(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044035
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】乳化組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20220309BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20220309BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20220309BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220309BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20220309BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20220309BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
A61K8/25
A61Q1/00
A61K8/891
A61K8/37
A61Q5/00
A61Q17/04
A61K8/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144195
(22)【出願日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】P 2020149000
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】岡 真佐人
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB242
4C083AC012
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC552
4C083AC692
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD202
4C083AD212
4C083AD242
4C083AD282
4C083AD492
4C083BB01
4C083BB11
4C083BB25
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC11
4C083CC32
4C083CC33
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】乳化安定性に優れる乳化組成物を提供する。
【解決手段】(A)油性成分、(B)水性成分、および(C)表面処理が施された一次粒子径0.15~1.5μmを有する無孔質シリカを含有することを特徴とする乳化組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)油性成分、(B)水性成分、および(C)表面処理が施された一次粒子径0.15~1.5μmを有する無孔質シリカを含有することを特徴とする乳化組成物。
【請求項2】
上記乳化組成物が、油中水型の乳化組成物である、請求項1記載の乳化組成物。
【請求項3】
上記(C)無孔質シリカが、トリエトキシカプリリルシランによる表面処理が施された無孔質シリカである、請求項1または2に記載の乳化組成物。
【請求項4】
上記(A)油性成分が、抱水率100質量%以上の油性成分である、請求項1~3いずれか一項に記載の乳化組成物。
【請求項5】
上記乳化組成物全量に対し、3質量%以下の界面活性剤を含有する、請求項1~4いずれか一項に記載の乳化組成物。
【請求項6】
上記(C)無孔質シリカのBET比表面積が、50m2/g以下である、請求項1~5いずれか一項に記載の乳化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化組成物に関する。より詳細には、個体粒子を用いて調製される乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、界面活性剤の代替成分となり得る固体粒子を用いた乳化技術が注目されている。例えば、特許文献1には、界面活性剤に代えて、両親媒性物質による表面処理が施された固体粒子を用いた乳化組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、固体粒子を用いた乳化技術の研究開発は未だ充分に進んでおらず、とりわけ、乳化安定性に優れる乳化組成物を提供し得る技術の確立には至っていない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、乳化安定性に優れる乳化組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記事情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、意外にも、表面処理を施した無孔質シリカの一次粒子径を0.15~1.5μmの特定範囲に制御した成分を用いることにより、乳化安定性に優れる乳化組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
本発明は、以下の[1]~[6]を提供する。
[1](A)油性成分、(B)水性成分、および(C)表面処理が施された一次粒子径0.15~1.5μmを有する無孔質シリカを含有することを特徴とする乳化組成物。
[2]上記乳化組成物が、油中水型の乳化組成物である、[1]に記載の乳化組成物。
[3]上記(C)無孔質シリカが、トリエトキシカプリリルシランによる表面処理が施された無孔質シリカである、[1]または[2]に記載の乳化組成物。
[4]上記(A)油性成分が、抱水率100質量%以上の油性成分である、[1]~[3]いずれかに記載の乳化組成物。
[5]上記乳化組成物全量に対し、3質量%以下の界面活性剤を含有する、[1]~[4]いずれかに記載の乳化組成物。
[6]上記(C)無孔質シリカのBET比表面積が、50m2/g以下である、[1]~[5]いずれかに記載の乳化組成物。
【0008】
本発明は、更に、以下の[7]~[9]を提供する。
[7]上記(C)無孔質シリカのメタノール湿潤度が、0~47である、[1]~[6]いずれかに記載の乳化組成物。
[8]上記(A)油性成分が、紫外線吸収剤である、[1]~[7]いずれかに記載の乳化組成物。
[9]紫外線散乱剤を含有する、[1]~[8]いずれかに記載の乳化組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、乳化安定性に優れる乳化組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】試験例7における実施例38の塗膜均一性評価の結果を示す図である。左図はラマンスペクトルイメージングの二値化画像であり、白い部分は組成物に含有される紫外線吸収剤のシグナル強度を示す。右図はラマンスペクトルイメージングをシグナル強度とそのサンプリングポイント数で表したヒストグラムである。
【
図2】乳化安定性の不十分な乳化組成物の塗膜均一性評価の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
<乳化組成物>
本発明の実施形態に係る乳化組成物は、(A)油性成分、(B)水性成分、(C)表面処理が施された一次粒子径0.15~1.5μmを有する無孔質シリカを含有するものである。
【0013】
〔(A)油性成分〕
本発明に用いる(A)成分は、乳化組成物の油相を構成する油溶性成分である。
【0014】
(A)成分としては、通常、外用組成物または化粧料に用いられる油性成分であれば特に制限なく用いることができる。具体的には、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、高級アルコール、高級脂肪酸、天然動植物油脂類、紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは、単独もしくは2種以上併せて用いることができる。常温で固体の油性成分は、液状油に溶解して用いてもよい。
【0015】
炭化水素油としては、パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素が用いられ、例えば、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、プリスタン、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、ワセリン、水添ポリイソブテン、軽質流動パラフィン等が挙げられる。
【0016】
エステル油としては、合成エステル類、高級アルコールと高級脂肪酸とのエステル類が用いられ、例えば、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ-2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2-エチルヘキサン酸セチル(エチルヘキサン酸セチル)、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール(テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット)、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸セチル、トリ(カプリル/カプリル酸)グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、乳酸セチル、乳酸テトラデシル、乳酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソノナン酸イソノニル、トリメリト酸トリエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、テトラロジン酸ペンタエリスリット、オレイン酸フィトステリル、マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(フィトステリル/ベヘニル/イソステアリル)、(ダイマージリノール酸/ステアリン酸/ヒドロキシステアリン酸)ポリグリセリル-10、(イソステアリン酸ポリグリセリル-2/ダイマージリノール酸)コポリマー、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチドデシル)、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル)、イソステアリン酸フィトステリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。
【0017】
シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロペンタシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチコノール、ジメチコノールクロスポリマー等のシロキサン、カプリリルメチコン等のアルキル変性シリコーン、アミノプロピルジメチコンおよびアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、およびシリコーンレジン等が挙げられる。
【0018】
高級アルコールとしては、例えば、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルドデカノール、バチルアルコール、フィトステロールおよびコレステロール等が挙げられる。
【0019】
高級脂肪酸としては、例えば、飽和または不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上の脂肪酸を用いることができ、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、カプリル酸、カプリン酸、ヘプタン酸、ペラルゴン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、2-パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、リノエライジン酸、アラキドン酸、ペトロセリン酸、リチノレイン酸、ポリヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0020】
天然動植物油脂類としては、例えば、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、牛脂、キリ油、小麦胚芽油、ゴマ油、米胚芽油、米糠油、サフラワー油、大豆油、月見草油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、豚脂、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、綿実油、モクロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、落花生油、ラノリン、卵黄油、ローズヒップ油等が挙げられる。
【0021】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラメトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オクトクリレン、サリチル酸エチルヘキシル、ホモサレート、ジエチルアミドヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、t-ブチルメトキシベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン、ジメチコジエチルベンザルマロネート、ポリシリコーン-15等が挙げられる。
【0022】
上記(A)成分として、本発明の効果を顕著に奏する観点から、抱水率100質量%以上の油性成分(以下、「高抱水率油性成分」という場合がある。)を含有することが好ましい。高抱水率油性成分としては、抱水率100~1200質量%の油性成分がより好ましく、200~1000質量%の油性成分が特に好ましく、250~900質量%の油性成分が最も好ましい。
【0023】
高抱水率油性成分の具体例としては、例えば、マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル(抱水率:350質量%)、ポリヒドロキシステアリン酸(抱水率:300質量%)、(ダイマージリノール酸/ステアリン酸/ヒドロキシステアリン酸)ポリグリセリル-10(抱水率:800質量%)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)(抱水率:250質量%)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(抱水率:300質量%)、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2(抱水率:200質量%)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチドデシル)(抱水率:400質量%)、ラノリン(抱水率:400質量%)、ヒドロキシステアリン酸コレステリル(抱水率:300質量%)、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(抱水率:1200質量%)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル)(抱水率:220質量%)、イソステアリン酸フィトステリル(抱水率:270質量%)、トリイソステアリン酸ジグリセリル(抱水率:1600質量%)、ポリシリコーン-15(抱水率:100質量%)等が挙げられる。なかでも、マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル、ポリヒドロキシステアリン酸、(ダイマージリノール酸/ステアリン酸/ヒドロキシステアリン酸)ポリグリセリル-10、トリイソステアリン酸ジグリセリルが好ましく、マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル、ポリヒドロキシステアリン酸、(ダイマージリノール酸/ステアリン酸/ヒドロキシステアリン酸)ポリグリセリル-10がより好ましく、ポリヒドロキシステアリン酸が更に好ましい。
【0024】
高抱水率油性成分の総含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、乳化組成物全量に対し、通常、0.1~10質量%である。好ましくは0.5~9質量%であり、より好ましくは1~8質量%、更に好ましくは2~7質量%であり、特に2~6質量%が好ましい。
【0025】
(A)成分として2種以上併せて用いる場合、その種別は特に制限されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、高抱水率油性成分を少なくとも1種以上と、抱水率が100%未満の油性成分(以下、「低抱水率油性成分」という場合がある)を少なくとも1種以上とを併用することが好ましい。
【0026】
低抱水率油性成分の具体例としては、例えば、ワセリン等の炭化水素油、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルシクロペンタシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリメチコン、カプリリルメチコン、ジメチコン、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソステアリル、トリ(カプリル/カプリル酸)グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、エチルヘキサン酸セチル、パラメトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オクトクリレン、サリチル酸エチルヘキシル、ホモサレート等が挙げられる。
【0027】
尚、本明細書における「抱水率」は、抱水率を測定する対象となる試料を秤量(初期量)し、次いで、70℃に加温した後、水(70℃)を同試料に徐々に添加しながら撹拌し、試料表面に水が浮き出してきた時点を終点として、終点までに添加した水の量を測定することにより次式にて算出される。
抱水率(質量%)=[添加した水の量(g)/試料の初期量(g)]×100
また、70℃で揮発性を示す試料や、70℃で固体の試料は、抱水率を0質量%とする。
【0028】
(A)成分の総含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、乳化組成物全量に対し、通常、20~85質量%である。好ましくは25~80質量%であり、より好ましくは30~75質量%、さらに好ましくは32~70質量%であり、特に35~65質量%が好ましい。
【0029】
〔(B)水性成分〕
本発明に用いる(B)成分は、乳化組成物の水相を構成する水溶性成分である。
【0030】
(B)成分としては、通常、外用組成物または化粧料に用いられる水性成分であれば特に制限なく用いることができる。例えば、精製水、イオン交換水等の水のほか、水溶性アルコール、水溶性高分子、紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは、単独もしくは2種以上併せて用いることができる。
【0031】
水溶性アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、デカグリセリン、ポリグリセリン、ポリオキシアルキレン付加グリセリン、ポリオキシアルキレン付加ジグリセリル等の多価アルコールが挙げられる。
【0032】
水溶性高分子としては、例えば、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリロイルジメチルタウリン塩共重合体、ポリアクリル酸、またはそれらの塩等のアクリル酸系増粘剤、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系増粘剤、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体およびこれらの塩、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のムコ多糖系増粘剤、コラーゲン等のアミノ酸系増粘剤、カラギーナン、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、寒天等の海藻類系増粘剤、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、デキストラン、スクレロチウムガム、ジェランガム等の微生物由来増粘剤、ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、(PEG-240/デシルテトレデセス-20/HDI)コポリマー、ベヘン酸グリセリル・オクタステアリン酸ポリグリセリル-6等のポリエチレングリコール系増粘剤、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、コーンスターチ等のデンプン系増粘剤、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の陰イオン性基を有するモノマーを構成単位として含む水溶性アニオン性重合体(コポリマー、ホモポリマー、クロスポリマーを含む)系増粘剤が挙げられる。
【0033】
紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸等が挙げられる。
【0034】
上記(B)成分として、本発明の効果を顕著に奏する観点から、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、デカグリセリン、ポリグリセリン、ポリオキシアルキレン付加グリセリン、ポリオキシアルキレン付加ジグリセリル等のグリセリン類を含有することが好ましい。上記ポリオキシアルキレン付加グリセリン、ポリオキシアルキレン付加ジグリセリルとは、グリセリン又はジグリセリンにアルキレンオキサイドが付加重合したものであり、アルキレンオキサイドの炭素数は特に限定されないが、2~4が好ましく、更に好ましくは2~3である。また、アルキレンオキサイドの重合度は特に限定されないが、3~30が好ましく、更に好ましくは9~26である。例えば、グリセレス-26が挙げられる。
【0035】
グリセリン類の総含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、乳化組成物全量に対し、通常、1~20質量%である。油中水型(W/O)乳化組成物においては、乳化組成物全量に対し、通常、1~10質量%であり、好ましくは1~5質量%、より好ましくは2~5質量%である。水中油型(O/W)乳化組成物においては、乳化組成物全量に対し、通常、1~20質量%であり、好ましくは1~10質量%、より好ましくは2~5質量%である。
【0036】
(B)成分として2種以上併せて用いる場合、その種別は特に制限されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、グリセリン類からなる群より選ばれる1種以上と、他の水性成分とを併用することが好ましい。なかでも、(B)成分として、グリセリンまたはポリオキシエチレン付加グリセリンの少なくとも一方と、水とを含有することが特に好ましい。
【0037】
(B)成分の総含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、乳化組成物全量に対し、通常、10~75質量%である。好ましくは20~70質量%であり、より好ましくは25~65質量%、さらに好ましくは30~65質量%であり、特に35~65質量%が好ましい。
【0038】
本発明における乳化組成物の内相と外相の比(内相:外相)は適宜設定でき、限定はされないが、通常、1:9~9:1である。本発明の効果を顕著に奏する観点から、3:7~6:4が好ましく、より好ましくは4:6~6:4である。
【0039】
尚、本発明における乳化組成物の内相とは、乳化組成物中に液滴として存在している相であり、油中水型(W/O)乳化組成物においては水相((B)成分を含む)を指し、水中油型(O/W)乳化組成物においては油相((A)成分を含む)を指す。また、本発明における乳化組成物の外相とは、乳化組成物中に連続相として存在している相であり、油中水型(W/O)乳化組成物においては油相((A)成分を含む)を指し、水中油型(O/W)乳化組成物においては水相((B)成分を含む)を指す。
【0040】
〔(C)表面処理が施された一次粒子径0.15~1.5μmを有する無孔質シリカ〕 本発明に用いる(C)成分の母体となる無孔質シリカは、通常、外用組成物または化粧料に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。無孔質シリカの形状は限定されないが、球状・不定形であってもよく、球状であることが好ましい。
【0041】
本発明に用いる(C)成分の母体となる無孔質シリカに施される表面処理とは、無孔質シリカの表面を改質することを意味する。具体的には、共有結合、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス結合等の化学的結合や物理的または化学的吸着等を介して、無孔質シリカの表面に対して化合物を導入すること意味する。表面処理の方法としては、無孔質シリカの表面を改質できる方法であれば特に制限されず、例えば、気相法、液相法、オートクレーブ法等、公知の各種方法を用いることができる。
【0042】
無孔質シリカの表面を改質する表面処理剤としては、通常、外用組成物または化粧料に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。具体的には、疎水化表面処理剤としては、例えば、トリメトキシヘキシルシラン、トリメトキシカプリリルシラン、トリメトキシデシルシラン、トリメトキシオクタデシルシラン、トリエトキシヘキシルシラン、トリエトキシカプリリルシラン、トリエトキシデシルシラン、トリエトキシオクタデシルシラン等のトリアルコキシアルキルシラン等のシラン化合物、ジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサンコポリマー、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン類、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸、脂肪酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩等の金属セッケン、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩、パーフルオロアルキルトリメトキシシラン等のフッ素化合物等が挙げられる。親水化表面処理剤としては、多価アルコール、多糖類、水溶性高分子、アミノ酸等が挙げられる。これらは、単独もしくは2種以上併せて用いることができる。なかでも、本発明の効果を顕著に奏する観点から、ステアリン酸、イソステアリン酸、ジメチコン、トリエトキシカプリリルシラン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコンが好ましく、トリエトキシカプリリルシラン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコンがより好ましく、トリエトキシカプリリルシランが更に好ましい。
【0043】
(C)成分における表面処理は、当該シリカ表面を部分的に処理するものであることが好ましく、表面処理に用いられる表面処理剤の量は、特に限定されないが、母体である無孔質シリカ100質量%に対して、0.1~2.5質量%が好ましい。本発明の効果を顕著に奏する観点から、油中水型(W/O)乳化組成物においては、0.8~1.7質量%が好ましく、0.9~1.5質量%がより好ましい。本発明の効果を顕著に奏する観点から、水中油型(O/W)乳化組成物においては、0.1~0.7質量%が好ましく、0.1~0.5質量%がより好ましく、0.1~0.3質量%が更により好ましい。
【0044】
本発明における表面処理の度合いは、表面処理剤の種類、シリカ粒子の形状、シリカの一次粒子径によって適宜設定でき、限定はされないが、メタノール湿潤度を用いて知ることができる。
【0045】
メタノール湿潤度は、粉体の疎水化度を表す。メタノール水溶液に対して粉体が沈降を生じるメタノール水溶液のうち、メタノール質量%の最小値をメタノール湿潤度として示す。
【0046】
メタノール湿潤度は次の方法で測定することができる。
(1)メタノール濃度を5質量%の間隔で変化させたメタノール水溶液を調製し、容積10mLの試験管に5mL入れる。
(2)測定試料の粉体0.2gを入れ、試験管に蓋をし、3回上下転倒する。
(3)すぐに試験管を静置し、メタノール水溶液中の粉体の動きを観察する。
(4)粉体の一部又は全量に沈降を観察した試験管のメタノール水溶液のうち、最小のメタノール濃度をメタノール湿潤度とする。
例えば、メタノール含有量が20質量%、25質量%、30質量%のメタノール水溶液に対して、20質量%メタノール水溶液に沈降を観察されず、25質量%メタノール水溶液及び30質量%メタノール水溶液に沈降を観察される粉体のメタノール湿潤度は、25である。
【0047】
(C)成分のメタノール湿潤度は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、通常、0~47である。油中水型(W/O)乳化組成物においては、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは5~45、より好ましくは5~40、更により好ましくは10~35である。水中油型(O/W)乳化組成物においては、通常、0~5であり、本発明の効果を顕著に奏する観点から、0であることが好ましい。
【0048】
(C)成分の一次粒子径は、本発明の効果を奏する観点から、0.15~1.5μmの特定範囲に制御される。本発明の効果を顕著に奏する観点から、0.2~1.2μmが好ましく、0.2~1.0μmがより好ましく、0.2~0.8μmが更により好ましく、0.2~0.6μmが特に好ましく、0.2~0.4μmが最も好ましい。
(C)成分の「一次粒子径」とは、電子顕微鏡を用いて観察することができる。具体的には、表面処理を施した無孔質シリカを電子顕微鏡で観察し、電子顕微鏡で観察された粒子50個を無作為に抽出し、それらの粒子径の平均値を算出して一次粒子径とすることができる。
【0049】
(C)成分の「無孔質」とは、孔が全く存在しない場合に限定するものではなく、実質的に無孔質であることを意味するものであり、具体的には、表面処理を施した無孔質シリカをBET法(気体吸着法)によって測定したBET比表面積が50m2/g以下であることを意味する。当該BET比表面積は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、1~30m2/gが好ましく、2~25m2/gがより好ましく、2~20m2/gが更に好ましい。
【0050】
(C)成分の総含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、乳化組成物全量に対し、通常、0.001~10質量%である。本発明の効果を顕著に奏する観点から、乳化組成物全量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が更により好ましく、0.4質量%以上が特に好ましい。
また、本発明の効果を顕著に奏する観点および使用感の観点から、乳化組成物全量に対し、7質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましく、4質量%以下が特に好ましい。
【0051】
〔紫外線散乱剤〕
本発明の実施形態に係る乳化組成物は、上記(A)~(C)成分を含有し、更に、紫外線散乱剤を含有するのが好適である。
紫外線散乱剤としては、例えば、含水ケイ酸、ケイ酸亜鉛、ケイ酸セリウム、ケイ酸チタン、微粒子酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、微粒子酸化チタン、酸化鉄等の無機化合物、それらの無機化合物を含水ケイ酸、水酸化アルミニウム、マイカやタルク等の無機粉体で被覆したもの、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、ナイロン等の樹脂粉体に複合化したもの、シリコーン油や脂肪酸アルミニウム塩等で処理したもの等が挙げられる。乳化安定性が向上する観点から、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛が好ましい。
【0052】
本発明の実施形態に係る乳化組成物に用いられる紫外線散乱剤における微粒子とは、一次粒子径が100nm以下の粒子を指す。紫外線散乱剤の一次粒子径は50nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、35nm以下であることが更により好ましい。また、紫外線散乱剤の一次粒子径の下限値は、特に限定されないが、例えば、5nm以上であり、10nm以上が好ましい。尚、一次粒子径は、上記と同様に、電子顕微鏡を用いて観察することができる。具体的には、電子顕微鏡で観察される粒子50個を無作為に抽出し、それらの粒子径の平均値を算出して一次粒子径とすることができる。
【0053】
本発明の実施形態に係る乳化組成物に用いられる紫外線散乱剤は表面処理が施されていることが好ましく、特に疎水性の表面処理がなされていることが好ましい。
【0054】
本発明の実施形態に係る乳化組成物に用いられる紫外線散乱剤の表面処理剤の種類は特に限定されないが、例えば、トリメトキシヘキシルシラン、トリメトキシカプリリルシラン、トリメトキシデシルシラン、トリメトキシオクタデシルシラン、トリエトキシヘキシルシラン、トリエトキシカプリリルシラン、トリエトキシデシルシラン、トリエトキシオクタデシルシラン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサンコポリマー、ジメチルポリシロキサン、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩、パーフルオロアルキルトリメトキシシラン等が挙げられ、なかでも、トリエトキシカプリリルシラン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ステアリン酸、イソステアリン酸から選ばれる1種以上の表面処理剤で表面処理が施されていることが好ましい。
【0055】
本発明の実施形態に係る乳化組成物において用いられる紫外線散乱剤の総含有量は、乳化安定性向上の観点から、乳化組成物全量に対し、1質量%以上が好ましく、より好ましくは3質量%以上である。
また、紫外線散乱剤の総含有量は、使用感の観点から、乳化組成物全量に対し、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下であり、20質量%以下が特に好ましく、15質量%以下が最も好ましい。
【0056】
本願発明において紫外線散乱剤を含有することにより、製剤の乳化安定化効果も付与できるだけでなく、紫外線防御能も付与できることから、日焼け止め乳化組成物であることが好ましく、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
【0057】
〔その他の成分〕
本発明の実施形態に係る乳化組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を配合することができる。以下に限定されないが、例えば、着色剤、ビタミン類、ペプチドまたはその誘導体、アミノ酸またはその誘導体、細胞賦活化成分等を配合することができる。これらは、単独もしくは2種以上併せて用いることができる。
【0058】
着色剤としては、例えば、酸化チタン、黄色酸化鉄、ベンガラ、黒色酸化鉄、酸化セリウム、カーボン、カオリン、酸化マンガン、グンジョウ等の無機顔料や有機色素、天然色素等が挙げられる。
【0059】
ビタミン類としては、例えば、dl-α-トコフェロール、d-δ-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム等のビタミンE類、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5'-リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、ニコチン酸1-(4-メチルフェニル)エチル等のニコチン酸類、アスコルビゲン-A、L-アスコルビン酸2-グルコシド、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L-アスコルビル等のビタミンC類、メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類、γ-オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類、塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5'-リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類、葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D-パンテサイン、D-パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン、ビオチシン等のビオチン類、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体であるビタミンC類、カルニチン、フェルラ酸、α-リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子等が挙げられる。
【0060】
ペプチドまたはその誘導体としては、例えば、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、加水分解大豆蛋白、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド(パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等)等が挙げられる。
【0061】
アミノ酸またはその誘導体としては、例えば、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、β-アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、ヒスチジン、タウリン、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、カルニチン、カルノシン、クレアチン等が挙げられる。
【0062】
細胞賦活化成分としては、例えば、γ-アミノ酪酸、ε-アミノカプロン酸等のアミノ酸類、レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類等のビタミン類、グリコール酸、乳酸等のα-ヒドロキシ酸類、タンニン、フラボノイド、サポニン、感光素301号等が挙げられる。
【0063】
〔界面活性剤〕
本発明の実施形態に係る乳化組成物は、(C)成分を用いるため、界面活性剤を低含有量、または含有しないことができる。本発明の実施形態に係る乳化組成物は、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤を低濃度で含有する、または含有しないため、バリア機能が低下した肌や、刺激への閾値が下がり刺激を感じやすい肌へも好適に使用できる点でも有用性が高い。
【0064】
界面活性剤としては、通常、外用組成物または化粧料に用いられるものであれば特に制限なく、例えば、PEG-10ジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG/PPG-19/19ジメチコン、ポリシリコーン13、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、セチルジメチコンコポリオール、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ビスブチルジメチコンポリグリセリル-3、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール、オレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、自己乳化型ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリステアリン酸ポリグリセリル-10、縮合リシノレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-10、縮合リシノレイン酸ポリグリセリル-6、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-6、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-6、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、セスキステアリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、PEG-5水添ヒマシ油、PEG-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油などが挙げられる。なかでも、ポリシリコーン13、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、イソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコールが好ましく、更に好ましくは、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ポリシリコーン13、イソステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコールであり、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール、イソステアリン酸ポリグリセリル-2が最も好ましい。
【0065】
界面活性剤のHLBは、本発明の効果を顕著に奏する観点から、7以下が好ましく、6以下がより好ましい。
具体的には、ポリシリコーン13(HLB=2.5)、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(HLB=4.0)、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン(HLB=3.5)、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(HLB=3.0)、自己乳化型ステアリン酸グリセリル(HLB=5.5)、ステアリン酸グリセリル(HLB=3.0)、イソステアリン酸グリセリル(HLB=4.0)、ステアリン酸ソルビタン(HLB=4.5)、イソステアリン酸ソルビタン(HLB=5.0)、ステアリン酸ポリグリセリル-2(HLB=5.0)、イソステアリン酸ポリグリセリル-2(HLB=5.5)、トリステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB=7.0)、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB=6.5)、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB=3.5)、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB=3.5)、PEG-5水添ヒマシ油(HLB=6.0)、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール(HLB=5.0)等が挙げられる。
【0066】
ここで、本発明におけるHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)とは、親水性-親油性のバランスを示す指標であり、小田・寺村らによる下記(式1)で計算されるものも知られている。
HLB=(Σ無機性値/Σ有機性)×10・・・(式1)
Σ無機性値/Σ有機性は、IOB(Inorganic-Organicbalance)と呼ばれ、各種原子および官能基毎に設定された「無機性値」、「有機性値」に基づいて、界面活性剤等の有機化合物を構成する原子および官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することにより算出することができる(甲田善生著、「有機概念図-基礎と応用-」、11~17頁、三共出版、1984年発行参照)。
【0067】
界面活性剤の総含有量は、限定はされないが、本発明の効果を顕著に奏する観点および使用感の観点から、乳化組成物全量に対し、3質量%以下でもよく、2質量%以下でもよく、1.6質量%以下が好ましく、1.2質量%以下がより好ましく、0.8質量%以下が更により好ましく、0.6質量%以下が特に好ましい。本発明の効果を顕著に奏する観点から、乳化組成物全量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。
【0068】
界面活性剤の総含有量と(B)成分の総含有量との比率(界面活性剤/(B)成分)は0.0025以上が好ましく、0.005以上がより好ましく、0.0075以上が更により好ましい。また、同比率(界面活性剤/(B)成分)は0.025以下であることが好ましく、0.02以下がより好ましく、0.0175以下が更により好ましい。
【0069】
[製造方法]
本発明の実施形態に係る乳化組成物の製造方法は公知の製法によることができ、特に限定されず、乳化時の撹拌方法や乳化温度、油相と水相の投入順序、投入速度等は適宜設定すればよい。具体的には、例えば、必要に応じ加熱溶解後混合した油相と水相をそれぞれ用意し、室温において油相中に徐々に水を加え、ホモジナイザー等機械的撹拌力により乳化する方法等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
また、本発明の乳化組成物は、油中水型乳化組成物または水中油型乳化組成物のいずれでもよく、特に限定されず、製剤形態や用途等の観点から適宜選択できるが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、油中水型乳化組成物が好ましい。
【0070】
[製剤形態]
本発明の実施形態に係る乳化組成物の製剤形態は、特に限定されず、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、貼付剤およびエアゾ-ル剤等が挙げられる。なかでも、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤、貼付剤が好ましく、クリーム剤、乳剤、軟膏剤、ローション剤およびゲル剤がより好ましい。これらの製剤は、第17改正日本薬局方製剤総則に記載の方法等に従い製造することができる。
【0071】
本発明の実施形態に係る乳化組成物は、油性成分と水性成分とを含み、典型的にはクリーム剤や乳剤等の形態が好適である。
【0072】
本発明の実施形態に係る乳化組成物を、医薬部外品または化粧品用の乳化組成物とする場合の用途としては、例えば、化粧水、乳液、ジェル、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料、パック、マスク、ハンドクリーム、およびボディークリーム等の基礎化粧料、ファンデーション、化粧下地等のフェイスメイクアップ用化粧料、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップライナー等の口唇化粧料等の皮膚外用組成物ないし皮膚外用化粧料、スタイリング剤のような毛髪用化粧料等が挙げられる。
【0073】
[容器]
本発明の実施形態に係る乳化組成物は、使用目的および用途に応じ、適宜選択した形状、材質の容器に収容し、使用することができる。容器形状としては、例えば、ボトルタイプ、チューブタイプ、ジャータイプ、スポイドタイプ、ディスペンサータイプ、スティックタイプ、パウチ袋、およびチアパック等が挙げられる。また、材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE等)、ABS樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリスチレン、ガラス、および金属(アルミ等)等が挙げられる。また、これらの材料は、強度、柔軟性、耐候性、または成分の安定性等を考慮し、各種コーティング処理を行ったり、これらの材料を例えば混合する等して組み合わせたり、積層したりして、容器材料として用いることができる。また、当業者であれば、容器からの吐出量を制限、容器への付着性を軽減するために、容器のノズルおよび製剤の溶出部の口径、材質を選択することができる。
【0074】
[乳化方法等]
本発明は、表面処理を施した無孔質シリカの一次粒子径を0.15~1.5μmの特定範囲に制御した成分を用いることにより、乳化安定性に優れる乳化組成物が得られることを見出したものであるため、本発明の一実施形態としては、例えば、(A)油性成分、(B)水性成分、および(C)表面処理が施された一次粒子径0.15~1.5μmを有する無孔質シリカを配合して混合する工程を含む、乳化組成物の乳化方法または乳化安定化方法としても好適に提供される。
【0075】
また、本発明の一実施形態としては、表面処理が施された一次粒子径0.15~1.5μmを有する無孔質シリカを乳化剤として用いる乳化方法または乳化安定化方法としても好適に提供される。
【0076】
また、本発明の一実施形態としては、表面処理が施された一次粒子径0.15~1.5μmを有する無孔質シリカからなる乳化剤としても好適に提供される。
【0077】
また、本発明の一実施形態としては、(A)油性成分、(B)水性成分、および(C)表面処理が施された一次粒子径0.15~1.5μmを有する無孔質シリカからなる乳化剤を含有する乳化組成物としても好適に提供される。
【0078】
また、本発明の一実施形態としては、表面処理が施された一次粒子径0.15~1.5μmを有する乳化組成物用または皮膚外用乳化組成物用の無孔質シリカとしても好適に提供される。
【0079】
<本発明の有用性>
本発明の実施形態に係る乳化組成物は、(A)油性成分、(B)水性成分、および(C)表面処理が施された一次粒子径0.15~1.5μmを有する無孔質シリカを含有する乳化組成物とすることにより、乳化安定性に優れる点で有用である。
ここで、「乳化安定性に優れる」とは、少なくとも、乳化組成物の調製直後において分離等を抑制できることを意味する。
更に、「乳化安定性に優れる」とは、限定はされないが、好ましくは、乳化組成物の調製後、常温において保管し、所定期間経過後においても分離等を抑制できることを意味する場合がある。
また、「乳化安定性に優れる」とは、限定はされないが、より好ましくは、乳化粒子径の大きさが小さいことを意味する場合がある。
【0080】
本発明の実施形態に係る乳化組成物は、(A)油性成分、(B)水性成分、および(C)表面処理が施された一次粒子径0.15~1.5μmを有する無孔質シリカを含有する乳化組成物とすることにより、乳化安定性に優れるのみならず、使用感においても優れる点で極めて有用性が高い。
【実施例0081】
以下、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、下記表中に示す含有量の単位は、質量%である。
【0082】
下記表1に示す乳化組成物を常法により調製した。表1においては、各組成物に含まれる(C)成分、表面未処理の無孔質シリカ、フュームドシリカの各々の一次粒子径を「(C)一次粒子径(μm)」の欄に示し、各々のBET比表面積を「(C)BET比表面積(m2/g)」の欄に示し、各々のメタノール湿潤度を「(C)メタノール湿潤度」の欄に示すと共に、表面処理剤の成分、無孔質シリカ100質量%に対する表面処理剤の添加量を併せて示す。実施例1は水中油型乳化組成物であり、実施例2~12および比較例1~2は油中水型乳化組成物である。
【0083】
<<試験例1:乳化安定性試験1>>
各組成物を透明ガラスバイアルに充填し、室温(23℃)で静置した。各組成物の調製直後の外観、1時間後の外観、3時間後の外観、24時間後の外観を目視で観察し、下記評価基準に従って乳化安定性を評価した。外観評価の結果を表1に示す。
(評価基準)
外観評価
◎:調製直後から24時間後まで乳化状態が変化せず、乳化を維持した。
○:調製直後から3時間後まで乳化状態が変化せず、乳化を維持した。
△:調製直後から1時間後まで乳化状態が変化せず、乳化を維持した。
×:調製直後に分離した。
【0084】
【0085】
表1に示すとおり、実施例1~12は乳化安定性が良好であることが確認された。実施例1~12は、(A)成分と(B)成分の界面に、(C)成分が吸着した乳化組成物で、乳化安定性が良好なピッカリングエマルションが形成されている組成物であると考えられた。実施例1~12の乳化組成物を電子顕微鏡で観察し、油相と水相の界面に粒子が吸着したエマルションを確認した。
表面未処理の無孔質シリカを含有する比較例1と、フュームドシリカを含有する比較例2は、調製直後において分離しており、乳化が不良であることが確認された。
【0086】
<<試験例2:乳化安定性試験2>>
下記表2に示す油中水型乳化組成物(実施例5、13~16)を常法により調製した。表2には、各組成物に含まれる(A)成分の抱水率を併せて示す。
試験例1と同じ試験方法と評価基準で乳化安定性を外観評価した。更に各乳化組成物を実体顕微鏡で観察し、乳化粒子サイズを評価した。具体的には、顕微鏡の1つの視野における任意の乳化粒子50個について粒子直径を計測し、それらの平均値を乳化粒子サイズとして、下記評価基準に従って評価した。その結果を表2に示す。
(評価基準)
乳化粒子サイズ
◎◎:10μm未満
◎:10μm以上30μm未満
〇:30μm以上100μm未満
△:100μm以上
【0087】
【0088】
表2に示すとおり、(A)成分を1種含有する実施例5に対し、(A)成分を2種含有する実施例13~16は外観評価および乳化粒子サイズが同等以上に良好であった。抱水率の高い(A)成分を含有する乳化組成物は乳化粒子サイズが小さく、乳化安定性が一層向上することが確認された。
【0089】
<<試験例3:乳化安定性試験3>>
下記表3に示す油中水型乳化組成物(実施例5、17~20)を常法により調製した。試験例2と同じ試験方法と評価基準で乳化安定性を評価した。その結果を表3に示す。
【0090】
【0091】
表3に示すとおり、(B)成分を1種含有する実施例5に対し、(B)成分を2種含有する実施例17~20は、外観評価および乳化粒子サイズが同等以上に良好であった。(B)成分としてグリセリン類を含有する乳化組成物は乳化粒子サイズが小さく、乳化安定性が一層向上することが確認された。
【0092】
<<試験例4:乳化安定性試験4>>
下記表4に示す油中水型乳化組成物(実施例5、21~22)を常法により調製した。表4には、(C)成分である無孔質シリカ、微粒子酸化チタン、および微粒子酸化亜鉛の各々の表面処理剤の成分、母体100質量%に対する表面処理剤の添加量、一次粒子径を併せて示す。
試験例2と同じ試験方法と評価基準で乳化安定性を評価した。その結果を表4に示す。
【0093】
【0094】
表4に示すとおり、(A)成分、(B)成分および(C)成分を含有する乳化組成物(実施例5)と比べて、微粒子酸化チタン又は微粒子酸化亜鉛を更に含有した実施例21~22は外観評価および乳化粒子サイズが同等以上に良好であった。微粒子酸化チタン又は微粒子酸化亜鉛を更に含有することにより乳化粒子サイズがより小さくなり、乳化安定性が一層向上することが確認された。
【0095】
<<試験例5:乳化安定性試験5>>
下記表5に示す油中水型乳化組成物(実施例23~31)を常法により調製した。表5には、(C)成分の一次粒子径、BET比表面積、メタノール湿潤度、表面処理剤の成分、無孔質シリカ100質量%に対する表面処理剤の添加量を示すと共に、界面活性剤のHLB値を併せて示す。
試験例2と同じ試験方法と評価基準で乳化安定性を評価した。その結果を表5に示す。
【0096】
【0097】
表5に示すとおり、(A)成分、(B)成分および(C)成分を含有する乳化組成物(実施例23)と比べて、更に界面活性剤を含有した組成物(実施例24~31)は、外観評価および乳化粒子サイズが同等以上に良好であった。HLBの低い界面活性剤を含有する乳化組成物は乳化粒子サイズがより小さく、乳化安定性が一層向上することが確認された。
【0098】
<<試験例6:乳化安定性試験および使用感試験>>
下記表6に示す油中水型乳化組成物を常法により調製した。表6には、(C)成分の一次粒子径、BET比表面積、メタノール湿潤度、表面処理剤の成分、無孔質シリカ100質量%に対する表面処理剤の添加量を示すと共に、界面活性剤のHLB値を併せて示す。 試験例2と同じ試験方法と評価基準で乳化安定性を評価した。次に、5名の化粧品評価専門パネルが組成物を皮膚に塗布した使用感について、下記評価基準Aに従って評点をつけた。その後、評点の平均点を算出し、下記判定基準Bに従って判定した。結果を表6に示す。
(評価基準A)
[評点]
5点:塗り伸ばしやすさを感じる。
4点:塗り伸ばしやすさを少し感じる。
3点:どちらとも言えない。
2点:塗り伸ばしにくさを少し感じる。
1点:塗り伸ばしにくさを感じる。
(判定基準B)
[判定]
◎:4.0点以上
○:3.0点以上4.0点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
【0099】
【0100】
表6に示すとおり、実施例32~37は、外観評価および乳化粒子サイズが良好で、乳化安定性が高いことが確認された。また、各実施例は使用感にも優れていた。特に、界面活性剤の含有量が少ない組成物で使用感が顕著に優れていた。
【0101】
<<試験例7:塗膜均一性評価および乳化安定性試験>>
下記表7に示す油中水型乳化組成物(実施例38)を常法により調製した。実施例38に含有される無孔質シリカは、実施例23の乳化組成物に含有される無孔質シリカと同じものである。調製後速やかに油中水型乳化組成物の塗膜均一性の評価を行った。ヒト前腕内側部を洗浄後15分間安静にした後、38mm×50mmの範囲に油中水型乳化組成物を260mg塗布した。塗布15分後に塗布領域に粘着テープ(Scotch Book Tape、3M社製)を貼付し、剥がし、油中水型乳化組成物の塗膜を粘着テープ片に付着転写させて試料を採取した(テープストリッピング法)。粘着テープ片のうち1500μm×1500μmの領域について5μm×5μm四方毎にラマンスペクトルを測定した。照射レーザー波長は532nm、660nm、785nm、1064nmなどの設定可能な波長の内、532nmを選択した。測定は、共焦点ラマン顕微鏡(in Via Confocal Raman microscope、Renishaw社製)を用いた。具体的には、二次元座標上で、対象成分に対して強いシグナル強度を示す波長領域(各種紫外線吸収剤では1595~1645cm
-1の領域)において、そのシグナル強度をプロットして得ることができるイメージ(ラマンスペクトルイメージング)を得た。次にラマンスペクトルイメージングについて横軸をシグナル強度、縦軸をサンプリングポイント数とするヒストグラムを作成した。ラマンスペクトルイメージングを大津の二値化法で二値化した画像の面積率が50%に近づき、ヒストグラムが正規分布に近づく試料について、塗膜の均一性が高いと評価した。
実施例38の乳化組成物のラマンスペクトルイメージングの二値化画像およびヒストグラムの結果を
図1に示す。ラマンスペクトルイメージングの二値化画像の面積率は43%であり、ヒストグラムは正規分布に近かった。
次に、試験例1と同じ試験方法と評価基準で乳化安定性を評価した。その結果を表7に示す。表7に示すとおり、実施例38は外観評価および乳化粒子サイズが良好で、乳化安定性が高いことが確認された。
【0102】
実施例38の乳化組成物はラマンスペクトルイメージングの二値化画像の面積率およびヒストグラム分布形状から塗膜均一性が高く(
図1)、さらに乳化安定性も高いことが確認された(表7)。一方、外観評価(試験例1の評価基準で〇)および乳化粒子サイズ(試験例2の評価基準で△)において乳化安定性が十分ではない乳化組成物について、調製後速やかに試験例7と同じ方法で塗膜均一性評価を行った結果、ラマンスペクトルイメージングの二値化画像の面積率は13%であり、ヒストグラムの分布形状は非正規分布であった(
図2)。乳化粒子サイズが小さい乳化組成物を塗布して生じた塗膜は、塗布面の皮膚の凹凸や体温などの条件であっても乳化構造が壊れにくく均一な塗膜になって皮膚を覆うことができ、乳化粒子サイズが大きい乳化組成物は、塗膜生成の過程で乳化構造が壊れやすく不均一な塗膜になりやすいと考えられた。
【0103】
【0104】
以下に、本発明の製剤例を示す。各組成物の合計量は100質量%である。
【0105】
〔製剤例1〕 W/O乳化型日焼け止め
ジメチルポリシロキサン(1.5cs) 7質量%
メチルトリメチコン 3質量%
コハク酸2-エチルヘキシル 10質量%
イソノナン酸イソノニル 7質量%
トリメリト酸トリエチルヘキシル 7質量%
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 2質量%
エチルヘキシルトリアゾン 1.5質量%
ジエチルアミドヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 0.5質量%
ポリヒドロキシステアリン酸 1質量%
リンゴ酸ジイソステアリル 1質量%
(ダイマージリノール酸/ステアリン酸/ヒドロキシステアリン酸)ポリグリセリル-10 1質量%
無孔質シリカ(表面処理剤:トリエトキシカプリリルシラン、一次粒子径:0.2μm) 0.5質量%
ジポリヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール*1 0.3質量%
ジステアルジモニウムヘクトライト 0.3質量%
疎水化処理微粒子酸化亜鉛(表面処理剤:イソステアリン酸、一次粒子径:35nm)
8質量%
疎水化処理微粒子酸化チタン(表面処理剤:イソステアリン酸、水酸化アルミニウム、一次粒子径:10nm) 3質量%
多孔質シリカ(表面処理:なし、一次粒子径3μm) 4質量%
水 残余
エタノール 10質量%
1,3-ブチレングリコール 5質量%
グリセリン 3質量%
デシルグルコシド 0.2質量%
メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール 1.5質量%
(*1 CITHROL DPHS(クローダ社製))
【0106】
〔製剤例2〕 W/O乳化型日焼け止め
ジメチルポリシロキサン(1.5cs) 10質量%
メチルトリメチコン 5質量%
コハク酸2-エチルヘキシル 7質量%
イソノナン酸イソノニル 7質量%
トリメリト酸トリエチルヘキシル 3質量%
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 2質量%
サリチル酸エチルヘキシル 10質量%
ジエチルアミドヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2質量%
ポリヒドロキシステアリン酸 2質量%
(ダイマージリノール酸/ステアリン酸/ヒドロキシステアリン酸)ポリグリセリル-10 0.5質量%
無孔質シリカ(表面処理剤:トリエトキシカプリリルシラン、一次粒子径:0.2μm)
0.5質量%
ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10 0.5質量%
パルミチン酸デキストリン 0.5質量%
疎水化処理微粒子酸化亜鉛(表面処理剤:メチルハイドロジェンポリシロキサン、含水ケイ酸、一次粒子径:25nm) 4質量%
疎水化処理微粒子酸化チタン(表面処理剤:メチルハイドロジェンポリシロキサン、一次粒子径:15nm) 3質量%
多孔質シリカ(表面処理:なし、一次粒子径3μm) 4質量%
水 残余
エタノール 5質量%
1,3-ブチレングリコール 5質量%
グリセリン 3質量%
【0107】
〔製剤例3〕 W/O乳化型クリームファンデーション
デカメチルシクロペンタシロキサン 20質量%
コハク酸2-エチルヘキシル 5質量%
トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 3質量%
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 1質量%
パラメトキシケイヒ酸エチルヘキシル 10質量%
ジエチルアミドヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2質量%
ポリヒドロキシステアリン酸 1質量%
(ダイマージリノール酸/ステアリン酸/ヒドロキシステアリン酸)ポリグリセリル-10 0.5質量%
無孔質シリカ(表面処理剤:トリエトキシカプリリルシラン、一次粒子径:0.2μm)
1.5質量%
ジポリヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール*1 0.5質量%
ジステアルジモニウムヘクトライト 1質量%
疎水化処理微粒子酸化亜鉛(表面処理剤:メチルハイドロジェンポリシロキサン、一次粒子径:25nm) 5質量%
顔料級酸化チタン(表面処理剤:ジメチルポリシロキサン、水酸化アルミニウム、一次粒子径:250nm) 3質量%
疎水化処理黄色酸化鉄 0.8質量%
疎水化処理ベンガラ 0.2質量%
疎水化処理黒色酸化鉄 0.1質量%
多孔質シリカ(表面処理:なし、一次粒子径3μm) 3質量%
水 残余
エタノール 3質量%
1,3-ブチレングリコール 5質量%
グリセリン 5質量%
【0108】
〔製剤例4〕 W/O乳化型日焼け止め
ジメチルポリシロキサン(1.5cs) 5質量%
イソドデカン 5質量%
水添ポリイソブテン 20質量%
コハク酸ジエチルヘキシル 5質量%
イソノナン酸イソノニル 7質量%
ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 1質量%
ポリヒドロキシステアリン酸 2質量%
リンゴ酸ジイソステアリル 1質量%
(ダイマージリノール酸/ステアリン酸/ヒドロキシステアリン酸)ポリグリセリル-10 2質量%
マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル 2質量%
ステアリン酸 0.5質量%
オレイン酸フィトステリル 1質量%
無孔質シリカ(表面処理剤:トリエトキシカプリリルシラン、一次粒子径:0.2μm)
0.5質量%
ステアリン酸イヌリン 0.5質量%
疎水化処理微粒子酸化亜鉛(表面処理剤:イソステアリン酸、一次粒子径:35nm)
5質量%
疎水化処理微粒子酸化チタン(表面処理剤:イソステアリン酸、水酸化アルミニウム、一次粒子径:10nm) 5質量%
疎水化処理微粒子酸化亜鉛(表面処理剤:メチルハイドロジェンポリシロキサン、含水シリカ、一次粒子径:25nm) 3質量%
多孔質シリカ(表面処理:なし、一次粒子径3μm) 3質量%
水 残余
エタノール 10質量%
1,3-ブチレングリコール 5質量%
グリセリン 3質量%
疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.1質量%