IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロート製薬株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043908
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】油中水型外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20220309BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20220309BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220309BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20220309BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20220309BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20220309BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/894
A61K8/37
A61K8/25
A61K8/44
A61K8/06
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149410
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸子
(72)【発明者】
【氏名】桝本 愛
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC022
4C083AC122
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC681
4C083AC682
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD022
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD241
4C083AD311
4C083AD312
4C083AD531
4C083AD532
4C083AD621
4C083AD641
4C083AD661
4C083AD662
4C083BB46
4C083CC05
4C083DD32
4C083EE01
(57)【要約】
【課題】本発明は、使用感と安定性に優れたヘパリン類似物質を含有する油中水型外用組成物を提供することを課題とする。本発明は、ヘパリン類似物質を含有する油中水型外用組成物において、使用性に優れ、保湿力を備えながらもべたつきや製剤のびの悪さが抑えられ、ヘパリン類似物質の優れた薬理効果と良好な使用感とを両立させた油中水型外用組成物を提供する。
【解決手段】
(A)ヘパリン類似物質;
(B)シリコーン系界面活性剤、ソルビタンエステル界面活性剤、ポリグリセリンエステル界面活性剤、及びグリセリンエステル界面活性剤、からなる群より選択される1種以上である、界面活性剤;及び
(C)粘土系増粘剤、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、及びアミノ酸系油ゲル化剤からなる群より選択される1種以上である、油溶性増粘剤を含有する油中水型外用組成物。

【選択図】なし



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ヘパリン類似物質;
(B)シリコーン系界面活性剤、ソルビタンエステル界面活性剤、ポリグリセリンエステル界面活性剤、及びグリセリンエステル界面活性剤、からなる群より選択される1種以上である、界面活性剤;及び
(C)粘土系増粘剤、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、及びアミノ酸系油ゲル化剤からなる群より選択される1種以上である、油溶性増粘剤を含有する油中水型外用組成物。
【請求項2】
前記(B)成分が、PEG-10ジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG/PPG-19/19ジメチコン、ポリシリコーン13、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ビスブチルジメチコンポリグリセリル-3、ビスブチルジメチコンポリグリセリル-3、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル‐2、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、縮合リシノレイン酸ポリグリセリル‐10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-10、縮合リシノレイン酸ポリグリセリル‐6、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-6、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-6、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、セスキステアリン酸グリセリル、及びトリステアリン酸グリセリルからなる群より選択される1種以上である、項1記載の油中水型外用組成物。
【請求項3】
前記(C)成分が、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム、パルミチン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン、ステアリン酸イヌリン、ジブチルラウロイルグルタミド、及びジブチルエチルヘキサノイルグルタミドからなる群より選択される1種以上である、請求項1または2に記載の油中水型外用組成物。
【請求項4】
さらに、(D)紫外線吸収剤を含有する、請求項1~3のいずれかに記載の油中水型外用組成物。
【請求項5】
さらに(E)成分として、グリチルリチン酸、その誘導体及びそれらの塩、アルコルビン酸、その誘導体及びそれらの塩、l-メントール、ニコチン酸アミド、トコフェロール又はその誘導体、レチノール又はその誘導体、アラントインからなる群より選択される1種以上の有効成分を含有する、請求項1~4のいずれかに記載の油中水型外用組成物。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘパリン類似物質を含有する油中水型外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘパリン類似物質は、ムコ多糖類の1つであり、優れた保湿作用、抗炎症作用、血行促進作用、乾皮症、アトピー性皮膚炎に対する効果などを有することから、多種多様な効能を持つ成分であり、これまでスキンケア領域において、医薬から化粧品分野まで広く用いられている。(例えば特許文献1及び2参照)。またヘパリン類似物質を含む皮膚外用剤においては、閉塞効果による高い保湿効果を狙って、油中水型の剤型が広く用いられている。
【0003】
ところが、油中水型組成物は高い保湿性や耐水性等の優れた特性を有している一方で、分離が生じやすい等の問題から十分な安定性を付与することが難しく、また、製剤の特性上使用できる成分も限られているため、使用感の細かな調整を行うことも容易ではなく、水中油型組成物と比較すると製剤的な課題が多い。例えば油中水型組成物において、製剤の安定性向上や粘性付与のために、固型油分が配合される場合があるが、配合量によっては、製剤ののびや肌なじみの悪さを感じることもあり(特許文献3参照)、特に広範囲への塗布に対する使用感の面で課題があった。
これに対し、油中水型乳化物の使用感を向上させるために特定の界面活性剤を組み合わせた美白組成物が知られているが(特許文献4参照)、ムコ多糖類であるヘパリン類似物質自体が塗布時にぬるつきを生じるなど、使用感に対する課題解決に至らず、ヘパリン類似物質を含有する油中水型外用組成物において、製剤ののびと有効性と良好な使用感を両立させることは依然困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-108957号公報
【特許文献2】特開2000-302664号公報
【特許文献3】特開平07-118306号公報
【特許文献4】特開2014-111584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、使用感と安定性に優れたヘパリン類似物質を含有する油中水型外用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、本課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明では、
(A)ヘパリン類似物質;
(B)特定の界面活性剤;及び
(C)油溶性増粘剤を含有する油中水型外用組成物とすることで、使用感と安定性を両立させながら、さらにヘパリン類似物質の持つ有効性も付与できる優れた油中水型外用組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記に掲げる油中水型外用組成物を提供する。
項1.
(A)ヘパリン類似物質;
(B)シリコーン系界面活性剤、ソルビタンエステル界面活性剤、ポリグリセリンエステル界面活性剤、及びグリセリンエステル界面活性剤、からなる群より選択される1種以上である、界面活性剤;及び
(C)粘土系増粘剤、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、及びアミノ酸系油ゲル化剤からなる群より選択される1種以上である、油溶性増粘剤を含有する油中水型外用組成物。
項2.
前記(B)成分が、PEG-10ジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG/PPG-19/19ジメチコン、ポリシリコーン13、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ビスブチルジメチコンポリグリセリル-3、ビスブチルジメチコンポリグリセリル-3、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル‐2、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、縮合リシノレイン酸ポリグリセリル‐10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-10、縮合リシノレイン酸ポリグリセリル‐6、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-6、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-6、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、セスキステアリン酸グリセリル、及びトリステアリン酸グリセリルからなる群より選択される1種以上である、項1記載の油中水型外用組成物。
項3.
前記(C)成分が、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム、パルミチン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン、ステアリン酸イヌリン、ジブチルラウロイルグルタミド、及びジブチルエチルヘキサノイルグルタミドからなる群より選択される1種以上である、項1または項2のいずれか1項記載の油中水型外用組成物。
項4.
さらに、(D)紫外線吸収剤を含有する、項1~3のいずれか1項記載の油中水型外用組成物。
項5.
さらに(E)成分として、グリチルリチン酸、その誘導体及びそれらの塩、アルコルビン酸、その誘導体及びそれらの塩、l-メントール、ニコチン酸アミド、トコフェロール又はその誘導体、レチノール又はその誘導体、アラントインからなる群より選択される1種以上の有効成分を含有する、項1~5のいずれか1項記載の油中水型外用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ヘパリン類似物質を含む油中水型外用組成物において、安定性および使用感に優れた油中水型外用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、含有量の単位「質量%」は、「g/100g」と同義である。
【0010】
<油中水型外用組成物>
本発明の油中水型外用組成物は、 (A)ヘパリン類似物質;(B)特定の界面活性剤及び(C)油溶性増粘剤を含有することを特徴とする。ヘパリン類似物質を含む油中水型外用組成物において、上記(B)、(C)成分を含有させることにより、析出や着色が抑えられ、ヘパリン類似物質の優れた薬理効果と良好な使用感とを両立させた製剤とすることができる。本発明の油中水型外用組成物は、上記(A)ヘパリン類似物質及び(B)特定の界面活性剤及び(C)油溶性増粘剤の必須成分に加えて、(D)紫外線吸収剤、(E)有効成分、防腐剤、紫外線散乱剤、粉体等の追加成分を含んでもよい。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、基剤・担体となる成分や、その他の任意成分を含んでいてもよい。以下に、上記(A)及び(B)、(C)の必須成分(D)~(E)の追加成分、防腐剤、紫外線散乱剤、粉体、さらに基剤・担体成分、その他の任意成分について詳細に説明する。なお、各成分として具体的に例示されている化合物が重複している場合には、いずれかの成分として含まれていればよい。
【0011】
[(A)ヘパリン類似物質]
本発明の油中水型外用組成物に含まれる ヘパリン類似物質は、コンドロイチン多硫酸等の多硫酸化ムコ多糖の総称を意味し、ムコ多糖を構成する単糖1分子当たり平均0.5~5分子、好ましくは平均0.6~3分子の硫酸基を有するのが好ましい。より具体的には、ヘパリン類似物質は、ヘパリン、コンドロイチンポリ硫酸と呼ばれるコンドロイチン硫酸Dやコンドロイチン硫酸E等を含有する。
【0012】
ヘパリン類似物質は、ムコ多糖を硫酸化することにより得ることもできるし、ウシ、ブタ等の動物の気管支を含む内臓より水性担体を用いて抽出・精製をしたり、その後必要に応じて硫酸化することによっても得ることもできる。このようなヘパリン類似物質は、医薬化粧品原料として開発されているため、このような市販品を利用することもできる。
【0013】
本発明の油中水型外用組成物において、ヘパリン類似物質としては、日本薬局方外医薬品規格に収戴されているものが好適に使用される。
【0014】
本発明の油中水型外用組成物において、組成物全量に対する(A)成分の含有量は、他の成分とのバランスによって適宜設定される。(A)成分の含有量は、組成物全量に対して、保湿作用、抗炎症作用、血行促進作用、乾皮症、アトピー性皮膚炎に対する効果等の有効性を十分に付与する観点から、0.005質量%以上であり、好ましくは、0.01質量%以上、より好ましくは、0.05質量%以上であり、さらに好ましくは、0.01質量%以上、さらにより好ましくは0.1質量%以上とすることもできる。また、(A)成分の含有量は、組成物全量に対して、好ましくは、5質量%以下、より好ましくは、3質量%以下、さらに好ましくは、1質量%以下、さらにより好ましくは0.5質量%以下である。(A)成分の含有量は、組成物全量に対して、好ましくは0.005~5質量%、より好ましくは0.01~3質量%、更に好ましくは、0.05~1質量%、更により好ましくは0.1~0.5質量%である。
【0015】
[(B)シリコーン系界面活性剤、ソルビタンエステル界面活性剤、ポリグリセリンエステル界面活性剤、及びグリセリンエステル界面活性剤からなる群より選択される1種以上である、界面活性剤]
本発明の油中水型外用組成物に含まれる界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、ソルビタンエステル界面活性剤、ポリグリセリンエステル界面活性剤、及びグリセリンエステル界面活性剤からなる群より選択される1種以上が挙げられる。限定はされないが、このような界面活性剤のHLB値は、好ましくは、15以下、より好ましくは、10以下、さらに好ましくは、9以下、さらにより好ましくは、8以下、最も好ましくは、2~6の界面活性剤であり得る。
ここで、本発明におけるHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)とは、親水性-親油性のバランスを示す指標であり、小田・寺村らによる下記(式1)で計算されるものが例示できる。
HLB=(Σ無機性値/Σ有機性)×10・・・(式1)
ここで、Σ無機性値/Σ有機性は、IOB(Inorganic-Organicbalance)と呼ばれ、各種原子及び官能基毎に設定された「無機性値」、「有機性値」に基づいて、界面活性剤等の有機化合物を構成する原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することにより算出することができる(甲田善生著、「有機概念図-基礎と応用-」、11~17頁、三共出版、1984年発行参照)。
【0016】
(シリコーン系界面活性剤)
本発明の油中水型外用組成物に含まれるシリコーン系界面活性剤としては、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において、例えば皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。
【0017】
シリコーン系界面活性剤は、好ましくは、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、ポリエーテル・アルキル共変性シリコーン系界面活性剤、ポリグリセリン変性シリコーン系界面活性剤、又はポリグリセリン・アルキル共変性シリコーン系界面活性剤が例示される。詳細には、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体である、PEG-10ジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG/PPG-19/19ジメチコン、ポリシリコーン13の他、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤;メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のポリエーテル・アルキル共変性シリコーン系界面活性剤;ビスブチルジメチコンポリグリセリル-3、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン等のポリグリセリン変性シリコーン系界面活性剤;ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のポリグリセリン・アルキル共変性シリコーン系界面活性剤が挙げられる。
【0018】
本発明においては、限定はされないが、PEG-10ジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG/PPG-19/19ジメチコン、ポリシリコーン13、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ビスブチルジメチコンポリグリセリル-3、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン、又はラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンが好ましく、このうち、PEG-10ジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG/PPG-19/19ジメチコン、ポリシリコーン13の他、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、又は、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンがより好ましい。これらの中でも、安定性等の観点から、PEG-10ジメチコン、PEG/PPG-19/19ジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、又はラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンがさらにより好ましく、特にPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンが特に好ましい。
【0019】
シリコーン系界面活性剤は、市販されている製品を用いるか、又は合成して用いることができる。
【0020】
市販されている製品としては、限定はされないが、KF-6017、(HLB4.5、信越化学工業社)、KF-6019(HLB4.5、信越化学工業社)、KF-6015(HLB4.5、信越化学工業社)、SH3772M(HLB6、東レ・ダウコ-ニング社)SH3775M(HLB5、東レ・ダウコ-ニング社)BY-11-030(HLB6、東レ・ダウコ-ニング社)、KF-6004(HLB9、信越化学工業社)、KF-6011(HLB14.5、信越化学工業社)、FZ-2222、FZ-2233、KF-6028、(HLB4、信越化学工業社)、ABIL EM90(ゴ-ルドシュミット社製)、KF-6048(HLB3.5、信越化学工業社)、KF-6038(HLB4.5、信越化学工業社)、KF-6104、KF6106(HLB低、信越化学工業社)、KF-6100(HLB中、信越化学工業社)、KF-6105(HLB低、信越化学工業社)等が挙げられる。
【0021】
本発明において、シリコーン系界面活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0022】
(エステル系界面活性剤)
本発明の油中水型外用組成物に含まれ得るエステル系界面活性剤としては、ソルビタンエステル界面活性剤、ポリグリセリンエステル界面活性剤、グリセリンエステル界面活性剤が好適に使用できる。これらのエステル系界面活性剤は、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において、例えば皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。
【0023】
本発明においては、限定はされないが、ソルビタンエステル界面活性剤として、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタンが例示でき、またポリグリセリンエステル界面活性剤として、トリイソステアリン酸ポリグリセリル‐2、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル‐2、縮合リシノレイン酸ポリグリセリル‐10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル‐10、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル‐10、縮合リシノレイン酸ポリグリセリル‐6、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-6、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-6、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-6が例示でき、またグリセリンエステル界面活性剤として、オレイン酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、セスキステアリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリルが例示できる。
このうち、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ポリグリセリル‐2、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル‐2、縮合リシノレイン酸ポリグリセリル‐10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル‐10、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル‐10、縮合リシノレイン酸ポリグリセリル‐6、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-6、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-6、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、セスキステアリン酸グリセリル、又はトリステアリン酸グリセリルが、好ましい。これらの中でも、安定性の観点から、ジイソステアリン酸ポリグリセリル‐2、縮合リシノレイン酸ポリグリセリル‐10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル‐10、又はペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル‐10がより好ましい。
【0024】
エステル系界面活性剤は、市販されている製品を用いるか、又は合成して用いることができる。
【0025】
市販されている製品としては、限定はされないが、NIKKOL SO-10V、NIKKOL SO-15V、NIKKOL SO-30V、NIKKOL SI-15RV、NIKKOL SI-10RV、NIKKOL SS-10MV、NIKKOL SS-15V、NIKKOL DGTIS、NIKKOL DGMIS、NIKKOL デカグリン-PR20、NIKKOL デカグリン-5ISV、NIKKOL デカグリン-5OV、NIKKOL デカグリン‐5SV、NIKKOL デカグリン‐5HS、NIKKOL MGS-BMV、NIKKOL MGS-AMV、NIKKOL MGIS、NIKKOL MGO(以上、日光ケミカルズ社製);EMALEX DISG-2、EMALEX DISG-2EX(以上、日本エマルジョン株式会社)等が挙げられる。
【0026】
このような(B)成分は、(A)成分のヘパリン類似物質を含有する製剤に配合した場合にも、製剤の安定性と使用感との両立に寄与し得る。
【0027】
本発明の油中水型外用組成物において、油中水型外用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、好ましくは、0.1質量%以上であり、より好ましくは、0.5質量%以上、さらに好ましくは、1質量%以上、さらにより好ましくは、1.5質量%以上、最も好ましくは、2質量%以上である。油中水型外用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、好ましくは、20質量%以下であり、より好ましくは、10質量%以下であり、さらに好ましくは、8質量%以下であり、さらにより好ましくは、5質量%以下であり、最も好ましくは、4質量%以下である。(B)成分の総含有量は、上記範囲であれば、界面活性剤として、十分に機能し、良好な安定性が得られ得る。また、べたつき等の使用感の悪化が緩和される。
【0028】
油中水型外用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、好ましくは、0.1~20質量%、より好ましくは0.5~10質量%、さらに好ましくは1~8質量%、さらにより好ましくは、1.5~5質量%、最も好ましくは、2~4質量%である。
【0029】
本発明の油中水型外用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の総含有量の比率は特に限定されないが、(A)成分の総含有量1質量部に対して、好ましくは0.02~4000質量部、より好ましくは0.17~1000質量部、さらに好ましくは1~160質量部、さらにより好ましくは3~50質量部、最も好ましくは4~40質量部である。
【0030】
本発明の油中水型外用組成物において用いられる(B)成分は、シリコーン系界面活性剤、ソルビタンエステル界面活性剤、ポリグリセリンエステル界面活性剤、グリセリンエステル界面活性剤より選択される1種以上の界面活性剤であることが好ましく、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-10ジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸グリセリル、セスキステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル‐2、ペンタステアリン酸ポリグリセリル‐10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル‐10、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル‐10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル‐10からなる群より選択される1種以上の界面活性剤であることがより好ましく、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-10ジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ジイソステアリン酸ポリグリセリル‐2、ペンタステアリン酸ポリグリセリル‐10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル‐10、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル‐10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル‐10からなる群より選択される1種以上の界面活性剤であることがさらに好ましく、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-10ジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、及びジイソステアリン酸ポリグリセリル‐2からなる群より選択される1種以上の界面活性剤であることがさらに好ましい。
【0031】
[(C)粘土系増粘剤、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、及びアミノ酸系油ゲル化剤からなる群より選択される1種以上である、油溶性増粘剤]
本発明の油中水型外用組成物に含まれる油溶性増粘剤としては、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において、例えば皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。
【0032】
本発明の油中水型外用組成物に含まれる油溶性増粘剤としては、粘土系増粘剤、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、及びアミノ酸系油ゲル化剤からなる群より選択される1種以上が挙げられる。粘土系増粘剤、デキストリン脂肪酸エステル、及びイヌリン脂肪酸エステルからなる群より選択される1種以上が好ましい。
【0033】
(粘土系増粘剤)
本明細書において、「粘土系増粘剤」は、有機変性粘土鉱物を意味し、第4級アンモニウム塩型カチオン変性粘土鉱物などが例示される。具体的にはジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が例示される。
【0034】
本発明において、限定はされないが、このような有機変性粘土鉱物は、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、又はベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライトが好ましく、このうち、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、又はベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライトがより好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライトがさらにより好ましい。
【0035】
粘土系増粘剤は、市販されている製品を用いるか、又は合成して用いることができる。
【0036】
市販されている製品としては、限定はされないが、ベントン38V、ベントン38VCG(エレメンティスジャパン株式会社製)、ベントン27(エレメンティスジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0037】
(デキストリン脂肪酸エステル)
本明細書において、デキストリン脂肪酸エステルとしては、パルミチン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン等のデキストリン誘導体が例示される。
【0038】
本発明において、限定はされないが、このようなデキストリン脂肪酸エステルは、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン等のデキストリン誘導体が好ましく、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリンがより好ましい。
【0039】
デキストリン脂肪酸エステルは、市販されている製品を用いるか、又は合成して用いることができる。
【0040】
市販されている製品としては、限定はされないが、レオパ-ルKL2(千葉製粉社製)、レオパ-ルTL2(千葉製粉社製)、レオパ-ルMKL2(千葉製粉社製)、レオパ-ルTT2(千葉製粉社製)、レオパ-ルWX(千葉製粉社製)、レオパ-ルISK2(千葉製粉社製)、レオパ-ルISL2(千葉製粉社製)等が挙げられる。
【0041】
(イヌリン脂肪酸エステル)
本発明において、限定はされないが、イヌリン脂肪酸エステルとして、ステアリン酸イヌリン、パルミチン酸イヌリン、ミリスチン酸イヌリンが挙げられ、特にステアリン酸イヌリンが好ましい。
【0042】
脂肪酸イヌリンは、市販されている製品を用いるか、又は合成して用いることができる。
【0043】
市販されている製品としては、限定はされないが、レオパ-ルISK2(千葉製粉社製)、レオパ-ルISL2(千葉製粉社製)等が挙げられる。
【0044】
(アミノ酸系油ゲル化剤)
本発明において、限定はされないが、アミノ酸系油ゲル化剤としては、ジブチルラウロイルグルタミド又はジブチルエチルヘキサノイルグルタミド等を例示することができる。
【0045】
アミノ酸系油ゲル化剤は、市販されている製品を用いるか、又は合成して用いることができる。
【0046】
市販されている製品としては、限定はされないが、GB-21(味の素社製)、EB-21(味の素社製)を挙げることができる。
【0047】
このような(C)成分は、本発明の油中水型組成物において、製剤の安定性と使用感との両立に寄与し得る。
【0048】
本発明の油溶性増粘剤は、粘土系増粘剤、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、及びアミノ酸系油ゲル化剤からなる群より選択される1種以上である油溶性増粘剤であるが、特にベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ステアリン酸イヌリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ジブチルラウロイルグルタミド、及びジブチルエチルヘキサノイルグルタミドからなる群より選択される1種以上の油溶性増粘剤を含有することが好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ステアリン酸イヌリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、パルミチン酸デキストリン、及びミリスチン酸デキストリンからなる群より選択される1種以上の油溶性増粘剤を含有することがより好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ステアリン酸イヌリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、及びパルミチン酸デキストリンからなる群より選択される1種以上の油溶性増粘剤を含有することがさらにより好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン及びステアリン酸イヌリンからなる群より選択される1種以上の油溶性増粘剤を含有することが特に好ましい。
【0049】
本発明の油中水型外用組成物において、油中水型外用組成物の全量に対する(C)成分の総含有量は用いる(C)成分の種類や組み合わせによって適宜調整すればよいが、ベタつきが抑えられる点から、5質量%以下が好ましく、より好ましくは、3質量%以下、さらにより好ましくは、2質量%以下である。油中水型外用組成物の全量に対する(C)成分の総含有量は、より良好な安定性を付与できる点から、好ましくは、0.1質量%以上であり、より好ましくは、0.2質量%以上、さらにより好ましくは、0.5質量%以上である。
【0050】
油中水型外用組成物の全量に対する(C)成分の総含有量は、より良好な熱安定性を付与できる観点から、好ましくは、0.5~5質量%、より好ましくは0.5~3質量%、さらに好ましくは0.5~2質量%である。
【0051】
本発明の油中水型外用組成物において、(A)成分に対する(C)成分の含有量の比率は特に限定されないが、(A)成分の総含有量1質量部に対して、好ましくは0.02~1000質量部、より好ましくは0.07~3000質量部、さらに好ましくは0.5~40質量部、さらにより好ましくは1~20質量部である。
【0052】
[紫外線吸収剤]
本発明の油中水型外用組成物は、使用感の向上、安定性等の観点から、本発明の効果を妨げない限り、上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分、の他に、(D)紫外線吸収剤を含んでいてもよい。本発明において用いられる紫外線吸収剤としては、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において、例えば皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。紫外線吸収剤は、限定はされないが、好ましくは、サリチル酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、安息香酸エステル誘導体紫外線吸収剤、トリアジン誘導体紫外線吸収剤、ベンザルマロナート誘導体紫外線吸収剤、オクトクリレン系紫外線吸収剤、イミダゾ-ルスルホン酸誘導体紫外線吸収
剤、ベンゾフェノン誘導体紫外線吸収剤等であり得る。
【0053】
本発明において、限定はされないが、このような紫外線吸収剤としては、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾ-ル-2イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ジメチコジエチルベンザルマロネート、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル、2-フェニルベンゾイミダゾ-ル-5-スルホン酸が好ましく、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、2-フェニルベンゾイミダゾ-ル-5-スルホン酸がより好ましく、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジンがさらにより好ましい。
【0054】
紫外線吸収剤は、市販されている製品を用いるか、又は合成して用いることができる。
【0055】
市販されている製品としては、限定はされないが、Parsol EHS (DSMニュートリションジャパン社製)、ESCALOL 587(アシュランドジャパン社製)、EusolexOS(Merk社製)、Parsol HMS (DSMニュートリションジャパン社製)、Uvinul MC80(BASF社製)、Parsol MCX(DSMニュートリションジャパン社製)、Parsol 1789(DSMニュートリションジャパン社製)、ユビナールA Plus Granular、ソフトシェードDH、Tinosorb M(BASF社製)、Milestab 360(MPI社製)、Mixxim BB/100、Tinosorb S(BASF社製)、Uvasorb HEB、ユビナール T150(BASF社製)、Heliosun OTZ(O’Laughlin Industries 社製)、Parsol SLX(DSMニュートリションジャパン社製)、Parsol 340(DSMニュートリションジャパン社製)、エスカロール597(アシュランドジャパン社製)、Parsol HS(DSMニュートリションジャパン社製)、Eusolex232(Merk社製)、NeoHeliopanAP(ハーマン&レイマー社製)、ユビナールM40、エスカロール567(アシュランドジャパン社製)、ユビナールMS40(BASF社製)、EESORB107(シプロ化成社製)、SEESORB100(シプロ化成社製)、SEESORB106(シプロ化成社製)を挙げることができる
【0056】
油中水型外用組成物の全量に対する紫外線吸収剤の総含有量は、好ましくは1~20質量%、より好ましくは3~15質量%、さらにより好ましくは5~10質量%、特により好ましくは6~10質量%、最も好ましくは7~10質量%である。
【0057】
[有効成分]
(E)有効成分とは、グリチルリチン酸、その誘導体及びそれらの塩、アスコルビン酸、その誘導体及びそれらの塩、ニコチン酸アミド、l-メントール、トコフェロール又はその誘導体、レチノール又はその誘導体、トラネキサム酸、アラントインからなる群より選択される1種以上の成分である。からなる群より選択される1種以上の成分である。
【0058】
上記「塩」は、薬学的に許容される塩であって、限定はされないが、例えば、有機塩基との塩(例えば、第3級アミン塩、アンモニウム塩など)、又は無機塩基との塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、ジカリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩などのアルカリ金属塩など)などが挙げられる。中でも、モノアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ジカリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩が好ましく、モノアンモニウム塩、ナトリウム塩、ジカリウム塩、マグネシウム塩がより好ましく、ジカリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩がさらに好ましい。
【0059】
(E)有効成分 としては、例えば、例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、l-メントール、アラントイン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム、2-O-エチルアスコルビン酸、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸-2-グルコシド、イソステアリルアスコルビルリン酸2ナトリウム、パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム、グリセリルアスコルビン酸、ビスグリセリルアスコルビン酸、ヘキシル3-グリセリルアスコルビン酸、3-グリセリルアスコルビン酸、ミリスチル3-グリセリルアスコルビン酸、3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸カリウム、マレイン酸アスコルビルトコフェリル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、ニコチン酸アミド、αトコフェロール、βトコフェロール、δトコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウム、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチノイン酸トコフェリル、トラネキサム酸が好ましく、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、l-メントール、アラントイン、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、2-O-エチルアスコルビン酸、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸-2-グルコシド、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、ニコチン酸アミド、αトコフェロール、βトコフェロール、δトコフェロール、酢酸トコフェロール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、トラネキサム酸がより好ましく、グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、l-メントール、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸-2-グルコシド、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、ニコチン酸アミド、δトコフェロール、酢酸トコフェロール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、トラネキサム酸がさらに好ましく、グリチルリチン酸ジカリウム、l-メントール、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸-2-グルコシド、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、ニコチン酸アミド、δトコフェロール、酢酸トコフェロール、トラネキサム酸が特に好ましい。
【0060】
本発明の油中水型外用組成物における(E)有効成分の含有量は、組成物の全量に対して、0.001質量%~10質量%であり、0.01質量%~8質量%であることが好ましく、0.05質量%~5質量%であることがより好ましく、0.1質量%~5質量%であることがさらに好ましい。本発明の油中水型外用組成物は、(E)有効成分の含有量を上記範囲とすることで、油中水型外用組成物において、(A)ヘパリン類似物質がもつ様々な有効性に、さらなる効果を付与することができる。
【0061】
[防腐剤]
本発明の油中水型外用組成物に防腐力を付加する目的で、防腐剤として、パラベン、アルカンジオール、カプリルヒドロキサム酸、エチルヘキシルグリセリン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、ソルビン酸、ソルビン酸塩、及びクロロブタノールからなる群より選択される1種以上を含んでもよい。
【0062】
防腐剤におけるアルカンジオールとしては、本発明の効果を顕著に奏する観点から、炭素数が3、又は5~10であることが好ましく、3、又は5~8であることがより好ましく、3、又は5~6であることがさらに好ましい。例えば、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオールが好ましく、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールがより好ましく、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオールがさらに好ましく、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオールがさらにより好ましく、1,2-ペンタンジオールが特に好ましい。
【0063】
防腐剤としては、本発明の効果を顕著に奏する観点から、パラベン、炭素数5~10(好ましくは5~8、より好ましくは5~6)のアルカンジオール、プロパンジオール、カプリルヒドロキサム酸、エチルヘキシルグリセリン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、ソルビン酸カリウム、及びクロロブタノールからなる群より選択される1種以上であることが好ましく、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,3-プロパンジオール、カプリルヒドロキサム酸、エチルヘキシルグリセリン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、ソルビン酸カリウム、クロロブタノールからなる群より選択される1種以上がより好ましく、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,3-プロパンジオール、カプリルヒドロキサム酸、エチルヘキシルグリセリン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、ソルビン酸カリウム、クロロブタノールからなる群より選択される1種以上がさらに好ましく、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,3-プロパンジオール、カプリルヒドロキサム酸、ソルビン酸カリウム、クロロブタノールがさらにより好ましく、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-プロパンジオール、カプリルヒドロキサム酸、ソルビン酸カリウムが特に好ましい。
【0064】
防腐剤としては、市販品を使用してもよく、特に限定されないが、例えばZemea Select Propanediol、HYDROLITE-5、HYDROLITE-5 Green(以上、シムライズ社製)、KMO-6(大阪有機化学工業製)、マイクロケア Emollient PTGJ、マイクロケアEmollient HXD(以上、THOR社製)、ジオールPD、ジオールPD-V(以上、高級アルコール工業社製)、Zeastat、Spectrastat E、G(以上、INOLEX社製)、GLYCASIL、GLYCASIL2000、GLYCASIL L、GLYCASIL S(以上、Lonza社製)、クロレトン(積水メディカル社製)等が挙げられる。
【0065】
本発明の油中水型外用組成物における防腐剤の含有量は、防腐剤がアルカンジオールの場合、組成物の全量に対して、通常、0.001質量%~20質量%であり、0.01質量%~15質量%であることが好ましく、0.05質量%~10質量%であることがより好ましく、0.1質量%~5質量%であることがさらに好ましく、0.5質量%~3質量%であることが特に好ましい。また、本発明の油中水型外用組成物における防腐剤の含有量は、防腐剤がアルカンジオール以外である場合、組成物の全量に対して、0.001質量%~10質量%であり、0.005質量%~5質量%であることが好ましく、0.01質量%~3質量%であることがより好ましく、0.05質量%~3質量%であることがさらに好ましく、0.05質量%~1質量%であることが特に好ましい。本発明の油中水型外用組成物中の防腐剤の含有量を上記範囲とすることで、ヘパリン類似物質の安定性を効果的に向上させるという発明の効果を損なうことなく、組成物に防腐効果を付与することができる。
【0066】
(粉体)
本発明の油中水型外用組成物は、使用感の向上、安定性等の観点から、本発明の効果を妨げない限り、さらに有機粉体、無機粉体などの粉体を含んでいてもよい。具体的には、トウモロコシデンプン、コメデンプン、タピオカデンプン、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、シリコネート変性デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、ポリウレタン、ナイロン末、ポリスチレン系樹脂、メチルシロキサン網状重合体、ポリメタクリル酸メチル系樹脂、メラミン樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース、シリコーン樹脂などが挙げられる。例えば、トウモロコシデンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー、ナイロン末、メチルシロキサン網状重合体、メタクリル酸メチルクロスポリマー、ポリメタクリル酸メチル、シリカ(無水ケイ酸・含水二酸化ケイ素)、タルク、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、シリコーン表面処理シリカ、シリコーン表面処理タルク、シリコーン樹脂が好ましい。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。また、粉体の形状としては、特に制限されないが、球状、板状、粒状、針状などが挙げられる。
【0067】
(紫外線散乱剤)
本発明の油中水型外用組成物は、使用感の向上、安定性等の観点から、本発明の効果を妨げない限り、さらに紫外線防御剤を含んでいてもよい。具体的には、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明において、限定はされないが、紫外線防御剤として、好ましくは、微粒子酸化チタン、又は微粒子酸化亜鉛などが挙げられる。これらの微粒子酸化チタン、又は微粒子酸化亜鉛などの微粒子金属は、表面処理がなされていても良い。表面処理剤の種類としては、両親媒性成分、シリコーン成分、シラン化合物、脂肪酸成分、アルキルチタネート(イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等)などが挙げられるが、特にこれらに限定されず、これらの表面処理剤は1種又は2種以上用いてもよい。また、これらの紫外線防御剤は、別の成分に複合化、担持、カプセル化されていてもよく、それらの組み合わせは特に限定されない。
【0068】
油中水型外用組成物の全量に対する紫外線防御剤の総含有量は、好ましくは1~10質量%、さらに好ましくは3~10質量%である。この範囲で配合することで、使用感と安定性を両立させつつ、紫外線防御効果を上げることも可能である。
【0069】
(固形油分)
本発明の油中水型外用組成物は、使用感の向上、安定性等の観点から、本発明の効果を妨げない限り、さらに固形油分を含んでいてもよい。本発明において、固形油分とは融点が45℃以上の成分を示す。具体的には、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレン末のような炭化水素;キャンデリラロウ、コメヌカロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ミツロウのようなロウ類;セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、コレステロール、フィトステロールのような高級アルコール類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸のような高級脂肪酸類などが挙げられるが、これらに限定されず、化粧品類、医薬品類等の皮膚外用剤に配合される公知の成分が使用できる。なお、これらの固形油分からは、上述の成分((A)~(E)成分、紫外線吸収剤、防腐剤、紫外線散乱剤、粉体)に含まれる成分は除くものとする。油中水型外用組成物の全量に対する固形油分の総含有量は、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらにより好ましくは3質量%以下、最も好ましくは1質量%以下である。この範囲で配合することで、良好な使用感と安定性を両立させることが可能である。
【0070】
(基剤又は担体)
本発明の油中水型外用組成物は、その必須成分及び上記で説明した成分等を、医薬品、医薬部外品、化粧品等に通常使用される基剤又は担体、及び必要に応じて添加剤と共に、常法に従い混合して乳化を行い、各種の用途に応じた製剤形態の組成物とすることができる。
【0071】
本発明の油中水型外用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品、医薬品、医薬部外品等に添加される公知の成分、例えば、血行促進剤、収斂剤、紫外線散乱剤、界面活性剤、安定化剤、抗酸化成分、着色剤、パール光沢付与剤、分散剤、キレート剤、pH調整剤、保存剤、増粘剤、刺激低減剤、抗炎症性成分、殺菌消毒性成分(抗菌性成分)、角質軟化性成分、温感成分、発毛促進性成分、保湿成分、抗シワ剤、抗糖化成分、細胞賦活化成分、美白成分等の任意成分を添加することができる。これらの添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。なお、これらの任意成分からは、上述の(A)~(E)成分に含まれる成分は除くものとする。
【0072】
本発明の油中水型外用組成物の調製方法は、特に制限されず、油中水型外用組成物を調製するのに必要な上述の各種成分を適宜選択、配合して混合し、常法により調製することができる。また、本発明の油中水型外用組成物の適用量や用法は特に制限されず、通常、1日あたり1回~数回、適量を、患部を含む領域に塗布して用いることができる。
【0073】
(製剤形態)
本発明の油中水型外用組成物の形態は、それぞれの医薬品、医薬部外品、化粧品等として適した製剤形態であれば特に限定されないが、例えば、液体状、流動状、又は半固形状とすることができる。また製剤形態としては、例えば、液剤、乳剤、クリーム剤、乳液、軟膏剤、リニメント剤、ローション剤、不織布に薬液を含浸させたシート剤、ミスト剤、エアゾール剤、スティック等が挙げられる。具体的には、例えば、化粧水、乳液、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料、パック、マスク、ハンドクリーム、オールインワン製剤及びボディークリームのような基礎化粧料;並びにBBクリーム、ファンデ-ション、化粧下地等のフェイスメイクアップ用化粧料、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップライナー、リップ美容液等の口唇化粧料などが挙げられる。これらの中でも皮膚用の油中水型外用組成物が特に好ましい。
【0074】
(塗布部位)
本発明の油中水型外用組成物は、特に制限されないが、スキンケア用途での顔やボディへの使用に加えて、汗をかきやすい部位、衣服との擦れ、床ずれなどがアトピー等の症状部位、乾燥あるいはバリア機能が低下したような部位などへの使用が考えられる。頭皮、顔、首元、胸元(バストトップを含む)、背中、腕、肘(内側・外側)、手、爪周り、腋窩部、腹部、外陰部、臀部、デリケートゾーンや肛門部、脚、指、足先及び足裏などそれぞれの症状に合わせて使用することができる。
【0075】
(用途)
本発明の油中水型外用組成物は、例えば、普通肌用のみでなく、ベビー用、乳幼児用、子供用、高齢者用、介護用、肌の弱い方用、敏感肌用、過敏肌用、乾燥肌用、ゆらぎ肌用、トラブル肌用、一時的な敏感肌の方用、アトピー肌用、あせもやかぶれ肌用等として使用することができる。
【0076】
(容器)
本発明の油中水型外用組成物は、使用目的及び用途に応じ、適宜選択した形状、材質の容器に収容し、使用することができる。具体的な容器としては、例えば、スプレータイプ、ボトルタイプ、チューブタイプ、ジャータイプ、スポイドタイプ、ディスペンサ-タイプ、スティックタイプ、パウチ袋、及びチアパックなどを例示できる。
また、容器の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE等)、ABS樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリスチレン、ガラス、及び金属(アルミ等)などを例示できる。また、これらの材料は、強度、柔軟性、耐候性、又は成分の安定性等を考慮し、各種コーテング処理を行ったり、これらの材料を例えば混合するなどして組み合わせたり、積層したりして、容器材料として用いることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE等)、エチレンビニルアルコール樹脂、金属(アルミ等)を用いることが好ましい。
【0077】
(その他)
本発明の油中水型外用組成物はまた、安定性に優れる。ここで、安定性に優れるとは、限定はされないが、例えば光照射条件下、高温下、あるいは低温下においても安定性が担保されていることをいう。具体的には、少なくとも油中水型外用組成物を保存した場合にも、分離、着色等が抑制されることなどを指す。
【実施例0078】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0079】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。下記の表1及び表2に記載の処方に従い、常法にて、実施例及び比較例の油中水型外用組成物を調製した。各表中の数値の単位は、特に断りがない限り質量(%)である。
【0080】
[熱安定性試験]
表1及び表2に記載の各実施例および比較例の組成物を30mLガラス瓶に充填し、50℃の恒温槽に2週間、または70℃の恒温槽に3日間保管した。熱安定性試験後に十分に室温に戻した後の試験製剤について、下記の評価基準(性状、着色)に従って、各実施例および比較例の組成物が長期安定性(性状、着色)を有しているかどうかを判定した。
【0081】
[光(UV)安定性試験]
表1及び表2に記載の各実施例および比較例の組成物を30mLガラス瓶に充填し、35℃において、サンテストXLS+(東洋精機社製、1700W キセノン空冷ランプ)を用いて、)から発生する 紫外光を照度765W/m2で12時間照射した。試験後に十分に室温に戻した後の試験製剤について、下記の評価基準(性状、着色)に従って、各実施例および比較例の組成物が長期安定性(性状、着色)を有しているかどうかを判定した。
【0082】
(安定性(性状))
製造後の試験製剤および上記熱および光安定性試験製剤について、目視による安定性(性状)評価を行い、各実施例および比較例の組成物が長期安定性(性状)を有しているかどうかを判定した。評価、判定結果を同じ表1及び表2にそれぞれ示す。
<性状(析出)の評価基準>
各試験製剤を1gガラスプレート上に塗り伸ばした後、目視にて析出の有無を確認した。
× 全体に多くの析出物が見られた。
△ 部分的に析出は見られた。
○ 全体的に均一な乳化状態を維持しており、析出物はみられなかった。

<性状(分離、液はき)評価基準>
× 分離または全体的に液はきが生じていた。
△ 表面にわずかな離漿や液はきが生じていた。
○ 離漿や液はきもなく全体的に均一な乳化状態を維持していた。
【0083】
(安定性(着色))
上記熱および光安定性試験製剤について、製造後より4℃の恒温槽に1週間保管しておいた製剤を基準として、目視および分光測色計(CM3500d:コニカミノルタ社製)を用いて安定性(着色)の評価を行った。評価、判定結果を同じ表1及び表2にそれぞれ示す。
【0084】
本明細書において「着色」とは、例えば、本発明の油中水型外用組成物がどのような形態であっても、色差計、吸光光度計などの機器によって検知し得る色づきのことをいう。目視し得る色づきでもよいが、目視によっては検知し難い程度の色づきもここでは着色という。例えば、本発明の油中水型外用組成物を調製した場合、白色乳化物であることが好ましいが、熱安定性に関する加速試験により、経時的に、黄色または褐色に変色する。着色抑制とはそのような着色を防止すること、遅延させること、および減少させることをいう。本明細書では、着色抑制とは、(A)~(C)成分を含有する組成物の経時的変化に由来する着色を目視およびまたは色差計(コニカミノルタ社製)で検知し、b値の変化、すなわちΔb値を比較することにより、その着色の程度を検知できるレベルで改善することをいう。
【0085】
<着色(目視)評価基準>
× 変色が見られた
△ わずかに変色がみられた
○ 変色は認められなかった

<着色(色差)評価基準>
分光測色計(CM3500d:コニカミノルタ社製)を用いて、bによって試験後の製剤の着色を評価した。
Δb値=熱または光安定性試験製剤のb値-基準製剤のb

○ Δb 0.1未満
△ Δb 0.1以上0.3未満
× Δb 0.3以上0.5未満
×× Δb 0.5以上
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
(A)ヘパリン類似物質を配合した実施例は析出や分離、液はきもなく、均一な乳化状態を維持しており、また着色もなく安定であった。しかし、ヘパリン類似物質と同じ多糖類であるキサンタンガム、ジェランガム、カンテン、ヒドロキシエチルセルロースを配合した比較例では、液はき、析出、着色のいずれかで変化が生じており、熱または光加速条件下での安定性が問題であった。
【0089】
(使用感)(ぬるつき、塗り伸ばしやすさ、白残り、)
得られた実施例1,2について、使用感評価(ぬるつき、塗り伸ばしやすさ)を行った。結果、実施例については、多糖類に特徴のぬるつきを感じることはなく、肌なじみも良く、また白残りもみられることはなく、のびのよい製剤であった。