(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043947
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】発電機及びタイヤ状態監視装置
(51)【国際特許分類】
H02K 7/00 20060101AFI20220309BHJP
B60C 23/04 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
H02K7/00 Z
B60C23/04 120B
B60C23/04 110C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149485
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】森 大剛
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB02
5H607BB14
5H607BB26
5H607CC05
5H607DD03
5H607DD19
5H607EE40
(57)【要約】
【課題】タイヤの回転エネルギーを有効活用して電気機器に給電できる発電機を提供すること。
【解決手段】発電機10は、タイヤホイール81に固定されるステータ20と、タイヤホイール81と同軸上に配置されてステータ20に回転可能に支持されるロータ30とを有し、それらステータ20とロータ30との相対回転によって発電を行い、タイヤホイール81に取り付けられる電気機器へと給電する。そして、発電機10は、ロータ30に固定されたブレード部50と、ロータ30又はステータ20の何れか一方に固定されて、ブレード部50を収容する容器部40と、容器部40に容器部40の容積より少ない量収容され、ブレード部50の少なくとも一部を浸す液体Lと、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤホイール(81)に固定されるステータ(20)と、前記タイヤホイール(81)と同軸上に配置されて前記ステータ(20)に回転可能に支持されるロータ(30)とを有し、それらステータ(20)とロータ(30)との相対回転によって発電を行い、前記タイヤホイール(81)に取り付けられる電気機器(90)へと給電する発電機(10)であって、
前記ロータ(30)に固定されたブレード部(50,60)と、
前記ロータ(30)又は前記ステータ(20)の何れか一方に固定されて、前記ブレード部(50,60)を収容する容器部(40)と、
前記容器部(40)に前記容器部(40)の容積より少ない量収容され、前記ブレード部(50,60)の少なくとも一部を浸す液体(L)と、を備える発電機(10)。
【請求項2】
前記容器部(40)は、前記ステータ(20)に固定され、
前記ロータ(30)に設けられて前記容器部(40)を貫通する貫通部(31)と、
前記貫通部(31)とそれが貫通する前記容器部(40)の貫通孔(46)の内面との間をシールするシール部(48)と、を有する請求項1に記載の発電機(10V)。
【請求項3】
前記ブレード部(60)は、複数設けられて前記ロータ(30)の回転中心から放射状に張り出し、
前記容器部(40)は、前記複数のブレード部(60)の旋回半径より大きな半径の空間を有する円筒構造をなしている請求項2に記載の発電機(10V)。
【請求項4】
前記容器部(40)は、前記ロータ(30)に固定され、
前記ブレード部(50)は、前記容器部(40)の内面に一体形成されるか又は固定されている請求項1に記載の発電機(10)。
【請求項5】
前記ブレード部(50)は、複数設けられて前記容器部(40)の内周面から回転中心側に張り出し、
各前記ブレード部(50)の側方には、前記容器部(40)の周方向に、各前記ブレード部(50)の両側の領域の間を前記液体(L)が自由に流れる連絡流路(45)が備えられている請求項4に記載の発電機(10)。
【請求項6】
前記容器部(40)は、中空の円盤状をなしている請求項5に記載の発電機(10)。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1の請求項に記載の発電機(10)と、
前記タイヤホイール(81)に固定され、タイヤ(82)の内部に配置されるセンサ(91)を有し、前記発電機(10)から受電するタイヤ状態監視端末(90)と、を有するタイヤ状態監視装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電機及び発電機を有するタイヤ状態監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤホイールに電気機器とその電源を取り付ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2019/194303(段落[0024]、[0026]、[0027]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術に対し、タイヤの回転エネルギーを有効活用して電気機器に給電できる技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発電機は、タイヤホイール(81)に固定されるステータ(20)と、前記タイヤホイール(81)と同軸上に配置されて前記ステータ(20)に回転可能に支持されるロータ(30)とを有し、それらステータ(20)とロータ(30)との相対回転によって発電を行い、前記タイヤホイール(81)に取り付けられる電気機器(90)へと給電する発電機(10)であって、前記ロータ(30)に固定されたブレード部(50,60)と、前記ロータ(30)又は前記ステータ(20)の何れか一方に固定されて、前記ブレード部(50,60)を収容する容器部(40)と、前記容器部(40)に前記容器部(40)の容積より少ない量収容され、前記ブレード部(50,60)の少なくとも一部を浸す液体(L)と、を備える発電機(10)である。
【0006】
請求項2の発電機は、前記容器部(40)は、前記ステータ(20)に固定され、前記ロータ(30)に設けられて前記容器部(40)を貫通する貫通部(31)と、前記貫通部(31)とそれが貫通する前記容器部(40)の貫通孔(46)の内面との間をシールするシール部(48)と、を有する請求項1に記載の発電機(10V)である。
【0007】
請求項3の発電機は、前記ブレード部(60)は、複数設けられて前記ロータ(30)の回転中心から放射状に張り出し、前記容器部(40)は、前記複数のブレード部(60)の旋回半径より大きな半径の空間を有する円筒構造をなしている請求項2に記載の発電機(10V)である。
【0008】
請求項4の発電機は、前記容器部(40)は、前記ロータ(30)に固定され、前記ブレード部(50)は、前記容器部(40)の内面に一体形成されるか又は固定されている請求項1に記載の発電機(10)である。
【0009】
請求項5の発電機は、前記ブレード部(50)は、複数設けられて前記容器部(40)の内周面から回転中心側に張り出し、各前記ブレード部(50)の側方には、前記容器部(40)の周方向に、各前記ブレード部(50)の両側の領域の間を前記液体(L)が自由に流れる連絡流路(45)が備えられている請求項4に記載の発電機(10)である。
【0010】
請求項6の発電機は、前記容器部(40)は、中空の円盤状をなしている請求項5に記載の発電機(10)である。
【0011】
請求項7のタイヤ状態監視装置は、請求項1から6の何れか1の請求項に記載の発電機(10)と、前記タイヤホイール(81)に固定され、タイヤ(82)の内部に配置されるセンサ(91)を有し、前記発電機(10)から受電するタイヤ状態監視端末(90)と、を有するタイヤ状態監視装置(100)である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発電機では、タイヤホイールにステータが固定され、ステータに回転可能に支持されたロータがタイヤホイールと同軸上に配置される。そして、ステータ又はロータの何れかに固定された容器部に、容器部の容積より少ない量、液体が収容される。また、容器部には、ロータに固定されたブレード部が収容され、ブレード部は、容器部内の液体に少なくとも一部が浸される。ここで、液体は、タイヤホイールが回転し始めたときに、慣性により容器部内で位置を留めようとする。従って、タイヤホイールが回転し始めても、液体とブレード部との抵抗により、ブレード部、即ちロータの回転を抑え易くすることが可能となる。その結果、タイヤホイールに固定されたステータとロータとを相対回転させて発電することができ、タイヤの回転エネルギーを有効活用して電気機器へ給電することができる。なお、タイヤホイールが高速回転した際には、ロータが共回りする可能性があるが、この場合、液体が遠心力で容器部の外周部に寄って行き、容器部の周方向全体に配置されることが可能となるので、ロータの回転によりタイヤホイールのバランスが崩れることを抑制可能となる。
【0013】
請求項2の発電機のように、容器部がステータに固定されてもよい。この場合、ロータのうちブレード部が固定される貫通部と、その貫通部が貫通する容器部の貫通孔の内面と、の間をシールするシール部を設ければよい。
【0014】
請求項3の発電機では、ブレード部は、複数設けられてロータの回転中心から放射状に張り出すので、1つだけ設けられる場合に比べて、液体に対する抵抗を大きくすることができる。これにより、ロータの回転を抑えやすくすることができ、ステータとロータを相対回転させやすくすることができる。また、容器部の内径が、ブレード部の旋回半径よりも大きくなっているので、容器部の内周面とブレード部との間に隙間が形成される。従って、タイヤホイールが高速回転してロータが共回りした場合に、液体がその隙間を通って容器部の周方向に移動し易くなり、液体が周方向全体に配置されやすくなる。その結果、ロータの回転によりタイヤホイールのバランスが崩れることをより抑制可能となる。
【0015】
請求項4の発電機のように、容器部がロータに固定されてもよい。この場合、ブレード部を、容器部の内面に一体形成するか又は固定すればよい。
【0016】
請求項5の発電機では、ブレード部は、複数設けられて、ロータに固定された容器部の内周面から回転中心側に張り出した構成となっている。これにより、ブレード部と液体との間の抵抗を大きくすることができ、ロータの回転を抑えてステータに対するロータの相対回転を大きくすることが可能となる。また、ブレード部の側方に連絡流路が設けられるので、タイヤホイールが高速回転してロータが共回りした場合に、液体が連絡流路を通って容器部の周方向に移動し易くなり、液体が周方向全体に配置されやすくなる。その結果、ロータの回転によりタイヤホイールのバランスが崩れることをより抑制可能となる。
【0017】
請求項6の発電機では、容器部が中空な円盤状をなしているので、タイヤホイールが高速回転してロータが共回りした場合に、ロータの回転によってタイヤホイールのバランスが崩れることをより生じ難くすることが可能となる。
【0018】
発電機を、タイヤの内部に配置されるセンサを有すると共に、発電機から受電するタイヤ状態監視端末を有するタイヤ状態監視装置に備えてもよい(請求項7)。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る発電機が取り付けられたタイヤホイールの斜視図
【
図2】発電機が取り付けられたタイヤホイールの断面図
【
図4】(A)容器部の正断面図、(B)発電機の側断面図
【
図5】ロータがステータと共回りしたときの容器部内の液体の断面図
【
図7】(A)容器部の正断面図、(B)発電機の側断面図
【
図8】ロータがステータと共回りしたときの容器部内の液体の断面図
【
図9】他の実施形態に係る発電機の容器部の正断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
図1及び
図2には、本実施形態の発電機10が示されている。発電機10は、車両80のタイヤホイール81に組付けられる。具体的には、発電機10は、タイヤホイール81に固定されるステータ20(
図4(B)参照)と、ステータ20に回転可能に支持されたロータ30と、を備えたモータで構成される。そして、発電機10は、ステータ20とロータ30の相対回転により、発電可能となっている。
【0021】
ステータ20は、例えば、タイヤホイール81のうち車輪軸83に固定されたハブ84(
図2参照)における車幅方向外側の部分に固定され、ロータ30を囲むように配置される。ロータ30は、例えば円柱状をなし、図示しないベアリングを介してステータ20に支持され、タイヤホイール81と(車輪軸83と)同軸上に配置される。なお、発電機10を構成するモータとしては、例えばステッピングモータ等が挙げられるが、これに限定されるものではなく、各種の発電に適したモータを用いることができる。
【0022】
図4(B)に示すように、ロータ30のうち車幅方向外側を向く面の中心からは、タイヤホイール81と同軸上に中心シャフト31が突出している。そして、中心シャフト31の先端部には、容器部40が固定されている。
【0023】
容器部40は、中空な円盤状をなしていて、その中心が中心シャフト31に固定されている。そして、容器部40は、中心シャフト31と(即ちロータ30と)一体回転可能になっている。詳細には、容器部40は、中心シャフト31に中心が固定される円形板状のベース壁41と、ベース壁41の外縁部からロータ30から離れる側に突出する周壁42と、周壁42をロータ30と反対側から閉塞する先端壁43と、を有している。そして、それらベース壁41、周壁42及び先端壁43により囲まれた部分に密閉空間が形成されている。
【0024】
図3及び
図4(A)に示すように、容器部40の上記密閉空間には、液体Lが収容されている。具体的には、液体Lは、容器部40に容器部40の容積より少ない量だけ収容されていて、本実施形態の例では、容器部40が静止状態のときに、液体Lの液面がタイヤホイール81の回転中心よりも下側になるように、液体Lの量は、容器部40の容積の半分未満になっている。なお、液体Lとしては、例えば不凍液等が挙げられる。
【0025】
ここで、発電機10には、ロータ30に固定されたブレード部50が、容器部40内に収容されている。ブレード部50は、液体Lに少なくとも一部が浸るように配置される。本実施形態では、ブレード部50は、容器部40の周壁42の内周面から容器部40の中心(回転中心)側に張り出している。また、ブレード部50は、複数(例えば8つ)設けられ、例えば容器部40の周方向に等間隔に配置されている。本実施形態では、それらブレード部50のうちの複数のブレード部50が、ロータ30が静止状態のときに液体Lに全体が浸っている。なお、本実施形態の例では、ブレード部50は、ロータ30の中心軸方向に見ると、容器部40の中心に向かうにつれて先細りする細長い二等辺三角形状に形成されている。本実施形態では、ブレード部50は、容器部40のベース壁41及び周壁42と一体形成されているが、容器部40と別体で形成され、容器部40に固定されるものであってもよい。
【0026】
図4(B)に示すように、本実施形態の例では、容器部40の先端壁43とブレード部50との間には、隙間が形成されている。そして、この隙間は、液体Lが容器部40の周方向でブレード部50の両側の領域間を自由に流れる連絡流路45を構成している。
【0027】
さて、車両80が走り出す際に、タイヤホイール81が回転すると、ステータ20はタイヤホイール81と一体回転する。このとき、液体Lは、慣性により容器部40内の位置を留めようとする。ここで、容器部40内に配置されてロータ30に固定されたブレード部50は、液体Lに少なくとも一部が浸される。従って、液体Lとブレード部50との抵抗により、タイヤホイール81が回転し始めても、ブレード部50、即ちロータ30の回転を抑え易くすることが可能となる。その結果、タイヤホイール81が回転したときに、ステータとロータとを相対回転させて発電することができる。これにより、タイヤの回転エネルギーを有効活用して電気機器へ給電することができる。本実施形態の発電機10では、液体Lに浸るブレード部50が設けられることで、ブレード部50が設けられない場合に比べて、ロータ30がタイヤホイール81と共回りすることを抑えることができる。
【0028】
また、本実施形態の発電機10では、ブレード部50は、複数設けられて、ロータ30に固定された容器部40の内周面から回転中心側に張り出した構成となっている。これにより、ブレード部50と液体Lとの間の抵抗を大きくすることができ、ロータ30の回転を抑えてステータ20に対するロータ30の相対回転を大きくすることが可能となる。
【0029】
なお、発電機10を例えばステッピングモータで構成すれば、液体Lの揺れによるロータ30の細かい相対回転を利用して発電することも可能となり、液体Lの継続的な揺れを利用して継続的に発電することが可能となる。また、発電機10の極数やスロット数を多くするほど、液体Lの揺れ等によるロータ30の微小な回転でも発電することが可能となる。
【0030】
ここで、タイヤホイール81が高速回転した際には、ベアリングの摩擦等により、ロータ30が共回りする可能性がある。しかしながら、この場合、液体Lが遠心力で容器部40の外周部に寄って行き、容器部40の周方向全体に配置されることが可能となるので(
図5参照)、ロータ30の回転によりタイヤホイール81のバランスが崩れることを抑制可能となる。なお、液体Lの代わりに、ロータ30の回転中心から偏心した固体の錘をロータ30に固定して、ロータ30とステータ20を相対回転させる構成が考えられるが、この構成では、ロータ30がタイヤホイール81と共回りした場合に、タイヤホイール81のバランスが悪くなる。これに対し、本実施形態の発電機10では、上述のように容器部40内に液体Lを収容することで、このようなバランスの悪化を防ぐことが可能となる。
【0031】
また、本実施形態では、ブレード部50の基端部の側方に連絡流路45が設けられるので、タイヤホイール81が高速回転してロータ30が共回りした場合に、液体Lが連絡流路45を通って容器部40の周方向に移動し易くなり、液体Lが周方向全体に配置されやすくなる。その結果、ロータ30の回転によりアンバランスが生じることをより抑制可能となる。また、発電機10では、容器部40が中空な円盤状をなしているので、タイヤホイール81が高速回転してロータ30が共回りした場合に、ロータ30の回転によるアンバランスをより生じ難くすることが可能となる。また、容器部40が円盤状をなすことで、発電機10をロータ30の回転軸方向でコンパクトにすることが可能となる。
【0032】
ところで、タイヤホイール81の高速回転時に、ステータ20とロータ30の相対回転が速くなりすぎると、ステータ20とロータ30の間のベアリングの許容回転数を超えてベアリングが壊れる虞がある。これに対して、発電機10では、ステータ20とロータ30の相対回転の回転速度が、所定値を超えたときには、ロータ30をステータ20(タイヤホイール81)とあえて共回りさせる共回り手段を備えている。具体的には、この共回り手段は、例えば、発電機10と発電機10から受電する電気機器とが接続されてなる発電回路に、この電気機器と直列に接続された負荷変更部(例えば可変抵抗)を備えている。そして、共回り手段は、負荷変更部の負荷を変更することで(例えば可変抵抗の抵抗値を上げて上記発電回路の電流を小さくすることで)、ロータ30とステータ20を共回りさせることができる。このように、ロータ30とステータ20の間に、上記発電回路の負荷に応じて、共回りするためのトルクを発生させることも可能となる。
【0033】
図2に示すように、本実施形態の発電機10は、例えばタイヤ82の状態を監視するタイヤ状態監視装置100に備えられる。タイヤ状態監視装置100には、発電機10と接続されて発電機10から受電するタイヤ状態監視端末90が設けられている。タイヤ状態監視端末90は、タイヤホイール81に固定され、タイヤ82内にセンサ91を備え、そのセンサ91の検出結果を、例えば無線等により外部の受信機に送信する。センサ91としては、例えば、タイヤ82の内圧を検出するセンサや、温度センサ等が挙げられる。また、例えば、タイヤ状態監視端末90は、タイヤホイール81に取り付けられるタイヤバルブ89等に取り付けられる。なお、発電機10の発電回路に、充電バッテリを設けてもよい。
【0034】
[第2実施形態]
図6には、第2実施形態の発電機10Vが示されている。本実施形態の発電機10Vは、上記第1実施形態の発電機10に対して、ロータ30にブレード部が固定されている点は同様であるが、容器部40が、ロータ30ではなくステータ20に固定されている点が、異なる。容器部40には、上記第1実施形態と同様に、容器部40の容積より少ない量だけ液体Lが収容されている。
【0035】
図7(B)に示すように、本実施形態では、ステータ20に容器部40のベース壁41が固定されている。そして、ベース壁41の中心部には、貫通孔46が形成され、その貫通孔46に、ロータ30の中心シャフト31が貫通している。ベース壁41の貫通孔46の内面には、環状のシール部48が固定されている。シール部48は、ベース壁41の貫通孔46の内面と中心シャフト31との間をシールする。中心シャフト31は、シール部48に挿通された状態で回転可能となっている。
【0036】
図6及び
図7(A)に示すように、中心シャフト31の先端部からは、ブレード部60が容器部40の径方向に張り出している。本実施形態の例では、ブレード部60は、複数設けられ、それらブレード部60は、ロータ30の回転中心から放射状に張り出している。例えば、それらブレード部60は、容器部40の周方向で等間隔に配置される。
図7(A)に示す例では、ブレード部60は4つ設けられ、4つのブレード部60群は、十字状に配置されている。
【0037】
各ブレード部60の長さ(即ち旋回半径)は、容器部40内の密閉空間の半径(周壁42の内径の半分)よりも小さくなっている。従って、ブレード部60の先端と容器部40の周壁42との間には、周方向に液体Lが自由に通過可能な連絡流路49が形成されている。また、容器部40のベース壁41と各ブレード部60との間、及び、先端壁43と各ブレード部60との間にも、液体Lが通過可能な隙間が形成されている(
図7(B)参照)。
【0038】
本実施形態の発電機10Vによっても、上記第1実施形態の発電機10と同様の効果を奏することが可能となる。即ち、発電機10Vでは、車両80が走り出す際に、タイヤホイール81が回転すると、ステータ20及び容器部40が一体回転する。このとき、液体Lは、慣性により容器部40内で同じ位置に留まろうとする。ここで、ロータ30に固定されて容器部40内に配置されたブレード部60は、液体Lに少なくとも一部が浸る。従って、液体Lとブレード部60との間の抵抗により、ブレード部60(即ちロータ30)の回転を抑えることが可能となる。これにより、ステータ20とロータ30を相対回転させて発電することができる。
【0039】
また、発電機10Vでは、ブレード部60は、複数設けられてロータ30の回転中心から放射状に張り出すので、ブレード部60と液体との抵抗を大きくすることができる。これにより、ロータ30の回転を抑えやすくすることができ、ステータ20とロータ30を相対回転させやすくすることができる。また、容器部40内の空間の半径が、ブレード部60の旋回半径よりも大きくなっているので、容器部40の内周面とブレード部60との間に隙間が形成される。従って、タイヤホイールが高速回転してロータが共回りした場合に、液体Lがその隙間を通って容器部40の周方向に移動し易くなり、液体Lが周方向全体に配置されやすくなる(
図8参照)。その結果、ロータの回転によりタイヤホイール81のバランスが崩れることをより抑制可能となる。
【0040】
なお、本実施形態の発電機10Vも、上記第1実施形態と同様に、タイヤ状態監視装置100に備えられてもよい。
【0041】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、発電機10から受電する装置が、タイヤ状態監視装置100であったが、これに限定されるものではなく、例えば、タイヤホイール81に取り付けられる発光装置等であってもよい。
【0042】
(2)上記実施形態では、ブレード部50(60)と容器部40の先端壁43との間に液体Lが通過可能な隙間が形成されていたが、隙間が形成されずにブレード部50と先端壁43とが一体になっていてもよい。
【0043】
(3)上記第1実施形態において、ブレード部50を、
図9に示すブレード部50Wに変更してもよい。同図に示す発電機10Wでは、ブレード部50Wは、容器部40のベース壁41又は先端壁43と一体化している。そして、ブレード部50Wと容器部40の周壁42との間には、液体Lが通過可能な隙間が形成されている。この場合、ブレード部50同士は、容器部40の中心部で離れていてもよいし、連絡していてもよい。また、ブレード部50は、ベース壁41及び先端壁43の両方と一体化していてもよいし、ベース壁41と先端壁43の何れか一方と一体化している場合には他方と離れていてもよい。また、
図9に示す発電機10Wの容器部40内のうち周方向におけるブレード部50W同士の間に、上記第1実施形態と同様に周壁42から張り出したブレード部50を設けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 発電機
20 ステータ
30 ロータ
40 容器部
50 ブレード部
60 ブレード部
100 タイヤ状態監視装置
L 液体