(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043997
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】信頼性を改善した電子装置の要素の製造方法、及び関連要素、電子装置、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/329 20060101AFI20220309BHJP
H01L 29/872 20060101ALI20220309BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20220309BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20220309BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20220309BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220309BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
H01L29/91 B
H01L29/86 301F
H01L29/86 301E
H01L29/86 301D
H01L29/91 D
H01L29/91 F
H01L29/06 301V
H01L29/06 301F
H01L29/06 301G
H01L29/86 301P
H01L29/78 652T
H01L29/78 652P
H01L29/78 658A
H01L29/78 655F
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128777
(22)【出願日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】102020000021058
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】591002692
【氏名又は名称】エスティーマイクロエレクトロニクス エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】STMicroelectronics S.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100076185
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 正明
(72)【発明者】
【氏名】シモーネ ラスクーナ
(72)【発明者】
【氏名】マリオ ジウセッペ サッジーオ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼性を改善した電子装置の要素の製造方法、関連要素、電子装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】電子装置50のパッシベーション層69の固定要素82の製造方法であって、SiCからなる半導体本体80内で、且つ、半導体本体80の上部表面52aから或る距離において第1最大寸法値d
1を第1軸(X)に沿って有している第1注入領域を形成し、第1注入領域に対して重畳され、且つ、第1最大寸法d
1よりも小さな第2最大寸法d
2を第1軸(X)に沿って有している第2注入領域を半導体本体80内に形成し、酸化領域を形成するために第1注入領域及び第2注入領域の熱酸化処理を実施し、固定要素を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置(50)のパッシベーション層(69)の固定要素(82)の製造方法において、
シリコンカーバイドSiCの半導体本体(80)を用意し、
該半導体本体(80)において且つ該半導体本体(80)の上部表面(52a)から或る距離において、第1軸(X)に対して平行な第1値(d1)を有する最大寸法を有する第1注入領域(84)を形成し、
該半導体本体(80)において、該第1軸(X)に対して直交する第2軸(Z)に対して平行に該第1注入領域(85)に対して重畳され、該上部表面(52a)から該第1注入領域(84)へ延在し且つ該第1軸(X)に対して平行に該第1値(d1)よりも一層小さな第2値(d2)を有する夫々の最大寸法を有している第2注入領域(85)を形成し、
該第1(84)及び該第2(85)注入領域の熱酸化処理を実施して該第1(84)及び該第2(85)注入領域において酸化領域(86’)を形成し、
前記酸化領域(86’)を除去して該半導体本体(80)内で且つ該酸化領域(86’)においてキャビティ(83)を形成し、及び
該パッシベーション層(69)を該半導体本体(80)へ固着させる前記固定要素(82)を形成するために該キャビティ(83)内に突入する該パッシベーション層(69)を該上部表面(52a)上に形成する、
上記各ステップを有している製造方法。
【請求項2】
該第1注入領域(84)を形成する該ステップが、
該半導体本体(80)の該上部表面(52a)において、該上部表面(52a)の第1領域(71’)であって該第1軸(X)に対して平行に第1最大幅(l1)を有している該第1領域(71’)を露出させる第1ハードマスク(71)を形成し、及び
該第1注入領域(84)を形成させるために前記第1領域(71’)において該半導体本体(80)においてドーパント種の第1注入を実施する、
ことを包含している請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
該第1注入を実施するステップが、200keVと500keVとの間の注入エネルギで且つ1×1012at/cm2と1×1016at/cm2との間のドーズで、前記ドーパント種の一つ又はそれ以上の注入を実施することを包含している請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
該第2注入領域(85)を形成するステップが、
該半導体本体(80)の該上部表面(52a)において、該上部表面(52a)の第2領域(72’)であって、該第2軸(Z)に対して平行で該第1注入領域(84)に対して重畳されており且つ、該第1軸(X)に対して平行に該第1最大幅(l1)よりも一層小さな第2最大幅(l2)を有している該第2領域(72’)を露出させる第2ハードマスク(72)を形成し、及び
該第2注入領域(85)を形成するために前記第2領域(72’)において該半導体本体(80)内に該ドーパント種の第2注入を実施する、
ことを包含している請求項2又は3に記載の製造方法。
【請求項5】
該第2注入を実施するステップが、30keVと200keVとの間の注入エネルギで且つ1×1012at/cm2と1×1016at/cm2との間のドーズで、該ドーパント種の一つ又はそれ以上の更なる注入を実施することを包含している請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
該酸化領域(86’)を除去するステップが、該酸化領域(86’)の等方性エッチングを実施することを包含している請求項1乃至4の内のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
該半導体本体(80)内で且つ該上部表面(52a)から或る距離において、少なくとも1個の第3注入領域(82c,82d)を形成するステップであって、該第1(84)及び第2(85)領域が該第2軸(Z)に対して平行であって該少なくとも1個の第3注入領域(82c,82d)と該上部表面(52a)との間に介在されるように且つ該第1注入領域(84)が、該第1軸(X)に対して平行に、該第1値(d1)及び該第2値(d2)よりも一層大きな第3値(d3,d4)を有する夫々の最大寸法を有している該少なくとも1個の第3注入領域(82c,82d)とコンタクトしているように該少なくとも1個の第3注入領域(82c,82d)を形成するステップを更に包含している請求項1乃至6の内のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
該熱酸化処理を実施するステップが、該第1(84)、該第2(85)及び該少なくとも1個の第3(82c,82d)注入領域において該酸化領域(86’)を形成するために該第1(84)、該第2(85)及び該少なくとも1個の第3(82c,82d)注入領域を熱的に酸化させることを包含している請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
該パッシベーション層(69)を形成するステップが、該上部表面(52a)上にポリマー物質を付着させることを包含している請求項1乃至8の内のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
シリコンカーバイドSiCの半導体本体(80)とパッシベーション層(69)とを有する電子装置(50)の該パッシベーション層(69)の固定要素(82)であって、前記パッシベーション層(69)が該半導体本体(80)の上部表面(52a)上を延在しており且つ該上部表面(52a)において該半導体本体(80)のキャビティ(83)内に突入して形成している固定要素(82)において、
該上部表面(52a)から或る距離にて該半導体本体(80)内において延在しており且つ、第1軸(X)に対して平行に、第1値(d1)を有する最大寸法を有している第1部分(82a)、及び
該第1軸(X)に対して直交する第2軸(Z)に対して平行に該第1部分(82a)に対して重畳されており、該上部表面(52a)から該第1部分(82a)へ該半導体本体(80)内を延在しており、且つ、該第1軸(X)に対して平行に、該第1値(d1)よりも一層小さな第2値(d2)を有している夫々の最大寸法を有している第2部分(82b)、
を有しており、該パッシベーション層(69)を該半導体本体(80)へ固着させている固定要素(82)。
【請求項11】
該上部表面(52a)から或る距離において該半導体本体(80)内を延在している少なくとも1個の第3注入領域(82c,82d)を更に有しており、該第1(84)及び該第2(85)注入領域が、該第2軸(Z)に対して平行に、該少なくとも1個の第3注入領域(82c,82d)と該上部表面(52a)との間に介在されており、且つ該第1注入領域(84)が、該第1(d1)値及び該第2(d2)値よりも一層大きな第3値(d3,d4)を有している夫々の最大寸法を、該第1軸(X)に対して平行に、有している該少なくとも1個の第3注入領域(82c,82d)とコンタクトしている請求項10に記載の固定要素(82)。
【請求項12】
該半導体本体(80)の該上部表面(52a)において環状型であり且つ閉じた多角形形状を画定している請求項10又は11に記載の固定要素(82)。
【請求項13】
該パッシベーション層(69)が該上部表面(52a)において該半導体本体(80)の少なくとも1個の更なるキャビティ(83)内に突入して、各更なるキャビティ(83)に対して、該パッシベーション層(69)を該半導体本体(80)へ固着させる夫々の更なる固定要素(82)を形成しており、該更なる固定要素(82)が、
該上部表面(52a)から或る距離において該半導体本体(80)内に延在しており且つ、該第1軸(X)に対して平行に、該第1値(d1)を有している夫々の最大寸法を有している更なる第1部分(82a)、及び
該更なる第1部分(82a)に対して該第2軸(Z)に対して平行に重畳されており、該上部表面(52a)から該更なる第1部分(82a)へ該半導体本体(80)内を延在しており、及び該第2値(d2)を有している夫々の最大寸法を該第1軸(X)に対して平行に有している更なる第2部分(82b)、
を有しており、該固定要素(82)及び該少なくとも1個の更なる固定要素(82)が該半導体本体(80)の該上部表面(52a)において互いに或る距離で延在している請求項10又は11に記載の固定要素(80)。
【請求項14】
シリコンカーバイドSiCの半導体本体(80)、及び
該半導体本体(80)の上部表面(52a)上を延在しているパッシベーション層(69)であって、該パッシベーション層(69)を該半導体本体(80)へ固定させる固定要素(82)を形成するために該上部表面(52a)において該半導体本体(80)のキャビティ(83)内に突入しているパッシベーション層(69)、
を有しており、該固定要素(82)が、
該上部表面(52a)から或る距離において該半導体本体(80)内を延在しており且つ第1値(d1)を有している最大寸法を第1軸(X)に対して平行に有している第1部分(82a)、及び
該第1部分(82a)に対して該第1軸(X)に対し直交する第1軸(Z)に対して平行に重畳されており、該上部表面(52a)から該第1部分(82a)へ該半導体本体(80)内を延在しており、及び該第1値(d1)よりも一層小さな第1値(d2)を有している夫々の最大寸法を該第1軸(X)に対して平行に有している第2部分(82b)、
を有している電子装置(50)。
【請求項15】
該キャビティ(83)が、該キャビティ(83)において該半導体本体(80)内にインターロックされることによって該固定要素(82)が固定されるように該固定要素(82)の形状に対して相補的な形状を有している該半導体本体(80)の壁(83a)によって外部的に区画化されている請求項14に記載の電子装置(50)。
【請求項16】
該半導体本体(80)が、第1導電型を有するSiC基板(53)及び該基板(53)上を延在しており且つ該第1導電型を有しているドリフト層(52)を有しており、及び前記上部表面(52a)が該基板(53)の反対側であり、更に、
該第1導電型と反対の第2導電型を有しており且つ該ドリフト層(52)と少なくとも1個の夫々の接合障壁JBダイオード(59)を形成するために該ドリフト層(52)の該上部表面(52a)において該ドリフト層(52)上を延在している少なくとも1個の第1ドープ領域(59’)と、
該少なくとも1個の第1ドープ領域(59’)の夫々の第1表面(59a)とオーミックコンタクトしており、該ドリフト層(52)の該上部表面(52a)と同一面状であり、且つ更に該ドリフト層(52)とショットキーダイオード(62)を形成するために該第1ドープ領域(59’)と並んで該ドリフト層(52)の該上部表面(52a)と直接的に電気的にコンタクトしている第1電気端子(58)と、及び
該ドリフト層(52)と反対側である該基板(53)の後側(53b)をオーミックコンタクトしている第2電気端子(57,56)と
を有しており、該JBダイオード(59)及び該ショットキーダイオード(62)が該第1軸(X)に沿って該第1電気端子(58)において互いに交互となっている合体型PiNショットキーMPSタイプの請求項14又は15に記載の電子装置(50)。
【請求項17】
該固定要素(82)が該半導体本体(80)の該上部表面(52a)において環状タイプのものであり、閉じた多角形形状を画定しており、且つ該第1電気端子(58)を取り囲んでいる請求項16に記載の電子装置(50)。
【請求項18】
該パッシベーション層(69)が該上部表面(52a)において該半導体本体(80)の少なくとも1個の更なるキャビティ(83)内に突入して、各更なるキャビティ(83)に対して、該パッシベーション層(69)を該半導体本体(80)へ固定させる夫々の更なる固定要素(82)を形成しており、更に、
該上部表面(52a)から或る距離において該半導体本体(80)内を延在しており及び該第1値(d1)を有している夫々の最大寸法を該第1軸(X)に対して平行に有している更なる第1部分(82a)と、及び
該更なる第1部分(82a)に対して該第2軸(Z)に対して平行に重畳されており、該上部表面(52a)から該更なる第1部分(82a)へ該半導体本体(80)内を延在しており、及び該第2値(d2)を有している夫々の最大寸法を該第1軸(X)に対して平行に有している更なる第2部分(82b)と、
を有しており、該固定要素(82)及び該少なくとも1個の更なる固定要素(82)が該半導体本体(80)の該上部表面(52a)において互いに或る距離において延在している請求項16に記載の電子装置(50)。
【請求項19】
該電子装置(50)が、ショットキーダイオード、PNダイオード、SiCを基礎としたMOSFET、及びSiCを基礎としたIGBTの内の少なくとも一つを有している請求項14又は15に記載した電子装置(50)。
【請求項20】
請求項14乃至19の内のいずれか1項に基づく電子装置(50)を有している電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の固定要素の製造方法、固定要素、電子装置、及び電子機器に関するものである。特に、本発明は、サーマルサイクリングテスト期間中にシリコンカーバイド(SiC)電子パワーデバイスの信頼性を改善すべく適合された固定要素に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知の如く、ワイドバンドギャップ(例えば、1.1eVよりも一層大きなバンドギャップのエネルギ値Egを有するもの)、低オン状態抵抗(RON)、熱伝導性の高い値、高動作周波数、及び電荷キャリアの高飽和速度を有している半導体物質は、特にパワー適用例においてのダイオード又はトランジスタ等の電子部品を製造するために理想的なものである。この様な特徴を有しており且つ電子部品を製造するために使用されることが考慮されている物質はシリコンカーバイド(SiC)である。特に、シリコンカーバイドは、その種々のポリタイプ(例えば、3C-SiC,4H-SiC,6H-SiC等)において、上述した特性に関する限り、シリコンよりも好適である。
【0003】
シリコン基板上に設けられる同様のデバイスと比較して、シリコンカーバイド基板上に設けられる電子デバイスは、低オン状態出力抵抗、低リーク電流、高出力パワー、高動作温度、及び高動作周波数等の種々の利点を有している。
【0004】
しかしながら、SiCを基礎とした電子デバイスの開発及び製造は、パッシベーション層(該電子デバイス内に含まれており且つ、例えば、該電子デバイスのSiC半導体本体上を延在している)の電気的及び機械的な特性等の要因によって制限されている。特に、ポリマー物質(例えば、ポリイミド)を使用してパッシベーション層を設けることが知られており、それは、電子デイバスの高い動作温度に耐えることを可能とし且つ、例えば、400kV/mmよりも一層高い高誘電体強度を有している。より詳細に説明すると、ポリマー物質の高い誘電体強度は、パッシベーション層が、電気的ブレークダウンを生じること無しに、従って電気的に導電性となること無しに、高い電界、従ってそれを横断しての高い電位差に耐えることを保証する。
【0005】
しかしながら、ポリマー物質は高い熱膨張係数(CTE)(例えば、ポリベンゾビスオキサゾール物質-PIXに対するCTE=43E-6 1/K)を有しており、このことは、より低い熱膨張係数(CTE=3.8E-6 1/K)を有しているSiCに対しての該パッシベーション層の付着性の問題を発生させる。
【0006】
特に、パッシベーション層とSiCとの間の上記付着性の問題は、サーマルサイクリングテスト(例えば、約-50℃と約+150℃との間で実施される)期間中、又は電子デバイスの使用期間中に、該電子デバイスが大きな温度変化に露呈される場合(例えば、約200℃に等しい又はそれよりも一層大きな動作温度差に露呈される場合)に発生する場合がある。パッシベーション層とSiCとの間のCTEにおける大きさの差異に起因して、前記大きな温度変化はパッシベーション層とSiCと間の界面に機械的応力を発生させ、それがSiC半導体本体からのパッシベーション層の剥離を起こす場合がある(少なくとも部分的に)。
【0007】
前記剥離が十分に広範囲のもの(例えば、パッシベーション層のどの部分も、最早、電子デバイスの異なる電位にある2つのメタリゼーション間に介在しておらず、従ってそれらは単に空気によってのみ離隔されているに過ぎないような様相)である場合には、この界面において電気的放電が発生する場合があり、そのことが電子デバイス自身に対する損傷となる場合がある。特に、電子デバイスに対する損傷のリスクは、該電子デバイスが逆バイアス状態で使用されている場合には、耐えるべき電圧差が大きい(例えば、1000Vよりも一層大きい)ために、増加することとなる。
【0008】
上述した問題に対する既知の解決手段は、SiC半導体本体との界面における機械的応力を制限すべく適用されるパッシベーションマルチ層を形成するために互いに異なる物質(例えば、順に、シリコン窒化物、シリコン酸化物、及びポリイミド)からなる複数個の誘電体層を使用するものである。しかしながら、これらの解決手段は、電子デバイスが大きな温度変化に露呈され且つ逆バイアス条件における高電圧差に露呈される場合には効果的なものではないことが分かっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的とするところは、上述した従来技術の欠点を解消することが可能な、電子デバイスの固定要素の製造方法、固定要素、電子デバイス、及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、電子デバイスの固定要素の製造方法、固定要素、電子デバイス、及び電子機器が特許請求の範囲に定義される如くに提供される。
【0011】
本発明をより良く理解するために、添付の図面を参照して、純粋に非制限的な例である好適実施例について以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の1実施例に基づく電子デバイスを示した概略断面図。
【
図2】本発明の別の実施例に基づく電子デバイスを示した概略断面図。
【
図3A】本発明の1実施例に基づく
図1の電子デバイスを示した概略平面図。
【
図3B】本発明の別の実施例に基づく
図2の電子デバイスを示した概略平面図。
【
図4A】本発明の1実施例に基づく
図1の電子デバイスの製造におけるある段階の状態を示した概略断面図。
【
図4B】本発明の1実施例に基づく
図1の電子デバイスの製造におけるある段階の状態を示した概略断面図。
【
図4C】本発明の1実施例に基づく
図1の電子デバイスの製造におけるある段階の状態を示した概略断面図。
【
図4D】本発明の1実施例に基づく
図1の電子デバイスの製造におけるある段階の状態を示した概略断面図。
【
図4E】本発明の1実施例に基づく
図1の電子デバイスの製造におけるある段階の状態を示した概略断面図。
【
図4F】本発明の1実施例に基づく
図1の電子デバイスの製造におけるある段階の状態を示した概略断面図。
【
図4G】本発明の1実施例に基づく
図1の電子デバイスの製造におけるある段階の状態を示した概略断面図。
【
図4H】本発明の1実施例に基づく
図1の電子デバイスの製造におけるある段階の状態を示した概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明において本発明の種々の実施例に対して共通の要素には同一の参照番号を付してある。
【0014】
図1は、本発明の一つの側面に基づく電子デバイス、即ち電子装置(より詳細には、合体型PiNショットキーMPS装置又は接合障壁ショットキーJBS装置)50をX,Y,Zの(三軸)カーテシアン座標系における横断面図で示している。特に、MPS装置50は、軸X及びZによって定義される面において
図1中に示されており且つそれは電子機器(不図示であるが、例えばノートブック、携帯電話、太陽電池システム、電気自動車用のトラクションインバーター等)内に設けられている。
【0015】
MPS装置50は、互いに反対側に表面53aと表面53bとが設けられており、表面53aと53bとの間の厚さが例えば50μmと350μmとの間でより特定的には160μmと200μmとの間で例えば180μmであり、第1ドーパント濃度を有しているN型のSiCからなる基板53と;互いに反対側に上部表面52aと底部表面52bとを有しており該基板53の該表面53a上を延在しており(詳細には、該表面53aと52bとは互いに接触している)且つ該表面52aと53bとの間の厚さが例えば5μmと15μmとの間であり該第1ドーパント濃度よりも一層低い第2ドーパント濃度を有しているN型のSiCからなるドリフト層(エピタキシャル態様で成長されている)52と;該基板53の該表面53b上を延在しているオーミックコンタクト領域又は層56(例えば、ニッケルシリサイドからなる)と;該オーミックコンタクト領域56上を延在している例えばTi/NiV/Ag又はTi/NiV/Auからなるカソードメタリゼーション57と;該ドリフト層52の該上部表面52aに面しており該ドリフト層52内のP型の少なくとも1個のドープ領域59’及び、各ドープ領域59’に対して、各ドープ領域が59’が該ドリフト層52と夫々の接合障壁(JB)要素59を形成するような夫々のオーミックコンタクト(不図示であり且つ既知のタイプのもの;例えば、各オーミックコンタクトが、該ドープ領域59’によって該ドリフト層52から物理的に離隔されているように該上部表面52aから開始して測定した1nmと数十nmとの間の深さ該上部表面52aから開始して夫々のドープ領域59’内に軸Zに沿って或る深さ延在している)と;該ドリフト層52の該上部表面52aに面して該ドリフト層52内に延在しており且つ該JB要素59を完全に取り囲んでいる(軸X及びYによって定義される面XYに対して平行に)特にP型の更なるドープ領域である端部終端領域又は保護リング60と;該JB要素59を完全に取り囲み(該面XYに対して平行に)且つ該保護リング60と少なくとも部分的にオーバーラップするように該ドリフト層52の該上部表面52a上を延在している絶縁層61(オプション)と;該絶縁層61によって外側が区画化されている該上部表面52aの第1部分上を延在しており且つ更にオプションとして該絶縁層61上を部分的に延在している例えばTi/AlAiCu又はNi/AlSiCuからなるアノードメタリゼーション58と;該アノードメタリゼーション58上、該絶縁層61上、及び該アノードメタリゼーション58にも該絶縁層61にも面していない該上部表面52aの第2部分上を延在しているポリイミド等のポリマー物質(例えば、PIX)からなるパッシベーション層69とを有している。
【0016】
一つ又はそれ以上のショットキーダイオード62は、ドープ領域59’に並んで、ドリフト層52とアノードメタリゼーション58との間の界面に形成されている。特に、(半導体-金属)ショットキー接合が該アノードメタリゼーション58の夫々の部分と直接的に電気的コンタクトしているドリフト層52の夫々の部分によって形成されている。
【0017】
更に、夫々のドープ領域59’において延在する各オーミックコンタクトは、それを収容しているドープ領域59’の電気的固有抵抗の値よりも一層低い電気的固有抵抗の値を有している電気的接続部を与えている。従って、該JB要素59は、ドープ領域59’と、ドリフト層52と、基板53とによって形成されているP-i-Nダイオードである。
【0018】
該JB要素59及びショットキーダイオード62を包含するMPS装置50の領域(即ち、該保護リング60によって外側が区画されている領域)は該MPS装置50の活性区域54である。
【0019】
該基板53及び該ドリフト層52は該MPS装置50の半導体本体80を形成している。
【0020】
該活性区域54の外側で且つ該絶縁層61から或る距離(軸Xに沿って)において、該半導体本体80の横表面80aが存在しており、それは、例えば、該ドリフト層52の該上部表面52aに対して実質的に直交する方向に延在している。該横表面80aは該MPS装置50を製造する期間中、特に、該MPS装置50が設けられるSiCウエハのダイシング期間中に設けられる。換言すると、該横表面80aは、それから該MPS装置50aが構成される該SiCウエハのスクライブライン(不図示)において設けられ、前記スクライブラインは、該XY面において、或る距離において、該活性区域54、該保護リング60、及び該絶縁層61を取り囲んでいる。
【0021】
該パッシベーション層69は、更に、固定要素82を有しており、それは該パッシベーション層69を該半導体本体80へ固定し且つ固着させるために、該上部表面52aを超えて該ドリフト層52内に突出し且つ延在している。
【0022】
該固定要素82は、該活性区域54と該横表面80aとの間(より詳細には、該絶縁層61と該横表面80aとの間)で軸Xに対して平行に介在されている。
【0023】
該固定要素82は、パッシベーション層69を半導体本体80(特に、ドリフト層52)に対して固定する形状とされており、且つ該半導体本体80に関して該パッシベーション層69の該活性区域54においての剥離及び脱着を防止すべく適合されている。
【0024】
特に、該固定要素82は、該パッシベーション層69と該半導体本体80とを互いに結合させ且つ一体的に固定させるために、該上部表面52aから開始した該ドリフト層52内に延在しているキャビティ83内にインターロックさせることによって収容され且つ配置されている。該キャビティ83は、該固定要素82の形状と相補的な形状を有している該ドリフト層52の壁83aによって外側が区画化されている。
【0025】
特に、該固定要素82は複数個の部分(特に、
図1における第1部分及び第2部分82a,82b)を有しており、それらは、軸Zに沿って互いに引き続き配置されており、且つ軸Xに対して平行に測定した夫々の寸法を有しており、それらの寸法は該上部表面52aから離れる方向において(従って、該底部表面52bへ向かって)増加している。
【0026】
詳細に説明すると、
図1の実施例を参照すると、該パッシベーション層69は、本体69’(それは、該ドリフト層52の該上部表面52a上、該絶縁層61上、及び該アノードメタリゼーション58上を延在している)及び該固定要素82(それは該ドリフト層52内に延在している)を有している。前記第2部分82bは、該パッシベーション層69の該本体69’と該第1接続部分82aとの間に軸Zに対して平行に介在されている。換言すると、該第1部分82aは、前記底部表面52bからの該第2部分82bの距離(例えば、該第2部分82bの夫々の重心から開始して軸Zに対して平行に測定)よりも小さな該ドリフト層52の該底部表面52bからの或る距離(例えば、該第1部分82aの重心から開始して軸Zに対して平行に測定)にある。該第1部分82aは、軸Xに対して平行に測定し且つ第1値d
1を有している第1最大寸法を有しており、且つ該第2部分82bは、軸Xに対して平行に測定し且つ該第1値d
1よりも一層小さな第2値d
2を有している第2最大寸法を有している。より詳細に説明すると、該第1値d
1は、軸Xに沿って互いに反対側の該第1部分82aの表面82a’と82a”との間を軸Xに沿って平行に測定したものであり、且つ該第2値d
2は、軸Xに沿って互いに反対側の該第2部分82bの表面82b’と82b”との間の軸Xに沿って測定したものである。
【0027】
図1において、該第1及び第2部分82a、82bは、各々、XZ面において、実質的に矩形形状を有しており(代替的には、各々は楕円形状等の多角形形状を有している)、夫々のメジャー側部は軸Xに対して平行であるように配置されており且つ夫々のマイナー側部(即ち、表面82a’、82a”、82b’、82b”)は軸Zに対して平行であるように配置されており、該2つの矩形形状は前記メジャー側部の内の2つにおいて合体されている(より詳細に説明すると、互いに面しており且つ互いに接触している該第1部分82aの該メジャー側部の内の一つと該第2部分82bの該メジャー側部の内の一つとの間において)。即ち、該固定要素82は実質的にはT形状であってそのマイナーベースが該上部表面52aにあり且つそのメジャーベースが該底部表面52bに対面している。
【0028】
図2に示したMPS装置50の別の実施例によれば、該固定要素82は
図1のMPS装置50よりも一層多数の部分を有している(特に、
図2においてそれは4個の部分82c-82fを有している)。該部分82c-82fは部分82a、82bと同様であり、且つ、夫々、軸Xに沿って平行に測定した寸法d
3-d
6を有しており、d
3>d
4>d
5>d
6である。即ち、該固定要素82は、実質的にピラミッド型形状を有しており(特に、段階的切頭ピラミッドの形状)、そのマイナーベースは該上部表面52aにあり且つそのメジャーベースは該底部表面52bと対面している。
【0029】
更に、オプションとして、該MPS装置50は、等電位リング(EQR)メタリゼーション75(
図2中に例として示されている)を有しており、それは、該絶縁層61上を延在しており且つ、オプションとして、該絶縁層61に関して該アノードメタリゼーション58に対して対向するように、軸Xに対して平行に、該上部表面52a上を延在している。詳細に説明すると、
図2において、該絶縁層61は軸Xに対して平行な方向において互いに反対側に表面61a及び61bを有しており、該アノードメタリゼーション58は該表面61bにおいて延在しており、及び該EQRメタリゼーション58は該表面61aにおいて延在している。例えば、XY面に対して平行な平面図において、該EQRメタリゼーション75は、該絶縁層61を取り囲むために、該絶縁層61及び該活性領域54に対して外側を延在している。更に、該EQRメタリゼーション75及び該アノードメタリゼーション58は、該パッシベーション層69によって物理的に且つ電気的に互いに分離されている。使用する場合に、該EQRメタリゼーション75は該カソードメタリゼーション57と同一の電圧に設定される。
【0030】
図3A及び3Bは、夫々の実施例に基づくMPS装置50の平面図(XY面に対して平行)を示している。
【0031】
図3Aを参照すると、固定要素82は、XY面内において、該アノードメタリゼーション58を完全に取り囲むように延在している。
図3AのXY面における図において、該固定要素82は環状であり且つ閉じた多角形形状、より特定的には、面取り角部を有する正方形形状(円形、矩形、又は三角形等の異なる形状とすることが可能であるが)、を定義している。
【0032】
図3Bを参照すると、該MPS装置50は、少なくとも1個の更なる固定要素(固定要素82と同様であり、従って同じ参照番号で示してある)を有している。該固定要素82及び該少なくとも1個の更なる固定要素82は、該上部表面52aにおいて互いに或る距離に延在しており、即ち、それらは互いに別の該上部表面52aの夫々の区域内に延在している。例えば、
図3BのXY面における図は、該アノードメタリゼーション58に関して角度的に等間隔であるように該アノードメタリゼーション58の周りに配置されており、より詳細には、該アノードメタリゼーション58の面取り角部を具備する正方形形状の角部に配置されている4個の固定要素82を示している。
【0033】
図1のMPS装置50の製造ステップについて
図4A乃至4Hを参照して以下に説明する。
【0034】
図4Aを参照すると、SiC(特に4H-SiCであるが、これらに限定するわけではないが2H-SiC、3C-SiC、6H-SiC等のその他のポリタイプを使用することも可能である)の基板53を含むウエハを用意する。例えば、基板53は、1×10
19at/cm
3と1×10
22at/cm
3との間のN型のドーパント濃度を有しており、及び300μmと450μmとの間で特に約360μmである表面53aと53bとの間の軸Zに沿って測定した厚さを有している。基板53の表面53a上には例えばエピタキシャル成長によってドリフト層52が形成されている。該ドリフト層52はSiC、特に4H-SiC、からなるものであるが、2H、6H、3C、又は15R等のその他のSiCポリタイプを使用することも可能である。該ドリフト層52及び該基板52は半導体本体80を形成している。該ドリフト層52において、次いで、既知の技術に基づいて且つ該上部表面52aに、夫々のオーミックコンタクトを具備するドープ領域59’と保護リング60とが形成される。更に、例えば、フォトレジスト、又はTEOS、又はその目的のためにデザインされた別の物質を付着させることによって、該ドリフト層52の該上部表面52a上に第1ハードマスク71を形成する。該第1ハードマスク71は、0.5μmと2μmとの間の厚さ、又は、いずれにしても、
図4Bを参照して後述する注入を遮蔽するような厚さを有している。該第1ハードマスク71は、爾後のステップにおいて、固定要素82が形成される個所である該半導体本体80の第1領域71’を、XY面における平面図において、露出させたままとさせるように該上部表面52a上を延在している。詳細に説明すると、該第1領域71’は、該保護リング60と該半導体本体80の該横表面80aとの間で軸Xに対して平行に延在しており、且つ該第1値d
1に等しいか又は略等しい軸Xに対して平行に測定した第1最大幅l
1を有している。
【0035】
図4Bを参照すると、次いで、該第1ハードマスク71を使用して、ドーパント種(ボロン、砒素、又はアルミニウム等のP又はN型の導電型を有している)の高エネルギ注入ステップを実施する(該注入は
図4中において矢印70で表してある)。例示としての1実施例においては、該注入ステップ70は、1×10
18at/cm
3よりも一層高いドーパント濃度を有しており且つ該上部表面52aから開始して測定して0.4μmと1μmとの間の深さを有している第1注入領域84を形成するために、200keVと500keVとの間の注入エネルギで且つ1×10
12at/cm
2と1×10
16at/cm
2との間のドーズでのドーパント種の一つ又はそれ以上の注入を包含している。従って、該第1注入領域84は、該上部表面52aから(軸Zに対して平行な)或る距離において、該ドリフト層52内への或る深さに延在している。次いで、該第1ハードマスク71を除去して該上部表面52aを露出させる。
【0036】
図4Cを参照すると、該ドリフト層52の該上部表面52a上に、例えば、フォトレジスト、又はTEOS、又はその目的のためにデザインされている別の物質を付着させることによって、第2ハードマスク72を形成する。該第2ハードマスク72は0.5μmと2μmとの間の厚さ、又は、いずれにおいても、
図4Dを参照した後述する注入を遮蔽するような厚さを有している。該第2ハードマスク72は、爾後のステップにおいて、該固定要素82の第2部分82bが形成される箇所である該半導体本体80の第2領域72’をXY面における平面図において露出させたままとさせるように該上部表面52a上を延在している。該第2領域72’は、軸Zに対して平行に、該第1注入領域84とオーバーラップしており且つ、軸Xに対して平行な方向に測定した第2最大幅l
2を有しており、該第2最大幅は該第1最大幅l
1よりも小さく且つ該第2値d
2に等しいか又は略等しい。
【0037】
図4Dを参照すると、次いで、該第2ハードマスク72を使用して、ドーパント種(該注入ステップ70と同じ導電型を有している)の低エネルギ注入ステップを実施する(該注入は図中において矢印73で表してある)。例示としての1実施例においては、該注入ステップ73は、1×10
18at/cm
3よりも一層高いドーパント濃度を有しており且つ該上部表面52aから開始して測定した場合の0.4μmと1μmとの間の最大深さを有している第2注入領域85を該上部表面52aに形成するために、30keVと200keVとの間の注入エネルギで且つ1×10
12at/cm
2と1×1016at/cm
2との間のドーズでのドーパント種の一つ又はそれ以上の注入を包含している。従って、該第2注入領域85は、該上部表面52aから開始して該第1注入領域84に到達するまで延在しており、該第1及び第2注入領域84及び85は合体して該固定要素82の形状と同じ形状を有している注入固定領域86を形成する。
【0038】
図4Eを参照すると、該第2ハードマスク72において及び該注入固定領域84において、熱酸化ステップを実施して該注入固定領域86を酸化させてそれをシリコン酸化物(SiO
2)へ変換させ且つ該注入固定領域86と一致する対応する酸化固定領域86’を形成する。実際に判明したことであるが、例えばドーパント種の注入によって該SiCの結晶格子が一層損傷されるほどSiCの酸化割合が増加する。
【0039】
従って、該酸化ステップ期間中に該注入固定領域86は酸化され、一方該ドリフト層52は実質的に酸化されることはない(更に、該第2ハードマスク72の存在による保護に起因する)。該熱酸化ステップは、例えば、1000℃以上の温度(例えば、1150℃と1250℃との間)において60分と300分との間の時間にわたり実施される。
【0040】
更に、
図4Eを参照すると、該第2ハードマスク72のエッチングを実施して該活性区域54を露出させるために該第2ハードマスク72の一部を選択的に除去する。詳細に説明すると、前記エッチングは、該保護リング60によってXY面内において外側が区画化されている該上部表面52aの部分(即ち、以後第1部分87として識別される、該ドープ領域59’及び該保護リング60の一部を包含する該上部表面52aの部分)、及び、少なくも部分的に、該保護リング60を露出させる。
【0041】
図4Fを参照すると、該アノードメタリゼーション58を
図4Eの該エッチによって露出された該上部表面52aの該第1部分87の上及び該第2ハードマスク72の一部の上を形成する。その結果、該アノードメタリゼーション58は該ドープ領域59’(夫々のオーミックコンタクトによって)及び該ドリフト層52とコンタクトして該JB要素59及び、夫々、ショットキーダイオード62を形成し、更に、該アノードメタリゼーション58は、
図4Eのエッチによって露出された該保護リング60の該一部の上及び該保護リング60における該第2ハードマスク72の上を延在する。例えば、該アノードメタリゼーション58はTi/AlSiCu又はNi/AlSiCuの付着によって形成される。
【0042】
図4Gを参照すると、該第2ハードマスク72の更なるエッチング(不図示)を行って該第2ハードマスク72の更なる部分(それは該酸化固定領域86’に配置されており且つ更に該酸化固定領域86’と該半導体本体80の該横表面80aとの間に延在している)及び該酸化固定領域86’を除去して該キャビティ83を形成する。詳細に説明すると、該酸化固定領域86’の除去に起因する該エッチにより露呈され且つ該キャビティ83を区画化する該ドリフト層52の該壁83aは該酸化固定領域86’の形状に対して、従って該固定要素82の形状に対して相補的な形状を有している。更に、前記エッチによって除去されなかった該第2ハードマスク72の領域は該MPS装置50の前記絶縁層61を形成する。
図4Gの該エッチは等方型のものであり、且つフッ化水素酸-HFによって実施される。
【0043】
図4Hを参照すると、次いで、該パッシベーション層69が形成されるが、その場合に、ポリマー物質を該半導体本体80上に付与し且つ回転を介して該アノードメタリゼーション58上、該絶縁層61上、及び該ドリフト層52の露出部分上に分布させ、且つその後に熱処理を行って該ポリマー物質を硬化させて該パッシベーション層69を形成する(キュアリングプロセス)。特に、該回転ステップ期間中に、該ポリマー物質は該キャビティ83内に侵入してそれを充填させ、従って該固定要素82を形成する。
【0044】
次に、該基板53の研磨(不図示)ステップを該表面53b上で実施して該基板53の厚さを減少させる。例えば、該研磨ステップの終わりにおいて、該基板53は該表面53aと53bとの間で軸Zに沿って測定した100μmと250μmとの間で特に約180μmの厚さを有している。次いで、該基板53の該表面53bから開始して該オーミックコンタクト層56を、及び該オーミックコンタクト層56から開始して該カソードメタリゼーション57を既知の技術に従って且つ互いに引き続き形成して
図1に示した該MPS装置50を得る。
【0045】
本開示に基づいて提供される本発明の特徴を吟味することにより、本発明が提供する利点は明らかである。
【0046】
特に、該固定要素82は該半導体本体80に対する該パッシベーション層69の固着を保証する。この様に、該パッシベーション層69をポリマー物質から構成することを可能とし、従って該電子装置50の電気的性能の高いレベルを保証し(該パッシベーション層69の高誘電強度に起因して)、且つ、同時に、熱サイクル又は該電子装置50の使用後の該パッシベーション層69の剥離の危険性を取り除いている。
【0047】
その結果、異なる電位に設定されるメタリゼーション間(例えば、該EQRメタリゼーション75と該アノードメタリゼーション58との間)の電気放電による該電子装置50の損傷の危険性が阻止され、従って、特にそれが高温度変化に露呈され且つ逆バイアス条件で動作される場合の該電子装置50の信頼性は増加される。
【0048】
特に、
図4A-4Hを参照して説明した該製造ステップは、SiCウエハから開始する該固定要素82を有する電子装置50を提供することを可能としている。
【0049】
更に、
図4Gに関連した実施されるエッチは等方性のものであり、そのことは、非等方性エッチングプロセスから及び該電子装置50が得られるSiCウエハの結晶配向から派生する何らの制限無しに該キャビティ83及び該固定要素82をパターン形成することを可能としている。
【0050】
最後に、本特許請求の範囲に定義する本発明の範囲を逸脱すること無しに、本書に記載し且つ例示した開示内容に対して修正及び変形を行うことが可能であることは明らかである。
【0051】
特に、
図2に関連して該EQRメタリゼーション75について説明したが、それは同様に
図1に示した該MPS装置50の実施例中にも存在することが可能である。
【0052】
更に、該SiCを基礎とした電子装置50は、前述したようなMPSタイプのものではない場合があり、特に、それは、ショットキーダイオード、PNダイオード、SiCを基礎としたMOSFET、SiCを基礎としたIGBT、及びSiCを基礎としたパワー電子要素の中から少なくとも一つを包含することが可能である。該固定要素82は、パワーデバイスにおける該パッシベーション層69の固着を保証するために前記パワーデバイスの延長区域の外側上(例えば、XY面内において該活性区域54の外側上)に配置される。