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特開2022-43964天然抗菌物質の製造方法及び該製造方法により製造された天然抗菌物質を含む抗菌剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043964
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】天然抗菌物質の製造方法及び該製造方法により製造された天然抗菌物質を含む抗菌剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 65/10 20090101AFI20220309BHJP
   A01N 65/30 20090101ALI20220309BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220309BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
A01N65/10
A01N65/30
A01P3/00
A01P1/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203979
(22)【出願日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0113090
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520485804
【氏名又は名称】エムワイ カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ピョ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン リン
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA02
4H011AA04
4H011BB18
4H011BB22
4H011DA13
4H011DD07
(57)【要約】
【課題】 天然抗菌物質の製造方法及び該製造方法により製造された天然抗菌物質を含む抗菌剤を提供する。
【解決手段】 本発明は、ナノ化されたウイキョウ抽出物とナノ化されたアイ抽出物に電気刺激を加えて製造された天然抗菌物質に糖アルコールを含めて製造された抗菌剤に関する。
前記抗菌剤は、ヒトの細胞膜には安全でありながらも、細菌の細胞膜構造を乱して抗菌効能を極大化させるというメリットがある。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイキョウ抽出物水溶液とアイ抽出物水溶液に有機溶媒を混合してウイキョウ抽出物高次分画物とアイ抽出物高次分画物を得るステップと、
前記得られたウイキョウ抽出物高次分画物とアイ抽出物高次分画物に超音波刺激を加えて、ナノ化されたウイキョウ抽出物分画物とナノ化されたアイ抽出物分画物を得るステップと、
前記ナノ化されたウイキョウ抽出物分画物とナノ化されたアイ抽出物分画物に電気刺激を加えるステップと、
を含む天然抗菌物質の製造方法。
【請求項2】
前記ウイキョウ抽出物水溶液、前記アイ抽出物水溶液、前記有機溶媒の重量比は、1:1.5:7~1:2:8であることを特徴とする請求項1に記載の天然抗菌物質の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法により製造された天然抗菌物質と糖アルコールとを含む天然抗菌物質を含む抗菌剤。
【請求項4】
前記抗菌剤は、前記ウイキョウ抽出物10~30重量部、アイ抽出物20~30重量部、ソルビトール10~20重量部、マルチトール20~40重量部を含む天然抗菌物質を含む請求項3に記載の抗菌剤。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の抗菌剤を多重光触媒水またはpH2.7~6.5の次亜塩素酸水に0.1~5%の濃度で添加した非人体用抗菌剤。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の抗菌剤を多重光触媒水またはpH2.7~6.5の次亜塩素酸水に0.1~0.5%の濃度で添加した人体用抗菌剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然抗菌物質の製造方法及び該製造方法により製造された天然抗菌物質を含む抗菌組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
抗菌物質は、他の微生物の成長を防げる薬物であり、バクテリア、カビまたはウィルスなどを取り除くために用いられる。
【0003】
現在、抗菌剤は、130余種類が開発されており、これらの抗菌剤は、合成抗菌剤と天然抗菌剤とに分けられるが、合成抗菌剤が天然抗菌剤の約5~6倍ほどの市場規模を形成している。
【0004】
現在、合成抗菌剤は、自体の毒性により使用量が制限されている。このような合成抗菌剤の欠点を補うために、化学的な抗菌剤を天然抗菌剤に取って代えようとする動きが盛んになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国登録特許公報第2124592号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、天然物質から抽出した抗菌物質を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る天然抗菌物質の製造方法は、ウイキョウ抽出物水溶液とアイ(藍)抽出物水溶液に有機溶媒を混合してウイキョウ抽出物高次分画物とアイ抽出物高次分画物を得るステップと、前記得られたウイキョウ抽出物高次分画物とアイ抽出物高次分画物に超音波刺激を加えて、ナノ化されたウイキョウ抽出物分画物とナノ化されたアイ抽出物分画物を得るステップと、前記ナノ化されたウイキョウ抽出物分画物とナノ化されたアイ抽出物分画物に電気刺激を加えるステップと、を含んでいてもよい。
【0008】
また、前記ウイキョウ抽出物水溶液、前記アイ抽出物水溶液、前記有機溶媒の重量比は、1:1.5:7~1:2:8であってもよい。
【0009】
本発明の一実施形態に係る抗菌剤は、上記の製造方法により製造された天然抗菌物質と糖アルコールとを含む天然抗菌物質を含んでいてもよい。
【0010】
さらに、前記抗菌剤は、前記ウイキョウ抽出物10~30重量部、アイ抽出物20~30重量部、ソルビトール10~20重量部、マルチトール20~40重量部を含んでいてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る非人体用抗菌剤は、抗菌剤を多重光触媒水またはpH2.7~6.5の次亜塩素酸水に0.1~5%の濃度で添加してもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る人体用抗菌剤は、抗菌剤を多重光触媒水またはpH2.7~6.5の次亜塩素酸水に0.1~0.5%の濃度で添加してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態に係る天然抗菌物質は、ヒトの細胞膜には安全でありながらも、細菌の細胞膜構造を乱して抗菌、抗塵、抗ウィルスの効能を極大化させるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1a】異なる濃度で添加された天然抗菌物質にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を混合して培養した後、固体培養皿を写真撮影したものである。
図1b】異なる濃度で添加された天然抗菌物質にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を混合して培養した後、固体培養皿を写真撮影したものである。
図1c】異なる濃度で添加された天然抗菌物質にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を混合して培養した後、固体培養皿を写真撮影したものである。
図1d】異なる濃度で添加された天然抗菌物質にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を混合して培養した後、固体培養皿を写真撮影したものである。
図1e】異なる濃度で添加された天然抗菌物質にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を混合して培養した後、固体培養皿を写真撮影したものである。
図1f】異なる濃度で添加された天然抗菌物質にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を混合して培養した後、固体培養皿を写真撮影したものである。
図2a】異なる濃度で添加された天然抗菌物質にカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)を混合して培養した後、固体培養皿を写真撮影したものである。
図2b】異なる濃度で添加された天然抗菌物質にカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)を混合して培養した後、固体培養皿を写真撮影したものである。
図2c】異なる濃度で添加された天然抗菌物質にカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)を混合して培養した後、固体培養皿を写真撮影したものである。
図2d】異なる濃度で添加された天然抗菌物質にカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)を混合して培養した後、固体培養皿を写真撮影したものである。
図2e】、異なる濃度で添加された天然抗菌物質にカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)を混合して培養した後、固体培養皿を写真撮影したものである。
図2f】異なる濃度で添加された天然抗菌物質にカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)を混合して培養した後、固体培養皿を写真撮影したものである。
図3】本発明の一実施形態に係る天然抗菌物質1%においてMRSAの抗菌力が持続するかどうかを実験したことを示すものである。
図4】質量分析器を用いて、黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌に蒸留水を添加して同定したデータである。
図5】質量分析器を用いて、黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌に70%エタノールを添加して同定したデータである。
図6】質量分析器を用いて、黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌にファブリーズ(登録商標)を添加して同定したデータである。
図7】質量分析器を用いて、黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌に本発明の天然抗菌物質0.1%を添加して同定したデータである。
図8】質量分析器を用いて、黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌に本発明の天然抗菌物質0.5%を添加して同定したデータである。
図9】質量分析器を用いて、黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌に本発明の天然抗菌物質1%を添加して同定したデータである。
図10】質量分析器を用いて、緑膿菌と緑膿菌に本発明の天然抗菌物質0.05%を添加して同定したデータである。
図11】質量分析器を用いて、緑膿菌と緑膿菌に本発明の天然抗菌物質0.1%を添加して同定したデータである。
図12】質量分析器を用いて、緑膿菌と緑膿菌に本発明の天然抗菌物質0.5%を添加して同定したデータである。
図13】質量分析器を用いて、緑膿菌と緑膿菌に本発明の天然抗菌物質1%を添加して同定したデータである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<天然抗菌物質の製造方法>
本発明において、「抗菌」とは、菌を取り除くことだけではなく、カビ、ウィルス、寄生虫及びバクテリアのいずれか一つを取り除けることを意味する。したがって、本発明において指し示す抗菌剤とは、菌、カビ、ウィルス、バクテリアのいずれか一つを取り除ける物質のことを意味し、必ずしも辞書的な意味の「抗菌」に制限するものであるとは限らない。
【0016】
本発明の一実施形態に係る天然抗菌物質の製造方法は、洗浄及び精選された天然植物性成分を発酵させた後、抽出溶媒で還流抽出して抽出液を得るステップ(S10)、抽出液をろ過し、かつ、濃縮及び凍結乾燥して粉末化するステップ(S20)、粉末を蒸留水に分散させた後、有機溶媒を用いて高次分画物を得るステップ(S30)、高次分画物を混合し、超音波刺激を加えてナノ化するステップ(S40)、ナノ化された天然植物性成分が互いに浸透されるように電気刺激を加えるステップ(S50)、前記電気刺激の加えられたナノ化された天然植物性成分を加熱した後、真空乾燥するステップ(S60)を含んでいてもよい。
【0017】
1.抽出液収得ステップ(S10)
ウイキョウとアイをきれいに洗浄し、それぞれエタノールを抽出溶媒として用いて1時間ずつ2回還流抽出してウイキョウ抽出液とアイ抽出液を得る。
【0018】
2.粉末化ステップ(S20)
次いで、ウイキョウ抽出液とアイ抽出液を通常の方法でろ過し、ろ過されたウイキョウ抽出液とアイ抽出液を回転式減圧濃縮器で濃縮し、濃縮されたウイキョウ抽出液とアイ抽出液をそれぞれ凍結乾燥して粉末化する。
【0019】
3.高次分画物収得ステップ(S30)
次いで、ウイキョウ抽出粉末とアイ抽出粉末のそれぞれに蒸留水を混合してウイキョウ抽出物粉末とアイ抽出物粉末を蒸留水に分散させ、有機溶媒を投入してウイキョウ抽出物高次分画物とアイ抽出物高次分画物を得る。ここで、有機溶媒としては、ヘキサン(hexane)、クロロホルム(chloroform)、酢酸エチル(ethyl acetate)、ブタノール(butanol)のうちから選ばれるいずれか1種または2種以上により組成されたものが用いられる。
【0020】
好ましくは、ウイキョウ抽出物粉末と蒸留水の重量比は、アイ抽出物粉末と蒸留水の重量比と同様である。好ましくは、粉末と蒸留水の重量比は、1:3~1:4であってもよい。
【0021】
また、蒸留水に分散されたウイキョウ抽出物粉末(以下、ウイキョウ抽出物水溶液と称する。)、蒸留水に分散されたアイ粉末(以下、アイ抽出物水溶液と称する。)、有機溶媒の重量比は、1:1.5:7~1:2:8であってもよい。
【0022】
好ましくは、ウイキョウ抽出物水溶液20重量部、アイ抽出物水溶液30重量部、有機溶媒150重量部を混合した後、3~5分間ボルテックスで混合してもよい。
【0023】
4.ナノ化ステップ(S40)
次いで、得られたウイキョウ抽出物高次分画物とアイ抽出物高次分画物がナノ化されるように超音波刺激を加える。前記超音波刺激は、35000Hz~50000Hzの周波数の超音波で3分間刺激した後、liposofast(Avestin,Canada)ナノエクストルーダー(nano extruder)を活かして2分間安定化させる過程を合計で12回繰り返し行ってもよい。これにより、ナノ化されたウイキョウ抽出物分画物とアイ抽出物分画物が得られる。
【0024】
5.電気刺激ステップ(S50)
次いで、ナノ化されたウイキョウ分画物がナノ化されたアイ分画物に浸透されるように電気刺激を加える。ここで、電気刺激は、80~110V、50~65mAにて10分~30分間1回刺激してもよく、50~110V、30~50mAにて10分~20分間2回刺激してもよい。この過程において、ナノ化されたウイキョウ抽出物分画物がナノ化されたアイ抽出物分画物に浸透したり、逆に、ナノ化されたアイ分画物がナノ化されたウイキョウ分画物に浸透したりできる。
【0025】
6.加熱及び真空乾燥ステップ(S60)
次いで、電気刺激が加えられたウイキョウ及びアイ分画物を900℃~1,100℃で25分~35分間加熱した後、7時間真空乾燥して天然抗菌物質を得てもよい。
【0026】
前記天然抗菌物質には、ウイキョウ抽出物とアイ抽出物が含まれる。好ましくは、前記ウイキョウ抽出物とアイ抽出物の重量比は、1:0.1~1:5であってもよい。
【0027】
上述した天然抗菌物質は、ナノ化されたウイキョウ抽出物とアイ抽出物がイオン反応により互いに浸透されながら細菌の細胞膜構造を乱してしまうという特殊な構造を形成して抗菌効能を極大化させることができる。また、前記特殊構造は、ヒトの細胞膜には安全であるというメリットがある。
【0028】
<天然抗菌物質を含む抗菌剤>
本発明の一実施形態に係る抗菌剤は、天然抗菌物質と糖アルコールとを含んでいてもよい。前記糖アルコールは、ソルビトール、キシリトール(Xylitol)、マンニトール(Mannitol)、エリスリトール(Erithritol)、ラクチトール(Lactitol)の少なくとも一種を含んでいてもよい。
【0029】
本発明の一実施形態に係る天然抗菌物質を含む抗菌剤は、ウイキョウ抽出物、アイ抽出物、ソルビトール、マルチトールを含んでいてもよい。
【0030】
一実施形態によれば、前記抗菌剤は、前記ウイキョウ抽出物0.1~30重量部、アイ抽出物2~30重量部、ソルビトール4~20重量部、マルチトール5~40重量部を含んでいてもよい。
【0031】
好ましくは、ウイキョウ抽出物1~30重量部、アイ抽出物5~30重量部、ソルビトール10~20重量部、マルチトール20~40重量部を含んでいてもよい。
【0032】
前記ウイキョウ抽出物と前記アイ抽出物は、上述した天然抗菌物質の製造方法により製造されたものであり、ナノ化されたウイキョウ抽出物とナノ化されたアイ抽出物が互いに浸透されて既存の植物抽出濃縮液よりも抗菌性を有する有効成分の結合部位への馴染み性を高めて抗菌機能を高めることができる。
【0033】
本発明のマルチトールとソルビトールは、菌株の代謝を妨げて菌を死滅させることができる。なお、マルチトールはマンノース(mannose)に転換され、ソルビトールはグルコース(Glucose)などのグリカン物質に転換されてもよい。このようにして転換されたグリカンは、細菌とウィルスを囲んでいる構成物質であって、細菌と細菌との間、またはウィルスと宿主との間の相互作用に影響を及ぼして細菌とウィルスの活性を阻害する。
【0034】
また、ソルビトールとマルチトールは、韓国において食品添加物として許容されている程度に人体に無害であるというメリットがある。
【0035】
<抗菌効能テスト1>
(1)抗生剤耐性スーパーバクテリアであるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA:Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)を液体培養液に接種する(S1)。
【0036】
(2)前記液体培養液に接種されたMRSAと上述した天然抗菌物質を含む抗菌剤(NX2020と示される。)を各濃度別に混合して37℃の培養器で12時間液体培養する(S2)。
【0037】
(3)各濃度別に12時間液体培養された培養液を固体培養皿(血液寒天(BAP)培地)に50μlずつ塗抹する(S3)。
【0038】
(4)37℃の培養器で6時間以上培養する。
【0039】
図1aは、前記ステップS2において抗菌剤成分を含まない液体培養液を37℃の培養器で12時間液体培養した後、前記ステップS3~S4を経たものを写真撮影したものである。
【0040】
図1bは、前記ステップS2において多重光触媒水に混合された前記抗菌剤の濃度が1%である溶液に前記MRSA液体培養液を混合した後、37℃の培養器で12時間液体培養した後、前記ステップS3~S4を経たものを写真撮影したものである。
【0041】
図1cは、前記ステップS2において多重光触媒水に混合された前記抗菌剤の濃度が0.5%である溶液に前記MRSA液体培養液を混合した後、37℃の培養器で12時間液体培養した後、前記ステップS3~S4を経たものを写真撮影したものである。
【0042】
図1dは、前記ステップS2においてpH5の次亜塩素酸水(Hypochlorous Acid Water)に混合された前記抗菌剤の濃度が1%である溶液に前記MRSA液体培養液を混合した後、37℃の培養器で12時間液体培養した後、前記ステップS3~S4を経たものを写真撮影したものである。
【0043】
図1eは、前記ステップS2においてpH5の次亜塩素酸水(Hypochlorous Acid Water)に混合された前記抗菌剤の濃度が0.5%である溶液に前記MRSA液体培養液を混合した後、37℃の培養器で12時間液体培養した後、前記ステップS3~S4を経たものを写真撮影したものである。
【0044】
図1fは、対照群として、前記ステップS2において1%ファブリーズ溶液と前記MRSA液体培養液を混合した後、37℃の培養器で12時間液体培養した後、前記ステップS3~S4を経たものを写真撮影したものである。
【0045】
図1bから図1eは、いずれも99.9%の抗菌効能を示している。
【0046】
<抗菌効能テスト2>
(1)抗生剤耐性スーパーバクテリアであるカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE:Carbapenemase Producing Enteroboacteriaceae)を液体培養液に接種する(S5)。
【0047】
(2)前記液体培養液に接種されたCPEと上述した天然抗菌物質を含む抗菌剤(NX2020と示される。)を各濃度別に混合して37℃の培養器で12時間液体培養する(S6)。
【0048】
(3)各濃度別に12時間液体培養されたCPE培養液を固体培養皿(BAP培地)に50μlずつ塗抹する(S7)。
【0049】
(4)37℃の培養器で6時間以上培養する(S8)。
【0050】
図2aは、前記ステップS6において抗菌剤成分を含まない液体培養液を37℃の培養器で12時間液体培養した後、前記ステップS7~S8を経たものを写真撮影したものである。
【0051】
図2bは、前記ステップS6において多重光触媒水に混合された前記抗菌剤の濃度が1%である溶液に前記CPE液体培養液を混合した後、37℃の培養器で12時間液体培養した後、前記ステップS7~S8を経たものを写真撮影したものである。
【0052】
図2cは、前記ステップS6において多重光触媒水に混合された前記抗菌剤の濃度が0.5%である溶液に前記CPE液体培養液を混合した後、37℃の培養器で12時間液体培養した後、前記ステップS7~S8を経たものを写真撮影したものである。
【0053】
図2dは、前記ステップS6においてpH5の次亜塩素酸水(Hypochlorous Acid Water)に混合された前記抗菌剤の濃度が1%である溶液に前記CPE液体培養液を混合した後、37℃の培養器で12時間液体培養した後、前記ステップS7~S8を経たものを写真撮影したものである。
【0054】
図2eは、前記ステップS6においてpH5の次亜塩素酸水(Hypochlorous Acid Water)に混合された前記抗菌剤の濃度が0.5%である溶液に前記CPE液体培養液を混合した後、37℃の培養器で12時間液体培養した後、前記ステップS7~S8を経たものを写真撮影したものである。
【0055】
図2fは、対照群として、前記ステップS6において1%ファブリーズ溶液と前記MRSA液体培養液を混合した後、37℃の培養器で12時間液体培養した後、前記ステップS7~S8を経たものを写真撮影したものである。
【0056】
図2bから図2eは、いずれも99.9%の抗菌効能を示している。
【0057】
前記多重光触媒水とは、多重光触媒に水を添加したものを意味する。ここで、多重光触媒とは、光の有無を問わずに光触媒反応が起きるものであり、好ましくは、リン酸チタン化合物、二酸化チタン化合物、チタン、マンガン、二酸化マンガンの少なくとも一種を含んでいてもよい。水に多重光触媒を投入する場合に、水の中で活性酸素が生じて細菌、カビ、ウィルスなどの人体に有害な微生物を取り除くことができる。
【0058】
<抗菌効能テスト3>
図3は、本発明の一実施形態に係る天然抗菌物質1%においてMRSAの抗菌力が持続するかどうかを実験したことを示すものである。図3を参照すると、天然抗菌物質1%においてMRSAの抗菌力が3ヵ月間持続することが分かる。
【0059】
以下、天然抗菌物質n%とは、多重光触媒水またはpH5の次亜塩素酸水に本発明の天然抗菌物質が溶解されて濃度がn%となったことを意味する。
【0060】
<抗菌効能テスト4-黄色ブドウ球菌の除菌>
図4から図9は、質量分析器を用いて、黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌に特定の物質を添加して同定したデータである。
【0061】
図4を参照すると、黄色ブドウ球菌に蒸留水を添加した場合に質量分析器のスペクトルが保持されて黄色ブドウ球菌と細菌名が同定されたため、蒸留水では黄色ブドウ球菌が取り除けなかったことが分かる。
【0062】
図5は、質量分析器を用いて、黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌に70%エタノールを添加して同定したデータである。図5を参照すると、黄色ブドウ球菌に70%エタノールを添加した場合に質量分析器のスペクトルが保持されて黄色ブドウ球菌と細菌名が同定されたため、70%エタノールでは黄色ブドウ球菌が取り除けなかったことが分かる。
【0063】
図6は、質量分析器を用いて、黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌にファブリーズを添加して同定したデータである。図6を参照すると、黄色ブドウ球菌にファブリーズを添加した場合に質量分析器のスペクトルが一部流失され、かつ、変形されて細菌名の同定に失敗したため、ファブリーズでは黄色ブドウ球菌が取り除かれたことが分かる。
【0064】
図7は、質量分析器を用いて、黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌に本発明の天然抗菌物質0.1%を添加して同定したデータである。図7を参照すると、黄色ブドウ球菌に本発明の天然抗菌物質0.1%を添加した場合に質量分析器のスペクトルが一部流失され、かつ、変形されて細菌名の同定に失敗し、強度(intensity)もまた3690から451へと大幅に下がったため、本発明の天然抗菌物質0.1%では黄色ブドウ球菌が取り除かれたことが分かる。
【0065】
図8は、質量分析器を用いて、黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌に本発明の天然抗菌物質0.5%を添加して同定したデータである。図8を参照すると、黄色ブドウ球菌に本発明の天然抗菌物質0.5%を添加した場合に質量分析器のスペクトルが変形されて細菌名の同定に失敗し、強度もまた6981.6から67.8へと大幅に下がったため、本発明の天然抗菌物質0.5%では黄色ブドウ球菌が取り除かれたことが分かる。
【0066】
図9は、質量分析器を用いて、黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌に本発明の天然抗菌物質1%を添加して同定したデータである。図9を参照すると、黄色ブドウ球菌に本発明の天然抗菌物質1%を添加した場合に質量分析器のスペクトルが変形されて細菌名の同定に失敗し、強度もまた6981.6から12.9へと大幅に下がったため、本発明の天然抗菌物質1%では黄色ブドウ球菌が最も多く取り除かれたことが分かる。
【0067】
<抗菌効能テスト5-緑膿菌の除菌>
図10は、質量分析器を用いて、緑膿菌と緑膿菌に本発明の天然抗菌物質0.05%を添加して同定したデータである。図10を参照すると、緑膿菌に本発明の天然抗菌物質0.05%を添加した場合に強度が1392.8から3004.6へと上がったものの、質量分析器のスペクトルが変形されて細菌名の同定に失敗したため、本発明の天然抗菌物質0.05%では緑膿菌が取り除かれたことが分かる。
【0068】
図11は、質量分析器を用いて、緑膿菌と緑膿菌に本発明の天然抗菌物質0.1%を添加して同定したデータである。図11を参照すると、緑膿菌に本発明の天然抗菌物質0.1%を添加した場合に質量分析器のスペクトルが変形されて細菌名の同定に失敗し、強度もまた1392.8から312.8へと下がったため、本発明の天然抗菌物質0.1%では緑膿菌が取り除かれたことが分かる。
【0069】
図12は、質量分析器を用いて、緑膿菌と緑膿菌に本発明の天然抗菌物質0.5%を添加して同定したデータである。図12を参照すると、緑膿菌に本発明の天然抗菌物質0.5%を添加した場合に質量分析器のスペクトルが変形されて細菌名の同定に失敗し、強度もまた1392.8から76.3へと下がったため、本発明の天然抗菌物質0.5%では緑膿菌が取り除かれたことが分かる。
【0070】
図13は、質量分析器を用いて、緑膿菌と緑膿菌に本発明の天然抗菌物質1%を添加して同定したデータである。図13を参照すると、緑膿菌に本発明の天然抗菌物質1%を添加した場合に質量分析器のスペクトルが変形されて細菌名の同定に失敗し、強度もまた1392.8から51へと最も大きく下がったため、本発明の天然抗菌物質1%では緑膿菌が最も多く取り除かれたことが分かる。
【0071】
<非人体用抗菌剤>
上述した天然抗菌物質を含む抗菌剤を多重光触媒水またはpH2.7~6.5の次亜塩素酸水に0.5~5%の濃度で添加して非人体用殺菌剤を製作してもよい。前記非人体用殺菌剤は、医薬品製造施設、化粧品製造施設、食品製造施設に完璧な抗菌効能を保証するための用途に利用可能である。
【0072】
<人体用抗菌剤>
上述した天然抗菌物質を含む抗菌剤を多重光触媒水または次亜塩素酸水に0.1~0.5%の濃度で添加して人体用殺菌剤を製作してもよい。前記人体用殺菌剤は、既存の70%エタノール入り人体用殺菌剤に取って代わって肌の刺激が極力抑えられて接触性皮膚炎などを防ぐことができるというメリットがある。
【0073】
このとき、上述した天然抗菌物質を含む抗菌剤を0.1%未満の濃度で添加する場合には殺菌効果が乏しく、0.5%を超える濃度で添加する場合には肌への刺激を低減することができる。
【0074】
前記人体用殺菌剤は、手洗浄用ゲル、手洗浄用スプレイ、化粧品、シャンプ、歯磨き粉、コンタクトレンズ用洗浄剤、手洗浄用ティッシュの少なくとも一つを含んでいてもよい。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13