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特開2022-44022液化天然ガスプラントにおける主熱交換器のクールダウンを制御するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044022
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】液化天然ガスプラントにおける主熱交換器のクールダウンを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20220309BHJP
   F25J 5/00 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
F25J1/00 B
F25J5/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021143062
(22)【出願日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】63/074,565
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/399,240
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591035368
【氏名又は名称】エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】チン ポー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ジョセフ オカシンスキ
(72)【発明者】
【氏名】チェン フェイ
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA10
4D047AB08
4D047CA06
4D047CA12
4D047CA13
4D047CA16
4D047DA17
4D047EA01
(57)【要約】
【課題】液化天然ガスプラントにおける主熱交換器のクールダウンを制御する方法を提供する。
【解決手段】液化天然ガスプラントにおける主熱交換器のクールダウンを制御する方法。本方法は、1つ又は複数のプロセス変数及び設定点に基づいて、熱交換器を通る天然ガス供給流の流速の自動化された制御を提供する。熱交換器を通る冷媒流の流速は、別のプロセス変数及び設定点によって制御され、天然ガス供給流の流速と独立して制御される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温端部、冷端部及び中間領域を備える主熱交換器と、少なくとも1つの供給流と、少なくとも1つの冷媒流とを有する熱交換システムの始動を制御するための方法であって、
(a)第一の時点における第一の温度プロファイルから、第二の時点における第二の温度プロファイルへと主熱交換器を冷却する工程であって、第一の温度プロファイルが、第二の温度プロファイルの第二の平均温度より高い第一の平均温度を有する工程と;
(b)工程(a)の実行の間に平行して、
(i)主熱交換器の冷端部における冷端部温度を測定する工程;
(ii)第一の冷端部温度の変化率を含む第一の値を計算する工程;
(iii)冷端部温度の好ましい変化率を表す冷端部設定点を提供する工程;
(iv)第一の値と第一の設定点とに基づいて、主熱交換器を通る少なくとも1つの供給流の流速を制御する工程;
(v)主熱交換器の中間領域における第一の位置で、第一の中間領域温度を測定する工程;
(vi)第一の中間領域温度の変化率を含む第二の値を計算する工程;
(vii)第一の中間領域温度の好ましい変化率を表す第一の中間領域設定点を提供する工程;及び
(viii)第二の値と第二の設定点とに基づいて、主熱交換器を通る少なくとも1つの冷媒流の第一の流の流速を制御する工程を行う工程とを含む、方法。
【請求項2】
工程(b)が、
(ix)主熱交換器の中間領域における第二の位置で、第二の中間領域温度を測定する工程であって、第二の位置が、第一の位置とは異なる、中間領域における軸方向位置に位置する工程;
(x)第二の中間領域温度の変化率を含む第三の値を計算する工程;
(xi)第二の中間領域温度の好ましい変化率を表す第二の中間領域設定点を提供する工程;及び
(xii)第三の値と第三の設定点とに基づいて、主熱交換器を通る少なくとも1つの冷媒流の第二の流の流速を制御する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第一の中間領域設定点が冷端部設定点に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第一の中間領域設定点が冷端部設定点より小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの冷媒流がMRL流及びMRV流を含み、工程(b)が、
(xiii)ある一定の変化率に基づいて、MRV流の流速を制御する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(viii)が、第二の値と第二の設定点とに基づいて、主熱交換器を通るMRL流の流速を制御することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
主熱交換器がコイル巻き熱交換器を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(xiv)少なくとも1つの供給流を主熱交換器中に導入する前に、少なくとも1つの供給流を予備冷却する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(b)(i)が、
(i)主熱交換器の冷端部における冷端部温度を測定することであって、測定された冷端部温度が、第一の複数の温度センサーからの温度測定値の平均からなることを含み;工程(b)(v)が、
(v)主熱交換器の中間領域における第一の位置で、第一の中間領域温度を測定することであって、測定された第一の中間領域温度が、第二の複数の温度センサーからの温度測定値の平均からなることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
冷端部設定点が、工程(a)の実行を通して一定である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
冷端部設定点が、工程(a)の実行の間に少なくとも一度は変化する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第一の中間領域設定点が、工程(a)の実行を通して一定である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第一の中間領域設定点が、工程(a)の実行の間に少なくとも一度は変化する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
主熱交換器を有する液化天然ガスプラントの始動を制御して、MRL流及びMRV流として主熱交換器に供給される混合冷媒を使用する閉ループ冷凍によって、主熱交換器のクールダウンを達成するための方法であって、主熱交換器が、少なくとも1つの天然ガス流及び少なくとも1つの冷媒流を含み、少なくとも1つの冷媒流が、間接熱交換を通じて少なくとも1つの天然ガス流を冷却するために使用され、主熱交換器が、温端部、冷端部及び中間領域を有するコイル巻き熱交換器を備え、
(a)第一の時点における第一の温度プロファイルから、第二の時点における第二の温度プロファイルへと主熱交換器を冷却する工程であって、第一の温度プロファイルが、第二の温度プロファイルの第二の平均温度より高い第一の平均温度を有する工程と;
(b)工程(a)の実行の間に平行して、
(i)主熱交換器の冷端部における冷端部温度を測定する工程;
(ii)第一の冷端部温度の変化率を含む第一の値を計算する工程;
(iii)冷端部温度の好ましい変化率を表す冷端部設定点を提供する工程;
(iv)第一の値と第一の設定点とに基づいて、主熱交換器を通る少なくとも1つの天然ガス流の流速を制御する工程;
(v)主熱交換器の中間領域における第一の位置で、第一の中間領域温度を測定する工程;
(vi)第一の中間領域温度の変化率を含む第二の値を計算する工程;及び
(vii)第一の中間領域温度の好ましい変化率を表す第一の中間領域設定点を提供する工程を行う工程とを含む、方法。
【請求項15】
(viii)第二の値と第二の設定点とに基づいて、主熱交換器を通るMRL流の流速を制御する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月4日に提出された米国仮出願第63/074565号に基づく優先権を主張していて、この仮出願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
天然ガスを冷却、液化、及び任意選択で過冷却するための多くの液化システムが、例えば単一混合冷媒(SMR)サイクル、プロパン予備冷却混合冷媒(C3MR)サイクル、複混合冷媒(DMR)サイクル、C3MR-窒素ハイブリッド(例えばAP-X(登録商標)プロセス)サイクル、窒素又はメタンエキスパンダーサイクル及びカスケードサイクルが当分野において周知である。典型的には、このようなシステムにおいて、1つ又は複数の冷媒を用いて、間接熱交換器によって、天然ガスは冷却、液化、及び任意選択で過冷却される。様々な冷媒を、例えば混合冷媒、純成分冷媒、2相冷媒、気相冷媒などを用いることができる。窒素、メタン、エタン/エチレン、プロパン、ブタン及び任意選択でペンタンの混合物である混合冷媒(MR)は、多くのベースロード液化天然ガス(LNG)プラントにおいて使用されている。典型的には、MR流の組成は、供給ガスの組成及び運転条件に基づいて最適化される。
【0003】
冷媒は、1つ又は複数の熱交換器及び1つ又は複数の冷媒圧縮システムを備える冷媒回路中で循環される。冷媒回路は、閉ループ又は開ループである場合がある。天然ガスは、熱交換器において、冷媒に対する間接熱交換によって冷却、液化、及び/又は過冷却される。
【0004】
それぞれの冷媒圧縮システムは、循環する冷媒を圧縮及び冷却するための圧縮回路、並びに圧縮器を駆動するのに必要とされる動力を提供するための駆動器アセンブリを備える。天然ガスを冷却、液化、及び任意選択で過冷却するのに必要な熱デューティを提供する低温低圧冷媒流を提供するために、膨張の前に、冷媒は高圧に圧縮され、冷却される。
【0005】
天然ガスの冷却及び液化サービスのために、様々な熱交換器を用いることができる。コイル巻き熱交換器(CWHE)は、天然ガスの液化のためにしばしば用いられる。典型的には、CWHEは、アルミニウム又はステンレス鋼の加圧されたシェル中に収容された、らせん状に巻かれたチューブバンドルを含有する。LNG供給のために、典型的なCWHEは複数のチューブバンドルを備え、それぞれは複数のチューブ回路を有する。
【0006】
天然ガス液化プロセスにおいて、典型的には、天然ガスは、不純物を、例えば水、水銀、酸性ガス、硫黄含有化合物、重炭化水素などを除去するために予備処理をされる。任意選択で、精製された天然ガスは、LNGを生成するために、液化の前に予備冷却される。
【0007】
プラントの通常運転の前に、プラント中の全てのユニット運転を試運転する必要がある。このことは、存在する場合には天然ガス予備処理プロセス、冷媒圧縮器、予備冷却及び液化熱交換器、並びに他のユニットの始動を含む。以降、プラントが始動する最初の時は「初期始動」といわれる。熱交換器のそれぞれの部分が通常運転の間に運転する温度は「通常運転温度」といわれる。典型的には、熱交換器の通常運転温度は、最も高い温度を有する温端部と、最も低い温度を有する冷端部とを有するプロファイルを有する。典型的には、その冷端部における予備冷却熱交換器及びその温端部における液化交換器の通常運転温度は、用いられる予備冷却冷媒の種類に応じて-10℃~-60℃である。予備冷却がない場合において、その温端部における液化熱交換器の通常運転温度は、周囲温度に近い。典型的には、その冷端部における液化熱交換器の通常運転温度は、用いられる冷媒と、任意選択の過冷却を行っているかどうかに応じて、-100℃~-165℃である。従って、これらの種類の熱交換器の初期始動は、周囲温度(又は予備冷却温度)から通常運転温度へと冷端部を冷却すること、並びに続く製造立ち上げ及び通常運転のための適した空間的温度プロファイルを確立することを含む。
【0008】
予備冷却及び液化熱交換器を始動する間の重要な考慮点は、熱交換器への熱応力を防止するために、熱交換器が緩やかな、かつ制御された手法でクールダウンされなければならないことである。熱交換器における温度の変化率は、許容可能な限度内にあることが望ましい。そうしなければ、最終的には望ましくないプラントの停止、より低いプラントの有効性及び上昇したコストをもたらす場合がある、機械的完全性及び熱交換器の全寿命に影響を与え得る熱交換器への熱応力をもたらす可能性がある。従って、熱交換器のクールダウンが緩やかな、かつ制御された手法で行われることを確実にするために、注意されなければならない。
【0009】
プラントの初期始動の後に、例えば一時的なプラントの停止又はトリップに次ぐ熱交換器の再始動の間に、熱交換器を始動する必要がある場合もある。このような状況では、熱交換器は、周囲温度から(以降「温間再始動」といわれる)、又は通常運転温度と周囲温度との中間温度から(以降「冷間再始動」といわれる)昇温される場合がある。冷間再始動及び温間再始動の両方もまた、緩やかな、かつ制御された手法で行われなければならない。一般に、用語「クールダウン」及び「始動」は、初期始動、冷間再始動並びに温間再始動の間の熱交換器のクールダウンをいう。
【0010】
1つの手法は、熱交換器のクールダウンプロセスを手動で制御することである。熱交換器をクールダウンするために、冷媒の流速及び組成が手動で段階的な手法で調節される。このプロセスは、高い操作者の注意及び技能を必要とし、このことは、新規の設備及び高い操作者の回転率である設備においては達成するのが困難である場合がある。操作者の側における任意のエラーは、許容可能な限度を超過するクールダウン速度及び望ましくない熱応力を熱交換器にもたらす場合がある。加えて、プロセスにおいて、しばしば、温度の変化率は手動で計算され、正確ではない場合がある。さらに、手動の始動は、段階的なプロセスである傾向があり、しばしば調整的な運転を含み、従って時間を消費する。典型的には、交換器からの供給天然ガスは、製品要件を満たさないか、又はLNGタンクに収容することができないため、この始動の期間にフレアリングされる。従って、手動のクールダウンプロセスは、貴重な供給天然ガスの大量の損失をもたらす。
【0011】
別の手法は、例えば米国特許出願公開第2010/0326133号明細書で開示されるシステムにおいて、プログラム可能な制御器を用いてクールダウンプロセスを自動化することである。従来技術において開示される手法は非常に複雑であり、交換器がクールダウンするまでは供給バルブの操作を含まない。このことは、熱交換器中の冷媒の多量の過剰供給を容易に引き起こす場合があり、効率的ではない。2相冷媒、例えば混合冷媒(MR)の場合、このことは、MR圧縮器の吸引において液体冷媒をもたらす場合がある。加えて、この方法は、高温側及び低温側の温度に直接的な影響を有する、供給流速と冷媒流速との間の接近の相互作用の利点を利用していない。最後に、この方法は、未だ、操作者によってされる必要がある重大な決定を伴う、かなり双方向性の(自動でない)プロセスである。その自動化のレベルは限定的である。
【0012】
クールダウンプロセスを自動化するための1つのあり得る手段は、熱交換器の冷端部において測定されるクールダウン速度をコントロールするように、冷媒流速を独立に操作する間に、天然ガス供給流速を増加させることである。この方法は、クールダウン速度制御器が、冷媒の温度及び相挙動に応じて、異なる応答及び全く逆の応答を有する場合があるため、効果的でないことが分かる。冷媒は冷却媒体としてだけでなく、JTバルブの膨張の前の熱交換器における熱負荷としても働く。プロセスの初めに冷媒流速を増加させることは、チューブ回路における冷媒の凝縮の前に、冷端部において測定されるクールダウン速度を、実際には遅くさせる場合がある。次いで、JTバルブに入る冷媒が凝縮されるクールダウンプロセスにおいて流速を増加させることは、クールダウン速度を増加させる。この逆の応答は、このような制御方法の自動化を非常に困難に又は不可能にする。
【0013】
クールダウンプロセスを自動化する別の方法は、米国特許第10393429号明細書によって教示され、この明細書は、冷端部温度の微分を使用して、主熱交換器における天然ガス供給流の増加(流速の増加)を制御することを開示している。主熱交換器における冷媒流についての流速は、所定の増加速度を使用して制御される。冷媒流の流速は、任意の時間微分温度の測定結果に基づいては、調節又は制御されない。流動を制御するための単なる時間微分の測定結果として冷端部温度の測定結果を使用すること、及び任意の時間微分温度の測定結果と独立して冷媒流の流動を増加させることは、熱交換器を通じて伝わる望ましくない大きい温度変動を引き起こす場合がある。これらの温度変動は、プラントの始動の間に、冷端部で、及び他の位置、例えば中間領域及び温端部で開始する場合がある。従って、温度変動の開始の位置に応じて、温度変動は供給流動の方向に対して同じ方向又は反対の方向に移動する場合がある。温度変動が冷端部で開始して、次いで温端部に向かって移動する場合、冷端部の時間微分温度制御器は、これを検出するのに、及び供給流動を調節することによるこのような温度変動を弱めるのに効果的である場合がある。しかし、温度変動が冷端部から幾らかの距離で(例えば温端部近くで)開始する場合、このような変動は冷端部に向かって移動する。冷端部温度が、流動を制御するのに使用される単なる時間微分温度の測定結果である場合、これらの変動が冷端部に到達する前に、これらの変動を検出することは、しばしば不可能である。従って、冷端部に到達する時間変動によって、このような温度変動を弱めるのには遅すぎる。例えば、図1は、米国特許第10393429号明細書の図1~2において開示されるシステム及び方法についての、クールダウンの間の、冷端部温度センサーについてのシミュレーションされた温度プロファイルを示す。図1に示されるシャープな温度低下は、主熱交換器に対する熱応力をもたらす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
全体として、主熱交換器に対する熱応力の可能性を低減し、一方で操作者の介入についての必要性を減少させる、天然ガス液化設備における熱交換器の始動のための、改善され自動化されたシステム及び方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この概要は、下で詳細な説明においてさらに説明される概念の選択を、単純化された形態で紹介するために提供される。この概要は、請求される内容の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、請求される内容の範囲を限定するのに使用されることを意図するものでもない。
【0016】
開示される実施態様は、天然ガス液化設備の始動の間に、主熱交換器における異なる軸方向位置での時間微分温度の測定結果に応じて、供給ガス流速と、少なくとも1つの冷媒流速との両方を調節するためのプログラム可能な制御システム及び方法を提供することによって、当分野における要求を満たす。
【0017】
加えて、本発明のシステム及び方法の幾つかの特定の態様が、下で概説される。
【0018】
態様1:温端部、冷端部及び中間領域を備える主熱交換器と、少なくとも1つの供給流と、少なくとも1つの冷媒流とを有する熱交換システムの始動を制御するための方法であって、
(a)第一の時点における第一の温度プロファイルから、第二の時点における第二の温度プロファイルへと主熱交換器を冷却する工程であって、第一の温度プロファイルが、第二の温度プロファイルの第二の平均温度より高い第一の平均温度を有する工程と;
(b)工程(a)の実行の間に平行して、
(i)主熱交換器の冷端部における冷端部温度を測定する工程;
(ii)第一の冷端部温度の変化率を含む第一の値を計算する工程;
(iii)冷端部温度の好ましい変化率を表す冷端部設定点を提供する工程;
(iv)第一の値と第一の設定点とに基づいて、主熱交換器を通る少なくとも1つの供給流の流速を制御する工程;
(v)主熱交換器の中間領域における第一の位置で、第一の中間領域温度を測定する工程;
(vi)第一の中間領域温度の変化率を含む第二の値を計算する工程;
(vii)第一の中間領域温度の好ましい変化率を表す第一の中間領域設定点を提供する工程;及び
(viii)第二の値と第二の設定点とに基づいて、主熱交換器を通る少なくとも1つの冷媒流の第一の流の流速を制御する工程を行う工程とを含む、方法。
【0019】
態様2:工程(b)が、
(ix)主熱交換器の中間領域における第二の位置で、第二の中間領域温度を測定する工程であって、第二の位置が、第一の位置とは異なる、中間領域における軸方向位置に位置する工程;
(x)第二の中間領域温度の変化率を含む第三の値を計算する工程;
(xi)第二の中間領域温度の好ましい変化率を表す第二の中間領域設定点を提供する工程;及び
(xii)第三の値と第三の設定点とに基づいて、主熱交換器を通る少なくとも1つの冷媒流の第二の流の流速を制御する工程をさらに含む、態様1に記載の方法。
【0020】
態様3:第一の中間領域設定点が冷端部設定点に等しい、態様1又は2のいずれかに記載の方法。
【0021】
態様4:第一の中間領域設定点が冷端部設定点より小さい、態様1又は2のいずれかに記載の方法。
【0022】
態様5:少なくとも1つの冷媒流がMRL流及びMRV流を含み、工程(b)が、
(xiii)ある一定の変化率に基づいて、MRV流の流速を制御する工程をさらに含む、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0023】
態様6:工程(viii)が、第二の値と第二の設定点とに基づいて、主熱交換器を通るMRL流の流速を制御することを含む、態様5に記載の方法。
【0024】
態様7:主熱交換器がコイル巻き熱交換器を備える、態様1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0025】
態様8:
(xiv)少なくとも1つの供給流を主熱交換器中に導入する前に、少なくとも1つの供給流を予備冷却する工程をさらに含む、態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0026】
態様9:工程(b)(i)が、
(i)主熱交換器の冷端部における冷端部温度を測定することであって、測定された冷端部温度が、第一の複数の温度センサーからの温度測定値の平均からなることを含み;工程(b)(v)が、
(v)主熱交換器の中間領域における第一の位置で、第一の中間領域温度を測定することであって、測定された第一の中間領域温度が、第二の複数の温度センサーからの温度測定値の平均からなることを含む、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0027】
態様10:冷端部設定点が、工程(a)の実行を通して一定である、態様1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0028】
態様11:冷端部設定点が、工程(a)の実行の間に少なくとも一度は変化する、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0029】
態様12:第一の中間領域設定点が、工程(a)の実行を通して一定である、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0030】
態様13:第一の中間領域設定点が、工程(a)の実行の間に少なくとも一度は変化する、態様1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0031】
態様14:主熱交換器を有する液化天然ガスプラントの始動を制御して、MRL流及びMRV流として主熱交換器に供給される混合冷媒を使用する閉ループ冷凍によって、主熱交換器のクールダウンを達成するための方法であって、主熱交換器が、少なくとも1つの天然ガス流及び少なくとも1つの冷媒流を含み、少なくとも1つの冷媒流が、間接熱交換を通じて少なくとも1つの天然ガス流を冷却するために使用され、主熱交換器が、温端部、冷端部及び中間領域を有するコイル巻き熱交換器を備え、
(a)第一の時点における第一の温度プロファイルから、第二の時点における第二の温度プロファイルへと主熱交換器を冷却する工程であって、第一の温度プロファイルが、第二の温度プロファイルの第二の平均温度より高い第一の平均温度を有する工程と;
(b)工程(a)の実行の間に平行して、
(i)主熱交換器の冷端部における冷端部温度を測定する工程;
(ii)第一の冷端部温度の変化率を含む第一の値を計算する工程;
(iii)冷端部温度の好ましい変化率を表す冷端部設定点を提供する工程;
(iv)第一の値と第一の設定点とに基づいて、主熱交換器を通る少なくとも1つの天然ガス流の流速を制御する工程;
(v)主熱交換器の中間領域における第一の位置で、第一の中間領域温度を測定する工程;
(vi)第一の中間領域温度の変化率を含む第二の値を計算する工程;及び
(vii)第一の中間領域温度の好ましい変化率を表す第一の中間領域設定点を提供する工程を行う工程とを含む、方法。
【0032】
態様15:第二の値と第二の設定点とに基づいて、主熱交換器を通るMRL流の流速を制御する工程をさらに含む、態様14に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】米国特許第10393429号明細書において開示されるシステム及び方法についての、クールダウンの間の、シミュレーションされた温度プロファイルを示すグラフである。
図2】例示的な主熱交換器システムの単純化された模式的なフロー図である。
図3】例示的なC3MR天然ガス液化システムを示す模式図である。
図3A図3のC3MRシステムの主熱交換器を示す模式図である。
図4図3のシステムのための例示的な制御システムを示す模式図である。
図4A図3のシステムのための第二の例示的な制御システムを示す模式図である。
図5】第一のシミュレーションされたクールダウン例の間の、図3の主熱交換器の冷端部及び中間位置における温度測定結果を示すグラフである。
図6】第一のシミュレーションされたクールダウン例の間の、MRL/MRV流速の比を示すグラフである。
図7】第二のシミュレーションされたクールダウン例の間の、図3の主熱交換器の冷端部及び中間位置における温度測定結果を示すグラフである。
図8】第二のシミュレーションされたクールダウン例の間の、MRL/MRV流速の比を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の詳細な説明は、単に好ましい例示的な実施態様を提供するものであり、特許請求される発明の範囲、用途又は構成を限定することを意図するものではない。むしろ、好ましい例示的な実施態様の以下の詳細な説明は、当業者に、特許請求される発明の好ましく例示的な実施態様を実施することを可能とする説明を提供する。特許請求される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置において、様々な変更をすることができる。
【0035】
図面に関連して本明細書中に導入される符号は、他の特徴のための文脈を提供するために、本明細書においてさらなる説明を伴わずに、1つ又は複数の続く図において繰り返される場合がある。
【0036】
特許請求の範囲において、文字及びローマ数字(例えば(a)、(b)、(c)、(i)、(ii)及び(iii))は、請求される工程及びサブ工程を特定するのに使用される。これらの文字及び数字は、方法の工程を参照するのを助けるのに使用され、特許請求の範囲において順序が具体的に記載されない限り、及び記載される範囲でのみ、請求される工程が行われる順序を示すことを意図しない。
【0037】
方向を示す用語(例えば上、下、左、右など)は、本明細書及び特許請求の範囲において、本発明の部分を説明するために使用される場合がある。これらの方向を示す用語は、単に例示的な実施態様の説明において補助することが意図され、特許請求される発明の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書において使用されるとき、用語「上流」は、参照の点から、導管中の流体の流動の方向に対向する方向を意味することが意図される。同様に、用語「下流」は、参照の点から、導管中の流体の流動の方向と同じである方向を意味することが意図される。
【0038】
熱交換器の「温度」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において、熱交換器の内部の特定の位置の熱的な温度を説明するために使用される場合がある。
【0039】
用語「温度プロファイル」は、本明細書、例及び特許請求の範囲において、熱交換器の内部の流の流動方向と平行である軸方向に沿った温度の空間的なプロファイルを説明するために使用される場合がある。「温度プロファイル」は、熱流又は低温流の、又は熱交換器の金属材料の空間的な温度プロファイルを説明するために使用される場合がある。
【0040】
本明細書において他に記載されない限り、本明細書、図面及び特許請求の範囲において特定される任意の及び全てのパーセンテージは、モルパーセンテージ基準であると理解されるべきである。本明細書において他に記載されない限り、本明細書、図面及び特許請求の範囲において特定される任意の及び全ての圧力は、絶対圧力を意味すると理解されるべきである。
【0041】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、用語「流体流連通」は、液体、蒸気及び/又は2相混合物が、直接又は間接のいずれかで制御された仕方で(すなわち、漏れなしに)構成要素の間で輸送されることを可能とする2つ以上の構成要素の間の接続性の性質をいう。2つ以上の構成要素が互いに流体流連通であるように2つ以上の構成要素を結合することは、例えば溶接、フランジ導管、ガスケット及びボルトの使用による、当分野において公知である任意の適した方法を含むことができる。2つ以上の構成要素は、それらを分離することができるシステムの他の構成要素、例えばバルブ、ゲートを介して、又は流体の流動を選択的に限定若しくは誘導することができる他の装置を介して、ともに結合することもできる。
【0042】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、用語「導管」は、それを通じてシステムの2つ以上の構成要素の間で流体を輸送することができる1つ又は複数の構造をいう。例えば、導管は、液体、蒸気及び/又はガスを輸送するパイプ、ダクト、通路及びそれらの組み合わせを含むことができる。
【0043】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、用語「主熱交換器」は、供給ガスを所望の生成物温度に冷却する熱交換器をいう。LNGプラントの場合において、主熱交換器は、液化された(幾つかの場合においては、過冷却された)天然ガス生成物を提供する熱交換器である。供給ガスの液化のために使用されるのと同じ冷媒に対して予備冷却が行われる場合、供給ガスの予備冷却は主熱交換器において行われる。供給ガスの液化のために使用されるのとは異なる冷媒に対して予備冷却が行われる場合、供給ガスの予備冷却は、別個の予備冷却熱交換器において行われる。主熱交換器は、流体流連通している単一の容器又は複数の容器中に設けることができる複数のステージ又はバンドルを有することができる。主熱交換器の冷端部が極低温で運転するシステムにおいて、主熱交換器は、「主極低温熱交換器」又は「MCHE」としても知られている場合がある。
【0044】
用語「時間微分温度」は、温度の変化率(例えばK/時間)と同義であることが意図される。
【0045】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、用語「天然ガス」は、主にメタンからなる炭化水素ガス混合物を意味する。炭化水素ガスは、少なくとも1つの炭化水素を含むガスであり、炭化水素は、ガス/流体の全体の組成のうち少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%を構成する。
【0046】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、用語「混合冷媒」(「MR」と略される)は、少なくとも2つの炭化水素を含む流体を意味し、炭化水素は冷媒の全体の組成のうち少なくとも80%を構成する。
【0047】
用語「バンドル」及び「チューブバンドル」は、本出願において相互に交換可能に使用され、同義であることが意図される。
【0048】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、用語「周囲流体」は、周囲圧力及び周囲温度で、又は周囲圧力及び周囲温度の近くでシステムに提供される流体を意味する。
【0049】
本明細書において、用語「圧縮回路」は、互いに流体流連通し、連続して配置された(以降「連続流体流連通」という)構成要素及び導管をいうために使用され、第一の圧縮器又は圧縮段階からの上流で始まり、最後の圧縮器又は圧縮段階からの下流で終わる。用語「圧縮シーケンス」は、関連する圧縮回路を構成する構成要素及び導管によって行われる工程をいうことが意図される。
【0050】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、用語「高-高」、「高」、「中」及び「低」は、これらの用語が使用される要素の特性についての相対値を表すことが意図される。例えば、高-高圧流は、本出願において説明又は請求される対応する高圧流、中圧流又は低圧流よりも高い圧力を有する流を示すことが意図される。同様に、高圧流は、本明細書又は特許請求の範囲において説明される対応する中圧流又は低圧流よりも高いが、本出願において説明又は請求される対応する高-高圧流よりも低い圧力を有する流を示すことが意図される。同様に、中圧流は、本明細書又は特許請求の範囲において説明される対応する低圧流よりも高いが、本出願において説明又は請求される対応する高圧流よりも低い圧力を有する流を示すことが意図される。
【0051】
本明細書において使用されるとき、用語「高温流」又は「熱流」は、説明されるシステムの通常運転条件の下で、間接熱交換によって冷却される流体流を意味することが意図される。同様に、用語「低温流」は、説明されるシステムの通常運転条件の下で、間接熱交換器によって昇温される流体流を意味することが意図される。
【0052】
図2を参照すると、温端部46及び冷端部47を有する単純化された例示的なコイル巻き熱交換器8が示されていて、温端部46及び冷端部47は供給流の流動の軸20に沿って配置されている。熱交換器8は、流30を介して温端部46を出る、熱交換器8を通って流動する冷媒に対して、供給ガス流5及び冷媒流41、43を冷却する。冷却の後に、流41及び43は、それぞれJTバルブ61及び62によって膨張されて、それぞれ冷媒流42及び44を形成し、熱交換器8に(図示されていないが)戻されて流30を介して出る。冷却された供給ガス流6は冷端部47で熱交換器8を出て、その流動はバルブ3によって制御される。
【0053】
クールダウンの間、供給ガス流5の流速は制御器71によって制御され、制御器71は冷端部47に位置する第一のセンサー25からの温度測定結果を受け取り、時間微分温度を計算し、時間微分温度を第一の設定点72と比較し、供給ガス流5の流速を調節して、冷端部の時間微分温度を第一の設定点72より小さく維持する。このプロセスはクールダウンの間に行われるため、測定される時間微分温度と第一の設定点との両方は負の値である。従って、この文脈において、「小さい」又は「より小さい」は、測定される時間微分温度の絶対値が第一の設定点の絶対値より小さいことを意味する。
【0054】
この例において、冷媒流41の流速は制御器88によって制御され、制御器88は第一の中間位置に位置する第二のセンサー26からの温度測定結果を受け取り、時間微分温度を計算し、時間微分温度を第二の設定点74と比較し、冷媒流42の流速を調節して、第一の中間時間微分温度を第二の設定点74より小さく維持する。この例において使用されるとき、設定点は単一の値であるが、本発明の幾つかの実施態様においては、設定点は、ある値の範囲を、時間微分温度がその値の範囲内にある場合には、ある1つの操作を行い、時間微分がその範囲外にある場合には、別の操作を行う値の範囲をいう場合がある。加えて、時間微分温度を計算するのに使用される温度測定結果は、単一のセンサーからの単一の温度測定結果によって提供されるように示されている。他の実施態様において、他の構成を使用することができる。例えば、複数の温度センサーを同じ軸方向位置において使用することができ、測定される温度の平均を、時間微分温度のための基準として使用することができる。
【0055】
冷媒流43の流速は制御器89によって制御され、制御器89は第二の中間位置に位置する第三のセンサー27からの温度測定結果を受け取り、時間微分温度を計算し、時間微分温度を第三の設定点73と比較し、冷媒流44の流速を調節して、第二の中間時間微分温度を第三の設定点73より小さく維持する。
【0056】
制御器71、88、90のそれぞれに温度測定結果を提供するのに使用することができる多くの適した代わりのセンサー構成が存在する。例えば、冷端部47における異なる流に温度センサーを配置することができ、熱交換器8に対して外部である位置における流のうち任意のものに温度センサーを配置することができ、又は複数の温度センサーを使用することができる。単一の制御器に温度測定結果を提供するのに複数の温度センサーが使用される場合、好ましくは計算が、例えば温度センサーによって、時間内に、所与の点で測定される温度の平均をとる計算が行われる。
【0057】
多くの適用において、熱交換器8の冷端部47において得られた時間微分温度の測定結果に基づいて供給ガス流速が制御されること、及び熱交換器8の中間領域において得られた時間微分温度の測定結果に基づいて少なくとも1つの冷媒流の流動が制御されることが好ましい。時間微分温度の測定結果に基づいて制御される冷媒流の流動の好ましい数、及びそれらの時間微分の測定結果を得る中間領域における好ましい位置は、部分的には熱交換システムの構成と、クールダウンの間に所望される正確さのレベルとに応じて変更することができる。
【0058】
上で説明されるクールダウン制御方法の別の適用を示す例示的な実施態様が図3に示されている。この例示的な実施態様において、典型的なC3MRプロセスが示されている。この例においては天然ガスである供給流100は、公知の方法によって、予備処理区画90において洗浄及び乾燥されて、水、CO2及びH2Sなどの酸性ガス、並びに水銀などの他の汚染物質を除去して、予備処理された供給流101を得る。本質的に水を含有しない予備処理された供給流101は、予備冷却システム118において予備冷却されて、予備冷却された天然ガス供給流105を生成し、主熱交換器108においてさらに冷却、液化及び/又は過冷却されて、LNG流106を生成する。生成物制御バルブ103を使用して、LNG流106の流速を調節することができる。典型的には、LNG流106は、LNG流106をバルブ(バルブ103であってよい)又はタービン(図示されていない)を通じて通過させることによって圧力を下げられ、次いで流104によってLNG貯蔵タンク109に送られる。タンク中の圧力低下及び/又はボイルオフの間に生成される任意のフラッシュ蒸気は流107によって表され、プラントにおいて燃料として使用するか、供給のために再循環するか、又は放出することができる。この実施態様の文脈において、用語「本質的に水を含有しない」は、予備処理された供給流101中の任意の残留水分が、下流の冷却及び液化プロセスにおける水の凍結に関連する運転上の問題を防止するために十分に低い濃度で存在することを意味する。
【0059】
予備処理された供給流101は、10℃未満、好ましくは約0℃未満、より好ましくは約-30℃未満の温度に予備冷却される。予備冷却された天然ガス供給流105は、約-150℃~約-70℃、好ましくは約-145℃~約-100℃の温度に液化されて、次いで約-170℃~約-120℃、好ましくは約-170℃~約-140℃の温度に過冷却される。図3及び3Aに示される主熱交換器108は、2つのバンドルを有するコイル巻き熱交換器である。代わりの実施態様において、任意の数のバンドル及び任意の適した交換器の種類を利用することができる。
【0060】
このC3MRプロセスにおいて使用される予備冷却冷媒はプロパンである。プロパン冷媒110は、予備処理された供給流101に対して昇温されて、高温低圧プロパン流114を生成する。高温低圧プロパン流114は、4つの圧縮段階を備えることができる1つ又は複数のプロパン圧縮器116において圧縮される。中間の圧力レベルである3つの側流111、112、113は、それぞれ、プロパン圧縮器116の最後の、第三の及び第二の段階の吸引でプロパン圧縮器116に入る。圧縮されたプロパン流115は凝縮器117において凝縮されて低温高圧流を生成し、次いで低温高圧流は圧力を下げられて(降圧バルブ、図示されていない)、予備冷却システム118において、予備処理された供給流101を冷却するのに必要とされる冷却デューティを提供するプロパン冷媒110を生成する。プロパン液体は、プロパン液体が昇温されて高温低圧プロパン流114を生成するにつれて蒸発する。典型的には、凝縮器117は、周囲流体、例えば空気又は水に対して熱を交換する。図はプロパン圧縮の4つの段階を示しているが、任意の数の圧縮段階を用いることができる。複数の圧縮段階が説明又は記載されるとき、このような複数の圧縮段階は単一の多段階圧縮器、複数の圧縮器又はそれらの組み合わせを含むことができると理解されるべきである。圧縮機は単一のケーシング又は複数のケーシングであってよい。一般に、プロパン冷媒を圧縮するプロセスは、本明細書においてプロパン圧縮シーケンスといわれる。
【0061】
主熱交換器108において、冷凍の少なくとも一部、好ましくは冷凍の全ては、バルブ又はタービンを横切っての圧力低下の後に、冷媒流の少なくとも一部を気化及び加熱することによって提供される。低圧ガス状MR流130は、主熱交換器108のシェル側の底部から引き抜かれ、低圧吸引ドラム150を通じて送られ、任意の液体を分離し、蒸気流131は低圧(LP)圧縮器151において圧縮されて、中圧MR流132を生成する。典型的には、低圧ガス状MR流130は、予備冷却温度に近い温度で、又は予備冷却がない場合には周囲温度に近い温度で引き抜かれる。
【0062】
中圧MR流132は低圧後段冷却器152において冷却されて、冷却された中圧MR流133を生成し、中圧吸引ドラム153において、冷却された中圧MR流133から任意の液体が排出されて中圧蒸気流134を生成し、中圧蒸気流134は、中圧(MP)圧縮器154においてさらに圧縮される。得られる高圧MR流135は、中圧後段冷却器155において冷却されて、冷却された高圧MR流136を生成する。冷却された高圧MR流136は、高圧吸引ドラム156に送られて、任意の液体が排出される。得られる高圧蒸気流137は、高圧(HP)圧縮器157においてさらに圧縮されて、高-高圧MR流138を生成して、高-高圧MR流138は高圧後段冷却器158において冷却されて、冷却された高-高圧MR流139を生成する。次いで、冷却された高-高圧MR流139は、予備冷却システム118において蒸発プロパンに対して冷却されて、2相MR流140を生成する。次いで、2相MR流140は蒸気-液体分離器159に送られ、蒸気-液体分離器159からMRL流141及びMRV流143が得られ、MRL流141及びMRV流143は主熱交換器108に送り返されてさらに冷却される。相分離器を出る混合冷媒液体流は、本明細書においてMRLといわれ、相分離器を出る混合冷媒蒸気流は、本明細書においてMRVといわれ、たとえそれらが、次いで1相又は2相に液化及び/又は膨張された後であっても、そのようにいわれる。MRが主熱交換器108の底部から引き抜かれ、次いで複数の流として主熱交換器108のチューブ側に戻された後に、MRを圧縮及び冷却するプロセスは、本明細書においては一般にMR圧縮シーケンスといわれる。
【0063】
MRL流141及びMRV流143の両方は、主熱交換器108の2つの別個の回路において冷却される。MRL流141は主熱交換器108の最初の2つのバンドルにおいて冷却及び部分的に液化されて低温流を得て、低温流はMRL圧力低下バルブ161において圧力を下げられて2相MRL流142を生成し、2相MRL流142は主熱交換器108のシェル側に送り戻されて、主熱交換器の第一のバンドルにおいて要求される冷凍を提供する。MRV流143は主熱交換器108の第一の及び第二のバンドルにおいて冷却され、MRV圧力低下バルブ160を横切って圧力を下げられ、2相MRV流144として主熱交換器108に導入されて、過冷却、液化及び冷却工程において冷凍を提供する。MRV流及びMRL流144、142は、クールダウンプロセスの間に常には2相でなくてよいことに注意すべきである。
【0064】
主熱交換器108は、天然ガスの液化のために適した任意の熱交換器、例えばコイル巻き熱交換器、プレートアンドフィン熱交換器、又はシェルアンドチューブ熱交換器であってよい。コイル巻き熱交換器は、天然ガスの液化のための、当分野の技術水準の熱交換器であり、流動プロセス及び高温冷媒流のための複数のらせん巻きチューブを備える少なくとも1つのチューブバンドルと、低温冷媒流を流動させるためのシェル空間とを備える。図3及び3Aを参照すると、主熱交換器108はMRV流及びMRL流143、141、並びに予備冷却された天然ガス供給流105の流動の一般的な方向が、軸120に平行であり、軸120によって示される方向であるコイル巻き熱交換器である。主熱交換器108に関して本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、用語「位置」は、図3Aにおいて軸120によって表される、主熱交換器108を通って流動する流の流動の軸方向に沿った位置を意味する。同様に、図2の主熱交換器8について、「位置」は、図2において軸20によって表される、主熱交換器8を通って流動する流の流動の軸方向に沿った位置を意味する。
【0065】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、用語「熱交換システム」は、主熱交換器108の構成要素の全て、及び主熱交換器108を通って巡る任意の導管、さらに主熱交換器108と流体流連通している任意の導管、又は主熱交換器108を通って巡る導管を意味する。
【0066】
図3Aを参照して、本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、用語「温端部」は、最も高い温度からの温度差が、通常運転条件の下で熱交換器によってもたらされる最も高い温度と最も低い温度との温度差の10%未満である、(供給流の流動の軸120に沿った)熱交換器の部分を意味する。本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、用語「冷端部」は、最も低い温度からの温度差が、通常運転条件の下で熱交換器によってもたらされる最も高い温度と最も低い温度との温度差の10%未満である、(供給流の流動の軸120に沿った)熱交換器の部分を意味する。本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、用語「中間領域」は、冷端部と温端部との間に位置する(供給流の流動の軸に沿った)熱交換器の部分を意味する。
【0067】
要素が、冷端部又は温端部「にある(at)」又は「に位置する(located in)」と説明されるとき、この説明は、要素が冷端部(又はどちらの端部が記載されているかに応じて、温端部)の近くに位置し、通常運転条件の下で、最も低い(又は温端部の近くに位置する要素の場合には、最も高い)温度と、その要素における最も高い温度との温度差が、最も高い温度と最も低い温度との温度差の10%未満であることを意味することが意図される。「にある」又は「に位置する」は、主熱交換器に入る又は主熱交換器を出る、かつ適用可能な温度要求を満たす導管を含む。例えば、LNG流106が通って流動する導管の部分は、導管の部分の温度と冷端部温度との温度における差が、冷端部温度と温端部温度との差の10%未満である場合、冷端部147「にある」又は「に位置する」とみなされる。
【0068】
本発明は、他の種類の天然ガス液化プロセスにおいて行うことができると理解されるべきである。例えば、異なる予備冷却冷媒を、例えば混合冷媒、二酸化炭素(CO2)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、アンモニア(NH3)、窒素(N2)、メタン(CH4)、エタン(C2H6)及びプロピレン(C3H6)を使用するプロセスである。加えて、本発明はまた、予備冷却を使用しないプロセス、例えば単一混合冷媒サイクル(SMR)においても行うことができる。代わりの構成を使用して、主熱交換器108への冷凍を提供することができる。このような冷凍は、閉ループ冷凍プロセス、例えばこの実施態様において使用されるプロセスによって提供されることが好ましい。本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、「閉ループ冷凍」プロセスは、冷媒又は冷媒の成分を、クールダウンの間にシステムに加える(補う)ことができる冷凍プロセスを含むことが意図される。本発明の他の実施態様において、冷凍は、開ループ冷凍プロセスによって提供することができ、ここで、冷媒は供給ガスと流体流連通していて、例えば冷媒は主にメタンである。
【0069】
この実施態様は、複数のプロセス変数を、それぞれ少なくとも1つの測定されるプロセス変数と少なくとも1つの設定点とに基づいて、操作する制御システム121を含む。このような操作は、プロセスの始動の間に行われる。制御システム121のセンサー入力及び制御出力が、図4に図で示される。制御システム121は、本明細書において説明されるプロセス工程を実行することができる任意の種類の公知の制御システムであってよいことに注意すべきである。適した制御システムの例は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、分散制御システム(DCS)及び統合制御装置が含まれる。制御システム121は、単一の位置に位置するとして図に表されていることにも注意すべきである。特に分散制御システムが使用される場合、制御システム121の構成要素はプラント中の異なる位置に位置させることができる可能性がある。本明細書において使用されるとき、用語「自動化された制御システム」は、操作される変数の組が、複数の設定点及びプロセス変数に基づいて、制御システムによって自動的に制御される、上で説明される任意の種類のシステムを意味することが意図される。本発明は、操作される変数のそれぞれの十分に自動化された制御を提供することが可能である制御システムを検討するものであるが、操作者に、1つ又は複数の操作された変数を手動で無効にする選択肢を提供することが望ましい場合がある。
【0070】
この実施態様における操作される変数は、予備冷却された天然ガス供給流105(又は供給流に沿った任意の他の位置)、MRL流142(又はMRL流に沿った任意の他の位置)及びMRV流144(又はMRV流に沿った任意の他の位置)の流速である。この実施態様における監視される変数は、冷端部147における、及び中間領域148中の位置における時間微分温度である。
【0071】
冷端部温度は、主熱交換器108中に、供給ガスが流動する導管に位置する温度センサー125によって測定される。測定された温度は、信号176を介して、時間微分温度の値を生成する微分計算機191に送られる。時間微分温度の値は、信号184を介してPID171に送られる。PID171は、(信号177を介して送られる)設定点SP1に対して時間微分温度の値を比較し、この比較結果を使用してバルブ103の位置を設定し、このことは天然ガス供給流105の流動を制御する。
【0072】
第一の中間領域温度は、主熱交換器108中に、MRL流141が流動する導管に位置する温度センサー126によって測定される。測定された温度は、信号175を介して、時間微分温度の値を生成する微分計算機189に送られる。時間微分温度の値は、信号192を介してPID188に送られる。PID188は、(信号185を介して送られる)設定点SP2に対して時間微分温度の値を比較して、この比較結果を使用してバルブ161の位置を設定し、このことはMRL流142の流動を制御する。
【0073】
好ましくは、制御システム121は、短い立ち上げ時間を提供し、一方で時間微分温度を許容可能な限度内に維持して熱応力を防止するようにプログラムされる。例えば、PID171は、測定された冷端部温度の時間微分が冷端部設定点SP1に近づくまで、バルブ103を徐々に開くようにプログラムすることができる。次いで、PID171は、測定された冷端部温度の時間微分が、所定の数字の度/時間の冷端部設定点SP1以内で維持され、それを超えることがないように、バルブ103を調節する。代わりに、冷端部設定点SP1を、ある範囲として提供することができ、PID171は、バルブ103を操作して、測定された冷端部温度の時間微分を冷端部設定点SP1の範囲内に維持するようにプログラムすることができる。同様に、PID188は、測定された中間領域温度の時間微分が中間領域設定点SP2に近づくまで、バルブ161を徐々に開くようにプログラムすることができる。次いで、PID188は、測定された中間領域温度の時間微分が、所定の数字の度/時間の中間領域設定点SP2以内で維持され、それを超えることがないように、バルブ161を調節する。
【0074】
図4Aは、図3に示されるシステムとともに使用される制御システム221の、別の例示的な実施態様を示している。制御システム221において、制御システム121において示される要素と同一である要素は、100だけ加算された符号を有し、本明細書においては議論されない場合がある。この制御システム221の主な違いは、MRLバルブ161の位置が制御される手法である。この実施態様において、PID288の出力(信号283)は、MRLバルブ161/MRVバルブ160の位置の比である。この比は計算機298に渡され、計算機298は、その比を、その比をMRVバルブ位置で掛けることによってMRLバルブ位置に変換し、それは所定のプロファイル294に従って信号293を介して計算機に提供される。MRLバルブ位置は、信号295を介してローセレクト計算機296に提供され、ローセレクト計算機は、MRLバルブ位置の値を、MRLバルブの位置についての変化率を(信号297によってローセレクト計算機296に提供される)SP3以下に維持するのに必要な範囲に調節する。次いで、MRLバルブの位置の値はMRLバルブ161に渡される。ローセレクト計算機296を設けることの1つの利点は、ローセレクト計算機296が、MCHEの高温区画及び中間区画へのMRL冷媒の過剰供給の可能性を低減することである。
【0075】
本明細書及び特許請求の範囲において、特定の関心のある位置を測定して温度、圧力又は流速が特定されるとき、実際の測定は、関心のある位置と直接流体流連通し、かつ温度、圧力又は流速が、関心のある位置と本質的に同じである任意の位置で行うことができると理解されるべきである。例えば、図3において、主熱交換器108の冷端部147においてセンサー125によって測定される冷端部温度は、主熱交換器108の冷端部147の内部で、天然ガス供給流105で(図示のように)、MRV流144で、又はLNG流106で(主熱交換器108の外部で)測定することができ、その理由は、これらの位置が本質的に同じ温度であることである。しばしば、異なる位置でこれらの測定を行うことは、異なる位置が、関心のある位置よりもアクセスしやすいことに起因する。
【0076】
図2~4及び上記の関連する説明はC3MR液化サイクルに関するものであるが、本発明は、以下に限定するものではないが、2相冷媒、気相冷媒、混合冷媒、純成分冷媒(例えば窒素)などを含む任意の他の冷媒の種類に対しても適用可能である。加えて、本発明は、予備冷却、液化又は過冷却を含む、LNGプラントにおいて利用される任意のサービスのために使用される冷媒において有用である可能性がある。本発明は、SMR、DMR、窒素エキスパンダーサイクル、メタンエキスパンダーサイクル、AP-X、カスケード及び任意の他の適した液化サイクルを含む任意のプロセスサイクルを利用する天然ガス液化プラントにおける圧縮システムに対して適用可能である可能性がある。
【実施例0077】
以下は、図2~4に示されるC3MRシステムの冷間再始動に対する、上で説明されたクールダウン方法のシミュレーションされた適用の例を示す。通常は、冷間再始動は、プラントの運転が短期間停止された後に行われる。冷間再始動は、初期の主熱交換器の温度プロファイル及び初期のMR在庫の点で温間再始動とは異なる。冷間再始動について、主熱交換器108の温端部146の温度は予備冷却温度に等しいが、冷端部温度は、予備冷却温度と通常運転温度との間の任意の値であってよい。
【0078】
以下の例の両方において、冷端部温度を、クールダウンプロセスの始まりの145Kから、クールダウンプロセスの終わりの116Kへと冷却し、天然ガス供給流の流速を、冷端部設定点SP1によって制御し、MRL流141の流速を、中間設定点SP2によって制御する。MRV流143の流速を、10kg/時間の所定の一定の傾斜率に設定する。
【0079】
例1(図5及び6)において、冷端部設定点SP1及び中間設定点SP2の両方を、両方ともに-28K/時間に設定する。従って、中間温度を、クールダウンプロセスの始まりの160Kから、クールダウンプロセスの終わりの140Kへと冷却する。この例において、MRL流141の流速とMRV流143の流速との比(「MRL/MRV比」)は比較的大きく(クールダウンプロセスを通じて2.7~4.0)、このことは比較的速いクールダウンを提供する。加えて、MRL/MRV比はまた、クールダウンの期間に対して変化する(すなわち、一定ではない)。このことは、クールダウンの間の、MRL流速の向上した自動化を可能とする。
【0080】
例2(図7及び8)において、冷端部設定点SP1を-28K/時間に設定し、中間設定点SP2を0K/時間に設定する。従って、中間温度を、クールダウンプロセスの間に160Kに維持する。この例は、MRL/MRV比がクールダウンの期間に対して変化することを可能とすることによって、クールダウンプロセスを、MRL流141からのより少ない全体の流動によって行うことを可能とする。
【0081】
本発明は、好ましい実施態様及びそれらの代わりの実施態様に関して開示されている。もちろん、意図される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって、本発明の教示からの様々な変更、修正及び代替が考慮され得る。本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。
図1
図2
図3
図3A
図4
図4A
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】