することができる。
【0071】
図11において、動物用輸液装置100は、UI部22において設定情報の設定が開始されたか否かを判断する(ステップS11)。設定が開始されていないと判断した場合(ステップS11:NO)、動物用輸液装置100は、ステップS11の処理を繰り返して設定情報の設定が開始されるのを待機する。
【0072】
一方、設定情報の設定が開始されたと判断した場合(ステップS11:YES)、動物用輸液装置100は、設定用の表示画面を利用者に提供する。設定用の表示画面は、例えば、
図6において説明した輸液状態261である。
【0073】
ステップS12の処理を実行した後、動物用輸液装置100は、設定が完了したか否かを判断する(ステップS13)。設定が完了していないと判断した場合(ステップS13:NO)、動物用輸液装置100は、ステップS13の処理を繰り返して設定情報の設定が完了するのを待機する。
【0074】
一方、設定情報の設定が完了したと判断した場合(ステップS11:YES)、動物用輸液装置100は、設定情報を記憶部23に記憶する(ステップS14)。
【0075】
ステップS14の処理を実行した後、動物用輸液装置100は、組合情報があるか否かを判断する(ステップS15)。組合情報とは、輸液対象の個体情報とポンプ11の識別情報との組合せを示す情報である。組合情報とは、予め記憶部23に記憶させておくことができる。組合情報があると判断した場合(ステップS15:YES)、動物用輸液装置100は、組合せが一致しているか否かを判断する(ステップS16)。組合せが一致しているか否かの判断は、例えば、予め設定されている組合情報と、UI部22から入力された組合情報とを比較することにより行うことができる。また、組合情報の一致は、読取部15において読み取られた個体情報とUI部22から入力された情報とを比較することにより行ってもよい。
【0076】
組合せが一致していないと判断した場合(ステップS16:NO)、動物用輸液装置100は、表示装置26にエラー表示を行い(ステップS17)、フローチャートに示す動作を終了する。ステップS17におけるエラー表示は、組合せが一致していないことを示す表示である。
【0077】
一方、組合せが一致していると判断した場合(ステップS16:YES)、または、組合情報がないと判断した場合(ステップS15:NO)、動物用輸液装置100は、制御情報をコントローラ2から輸液部1に対して提供させる(ステップS18)。
【0078】
ステップS18の処理を実行した後、動物用輸液装置100は、輸液部1において個体情報を確認するか否かを判断する(ステップS19)。ステップS19における判断は、輸液部1において実行される判断であり、コントローラ2から提供された制御情報に含まれる個体情報が正しいか否かを判断する。輸液部1において個体情報を確認するか否かは、UI部22において設定されるようにしてもよい。
【0079】
個体情報を確認すると判断した場合(ステップS19:YES)、動物用輸液装置100は、個体情報が一致しているか否かを判断する(ステップS20)。個体情報が一致していないと判断した場合(ステップS20:NO)、動物用輸液装置100は、エラーを報知し(ステップS21)、フローチャートに示す動作を終了する。ステップS21におけるエラー表示は、固体情報が一致していないことを示す表示である。
【0080】
一方、個体情報が一致していると判断した場合(ステップS20:YES)、または、個体情報を確認しないと判断した場合(ステップS19:NO)、動物用輸液装置100は、輸液を開始する(ステップS22)。輸液の開始は、輸液開始269の操作を待って実行されてもよい。
【0081】
ステップS22の処理を実行した後、動物用輸液装置100は、エラーが発生したか否かを判断する(ステップS23)。エラーとは、例えば、気泡の混入またはポンプ11の吐出圧力の異常等である。エラーが発生したと判断した場合(ステップS23:YES)、動物用輸液装置100は、エラーを報知し(ステップS21)、フローチャートに示す動作を終了する。
【0082】
一方、エラーが発生していないと判断した場合(ステップS23:NO)、動物用輸液装置100は、輸液状態を輸液部1からコントローラ2に対して報知させる(ステップS24)。輸液状態とは、例えば、輸液量等の情報である。
【0083】
ステップS24の処理を実行した後、動物用輸液装置100は、輸液が終了したか否かを判断する(ステップS25)。輸液が終了したか否かは、例えば、輸液された輸液量が設定情報において設定された輸液量に達したか否かで判断することができる。輸液が終了していないと判断した場合(ステップS25:NO)、動物用輸液装置100は、ステップS23の処理の実行し、ステップS23~ステップS25の処理を繰り返す。一方、輸液が終了したと判断した場合(ステップS25:YES)、動物用輸液装置100は、輸液が終了したことを報知して、フローチャートに示す動作を終了する。輸液終了の報知は、例えば、表示装置26に表示することにより行われる。
【0084】
なお、図示したフローチャートは、動物用輸液装置100の動作の一例を示したものであり、動物用輸液装置100における動作を限定するものではない。
【0085】
なお、本実施形態で説明した装置を構成する機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ(例えば、コントローラ2)が読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態の上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0086】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0087】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【0088】
例えば、本実施形態における動物用輸液装置は、動物病院等において犬または猫等の動物に適用されるものとして説明した。しかし、動物には人間も含めることができる。すなわち、本実施形態における「動物用」とは、犬または猫等の動物用に限定されるものではなく人間用(医療用)も含まれるものとする。
【符号の説明】
【0089】
1 輸液部
11 ポンプ
12 第1通信部
13 記憶部
14 第1制御部
15 読取部
2 コントローラ
21 第2通信部
22 UI部
23 記憶部
24 第2制御部
25 第3通信部
26 表示装置
261 輸液状態
262 流量
263 予定量
264 輸液量
265 通信マーク
266 アラート
267 アラート
268 電池残量
269 輸液開始
270 輸液停止
271 設定
272 流量設定部
273 ポップアップ
274 履歴情報
275 設定
276 設定
3 携帯端末
31 第4通信部
32 表示装置
4 個体