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特開2022-43928製造実行システム、製造実行方法、プログラム、及び、製造システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043928
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】製造実行システム、製造実行方法、プログラム、及び、製造システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20220309BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20220309BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220309BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20220309BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B33Y50/00
B33Y30/00
G06Q50/04
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149455
(22)【出願日】2020-09-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】519321683
【氏名又は名称】株式会社3D Printing Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】古賀 洋一郎
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA01
3C100AA43
3C100BB03
3C100BB12
3C100BB14
3C100BB23
3C100EE20
5L049CC03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】課題は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる、製造実行システム、製造実行方法、納期提示システム、納期提示方法、及び、プログラムを提供する。
【解決手段】製造実行システム10は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する第1工程及びアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する第2工程を含む立体物の製造工程を示す製造工程情報D11を参照して第1設備及び第2設備を選択する選択処理と、第1及び第2設備それぞれの利用のスケジュールを示す利用スケジュール情報D13と第1及び第2設備が第1及び第2工程を完了するのに要する第1及び第2工程時間を示す所要時間情報D14とを参照して第1及び第2設備を用いて製造工程情報D11にしたがって製造される立体物の納期を含む納期情報を生成する生成処理と、を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置と演算回路とを備え、
前記記憶装置は、
立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程及びアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す製造工程情報と、
前記1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備の利用のスケジュール及び前記1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備の利用のスケジュールを示す利用スケジュール情報と、
各第1設備における第1工程の完了に要する第1工程時間及び各第2設備における第2工程の完了に要する第2工程時間を含む複数の所要時間を示す所要時間情報と、
を記憶し、
前記演算回路は、
前記製造工程情報を参照して、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備を選択する選択処理と、
前記利用スケジュール情報及び前記所要時間情報を参照して、前記選択処理で選択された前記1以上の特定の第1設備及び前記1以上の特定の第2設備を用いて前記製造工程情報にしたがって製造される前記立体物の納期を含む納期情報を生成する生成処理と、
を実行する、
製造実行システム。
【請求項2】
前記記憶装置は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する設備のリストを記憶し、
前記選択処理は、前記製造工程情報に基づいて前記アディティブマニュファクチャリング技術を利用する設備のリストを検索して、前記1以上の第1設備を抽出する、
請求項1に記載の製造実行システム。
【請求項3】
前記記憶装置は、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する設備のリストを記憶し、
前記選択処理は、前記製造工程情報に基づいて前記アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する設備のリストを検索して、前記1以上の第2設備を抽出する、
請求項1又は2に記載の製造実行システム。
【請求項4】
前記複数の所要時間は、前記1以上の第1工程と前記1以上の第2工程との少なくとも一方の後に実行される品質確認にかかる確認時間と、前記立体物に関する輸送にかかる輸送時間との少なくとも一方を含む、
請求項1~3のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項5】
前記輸送時間は、前記1以上の特定の第1設備と前記1以上の特定の第2設備とを含む特定の設備間の前記立体物に関する輸送にかかる第1輸送時間と、前記1以上の特定の第2設備と前記立体物の届け先との間の前記立体物に関する輸送にかかる第2輸送時間との少なくとも一方を含む、
請求項4に記載の製造実行システム。
【請求項6】
前記輸送時間は、前記1以上の特定の第1設備の場所、前記1以上の特定の第2設備の場所、及び前記立体物の届け先に基づいて決定される、
請求項4又は5の製造実行システム。
【請求項7】
前記生成処理は、前記利用スケジュール情報及び前記所要時間情報を参照して前記立体物の納期までにかかる推定時間を求める推定処理を含み、
前記記憶装置は、前記立体物に関して前記推定時間と実際にかかった前記納期までの実働時間との対応関係を示す対応情報を記憶し、
前記生成処理は、前記対応情報に基づいて前記推定処理で求めた推定時間を補正する補正処理を含み、補正後の推定時間を参照して前記立体物の納期を決定する、
請求項1~6のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項8】
前記記憶装置は、前記複数の所要時間のうちの特定の所要時間と当該特定の所要時間に対応する実際の時間との時間差に関する時間差情報を記憶し、
前記演算回路は、前記時間差が小さくなるように、前記特定の所要時間を修正する修正処理を実行する、
請求項1~7のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項9】
前記納期情報は、前記選択処理で選択された前記特定の第1設備及び前記特定の第2設備を用いた前記立体物の製造の成功確率又は失敗確率を含む、
請求項1~8のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項10】
各特定の第1設備は、前記1以上の第1設備のうち、所定時間内に利用可能になる第1設備である、
請求項1~9のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項11】
各特定の第2設備は、前記1以上の第2設備のうち、所定時間内に利用可能になる第2設備である、
請求項1~10のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項12】
各特定の第2工程は、前記1以上の特定の第1工程の少なくとも一つの後に実行され、
各特定の第2設備は、前記1以上の第2設備のうち、前記第1工程の開始予定時点から前記1以上の特定の第1設備の少なくとも一つの第1工程時間を含む待機時間の経過後の時点以後の利用可能時間が第2工程時間以上である第2設備である、
請求項1~11のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項13】
前記1以上の第1工程は、前記立体物の一部又は全部の造形を行う工程であり、
前記1以上の第2工程は、前記1以上の第1工程で得られた造形物を対象とする工程である、
請求項1~12のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項14】
ユーザからの情報の入力のための入力装置と外部装置と通信可能に接続される通信装置との少なくとも一方を有するインタフェースを備え、
前記演算回路は、前記インタフェースを通じて前記立体物情報を受け取って前記記憶装置に記憶させる記憶処理を含む、
請求項1~13のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項15】
記憶装置にアクセス可能な演算回路で実行される製造実行方法であって、
前記記憶装置は、
立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程及びアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す製造工程情報と、
前記第1工程を実行可能な1以上の第1設備の利用のスケジュール及び前記第2工程を実行可能な1以上の第2設備の利用のスケジュールを示す利用スケジュール情報と、
各第1設備における第1工程の完了に要する第1工程時間及び各第2設備における第2工程の完了に要する第2工程時間を含む複数の所要時間を示す所要時間情報と、
を記憶し、
前記製造実行方法は、
前記製造工程情報を参照して、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備を選択する選択処理と、
前記利用スケジュール情報及び前記所要時間情報を参照して、前記選択処理で選択された前記1以上の特定の第1設備及び前記1以上の特定の第2設備を用いて前記製造工程情報にしたがって製造される前記立体物の納期を含む納期情報を生成する生成処理と、
を含む、
製造実行方法。
【請求項16】
請求項15に記載の製造実行方法を、前記演算回路に実行させるための、
プログラム。
【請求項17】
ユーザからの情報の入力及びユーザへの情報の出力のための入出力装置と、
請求項1~14のいずれか一つに記載の製造実行システムと通信可能に接続される通信装置と、
演算回路と、
を備え、
前記演算回路は、
前記入出力装置により前記立体物情報を取得する取得処理と、
前記取得処理で取得した前記立体物情報を前記製造実行システムに前記通信装置を通じて送信する送信処理と、
前記製造実行システムで生成される前記納期情報を前記製造実行システムから前記通信装置を通じて受け取る受信処理と、
前記受信処理で受け取った前記納期情報を前記入出力装置により提示する出力処理と、
を実行する、
納期提示システム。
【請求項18】
ユーザからの情報の入力及びユーザへの情報の出力のための入出力装置及び請求項1~14のいずれか一つに記載の製造実行システムと通信可能に接続される通信装置に接続される演算回路によって実行される納期提示方法であって、
前記入出力装置により前記立体物情報を取得する取得処理と、
前記取得処理で取得した前記立体物情報を前記製造実行システムに前記通信装置を通じて送信する送信処理と、
前記製造実行システムで生成される前記納期情報を前記製造実行システムから前記通信装置を通じて受け取る受信処理と、
前記受信処理で受け取った前記納期情報を前記入出力装置により提示する出力処理と、
を含む、
納期提示方法。
【請求項19】
請求項18に記載の納期提示方法を、前記演算回路に実行させるための、
プログラム。
【請求項20】
請求項1~14のいずれか一つに記載の製造実行システムと、
納期提示システムと、
を備え、
前記納期提示システムは、
ユーザからの情報の入力及びユーザへの情報の出力のための入出力装置と、
前記製造実行システムと通信可能に接続される通信装置と、
演算回路と、
を備え、
前記演算回路は、
前記入出力装置により前記立体物情報を取得する取得処理と、
前記取得処理で取得した前記立体物情報を前記製造実行システムに前記通信装置を通じて送信する送信処理と、
前記製造実行システムで生成される前記納期情報を前記製造実行システムから前記通信装置を通じて受け取る受信処理と、
前記受信処理で受け取った前記納期情報を前記入出力装置により提示する出力処理と、
を実行する、
製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、製造実行システム、製造実行方法、納期提示システム、納期提示方法、及び、プログラム(コンピュータプログラム)に関する。本開示は、特に、アディティブマニュファクチャリング(付加製造)技術を利用した立体物の製造に関する製造実行システム、製造実行方法、納期提示システム、納期提示方法、及び、プログラム(コンピュータプログラム)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製造実行システム等の種々のシステムが大量生産に利用されている。特許文献1は、製造・流通がおこなわれる製造物(製品)の工程を、コンピュータを用いて管理するシステム(工程管理システム)を開示する。特許文献1の工程管理システムは、工程の情報を保持する工程テーブル、工程関係の情報を保持する工程関係テーブルに加えて、履歴の情報を保持する履歴テーブル、履歴関係の情報を保持する履歴関係テーブルを備える。工程管理システムは、履歴が届いたときに、前後の工程の履歴を検索し、現工程の履歴と前工程の履歴との履歴関係と、現工程の履歴と後工程の履歴との履歴関係の両方を作成する。工程管理システムは、工程テーブル、工程関係テーブルと、収集済みの履歴情報を用いて、届いていない部分の履歴の推定をおこない、作業順に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-11851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
課題は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる、製造実行システム、製造実行方法、納期提示システム、納期提示方法、及び、プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様の製造実行システムは、記憶装置と演算回路とを備える。前記記憶装置は、立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程及びアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す製造工程情報と、前記1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備の利用のスケジュール及び前記1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備の利用のスケジュールを示す利用スケジュール情報と、各第1設備における第1工程の完了に要する第1工程時間及び各第2設備における第2工程の完了に要する第2工程時間を含む複数の所要時間を示す所要時間情報と、を記憶する。前記演算回路は、前記製造工程情報を参照して、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備を選択する選択処理と、前記利用スケジュール情報及び前記所要時間情報を参照して、前記選択処理で選択された前記1以上の特定の第1設備及び前記1以上の特定の第2設備を用いて前記製造工程情報にしたがって製造される前記立体物の納期を含む納期情報を生成する生成処理と、を実行する。
【0006】
本開示の一態様の製造実行方法は、記憶装置にアクセス可能な演算回路で実行される。前記記憶装置は、立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程及びアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す製造工程情報と、前記第1工程を実行可能な1以上の第1設備の利用のスケジュール及び前記第2工程を実行可能な1以上の第2設備の利用のスケジュールを示す利用スケジュール情報と、各第1設備における第1工程の完了に要する第1工程時間及び各第2設備における第2工程の完了に要する第2工程時間を含む複数の所要時間を示す所要時間情報と、を記憶する。前記製造実行方法は、前記製造工程情報を参照して、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備を選択する選択処理と、前記利用スケジュール情報及び前記所要時間情報を参照して、前記選択処理で選択された前記1以上の特定の第1設備及び前記1以上の特定の第2設備を用いて前記製造工程情報にしたがって製造される前記立体物の納期を含む納期情報を生成する生成処理と、を含む。
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、前記製造実行方法を、前記演算回路に実行させるための、プログラムである。
【0008】
本開示の一態様の納期提示システムは、ユーザからの情報の入力及びユーザへの情報の出力のための入出力装置と、前記製造実行システムと通信可能に接続される通信装置と、演算回路と、を備える。前記演算回路は、前記入出力装置により前記立体物情報を取得する取得処理と、前記取得処理で取得した前記立体物情報を前記製造実行システムに前記通信装置を通じて送信する送信処理と、前記製造実行システムで生成される前記納期情報を前記製造実行システムから前記通信装置を通じて受け取る受信処理と、前記受信処理で受け取った前記納期情報を前記入出力装置により提示する出力処理と、を実行する。
【0009】
本開示の一態様の納期提示方法は、ユーザからの情報の入力及びユーザへの情報の出力のための入出力装置及び前記製造実行システムと通信可能に接続される通信装置に接続される演算回路によって実行される。前記納期提示方法は、前記入出力装置により前記立体物情報を取得する取得処理と、前記取得処理で取得した前記立体物情報を前記製造実行システムに前記通信装置を通じて送信する送信処理と、前記製造実行システムで生成される前記納期情報を前記製造実行システムから前記通信装置を通じて受け取る受信処理と、前記受信処理で受け取った前記納期情報を前記入出力装置により提示する出力処理と、を含む。
【0010】
本開示の一態様のプログラムは、前記納期提示方法を、前記演算回路に実行させるための、プログラムである。
【0011】
本開示の一態様の製造システムは、前記製造実行システムと、納期提示システムと、を備える。前記前記納期提示システムは、ユーザからの情報の入力及びユーザへの情報の出力のための入出力装置と、前記製造実行システムと通信可能に接続される通信装置と、演算回路と、を備える。前記演算回路は、前記入出力装置により前記立体物情報を取得する取得処理と、前記取得処理で取得した前記立体物情報を前記製造実行システムに前記通信装置を通じて送信する送信処理と、前記製造実行システムで生成される前記納期情報を前記製造実行システムから前記通信装置を通じて受け取る受信処理と、前記受信処理で受け取った前記納期情報を前記入出力装置により提示する出力処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の態様によれば、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態の製造システムのブロック図である。
図2図2は、上記製造システムの製造実行システムのブロック図である。
図3図3は、上記製造システムの管理システムのブロック図である。
図4図4は、上記製造システムの納期提示システムのブロック図である。
図5図5は、立体物の製造工程の第1例のアクティビティ図である。
図6図6は、利用スケジュール情報の説明図である。
図7図7は、立体物の製造工程の第1例の納期の説明図である。
図8図8は、立体物の製造工程の第2例のアクティビティ図である。
図9図9は、立体物の製造工程の第2例の納期の説明図である。
図10図10は、立体物の製造工程の第3例のアクティビティ図である。
図11図11は、立体物の製造工程の第3例の納期の説明図である。
図12図12は、立体物の製造工程の第4例のアクティビティ図である。
図13図13は、立体物の製造工程の第4例の納期の説明図である。
図14図14は、立体物の製造工程の第5例のアクティビティ図である。
図15図15は、立体物の製造工程の第5例の納期の説明図である。
図16図16は、上記製造システムの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
近年、アディティブマニュファクチャリング(additive manufacturing)技術を利用した製品(立体物)の生産(製造)が注目を集めている。アディティブマニュファクチャリング技術を利用した製品の生産は、従来の大量生産とは異なり、基本的に毎回製品が異なり、同一種類の製品を生産し続けるケースは少ない。また、同一種類の製品は大量ではなく少量製造される場合が多い。このように、アディティブマニュファクチャリング技術を利用した製品の生産においては、従来の大量生産より短い時間でより少ない点数の製品を生産することが求められる場面が多い。つまり、アディティブマニュファクチャリング技術を利用した製品(立体物)の生産においては、異なる製品の少量生産が繰り返し行われる。そのため、製品の生産を効率的に行うためには、製品の納期を把握することが求められる。上記の特許文献1では、製品(立体物)の納期については特に考慮されていなかった。本実施形態の課題は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる、製造実行システム、製造実行方法、納期提示システム、納期提示方法、及び、プログラムを提供することである。
【0015】
(1)実施形態
(1-1)概要
図1は、一実施形態の製造システム1を示す。製造システム1は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用した立体物の製造のためのシステムである。特に、製造システム1は、アディティブマニュファクチャリング技術及びアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用した立体物の製造のためのシステムである。
【0016】
立体物(造形物)は、実体のある物(有体物)を想定している。立体物は、食器、文房具、装身具、家具、工具、電化製品、乗り物等の種々の製品や試作品であってよい。立体物は、完成品に限らず、部品であってもよい。完成品の例としては、コップ、ねじ、コンテナが挙げられる。部品の例としては、自動車及び航空機の基幹部品(ピストン、シリンダヘッド)やスペアパーツが挙げられる。
【0017】
製造システム1は、複数の施設20にある複数の設備30を利用して、立体物の製造を可能とする。施設20は、少なくとも一つの設備30が設置され、設備30による作業が可能な場所を想定している。施設20は、建物だけではなく、建物とその建物が存在する敷地とを含んでいてもよい。施設20の例としては、工場、店舗、ビル(ビル全体、フロア内)が挙げられる。施設20は、非住宅施設に限定されず、戸建住宅及び集合住宅等の住宅施設であってもよい。
【0018】
複数の設備30は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の設備(以下、必要に応じて「主設備」という)と、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の設備(以下、必要に応じて「副設備」という)とを含む。主設備は、3Dプリンタ及び3Dプリンタ複合機等の付加製造設備を想定している。アディティブマニュファクチャリング技術による造形方法は特に限定されないが、例えば、国際標準化団体のASTMインターナショナルが規定する材料押出(material extrusion)、液槽光重合(vat photopolymerization)、材料噴射(material jetting)、結合剤噴射(binder jetting)、粉末床溶融結合(powder bed fusion)、シート積層(sheet lamination)、指向性エネルギ堆積(directed energy deposition)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。3Dプリンタは、複数の造形方法を選択的又は並列的に実行可能であってよい。3Dプリンタ複合機は、3Dプリンタの機能を含む複数の機能を有する装置を想定している。例えば、3Dプリンタ複合機は、副設備と同様にアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用可能であってよい。副設備は、付加製造設備を除く製造設備、すなわち、既存の製造設備を想定している。アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術の例としては、サブトラクティブマニュファクチャリング(除去製造)技術、フォーマティブ(フォーミング)マニュファクチャリング技術(射出成形、押出成形等)、表面処理技術(コーティング、塗装、メッキ、研磨等)、熱処理技術(焼結、冷却等)、接合技術(超音波接合、熱溶着、機械的接合、接着等)、組立技術(部品の組み立て、微細転写(インプリント)、含浸(インプリグネーション)等)が挙げられる。サブトラクティブマニュファクチャリングの例としては、切削加工、研削加工、放電加工、鋳造加工、ダイキャスト加工、プレス加工、鍛造加工、板金加工が挙げられる。
【0019】
本実施形態では、立体物の製造工程が、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程、及び、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含むことを想定している。製造工程は、第1工程及び第2工程のいずれにも分類されないその他の工程を含んでいてもよい。第1工程は、立体物の一部又は全部の造形を行う工程であってよい。第1工程は、予め用意された基礎(例えば、基板等)に立体物の一部又は全部の造形を行うことも含む。立体物の一部の造形は、立体物の複数のパーツの一つの全部又は途中までの造形、及び、立体物の途中までの造形を含む。製造工程は、複数の異なる第1工程を含んでもよい。例えば、複数の第1工程が異なるアディティブマニュファクチャリング技術を利用する場合、これらは複数の異なる第1工程であるといえる。第2工程は、第1工程で得られた造形物を対象とする工程であってよい。第2工程は、少なくとも一つの第1工程の後に実行されてよい。なお、製造工程が複数の第1工程を含む場合、第2工程は、複数の第1工程の間に実行され得る。第2工程は、第1工程で途中まで造形された立体物を更に加工して完成品にする工程であってよい。第2工程は、第1工程で最後まで造形された立体物に表面処理や熱処理を施して完成品にする工程であってよい。第2工程は、1以上の第1工程で造形された複数のパーツから立体物を組み立てる工程であってよい。製造工程は、複数の異なる第2工程を含んでもよい。例えば、複数の第2工程が異なる製造技術を利用する場合、これらは複数の異なる第2工程であるといえる。本実施形態では、1以上の第1工程を実行可能な設備30を「第1設備」といい、必要に応じて符号31を付す。第1工程はアディティブマニュファクチャリング技術を利用する工程であるから、第1設備31は、上述の主設備から選択される。1以上の第2工程を実行可能な設備30を「第2設備」といい、必要に応じて符号32を付す。第2工程はアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する工程であるから、第2設備32は、上述の副設備から選択される。
【0020】
図1に示すように、製造システム1は、製造実行システム10と、1以上(本実施形態では、複数)の管理システム40と、1以上(本実施形態では、複数)の納期提示システム50と、を備える。
【0021】
製造実行システム10は、図2に示すように、記憶装置13と、演算回路14とを備える。記憶装置13は、製造工程情報D11と、利用スケジュール情報D13と、所要時間情報D14と、を記憶する。製造工程情報D11は、立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報D10に基づいて決定される立体物の製造工程を示す。製造工程は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程及びアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む。利用スケジュール情報D13は、1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備31の利用のスケジュール及び1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備32の利用のスケジュールを示す。所要時間情報D14は、各第1設備31における第1工程の完了に要する第1工程時間及び各第2設備32における第2工程の完了に要する第2工程時間を含む複数の所要時間を示す。演算回路14は、選択処理と、生成処理とを実行する。選択処理は、製造工程情報D11を参照して、1以上の第1設備31から1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備31を選択し、1以上の第2設備32から1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備32を選択する。生成処理は、利用スケジュール情報D13及び所要時間情報D14を参照して、選択処理で選択された1以上の特定の第1設備31及び1以上の特定の第2設備32を用いて製造工程情報D11にしたがって製造される立体物の納期を含む納期情報D20を生成する。
【0022】
このように、製造実行システム10は、製造工程情報D11を参照して、立体物の製造に利用する1以上の特定の第1設備31及び1以上の特定の第2設備32を選択する。製造実行システム10は、利用スケジュール情報D13及び所要時間情報D14を参照して、1以上の特定の第1設備31及び1以上の特定の第2設備32を用いて立体物を製造する場合の立体物の納期を含む納期情報D20を生成する。したがって、製造実行システム10によれば、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0023】
納期提示システム50は、図4に示すように、ユーザからの情報の入力及びユーザへの情報の出力のための入出力装置51と、製造実行システム10と通信可能に接続される通信装置52と、演算回路54と、を備える。演算回路54は、取得処理と、送信処理と、受信処理と、出力処理と、を実行する。取得処理は、入出力装置51により立体物情報D10を取得する。送信処理は、取得処理で取得した立体物情報D10を製造実行システム10に通信装置52を通じて送信する。受信処理は、製造実行システム10で生成される納期情報D20を製造実行システム10から通信装置52を通じて受け取る。出力処理は、受信処理で受け取った納期情報D20を入出力装置51により提示する。
【0024】
このように、納期提示システム50では、入出力装置51で立体物情報D10を取得すると、入出力装置51で納期情報D20を提示する。したがって、納期提示システム50によれば、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0025】
(1-2)詳細
以下、本実施形態の製造システム1について詳細に説明する。製造システム1は、図1に示すように、製造実行システム10と、複数の管理システム40と、複数の納期提示システム50と、を備える。製造実行システム10は、複数の管理システム40と通信ネットワーク61を介して通信可能に接続される。製造実行システム10は、複数の納期提示システム50と通信ネットワーク62を介して通信可能に接続される。
【0026】
(1-2-1)製造実行システム
(1-2-1-1)構成
以下、製造実行システム10について詳細に説明する。製造システム1において、製造実行システム10は、立体物情報D10に基づく立体物の製造に必要な設備30のある施設20の管理システム40に指示を送って立体物の製造を実行させるために利用される。製造実行システム10は、図2に示すように、インタフェース(入出力装置11及び通信装置12)と、記憶装置13と、演算回路14と、を備える。本実施形態では、製造実行システム10は、1台のサーバで実現される。
【0027】
入出力装置11は、ユーザからの情報の入力のための入力装置、及び、ユーザへの情報の出力のための出力装置としての機能を有する。つまり、入出力装置11は、製造実行システム10への情報の入力、及び、製造実行システム10からの情報の出力に利用される。入出力装置11は、1以上のヒューマン・マシン・インタフェースを備える。ヒューマン・マシン・インタフェースの例としては、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、トラックボール等)、タッチパッド等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置が挙げられる。
【0028】
通信装置12は、外部装置又はシステムと通信可能に接続される。本実施形態では、通信装置12は、通信ネットワーク61を通じた管理システム40との通信及び通信ネットワーク62を通じた納期提示システム50との通信に用いられる。通信装置12は、1以上の通信インタフェースを備える。通信装置12は、通信ネットワーク61,62に接続可能であり、通信ネットワーク61,62を通じた通信を行う機能を有する。通信装置12は、所定の通信プロトコルに準拠している。所定の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
【0029】
記憶装置13は、演算回路14が利用する情報及び演算回路14で生成される情報を記憶するために用いられる。記憶装置13は、1以上のストレージ(非一時的な記憶媒体)を含む。ストレージは、例えば、ハードディスクドライブ、光学ドライブ、及びソリッドステートドライブ(SSD)のいずれであってもよい。また、ストレージは、内蔵型、外付け型、及びNAS(network-attached storage)型のいずれであってもよい。
【0030】
記憶装置13に記憶される情報は、立体物情報D10と、製造工程情報D11と、設備情報D12と、利用スケジュール情報D13と、所要時間情報D14と、時間差情報D15と、対応情報D16と、成功確率情報D17と、納期情報D20と、を含む。図2では、記憶装置13が、情報D10~D17,D20の全てを記憶している状態を示している。情報D10~D17は常に記憶装置13に記憶されている必要はなく、演算回路14で必要とされるときに記憶装置13に記憶されていればよい。納期情報D20は、演算回路14で生成された後に記憶装置13に記憶される。
【0031】
立体物情報D10は、立体物の形状を決定するための情報(形状情報)を含む情報である。立体物情報D10は、立体物の製造を依頼する依頼者によって与えられることを想定している。形状情報の例としては、立体物の形状を直接的に特定する情報と、立体物の形状を間接的に特定する情報とが挙げられる。立体物の形状を直接的に特定する情報の例としては、立体物の形状を表現した3Dデータ(例えば、3DCADデータ、3DCGデータ)が挙げられる。立体物の形状を間接的に特定する情報の例としては、立体物の形状の特性の要求値を含む情報が挙げられる。特性は、立体物がその形状によって実現する性質・性能を想定している。立体物が車両や航空機のボディの一部であれば、特性としては、強度、空気抵抗、揚力が挙げられる。立体物の形状の特性の要求値が与えられれば、要求値を満たす立体物の形状の設計が可能(設計空間を絞り込んで設計解を導くことが可能)であるから、立体物の形状を決定することができる。立体物情報D10は、形状情報に加えて、立体物の形状以外の属性を特定するための情報を必要に応じて含む。立体物の形状以外の属性は、大きさ、色彩、材料等を含んでよい。立体物情報D10は、製造工程の決定において優先すべき優先項目を示す優先情報を含んでもよい。優先項目の例としては、納期の短さ、品質、立体物の材料に関する情報(材料自体又は材料の特性等)、立体物の表面処理(塗装やコーティング等)、成功確率の高さ、製造コストが挙げられる。
【0032】
製造工程情報D11は、立体物の製造工程を示す情報である。上述したように、製造工程は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程、及び、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含むことを想定している。製造工程は、立体物情報D10に基づいて決定される。本実施形態では、演算回路14が、後述する決定処理によって、立体物情報D10から製造工程を決定して、製造工程情報D11を生成する。製造工程は、必要に応じて、品質確認工程を含む。品質確認工程は、品質の確認のための工程である。品質確認工程の例としては、第1工程の後に実行される品質確認工程(第1品質確認工程)と、第2工程の後に実行される品質確認工程(第2品質確認工程)とが挙げられる。第1品質確認工程では、例えば、第1工程により得られた造形物の形状を確認する。第2品質確認工程では、例えば、第2工程での加工や処理、組み立て結果を確認する。製造工程は、必要に応じて、輸送工程を含む。立体物に関する輸送のための工程である。輸送工程は、立体物(又は立体物の製造途中の造形物)の一部又は全部の輸送の工程であり得る。立体物の一部の輸送の工程は、立体物が複数のパーツで構成される場合に、立体物の複数のパーツの一つを輸送する工程である。輸送の例としては、設備30間の輸送と、設備30から立体物の届け先への輸送とが挙げられる。設備30間の輸送は、第1設備31と第2設備32との間の輸送、第1設備31間の輸送、及び第2設備32間の輸送を含む。図5図8図10図12、及び図14は、製造工程の例を示す。これら製造工程の例(第1例~第5例)については、後述の「(1-3)製造工程の例」で詳細に説明する。
【0033】
設備情報D12は、製造システム1で利用可能な設備30のリストである。設備情報D12は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する設備(主設備)のリスト(第1リスト)と、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する設備(副設備)のリスト(第2リスト)とを含む。第1リストは、各主設備の属性情報を含む。属性情報は、例えば、主設備で実行可能な工程と、主設備で利用できる材料と、主設備が造形可能な物のサイズと、主設備の場所(例えば、主設備のある施設20の地理的な場所)と、を含む。主設備で実行可能な工程は、例えば、アディティブマニュファクチャリング技術による造形方法を用いた工程である。主設備で利用できる材料は、合成樹脂、金属等種々あり、造形方法によって使用できる材料が制限される場合もある。第2リストは、各副設備の属性情報を含む。属性情報は、例えば、副設備で実行可能な工程と、副設備の場所(例えば、副設備のある施設20の地理的な場所)と、を含む。副設備で実行可能な工程は、例えば、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術、例えば、サブトラクティブマニュファクチャリング技術、フォーマティブマニュファクチャリング技術、表面処理技術、熱処理技術、接合技術、組立技術を用いた工程である。
【0034】
利用スケジュール情報D13は、製造システム1で利用可能な設備30の利用のスケジュールを示す。本実施形態では、製造システム1で利用可能な設備30から、1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備31及び1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備32が選択される。よって、利用スケジュール情報D13は、1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備31の利用のスケジュール及び1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備32の利用のスケジュールを示す。設備30の利用のスケジュールは、任意の単位時間を基準にして定めることができる。一例として、設備30の利用のスケジュールは1時間単位で設定され得る。単位時間は、1時間に限定されず、15分、30分、6時間、12時間、1日等であってもよい。設備30の利用のスケジュールは、設備30自体の利用スケジュールであってもよいが、設備30自体の利用スケジュールと設備30を操作できる人(作業者)の利用スケジュールとの組み合わせであってもよい。例えば、ある時間帯において、設備30自体は使用されていなくても、設備30を操作できる人がいなければ、設備30は利用不可であるとしてよい。図6は、利用スケジュール情報の一例を示す。図6では、第1設備31A~31D及び第2設備32A~32Cの利用のスケジュールを示す。図6において、ハッチングのマスが設備を利用できない期間を示している。
【0035】
所要時間情報D14は、複数の所要時間を示す情報である。複数の所要時間は、工程時間と、確認時間と、輸送時間と、を含む。
【0036】
工程時間は、設備30における工程の完了に要する時間である。本実施形態では、製造システム1で利用可能な設備30から、1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備31及び1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備32が選択される。よって、工程時間は、各第1設備31における第1工程の完了に要する第1工程時間と、各第2設備32における第2工程の完了に要する第2工程時間と、を含むことになる。本実施形態では、第1工程時間は、第1設備31による第1工程の実行に要する第1実行時間と、第1設備31による第1工程の実行に付随する第1付加時間とを含む。第1付加時間は、第1設備31での第1工程の実行の準備にかかる時間(第1実行前時間)と、第1設備31での第1工程の実行後に次の工程が可能になるまでにかかる時間(第2実行後時間)との少なくとも一方を含む。第1実行前時間の例としては、第1設備31のウォームアップにかかる時間、第1設備31に材料をセットする時間が挙げられる。第1実行後時間の例としては、第1設備31から造形物を取り外す時間、造形物を他の場所に輸送可能にするまでの時間が挙げられる。本実施形態では、第2工程時間は、第2設備32による第2工程の実行に要する第2実行時間と、第2設備32による第2工程の実行に付随する第2付加時間とを含む。第2付加時間は、第2設備32での第2工程の実行の準備にかかる時間(第2実行前時間)と、第2設備32での第2工程の実行後に次の工程が可能になるまでにかかる時間(第2実行後時間)との少なくとも一方を含む。第2実行前時間は、第2設備32のウォームアップにかかる時間、第2設備32に第2工程の対象物をセットする時間が挙げられる。第2実行後時間の例としては、第2設備32から第2工程の結果物を取り外す時間、結果物を他の場所に輸送可能にするまでの時間が挙げられる。工程時間は、設備30に対して設定された定数であってもよいし、変数であってもよい。工程時間は、設備30で造形する立体物の形状や設備30を用いて作業する人(作業者)をパラメータとする変数であってもよい。立体物の形状の複雑さや作業者の能力(熟練度合い等)は、工程時間に影響を及ぼすと考えられるから、同じ設備30であっても、立体物の形状の複雑さや作業者によって、工程時間が変化してよい。この場合、工程時間は、ルックアップテーブル又は関数で与えられ得る。このような点は、確認時間及び輸送時間においても同様である。
【0037】
確認時間は、1以上の第1工程と1以上の第2工程との少なくとも一方の後に実行される品質確認にかかる時間である。上述したように、製造工程は、必要に応じて、品質確認工程を含む。品質確認工程の例としては、第1工程の後に実行される品質確認工程(第1品質確認工程)と、第2工程の後に実行される品質確認工程(第2品質確認工程)とが挙げられる。よって、確認時間は、第1品質確認工程にかかる第1確認時間と、第2品質確認工程にかかる第2確認時間と、を含む。
【0038】
輸送時間は、立体物に関する輸送にかかる時間である。上述したように、輸送の例としては、設備30間の輸送と、設備30から立体物の届け先への輸送とが挙げられる。よって、輸送時間は、設備30(すなわち、製造工程に利用される1以上の特定の第1設備31と1以上の特定の第2設備32とを含む特定の設備)間の立体物に関する輸送にかかる第1輸送時間を含む。輸送時間は、1以上の特定の第2設備32と届け先との間の立体物に関する輸送にかかる第2輸送時間を含む。設備30間の輸送は、第1設備31と第2設備32との間の輸送、第1設備31間の輸送、及び第2設備32間の輸送を含む。よって、第1輸送時間は、第1設備31と第2設備32との間の輸送にかかる輸送時間、第1設備31間の輸送にかかる輸送時間、及び第2設備32間の輸送にかかる輸送時間を含む。輸送時間は、第1設備(1以上の特定の第1設備)31の(地理的な)場所、第2設備(1以上の特定の第2設備)32の(地理的な)場所、及び立体物の届け先に基づいて決定される。輸送時間は、配送業者が立体物の一部又は全部を輸送するのにかかる時間に基づいて決定されてよい。例えば、第1設備31と第2設備32との間の輸送時間は、配送業者が第1設備31の場所(又はその近傍)から第2設備32の場所(又はその近傍)まで立体物を輸送するのに実際にかかる時間に基づいて決定されてよい。また、輸送時間は、物理的距離ではなく時間距離に基づいて決定されてよい。時間距離は、ある2点間のへだたりを人や物が移動するのに要する時間によって表わす指標である。例えば、第1設備31と第2設備32との間の輸送時間は、第1設備31の場所(又はその近傍)と第2設備32の場所(又はその近傍)との間の時間距離に基づいて決定されてよい。
【0039】
時間差情報D15は、所要時間と所要時間に対応する実際の時間との時間差に関する情報である。時間差は、所要時間情報D14に含まれる複数の所要時間毎に記憶され得る。実際の時間が得られていない所要時間については、時間差は記憶されていないことになる。実際の時間は、複数の管理システム40から収集可能である。複数の管理システム40からの実際の時間の収集は、詳しくは後述するが、演算回路14によって実行される。時間差情報D15から得られる時間差は、所要時間情報D14に含まれる所要時間の修正に利用される。このような所要時間の修正は、詳しくは後述するが、演算回路14によって実行される。
【0040】
対応情報D16は、立体物に関して納期までにかかる推定時間と実際にかかった納期までの実働時間との対応関係を示す情報である。対応情報D16は、立体物毎に対応関係を記憶する。推定時間は、詳しくは後述するが、演算回路14によって算出される。実働時間は、複数の納期提示システム50から収集可能である。また、実働時間は、複数の管理システム40から収集した実際の時間をもとに算出可能である。対応情報D16の対応関係は、推定時間の補正に利用される。このような推定時間の補正は、詳しくは後述するが、演算回路14によって実行される。
【0041】
成功確率情報D17は、複数の成功確率を示す情報である。複数の成功確率は、工程成功確率と、確認成功確率と、輸送成功確率と、を含む。
【0042】
工程成功確率は、設備30における工程の成功する確率である。工程成功確率は、設備30における過去の工程の成功・失敗の履歴から統計的に求めることができる。工程成功確率は、第1工程の成功する確率である第1工程成功確率と、第2工程の成功する確率である第2工程成功確率と、を含む。第1工程成功確率は、第1設備31による第1工程の実行に関する成功確率と、第1設備31による第1工程の実行に付随する作業の成功確率とで決めることができる。第1設備31による第1工程の実行に付随する作業は、第1設備31での第1工程の実行の準備作業と、第1設備31での第1工程の実行後に次の工程を可能にするための作業との少なくとも一方を含む。第2工程成功確率は、第2設備32による第2工程の実行に関する成功確率と、第2設備32による第2工程の実行に付随する作業の成功確率とで決めることができる。第2設備32による第2工程の実行に付随する作業は、第2設備32での第2工程の実行の準備作業と、第2設備32での第2工程の実行後に次の工程を可能にするための作業との少なくとも一方を含む。同じ設備30であっても、設備30を用いて作業する人(作業者)毎に工程成功確率が設定されていてよい。これは、作業者の熟練度合いによって工程成功確率が変わり得るからである。
【0043】
確認成功確率は、1以上の第1工程と1以上の第2工程との少なくとも一方の後に実行される品質確認の成功する確率である。確認成功確率は、品質確認の過去の成功・失敗の履歴から統計的に求められる。確認成功確率は、第1品質確認工程の成功する確率である第1品質確認成功確率と、第2品質確認工程の成功する確率である第2品質確認成功確率とが挙げられる。
【0044】
輸送成功確率は、立体物に関する輸送の成功する確率である。輸送成功確率は、輸送の過去の成功・失敗の履歴から統計的に求められる。上述したように、輸送の例としては、設備30間の輸送と、設備30から立体物の届け先への輸送とが挙げられる。よって、輸送成功確率は、設備30(すなわち、製造工程に利用される1以上の特定の第1設備31と1以上の特定の第2設備32とを含む特定の設備)間の立体物に関する輸送の成功する確率(第1輸送成功確率)を含む。輸送成功確率は、1以上の特定の第2設備32と届け先との間の立体物に関する輸送の成功する確率(第2輸送成功確率)を含む。
【0045】
納期情報D20は、製造工程情報D11にしたがって製造される立体物の納期を含む。本実施形態では、納期は、立体物が依頼者の指定する届け先に届く時期を直接的又は間接的に示す情報をいう。例えば、納期は、立体物が依頼者の指定する届け先に届く日時であってもよいし、立体物が依頼者の指定する届け先に届くまでにかかる時間であってもよい。納期の起算点は、納期の算出の開始時点を想定しているが、納期の起算点は、任意の時点を指定可能であってよい。これによって、現時点から一週間後に立体物の製造を依頼した場合の納期等の算出が可能である。納期情報D20は、更に、製造工程情報D11にしたがって製造される立体物の製造の成功確率を含む。納期情報D20は、演算回路14によって生成されるから、納期情報D20における納期及び成功確率の算出については後述する。
【0046】
演算回路14は、製造実行システム10の動作を制御する回路である。演算回路14は、入出力装置11及び通信装置12に接続され、記憶装置13にアクセス可能である。演算回路14は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。1以上のプロセッサが(1以上のメモリ又は記憶装置13に記憶された)プログラムを実行することで、演算回路14としての機能を実現する。プログラムは、ここでは記憶装置13に予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0047】
演算回路14は、記憶処理と、決定処理と、選択処理と、生成処理と、実行処理と、修正処理と、収集処理と、を実行するように構成される。
【0048】
記憶処理は、インタフェース(入出力装置11及び通信装置12)を通じて立体物情報D10を受け取って記憶装置13に記憶させる処理である。製造実行システム10では、入出力装置11と通信装置12を利用して立体物情報D10の入力が可能である。本実施形態では、製造実行システム10は、通信装置12によって、通信ネットワーク62を通じて納期提示システム50と通信可能に接続される。製造実行システム10は、納期提示システム50に入力される立体物情報D10を、納期提示システム50から取得することができる。
【0049】
決定処理は、立体物情報D10に基づいて立体物の製造工程を決定して製造工程情報D11を生成する処理である。決定処理は、立体物情報D10に基づいて立体物の製造に必要な複数の工程(1以上の第1工程及び1以上の第2工程)を特定し、複数の工程の順番を決定する。決定処理は、順番が決められた複数の工程に必要に応じて品質確認工程と輸送工程とを加えて、製造工程を決定する。例えば、立体物の製造に、3Dプリンタで樹脂材料から造形物を形成する工程と、表面処理装置による造形物の表面処理をする工程とが必要であるとする。この例では、前者の工程が第1工程A、後者の工程が第2工程Bとして特定される。第2工程Bの実行には第1工程Aの完了が必要であるから、第1工程Aと第2工程Bとの順番は、第1工程Aが先、第2工程Bが後になる。そして、第1工程A及び第2工程Bのそれぞれに品質確認工程と輸送工程とが付されて、図5の第1例に示すように、第1工程A(S11)、品質確認工程(S12)、輸送工程(S13)、第2工程B(S14)、品質確認工程(S15)、輸送工程(S14)を順番に実行する製造工程が得られる。決定処理は、立体物情報D10の形状情報で特定される立体物の形状を、アディティブマニュファクチャリング技術とアディティブマニュファクチャリング技術と異なる製造技術との組み合わせでの造形に適した形状に変換する処理を含んでよい。この場合、決定処理は、変換後の立体物の形状に基づいて製造工程を決定してよい。例えば、立体物を複数のパーツに分解し、各パーツに組み立て用の部分(凹凸部分等)を付加した形状としてよい。例えば、立体物の形状を、立体物から不要な部分を除去した形状又は必要な部分を付加した形状としてもよい。不要な部分又は必要な部分は、立体物情報D10に含まれる形状情報、属性情報、優先情報等に基づいて決定されてよい。立体物情報D10に含まれる形状情報が立体物の形状を間接的に特定する情報である場合には、形状情報から立体物の形状を表現したデータを作成する処理が決定処理に含まれてよい。
【0050】
選択処理は、立体物の製造に用いる設備30を選択する処理である。本実施形態では、選択処理は、設備情報D12の製造システム1で利用可能な設備30のリストから、1以上の第1設備31及び1以上の第2設備32を抽出する。より詳細には、選択処理は、製造工程情報D11に基づいてアディティブマニュファクチャリング技術を利用する設備のリスト(設備情報D12の第1リスト)を検索して、1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備31を抽出する。図5の第1例に関して言えば、選択処理は、第1工程Aを実行可能な1以上の第1設備31を抽出する。選択処理は、製造工程情報D11に基づいてアディティブマニュファクチャリング技術以外の製造技術を利用する設備のリスト(設備情報D12の第2リスト)を検索して、1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備32を抽出する。図5の第1例に関して言えば、選択処理は、第2工程Bを実行可能な1以上の第2設備32を抽出する。例えば、図6に示すように、選択処理は、第1工程Aを実行可能な4つの第1設備31A~31Dを抽出し、第2工程Bを実行可能な3つの第2設備32A~32Cを抽出する。
【0051】
選択処理は、製造工程情報D11を参照して、1以上の第1設備31から1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備31を選択し、1以上の第2設備32から1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備32を選択する。図5の第1例に関して言えば、選択処理は、4つの第1設備31A~31Dから第1工程Aに利用する1つの特定の第1設備31を選択し、3つの第2設備32A~32Cから第2工程Bに利用する1つの特定の第2設備32を選択する。この場合、特定の第1設備31と特定の第2設備32との組み合わせは、12通り存在するから、12通りの組み合わせについて納期を求めることが可能である。
【0052】
選択処理においては、特定の第1設備31の選択には第1及び第2条件を設けている。第1及び第2条件は、第1設備31の利用可能時間に関する条件である。第1設備31が第1及び第2条件を満たすかどうかの判断には利用スケジュール情報D13が利用される。特定の第1設備31の第1条件は、各特定の第1設備は、1以上の第1設備31のうち、所定時間(第1所定時間)内に利用可能になる第1設備31である、というものである。第1所定時間は、第1工程の開始予定時点の許容限度に基づいて決定されてよい。例えば、図6の例において、1マスが6時間であり、第1所定時間が24時間である場合、第1設備31B~31Cは24時間内に利用可能な時間があるが、第1設備31Aは24時間内に利用可能な時間がないから、第1設備31Aは特定の第1設備31としては選択されない。特定の第1設備31の第2条件は、特定の第1設備31は、1以上の第1設備31のうち、第1工程の開始予定時点からの利用可能時間が第1工程時間を含む使用時間以上である第1設備31である、というものである。第1設備31が利用可能であっても、第1工程を完了できなければ、特定の第1設備31としては適切ではないからである。使用時間は、第1工程時間と等しい時間であってもよいが、ある程度の余裕を持たせるために、第1工程時間より長い時間であってもよい。例えば、図6の例において、使用時間が18時間である場合、第1設備31Bは12時間後が第1工程の開始予定時点であり、第1工程の開始予定時点から18時間利用可能であるから、特定の第1設備31として選択される。第1設備31Cは6時間後が第1工程の開始予定時点であり、第1工程の開始予定時点から18時間利用可能ではないから、特定の第1設備31として選択されない。第1設備31Dは0時間後が第1工程の開始予定時点であり、第1工程の開始予定時点から18時間利用可能であるから、特定の第1設備31として選択可能である。
【0053】
選択処理においては、特定の第2設備32の選択には第1及び第2条件を設けている。第1及び第2条件は、第2設備32の利用可能時間に関する条件である。第2設備32が第1及び第2条件を満たすかどうかの判断には利用スケジュール情報D13が利用される。特定の第2設備32の第1条件は、各特定の第2設備は、1以上の第2設備32のうち、所定時間(第2所定時間)内に利用可能になる第2設備32である、というものである。第2所定時間は、第2工程の開始予定時点の許容限度に基づいて決定されてよい。例えば、図6の例において、1マスが6時間であり、第2所定時間が72時間である場合、第2設備32A,32Bは72時間内に利用可能な時間があるが、第2設備32Cは72時間内に利用可能な時間がないから、第2設備32Cは特定の第2設備32としては選択されない。特定の第2設備32の第2条件は、各特定の第2設備は、1以上の第2設備32のうち、第1工程の開始予定時点から1以上の特定の第1設備の少なくとも一つの第1工程時間を含む待機時間の経過後の時点以後の利用可能時間が第2工程時間以上である第2設備32である、というものである。これは、第2工程が第1工程後に実行される場合には、特定の第2設備32は、特定の第1設備31での第1工程の完了以後にしか第2工程を開始できず、その際に利用可能時間が第2工程時間より短いと第2工程を完了できないためである。待機時間は、第1工程時間と等しい時間であってもよいが、上述したように、第1工程と第2工程との間には品質確認工程と輸送工程とが含まれる場合があるから、確認時間と輸送時間とを考慮して第1工程時間より長い時間であってよい。例えば、図5の第1例では、第2工程Bは第1工程Aの後に実行される。この場合に、待機時間が24時間で、第2工程時間が12時間であるとする。そして、第1設備31Bが特定の第1設備である場合、第1工程の開始予定時点が12時間後であるから、待機時間が経過するのは36時間後であり、第2設備32A,32Bには第2工程時間(12時間)以上の利用可能時間がある。よって、第1設備31Bが特定の第1設備である場合、第2設備32A,32Bはいずれも特定の第2設備として選択可能である。第1設備31Dが特定の第1設備である場合、第1工程の開始予定時点が0時間後であるから、待機時間が経過するのは24時間後であり、第2設備32A,32Bには第2工程時間(12時間)以上の利用可能時間がある。よって、よって、第1設備31Bが特定の第1設備である場合、第2設備32A,32Bはいずれも特定の第2設備として選択可能である。
【0054】
生成処理は、納期情報D20を生成する処理である。納期情報D20は、上述したように、納期と、成功確率とを含む。
【0055】
生成処理は、利用スケジュール情報D13及び所要時間情報D14を参照して、選択処理で選択された1以上の特定の第1設備31及び1以上の特定の第2設備32を用いて製造工程情報D11にしたがって製造される立体物の納期を算出する。本実施形態では、生成処理は、推定処理と、補正処理と、を含む。
【0056】
推定処理は、利用スケジュール情報D13及び所要時間情報D14を参照して立体物の納期までにかかる推定時間を求める処理である。製造工程情報D11から製造工程が含む1以上第1の工程及び1以上の第2工程、並びにその他の工程(品質確認工程及び輸送工程)を特定でき、選択処理によって1以上第1の工程に利用する1以上の特定の第1設備31及び1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備32を特定できる。第1工程と特定の第1設備31との組み合わせに対して、所要時間情報D14から第1工程時間(必要であれば第1確認時間)を得ることができる。第2工程と特定の第2設備32との組み合わせに対して、所要時間情報D14から第2工程時間(必要であれば第2確認時間)を得ることができる。1以上の特定の第1設備31及び1以上の特定の第2設備32との組み合わせに対して、所要時間情報D14から輸送時間を得ることができる。そして、製造工程から1以上第1の工程及び1以上の第2工程、並びにその他の工程(品質確認工程及び輸送工程)の順番がわかり、利用スケジュール情報D13から1以上第1の工程及び1以上の第2工程の実行のための待ち時間(1以上の特定の第1設備31及び1以上の特定の第2設備32が利用可能になるまでの時間)が特定できる。これらを総合的に勘案することで、推定時間を求めることができる。図7図9図11図13、及び図15は、製造工程の第1例~第5例それぞれの納期の計算の例の説明図である。これら納期の計算の例については、後述の「(1-3)製造工程の例」で詳細に説明する。
【0057】
補正処理は、対応情報D16に基づいて推定処理で求めた推定時間を補正する処理である。上述したように、対応情報D16は、立体物に関して納期までにかかる推定時間と実際にかかった納期までの実働時間との対応関係を示す情報である。同様の特徴(例えば、形状、大きさ、材料等に関する特徴)を持つ立体物には、同様の対応関係が成立すると考えられる。立体物は、このような特徴により複数にカテゴリに分類することができる。そして、立体物のカテゴリ毎に、推定時間と実働時間との入出力関係を学習した学習済みモデルを用意することができる。このような学習済みモデルは、例えば、推定時間を入力、実働時間を正解とするトレーニングデータ(学習用データセット)を用いて、モデル(例えば、ニューラルネットワークの構造を有する推定プログラム)の機械学習を実行することによって、得られる。補正処理は、立体物に対応するカテゴリの学習済みモデルに、推定処理で得られた推定時間を入力することで、実働時間に対応する補正後の推定時間を得る。
【0058】
生成処理は、推定時間(本実施形態では、補正後の推定時間)を参照して立体物の納期を決定する。納期が、立体物が依頼者の指定する届け先に届くまでにかかる時間である場合には、補正後の推定時間が納期として採用される。納期が、立体物が依頼者の指定する届け先に届く日時である場合には、補正後の推定時間の経過後の日時が納期として採用される。
【0059】
生成処理は、成功確率情報D17を参照して、選択処理で選択された1以上の特定の第1設備31及び1以上の特定の第2設備32を用いて製造工程情報D11にしたがって製造される立体物の製造の成功確率を算出する。製造工程情報D11から製造工程が含む1以上第1の工程及び1以上の第2工程、並びにその他の工程(品質確認工程及び輸送工程)を特定でき、選択処理によって1以上第1の工程に利用する1以上の特定の第1設備31及び1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備32を特定できる。第1工程と特定の第1設備31との組み合わせに対して、成功確率情報D17から第1工程成功確率(必要であれば第1確認成功確率)を得ることができる。第2工程と特定の第2設備32との組み合わせに対して、所要時間情報D14から第2工程成功確率(必要であれば第2確認成功確率)を得ることができる。1以上の特定の第1設備31及び1以上の特定の第2設備32との組み合わせに対して、成功確率情報D17から輸送成功確率を得ることができる。そして、製造工程から1以上第1の工程及び1以上の第2工程、並びにその他の工程(品質確認工程及び輸送工程)の順番がわかるから、成功確率を求めることができる。例えば、図5の第1例の場合、第1工程A(S11)の第1工程成功確率、品質確認工程(S12)の第1確率成功確率、輸送工程(S13)の輸送成功確率、第2工程B(S14)の第2工程成功確率、品質確認工程(S15)の第2確認成功確率、及び輸送工程(S14)の輸送成功確率の積が、成功確率となる。
【0060】
選択処理において、特定の第1設備31と特定の第2設備32との複数の組み合わせが求められている場合、生成処理は、複数の組み合わせそれぞれについて納期情報D20を生成することが可能である。
【0061】
実行処理は、立体物の製造を実行させるための処理である。より詳細には、実行処理は、選択処理で選択された1以上の特定の第1設備31及び1以上の特定の第2設備32を用いて製造工程情報D11にしたがって立体物の製造をするための指示を出力する。例えば、実行処理は、選択処理で選択された1以上の特定の第1設備31及び1以上の特定の第2設備32にそれぞれ対応する1以上の施設20の1以上の管理システム40に、立体物の製造に必要な情報を提供する。特定の第1設備31のある施設20の管理システム40には、立体物の製造に必要な情報として、第1工程の内容の情報、第1工程の結果物の送付先(特定の第2設備32の場所)の情報が与えられる。特定の第2設備32のある施設20の管理システム40には、立体物の製造に必要な情報として、第2工程の内容の情報、第2工程の結果物の送付先(例えば、依頼者の指定する届け先)の情報が含まれる。このように、実行処理では、必要な情報を必要な管理システム40に与えることで、立体物の製造を行わせる。本実施形態では、納期情報D20の提示に対して依頼者が立体物の製造を承認した場合に、実行処理が開始される。
【0062】
修正処理は、時間差情報D15に基づいて、所要時間情報D14を修正する処理である。時間差情報D15は、複数の所要時間のうちの特定の所要時間と当該特定の所要時間に対応する実際の時間との時間差に関する情報である。修正処理は、特定の所要時間に関して、時間差が小さくなるように、特定の所要時間を修正する。これによって、特定の所要時間の精度の向上が期待でき、結果として、納期の算出の精度の向上が期待できる。例えば、第1設備31の第1工程の実行に関して実際の時間が得られた場合、時間差情報D15は、第1設備31の第1工程についての第1工程時間と実際の時間との時間差に関する情報を有することになる。この場合、修正処理は、第1設備31の第1工程について時間差が小さくなるように、第1工程時間を修正する。このように、実際の時間に関する情報が得られることによって、時間差情報D15が更新され、これに伴って修正処理が実行されて、所要時間情報D14が更新される。
【0063】
収集処理は、インタフェース(入出力装置11及び通信装置12)を通じて、外部装置又はシステム(例えば、管理システム40及び納期提示システム50)からの情報を収集して記憶装置13に記憶させる処理である。外部装置又はシステムからの情報は、例えば、製造システム1で実行する製造工程に関連するフィードバック情報を含む。フィードバック情報の例としては、実際にかかった納期までの実働時間の情報と、所要時間に対応する実際の時間の情報と、が挙げられる。実働時間の情報は、納期提示システム50から得ることができ、対応情報D16の更新に用いられる。対応情報D16の更新によって、補正処理で用いる学習済みモデルの再学習等が可能となり、補正処理による補正時間の補正の精度の向上が期待でき、これによって、納期の算出の精度の向上が期待できる。所要時間に対応する実際の時間の情報は、管理システム40から得ることができ、時間差情報D15の更新に用いられる。時間差情報D15の更新によって、所要時間情報D14の所要時間が修正されるから、納期の算出の精度の向上が期待できる。
【0064】
(1-2-2)管理システム
以下、管理システム40について詳細に説明する。製造システム1において、管理システム40は、施設20にいるユーザ(施設20の管理者、設備30の作業者等)で使用されることを想定している。主に、管理システム40は、施設20の管理者から製造実行システム10への情報の入力、及び、製造実行システム10から管理者への情報の出力に用いられる。管理システム40は、図3に示すように、インタフェース(入出力装置41及び通信装置42)と、記憶装置43と、演算回路44と、を備える。本実施形態では、管理システム40は、1台の端末装置で実現される。端末装置は、パーソナルコンピュータ(デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ)、携帯端末(スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等)等により実現され得る。
【0065】
入出力装置41は、ユーザからの情報の入力のための入力装置、及び、ユーザへの情報の出力のための出力装置としての機能を有する。入出力装置41は、1以上のヒューマン・マシン・インタフェースを備える。ヒューマン・マシン・インタフェースの例としては、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、トラックボール等)、タッチパッド等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置が挙げられる。
【0066】
通信装置42は、外部装置又はシステムと通信可能に接続される。本実施形態では、通信装置42は、通信ネットワーク61を通じた製造実行システム10との通信に用いられる。通信装置42は、1以上の通信インタフェースを備える。通信装置42は、所定の通信プロトコルに準拠している。所定の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
【0067】
記憶装置43は、演算回路44が利用する情報及び演算回路44で生成される情報を記憶するために用いられる。記憶装置43は、1以上のストレージ(非一時的な記憶媒体)を含む。ストレージは、例えば、ハードディスクドライブ、光学ドライブ、及びソリッドステートドライブ(SSD)のいずれであってもよい。また、ストレージは、内蔵型、外付け型、及びNAS(network-attached storage)型のいずれであってもよい。
【0068】
演算回路44は、管理システム40の動作を制御する回路である。演算回路44は、入出力装置41及び通信装置42に接続され、記憶装置43にアクセス可能である。演算回路44は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。1以上のプロセッサが(1以上のメモリ又は記憶装置43に記憶された)プログラムを実行することで、演算回路44としての機能を実現する。プログラムは、ここでは記憶装置43に予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0069】
演算回路44は、通信ネットワーク61を通じて製造実行システム10から立体物の製造をするための指示を通信装置42で受け取る。演算回路44は、受け取った指示を記憶装置43に記憶し、必要に応じて入出力装置41により提示する。演算回路44は、立体物の製造に関する工程の結果に関する情報を、入出力装置41を通じて取得し、必要に応じて通信装置42から通信ネットワーク61を通じて製造実行システム10に送信する。立体物の製造に関する工程の結果に関する情報としては、施設20で実施した工程(第1工程、第2工程、品質確認工程、輸送工程)に関する所要時間に対応する実際の時間の情報、及び、成功又は失敗の報告に関する情報が挙げられる。
【0070】
このように、施設20では、管理システム40で提示される指示にしたがって、作業者が設備30で立体物の製造のための工程を実行することができる。また、施設20の管理者は、管理システム40を通じて、立体物の製造に関する工程の結果に関する情報を製造実行システム10に提供することができる。
【0071】
(1-2-3)納期提示システム
以下、納期提示システム50について詳細に説明する。製造システム1において、納期提示システム50は、立体物の製造を依頼する依頼者で使用されることを想定している。製造システム1において、納期提示システム50は、立体物の製造の依頼者から製造実行システム10への情報の入力、及び、製造実行システム10から依頼者への情報の出力に用いられる。納期提示システム50は、図4に示すように、インタフェース(入出力装置51及び通信装置52)と、記憶装置53と、演算回路54と、を備える。本実施形態では、納期提示システム50は、1台の端末装置で実現される。端末装置は、パーソナルコンピュータ(デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ)、携帯端末(スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等)等により実現され得る。
【0072】
入出力装置51は、ユーザからの情報の入力のための入力装置、及び、ユーザへの情報の出力のための出力装置としての機能を有する。入出力装置51は、1以上のヒューマン・マシン・インタフェースを備える。ヒューマン・マシン・インタフェースの例としては、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、トラックボール等)、タッチパッド等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置が挙げられる。
【0073】
通信装置52は、外部装置又はシステムと通信可能に接続される。本実施形態では、通信装置52は、通信ネットワーク62を通じた製造実行システム10との通信に用いられる。通信装置52は、1以上の通信インタフェースを備える。通信装置52は、所定の通信プロトコルに準拠している。所定の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
【0074】
記憶装置53は、演算回路54が利用する情報及び演算回路54で生成される情報を記憶するために用いられる。記憶装置53は、1以上のストレージ(非一時的な記憶媒体)を含む。ストレージは、例えば、ハードディスクドライブ、光学ドライブ、及びソリッドステートドライブ(SSD)のいずれであってもよい。また、ストレージは、内蔵型、外付け型、及びNAS(network-attached storage)型のいずれであってもよい。
【0075】
記憶装置53に記憶される情報は、立体物情報D10と、納期情報D20と、を含む。図4では、記憶装置53が、立体物情報D10と、納期情報D20とを記憶している状態を示している。立体物情報D10は常に記憶装置53に記憶されている必要はなく、演算回路54で必要とされるときに記憶装置53に記憶されていればよい。納期情報D20は、製造実行システム10から通信ネットワーク62を通じて受け取った後に記憶装置53に記憶される。
【0076】
演算回路54は、納期提示システム50の動作を制御する回路である。演算回路54は、入出力装置51及び通信装置52に接続され、記憶装置53にアクセス可能である。演算回路54は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。1以上のプロセッサが(1以上のメモリ又は記憶装置53に記憶された)プログラムを実行することで、演算回路54としての機能を実現する。プログラムは、ここでは記憶装置53に予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0077】
演算回路54は、取得処理と、送信処理と、受信処理と、出力処理と、を実行するように構成される。
【0078】
取得処理は、入出力装置51により立体物情報D10を取得する処理である。取得処理は、例えば、入出力装置51により立体物情報D10の入力のための画面を提示し、依頼者は画面の指示にしたがって立体物情報D10を入力することが可能である。立体物情報D10の入力は、外部装置から立体物情報D10を納期提示システム50に入力することだけではなく、納期提示システム50が記憶しているデータから立体物情報D10として使用するデータを特定することも含んでよい。送信処理は、取得処理で取得した立体物情報D10を製造実行システム10に通信装置52を通じて送信する処理である。取得処理と送信処理とによって、依頼者は、立体物情報D10を、納期提示システム50を通じて製造実行システム10に入力することが可能である。
【0079】
受信処理は、製造実行システム10で生成される納期情報D20を製造実行システム10から通信装置52を通じて受け取る処理である。出力処理は、受信処理で受け取った納期情報D20を入出力装置51により提示する処理である。出力処理は、例えば、入出力装置51により納期情報D20の出力のための画面を提示し、依頼者は画面を見ることで納期情報D20が示す納期及び成功確率を把握することが可能である。受信処理と出力処理とによって、依頼者は、立体物情報D10に対応する納期情報D20を、納期提示システム50を通じて確認することが可能である。
【0080】
演算回路54は、納期情報D20の提示に対して依頼者が立体物の製造を承認するかどうかを回答する画面を入出力装置51に表示させて、依頼者の承認が得られた場合には、依頼者が立体物の製造を承認したことを、通信ネットワーク62を通じて製造実行システム10に通知する。演算回路54は、立体物の納期の結果に関する情報を、入出力装置51を通じて取得し、必要に応じて通信装置52から通信ネットワーク62を通じて製造実行システム10に送信する。立体物の納期の結果に関する情報としては、立体物が依頼者の指定する届け先に実際に届いた日時(つまり、実際にかかった納期までの実働時間)の情報が挙げられる。
【0081】
このように、依頼者は、納期提示システム50を通じて、立体物情報D10を製造実行システム10に提供することができ、製造実行システム10からの納期情報D20を確認し、実際に立体物の製造の依頼をすることができる。
【0082】
(1-3)製造工程の例
(1-3-1)第1例
図5は、製造工程の第1例を示す。第1例は、第1工程A(S11)、品質確認工程(S12)、輸送工程(S13)、第2工程B(S14)、品質確認工程(S15)、及び、輸送工程(S14)を含む。第1例において、工程S11~S14は、この順番に実行される。
【0083】
この場合、第1リストから第1工程Aを実行可能な1以上の第1設備31が抽出され、当該1以上の第1設備31から、第1工程Aに利用する特定の第1設備31が選択される。第2リストから第2工程Bを実行可能な1以上の第2設備32が抽出され、当該1以上の第2設備32から、第2工程Bに利用する特定の第2設備32が選択される。第1工程Aに利用する特定の第1設備31と第2工程Bに利用する特定の第2設備32との組み合わせについて納期が算出される。「1以上の第1設備31」が複数であり、かつ「特定の第1設備31」が複数の場合には、納期は、1つずつ選択された「特定の第1設備31」ごとに算出される。「1以上の第2設備32」が複数であり、かつ「特定の第2設備32」が複数の場合にも、納期は、1つずつ選択された「特定の第2設備32」ごとに算出される。組み合わせ可能な、又は組み合わせて立体物(製品)を製造することが合理的な第1設備31及び第2設備32の組をリスト化し、リストに挙げられている組についてのみ、納期が算出されてもよい。
【0084】
第1工程A(S11)は、第1設備31で樹脂材料から立体物の全部に対応する造形物を形成する工程である。品質確認工程(S12)は、第1工程Aで得られた造形物の品質を確認する工程である。輸送工程(S13)は、第1工程Aで得られた造形物を第1工程Aに利用する第1設備31のある施設20から第2工程Bに利用する第2設備32のある施設20に輸送する工程である。第2工程B(S14)は、第2設備32で造形物の表面処理をする工程である。品質確認工程(S15)は、第2工程Bでの表面処理の品質を確認する工程である。輸送工程(S16)は、第2工程Bでの表面処理後の造形物(完成した立体物)を第2工程Bに利用する第2設備32のある施設20から依頼者が指定する届け先に輸送する工程である。
【0085】
図7は、第1例での納期の説明図であり、納期の算出(つまり、演算回路14での推定処理での推定時間の算出)についてのアローダイアグラムを示す。ノード「1」は立体物の製造の依頼時点であり、ノード「9」は依頼者の指定する届け先に立体物が届く時点である。W11は第1工程A(S11)で利用する第1設備31の利用待ちを示し、tw11は利用待ちの時間を示す。W12は第2工程B(S14)で利用する第2設備32の利用待ちを示し、tw12は利用待ちの時間を示す。t11は第1工程A(S11)の工程時間、t12は品質確認工程(S12)の確認時間、t13は輸送工程(S13)の輸送時間をそれぞれ示す。t14は第2工程B(S14)の工程時間、t15は品質確認工程(S15)の確認時間、t16は輸送工程(S16)の輸送時間をそれぞれ示す。
【0086】
納期の推定時間は、図7のアローダイアグラムのクリティカルパスで表される。例えば、tw11=16時間、tw12=32時間、t11=6時間、t12=2時間、t13=20時間、t14=7時間、t15=1時間、t16=20時間であれば、推定時間は、72時間となる。
【0087】
(1-3-2)第2例
図8は、製造工程の第2例を示す。第2例は、第1工程C(S21)、品質確認工程(S22)、輸送工程(S23)、第1工程D(S24)、品質確認工程(S25)、輸送工程(S26)、第2工程E(S27)、品質確認工程(S28)、及び輸送工程(S29)を含む。第2例において、工程S21~S29は、この順番に実行される。以下の説明では、第1工程C,Dの第1設備31を区別するために必要に応じて符号31c,31dを用いる。第2工程Eの第2設備32を特定するために必要に応じて符号32eを用いる。
【0088】
この場合、第1リストから第1工程C,Dをそれぞれ実行可能な1以上の第1設備31が抽出され、当該1以上の第1設備31から、第1工程C,Dにそれぞれ利用する2つの特定の第1設備31c,31dが選択される。第2リストから第2工程Eを実行可能な1以上の第2設備32が抽出され、当該1以上の第2設備32から、第2工程Eに利用する特定の第2設備32eが選択される。第1工程C,Dにそれぞれ利用する2つの特定の第1設備31c,31dと第2工程Eに利用する特定の第2設備32eとの組み合わせについて納期が算出される。
【0089】
第1工程C(S21)は、第1設備31cにより第1樹脂材料から立体物の一部に対応する造形物を形成する工程である。品質確認工程(S22)は、第1工程Cで得られた造形物の品質を確認する工程である。輸送工程(S23)は、第1工程Cで得られた造形物を第1設備31cのある施設20から第1設備31dのある施設20に輸送する工程である。第1工程D(S24)は、第1工程Cで得られた造形物上に第1設備31dにより第2樹脂材料から立体物の残部に対応する造形物を形成する工程である。品質確認工程(S25)は、第1工程Dで得られた造形物の品質を確認する工程である。輸送工程(S26)は、第1工程Dで得られた造形物を第1設備31dのある施設20から第2工程Eに利用する第2設備32のある施設20に輸送する工程である。第2工程E(S27)は、第2設備32で造形物の加工をして表面精度を向上させる工程である。品質確認工程(S28)は、第2工程Eでの表面精度を確認する工程である。輸送工程(S29)は、第2工程Eでの加工後の造形物(完成した立体物)を第2工程Eに利用する第2設備32のある施設20から依頼者が指定する届け先に輸送する工程である。
【0090】
図9は、第2例での納期の説明図であり、納期の算出についてのアローダイアグラムを示す。ノード「1」は立体物の製造の依頼時点であり、ノード「13」は依頼者の指定する届け先に立体物が届く時点である。W21は第1設備31cの利用待ちを示し、tw21は利用待ちの時間を示す。W22は第1設備31dの利用待ちを示し、tw22は利用待ちの時間を示す。W23は第2設備32の利用待ちを示し、tw23は利用待ちの時間を示す。t21は第1工程C(S21)の工程時間、t22は品質確認工程(S22)の確認時間、t23は輸送工程(S23)の輸送時間をそれぞれ示す。t24は第1工程D(S24)の工程時間、t25は品質確認工程(S25)の確認時間、t26は輸送工程(S26)の輸送時間をそれぞれ示す。t27は第2工程E(S27)の工程時間、t28は品質確認工程(S28)の確認時間、t29は輸送工程(S29)の輸送時間をそれぞれ示す。
【0091】
納期の推定時間は、図9のアローダイアグラムのクリティカルパスで表される。例えば、tw21=6時間、tw22=32時間、tw23=13時間、t21=6時間、t22=1時間、t23=10時間、t24=7時間、t25=2時間、t26=16時間、t27=5時間、t28=1時間、t29=16時間であるとする。この場合、tw22(=32時間)>tw21+t21+t22+t23(=6+6+1+10=23)であり、tw23(=13時間)<tw22+t24+t25+t26(=32+7+2+16=57)である。よって、推定時間は、57+t27+t28+t29=79時間となる。
【0092】
(1-3-3)第3例
図10は、製造工程の第3例を示す。第3例は、第1工程F,Gをそれぞれ含む工程S31,S32、第2工程H,I,J,Kをそれぞれ含む工程S33,S34,S35,S36を含む。第3例において、工程S31,S33,S35はこの順番に実行され、工程S32,S34,S36はこの順番に実行される。工程S31,S33,S35と工程S32,S34,S36は互いに独立であり並列的に実行され得る。以下の説明では、第1工程F,Gの第1設備31を区別するために必要に応じて符号31f,31gを用い、第2工程H,I,J,Kの第2設備32を区別するために必要に応じて符号32h,32i,32j,32kを用いる。
【0093】
この場合、第1リストから第1工程F,Gをそれぞれ実行可能な1以上の第1設備31が抽出され、当該1以上の第1設備31から、第1工程F,Gにそれぞれ利用する2つの特定の第1設備31f,31gが選択される。第2リストから第2工程H,I,J,Kを実行可能な1以上の第2設備32が抽出され、当該1以上の第2設備32から、第2工程H,I,J,Kにそれぞれ利用する4つの特定の第2設備32h,32i,32j,32kが選択される。第1工程F,Gにそれぞれ利用する2つの特定の第1設備31f,31gと第2工程H,I,J,Kにそれぞれ利用する4つの特定の第2設備32h,32i,32j,32kとの組み合わせについて納期が算出される。
【0094】
第1工程Fは、第1設備31fで金属材料から立体物を構成する2つの部品の一方(第1部品)に対応する造形物を形成する工程である。第1工程Gは、第1設備31gで金属材料から立体物を構成する2つの部品の他方(第2部品)に対応する造形物を形成する工程である。第2工程Hは、第1工程Fで得られた造形物を第2設備32hで切削加工して必要な面を削り出す工程である。第2工程Iは、第1工程Gで得られた造形物を第2設備32iで切削加工して必要な面を削り出す工程である。第2工程Jは、第2工程Hで得られた造形物を第2設備32jで焼結する工程である。第2工程Kは、第2工程Hで得られた造形物を第2設備32kで焼結する工程である。
【0095】
工程S31~S36は、いずれも品質確認工程及び輸送工程を含む。品質確認工程は直前の第1工程又は第2工程の結果の品質確認のための工程である。工程S31~S34の輸送工程は次の工程を実行する場所への輸送のための工程である。工程S35,S36の輸送工程は依頼者の指定する届け先への輸送のための工程である。
【0096】
図11は、第3例での納期の説明図であり、納期の算出についてのアローダイアグラムを示す。ノード「1」は立体物の製造の依頼時点であり、ノード「12」は依頼者の指定する届け先に立体物(第1部品及び第2部品)が届く時点である。W31は第1設備31fの利用待ちを示し、tw31は利用待ちの時間を示す。W32は第1設備31gの利用待ちを示し、tw32は利用待ちの時間を示す。W33は第2設備32hの利用待ちを示し、tw33は利用待ちの時間を示す。W34は第2設備32iの利用待ちを示し、tw34は利用待ちの時間を示す。W35は第2設備32jの利用待ちを示し、tw35は利用待ちの時間を示す。W36は第2設備32kの利用待ちを示し、tw36は利用待ちの時間を示す。t31は工程S31の所要時間(工程S31の第1工程Fの工程時間、品質確認工程の確認時間、及び輸送工程の合計)を示す。t32は工程S32の所要時間(工程S32の第1工程Gの工程時間、品質確認工程の確認時間、及び輸送工程の合計)を示す。t33は工程S33の所要時間(工程S33の第2工程Hの工程時間、品質確認工程の確認時間、及び輸送工程の合計)を示す。t34は工程S34の所要時間(工程S34の第2工程Iの工程時間、品質確認工程の確認時間、及び輸送工程の合計)を示す。t35は工程S35の所要時間(工程S35の第2工程Jの工程時間、品質確認工程の確認時間、及び輸送工程の合計)を示す。t36は工程S36の所要時間(工程S36の第2工程Kの工程時間、品質確認工程の確認時間、及び輸送工程の合計)を示す。
【0097】
納期の推定時間は、図11のアローダイアグラムのクリティカルパスで表される。例えば、tw31=5時間、tw32=15時間、tw33=12時間、tw34=16時間、tw35=32時間、tw36=56時間とする。t31=15時間、t32=22時間、t33=15時間、t34=12時間、t35=56時間、t36=46時間とする。この場合、tw33(=12時間)<tw31+t31(=5+15=20)であり、tw35(=32時間)<20+t33(=20+15=35)である。一連の工程S31,S33,S35にかかる時間は、35+t35=91時間である。tw34(=16時間)<tw32+t32(=15+22=37)であり、tw36(=56時間)>37+t34(=37+12=49)である。一連の工程S32,S34,S36にかかる時間は、56+t36=102時間である。よって、推定時間は、一連の工程S32,S34,S36にかかる時間である、102時間となる。
【0098】
(1-3-4)第4例
図12は、製造工程の第4例を示す。第4例は、第1工程L,Mをそれぞれ含む工程S41,S42、第2工程N,O,P,Q,R,Sをそれぞれ含む工程S43,S44,S45,S46,S47,S48を含む。第4例において、工程S41,S43,S45,S47はこの順番に実行され、工程S42,S44,S46,S48はこの順番に実行される。工程S41,S43,S45,S47と工程S42,S44,S46,S48とは互いに独立であり並列的に実行され得る。以下の説明では、第1工程L,Mの第1設備31を区別するために必要に応じて符号31l,31mを用い、第2工程N,O,P,Q,R,Sの第2設備32を区別するために必要に応じて符号32n,32o,32p,32q,32r,32sを用いる。
【0099】
この場合、第1リストから第1工程L,Mをそれぞれ実行可能な1以上の第1設備31が抽出され、当該1以上の第1設備31から、第1工程L,Mにそれぞれ利用する2つの特定の第1設備31l,31mが選択される。第2リストから第2工程N,O,P,Q,R,Sを実行可能な1以上の第2設備32が抽出され、当該1以上の第2設備32から、第2工程N,O,P,Q,R,Sにそれぞれ利用する5つの特定の第2設備32n,32o,32p,32q,32r,32sが選択される。第1工程L,Mにそれぞれ利用する2つの特定の第1設備31l,31mと第2工程N,O,P,Q,R,Sにそれぞれ利用する6つの特定の第2設備32n,32o,32p,32q,32r,32sとの組み合わせについて納期が算出される。
【0100】
第1工程Lは、第1設備31lで金属材料から立体物を構成する2つの部品の一方(第1部品)に対応する造形物を形成する工程である。第1工程Mは、第1設備31mで金属材料から立体物を構成する2つの部品の他方(第2部品)に対応する造形物を形成する工程である。第2工程Nは、第1工程Lで得られた造形物を第2設備32nで焼結する工程である。第2工程Oは、第1工程Mで得られた造形物を第2設備32oで焼結する工程である。第2工程Pは、第2工程Nで得られた造形物を第2設備32pで切削加工して必要な面を削り出す工程である。第2工程Qは、第2工程Oで得られた造形物を第2設備32qで切削加工して必要な面を削り出す工程である。第2工程Rは、第2工程Pで得られた造形物を第2設備32rで焼結する工程である。第2工程Sは、第2工程Qで得られた造形物を第2設備32sで焼結する工程である。
【0101】
工程S41~S48は、いずれも品質確認工程及び輸送工程を含む。品質確認工程は直前の第1工程又は第2工程の結果の品質確認のための工程である。工程S41~S46の輸送工程は次の工程を実行する場所への輸送のための工程である。工程S47,S48の輸送工程は依頼者の指定する届け先への輸送のための工程である。
【0102】
図13は、第4例での納期の説明図であり、納期の算出についてのアローダイアグラムを示す。ノード「1」は立体物の製造の依頼時点であり、ノード「16」は依頼者の指定する届け先に立体物(第1部品及び第2部品)が届く時点である。W41,W42は第1設備31l,31mの利用待ちをそれぞれ示し、tw41,tw42は第1設備31l,31mの利用待ちの時間をそれぞれ示す。W43~W48は第2設備32n~32sの利用待ちをそれぞれ示し、tw43~tw48は第2設備32n~32sの利用待ちの時間をそれぞれ示す。t41,t42は工程S41,S42の所要時間(第1工程L,Mの工程時間、品質確認工程の確認時間、及び輸送工程の合計)をそれぞれ示す。t42~t48は工程S42~S48の所要時間(第2工程N~Sの工程時間、品質確認工程の確認時間、及び輸送工程の合計)をそれぞれ示す。
【0103】
納期の推定時間は、図13のアローダイアグラムのクリティカルパスで表される。例えば、tw41=1時間、tw42=56時間、tw43=34時間、tw44=47時間、tw45=89時間、tw46=45時間、tw47=34時間、tw48=67時間とする。t41=25時間、t42=32時間、t43=11時間、t44=16時間、t45=34時間、t46=56時間、t47=35時間、t48=37時間とする。この場合、tw43(=34時間)>tw41+t41(=1+25=26)であり、tw45(=89時間)>34+t43(=34+11=46)であり、tw47(=34時間)<89+t45(=89+34=123)である。一連の工程S41,S43,S45,S47にかかる時間は、123+t47(=35)=158時間である。tw44(=47時間)<tw42+t42(=56+32=88)であり、tw46(=45時間)<88+t44(=88+16=104)であり、tw48(=87時間)<104+t46(=104+56=160)である。一連の工程S42,S44,S46,S48にかかる時間は、160+t48(=37)=197時間である。よって、推定時間は、一連の工程S42,S44,S46,S48にかかる時間である、197時間となる。
【0104】
(1-3-5)第5例
図14は、製造工程の第5例を示す。第5例は、第1工程T,Uをそれぞれ含む工程S51,S52、第2工程V,W,Xをそれぞれ含む工程S53,S54,S55を含む。第5例において、工程S51,S53はこの順番に実行され、工程S52,S54はこの順番に実行される。工程S51,S53と工程S52,S54とは互いに独立であり並列的に実行され得る。工程S55は、工程S53,S54の後に実行される。以下の説明では、第1工程T,Uの第1設備31を区別するために必要に応じて符号31t,31uを用い、第2工程V,W,Xの第2設備32を区別するために必要に応じて符号32v,32w,32xを用いる。
【0105】
この場合、第1リストから第1工程T,Uをそれぞれ実行可能な1以上の第1設備31が抽出され、当該1以上の第1設備31から、第1工程T,Uにそれぞれ利用する2つの特定の第1設備31t,31uが選択される。第2リストから第2工程V,W,Xを実行可能な1以上の第2設備32が抽出され、当該1以上の第2設備32から、第2工程V,W,Xにそれぞれ利用する3つの特定の第2設備32v,32w,32xが選択される。第1工程T,Uにそれぞれ利用する2つの特定の第1設備31t,31uと第2工程V,W,Xにそれぞれ利用する3つの特定の第2設備32v,32w,32xとの組み合わせについて納期が算出される。
【0106】
第1工程Tは、第1設備31tで樹脂材料から立体物を構成する2つの部品の一方(第1部品)に対応する造形物を形成する工程である。第1工程Uは、第1設備31uで金属材料から立体物を構成する2つの部品の他方(第2部品)に対応する造形物を形成する工程である。第2工程Vは、第1工程Tで得られた造形物(第1部品)を第2設備32vで表面処理する工程である。第2工程Wは、第1工程Uで得られた造形物(第2部品)を第2設備32wで焼結する工程である。第2工程Xは、第2工程Vで得られた造形物(第1部品)と第2工程Wで得られた造形物(第2部品)とを第2設備32xで接合して立体物を組み立てる工程である。
【0107】
工程S51~S55は、いずれも品質確認工程及び輸送工程を含む。品質確認工程は直前の第1工程又は第2工程の結果の品質確認のための工程である。工程S51~S54の輸送工程は次の工程を実行する場所への輸送のための工程である。工程S55の輸送工程は依頼者の指定する届け先への輸送のための工程である。
【0108】
図15は、第5例での納期の説明図であり、納期の算出についてのアローダイアグラムを示す。ノード「1」は立体物の製造の依頼時点であり、ノード「11」は依頼者の指定する届け先に立体物が届く時点である。W51,W52は第1設備31t,31uの利用待ちをそれぞれ示し、tw51,tw52は第1設備31t,31uの利用待ちの時間をそれぞれ示す。W53~W55は第2設備32v~32xの利用待ちをそれぞれ示し、tw53~tw55は第2設備32v~32xの利用待ちの時間をそれぞれ示す。t51,t52は工程S51,S52の所要時間(第1工程T,Uの工程時間、品質確認工程の確認時間、及び輸送工程の合計)をそれぞれ示す。t52~t55は工程S52~S55の所要時間(第2工程V~Xの工程時間、品質確認工程の確認時間、及び輸送工程の合計)をそれぞれ示す。
【0109】
納期の推定時間は、図15のアローダイアグラムのクリティカルパスで表される。例えば、tw51=11時間、tw52=21時間、tw53=37時間、tw54=17時間、tw55=23時間とする。t51=22時間、t52=12時間、t53=11時間、t54=32時間、t55=26時間とする。この場合、tw53(=37時間)>tw51+t51(=11+22=33)であり、ノード「1」から「5」までの時間は、37+t53(=11)=48時間である。tw54(=17時間)<tw52+t52(=21+12=33)であり、ノード「1」から「9」までの時間は、33+t54(=32)=68時間である。そして、tw55は、26時間であるから、推定時間は、ノード「1」から「9」までの時間(=68)+t55(=26)=94時間となる。
197時間となる。
【0110】
(1-3-6)第6例
第1例~第5例では、1つの立体物を製造する場合を想定している。製造システム1は、立体物情報D10に基づいて複数の同一の立体物を製造してよい。この場合、複数の第1設備31を並列的に利用することで、複数の立体物を並列的に造形することができて、単一の第1設備31で複数の立体物を直列的に造形する場合に比べれば、納期の短縮が図れる。
【0111】
製造工程の第6例は、同一の立体物を複数(2つ)製造する例である。第6例は、図12に示す製造工程の第4例と同様の製造工程を適用することができる。つまり、第6例は、第1工程L,Mをそれぞれ含む工程S41,S42、第2工程N,O,P,Q,R,Sをそれぞれ含む工程S43,S44,S45,S46,S47,S48を含む。工程S41,S43,S45,S47はこの順番に実行され、工程S42,S44,S46,S48はこの順番に実行される。工程S41,S43,S45,S47と工程S42,S44,S46,S48とは互いに独立であり並列的に実行され得る。
【0112】
第6例では、第1工程L,Mは、それぞれ第1設備31l,31mで金属材料から立体物に対応する造形物を形成する工程である。第2工程N,Oは、それぞれ第1工程L,Mで得られた造形物を第2設備32n,32mで焼結する工程である。第2工程P,Qは、それぞれ第2工程N,Oで得られた造形物を第2設備32p,32qで切削加工して必要な面を削り出す工程である。第2工程R,Sは、それぞれ第2工程P,Qで得られた造形物を第2設備32r,32sで焼結する工程である。第6例では、一連の工程S41,S43,S45,S47によって、1つの立体物が製造され、一連の工程S42,S44,S46,S48によって、1つの立体物が製造される。これによって、合計2つの立体物が製造される。
【0113】
工程S41~S48は、いずれも品質確認工程及び輸送工程を含む。品質確認工程は直前の第1工程又は第2工程の結果の品質確認のための工程である。工程S41~S46の輸送工程は次の工程を実行する場所への輸送のための工程である。工程S47,S48の輸送工程は依頼者の指定する届け先への輸送のための工程である。
【0114】
第6例においても、第4例と同様に図13のアローダイアグラムを適用できる。納期の推定時間は、第4例で説明した通りであり、一連の工程S41,S43,S45,S47にかかる時間は、158時間となり、一連の工程S42,S44,S46,S48にかかる時間は、197時間となる。2つの立体物を分割して納品する場合、1つめの立体物は158時間で納品でき、2つめの立体物は197時間で納品することが可能である。一方、2つの立体物を一括して納品する場合、最も遅い推定時間に合わせて納品することになるが、単一の第1設備31で複数の立体物を製造する場合に比べれば、納期の短縮が期待できる。第6例は、2つの同一の立体物を製造する例であるが、3以上の同一の立体物を製造する例にも適用可能である。つまり、複数の同一の立体物を製造する場合には、複数の第1設備31によって、同一の立体物を並列的に造形することで、納期の短縮化が図れる。この場合、複数の第1設備31の少なくとも一つは、必要に応じて、2以上の同一の立体物を造形してよい。理想的には、複数の第1設備31の各々が1つの立体物の造形を行うとよいが、スケジュール等により十分な数の第1設備31を並列的に利用できない場合があるからである。第6例では、第1工程S41,42に個々に第2工程を付加しているが、第2工程が複数の造形物に対して並列的な作業が可能であれば、第1工程S41,42後に共通の第2工程を利用することも可能である。
【0115】
(1-4)動作
以下、図16のフローチャートを参照して、本実施形態の製造システム1の動作について簡単に説明する。
【0116】
製造システム1では、依頼者が立体物の製造の依頼をする場合、納期提示システム50が利用される。納期提示システム50では、演算回路54が取得処理(S110)を実行し、これによって、依頼者は画面の指示にしたがって立体物情報D10を入力することが可能である。演算回路54は、送信処理(S120)を実行し、取得処理で取得した立体物情報D10を製造実行システム10に通信装置52を通じて送信する。
【0117】
製造実行システム10では、演算回路14が記憶処理(S130)を実行し、立体物情報D10を記憶装置13に記憶させる。演算回路14は、決定処理(S140)を実行し、立体物情報D10に基づいて立体物の製造工程を決定して製造工程情報D11を生成する。演算回路14は、選択処理(S150)を実行し、立体物の製造に用いる設備30を選択する。より詳細には、演算回路14は、選択処理において、製造工程情報D11を参照して、1以上の第1設備31から1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備31を選択し、1以上の第2設備32から1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備32を選択する。演算回路14は、生成処理(D160)を実行し、納期情報D20を生成する。納期情報D20は、納期と、成功確率とを含む。納期情報D20は、通信装置12を通じて納期提示システム50に送信される。
【0118】
納期提示システム50では、演算回路54が受信処理(S170)を実行し、製造実行システム10で生成される納期情報D20を製造実行システム10から通信装置52を通じて受け取る。演算回路54は、出力処理(S180)を実行し、受信処理で受け取った納期情報D20を入出力装置51により提示する。演算回路54は、依頼者が立体物の製造を承認したかどうかを確認する(S190)。依頼者の承認が得られなかった場合には(S190:NO)、演算回路54は、依頼者の承認が得られなかったことを製造実行システム10に通知する。この場合、製造実行システム10では、演算回路14が選択処理(S150)から再度処理を実行してよい。
【0119】
依頼者の承認が得られた場合には(S190:YES)、演算回路54は、依頼者の承認が得られたことを製造実行システム10に通知する。この場合、製造実行システム10では、演算回路14が実行処理(S200)を実行し、選択処理(S150)で選択された1以上の特定の第1設備31及び1以上の特定の第2設備32を用いて製造工程情報D11にしたがって立体物の製造をするための指示を必要な管理システム40に与える。これによって、製造システム1では、立体物が製造され、依頼者の指定する届け先に届けられる。
【0120】
この後には、製造実行システム10では、演算回路14が収集処理(S210)を実行し、実際にかかった納期までの実働時間の情報と、所要時間に対応する実際の時間の情報とを得て、対応情報D16の更新及び時間差情報D15の更新が行われる。演算回路14は、修正処理(S220)を実行して、時間差情報D15に基づいて、所要時間情報D14を修正する。
【0121】
(1-5)まとめ
以上述べたように、本実施形態の製造システム1は、製造実行システム10と、納期提示システム50を、を備える。
【0122】
製造実行システム10は、記憶装置13と、演算回路14とを備える。記憶装置13は、製造工程情報D11と、利用スケジュール情報D13と、所要時間情報D14と、を記憶する。製造工程情報D11は、立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報D10に基づいて決定される立体物の製造工程を示す。製造工程は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程及びアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む。利用スケジュール情報D13は、1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備31の利用のスケジュール及び1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備32の利用のスケジュールを示す。所要時間情報D14は、各第1設備31における第1工程の完了に要する第1工程時間及び各第2設備32における第2工程の完了に要する第2工程時間を含む複数の所要時間を示す。演算回路14は、選択処理と、生成処理とを実行する。選択処理は、製造工程情報D11を参照して、1以上の第1設備31から1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備31を選択し、1以上の第2設備32から1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備32を選択する。生成処理は、利用スケジュール情報D13及び所要時間情報D14を参照して、選択処理で選択された1以上の特定の第1設備31及び1以上の特定の第2設備32を用いて製造工程情報D11にしたがって製造される立体物の納期を含む納期情報D20を生成する。このような製造実行システム10によれば、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0123】
換言すれば、製造実行システム10は、以下の方法(製造実行方法)を実行しているといえる。製造実行方法は、記憶装置13にアクセス可能な演算回路14で実行され、選択処理と、生成処理と、を含む。このような製造実行方法によれば、製造実行システム10と同様に、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0124】
製造実行システム10は、演算回路14を利用して実現されている。つまり、製造実行システム10が実行する方法(製造実行方法)は、演算回路14がプログラムを実行することにより実現され得る。このプログラムは、演算回路14に、上記の製造実行方法を実行させるためのコンピュータプログラムである。このようなプログラムによれば、製造実行システム10と同様に、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0125】
納期提示システム50は、ユーザからの情報の入力及びユーザへの情報の出力のための入出力装置51と、製造実行システム10と通信可能に接続される通信装置52と、演算回路54と、を備える。演算回路54は、取得処理と、送信処理と、受信処理と、出力処理と、を実行する。取得処理は、入出力装置51により立体物情報D10を取得する。送信処理は、取得処理で取得した立体物情報D10を製造実行システム10に通信装置52を通じて送信する。受信処理は、製造実行システム10で生成される納期情報D20を製造実行システム10から通信装置52を通じて受け取る。出力処理は、受信処理で受け取った納期情報D20を入出力装置51により提示する。このような納期提示システム50によれば、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0126】
換言すれば、納期提示システム50は、以下の方法(納期提示方法)を実行しているといえる。納期提示方法は、入出力装置51及び通信装置52に接続される演算回路54によって実行され、取得処理と、送信処理と、受信処理と、出力処理と、を含む。このような納期提示方法によれば、納期提示システム50と同様に、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0127】
納期提示システム50は、演算回路54を利用して実現されている。つまり、納期提示システム50が実行する方法(納期提示方法)は、演算回路54がプログラムを実行することにより実現され得る。このプログラムは、演算回路54に、納期提示方法を実行させるためのコンピュータプログラムである。このようなプログラムによれば、納期提示システム50と同様に、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0128】
(2)変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0129】
一変形例では、製造システム1において、製造実行システム10、管理システム40、及び納期提示システム50がそれぞれ異なるコンピュータシステムで実現されることは必須ではない。製造実行システム10、管理システム40、及び納期提示システム50は単一のコンピュータシステムで実現されてもよい。
【0130】
一変形例では、製造実行システム10、管理システム40及び納期提示システム50は、それぞれ、入出力装置11,41,51と通信装置12,42,52との両方を備える必要はない。
【0131】
一変形例では、製造工程情報D11において、製造工程は、必ずしも、品質確認工程を含む必要はないし、輸送工程を含む必要もない。
【0132】
一変形例では、所要時間情報D14は、必ずしも、確認時間を含んでいる必要はない。第1工程又は第2工程に関して、確認時間が決まった時間として近似できる場合、確認時間を第1工程時間又は第2工程時間に含めてよい。所要時間情報D14は、必ずしも、輸送時間を含んでいる必要はない。第1工程又は第2工程に関して、輸送時間が決まった時間として近似できる場合、輸送時間を第1工程時間又は第2工程時間に含めてよい。
【0133】
一変形例では、生成処理は、補正処理を含んでいなくてもよい。この場合、対応情報D16は記憶装置13に記憶されている必要はなく、対応情報D16のための情報を収集処理で収集する必要はない。
【0134】
一変形例では、演算回路14は、修正処理を実行しなくてもよい。この場合、時間差情報D15は記憶装置13に記憶されている必要はなく、時間差情報D15のための情報を収集処理で収集する必要はない。
【0135】
一変形例では、納期情報D20は、成功確率の代わりに失敗確率を含んでいてもよい。納期情報D20が成功確率又は失敗確率を含むことは必須ではない。この場合、成功確率情報D17は記憶装置13に記憶されている必要はない。
【0136】
一変形例では、製造実行システム10、管理システム40、及び納期提示システム50の各々は、複数台のサーバ等のコンピュータシステムで実現されてもよい。つまり、製造実行システム10、管理システム40、及び納期提示システム50の各々における複数の機能(構成要素)が、1つの筐体内に集約されていることは必須ではなく、製造実行システム10、管理システム40、及び納期提示システム50の各々の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、製造実行システム10、管理システム40、及び納期提示システム50の各々の少なくとも一部の機能、例えば、演算回路14,44,54の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0137】
(3)態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0138】
第1の態様は、製造実行システム(10)であって、記憶装置(13)と演算回路(14)とを備える。前記記憶装置(13)は、製造工程情報(D11)と、利用スケジュール情報(D13)と、所要時間情報(D14)と、を記憶する。前記製造工程情報(D11)は、立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報(D10)に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程及びアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す。前記利用スケジュール情報(D13)は、前記1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備(31)の利用のスケジュール及び前記1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備(32)の利用のスケジュールを示す。前記所要時間情報(D14)は、各第1設備(31)における第1工程の完了に要する第1工程時間及び各第2設備(32)における第2工程の完了に要する第2工程時間を含む複数の所要時間を示す。前記演算回路(14)は、選択処理と生成処理とを実行する。前記選択処理は、前記製造工程情報(D11)を参照して、前記1以上の第1設備(31)から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備(31)を選択し、前記1以上の第2設備(32)から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備(32)を選択する処理である。前記実行処理は、前記利用スケジュール情報(D13)及び前記所要時間情報(D14)を参照して、前記選択処理で選択された前記1以上の特定の第1設備(31)及び前記1以上の特定の第2設備(32)を用いて前記製造工程情報(D11)にしたがって製造される前記立体物の納期を含む納期情報(D20)を生成する処理である。この態様によれば、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0139】
第2の態様は、第1の態様に基づく製造実行システム(10)である。第2の態様では、前記記憶装置(13)は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する設備(30)のリストを記憶する。前記選択処理は、前記製造工程情報(D11)に基づいて前記アディティブマニュファクチャリング技術を利用する設備(30)のリストを検索して、前記1以上の第1設備(31)を抽出する。この態様によれば、リストを更新することで第1設備(31)の候補となる設備(30)を増やすことができる。
【0140】
第3の態様は、第1又は第2の態様に基づく製造実行システム(10)である。第3の態様では、前記記憶装置(13)は、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する設備(30)のリストを記憶する。前記選択処理は、前記製造工程情報(D11)に基づいて前記アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する設備(30)のリストを検索して、前記1以上の第2設備(32)を抽出する。この態様によれば、リストを更新することで第2設備(32)の候補となる設備(30)を増やすことができる。
【0141】
第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか一つに基づく製造実行システム(10)である。第4の態様では、前記複数の所要時間は、前記1以上の第1工程と前記1以上の第2工程との少なくとも一方の後に実行される品質確認にかかる確認時間と、前記立体物に関する輸送にかかる輸送時間との少なくとも一方を含む。この態様によれば、立体物の納期の精度の向上が期待できる。
【0142】
第5の態様は、第4の態様に基づく製造実行システム(10)である。第5の態様では、前記輸送時間は、前記1以上の特定の第1設備(31)と前記1以上の特定の第2設備(32)とを含む特定の設備間の前記立体物に関する輸送にかかる第1輸送時間と、前記1以上の特定の第2設備(32)と前記立体物の届け先との間の前記立体物に関する輸送にかかる第2輸送時間との少なくとも一方を含む。この態様によれば、立体物の納期の精度の向上が期待できる。
【0143】
第6の態様は、第4又は第5の態様に基づく製造実行システム(10)である。第6の態様では、前記輸送時間は、前記1以上の特定の第1設備(31)の場所、前記1以上の特定の第2設備(32)の場所、及び前記立体物の届け先に基づいて決定される。この態様によれば、立体物の納期の精度の向上が期待できる。
【0144】
第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか一つに基づく製造実行システム(10)である。第7の態様では、前記生成処理は、前記利用スケジュール情報(D13)及び前記所要時間情報(D14)を参照して前記立体物の納期までにかかる推定時間を求める推定処理を含む。前記記憶装置(13)は、前記立体物に関して前記推定時間と実際にかかった前記納期までの実働時間との対応関係を示す対応情報(D16)を記憶する。前記生成処理は、前記対応情報(D16)に基づいて前記推定処理で求めた推定時間を補正する補正処理を含み、補正後の推定時間を参照して前記立体物の納期を決定する。この態様によれば、立体物の納期の精度の向上が期待できる。
【0145】
第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか一つに基づく製造実行システム(10)である。第8の態様では、前記記憶装置(13)は、前記複数の所要時間のうちの特定の所要時間と当該特定の所要時間に対応する実際の時間との時間差に関する時間差情報(D15)を記憶する。前記演算回路(14)は、前記時間差が小さくなるように、前記特定の所要時間を修正する修正処理を実行する。この態様によれば、立体物の納期の精度の向上が期待できる。
【0146】
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか一つに基づく製造実行システム(10)である。第9の態様では、前記納期情報(D20)は、前記選択処理で選択された前記特定の第1設備(31)及び前記特定の第2設備(32)を用いた前記立体物の製造の成功確率又は失敗確率を含む。この態様によれば、立体物の製造の成功確率又は失敗確率を提示できる。
【0147】
第10の態様は、第1~第9の態様のいずれか一つに基づく製造実行システム(10)である。第10の態様では、各特定の第1設備(31)は、前記1以上の第1設備(31)のうち、所定時間内に利用可能になる第1設備(31)である。この態様によれば、立体物のより早い納期を提示できる可能性が高まる。
【0148】
第11の態様は、第1~第10の態様のいずれか一つに基づく製造実行システム(10)である。第11の態様では、各特定の第2設備(32)は、前記1以上の第2設備(32)のうち、所定時間内に利用可能になる第2設備(32)である。この態様によれば、立体物のより早い納期を提示できる可能性が高まる。
【0149】
第12の態様は、第1~第11の態様のいずれか一つに基づく製造実行システム(10)である。第12の態様では、各特定の第2工程は、前記1以上の特定の第1工程の少なくとも一つの後に実行される。各特定の第2設備(32)は、前記1以上の第2設備(32)のうち、前記第1工程の開始予定時点から前記1以上の特定の第1設備(31)の少なくとも一つの第1工程時間を含む待機時間の経過後の時点以後の利用可能時間が第2工程時間以上である第2設備(32)である。この態様によれば、立体物のより早い納期を提示できる可能性が高まる。
【0150】
第13の態様は、第1~第12の態様のいずれか一つに基づく製造実行システム(10)である。第13の態様では、前記1以上の第1工程は、前記立体物の一部又は全部の造形を行う工程であり、前記1以上の第2工程は、前記1以上の第1工程で得られた造形物を対象とする工程である。この態様によれば、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0151】
第14の態様は、第1~第13の態様のいずれか一つに基づく製造実行システム(10)である。第14の態様では、前記製造実行システム(10)は、ユーザからの情報の入力のための入力装置(入出力装置11)と外部装置(管理システム40及び納期提示システム50)と通信可能に接続される通信装置(12)との少なくとも一方を有するインタフェースを備える。前記演算回路(14)は、前記インタフェースを通じて前記立体物情報(D10)を受け取って前記記憶装置(13)に記憶させる記憶処理を含む。この態様によれば、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0152】
第15の態様は、記憶装置(13)にアクセス可能な演算回路(14)で実行される製造実行方法である。前記記憶装置(13)は、製造工程情報(D11)と、利用スケジュール情報(D13)と、所要時間情報(D14)と、を記憶する。前記製造工程情報(D11)は、立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報(D10)に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程及びアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す。前記利用スケジュール情報(D13)は、前記1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備(31)の利用のスケジュール及び前記1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備(32)の利用のスケジュールを示す。前記所要時間情報(D14)は、各第1設備(31)における第1工程の完了に要する第1工程時間及び各第2設備(32)における第2工程の完了に要する第2工程時間を含む複数の所要時間を示す。前記製造実行方法は、選択処理と生成処理とを含む。前記選択処理は、前記製造工程情報(D11)を参照して、前記1以上の第1設備(31)から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備(31)を選択し、前記1以上の第2設備(32)から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備(32)を選択する処理である。前記生成処理は、前記利用スケジュール情報(D13)及び前記所要時間情報(D14)を参照して、前記選択処理で選択された前記1以上の特定の第1設備(31)及び前記1以上の特定の第2設備(32)を用いて前記製造工程情報(D11)にしたがって製造される前記立体物の納期を含む納期情報(D20)を生成する処理である。この態様によれば、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0153】
第16の態様は、プログラムであって、第15の態様の製造実行方法を、前記演算回路(14)に実行させるための、プログラムである。この態様によれば、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0154】
第17の態様は、納期提示システム(50)であって、ユーザからの情報の入力及びユーザへの情報の出力のための入出力装置(51)と、第1~第14の態様のいずれか一つの製造実行システム(10)と通信可能に接続される通信装置(52)と、演算回路(54)と、を備える。前記演算回路(54)は、取得処理と、送信処理と、受信処理と、出力処理と、を実行する。前記取得処理は、前記入出力装置(51)により前記立体物情報(D10)を取得する処理である。前記送信処理は、前記取得処理で取得した前記立体物情報(D10)を前記製造実行システム(10)に前記通信装置(52)を通じて送信する処理である。前記受信処理は、前記製造実行システム(10)で生成される前記納期情報(D20)を前記製造実行システム(10)から前記通信装置(52)を通じて受け取る処理である。前記出力処理は、前記受信処理で受け取った前記納期情報(D20)を前記入出力装置(51)により提示する処理である。この態様によれば、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0155】
第18の態様は、ユーザからの情報の入力及びユーザへの情報の出力のための入出力装置(51)及び第1~第14の態様のいずれか一つの製造実行システム(10)と通信可能に接続される通信装置(52)に接続される演算回路(54)によって実行される納期提示方法である。前記納期提示方法は、取得処理と、送信処理と、受信処理と、出力処理と、を含む。前記取得処理は、前記入出力装置(51)により前記立体物情報(D10)を取得する処理である。前記送信処理は、前記取得処理で取得した前記立体物情報(D10)を前記製造実行システム(10)に前記通信装置(52)を通じて送信する処理である。前記受信処理は、前記製造実行システム(10)で生成される前記納期情報(D20)を前記製造実行システム(10)から前記通信装置(52)を通じて受け取る処理である。前記出力処理は、前記受信処理で受け取った前記納期情報(D20)を前記入出力装置(51)により提示する処理である。この態様によれば、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0156】
第19の態様は、プログラムであって、第18の態様の納期提示方法を、前記演算回路(54)に実行させるための、プログラムである。この態様によれば、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0157】
第20の態様は、製造システム(1)であって、第1~第14の態様のいずれか一つの製造実行システム(10)と、納期提示システム(50)と、を備える。前記納期提示システム(50)は、ユーザからの情報の入力及びユーザへの情報の出力のための入出力装置(51)と、第1~第14の態様のいずれか一つの製造実行システム(10)と通信可能に接続される通信装置(52)と、演算回路(54)と、を備える。前記演算回路(54)は、取得処理と、送信処理と、受信処理と、出力処理と、を実行する。前記取得処理は、前記入出力装置(51)により前記立体物情報(D10)を取得する処理である。前記送信処理は、前記取得処理で取得した前記立体物情報(D10)を前記製造実行システム(10)に前記通信装置(52)を通じて送信する処理である。前記受信処理は、前記製造実行システム(10)で生成される前記納期情報(D20)を前記製造実行システム(10)から前記通信装置(52)を通じて受け取る処理である。前記出力処理は、前記受信処理で受け取った前記納期情報(D20)を前記入出力装置(51)により提示する処理である。この態様によれば、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期を提示できる。
【0158】
なお、第2~第14の態様は、第15の態様にも適宜変更して適用することが可能である。
【符号の説明】
【0159】
1 製造システム
10 製造実行システム
11 入出力装置
12 通信装置
13 記憶装置
14 演算回路
30 設備
31 第1設備
32 第2設備
40 管理システム
50 納期提示システム
51 入出力装置
52 通信装置
54 演算回路
D10 立体物情報
D11 製造工程情報
D13 利用スケジュール情報
D14 所要時間情報
D15 時間差情報
D16 対応情報
D20 納期情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2021-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置と演算回路とを備え、
前記記憶装置は、
立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程及びアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す製造工程情報と、
前記1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備の利用のスケジュール及び前記1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備の利用のスケジュールを示す利用スケジュール情報と、
各第1設備における第1工程の完了に要する第1工程時間及び各第2設備における第2工程の完了に要する第2工程時間を含む複数の所要時間を示す所要時間情報と、
各第1設備における第1工程の成功する確率である第1工程成功確率及び各第2設備における第2工程の成功する確率である第2工程成功確率を含む複数の成功確率を示す成功確率情報と、
を記憶し、
前記演算回路は、
前記製造工程情報を参照して、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備を選択する選択処理と、
前記利用スケジュール情報及び前記所要時間情報を参照して、前記選択処理で選択された前記1以上の特定の第1設備及び前記1以上の特定の第2設備を用いて前記製造工程情報にしたがって製造される前記立体物の納期と、記選択処理で選択された前記特定の第1設備及び前記特定の第2設備を用いた前記立体物の製造の成功確率とを含む納期情報を生成する生成処理と、
を実行
前記製造工程は、更に、前記1以上の第1工程の後に実行される前記立体物に関する品質の確認のための工程である品質確認工程と、前記1以上の特定の第1設備と前記1以上の特定の第2設備との間の前記立体物に関する輸送の工程である輸送工程とを含み、
前記複数の所要時間は、前記品質確認工程にかかる確認時間と、前記輸送工程にかかる輸送時間とを含み、
前記複数の成功確率情報は、前記品質確認工程の成功する確率である確認成功確率と、前記輸送工程での輸送の成功する確率である輸送成功確率とを含み、
前記生成処理は、
前記第1工程時間と前記確認時間と前記輸送時間との合計と、前記利用スケジュール情報から特定される前記1以上の特定の第2設備が利用可能になるまでの時間である前記1以上の第2工程の実行のための待ち時間とのうち大きいほうと、前記第2工程時間とに基づいて、前記納期を算出し、
前記第1工程成功確率、前記第2工程成功確率、前記確認成功確率、及び輸送成功確率の積に基づいて、前記成功確率を算出する、
製造実行システム。
【請求項2】
前記記憶装置は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する設備のリストを記憶し、
前記選択処理は、前記製造工程情報に基づいて前記アディティブマニュファクチャリング技術を利用する設備のリストを検索して、前記1以上の第1設備を抽出する、
請求項1に記載の製造実行システム。
【請求項3】
前記記憶装置は、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する設備のリストを記憶し、
前記選択処理は、前記製造工程情報に基づいて前記アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する設備のリストを検索して、前記1以上の第2設備を抽出する、
請求項1又は2に記載の製造実行システム。
【請求項4】
前記生成処理は、前記利用スケジュール情報及び前記所要時間情報を参照して前記立体物の納期までにかかる推定時間を求める推定処理を含み、
前記記憶装置は、前記立体物に関して前記推定時間と実際にかかった前記納期までの実働時間との対応関係を示す対応情報を記憶し、
前記生成処理は、前記対応情報に基づいて前記推定処理で求めた推定時間を補正する補正処理を含み、補正後の推定時間を参照して前記立体物の納期を決定する、
請求項1~3のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項5】
前記記憶装置は、前記複数の所要時間のうちの特定の所要時間と当該特定の所要時間に対応する実際の時間との時間差に関する時間差情報を記憶し、
前記演算回路は、前記時間差が小さくなるように、前記特定の所要時間を修正する修正処理を実行する、
請求項1~4のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項6】
各特定の第1設備は、前記1以上の第1設備のうち、所定時間内に利用可能になる第1設備である、
請求項1~5のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項7】
各特定の第2設備は、前記1以上の第2設備のうち、所定時間内に利用可能になる第2設備である、
請求項1~6のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項8】
各特定の第2工程は、前記1以上の特定の第1工程の少なくとも一つの後に実行され、
各特定の第2設備は、前記1以上の第2設備のうち、前記第1工程の開始予定時点から前記1以上の特定の第1設備の少なくとも一つの第1工程時間を含む待機時間の経過後の時点以後の利用可能時間が第2工程時間以上である第2設備である、
請求項1~7のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項9】
前記1以上の第1工程は、前記立体物の一部又は全部の造形を行う工程であり、
前記1以上の第2工程は、前記1以上の第1工程で得られた造形物を対象とする工程である、
請求項1~8のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項10】
ユーザからの情報の入力のための入力装置と外部装置と通信可能に接続される通信装置との少なくとも一方を有するインタフェースを備え、
前記演算回路は、前記インタフェースを通じて前記立体物情報を受け取って前記記憶装置に記憶させる記憶処理を含む、
請求項1~9のいずれか一つに記載の製造実行システム。
【請求項11】
記憶装置にアクセス可能な演算回路で実行される製造実行方法であって、
前記記憶装置は、
立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程及びアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す製造工程情報と、
前記第1工程を実行可能な1以上の第1設備の利用のスケジュール及び前記第2工程を実行可能な1以上の第2設備の利用のスケジュールを示す利用スケジュール情報と、
各第1設備における第1工程の完了に要する第1工程時間及び各第2設備における第2工程の完了に要する第2工程時間を含む複数の所要時間を示す所要時間情報と、
各第1設備における第1工程の成功する確率である第1工程成功確率及び各第2設備における第2工程の成功する確率である第2工程成功確率を含む複数の成功確率を示す成功確率情報と、
を記憶し、
前記製造実行方法は、
前記製造工程情報を参照して、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備を選択する選択処理と、
前記利用スケジュール情報及び前記所要時間情報を参照して、前記選択処理で選択された前記1以上の特定の第1設備及び前記1以上の特定の第2設備を用いて前記製造工程情報にしたがって製造される前記立体物の納期と、記選択処理で選択された前記特定の第1設備及び前記特定の第2設備を用いた前記立体物の製造の成功確率とを含む納期情報を生成する生成処理と、
を含み、
前記製造工程は、更に、前記1以上の第1工程の後に実行される前記立体物に関する品質の確認のための工程である品質確認工程と、前記1以上の特定の第1設備と前記1以上の特定の第2設備との間の前記立体物に関する輸送の工程である輸送工程とを含み、
前記複数の所要時間は、前記品質確認工程にかかる確認時間と、前記輸送工程にかかる輸送時間とを含み、
前記複数の成功確率情報は、前記品質確認工程の成功する確率である確認成功確率と、前記輸送工程での輸送の成功する確率である輸送成功確率とを含み、
前記生成処理は、
前記第1工程時間と前記確認時間と前記輸送時間との合計と、前記利用スケジュール情報から特定される前記1以上の特定の第2設備が利用可能になるまでの時間である前記1以上の第2工程の実行のための待ち時間とのうち大きいほうと、前記第2工程時間とに基づいて、前記納期を算出し、
前記第1工程成功確率、前記第2工程成功確率、前記確認成功確率、及び輸送成功確率の積に基づいて、前記成功確率を算出する、
製造実行方法。
【請求項12】
請求項11に記載の製造実行方法を、前記演算回路に実行させるための、
プログラム。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一つに記載の製造実行システムと、
納期提示システムと、
を備え、
前記納期提示システムは、
ユーザからの情報の入力及びユーザへの情報の出力のための入出力装置と、
前記製造実行システムと通信可能に接続される通信装置と、
演算回路と、
を備え、
前記演算回路は、
前記入出力装置により前記立体物情報を取得する取得処理と、
前記取得処理で取得した前記立体物情報を前記製造実行システムに前記通信装置を通じて送信する送信処理と、
前記製造実行システムで生成される前記納期情報を前記製造実行システムから前記通信装置を通じて受け取る受信処理と、
前記受信処理で受け取った前記納期情報を前記入出力装置により提示する出力処理と、
を実行する、
製造システム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
課題は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の納期
を提示できる、製造実行システム、製造実行方法、プログラム、及び、製造システムを提供することである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本開示の一態様の製造実行システムは、記憶装置と演算回路とを備える。前記記憶装置は、立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程及びアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す製造工程情報と、前記1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備の利用のスケジュール及び前記1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備の利用のスケジュールを示す利用スケジュール情報と、各第1設備における第1工程の完了に要する第1工程時間及び各第2設備における第2工程の完了に要する第2工程時間を含む複数の所要時間を示す所要時間情報と、各第1設備における第1工程の成功する確率である第1工程成功確率及び各第2設備における第2工程の成功する確率である第2工程成功確率を含む複数の成功確率を示す成功確率情報とを記憶する。前記演算回路は、前記製造工程情報を参照して、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備を選択する選択処理と、前記利用スケジュール情報及び前記所要時間情報を参照して、前記選択処理で選択された前記1以上の特定の第1設備及び前記1以上の特定の第2設備を用いて前記製造工程情報にしたがって製造される前記立体物の納期と、記選択処理で選択された前記特定の第1設備及び前記特定の第2設備を用いた前記立体物の製造の成功確率とを含む納期情報を生成する生成処理と、を実行する。前記製造工程は、更に、前記1以上の第1工程の後に実行される前記立体物に関する品質の確認のための工程である品質確認工程と、前記1以上の特定の第1設備と前記1以上の特定の第2設備との間の前記立体物に関する輸送の工程である輸送工程とを含む。前記複数の所要時間は、前記品質確認工程にかかる確認時間と、前記輸送工程にかかる輸送時間とを含む。前記複数の成功確率情報は、前記品質確認工程の成功する確率である確認成功確率と、前記輸送工程での輸送の成功する確率である輸送成功確率とを含む。前記生成処理は、前記第1工程時間と前記確認時間と前記輸送時間との合計と、前記利用スケジュール情報から特定される前記1以上の特定の第2設備が利用可能になるまでの時間である前記1以上の第2工程の実行のための待ち時間とのうち大きいほうと、前記第2工程時間とに基づいて、前記納期を算出し、前記第1工程成功確率、前記第2工程成功確率、前記確認成功確率、及び輸送成功確率の積に基づいて、前記成功確率を算出する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示の一態様の製造実行方法は、記憶装置にアクセス可能な演算回路で実行される。前記記憶装置は、立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程及びアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す製造工程情報と、前記第1工程を実行可能な1以上の第1設備の利用のスケジュール及び前記第2工程を実行可能な1以上の第2設備の利用のスケジュールを示す利用スケジュール情報と、各第1設備における第1工程の完了に要する第1工程時間及び各第2設備における第2工程の完了に要する第2工程時間を含む複数の所要時間を示す所要時間情報と、各第1設備における第1工程の成功する確率である第1工程成功確率及び各第2設備における第2工程の成功する確率である第2工程成功確率を含む複数の成功確率を示す成功確率情報とを記憶する。前記製造実行方法は、前記製造工程情報を参照して、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備を選択する選択処理と、前記利用スケジュール情報及び前記所要時間情報を参照して、前記選択処理で選択された前記1以上の特定の第1設備及び前記1以上の特定の第2設備を用いて前記製造工程情報にしたがって製造される前記立体物の納期と、記選択処理で選択された前記特定の第1設備及び前記特定の第2設備を用いた前記立体物の製造の成功確率とを含む納期情報を生成する生成処理と、を含む。前記製造工程は、更に、前記1以上の第1工程の後に実行される前記立体物に関する品質の確認のための工程である品質確認工程と、前記1以上の特定の第1設備と前記1以上の特定の第2設備との間の前記立体物に関する輸送の工程である輸送工程とを含む。前記複数の所要時間は、前記品質確認工程にかかる確認時間と、前記輸送工程にかかる輸送時間とを含む。前記複数の成功確率情報は、前記品質確認工程の成功する確率である確認成功確率と、前記輸送工程での輸送の成功する確率である輸送成功確率とを含む。前記生成処理は、前記第1工程時間と前記確認時間と前記輸送時間との合計と、前記利用スケジュール情報から特定される前記1以上の特定の第2設備が利用可能になるまでの時間である前記1以上の第2工程の実行のための待ち時間とのうち大きいほうと、前記第2工程時間とに基づいて、前記納期を算出し、前記第1工程成功確率、前記第2工程成功確率、前記確認成功確率、及び輸送成功確率の積に基づいて、前記成功確率を算出する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本開示の一態様の製造システムは、前記製造実行システムと、納期提示システムと、を備える。前記前記納期提示システムは、ユーザからの情報の入力及びユーザへの情報の出力のための入出力装置と、前記製造実行システムと通信可能に接続される通信装置と、演算回路と、を備える。前記演算回路は、前記入出力装置により前記立体物情報を取得する取得処理と、前記取得処理で取得した前記立体物情報を前記製造実行システムに前記通信装置を通じて送信する送信処理と、前記製造実行システムで生成される前記納期情報を前記製造実行システムから前記通信装置を通じて受け取る受信処理と、前記受信処理で受け取った前記納期情報を前記入出力装置により提示する出力処理と、を実行する。