(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043951
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】カード仕分け具
(51)【国際特許分類】
B42D 15/00 20060101AFI20220309BHJP
G09B 1/12 20060101ALI20220309BHJP
B42F 3/04 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
B42D15/00 341D
G09B1/12
B42F3/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149492
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】720001912
【氏名又は名称】佐藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大輔
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単語カードのような裏面に情報が記載されたカードや、任意に大きくしたサイズのカードを用いた仕分け作業を、容易な操作によって行えると共に、持ち運びの際にカードが脱落することのない本体を、コンパクトな形状によって実現することが可能なカード仕分け具を提供する。
【解決手段】先端を互いに近接させてカード操作に応じて先端同士の隙間が広がるように弾性を持たせた複数の支柱2Pと、仕分け終えたカード4の分配を補助する分配突起と、支柱を固定する嵌合部を収納可能に設けた後方把持部32とを連結して設けた構造とすることに加えて、専用カードの形状を用いることにより、任意のカードを使用した直感的で容易な仕分け作業を多様な操作方法で安定して行うと共に、持ち運び時にカードの脱落を一括して防止することができる本体を、コンパクトな形状によって実現する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカードを保持したまま前記カードを仕分けるカード仕分け具において、前記カードが有する孔に挿通することで前記カードを保持する3つ以上の支柱を有し、前記支柱は、仕分ける前の前記カードを保持する仕分元支柱と、仕分けた後の前記カードを同類ごとに保持する2つ以上の仕分済支柱に分けられ、前記仕分済支柱の先端の延長方向は前記仕分元支柱の先端の延長方向と略逆向きで、前記仕分元支柱の先端から前記仕分済支柱の先端へ向かう方向である先端食込方向の角度は前記仕分元支柱の先端の延長方向の角度より前記仕分済支柱の先端の延長方向の角度と近くなるように、前記支柱2Pの先端を配置する構造とすることにより、前記仕分元支柱で保持されている前記カードのうち前記仕分元支柱の一番先端側で保持されている前記カードを仕分対象カードと称し、前記仕分対象カードが有する前記孔を操作対象孔と称し、仕分け時に前記仕分対象カードの仕分け先として任意に選んだひとつの前記仕分済支柱を仕分先支柱と称し、前記仕分元支柱の先端から前記仕分先支柱の先端が位置する本体水平方向を仕分先方向と称し、前記仕分対象カードを保持している前記支柱が前記仕分元支柱から前記仕分先支柱へと切り替わるように前記仕分対象カードを進めることを、前記仕分対象カードを前記仕分先支柱に仕分けると表現する場合、前記仕分対象カードを前記仕分先支柱に仕分ける際の前記仕分対象カードの進め方は、前記仕分対象カードの先端を前記仕分先方向に向け、前記仕分対象カードを前記仕分元支柱の先端に向かって進ませた際に、前記操作対象孔の領域内に前記仕分先支柱の先端が含まれ、且つ、前記操作対象孔の領域内に前記仕分先支柱以外の前記仕分済支柱の先端が含まれない状態となるように、前記操作対象孔の内周縁が前記仕分元支柱の側面と略接するほどに、前記操作対象孔の中心を前記仕分先方向に向けて移動し、その状態のまま、前記仕分対象カードを前記仕分元支柱の先端に向かって進めることにより、前記操作対象孔から前記仕分元支柱の先端が抜け出る前に前記操作対象孔に前記仕分先支柱の先端が挿通し、更に、前記仕分対象カードを前記仕分先支柱の先端から中腹に向かう延長方向に沿って進めることで、前記操作対象孔から前記仕分元支柱の先端が抜け出て、前記仕分対象カードが前記仕分先支柱によって保持された状態となることを特徴とするカード仕分け具
【請求項2】
前記仕分元支柱の先端の周壁側面と前記仕分済支柱の先端の周壁側面との間の領域である隙間が広がらない限りは、前記支柱で保持されている前記カードが前記隙間を通り抜けて脱落することがないように、前記仕分済支柱の先端の周壁側面を前記仕分元支柱の先端の周壁側面と略接するように近接して配置し、前記仕分済支柱の少なくとも一部分を弾性素材で形成された弾性部とする構造とすることにより、前記仕分対象カードを前記仕分先支柱に仕分ける際に、前記仕分対象カードが有する前記操作対象孔の周縁部を孔周縁部と称し、前記孔周縁部が通り抜ける必要のある前記隙間を通過対象隙間と称し、前記通過対象隙間を広げる役割を担う前記仕分済支柱を開閉支柱と称する場合、前記通過対象隙間に対して前記孔周縁部が内側を前方に外側を後方にして斜めに入り込むように、前記仕分対象カードの先端を本体下方向に倒すように傾けながら進めることによって、くさびの原理により前記仕分対象カードを前記仕分元支柱に沿って進める力が前記通過対象隙間を押し広げる力へと変わり、前記開閉支柱の前記弾性部を湾曲させ、前記開閉支柱の前方が本体外側に向かって開くように移動し、前記仕分対象カードの前記孔周縁部が前記通過対象隙間を通り抜けられるほどに、前記開閉支柱の先端が前記仕分元支柱から引き離され、前記仕分対象カードの前記孔周縁部が前記通過対象隙間を通り抜け終わると、前記仕分対象カードが前記仕分先支柱によって保持された状態となることに加え、前記開閉支柱の前記弾性部の湾曲は弾性力によって元に戻り、前記開閉支柱の前方が本体内側に向かって閉じるように移動し、前記開閉支柱の先端が再び前記仕分元支柱に近接した状態へ戻る、ことを特徴とする請求項1に記載のカード仕分け具
【請求項3】
前記仕分元支柱の先端の延長方向と、前記仕分元支柱の根元の延長方向が、略同一となる構造とすることにより、前記仕分対象カードを前記仕分元支柱の根元から先端に向かって進める最中において、前記仕分対象カードの前記孔を通過する前記仕分元支柱の各部の延長方向に対して前記仕分対象カードの角度が常に略直角となるように、前記仕分対象カードの角度を前記仕分元支柱の湾曲に合わせて変化させながら進めることによって、前記仕分対象カードは裏返るようにして捲られ、前記仕分対象カードの表面が視認できた本体の位置から本体を動かすことなく、前記仕分対象カードの裏面が視認できるようになることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカード仕分け具
【請求項4】
本体後方に設けた連結部と、前記連結部の上面から上向きに略半円を描きながら手前に向かうように延設した前記仕分元支柱と、前記連結部の下面の左右の端から下向きに略半円を描きながら並んで手前に向かい、前方は前記仕分元支柱に向かって湾曲させ、先端の周壁側面が前記仕分元支柱の先端の周壁側面と略接するように近接して配置した2つの前記仕分済支柱と、前記連結部の背面から本体後方に向かって突設した後方把持部と、前記連結部の正面に連結させて本体中央から本体左右に向かう中空形状となるように延設した中央支持部を有する構造とすることにより、本体が前記カードと共に応動することのないように、前記仕分元支柱の根元で保持した前記仕分前カードの束を掴んだ手と同一の手によって、前記後方把持部を把持して本体を支持したり、前記中央支持部に指を挿通して本体を支持することができるため、自由となっているもう片方の手を自在に使用して前記カードを操ることができることを特徴とする請求項3に記載のカード仕分け具
【請求項5】
3つの前記支柱の先端が集まる部分を先端集合部と称する場合、前記後方把持部を本体の奥から手前にかけて摺動可能に設け、前記先端集合部に対して背面方向から嵌合する溝形状の嵌合部を前記後方把持部の正面に設ける、または、前記後方把持部を水平方向に回動自在となるように前記連結部に軸着し、前記先端集合部に対して側面方向から嵌合するフック形状の前記嵌合部を前記後方把持部の背面に設け、前記中央支持部の正面に前記後方把持部が通り抜けるための割れ目を設ける構造とすることにより、仕分けを行わず前記カードを保持したまま本体を持ち運ぶ際に、前記後方把持部を摺動または回動して前記先端集合部に前記嵌合部を嵌合させることで、前記支柱および前記支柱で保持されている前記カードに外力が加わったとしても、前記先端集合部と前記嵌合部との嵌合が外れない限りは、前記支柱の先端位置および前記隙間の広さは変化ぜず、前記支柱で保持されているすべての前記カードの脱落を一括して防止すると共に、前記後方把持部は本体内部に格納されるため、コンパクトな本体として手軽に安心して持ち運ぶことができることを特徴とする請求項4に記載のカード仕分け具
【請求項6】
前記連結部の下面に連結させて2つの前記仕分済支柱の根本の間から本体下に向かって山形状となるように突設した分配突起を設ける構造とすることにより、仕分け作業により、本体左側に配置された前記仕分済支柱によって保持された前記仕分済カードである左仕分済カードの右側半面と、本体右側に配置された前記仕分済支柱によって保持された前記仕分済カードである右仕分済カードの左側半面とが、互いに略交互に重なり合って積層した集合束となった際に、前記集合束を構成する個々の前記仕分済カードを単一カードと称し、前記右仕分済カードと重なり合っていない状態の前記左仕分済カードの束を左分配済カード束と称し、前記左仕分済カードと重なり合っていない状態の前記右仕分済カードの束を右分配済カード束と称する場合、本体を前記分配突起の先端が上に向くようにひっくり返した状態で支持し、前記分配突起の上に先端を本体後方に向けた状態の前記集合束を乗せ、本体を上下に小刻みに振ることによって、振動によって前記単一カード同士の間に隙間が生まれて互いの摩擦が減り、摩擦が減った前記単一カードは前記分配突起に近いものから順に重力によって前記分配突起の左右の坂面に沿うように傾き、傾いた前記単一カードの前記孔が回転軸孔となり、前記左仕分済カードである前記単一カードの先端と前記右仕分済カードである前記単一カードの先端がが互いに離れるように斜め下に向かって旋回し、前記左分配済カード束と前記右分配済カード束に分配することができる仕組みとなっているため、短手方向が長いサイズの前記カードを使用して仕分け作業を行ったり、前記仕分済支柱間の距離が小さいコンパクトな本体を使用して仕分け作業を行った際に、前記仕分済カードが前記集合束となったとしても、前記分配突起を利用した本体の操作によって前記集合束を前記左分配済カード束と前記右分配済カード束に容易に分配することができるようにしたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のカード仕分け具
【請求項7】
カード仕分け具で扱う専用の前記カードである専用カードであり、長手方向の両端で且つ短手方向の中央に前記孔として設けた2つの両端孔と、前記両端孔から直近の外周側面に設けた円弧側面と、外周側面の角部を削るようにして設けた4つの角取側面を有し、前記円弧側面は、直近の前記両端孔の略中心を中心点として、角度幅を略90度以上とした略円弧形状の側面であり、前記角取側面の作成にあたっては、作成対象とする前記角取側面を対象角部と称し、前記対象角部から直近の前記両端孔を対象両端孔と称し、前記対象両端孔に3つの前記支柱をそれぞれ個別に挿通した状態のカード仕分け具である3つの仮想本体を想定し、前記仮想本体の上下方向が前記専用カードの長手方向と平行となるように向け、2つの前記仕分済支柱の間に前記対象角部が位置している前記仮想本体は静止させた状態のままで、前記対象角部が本体外側に位置している前記仮想本体、および、前記対象両端孔に前記仕分元支柱を挿通している前記仮想本体は、前記対象両端孔を軸にして前記対象角部側に略90度回転させた際に、3つの前記仮想本体における前記中央支持部および前記対象両端孔に挿通していない前記支柱が前記対象角部と干渉することがないように、前記対象角部を任意の形状に削り取って設けた側面とする構造とすることにより、短手方向および長手方向が極端に長い前記専用カードを扱う際であっても、前記仕分元支柱で保持された前記専用カードは本体左右に向かって略90度ずつである計略180度、および、前記仕分済支柱で保持された前記専用カードは本体外側に向かって略90度といった略一定の広い回動範囲を持つことに加えて、本体と前記専用カードの多様な角度の組み合わせにおいて操作する際に、前記仕分元支柱を挿通する前記両端孔を予め切り替えておくことによって、前記専用カードの表面に記載された記載内容を常に真っすぐと視認することができ、また、前記仕分対象カードの先端を本体左右のどちらに倒した状態であっても裏返すように捲ることができ、更に、仕分けの際に、前記仕分対象カードの先端を本体真横に向けた状態で仕分ける際と、その状態から本体手前に向かって略45度回転させた状態で仕分ける際とで、前記通過対象隙間を通り抜ける前記孔周縁部の厚みは一定となるため、多様な操作を行った際であっても安定した仕分け作業を行うことができることを特徴とする請求項4または請求項5または請求項6に記載のカード仕分け具で扱う専用の前記カードである専用カード
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカードを保持したままカードを仕分けるカード仕分け具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のカード4を束ねる方法としてカードリング方式がある。この方式は、カード4が有する孔4Hにリングを通すことでカード4の束を保持するものであり、カード4の束を保持したまま個々のカード4を順に扱う操作や、カード4の束をコンパクトに持ち運ぶ際に適している。しかし、カード4の並び順序を変更する操作や、カード4を同類ごとに仕分けて束ねなおす操作には適していないため、リングからカード4を外して操作する際にカード4がバラバラになったり、孔4Hに再びリングを通す際に手間取ったりすることがあり、不便であった。
【0003】
一方、複数のカード4を仕分ける従来の方法として容器分別方式がある。この方式は、個々のカード4を順に同類ごとの容器に入れ込んでいくことでカード4を仕分けるものであり、カード4の再仕分けが頻繁に行われる際に適している。しかし、カード4の束を保持したまま個々のカード4を扱う操作や、容器を置かずに仕分けを行う際には適していないため、仕分けの途中でそれぞれの容器に入れられたカード4の束を見返すことに手間取ったり、容器が置けない状況での仕分けを断念したりすることがあり、不便であった。
【0004】
そして、上述したカードリング方式および容器分別方式の仕組みを利用した学習方法として、学習カードが挙げられる。この学習カードには多様な種類が存在し、様々な学習の場で広く利用されているものであるが、これらの学習カードにおいても、上述した課題を潜在的に抱えている。
【0005】
例えば、代表的な学習カードのひとつとして単語カードが挙げられる。この単語カードは、表面に問題が記載され裏面に解答が記載された複数のカード4をカードリング方式で束ね、個々のカード4において問題を解いた後にカード4を裏返すことで解答を確認するものである。コンパクトな形状で扱いやすいため、電車の中などの狭い場所での利用や、試験会場の休み時間などの短い時間での利用に適している。しかし、上述したように、カードリング方式はカード4を同類ごとに仕分けて束ねなおす操作には適していないため、正解した問題と間違えた問題に仕分けてカード4を束ねなおす際に大きな手間を要する。そのため、直前に間違えた問題を優先的に学習し直すことが効果的な学習方法であると多くの人が感じていたとしても、単語カードのカード4を実際に束ねなおす一般的な頻度は、効果的だと感じている頻度よりも低いものとなっている。
【0006】
このように、単語カードをはじめとするカードリング方式および容器分別方式を利用した様々な物品において、上述した課題を改善させることは、従来より強く求められている。
【0007】
上述した課題を改善させる試みとして、仕分け機構と容器を一体化した方式(特許文献1)があるが、この方式ではカード4の裏面を扱うことができず、単語カードのような裏面に重要な情報が記載されたカード4を用いた仕分け作業には適していなかった。続いての試みとして、カード4に設けた切り込みによって保持される支柱を切り替える方式(特許文献2)があるが、この方式は、カード4を捲る際に支柱から外したカード4の一端側の孔4Hまたは切り込みに、別の支柱が正しく入り込むようにカード4の回動角度を正確に調整しながら捲らなければならず、使い勝手が悪かった。また、両方式(特許文献1、特許文献2)で扱えるカード4は、それぞれの方式において定まった本体形状ごとに適したサイズのカード4しか扱うことができず、不便であった。
【0008】
更に、上述した課題を改善させる方法として、カード4に設けた着脱自在な環を左右の支柱間で嵌め変える方式(特許文献3)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000-137429号広報
【特許文献2】特開2001-166674号広報
【特許文献3】特開2007-136973号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した、カード4に設けた着脱自在な環を左右の支柱間で嵌め変える方式(特許文献3)では、仕分ける前のカード4を両端で保持する仕組みとなっているため、トランプを配る際やお札を数える際のように、次に捲るカード4の先端を横にずらすことでカード4を掴みやすくしながら順に捲っていく、といったような柔軟な操作は行えなかった。また、カード4の束を入れ替える際に、両端の環を略同時に支柱に挿通させなければならず、手間取ることがあった。
【0011】
また、同方式(特許文献3)では、カード4の根元に設けられた環を支柱に対して着脱することで仕分ける仕組みとなっているため、カード4の先端を手で掴んで仕分けようとすると、てこの原理によって、カード4の長手方向が長ければ長いほど強い力が必要となり、また、カード4はその強い力に耐えうる強度を持っている必要がある。そのため、カード4の記載内容を指で隠さないようにカード4の先端を手で掴んで捲るという一般的なカード操作を行った後、カード4に強い力を与えることなく弱い力で楽にカード4を仕分ける為には、その都度カード4の根元を掴み直して仕分けるといった手間が必要であった。
【0012】
また、同方式(特許文献3)の部品構成では、カード4を強く保持すると共に支柱に着脱自在となるほどに丈夫な複数の環を有する部材を、扱うカード4の枚数分だけ予め用意する必要があった。また、カード4の束を入れ替える際に、支柱の留め具を取り外したり取り付けたりする手間が必要であった。
【0013】
また、同方式(特許文献3)の機能構成では、本体に把持部を有していないため、カード4を仕分ける際に本体がカード4と共に応動してしまい、カード4が正しく仕分けられないことがあった。また、保持されているすべてのカード4の脱落を一括して防止するロック機能を有していないため、鞄に入れて持ち運ぶ際などに他の物品と干渉することでカード4に外力が加わり、カード4が脱落してしまうことがあった。
【0014】
本発明は、これらの課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、複数のカード4を保持したままカード4を仕分けるカード仕分け具において、カード4が有する孔4Hに挿通することでカード4を保持する3つ以上の支柱2Pを有し(
図1)、支柱2Pは、仕分ける前のカード4を保持する仕分元支柱21と、仕分けた後のカード4を同類ごとに保持する2つ以上の仕分済支柱22に分けられ、仕分済支柱22の先端の延長方向は仕分元支柱21の先端の延長方向と略逆向きで、仕分元支柱21の先端から仕分済支柱22の先端へ向かう方向である先端食込方向23EEの角度は仕分元支柱21の先端の延長方向の角度より仕分済支柱22の先端の延長方向の角度と近くなるように、支柱2Pの先端を配置する構造とする(
図2)ことにより、仕分元支柱21で保持されているカード4のうち仕分元支柱21の一番先端側で保持されているカード4を仕分対象カード4Tと称し(
図1)、仕分対象カード4Tが有する孔4Hを操作対象孔4THと称し、仕分け時に仕分対象カード4Tの仕分け先として任意に選んだひとつの仕分済支柱22を仕分先支柱22Tと称し、仕分元支柱21の先端から仕分先支柱22Tの先端が位置する本体水平方向を仕分先方向22TWと称し(
図6)、仕分対象カード4Tを保持している支柱2Pが仕分元支柱21から仕分先支柱22Tへと切り替わるように仕分対象カード4Tを進めることを、仕分対象カード4Tを仕分先支柱22Tに仕分けると表現する場合、仕分対象カード4Tを仕分先支柱22Tに仕分ける際の仕分対象カード4Tの進め方は、仕分対象カード4Tの先端を仕分先方向22TWに向け、仕分対象カード4Tを仕分元支柱21の先端に向かって進ませた際に、操作対象孔4THの領域内に仕分先支柱22Tの先端が含まれ、且つ、操作対象孔4THの領域内に仕分先支柱22T以外の仕分済支柱22の先端が含まれない状態となるように、操作対象孔4THの内周縁が仕分元支柱21の側面と略接するほどに、操作対象孔4THの中心を仕分先方向22TWに向けて移動し、その状態のまま、仕分対象カード4Tを仕分元支柱21の先端に向かって進めることにより、操作対象孔4THから仕分元支柱21の先端が抜け出る前に操作対象孔4THに仕分先支柱22Tの先端が挿通し、更に、仕分対象カード4Tを仕分先支柱22Tの先端から中腹に向かう延長方向に沿って進めることで、操作対象孔4THから仕分元支柱21の先端が抜け出て、仕分対象カード4Tが仕分先支柱22Tによって保持された状態となる(
図6)機能を持たせたものである。
【0016】
また、本発明の更なる好ましい形態としては、仕分元支柱21の先端の周壁側面と仕分済支柱22の先端の周壁側面との間の領域である隙間24が広がらない限りは、支柱2Pで保持されているカード4が隙間24を通り抜けて脱落することがない(
図10(a))ように、仕分済支柱22の先端の周壁側面を仕分元支柱21の先端の周壁側面と略接するように近接して配置し(
図2)、仕分済支柱22の少なくとも一部分を弾性素材で形成された弾性部とする構造とすることにより、仕分対象カード4Tを仕分先支柱22Tに仕分ける際に、仕分対象カード4Tが有する操作対象孔4THの周縁部を孔周縁部4HAと称し、孔周縁部4HAが通り抜ける必要のある隙間24を通過対象隙間24Tと称し、通過対象隙間24Tを広げる役割を担う仕分済支柱22を開閉支柱22Dと称する場合、通過対象隙間24Tに対して孔周縁部4HAが内側を前方に外側を後方にして斜めに入り込むように、仕分対象カード4Tの先端を本体下方向に倒すように傾けながら進めることによって、くさびの原理により仕分対象カード4Tを仕分元支柱21に沿って進める力が通過対象隙間24Tを押し広げる力へと変わり、開閉支柱22Dの弾性部を湾曲させ、開閉支柱22Dの前方が本体外側に向かって開くように移動し、仕分対象カード4Tの孔周縁部4HAが通過対象隙間24Tを通り抜けられるほどに、開閉支柱22Dの先端が仕分元支柱21から引き離され、仕分対象カード4Tの孔周縁部4HAが通過対象隙間24Tを通り抜け終わると、仕分対象カード4Tが仕分先支柱22Tによって保持された状態となることに加え、開閉支柱22Dの弾性部の湾曲は弾性力によって元に戻り、開閉支柱22Dの前方が本体内側に向かって閉じるように移動し、開閉支柱22Dの先端が再び仕分元支柱21に近接した状態へ戻る(
図6)機能を持たせたものである。
【0017】
また、本発明の更なる好ましい形態としては、仕分元支柱21の先端の延長方向と、仕分元支柱21の根元の延長方向が、略同一となる構造とする(
図2)ことにより、仕分対象カード4Tを仕分元支柱21の根元から先端に向かって進める最中において、仕分対象カード4Tの孔4Hを通過する仕分元支柱21の各部の延長方向に対して仕分対象カード4Tの角度が常に略直角となるように、仕分対象カード4Tの角度を仕分元支柱21の湾曲に合わせて変化させながら進めることによって、仕分対象カード4Tは裏返るようにして捲られ、仕分対象カード4Tの表面が視認できた本体の位置から本体を動かすことなく、仕分対象カード4Tの裏面が視認できるようになる(
図5(b))機能を持たせたものである。
【0018】
また、本発明の更なる好ましい形態としては、本体後方に設けた連結部25と、連結部25の上面から上向きに略半円を描きながら手前に向かうように延設した仕分元支柱21と、連結部25の下面の左右の端から下向きに略半円を描きながら並んで手前に向かい、前方は仕分元支柱21に向かって湾曲させ、先端の周壁側面が仕分元支柱21の先端の周壁側面と略接するように近接して配置した2つの仕分済支柱22と、連結部25の背面から本体後方に向かって突設した後方把持部32と、連結部25の正面に連結させて本体中央から本体左右に向かう中空形状となるように延設した中央支持部26を有する構造とする(
図2)ことにより、本体がカード4と共に応動することのないように、仕分元支柱21の根元で保持した仕分前カード4Bの束を掴んだ手と同一の手によって、後方把持部32を把持して本体を支持したり(
図5(a))、中央支持部26に指を挿通して本体を支持することができるため、自由となっているもう片方の手を自在に使用してカード4を操ることができる(
図11)機能を持たせたものである。
【0019】
また、本発明の更なる好ましい形態としては、3つの支柱2Pの先端が集まる部分を先端集合部23と称する場合、後方把持部32を本体の奥から手前にかけて摺動可能に設け(
図4)、先端集合部23に対して背面方向から嵌合する溝形状の嵌合部33を後方把持部32の正面に設ける、または、後方把持部32を水平方向に回動自在となるように連結部25に軸着し、先端集合部23に対して側面方向から嵌合するフック形状の嵌合部33を後方把持部32の背面に設け、中央支持部26の正面に後方把持部32が通り抜けるための割れ目26Cを設ける構造とする(
図2)ことにより、仕分けを行わずカード4を保持したまま本体を持ち運ぶ際に、後方把持部32を摺動または回動して先端集合部23に嵌合部33を嵌合させることで、支柱2Pおよび支柱2Pで保持されているカード4に外力が加わったとしても、先端集合部23と嵌合部33との嵌合が外れない限りは、支柱2Pの先端位置および隙間24の広さは変化ぜず、支柱2Pで保持されているすべてのカード4の脱落を一括して防止すると共に、後方把持部32は本体内部に格納されるため、コンパクトな本体として手軽に安心して持ち運ぶことができる(
図10(b)および(c))機能を持たせたものである。
【0020】
また、本発明の更なる好ましい形態としては、連結部25の下面に連結させて2つの仕分済支柱22の根本の間から本体下に向かって山形状となるように突設した分配突起27を設ける構造とする(
図2)ことにより、仕分け作業により、本体左側に配置された仕分済支柱22によって保持された仕分済カード4Fである左仕分済カード4FLの右側半面と、本体右側に配置された仕分済支柱22によって保持された仕分済カード4Fである右仕分済カード4FRの左側半面とが、互いに略交互に重なり合って積層した集合束4FCとなった際(
図9(a))に、集合束4FCを構成する個々の仕分済カード4Fを単一カード4FCPと称し、右仕分済カード4FRと重なり合っていない状態の左仕分済カード4FLの束を左分配済カード束4FBLと称し、左仕分済カード4FLと重なり合っていない状態の右仕分済カード4FRの束を右分配済カード束4FBRと称する場合、本体を分配突起27の先端が上に向くようにひっくり返した状態で支持し、分配突起27の上に先端を本体後方に向けた状態の集合束4FCを乗せ(
図9(b))、本体を上下に小刻みに振る(
図9(c))ことによって、振動によって単一カード4FCP同士の間に隙間が生まれて互いの摩擦が減り、摩擦が減った単一カード4FCPは分配突起27に近いものから順に重力によって分配突起27の左右の坂面に沿うように傾き、傾いた単一カード4FCPの孔4Hが回転軸孔となり、左仕分済カード4FLである単一カード4FCPの先端と右仕分済カード4FRである単一カード4FCPの先端がが互いに離れるように斜め下に向かって旋回し、左分配済カード束4FBLと右分配済カード束4FBRに分配することができる(
図9(d))仕組みとなっているため、短手方向が長いサイズのカード4を使用して仕分け作業を行ったり、仕分済支柱22間の距離が小さいコンパクトな本体を使用して仕分け作業を行った際に、仕分済カード4Fが集合束4FCとなったとしても、分配突起27を利用した本体の操作によって集合束4FCを左分配済カード束4FBLと右分配済カード束4FBRに容易に分配することができる機能を持たせたものである。
【0021】
また、本発明の更なる好ましい形態としては、カード仕分け具で扱う専用のカード4である専用カード4Dを仕分け具1で使用することであり、専用カード4Dは、長手方向の両端で且つ短手方向の中央に孔4Hとして設けた2つの両端孔4DHと、両端孔4DHから直近の外周側面に設けた円弧側面4DCと、外周側面の角部を削るようにして設けた4つの角取側面4DSを有し、円弧側面4DCは、直近の両端孔4DHの略中心を中心点として、角度幅を略90度以上とした略円弧形状の側面であり(
図13(a)および(b))、角取側面4DSの作成にあたっては、作成対象とする角取側面4DSを対象角部4DSTと称し、対象角部4DSTから直近の両端孔4DHを対象両端孔4DHTと称し、対象両端孔4DHTに3つの支柱2Pをそれぞれ個別に挿通した状態のカード仕分け具1である3つの仮想本体1Vを想定し、仮想本体1Vの上下方向が専用カード4Dの長手方向と平行となるように向け、2つの仕分済支柱22の間に対象角部4DSTが位置している仮想本体1Vは静止させた状態のままで、対象角部4DSTが本体外側に位置している仮想本体1V、および、対象両端孔4DHTに仕分元支柱21を挿通している仮想本体1Vは、対象両端孔4DHTを軸にして対象角部4DST側に略90度回転させた際に、3つの仮想本体1Vにおける中央支持部26および対象両端孔4DHTに挿通していない支柱2Pが対象角部4DSTと干渉することがないように、対象角部4DSTを任意の形状に削り取って設けた側面とする構造とする(
図13(c)から(e))ことにより、短手方向および長手方向が極端に長い専用カード4Dを扱う際であっても、仕分元支柱21で保持された専用カード4Dは本体左右に向かって略90度ずつである計略180度、および、仕分済支柱22で保持された専用カード4Dは本体外側に向かって略90度といった略一定の広い回動範囲を持つ(
図14)ことに加えて、本体と専用カード4Dの多様な角度の組み合わせにおいて操作する際に、仕分元支柱21を挿通する両端孔4DHを予め切り替えておくことによって、専用カード4Dの表面に記載された記載内容を常に真っすぐと視認することができ(
図15)、また、仕分対象カード4Tの先端を本体左右のどちらに倒した状態であっても裏返すように捲ることができ(
図16)、更に、仕分けの際に、仕分対象カード4Tの先端を本体真横に向けた状態で仕分ける際と、その状態から本体手前に向かって略45度回転させた状態で仕分ける際とで、通過対象隙間24Tを通り抜ける孔周縁部4HAの厚みは一定となる(
図17)ため、多様な操作を行った際であっても安定した仕分け作業を行うことができる機能を持たせたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、一端でカード4を保持する仕組みとなっているため、次の効果が得られる。支柱2Pが挿通している孔4Hを中心にカード4が回動自在となるため、トランプを配る際やお札を数える際のように、次に捲るカードの先端を横にずらすことでカード4を掴みやすくしながら順に捲っていくといった操作など、本体およびカード4における多様な操作方法に柔軟に対応することができる。また、カード4を仕分ける際やカード4の束を入れ替える際に、それぞれのカード4において一つの支柱2Pをひとつの孔4Hに挿通するだけでよいため、手間取ることなく容易に行うことができる。
【0023】
また、本発明では、くさびの原理を利用して仕分ける仕組みとなっているため、次の効果が得られる。カード4の記載内容を指で隠さないようにカード4の先端を手で掴んで捲るという一般的なカード操作を行った後、掴んだ位置をカード4の先端から変えることなく、カード4の先端の向きを仕分先の支柱2Pに向かって倒すようにして進める、という自然な操作を通して、直感的で容易にカード4を仕分けることができる。
【0024】
また、本発明では、カード4ごとの付属部材は不要で、本体と孔4Hを有する任意の枚数のカード4だけを使用して、カード4の仕分け作業を行うことができる。また、支柱2Pに留め具はなく、弾性を持った支柱2Pを手で湾曲させてカード4の通り道を作ることにより、直感的で容易にカード4の束を入れ替えることができる。
【0025】
また、本発明では、複数の支持部によって本体を自在に支持することができるため、カード4を仕分ける際に本体がカード4と共に応動することなく、カード4を正しく仕分けることができる。また、保持されているすべてのカード4の脱落を一括して防止するロック機能を利用することにより、鞄に入れて持ち運ぶ際などに他の物品と干渉することでカード4および支柱2Pに外力が加わったとしても、カード4の脱落を一括して防止すると共に、突出していた把持部を本体内部に格納したコンパクトな本体として持ち運ぶことができる。
【0026】
また、本発明では、本体を動かすことなくカード4の表面と裏面を視認できるため、単語カードのような裏面に重要な情報が記載されたカード4を用いた仕分け作業を効果的に行うことができる。
【0027】
更に、専用カード4Dを用いることによって、任意のサイズのカード4を自由度の高い操作で扱うことができ、扱う人の特性や扱う際の環境に合わせた多様な操作方法で仕分け作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明における仕分け具である仕分け具1でカード4を仕分けている際の斜視図である。
【
図2】仕分け具1を構成する主体となる部品である主体部品2における、(a)は左側面図であり、(b)は正面図であり、(c)は背面図である。
【
図3】仕分け具1を構成する移動部品3における、(a)は平面図であり、(b)は左側面図であり、(c)は正面図である。
【
図4】仕分け具1における、(a)は移動部品3を引き出した状態の左側面図であり、(b)および(c)は移動部品3を収納した状態の左側面図および正面図である。
【
図5】仕分け具1におけるカード4の掴み方と捲り方についての図であり、(a)は同じ手によって後方把持部32と仕分前カード4Bの束を掴み、仕分対象カード4Tの先端を横にずらすことでカード4を掴みやすくすることができることを表し、(b)は仕分元支柱21の湾曲に合わせて仕分対象カード4T裏返すように進めることで、本体を動かすことなく裏面4TBが視認できることを表している。
【
図6】仕分け具1で仕分対象カード4Tを仕分先支柱22Tに仕分ける際の本体正面の周辺図であり、(a)は仕分対象カード4Tの先端を仕分先方向22TWSに向けた状態で操作対象孔4THの中心を仕分先方向22TWSに向けて移動した様子を表し、(b)は仕分対象カード4Tの先端を本体下方向に倒すように傾けた様子を表し、(c)は通過対象隙間24Tに仕分対象カード4Tの孔周縁部4HAがくさびの原理を利用して入り込んだ様子を表し、(d)は仕分対象カード4Tが仕分先支柱22Tで保持された様子を表している。
【
図7】仕分け具1で仕分け終えた仕分済カード束4FBを一括して仕分元支柱21に戻す際の本体正面の周辺図であり、(a)は仕分済カード束4FBの先端を戻し元支柱22Bから本体外側に向かって倒すように傾けた様子を表し、(b)は通過対象隙間24Tに仕分済カード束4FBの孔周縁部4HAがくさびの原理を利用して入り込んだ様子を表し、(c)は仕分済カード束4FBが仕分元支柱21で保持された様子を表している。
【
図8】仕分け具1で仕分け終えた仕分済カード束4FBを本体から取り外し、新しく扱うカード4の束である新規カード束4Nを本体に入れ込む際の本体正面の周辺図であり、開閉支柱22Dを手で湾曲させることで容易に新たな仕分け作業の準備を行うことができることを表している。
【
図9】仕分け具1による仕分け作業によって別類として仕分けた仕分済カード4F同士が重なり合って積層した集合束4FCを同類として仕分けた仕分済カード4Fのみの束に分配する際の斜視図であり、(a)は集合束4FCの様子を表し、(b)は本体をひっくり返した様子を表し、(c)は本体を小刻みに振ることで集合束4FCが分配される様子を表し、(d)は集合束4FCが分配された後の様子を表している。
【
図10】仕分け具1における本体前面を下に向けて支持した状態と、支柱2Pおよびカード4に外力が加わった際の斜視図であり、(a)は支柱2Pの先端が互いに近接していることによりカード4は自重によって脱落し得ないことを表し、(b)はロック機能によって先端集合部23を固定していないため、カード4が脱落し得るほどに隙間24が広がった様子を表し、(c)はロック機能によって先端集合部23をロックているため、外力によって隙間24は広がらずカード4は脱落し得ない様子を表している。
【
図11】仕分け具1における仕分け操作を多様な操作方法によって行っている際の図であり、(a)から(c)および(h)から(j)は先端集合部23を手前に向けた状態で、(d)および(e)は先端集合部23を奥に向けた状態で、(f)および(g)は先端集合部23を右に向けた状態で左手を使って本体を支持し、右手を使って仕分対象カード4Tを様々な方向に向けながら捲ることができる様子を表している。
【
図12】仕分け具1で一般カード4Gを扱った際の図であり、(a)は一般カード4Gの形状を表し、(b)は一般カード4Gの先端を向ける方向によって記載内容が逆さまになる様子を表し、(c)は一般カード4Gの回動範囲が狭くなった様子を表し、(d)は一般カード4Gの先端を本体横方向に向けた際に仕分け時の負荷が小さくなる様子を表し、(e)は一般カード4Gの先端を本体正面方向に向けた際に仕分け時の負荷が大きくなる様子を表している。
【
図13】仕分け具1で扱うための専用カード4Dを示した図であり、(a)は短手方向を狭くした専用カード4Dの形状例を表し、(b)は短手方向を広くした専用カード4Dの形状例を表している。また、(c)から(e)は専用カード4Dに所定の広い回動範囲を持たせるために、対象とする角取側面4DSが、(c)は隣り合う仕分済支柱22と干渉しないことを、(d)は仕分済支柱22で保持された際に中央支持部26と干渉しないことを、(e)は仕分元支柱21で保持された際に中央支持部26と干渉しないことを確認する様子を表している。
【
図14】仕分け具1で保持された専用カード4Dを回動させた際の斜視図であり、短手方向を極端に長くした専用カード4Dであっても、所定の広い回動範囲を有することを表している。
【
図15】専用カード4Dにおいて、仕分元支柱21を挿通する両端孔4DHを予め切り替えておくことによって、仕分対象カード4Tの表面に記載された記載内容を常に真っすぐと視認することができることを表しており、(a)は正面が右に向くように、(b)は正面が左を向くように、(c)および(d)は正面が手前に向くように、(e)および(f)は正面が奥に向くように本体を持ち、それぞれ右手および左手で扱いやすい位置に仕分対象カード4Tの先端を向けた状態である。
【
図16】仕分対象カード4Tを裏返すように捲るという操作を、仕分け具1と専用カード4Dの多様な角度の組み合わせにおいて捲る操作が行えること表しており、専用カード4Dの先端が、(a)は奥から手前に向かうように、(b)は右奥から右手前に向かうように、(c)は左奥から左手前に向かうように、(d)は左奥から右手前に向かうように、捲った様子を表している。
【
図17】仕分対象カード4Tを仕分ける操作を、専用カード4Dの先端を本体真横から本体手前に変化させたとしても、通過対象隙間24Tを通り抜ける仕分対象カード4Tの孔周縁部4HAの幅は変化せず、仕分け時の負荷が一定となることを表しており、(a)は専用カード4Dの先端を本体真横の向けて仕分けた様子を表し、(b)はその状態から本体手前に向けて略45度回転させた状態で仕分けた様子を表している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0030】
[外観構成]
最初に、
図1を参照し、本発明の一実施形態における外観構成について説明する。
【0031】
図1は本発明における仕分け具である仕分け具1でカード4を仕分けている際の斜視図である。仕分け具1は、主体部品2と移動部品3によって構成され、移動部品3は後方に設けられた後方把持部32を有し(詳細は
図3を用いて後述する)、本体の奥から手前にかけて摺動可能となるように主体部品2に嵌着されている(詳細は
図4を用いて後述する)。主体部品2は中央に設けられた中央支持部26と、3つの支柱2Pを有し、支柱2Pは上段に湾曲して設けられた仕分元支柱21と、下段に湾曲して設けられた2つの仕分済支柱22に分けられる。仕分元支柱21と仕分済支柱22の両先端は、お互いの先端が向く方向が略逆向きとなるように、且つ、お互いの先端の周壁側面が近接するように配置されている(詳細は
図2を用いて後述する)。また、力を加えることで仕分済支柱22の先端を仕分元支柱21から引き離すことができるように、仕分済支柱22は弾性素材で形成されている。
【0032】
仕分け具1で扱うカード4は、カード4が有する孔4Hに支柱2Pを挿通することによって保持され、仕分元支柱21で保持される仕分ける前のカード4を仕分前カード4Bと称し、仕分前カード4Bのうち仕分元支柱21の一番先端側で保持されている次の仕分け対象であるカード4を仕分対象カード4Tと称し、仕分済支柱22で同類ごとに保持される仕分けた後のカード4を仕分済カード4Fと称するものとする。また、仕分け時に仕分対象カード4Tの仕分け先として任意に選んだひとつの仕分済支柱22を仕分先支柱22Tと称し、仕分対象カード4Tを保持している支柱2Pが仕分元支柱21から仕分先支柱22Tへと切り替わるように仕分対象カード4Tを進めることを、「仕分対象カード4Tを仕分先支柱22Tに仕分ける」と表現するものとする。
図1は、仕分け先とする仕分先支柱22Tを右側に配置された仕分済支柱22として、仕分対象カード4Tを仕分先支柱22Tに仕分けている様子である。
【0033】
[操作の特徴]
次に、仕分け具1における操作の特徴について説明する。
【0034】
仕分け具1およびカード4を使用した仕分けを行うに先立ち、まず最初に仕分け具1およびカード4の束を支持する必要がある。仕分け具1では複数の支持部を有するため、本体を自在に支持することができる(詳細は
図11を用いて後述する)ことに加えて、本体を支持した手と同一の手によって仕分ける前のカード4の束を支持することができる(詳細は
図5(a)を用いて後述する)ため、もう片方の手によってカード4を一枚ずつ自在に操りながら仕分け作業が行えるようになっている(詳細は
図5、
図11、
図16を用いて後述する)。また、支柱2Pの先端は互いに近接しているため、本体をどのような角度で支持したとしても、保持されているカード4は自重によって脱落しないようになっている(詳細は
図10(a)を用いて後述する)。
【0035】
次に、次の仕分け対象である仕分対象カード4Tを手で掴み、表面の記載内容を視認する必要がある。仕分け具1では一端でカード4を保持する仕組みとなっているため、仕分対象カード4Tの先端を横にずらすことで掴みやすくする、といったような柔軟な操作を行うことができるようになっている(詳細は
図5(a)を用いて後述する)。
【0036】
次に、例えば単語カードのような裏面に重要な情報が記載されたカード4を扱う際であれば、仕分対象カード4Tの裏面の記載内容を視認する必要がある。仕分け具1では支柱2Pを湾曲して形成しているため、支柱2Pの延長方向に沿ってカードを進める際に、支柱2Pの湾曲に合わせてカードを裏返すように捲ることで、本体を動かすことなく裏面を視認することができるようになっている(詳細は
図5(b)を用いて後述する)。
【0037】
次に、仕分対象カード4Tをその都度任意に選んだ仕分先支柱22Tに仕分ける必要がある。仕分け具1ではくさびの原理を利用して仕分ける仕組みとなっているため、仕分対象カード4Tの先端の向きを仕分先支柱22Tに向かって倒すようにして進める、という自然な操作を通して直感的で容易に仕分けることができるようになっている(詳細は
図6を用いて後述する)。
【0038】
次に、例えば単語カードであれば、間違えた問題のみを再学習するために仕分け具1で仕分け終えた仕分済カード4Fの束の一方を一括して仕分元支柱21に戻す必要がある。仕分け具1では仕分け操作と同様に、先端の向きを調整しながら支柱2Pに沿って進めることによって、仕分済カード4Fの束を一括して仕分元支柱21へ戻すことができるようになっている(詳細は
図7を用いて後述する)。また、仕分け具1と扱うカード4のサイズの関係によっては、別の種類として仕分けた仕分済カード4Fが互いに略交互に重なり合って積層した束となることがあり、同類として仕分けた複数の仕分済カード4Fをひとつの束として扱うことが困難となる場合があるが、仕分け具1では分配突起27を利用して本体を小刻みに振ることで、同じ種類の仕分済カード4Fの束ごとに容易に分配することができるようになっている(詳細は
図9を用いて後述する)。
【0039】
次に、例えば単語カードであれば、習得済みのカード4の束と未習得である新たな単語カード4の束を入れ替える必要がある。仕分け具1では仕分済支柱22が弾性素材で形成されているため、手を使って仕分済支柱22を湾曲させてカード4の通り道を作ることにより、容易にカード4の束を入れ替えることができるようになっている(詳細は
図8を用いて後述する)。
【0040】
また、カード4が保持された状態の仕分け具1を鞄などに入れて持ち運ぶ際に、他の物品と干渉することでカード4に外力が加わり、本体からカード4が脱落する可能性がある。仕分け具1では支柱2Pの先端を固定するロック機能を有しており、保持されているすべてのカード4の脱落を一括して防止すると共に、後方把持部32を本体内部に格納したコンパクトな本体として持ち運ぶことができるようになっている(詳細は
図4および
図10(b)および(c)を用いて後述する)。
【0041】
また、本体のサイズと扱うカード4のサイズの関係によってはカード4が本体と干渉することにより操作しにくい場合がある(詳細は
図12を用いて後述する)。そこで、カード4の形状を仕分け具1で扱うための専用形状とした専用カード4Dを仕分け具1で用いることにより、扱う人の特性や扱う際の環境に合わせた多様な操作方法による仕分け作業を安定して行うことができるようになっている(詳細は
図13から
図17を用いて後述する)。
【0042】
[部品構成]
次に、仕分け具1における部品図(
図2および
図3)および構成図(
図4)を参照し、各部品の構造と部品どうしの関わり合いについて説明する。
【0043】
仕分け具1を構成する主体となる部品である主体部品2(
図2)は、本体後方に設けた連結部25と、連結部25の上面から上向きに略半円を描きながら手前に向かうように延設した仕分元支柱21(支柱2P)と、連結部25の下面の左右の端から下向きに略半円を描きながら並んで手前に向かうように延設した2つの仕分済支柱22(支柱2P)と、連結部25の正面に連結させて本体中央から本体左右に向かう中空形状となるように延設した中央支持部26と、連結部25の下面に連結させて2つの仕分済支柱22の根本の間から本体下に向かって山形状となるように突設した分配突起27と、3つの支柱2P(仕分元支柱21および仕分済支柱22)の先端が集まる部分を示す先端集合部23によって構成されている。
【0044】
仕分元支柱21の先端の延長方向21Eは仕分元支柱21の根元の延長方向21Sと略同一で、仕分済支柱22の先端の延長方向22Eは仕分元支柱21の先端の延長方向21Eとは略逆向きで、仕分元支柱21の先端から仕分済支柱22の先端へ向かう方向である先端食込方向23EEの角度は仕分元支柱21の先端の延長方向21Eの角度より仕分済支柱22の先端の延長方向22Eの角度と近くなるように、支柱2Pの各先端が配置されている。また、仕分済支柱22の前方は仕分元支柱21に向かって湾曲し、仕分済支柱22の先端の周壁側面は仕分元支柱21の先端の周壁側面と略接するように近接して配置され、支柱2Pの各先端は近接する別の支柱2Pの先端と互いに面で接するように平たい先細りの形状をしている。
【0045】
また、仕分済支柱22は弾性素材で形成され、仕分済支柱22の前方に対して本体外側へ向かう力を加えることにより、仕分済支柱22が湾曲し、仕分済支柱22の先端が本体外側に向かって開くように移動し、仕分済支柱22の先端を仕分元支柱21から引き離すことができ、また、加えていた力を無くすことにより、仕分済支柱22の湾曲は弾性力によって元に戻り、仕分済支柱22の先端が本体内側に向かって閉じるように移動し、仕分済支柱22の先端の周壁側面を再び仕分元支柱21に近接させることができる仕組みになっている。
【0046】
また、連結部25の左右の側面には、移動部品3を本体の奥から手前にかけて摺動可能とするための摺動溝25Sが水平に凹設されており、中央支持部26の正面には移動部品3が通り抜けるための割れ目26Cが設けられている。
【0047】
仕分け具1を構成する部品のひとつである移動部品3(
図3)は、中空形状の内側の左右側面に設けられた摺動レール31と、前面に設けられた嵌合部33と、外側の左右側面の後方に設けられた滑り止め34と、外側の左右側面の前方に設けられたストラップ孔35と、後部全体における後方把持部32によって構成されている。
【0048】
摺動レール31は、摺動溝25Sに嵌め込まれることによって、移動部品3の全体が本体の奥から手前にかけて摺動可能となる仕組みとなっている。嵌合部33は、先端集合部23に対して背面方向から嵌合する溝形状であり、移動部品3を本体の奥から手前に移動する際に嵌合部33が先端集合部23に嵌合し、移動部品3を本体の手前から奥に移動する際に嵌合部33が先端集合部23から外れる仕組みとなっている。
【0049】
仕分け具1において、滑り止め34を指で掴み移動部品3を引出方向3Oに向かって引き出す(
図4(a))ことによって、後方把持部32が後方に突き出た状態となるため把持可能となり、中央支持部26の中空は空き領域となるため指を入れて本体の支持が可能となり、先端集合部23から嵌合部33が外れるため仕分済支柱22は柔軟に湾曲可能となる仕組みとなっている。また、滑り止め34を指で掴み移動部品3を収納方向3Cに向かって収め入れる(
図4(b))ことによって、先端集合部23に嵌合部33が嵌合するため仕分済支柱22は容易に湾曲できなくなり、後方把持部32は本体内部に格納されるため本体がコンパクトとなる(詳細は
図4および
図10を用いて後述する)仕組みとなっている。
【0050】
[カードの掴み方と捲り方]
次に、
図5を参照し、仕分け具1におけるカード4の掴み方と捲り方について説明する。
【0051】
仕分け具1では、後方把持部32と仕分元支柱21の根元が近接して配置されている(
図4)ため、後方把持部32を支持する手と同一の手によって仕分元支柱21の根元で保持された仕分前カード4Bの束を掴むことができるようになっている。また、カード4は一端で保持される仕組みとなっているため、支柱2Pが挿通している孔4Hを中心にカード4が回動自在となり、例えばトランプを配る際やお札を数える際のように、仕分対象カード4Tの先端を横にずらす(
図5(a))ことで仕分対象カード4Tを掴みやすくする、といったような柔軟な操作を行うことができる(多様な持ち方の詳細は
図11を用いて後述する)。
【0052】
また、仕分け具1では、仕分元支柱21の先端の延長方向21Eが仕分元支柱21の根元の延長方向21Sと略同一となるように仕分元支柱21の全体が湾曲して形成されている(
図2)ため、仕分対象カード4Tを仕分元支柱21の根元から先端に向かって進める最中において、孔4Hを通過する仕分元支柱21の各部の延長方向に対して仕分対象カード4Tの角度が常に略直角となるように、仕分対象カード4Tの角度を仕分元支柱21の湾曲に合わせて変化させながら進めることによって、仕分対象カード4Tは裏返るようにして捲られ、仕分対象カード4Tの表面4TFが視認できた本体の位置から本体を動かすことなく、仕分対象カード4Tの裏面4TBが視認できる(
図5(b))仕組みとなっており、裏面4TBの内容に応じて仕分け方を判断することができるようになっている(多様な捲り方の詳細は
図11を用いて後述する)。
【0053】
[カードの仕分け方]
次に、
図6を参照し、仕分具1における仕分けの際の仕分対象カード4Tの進め方と仕分けの仕組みについて説明する。
【0054】
仕分元支柱21の先端の周壁側面と近接する仕分済支柱22の先端の周壁側面との間の領域を隙間24と称し、カード4が有する孔4Hの周縁部を孔周縁部4HAと称し、カード4が保持されている支柱2Pを別の支柱2Pに変更するために(またはカード4を本体から取り外すために)カード4を支柱2Pに沿って移動する際に、カード4の孔周縁部4HAが通り抜ける必要のある隙間24を通過対象隙間24Tと称し、その際の通過対象隙間24Tを広げる役割を担う仕分済支柱22を開閉支柱22Dと称し、仕分元支柱21の先端から仕分先支柱22Tの先端が位置する本体水平方向を仕分先方向22TWと称し、仕分対象カード4Tが有する孔4Hを操作対象孔4THと称することとする(
図6、
図7、
図8)。
【0055】
仕分対象カード4Tを仕分先支柱11に仕分ける際の仕分対象カード4Tの進め方は、最初に、仕分対象カード4Tの先端を仕分先方向22TWSに向け(
図6(a))、次に仕分対象カード4Tを仕分元支柱21の先端に向かって進ませた際に、操作対象孔4THの領域内に仕分先支柱22Tの先端が含まれ、且つ、操作対象孔4THの領域内に開閉支柱22D(仕分先支柱22T以外の仕分済支柱22)の先端が含まれない状態となるように、操作対象孔4THの内周縁が仕分元支柱21の側面と略接するほどに、操作対象孔4THの中心を仕分先方向22TWSに向けて移動する(
図6(a))。次に、その状態のまま、仕分対象カード4Tの先端を本体下方向に倒すように傾け(
図6(b))、そして、その状態のまま、仕分対象カード4Tを仕分元支柱21の先端に向かって進めることにより、操作対象孔4THから仕分元支柱21の先端が抜け出る前に操作対象孔4THに仕分先支柱22Tの先端が挿通し(
図6(c))、更に、仕分対象カード4Tを仕分先支柱22Tの先端から中腹に向かう延長方向に沿って進めることで、操作対象孔4THから仕分元支柱21の先端が抜け出て、仕分対象カード4Tが仕分先支柱22Tによって保持された状態となる(
図6(d))ものである。
【0056】
ここで、仕分先支柱22Tの先端は仕分元支柱21の先端と面で接するように平たい先細りの形状をしており仕分元支柱21の先端と近接して配置されているため、操作対象孔4THに仕分先支柱22Tの先端が入り込みやすい仕組みとなっている(
図6(b))。また、仕分対象カード4Tを傾けて進める際に、通過対象隙間24Tに対して仕分対象カード4Tの孔周縁部4HAが内側を前方に外側を後方にして斜めに入り込むことによって、くさびの原理により仕分対象カード4Tを仕分元支柱21に沿って進める力が通過対象隙間24Tを押し広げる力へと変わり、開閉支柱22Dを湾曲させ、開閉支柱22Dの前方が本体外側に向かって開くように移動し、仕分対象カード4Tの孔周縁部4HAが通過対象隙間24Tを通り抜けられるほどに、開閉支柱22Dの先端が仕分元支柱21から引き離される(
図6(c))。そして、仕分対象カード4Tの孔周縁部4HAが通過対象隙間24Tを通り抜け終わると、開閉支柱22Dの湾曲は弾性力によって元に戻り、開閉支柱22Dの前方が本体内側に向かって閉じるように移動し、開閉支柱22Dの先端が再び仕分元支柱21に近接した状態へ戻る(
図6(d))、といった仕組みとなっている。
【0057】
従って、仕分け具1では、カード4の記載内容を指で隠さないようにカード4の先端を手で掴んで捲るという一般的なカード操作を行った後、掴んだ位置をカード4の先端から変えることなく、カード4の先端の向きを仕分先の支柱2Pに向かって倒すようにして進める、という自然な操作を通して、直感的に容易にカード4を仕分けることができる。
【0058】
[カード束の戻し方と入れ替え方]
次に、
図7および
図8を参照し、仕分け終えた仕分済カード4Fの束の仕分元支柱21への戻し方と、新たなカード4の束との入れ替え方について説明する。
【0059】
同一の仕分済支柱22で保持されている仕分済カード4Fの束を仕分済カード束4FBと称し、仕分元支柱21で保持される状態へと移動する対象となる仕分済カード束4FBが保持されている仕分済支柱22を戻し元支柱22Bと称することとすると、仕分け具1で仕分け終えた仕分済カード束4FBを一括して仕分元支柱21に戻す際の仕分済カード束4FBの進め方は、最初に仕分け時と同様にして、仕分済カード束4FBの先端を戻し元支柱22Bから本体外側に向かって倒すように傾ける(
図7(a))。そして、その状態のまま、仕分済カード束4FBを戻し元支柱22Bの先端に向かって進めることによって、通過対象隙間24Tに対して仕分済カード束4FBの孔周縁部4HAが外側を前方に内側を後方にして斜めに入り込むことによって、くさびの原理により仕分済カード束4FBを戻し元支柱22Bに沿って進める力が通過対象隙間24Tを押し広げる力へと変わり、開閉支柱22Dを湾曲させ、開閉支柱22Dの前方が本体外側に向かって開くように移動し、仕分済カード束4FBの孔周縁部4HAが通過対象隙間24Tを通り抜けられるほどに、開閉支柱22Dの先端が仕分元支柱21から引き離される(
図7(b))。そして、仕分済カード束4FBの孔周縁部4HAが通過対象隙間24Tを通り抜け終わると、開閉支柱22Dの湾曲は弾性力によって元に戻り、開閉支柱22Dの前方が本体内側に向かって閉じるように移動し、開閉支柱22Dの先端が再び仕分元支柱21に近接した状態へ戻る(
図7(c))、といった仕組みとなっている。
【0060】
ここで、通過対象隙間24Tを通り抜ける仕分済カード束4FBの最初の一枚が、通過対象隙間24Tを押し広げる十分な役割を果たすため、仕分け具1では仕分済カード束4FBの枚数が多い場合であっても、仕分済カード束4FBを仕分元支柱21に戻す際の負荷は略一定となり、容易に戻し操作が行えるものである。
【0061】
また、仕分け具1において、仕分け終えた仕分済カード束4FBを本体から取り外し、同時に新しく扱うカード4の束である新規カード束4Nを本体に入れ込むには、取り外し対象とする仕分済カード束4FBが保持されている仕分済支柱22である開閉支柱22Dを手で湾曲させることによって(
図8)、その状態のまま仕分済カード束4FBを開閉支柱22Dから取り外し、開閉支柱22Dに新規カード束4Nを入れ込むことができ、また、開閉支柱22Dの湾曲を元に戻して入れ込んだ新規カード束4Nを開閉支柱22Dから仕分元支柱21へと移動することで、容易に新規カード束4Nを使用した新たな仕分け作業の準備を行うことができる。
【0062】
[集合束の分配]
次に、
図9を参照し、仕分け作業により、本体左側に配置された仕分済支柱22によって保持された仕分済カード4Fである左仕分済カード4FLの右側半面と、本体右側に配置された仕分済支柱22によって保持された仕分済カード4Fである右仕分済カード4FRの左側半面とが、互いに略交互に重なり合って積層した集合束4FCとなった(
図9(a))際に、集合束4FCを、右仕分済カード4FRと重なり合っていない状態の左仕分済カード4FLの束である左分配済カード束4FBLと、左仕分済カード4FLと重なり合っていない状態の右仕分済カード4FRの束である右分配済カード束4FBRに分配する方法を説明する。ここで、集合束4FCを構成する個々の仕分済カード4F(左仕分済カード4FLまたは右仕分済カード4FR)を単一カード4FCPと称するものとする。
【0063】
本体を分配突起27の先端が上に向くようにひっくり返した状態で支持し(
図9(a))、分配突起27の上に先端を本体後方に向けた状態の集合束71を乗せ(
図9(b))、本体を上下に小刻みに振る(
図9(c))ことにより、振動によって単一カード4FCP同士の間に隙間が生まれて互いの摩擦が減り、摩擦が減った単一カード4FCPは分配突起27に近いものから順に重力によって分配突起27の左右の坂面に沿うように傾き、傾いた単一カード4FCPの孔4Hが回転軸孔となり、左仕分済カード4FLである単一カード4FCPの先端と右仕分済カード4FRである単一カード4FCPの先端が互いに離れるように斜め下に向かって旋回し(
図9(c))、左分配済カード束4FBLと右分配済カード束4FBRに分配することができる(
図9(d))仕組みとなっている。
【0064】
そのため、短手方向が長いサイズのカード4を使用して仕分け作業を行ったり、仕分済支柱22間の距離が小さいコンパクトな本体を使用して仕分け作業を行った際に、仕分済カード4Fが集合束4FCとなったとしても、分配突起27を利用した本体の操作によって集合束4FCを左分配済カード束4FBLと右分配済カード束4FBRに容易に分配することができる。ここで、本体を小刻みに振れない状況や、振動によって分配がうまく進まない状況に対しては、集合束4FCの先端を指で上から下に突くように弾くことで集合束4FC自体に振動を加えたり、集合束4FCの上面を中央から外側に向かって指で撫でることで集合束4FCの分配を補助することもできるようになっている。
【0065】
[ロック機能と持ち運び]
次に、
図10を参照し、ロック機能とコンパクト化の仕組みについて説明する。
【0066】
仕分け具1では、支柱2Pの先端が互いに近接して配置されているため、本体をどのような角度で支持したとしても、隙間24が広がらない限りは支柱2Pで保持されているカード4は自重によって隙間24を通り抜けて脱落しない構造となっている(
図10(a))。しかし、仕分済支柱22は弾性素材で形成されいるため、例えば本体を鞄の中などに入れて持ち運ぶ際などに、他の物品と本体やカード4が干渉することで仕分済支柱22に外力が加わり、仕分済支柱22の前方が本体外側に向かって開いてしまい(
図10(b))、カード4が脱落してしまう可能性がある。また、後方把持部32は本体から突出した形状となっているため、省スペースで持ち運びできず、また、持ち運びの際に壊れる原因となってしまうことになる(
図4(a)および
図10(b))。
【0067】
そこで、仕分け具1で仕分けを行わなずカード4を保持したまま本体を持ち運ぶ際には、移動部品3を本体内部に収め入れる(
図4(b))ことによって、先端集合部23に嵌合部33が嵌合して先端集合部23がロックされるため、鞄に入れて持ち運ぶ際などに他の物品と干渉することで支柱2Pおよび支柱2Pで保持されているカード4に外力が加わったとしても、先端集合部23と嵌合部33との嵌合が外れない限りは、支柱2Pの先端位置および隙間24の広さは変化ぜず、保持されているすべてのカード4の脱落を一括して防止すると共に、後方把持部32は本体内部に格納されるため、コンパクトな本体として手軽に安心して持ち運ぶことができる(
図10(c))仕組みとなっている。
【0068】
持ち運び終えた仕分け具1において再度仕分けを行う際には、移動部品3を引き出す(
図4(a))ことによって、後方把持部32は後方に突き出るため把持可能となり、中央支持部26の中空部は空き領域となるため指を入れることによる本体の支持も可能となり(多様な持ち方の詳細は
図11を用いて後述する)、先端集合部23から嵌合部33が外れるため仕分済支柱22は柔軟に湾曲可能となり、速やかに仕分けを始めることが可能な仕組みとなっている。また、移動部品3には滑り止め34が設けられているため、移動部品3が滑りやすい素材で形成されていたとしても、移動部品3を引き出したり収め入れたりすることに手間取ることはない仕組みとなっている。
【0069】
[多様な扱い方]
次に、
図11を参照して、仕分け具1の仕分け操作における多様な持ち方と操作方法について説明する。
【0070】
図11は仕分け具1における仕分け操作を多様な操作方法によって行っている際の図であり、(a)から(c)は先端集合部23を手前に向けた状態の本体を左手の人差し指と中指の間で後方把持部32を挟むことで支持し、右手を使うことで仕分対象カード4Tの先端を(a)は奥から手前に(b)は右奥から右手前に(c)は左奥から右手前に向かって捲ることができる様子を表し、(d)および(e)は先端集合部23を奥に向けた状態の本体を左手の人差し指と中指の間で後方把持部32を挟むことで支持し、右手を使うことで仕分対象カード4Tの先端を(d)は奥から手前に(e)は右奥から右手前に向かって捲ることができる様子を表し、(f)および(g)は先端集合部23を右に向けた状態の本体を折り曲げた左手の人差し指と中指の間で後方把持部32を挟むことで支持し、右手を使うことで仕分対象カード4Tの先端を(f)は左から右に(g)は左手前から右奥に向かって捲ることができる様子を表し、(h)から(j)は先端集合部23を手前に向けた状態の本体を、中央支持部26に挿入した左手の中指と仕分元支柱21の外側に置いた左手の人差し指との間で挟むことで支持し、右手を使うことで仕分対象カード4Tの先端を(h)は奥から手前に(i)は右奥から右手前に(j)は左奥から右手前に向かって捲ることができる様子を表している。ここで、左右の手を逆にして同様に操作することも可能である。
【0071】
このように、仕分け具1では、仕分元支柱21の根元で保持した仕分前カード4Bの束を掴んだ手と同一の手によって、後方把持部32を把持して本体を支持したり、中央支持部26に指を挿通して本体を支持することができるため、自由となっているもう片方の手を自在に使用してカード4を操ることができ、更にう人の特性や扱う際の環境に合わせた多様な操作方法で仕分け作業を安定して行うことができる仕組みとなっている。
【0072】
[専用カードの利用]
次に、
図12から
図17を参照して、本発明のカード仕分け具で扱う際の専用のカード4である専用カード4Dの形状と、専用カード4Dを仕分け具1で扱った際の特性について説明する。
【0073】
多様な操作方法を許容する仕分け具1とカード4の組み合わせを提供することは、利き腕や慣れといったような、扱う人の特性に合った操作を可能とするだけでなく、扱う人が同じであったとしても、狭い場所で扱う際や本体を物に固定して扱う際といったように、扱う際の環境に合わせて操作方法を柔軟に変更できる、といった点でも重要となる。
【0074】
例えば、単語カードと仕分け具1を使用して効果的な学習を行う際の一連の操作は、第一に最初の問題である仕分対象カード4Tを手で掴み表面に記載された問題に対する解答予想を行う(第一手順)、次に仕分対象カード4Tを裏返すようにして捲り裏面に記載された実際の解答を確認する(第二手順)、次に予想した解答の成否によって異なる仕分先支柱22Tへ仕分対象カード4Tを仕分ける(第三手順)、といった操作をすべての単語カードに対して繰り返した後に、間違えた方の仕分済カード束4FBを仕分元支柱21へ戻すことで効果的な再学習の準備を行う(第四手順)、といった4つ手順によって構成されている。多様な操作方法を許容するためには、これらの4つの手順において、仕分け具1とカード4に対する多様な角度の組み合わせのうち、できるだけ多くの組み合わせの状態において、操作が可能であることが求められる。
【0075】
しかし、一般的なカードリング方式で扱われるカード4の形状を持つ一般カード4Gは、長方形状をしており、長手方向の一端で且つ短手方向の中央に孔4Hとして単一孔4GHが設けられた形状をしている(
図12(a))。そのため、表面の記載内容を確認するという第一手順の操作を、例えば一般カード4Gの先端を本体の左側または右側に向けるようにして行った際に、記載された文字が逆さまとなり、一般カード4Gの表面の記載内容が認識しにくい場合がある(
図12(b))。また、仕分対象カード4Tを裏返すようにして捲るという第二手順、および、仕分済カード束4FBを仕分元支柱21に戻すという第四手順の操作を、例えば、短手方向が広い一般カード4Gの先端を本体の左側または右側に向けるようにして行おうとした際に、一般カード4Gの側面が中央支持部26や別の支柱2Pと干渉し、操作を妨害することがある(
図12(c))。また、仕分先支柱22Tに仕分けるという第三手順、および、仕分済カード束4FBを仕分元支柱21に戻すという第四手順の操作を、一般カード4Gの先端を本体左方向または本体右方向に向けて操作した際(
図12(d))と、一般カード4Gの先端を本体正面方向に向けて操作した際(
図12(e))とでは、通過対象隙間24Tを通り抜ける孔周縁部4HAの幅が異なるために操作時の負荷が変動することがある。このように、仕分け具1で一般カード4Gを扱う際には、仕分け具1の角度とカード4の角度の組み合わせによって、操作時の負荷が大きくなったり、操作が妨害されたりすることがあり、不便な場合がある。
【0076】
そこで、本発明のカード仕分け具で扱う専用のカード4である専用カード4Dは、長手方向の両端で且つ短手方向の中央に孔4Hとして設けた2つの両端孔4DHと、両端孔4DHから直近の外周側面に設けた円弧側面4DCと、外周側面の角部を削るようにして設けた4つの角取側面4DSを有する(
図13(a))。円弧側面4DCは、直近の両端孔4DHの略中心を中心点として角度幅を略90度以上とした略円弧形状の側面である。角取側面4DSの作成にあたっては、作成対象とする角取側面4DSを対象角部4DSTと称し、対象角部4DSTから直近の両端孔4DHを対象両端孔4DHTと称すると、対象両端孔4DHTに3つの支柱2Pをそれぞれ個別に挿通した状態の仕分け具1である3つの仮想本体1Vを想定し、仮想本体1Vの上下方向が前記専用カードの長手方向と平行となるように向け、2つの仕分済支柱22の間に対象角部4DSTが位置している仮想本体1Vは静止させた状態のままで(
図13(c))、対象角部4DSTが本体外側に位置している仮想本体1V、および、対象両端孔4DHTに仕分元支柱21を挿通している仮想本体1Vは、対象両端孔4DHTを軸にして対象角部4DST側に向かって略90度回転させた際に(
図13(d)および(e))、3つの仮想本体1Vにおける中央支持部26および対象両端孔4DHTに挿通していない支柱2Pが対象角部4DSTと干渉することがないように、対象角部4DSTを任意の形状に削り取って設けた側面であり、角取側面4DSは直線(
図13(a))であってもくびれた曲線(
図13(b))であっても構わない。
【0077】
専用カード4Dを上述した形状とすることにより、短手方向および長手方向が極端に長い専用カード4Dを扱う際であっても、仕分元支柱21で保持された専用カード4Dは本体左右に向かって略90度ずつである計略180度、および、仕分済支柱22で保持された専用カード4Dは本体外側に向かって略90度といった略一定の広い回動範囲を持つ仕組みとなっている(
図14)。また、仕分対象カード4Tを手で掴み表面の記載内容を確認するという第一手順の操作を、本体と専用カード4Dの多様な角度の組み合わせにおいて行った際であっても、仕分元支柱21を挿通する両端孔4DHを予め切り替えておくことによって、専用カード4Dの表面に記載された記載内容を常に真っすぐと視認することができる仕組みとなっている(
図15)。また、仕分対象カード4Tを裏返すようにして捲るという第二手順において、専用カード4Dの先端を本体左側または本体右側に向けるようにして行った際であっても、専用カード4Dの側面が中央支持部26と干渉することはなく、自在な操作によって捲ることができる仕組みとなっている(
図16)。また、仕分先支柱22Tに仕分けるという第三手順および仕分済カード束4FBを仕分元支柱21に戻すという第四手順において、専用カード4Dの先端を本体真横に向けた状態で仕分ける際と、その状態から本体手前に向かって略45度回転させた状態で仕分ける際とで、通過対象隙間24Tを通り抜ける孔周縁部4HAの厚みは一定となるため、多様な操作を行った際であっても安定した仕分け作業を行うことができる仕組みとなっている(
図17)。
【0078】
上述したように、専用カード4Dは仕分け具1と専用カード4Dの多様な角度の組み合わせによる操作を許容することで、利き腕や慣れといったような、扱う人の特性に合った操作を可能とし、更に、扱う人が同じであったとしても、狭い場所で扱う際や本体を物に固定して扱う際といったように、扱う際の環境に合わせて操作方法を柔軟に変更することが可能となるものである。
【0079】
[作成にあたって]
本発明における仕分け具1およびカード4を形成する素材は、いずれも特にひとつに限定されるものではなく、仕分け具1とカード4が干渉しながら動く際に大きな摩擦が生ずることのない、例えば仕分け具1は安価なプラスチック、カード4は安価な厚紙または薄いプラスチックなどでよい。
【0080】
また、仕分済支柱22を形成する素材において、主体部品2の全体をプラスチックなどの弾性素材で形成する際は、仕分済支柱22においても同一の素材を用いて形成すればよく、主体部品2の全体を金属などの固い素材で形成する際は、仕分済支柱22においては弾性を持つゴムやプラスチックなどを用いて形成して連結すればよい。ここで、仕分済支柱22の全体がすべて弾性素材である必要はなく、手の力によって仕分済支柱22を湾曲させることができれば、仕分済支柱22の一部分のみを弾性素材で形成された弾性部としてもよい。また、仕分済支柱22は前方が本体外側に向かって開くように湾曲するだけでよく、それ以外の方向への湾曲を制限した構造とすることによって、支柱2Pによって保持されたカード4が外力によって脱落することをより強固に防止する仕組みを取り入れてもよい。
【0081】
また、仕分け具1を構成する各部品を組み立てるには、主体部品2の仕分済支柱22の前方を手で本体外側に向かって広げ、移動部品3の中空部に仕分元支柱21の先端および中央支持部26の割れ目の上端を通すようにして、移動部品3の摺動レール31を主体部品2の摺動溝25Sに嵌め込めばよい。
【0082】
また、専用カード4Dにおける両端孔4DHの位置を、十分な強度が保てる範囲内において長手方向のできるだけ外側に設けることは、中央支持部26と支柱2Pとの距離が短いコンパクトな仕分け具1を用いた仕分け作業を提供することに繋がるものである。更に、専用カード4Dの円弧側面の角度幅をできるだけ大きく設けることは、専用カード4Dの仕分け時の角度に伴う負荷が一定となる範囲を大きくし、安定した仕分け操作を提供することに繋がるものである。
【0083】
[別の形態]
仕分け具1に分配突起27を設けない場合は、仕分済支柱22の根元を本体外側に向けて湾曲させた構造としたり、仕分済支柱22の全体がワンタッチで本体外側に広がる構造としたりすることによって、仕分け作業によって積層した集合束4FCを同種ごとに分配しやすいように工夫するとよい。
【0084】
移動部品3の移動によって行われるロック機能は、本体の奥から手前にかけて摺動させることに限定されるものではなく、水平方向に回動自在となるように連結部25に軸着した移動部品3を回動させることによって、移動部品3の背面に設けたフック形状の嵌合部33を先端集合部23に対して側面方向から嵌合させることでロックする構造としてもよい。また、その場合のストラップ孔35の位置は、ストラップで吊るされた仕分け具1の自重によって移動部品3の回動が誘発されることのない、移動部品3の前面に設けるとよい。
【0085】
支柱2Pの形状は、半円形状に限定されるものではないが、本体側面を下にして机に置いた際などに、各支柱2Pで保持されているカード4の各先端が支柱の湾曲に沿って自然と放射状に広がることを利用して、保持されているカード4の束を見返すなどの操作を想定する場合には、支柱2Pの形状は略半円形状とすることが望ましい。ただし、仕分元支柱21の形状は根元から先端にかけて常に一定の湾曲度合いを持たせることに限定されるものではなく、先端に近づくに従って大きな湾曲度合いを持たせるなど、仕分対象カード4Tの効率的な捲り方に特化した形状であってもよい。
【0086】
支柱2Pの先端は互いに近接して配置することに限定されるものではないが、本体を多様な角度で支持したり、カード4を素早くまたは大雑把に扱うといった操作を想定する場合には、カード4が不必要に脱落しない構造となるように、支柱2Pの先端を互いに近接して配置することが望ましい。
【0087】
仕分済支柱22の数は2つに限定されるものではないが、仕分け具1に多数の仕分済支柱22を配置した場合は、仕分対象カード4Tの操作に伴って操作対象孔4THに挿通される仕分済支柱22をひとつに限定しやすくなるように、専用カード4Dの両端孔4DHの形状を楕円形状または長方形状とするとよい。
【0088】
[活用方法]
本発明における仕分け具1は、カード4の一般的な捲り方および直感的な仕分け方に対応しているため、中高生や若年の大人の方に限らず、小学生や高齢の方であっても、容易に使いこなすことができる。更に、仕分け具1は多様な操作方法に対応しているため、個人の利き腕や経験に合った操作方法で扱ったり、ハンディーキャップに合わせて独自の操作方法を取り入れたり、先生が生徒に見せるようにして扱ったり、運動中など体制が安定しない状況や狭い場所で作業を行いながら扱ったりといったように、扱う人の特性や扱う際の環境に合わせた多様な操作方法で仕分け作業を行うことができる。
【0089】
また、仕分け具1はコンパクトであるため省スペースに収納することができ、また、ロック機能を使用して保持されているすべてのカード4の脱落を一括して防止することにより、他の物品と干渉する筆箱や鞄の中に入れて、手軽に持ち運ぶことができる。更に、ロックと解除は容易に操作できるため、電車の中などの狭い場所での活用や、試験会場の休み時間などの短い時間での活用にも適している。
【0090】
また、仕分け具1で扱うことができるカード4の種類は、直前に間違えた問題を優先的に学習し直すことで効果的な学習を行うことができる単語カードなどの学習カードに加えて、その日の出席者と欠席者を仕分けるクラスの出席確認作業や、完了と未完了に仕分ける毎日のタスク管理作業など、日常生活のあらゆる場面において幅広く活用することが期待できる。
【符号の説明】
【0091】
1 仕分け具
1V 仮想本体(角取側面4DSを作成する際に想定する仮想の仕分け具1)
2 主体部品
2P 支柱
21 仕分元支柱
21S 仕分元支柱の根元の延長方向
21E 仕分元支柱の先端の延長方向
22 仕分済支柱
22E 仕分済支柱の先端の延長方向
22T 仕分先支柱(仕分け時に、仕分先として任意に選択した仕分済支柱22)
22TW 仕分先方向(仕分元支柱21の先端から仕分先支柱22Tの先端が位置する本体水平方向)
22D 開閉支柱(通過対象隙間24Tを広げる役割を担う仕分済支柱22)
22B 戻し元支柱(仕分元支柱21で保持されている状態へと戻す対象となる仕分済カード束4FBが保持されている仕分済支柱22)
23 先端集合部
23EE 先端食込方向(仕分元支柱21の先端から仕分済支柱22の先端へ向かう方向)
24 隙間
24T 通過対象隙間(カード4が保持されている支柱2Pを切り替える際にカード4の孔周縁部4HAが通り抜ける必要のある隙間24)
25 連結部
25S 摺動溝
26 中央支持部
26C 割れ目
27 分配突起
3 移動部品
3O 引出方向
3C 収納方向
31 摺動レール
32 後方把持部
33 嵌合部
34 滑り止め
35 ストラップ孔
4 カード
4H 孔
4HA 孔周縁部
4B 仕分前カード(仕分ける前のカード4)
4T 仕分対象カード(次の仕分け対象であるカード4)
4TF 仕分対象カード4Tの表面
4TB 仕分対象カード4Tの裏面
4TH 操作対象孔(仕分対象カード4Tが有する孔4H)
4F 仕分済カード(仕分けた後のカード4)
4FL 左仕分済カード(本体左側に配置された仕分済支柱22で保持された仕分済カード4F)
4FR 右仕分済カード(本体右側に配置された仕分済支柱22で保持された仕分済カード4F)
4FB 仕分済カード束(仕分済カード4Fの束)
4FBL 左分配済カード束(右仕分済カード4FRと重なり合っていない状態の左仕分済カード4FLの束)
4FBR 右分配済カード束(左仕分済カード4FLと重なり合っていない状態の右仕分済カード4FRの束)
4FC 集合束(左仕分済カード4FLと右仕分済カード4FRが互いに略交互に重なり合って積層した仕分済カード4Fの束)
4FCP 単一カード(集合束4FCを構成する個々の仕分済カード4F)
4N 新規カード束(新たに追加するカード4の束)
4G 一般カード(一般的な形状であるカード4)
4GH 単一孔(一般カード4Gが有する孔4H)
4D 専用カード(仕分け具1で扱う専用のカード4)
4DH 両端孔(専用カード4Dが有する2つの孔4H)
4DHT 対象両端孔(対象角部4DSTから直近の両端孔4DH)
4DC 円弧側面
4DS 角取側面
4DST 対象角部(作成対象とする角取側面4DS)