IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルトリア クライアント サービシーズ エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044053
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】電子式シガレット
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20220309BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20220309BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/10
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021196489
(22)【出願日】2021-12-02
(62)【分割の表示】P 2019213311の分割
【原出願日】2013-01-31
(31)【優先権主張番号】61/593,004
(32)【優先日】2012-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516124616
【氏名又は名称】アルトリア クライアント サービシーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【弁理士】
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】サン リー
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ カルレス
(72)【発明者】
【氏名】ムンマヤ ケイ ミシュラ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルト コバル
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス オリヴェリ
(72)【発明者】
【氏名】マーサ バジェック
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン フローラ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エス タッカー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフェリー ブランドン ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】バリー エス スミス
(72)【発明者】
【氏名】アリ エイ ロスタミ
(72)【発明者】
【氏名】ポーリーン マルク
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB14
4B162AC06
4B162AC08
4B162AC41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】蒸気出力からの、より充満した口当たりが得られるとともに、喫煙者の唇又はその周囲で熱さを感知するのを実質的に回避された、電子式喫煙物を提供する。
【解決手段】電子式喫煙物は、液体材料を有する液体供給部20と、液体材料を気化させてエアロゾルを形成するのに充分な温度にこの液体材料を加熱させるように作用しうるヒータ14と、液体材料と連通するとともにヒータと連通する芯28であって、この芯28により液体材料をヒータ14に送給するようにする当該芯28と、空気をヒータ14の上流にある中央の空気流路20に送給するように作用しうる少なくとも1つの空気入口44と、ヒータ14の下流にある繊維素子300とを具えている。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子式喫煙物であって、この電子式喫煙物が、
長手方向に延在する外管と、
この外管内の内管と、
液体材料を有する液体供給部であって、前記外管と前記内管との間の外側環状部内に収
容された当該液体供給部と、
前記内管内に位置するヒータと、
前記液体供給部と連通するとともに前記ヒータにより囲まれた芯であって、この芯によ
り液体材料を前記ヒータに供給するとともに、このヒータが液体材料を気化させて前記内
管内にエアロゾルを形成するのに充分な温度に液体材料を加熱させるようにする当該芯と

前記ヒータの下流に位置する繊維素子と
を具えている電子式喫煙物。
【請求項2】
請求項1に記載の電子式喫煙物であって、この電子式喫煙物が更に、口挿入端部を具え
、この口挿入端部が、パフ中にエアロゾルが喫煙者の口を通過するように作用しうる少な
くとも2つの分散用の出口流路を有するようにした電子式喫煙物。
【請求項3】
請求項2に記載の電子式喫煙物において、前記少なくとも2つの分散用の出口流路の各
々が、電子式喫煙物の長手軸線に対して約5°~約60°の角度となっている電子式喫煙
物。
【請求項4】
請求項1に記載の電子式喫煙物において、前記繊維素子が低能率のフィルタ材料を有し
ている電子式喫煙物。
【請求項5】
請求項1に記載の電子式喫煙物において、前記繊維素子が、セルロースアセテート、ポ
リエステル、ポリプロピレン、紙及びこれらの任意の組合せより成る群から選択した繊維
材料を有している電子式喫煙物。
【請求項6】
請求項1に記載の電子式喫煙物において、前記繊維素子が更に、少なくとも1種類の添
加剤を有している電子式喫煙物。
【請求項7】
請求項6に記載の電子式喫煙物において、前記少なくとも1種類の添加剤が、風味材料
と、アロマ材料と、pH変性剤と、化学感覚剤と、二酸化炭素形成体と、煙モディファイヤ
と、希釈剤と、エアロゾル形成体と、ニコチンと、これらの任意の組合せとより成る群か
ら選択されている電子式喫煙物。
【請求項8】
請求項1に記載の電子式喫煙物において、前記繊維素子の長さが、約3mm~約10mmの
範囲内である電子式喫煙物。
【請求項9】
請求項1に記載の電子式喫煙物において、前記繊維素子が、繊維材料の上流プラグと、
繊維材料の下流プラグと、これらの間のスペースとを有している電子式喫煙物。
【請求項10】
請求項9に記載の電子式喫煙物において、前記スペース内に少なくとも1種類の添加剤
が収容されている電子式喫煙物。
【請求項11】
請求項1に記載の電子式喫煙物において、前記繊維素子は取外し可能となっている電子
式喫煙物。
【請求項12】
請求項11に記載の電子式喫煙物において、前記繊維素子は、前記外管の口側端部に取
付けうるスリーブを有している電子式喫煙物。
【請求項13】
請求項11に記載の電子式喫煙物において、この電子式喫煙物が口側端部に凹所を有す
る電子式シガレットであって、この凹所内に前記繊維素子を挿入しうるようになっている
電子式喫煙物。
【請求項14】
請求項1に記載の電子式喫煙物において、前記繊維素子はその上に被膜を有している電
子式喫煙物。
【請求項15】
請求項7に記載の電子式喫煙物において、前記添加剤が、カフェイン、安息香酸デナト
ニウム、テオブロミン、キニーネ、ナリンギン、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸
、塩化ナトリウム、塩化カリウム、サッカロース、フルクトース、スクラロース、サッカ
リン、グルタミン酸モノナトリウムと、γ‐グルタミルペプチド、中鎖脂肪酸トリグリセ
リド、トリアセチン、ネオビー、タンニン酸及びこれらの任意の組合せより成る群から選
択されている電子式喫煙物。
【請求項16】
請求項7に記載の電子式喫煙物において、前記化学感覚剤が、カプサイシン、ピペリン
、α‐ヒドロキシ‐サンショオール及び(8)‐ジンゲロール、メントール、乳酸メンチ
ル及びこれらの任意の組合せよりなる群から選択されている電子式喫煙物。
【請求項17】
請求項7に記載の電子式喫煙物において、前記pH変性剤が、クエン酸、リンゴ酸、乳酸
、塩酸及びこれらの任意の組合せよりなる群から選択されている電子式喫煙物。
【請求項18】
請求項1に記載の電子式喫煙物において、この電子式喫煙物が更に、少なくとも1種類
の吸収剤を有し、この吸収剤が、活性炭、シリカゲル及びこれらの任意の組合せよりなる
群から選択されている電子式喫煙物。
【請求項19】
請求項7に記載の電子式喫煙物において、前記エアロゾル形成体が、プロピレングリコ
ール、グリセリン及びこれらの任意の組合せよりなる群から選択されている電子式喫煙物
【請求項20】
請求項7に記載の電子式喫煙物において、前記二酸化炭素形成体が、重炭酸ナトリウム
、クエン酸及びこれらの任意の組合せよりなる群から選択されている電子式喫煙物。
【請求項21】
請求項6に記載の電子式喫煙物において、前記添加剤は、約0.05mg~約100mgの
範囲内の量で前記繊維素子に含まれている電子式喫煙物。
【請求項22】
請求項1に記載の電子式喫煙物において、この電子式喫煙物が第2の区分に取付けるこ
とができる第1の区分を有し、この第1の区分内に前記芯と、前記液体供給部と、前記繊
維素子とが収容されており、電源が、前記第2の区分内に収容された前記ヒータの両端間
に電圧を印加するように作用しうるようになっている電子式喫煙物。
【請求項23】
請求項1に記載の電子式喫煙物において、この電子式喫煙物が単一の外管を有し、この
外管内に前記芯と、前記液体供給部と、前記繊維素子と、前記ヒータと、電源とが収容さ
れている電子式喫煙物。
【請求項24】
請求項6に記載の電子式喫煙物において、前記少なくとも1種類の添加剤は、前記繊維
素子の全体に亘ってほぼ均一に分散されるようになっている電子式喫煙物。
【請求項25】
請求項7に記載の電子式喫煙物において、前記添加剤がニコチンであり、前記液体材料
にはニコチンが含まれていない電子式喫煙物。
【請求項26】
電子式喫煙キットであって、この電子式喫煙キットが、
(a) 電子式喫煙物であって、この電子式喫煙物は、
長手方向に延在する外管と、
この外管内の内管と、
液体材料を有する液体供給部であって、前記外管と前記内管との間の外側環状部内に収
容された当該液体供給部と、
前記内管内に位置するヒータと、
前記液体供給部と連通するとともに前記ヒータにより囲まれた芯であって、この芯によ
り液体材料を前記ヒータに供給するとともに、このヒータが液体材料を気化させて前記内
管内にエアロゾルを形成するのに充分な温度に液体材料を加熱させるようにする当該芯と
を具えている当該電子式喫煙物及び
(b) 複数の取外し可能な繊維素子であって、取外し可能な各繊維素子が少なくとも1
種類の添加剤を有している当該複数の取外し可能な繊維素子
を具えている電子式喫煙キット。
【請求項27】
請求項26に記載の電子式喫煙キットにおいて、前記少なくとも1種類の添加剤が、風
味材料と、アロマ材料と、pH変性剤と、化学感覚剤と、二酸化炭素形成体と、煙モディフ
ァイヤと、希釈剤と、エアロゾル形成体と、ニコチンと、これらの任意の組合せとより成
る群から選択されている電子式喫煙キット。
【請求項28】
請求項27に記載の電子式喫煙キットにおいて、前記添加剤がニコチンであり、前記複
数の取外し可能な繊維素子の各々のニコチン含有量が互いに異なっている電子式喫煙キッ
ト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子式シガレットに関するものである。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2012年1月31日に出願された米国仮特許出願第61/593,004号の関連出
願であり、米国特許法第119条の下でこれらの仮出願に基づく優先権を主張するもので
あり、その開示内容は、参照することによりその全体が説明されているようにここに導入
されるものである。
【背景技術】
【0003】
電子式シガレット又は電子式シガー(これらを総称して“喫煙物”と称する)は、液状
材料を蒸発させてエアロゾルすなわち“蒸気”を生ぜしめるヒータ素子を含むものとして
提供されている。ヒータ素子は、芯(ウイック)が全長に亘って延在している抵抗性ヒー
タコイルを有するようにするのが好ましい。このヒータコイルは、パフ(たばこの一服)
中にホットスポットや過大温度の個所が生じないように構成するとともにこのようにする
材料から形成されている。
【0004】
電子式の喫煙物には、蒸気出力からのより充満した口当たりが得られるようにする少な
くとも2つの分散用の出口を有する口挿入端部を具えるのが好ましい。複数の出口を有す
る上述した口挿入端部は、この口挿入端部のすぐ上流で空気を減速させる構成配置と協同
させ、 “喫煙者”の唇又はその周囲で“熱さ”を感知するのを実質的に回避するように
するのが好ましい。
【0005】
電子式の喫煙物は、金属容器部分と、精密成型された主要部、すなわち金属容器部分に
沿う好ましくは喫煙物の金属側壁部分に沿う位置にある空気吸入口ポートとを有するのが
好ましい。空気吸入口ポートは、精密公差内で精密成型されるとともに、この空気吸入口
ポートは、この空気吸入口ポートと蒸気源(ヒータ)との間の空気連通通路に沿う支配的
な圧力降下源となるような寸法とする。このような構成によれば、あるパフから次のパフ
に至って且つ一喫煙物から次の喫煙物に至ってもRTDが本質的に同じに維持されるよう
になる。一貫性のある性能を更に高めるためには、喫煙物のRTDを喫煙物の製造中に、
且つ必要に応じ是正措置中に検査する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の第1の実施例による電子式喫煙物を示す平面図である。
図2図2は、図1に示す電子式喫煙物の側面の断面図である。
図3A図3Aは、図1に示す電子式喫煙物のカートリッジ区分を有する素子の分解斜視図である。
図3B図3Bは、図1に示す電子式喫煙物のカートリッジ区分の空気吸入口ポートを示す詳細図である。
図4図4は、図1に示す電子式喫煙物の口挿入端部を示す斜視図である。
図5図5は、図4の口挿入端部のA‐A線上に沿う断面図である。
図6図6は、図1に示す電子式喫煙物の口挿入端部の他の実施例を示す斜視図である。
図7図7は、図6の口挿入端部のB‐B線上に沿う断面図である。
図8図8は、図1に示す電子式喫煙物のヒータアセンブリの拡大詳細図である。
図9A図9Aは、ヒータコイルと芯とのアセンブリを有する内管を、封鎖リングが配置される前の状態で示す拡大図である。
図9B図9Bは、ヒータコイルと芯とのアセンブリを有する内管を、封鎖リングが配置された後の状態で示す拡大図である。
図10図10は、図1の電子式喫煙物に対して用いるための口挿入端部の更に他の(第3の)実施例を示す断面図である。
図11図11は、図10の口挿入端部の分解図である。
図12図12は、図1の電子式喫煙物に対して用いるための他の連結構成配置のアセンブリを示す詳細図である。
図13図13は、ノッチ(切込み)を有するコネクタカソードの第2の実施例を示す斜視図である。
図14A図14Aは、角度を付した穴を有するコネクタカソードの第3の実施例を示す説明図である。
図14B図14Bは、角度を付した穴を有するコネクタカソードの第3の実施例を示す説明図である。
図14C図14Cは、角度を付した穴を有するコネクタカソードの第3の実施例を示す説明図である。
図15図15は、アノードを短くして空気吸入口ポートを介する通気連通を達成させるようにしたコネクタカソード及びアノードを示す断面図である。
図16図16は、電子式喫煙物に対して用いる口挿入端部の第4の実施例を示す斜視図である。
図17図17は、第1の実施例による電子式喫煙物であり、更にスリーブアセンブリを有するようにした電子式喫煙物を示す断面図である。
図18図18は、他の実施例による電子式喫煙物を示す側面図である。
図19図19は、電子式喫煙物の口側端部に繊維素子を有する他の実施例による当該電子式喫煙物を示す断面図である。
図20図20は、電子式喫煙物の口側端部に繊維素子を有する他の実施例による当該電子式喫煙物を示す断面図である。
図21図21は、電子式喫煙物の口側端部に繊維素子を有する他の実施例による当該電子式喫煙物を示す断面図である。
図22図22は、開放した口側端部を有する他の実施例による電子式喫煙物を示す断面図である。
図23図23は、図22の電子式喫煙物の開放した口側端部内に挿入するための繊維素子を示す斜視図である。
図24図24は、電子式喫煙物に対して用いる着脱自在の繊維素子を示す斜視図である。
図25図25は、口挿入端部と図24の着脱自在の繊維素子とを有する他の実施例による電子式喫煙物を示す断面図である。
図26図26は、口挿入端部と繊維素子とを有する他の実施例による電子式喫煙物を示す断面図である。
図27図27は、口挿入端部と着脱自在のスリーブとを有する電子式喫煙物を示す断面図である。
図28図28は、二酸化炭素タンクを有する他の実施例による電子式喫煙物を示す断面図である。
図29図29は、電子式喫煙物の外側面上にアロマ細条を有する当該電子式喫煙物を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(電子式喫煙物のレイアウト)
図1及び2を参照して、新規な電子式喫煙物(電子式シガレット又はシガー)60を説
明するに、この電子式喫煙物は、交換式のカートリッジ(すなわち第1の区分)70と、
再使用可能な固定物(すなわち第2の区分)72とを具えており、好適な実施例ではこれ
らを、ねじ連結部205により、又はすべり嵌め、戻り止め、クランプ及びクラスプの何
れか又は任意の組合せによるような他の便利な手段により、互いに結合させるようにして
ある。一般には、第2の区分72は、電子式喫煙物60の自由端、すなわち先端部に隣接
する空気吸入口ポート45を介してこの第2の区分72内に引込まれる空気に応答するパ
フセンサ16と、バッテリ1と、制御回路とを有している。使い捨ての第1の区分70は
、液体供給領域22と、この液体供給領域22から芯28を経て引込まれる液体を噴霧さ
せるヒータ14とを有する。ねじ連結部205による連結が達成されると、パフセンサの
動作時にバッテリ1が第1の区分70の電気ヒータ14と接続しうるようになる。空気は
主として1つ以上の空気吸入口ポート44を経て第1の区分70内に引込まれる。
【0008】
好適な実施例では、カートリッジの液体が使い尽くされた場合に、第1の区分70のみ
が交換されるようにする。他の構成例には、液体が供給し尽されると電子式喫煙物60の
全体が廃棄されるようにすることを含めることができる。このような場合には、バッテリ
の種類やその他の特徴部が、簡単で廉価となるように設計することができるが、一般には
、第2の区分が再使用又は再充電されるか或いはこれらの双方が達成される好適な実施例
と同じ概念を具現化するようにする。
【0009】
好適な実施例では、電子式喫煙物60を通常のシガレットとほぼ同じ大きさとする。あ
る実施例では、電子式喫煙物60を約80mm~約110mmの長さ、好ましくは約80mm~
約100mmの長さとし、約7mm~約8mmの直径としうる。好適な実施例では、例えば、電
子式喫煙物を約84mmの長さで約7.8mmの直径を有するようにする。
【0010】
外管6には少なくとも1つの裏面接着式のラベルを被着するのが好ましい。このラベル
は電子式喫煙物60を完全に囲むものであり、従来のシガレットの外観及び感触の双方又
は何れか一方が得られるように着色及び質感の双方又は何れか一方をこのラベルに与える
ことができる。このラベルには、空気吸入口ポート44が遮断するのを回避するような寸
法及び配置とした穴を開けることができる。
【0011】
外管6及び内管62の双方又は何れか一方を、任意の適切な材料又はこれら材料の組合
せから形成しうる。適切な材料の例には、これらの材料の一種類以上を有する金属、合金
、プラスチック又は複合材料が含まれるか、或いは食料又は薬剤の分野に適した熱可塑性
プラスチック、例えば、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、セ
ラミック及びポリエチレンが含まれる。これらの材料は、軽量で非脆性とするのが好まし
い。
【0012】
(カートリッジ構造)
図1、2及び3を参照するに、第1の区分70は、長手方向に延在する外管(又はケー
シング)6と、この外管6内に同軸的に配置された内管(又はチムニー)62とを有して
いる。上流のガスケット(又はシール部材)15のノーズ部分61(図3A参照)は内管
62の上流端部65内に嵌合させるとともに、同時にガスケット15の外周部67が外管
6の内面と気密封止されるようにするのが好ましい。上流のガスケット15は中央の縦長
の空気流路20をも有しており、この空気流路20は、中央流路21を規定する内管62
の内部に向けて開口している。ガスケット15の後部における横断流路33はこのガスケ
ット15の中央流路20と交差してこれに連通している。この流路33は、ガスケット1
5とカソードコネクタ片37との間に形成されたスペース35(図2参照)と、中央流路
20との間の連通を達成する。好適な実施例では、カソードコネクタ片37が、ねじ連結
部205による連結を達成するためにねじ区分を有するようにする。
【0013】
カソードコネクタ片37は、その周囲に沿って対向するノッチ38及び38´を有して
おり、これらのノッチは、カソードコネクタ片37を外管(ケーシング)6内に挿入した
際に外管6内で2つのRTD制御用の空気吸入口ポート44及び44´の各々の位置と整
列されるようにする。一実施例では、このような整列を図3B(詳細図)に示すように表
すことができる。このような整列により、空気吸入口ポート44及び44´を、カソード
コネクタ片37の存在により閉塞されることなしに、ねじ連結部205に接近させて配置
しうるようになる。この配置により空気吸入口ポート44及び44´の領域を補強して空
気吸入口ポート44及び44´の精密なドリリング(穴開け)を容易にもする。
【0014】
(空気吸入口ポート及び吸引抵抗の制御)
好適な実施例では、少なくとも1つの空気吸入口ポート44を、外管6内に、好ましく
は、ねじ連結部205に隣接させて形成し、喫煙者の指がこれら空気吸入口ポートの1つ
を塞ぐおそれを最少にするとともに喫煙中の吸引抵抗(RTD)を制御するようにする。
RTD制御用の空気吸入口ポート44及び44´の各々は精密工具により外管6内に機械
加工して、これらの直径が厳密に制御されるとともに、電子式喫煙物の製造に際してある
電子式喫煙物60から次の電子式喫煙物に複製されるようにするのが好ましい。空気吸入
口ポート44及び44´は超硬ドリルビットにより又はその他の高精度工具及び技術の双
方又は何れか一方によりドリリング形成されるようにするのが好ましい。又、外管6は、
製造処理、包装及び喫煙中に空気吸入口ポート44及び44´の寸法及び形状が変化しな
いような金属又は合金から形成するのが好ましい。従って、空気吸入口ポート44及び4
4´は一貫性のあるRTDを提供する。好適な実施例では、空気吸入口ポート44及び4
4´は、電子式喫煙物60が約60mmHO~約150mmHO、より好ましくは約90
mmHO~約110mmHO、更に好ましくは約100mmHO~約130mmHOの範
囲内のRTDを有するような寸法及び形状とする。
【0015】
RTD制御用の空気吸入口ポート44及び44´は、これら空気吸入口ポート44及び
44´からの経路と(ヒータ14により液体を噴霧させる)内管62の中央流路21とに
沿う臨界オリフィス(すなわち、最小オリフィス)である。従って、空気吸入口ポート4
4及び44´は電子式喫煙物60の吸引抵抗のレベルを制御するものであり、このレベル
は、従来のシガレットの火付け時の吸引レベルに類似する吸引レベルに設定することがで
きる。
【0016】
特に図1を参照するに、正確で再現可能な吸引抵抗を保つための他の観点は外管6に金
属材料を使用することであり、このことが精密な工具及び技術につながるものである。外
管6に対して(よりやわらかい感覚を与えるためのプラスチックのような)他の材料が望
まれる場合には、上述したことに代えて、空気吸入口ポート44及び44´をこれらの空
気吸入口ポート44及び44´の位置に設けられた金属板固定物(又は挿入物)43内に
形成し、これらの空気吸入口ポート44及び44´の精度を維持するようにすることがで
きる。
【0017】
金属板挿入物43は、外管6が金属製である場合にも設けることができ、この場合この
ような構成により、空気吸入口ポート44及び44´を一群のブランク金属板挿入物に別
々に(オフラインで)形成及び検査しうるようにすることも考えられる。完成した何れか
の金属板挿入物43が空気吸入口ポートの直径(及びRTD)に対する基準又は仕様を満
足しそこなう場合には、失敗した金属板挿入物を全体のカートリッジの集合体(第1の区
分)70に用いずに破棄するようにするのが有利である。
【0018】
再び図1を参照するに、金属板挿入物43は、外管6の外側面に又は完全に外管6内に
固着される個別の片を有するようにすることができ、この場合外管6には、空気吸入口ポ
ート44の領域を越えて重畳させることができる特大の穴を開けるのが好ましい。又、金
属板挿入物は、この金属板挿入物と外管6との間のスナップ嵌合及び接着材料の双方又は
何れか一方を用いて外管6の輪郭と同一平面となるように又は完全に内部(外管6の内部
)に入るような形状で固着させることも考えられる。金属板挿入物43の空気吸入口ポー
ト44の形状及び位置は、金属板挿入物43が図1に示すように配置されているか又はこ
れとは180度回転している状態でこの空気吸入口ポート44が完全に有効状態を維持す
るように対称性を有するようにするのが好ましい。更に、金属板挿入物43を外管6の内
側面又は外側面上に設けることができる。又、金属板挿入物43は電子式喫煙物60の周
囲に沿って完全に又は部分的に延在させることができる。金属板挿入物43を、電子式喫
煙物60の周囲に沿って部分的に延在させる場合には、複数の金属板挿入物43を用いて
、各金属板挿入物43が単一の空気吸入口ポート44又は44´に対応するようにするこ
とができる。
【0019】
好適な実施例では、第2の区分72が電子式喫煙物60の上流端部5に空気吸入口ポー
ト45を有し、この空気吸入口ポート45はその近くに位置するパフセンサ16を適切に
動作させるのにまさに十分となるような寸法とする。口挿入端部8での吸引動作は、第1
の区分70のアノードポスト47c及び第2の区分72のアノード接続ポスト47b内に
設けられた中央流路を通り、且つバッテリ1と第2の区分72の容器との間のスペース1
3に沿って空気吸入口ポート45に伝わる。これらの流路及び空気吸入口ポート45自体
は、ここを通る空気の流量が空気吸入口ポート44及び44´を通る空気の流量よりも著
しく少なくなり、RTDに対する影響が最少となるとともにRTDにおける一貫性が維持
されるような寸法とする。例えば、各空気吸入口ポートは約2.0mmよりも小さい幅で約
1.5mmよりも浅い深さとすることができる。例えば、各空気吸入口ポートを約0.7mm
~約0.8mmの幅で約0.7mm~約0.8mmの深さとすることができる。好適な実施例で
は、電子式喫煙物60内に導入される空気の95%が空気吸入口ポート44及び44´を
通り、一方、全空気流量の5%のみが電子式喫煙物60の上流端部5における空気吸入口
ポート45を通って入り込むようにする。流量の割合は、第2の区分72のアノードポス
ト47bの中央流路34を、空気吸入口ポート44及び44´の圧力低下よりもかなり大
きな圧力低下が与えられるのに充分小さく形成することにより決定するのが好ましい。例
えば、アノードポスト47bの中央流路34を、(空気吸入口ポート44及び44´の組
合せによる水位100mmの公称圧力降下に対比して)水位約2000mmの圧力降下が与え
られるような寸法とすることができる。
【0020】
図18を参照するに、一貫性のあるRTDを製品中で維持するようにするために、除去
可能な保護カバー601を図18に示すように空気吸入口ポート44及び44´に被着さ
せ、製造、包装、配送及び小売りでの取扱い中に且つそれ以外でほこりやくぼみによる劣
化を防止するようにすることができる。消費されるまで一貫性のあるRTDを維持するた
めに、円周状の包装材又はテープ601により空気吸入口ポート44及び44´の位置で
外管6を囲むように包装することができる。これに代えて又はこれに加えて、電子式喫煙
物60に再使用可能な保護カバーを設けて、上述したのと同じ又は追加の保護を達成する
ようにしうる。
【0021】
更に、電子式喫煙物用の現在の製造技術を変更させて一貫性のあるRTDに対する検査
を導入させるようにしうる。換言すれば、(上述したように)一貫性のあるRTDを製品
中に如何にして達成するかの理解を(以下に述べるように)製品の製造の途中でこのRT
Dを如何にして検査するかの理解と関連付ける必要がある。ある電子式喫煙物から次の電
子式喫煙物への一貫性のあるRTDを達成することにより、一貫性のある性能及び送給(
デリバリ)レベルを促進させるとともに、電子式喫煙物の喫煙が火をつけるシガレット又
はシガーの喫煙に類似するという喫煙者の期待を満足させることにより喫煙経験を高める
ようにする。後者の処置には、金属板挿入物43を前述したように設置する前に検査する
工程を含めることができ、又はこれに代え或いはこれに加えて、公称的な、しかし不活性
化させた第2の区分72を新たに製造した第1の区分70に固定させ、気流事象を正確に
再生させるが、ヒータを起動させるおそれのない無害で不活性の検査機構を形成し、圧力
降下を測定する際にこの検査機構に予め決定した吸引作用を適用することにより、完成さ
せた第1の区分70を検査する工程を含めることができる。限定されることのない例によ
れば、完全に組立てられた電子式喫煙物を、バージニア州チェスターフィールド所在のBo
rgwaldt KC社により製造された型番PV10の圧力降下測定装置を用いて圧力降下を測定
している間に、検査機構を介して吸引することができる。電子式喫煙物に対する適切な圧
力降下検査方法は、“Tobacco and tobacco products - Draw Resistance of Cigarettes
and Pressure Drop of Filter Rods ‐ Standard Conditions and Measurement”と題す
る規格番号ISO6565:2011の標準の方法から導入し、これに5.0mm~9.0
mmの直径範囲及び50mmWG(mm水位計)~1900mmWGの動作範囲で圧力降下を測定
しうる機器を適用することができる。検査は数秒で終了させることができ、機器は50mm
WG~300mmWGの範囲に校正することができる。
【0022】
不活性化した第2の区分72を用いる代わりに、釈放可能な検査体を用いて無害(不活
性)の検査機構と同じ目的を果たすようにすることができることが考えられる。この検査
体は、RTDに対する実際の再使用可能な第2の区分72の公称効果を再生するように構
成するが、新たに製造され検査段階にある第1の区分70の機械処理や高速自動結合及び
取外しを行うように最適化することができる。
【0023】
ねじ連結部205を設けることは、RTD検査の自動化高速機械処理及び遂行を容易に
するものではない。図12を参照するに、他の連結部205´は、ピン501及び釈放可
能な戻り止503を有する連結部と、釈放可能な戻り止及び回転固定装置等を有する電気
的な軸受面505との双方又は何れか一方を有しうる。図示の実施例では、戻り止503
が隆起環状部509と協同する。他の例では、隆起環状部509に代えて又はこれに加え
て1つ以上の偏倚ボールを用いることができる。このような構成によれば、自動化機械処
理を容易にし、RTDの迅速で正確な検査のための容量を大きくし、RTD検査の機械に
よる自動化の実行を容易にする。ドリリング(穴開け)に際しての特性制御にはフィード
バックループを含め、RTDの検査結果を監視して仕様から外れる傾向を検出し、減摩(
worn)用のドリルビットとの交換のような是正措置を講じうるようにすることが考えられ
る。
【0024】
図3A及び3Bを参照するに、カソードコネクタ片37は、その周囲39に沿って互い
に対向するノッチ38及び38´を有しており、このカソードコネクタ片37を外管6内
に挿入するとこれらのノッチが外管6内の2つ以上のRTD制御用の空気吸入口ポート4
4及び44´の各々の位置と整列されるようにするのが好ましい。ある実施例では、2つ
よりも多い(例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個以上の)空気
吸入口ポート44、44´を設けることができる。或いはまた、単一の空気吸入口ポート
44を設けることができる。一例では、このような整列を図3Bに示すように表すことが
できる。このような整列によれば、空気吸入口ポート44及び44´を、カソードコネク
タ片37の存在により閉塞されることなしに、ねじ連結部205に接近させて配置しうる
ようになる。この配置により空気吸入口ポート44及び44´の領域を補強し、これによ
り空気吸入口ポート44及び44´の精密なドリリングを容易にする作用もするようにし
うる。以下に説明するように、他の配置も用いうる。
【0025】
他の実施例では、図13に示すように、カソードコネクタ片37には、このカソードコ
ネクタ片37の周囲39に形成した1つ以上のスリット300を設けることができる。カ
ートリッジ(第1の区分)70の外管6は、これが停止部(又はエッジ)307に到達す
るまでコネクタ片37のねじ切りされていない端部上を摺動させ、スリット300の予め
決定した端部をカートリッジ70の外部に開放させて空気を入れるようにする。入った空
気はスリット300に沿ってカートリッジ70の内部に移動しうる。スリット300は、
臨界オリフィスとして用いることができるとともに、空気吸入口ポート44及び44´の
代わりに用いることができる。他の実施例では、スリット300を空気吸入口ポート44
及び44´に加えて用いることができる。
【0026】
更に他の実施例では、図14A、14B及び14Cに示すように、カソードコネクタ片
37には、角度を付した穴301を形成し、これらの穴をカソード連結固定物49b内の
1つ以上のスロット302と連通させることができる。好ましくは、カソード連結固定物
49bがその内側部分内に空洞の環状スペース303を有し、この環状スペース303が
1つ以上のスロット302と連通するようにしうる。空気はスロット302内に吸引され
て環状スペース303内に移動し、ここから角度を付した穴301内に移動する。従って
、スロット302を、角度を付した穴301と整列させる必要はない。その理由は、たと
え穴301及びスロット302が互いに整列されていなくても、空気は環状スペース30
3を回って、角度を付した穴301内に移動する為である。この構成配置によれば製造に
際して利点が得られるものである。その理由は、角度を付した穴301をスロット302
と整列させる必要がない為である。
【0027】
更に他の実施例では、図15に示すように、アノードポスト47cを図2のアノードポ
スト47cと比べて短くし、カソードコネクタ片37の後方の空隙を大きくするようにす
ることができる。空気はスロット302´(その相対位置以外図15に図示しない)を経
て入り込み、環状スペース303を介して内部の空気吸入口ポート44を通って吸引され
、続いて空隙内に直線的に流れ、アノードポスト47cの中央流路34を通り、中央流路
20内に流れ、ヒータ14に至る。
【0028】
(液体供給領域、ヒータ及び芯)
下流のガスケット10のノーズ部分93は内管62の下流端部81内に嵌合させるのが
好ましい。ガスケット10の外周囲82は外管6の内面97とで実質的に気密状態にする
。下流のガスケット10は、内管62の中央流路21と口挿入端部8の内部との間に配置
した中央流路84を有し、この中央流路84によりエアロゾルを中央流路21から口挿入
端部8へ伝送させる。
【0029】
ガスケット10及び15間や外管6及び内管62間に得られる空間が、液体供給領域2
2の境界を確立する。この液体供給領域22が液体材料を有するとともに、随意ではある
がこの液体材料を内部に蓄積する作用をする液体蓄積媒体210を有する。この液体蓄積
媒体210は、綿のガーゼ又はその他の繊維性材料を巻いたものを内管62に沿って有す
るようにしうる。
【0030】
好適な実施例では、液体供給領域22を内管62及び外管6間やガスケット10及び1
5間の外側環状部620内に入れるようにする。この場合、液体供給領域22が空気の中
央流路21を少なくとも部分的に囲むようになる。ヒータ14は、液体供給領域22の対
向部分間で中央流路21を横切るように延在する。
【0031】
液体蓄積媒体210は、綿、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン又はこれらの任意
の組合せを有する繊維性材料とするのが好ましい。繊維は、約6ミクロン~約15ミクロ
ン(例えば、約8ミクロン~約12ミクロン又は約9ミクロン~約11ミクロン)の寸法
範囲の直径を有するようにするのが好ましい。液体蓄積媒体210は、焼結した多孔質又
は発泡材料とすることができる。又、繊維は呼吸不能となる寸法にするのが好ましく、そ
の断面はY字状、十字状、クローバー状又はその他の適切な何らかの形状とすることがで
きる。或いはまた、液体供給領域22は、繊維質の蓄積媒体210を有さずに液体材料の
みを入れた充満タンクを有するようにしうる。
【0032】
又、液体材料は、電子式喫煙物60に用いるのに適した沸点を有するようにするのが好
ましい。この沸点が高すぎる場合には、ヒータ14は芯28内の液体を気化させることが
できない。しかし、沸点が低すぎる場合には、ヒータ14が起動されていない場合にも液
体が気化されるおそれがある。
【0033】
液体材料には、加熱時に液体から放出される揮発性のたばこ風味(フレーバー)化合物
を有するたばこ含有材料を含めるのが好ましく、この化合物にはニコチンを含めることが
できる。この液体材料は、たばこ風味含有材料又はたばこ風味を有さないニコチン含有材
料とすることもできる。これに代えて、或いはこれに加えて、液体材料に非たばこ材料や
その他の風味材料を含めることができ、ニコチンのないものとすることができる。例えば
、液体材料に、水、溶媒、エタノール、植物エキス及び自然の又は人工の風味を含めるこ
とができる。液体材料には更にエアロゾル形成体を含めるのが好ましい。適切なエアロゾ
ル形成体の例は、グリセリン及びプロピレングリコールである。液体材料には、防腐剤又
はpH調整剤、例えば、有機酸及び無機酸を含めることもきる。
【0034】
図8をも参照するに、使用中、液体材料は、芯28の毛管作用によりヒータ14の近辺
で液体供給領域22及び液体蓄積媒体210の双方又は何れか一方から移動する。一実施
例では、図8に示すように、芯28が第1の端部29及び第2の端部31を有する。これ
ら第1の端部29及び第2の端部31は液体蓄積媒体210の対向側部内に延在してこの
液体蓄積媒体内に入れられた液体と接触するようになっている。又、ヒータ14は少なく
とも部分的に芯28の中央部113を囲み、ヒータ14が起動された際に芯28の中央部
113における液体がヒータ14により気化されてエアロゾルを形成するようにするのが
好ましい。芯28は、液体を吸引する能力のあるフィラメント、より好ましくはガラス(
又はセラミック)フィラメントの束、最も好ましくはガラスフィラメントの巻線、好まし
くは3つの巻線の群を有する束を具えるのが好ましく、これらの構成の全てはフィラメン
ト間の隙間を介する毛管作用により液体を吸引しうるものである。好ましくは、芯28を
可撓性とし、これには、それぞれ複数のフィラメントを有する3つのストランドを設ける
。更に、芯28の端部29及び31は可撓性にするとともに、液体供給領域22の境界中
で折り曲げうるようにすることを銘記されたい。
【0035】
有利なことに、液体供給領域22内の液体材料が酸素から保護される(その理由は、一
般には酸素が芯28を介して液体供給領域22に入り込むことができない為である)。あ
る実施例では、液体材料が光からも保護される為、液体材料が劣化するおそれが著しく低
減される。従って、有効期間及び清潔度を高レベルに維持しうる。
【0036】
好適な実施例では、電子式喫煙物60が少なくとも約200秒、好ましくは少なくとも
約250秒、より好ましくは少なくとも300秒、最も好ましくは少なくとも約350秒
の間喫煙する動作可能となるような充分な液体材料を保持するように、液体供給領域22
の寸法及び形状を決定する。従って、液体供給領域22は従来の1箱のシガレットに相当
する。更に、電子式喫煙物60は、各パフが最大約5秒継続するように構成しうる。
【0037】
(口挿入端部)
図2、3A、4、5、6、7及び17を参照するに、第1の区分70は、少なくとも2
つの分散用の出口流路24(例えば、3個、4個、5個以上、好ましくは2~10個以上
の出口、より好ましくは2~6個の出口流路24、更により好ましくは4個の出口流路2
4)を有する口挿入端部8を具えている。これらの出口流路24は軸線から外れているオ
フアクシス(off-axis)状態に配置し、内管62の中央流路21に対して外方に角度を成
す(すなわち発散する)ようにするのが好ましい。又、口挿入端部(又はフローガイド)
8は、この口挿入端部8の周囲に沿って均一に分布させた出口流路24を有し、使用中に
喫煙者の口内にエアロゾルを実質的に均一に分布させるとともに喫煙者の口内の充満認識
を高めるようにするのが好ましい。この場合、エアロゾルが喫煙者の口内に向かうと、こ
のエアロゾルが喫煙者の口に入り込むとともに種々の方向に移動し、充満した口当たりが
得られるようになる。これに対し、軸線上にあるオンアクシス(on-axis )の単一の出口
流路を有する電子式喫煙物は、そのエアロゾルを、喫煙者の口内でより制限された位置に
向かう大きな速度の単一噴流として向ける傾向にある。
【0038】
更に、存在する場合にはエアロゾル内に混入するおそれのある噴霧化されていない液体
材料の小滴が口挿入端部8の内面に当るか又は発散する出口流路24を規定する壁部30
5の部分に当るか、或いはこれらの双方に当るように、これらの発散する出口流路24が
配置されるとともに内面83を有するようにする。その結果、このような小滴が実質的に
除去又は分散されてエアロゾルを良質にする。
【0039】
好適な実施例では、発散する出口流路24を、外管6の長手軸線に対して約5°~約6
0°の角度にして、使用中に喫煙者の口全体にエアロゾルをより完全に分散させるととも
に小滴を除去するようにする。好適な実施例では、4つの発散する出口流路24を設け、
各出口流路24を外管6の長手軸線に対して約40°~約50°の角度、より好ましくは
約40°~約45°の角度、最も好ましくは約42°の角度にする。
【0040】
発散する出口流路24の各々の直径は約0.015インチ~約0.090インチの範囲
(例えば、約0.020インチ~0.040インチ又は約0.028インチ~約0.03
8インチの範囲)とするのが好ましい。発散する出口流路24の寸法及び発散する出口流
路24の個数は、所望に応じ電子式シガレット60の吸引抵抗(RTD)を調整するよう
に選択しうる。
【0041】
図16に示す一実施例では、発散する出口流路24とオンアクシス出口流路26とを口
挿入端部8に設けることができる。
【0042】
図2に示すように、口挿入端部8の内面83が一般にはドーム状の表面を有するように
しうる。或いはまた、図7に示すように、口挿入端部8の環状内面83´を、平坦な端面
を有する一般には円筒状又は截頭円錐状とすることができる。内面83はその表面全体に
亘って実質的に均一にするのが好ましい。更に、内面83は口挿入端部8の長手軸線を中
心として対称的にすることができる。しかし、他の実施例では、内面83を不規則的な形
状又はその他の形状或いはその双方とすることができる。
【0043】
好適な実施例では、口挿入端部8の内部で、発散する出口流路24の収束点に中空部9
11を配置する。
【0044】
口挿入端部8はカートリッジ70の外管6内に一体に固定させることができる。更に、
口挿入端部8は、低密のポリエチレン、高密のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化
ビニル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及びこれらの任意の組合せよりなる群
から選択したポリマから形成しうる。口挿入端部8は所望に応じ着色することもできる。
【0045】
前述したように、複数の出口の口挿入端部8は、電子式喫煙物を吸引する場合にエアロ
ゾルの方向を分散させるとともに変更させ、より充満した口当たりが得られるようにする
。エアロゾルが形成されると、このエアロゾルは内管62内の中央流路21を通過すると
ともに下流のガスケット10内の中央流路84を通過する。初期の原型を検査するパネル
(委員会)であるパネリスト(パネラー)により、複数の発散する出口流路24と直径が
約1.3mmの中央流路とを有する口挿入端部を具えるように構成された電子式喫煙物を喫
煙することにより唇に“熱さ”を感じることが報告された。しかし、中央流路84の内径
を約2.6mmに増大させた電子式喫煙物では、“熱さ”を感じる報告は本質的に無くなっ
た。
【0046】
下流のガスケット10及び口挿入端部8における且つその周囲の領域のダイナミックモ
デリングによれば、ガスケット10における小さな1mm幅の中央流路84は口挿入端部を
出るエアロゾルのピーク速度を約12メートル/秒(m/s)にする傾向にあることが確
かめられた。これに対し、5mm幅の中央流路84を有するシステムのモデリングによれば
、口挿入端部8の発散する出口流路24の出口において2.5m/sのみのピーク速度が
達成されるだけであり、このことは空気の速度がほぼ5分の1に減少されることを表して
いる。上述した検査及びモデリングから分かるように、中央流路84の直径を増大させて
、複数の出口の口挿入端部8の発散する出口流路24の出口を経て吸引される以前のエア
ロゾルの流れの加速を防ぐことにより、電子式喫煙物に対する感覚刺激性の体験の更なる
改良が達成される。
【0047】
従って、エアロゾルが口挿入端部8に達する以前にこのエアロゾルの流れの加速を防ぐ
のに充分な直径を有する中央流路84を有する下流のガスケット10を具える電子式喫煙
物を提供するのが有利である。中央流路84の直径は約2.0mm~約3.0mm、より好ま
しくは約2.4mm~約2.8mmとするのが好ましい。この場合、口挿入端部8は中央流路
84からの出力の流れを、速度を低減させた複数の発散した流れに分割させ、充満した口
当たりが得られるようにするとともに“熱さ”の感じを回避させる。
【0048】
ガスケット10の中央流路84の寸法を適切にすることによりエアロゾルの加速を実質
的に回避する作用が得られるという点で、出口のオリフィスの出口面に傾斜したリム(図
示せず)を形成し、エアロゾルが口挿入端部8に達する以前にエアロゾルの速度を更に減
少させることにより、上述した機能を更に高めることができる。
【0049】
他の実施例では、口挿入端部8及び下流のガスケット10を単一片として一体に形成し
、性能の一貫性を高めるとともに製造を容易にするようにしうる。
【0050】
他の実施例では、図10及び11に示すように、図1の電子式喫煙物60に、固定片2
7及び回転可能片25を有する口挿入端部8を設けることができる。出口流路24及び2
4´はこれらの固定片27及び回転可能片25の各々に位置させる。これらの出口流路2
4及び24´は図示のように一致させてエアロゾルが喫煙者の口の中に入るようにする。
しかし、回転可能片25は口挿入端部8内で回転させて、固定の口挿入端部8内で1つ以
上の出口流路24を少なくとも部分的に遮断するようにしうる。従って、消費者は各パフ
で吸引するエアロゾルの量を調整しうる。出口流路24及び24´は、これらの出口流路
24及び24´がエアロゾルの吸入中に、より充満する口当たりを提供するように発散さ
れるように口挿入端部8内に形成しうる。
【0051】
(ヒータ性能の一貫性、ホットスポット及びカルボニル軽減の改良用合金及び回路)
好適な実施例では、アノード47aがカソード49bの下方となるように電子式喫煙物
60内に配置したバッテリを電源1が有している。第2の区分72バッテリアノードポス
ト47bはバッテリアノード47aに接触するようにするのが好ましい。
【0052】
更に具体的には、バッテリ1のアノード47aと第1の区分70におけるヒータコイル
14との間の電気接続が、電子式喫煙物60の第2の区分72におけるバッテリアノード
接続ポスト47bと、カートリッジ(第1の区分)70のアノードポスト47cと、この
アノードポスト47cのリム部分をヒータ素子14(図8参照)の電気リード線109に
接続する電気リード線47dとを介して達成される。同様に、バッテリ1のカソード49
aとヒータコイル14の他のリード線109´との間の電気接続は、第2の区分72のカ
ソード接続固定物49bと第1の区分70のカソードコネクタ片37との間のねじ連結部
205を介するとともに、ここからは、固定物37をヒータコイル14の反対側のリード
線109´に電気接続する電気リード線49cを介して達成される。
【0053】
電気リード線47d及び49cとヒータリード線109及び109´とは高導電性及び
耐熱性にするとともに、ヒータ14のコイル区分110は高抵抗性として、主としてヒー
タ14のコイル区分110に沿って熱が発生するようにするのが好ましい。又、電気リー
ド線47dはクリンピングによりヒータリード線109に接続するのが好ましい。同様に
、電気リード線49cをクリンピングによりヒータリード線109´に接続する。他の実
施例では、電気リード線47d及び49cをはんだ付けによりヒータリード線109及び
109´に取付けることができる。クリンピングは製造速度を上げる場合に好ましいもの
である。
【0054】
バッテリは、リチウムイオンバッテリ又はその変形体、例えば、リチウムイオンポリマ
バッテリとすることができる。或いはまた、バッテリをニッケル金属水素化物バッテリ、
ニッケルカドミウムバッテリ、リチウムマンガンバッテリ、リチウムコバルトバッテリ又
は燃料電池とすることができる。この場合、電源中のエネルギーが枯渇されるまで、又は
リチウムポリマバッテリの場合には最小の電圧カットオフレベルが達成されるまで、電子
式喫煙物60を喫煙者により使用しうるようにするのが好ましい。
【0055】
或いはまた、電源1は再充電可能にすることができ、これには、外部の充電装置により
バッテリを充電しうる回路を含めることができる。この場合、この回路は、充電されると
、予め決定したパフ数に対する電力を生じ、その後にこの回路を外部の充電装置に再接続
する必要があるようにするのが好ましい。電子式喫煙物60を再充電するためには、US
B充電器又はその他の適切な充電器アセンブリを用いることができる。
【0056】
電子式喫煙物60には、パフセンサ16を有する制御回路をも設けるのが好ましい。こ
のパフセンサ16は、空気圧の降下を検出するとともに電源1からヒータ14への電圧の
印加を開始するように動作しうる。制御回路は、図2に示すように、ヒータ14を起動し
た際に発光するように動作しうるヒータ起動ライト48をも有するようにしうる。このヒ
ータ起動ライト48は、LEDを有し且つ電子式喫煙物60の上流端に位置させ、このヒ
ータ起動ライト48がパフ中に石炭が燃えている状態を呈するようにするのが好ましい。
更に、ヒータ起動ライト48は、喫煙者に見えるように配置しうる。更に、ヒータ起動ラ
イト48は、電子式喫煙物システムを診断するために、或いは再充電が進行中であること
を表すのに用いることができる。このヒータ起動ライト48は、喫煙者がこのヒータ起動
ライト48を起動させたり、秘密のために起動させずにこのヒータ起動ライト48が所望
に応じ喫煙中に起動しないようにさせたりするように構成することもできる。
【0057】
好ましくは、少なくとも1つの空気吸入口ポート45(図1)をパフセンサ16に隣接
させて配置し、パフセンサ16が、喫煙者がパフ中である(一服している)ことを表す空
気の流れを検出するとともに、ヒータ14が動作していることを表すために電源1及びヒ
ータ起動ライト48を起動するようにする。
【0058】
制御回路はパフセンサ16と一体にし、最大期間リミッタを有するのが好ましいパフセ
ンサ16に応答してヒータ14に電力を供給するようにするのが好ましい。
【0059】
或いはまた、制御回路には喫煙者がパフを開始するようにする手動スイッチを設けるこ
とができる。ヒータに電流を供給する期間は、蒸発させたい液体量に応じてプリセットし
うるようにする。或いはまた、パフセンサ16が圧力降下を検出している限り、制御回路
が電力をヒータ14に供給するようにしうる。
【0060】
ヒータ14は、起動されると、このヒータ14により囲まれた芯28の一部分を約10
秒よりも短い期間、より好ましくは約7秒よりも短い期間の間加熱するようにするのが好
ましい。従って、パワーサイクル(又は最大パフ長)を約2秒~約10秒(例えば、約3
秒~約9秒、約4秒~約8秒又は約5秒~約7秒)の範囲内にすることができる。
【0061】
ヒータ14は、芯28を囲むワイヤコイルとするのが好ましい。適切な電気抵抗性材料
の例には、チタンと、ジルコンと、タンタルと、白金族から選択した金属とが含まれる。
適切な金属合金の例には、ステンレス鋼と、ニッケル;コバルト;クロム;アルミニウム
;チタン;ジルコン;ハフニウム;ニオブ;モリブデン;タンタル;タングステン;錫;
ガリウム;マンガン;鉄を含有する合金と、ニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼に基
づく超合金とが含まれる。エネルギー伝達の動力学及び必要とする外部の物理化学特性に
応じて、ヒータを例えば、ニッケルアルミナイドや、表面上にアルミナの層を有する材料
や、鉄アルミナイドや、その他の複合材料から形成し、電気抵抗性の材料を、任意ではあ
るが、絶縁材料内に埋め込むか、又は絶縁材料でカプセル封止又は被覆するか、又はその
逆にすることができる。ヒータ14は、ステンレス鋼、銅、銅合金、ニッケルクロム合金
、超合金及びこれらの任意の組合せより成る群から選択した少なくとも1種類の材料を有
するようにするのが好ましい。好適な実施例では、ヒータ14をニッケルクロム合金又は
鉄クロム合金から形成するが、後者は後に説明する理由で好ましくない。他の実施例では
、ヒータ14を外側の表面上に電気抵抗層を有するセラミックヒータとすることができる
【0062】
他の実施例では、ヒータ14を、1994年12月29日に出願されたSikka 氏等の公
有の米国特許第 5,595,706号明細書に記載されているような鉄アルミナイド(例えば、Fe
Al又はFe3 Al)又はニッケルアルミナイド(例えば、Ni3 Al)から構成しうる。鉄アルミ
ナイドは高抵抗性を呈する点でこの鉄アルミナイドを使用するのが有利である。FeAlは約
180マイクロオームの抵抗を呈し、一方ステンレス鋼は約50~91マイクロオームを
呈する。抵抗が高くなると、電源(バッテリ)1に対する電流の引込み又は電流負荷を低
くする。
【0063】
好適な実施例では、ヒータコイル14を、実質的に鉄の含有量がないニッケルクロム合
金から形成する。鉄クロム合金から構成したヒータコイルは、この合金が装置の製造処理
、保管及び動作の何れか又はこれらの任意の組合せの間に水と接触した場合にこれらの含
有鉄の酸化を受けるということが実験により確かめられている。
【0064】
グリセリン及びプロピレングリコールの双方又は何れか一方をある温度を超えて加熱す
ることにより(ホルムアルデヒドを含む)カルボニルを生じることが知られている。酸化
鉄は、カルボニルが低い温度で生じるようにこれらの反応に触媒作用を及ぼす傾向にある
。実質的に含有鉄が無い合金を用いることにより、このような触媒作用が回避され、カル
ボニル及びその他の成分を生ぜしめる可能性を最少にする。
【0065】
更に、好適な実施例の製造及び設計に当っては、ヒータコイル14の加熱サイクル中に
このヒータコイル14に意図的でない“ホットスポット”が発生するのを回避するために
、ある観点及び手段を採用する。ホットスポットは、このホットスポットがない場合に回
避される不所望な成分を生じるおそれのある、過大なピーク温度の原因となるおそれがあ
る。
【0066】
理論に拘束されることを望むものではないが、コイル14のループ間の間隔が局部的に
減少されるようにコイルヒータ14の巻回を変える場合、ピーク温度を、所望のレベルを
超えるようにさせると考えられているホットスポットを、この間隔の減少により生ぜしめ
ると考えられる。又、ヒータコイル14のコイルに沿って間隔を均一にし、ヒータコイル
14の巻回においてもとの均一の間隔を保つ工程を行うことにより、“ホットスポット”
の影響を回避するものと考えられている。
【0067】
特に図8を参照するに、所定のヒータコイル14のコイル区分110全体に亘って一貫
性のあるコイル間隔111を生ぜしめるのは、芯28の周りにコイルを巻装する自動巻取
器を使用することと、この巻装工程に対する軸として芯28を用いることとを含む方法で
達成しうることが考えられる。好適な実施例では3~8回の巻回が好ましく、より好まし
くは3~5回の巻回とする。
【0068】
コイルばね111の均一性は、一旦確立されると、好適な実施例の設計中及び製造途中
で保たれるようにする。
【0069】
特に図9Aを参照するに、内管62内に互いに対向するスロット63を設けることによ
り、スロット63のエッジとヒータ14の(図8に示す)コイル区分110との間に衝撃
を生ぜしめることなしにヒータ14及び芯28を内管62の中の位置に配置するのを容易
にする。従って、スロット63のエッジヒータ14のコイル間隔111に影響を及ぼした
りこのコイル間隔を変えたりすることはない。さもないと、ホットスポットの発生原因を
生ぜしめてしまう。
【0070】
次に図9Bを参照するに、密封リング69を位置決めする場合、これが芯28に最も近
づけるか又は接触させるようにするが、この芯を押圧しないように注意する。このような
位置決めにより、ヒータコイル14に曲げモーメントを課するのを回避するとともにヒー
タコイル14を曲げるのを回避する。さもないと、コイル間隔111が圧縮されて減少さ
れたコイル14の一方の側部に沿ってホットスポットを生ぜしめるおそれがある。従って
、密封リング69の上流エッジ114を芯28に接近させるが、上述した曲げ作用の可能
性を回避するために芯28を越えて位置しないようにする。密封リング69は、図9B
示すように配置した場合に、ヒータコイルアセンブリとスロット63との間に得られる空
間の残りを封鎖する。
【0071】
好適な実施例では、内管62及び密封リング69を、織った繊維ガラスから形成する。
【0072】
好適な実施例では、内管62が約4mmの直径を有し、互いに対向するスロット63の各
々が約2mm×約4mmの短径及び長径を有するようにする。
【0073】
一実施例では、ヒータ14が芯28を少なくとも部分的に包囲しているワイヤコイルを
有するようにする。本例では、このワイヤを金属ワイヤとするか、又はヒータコイルが芯
28の長さ全体に沿って又はその一部に沿って延在するようにするか、或いはこれらの双
方を達成させるのが好ましい。ヒータコイル14は芯28の周囲を完全に又は部分的に囲
むように延在させることができる。他の実施例では、ヒータコイルを芯28に接触させな
いようにする。
【0074】
ヒータ14は、熱伝導により芯28内の液体を加熱するようにするのが好ましい。或い
はまた、ヒータ14からの熱が熱伝導素子により液体に伝達しうるようにするか、又はヒ
ータ14が、使用中に電子式喫煙物を通して吸引される到来外気に熱を伝達し、この外気
の対流により液体を加熱するようにしうる。
【0075】
一実施例では、芯28が、液体を吸引する能力のあるセラミックフィラメントのセラミ
ック芯を有するようにする。上述したように、芯28はヒータ14により少なくとも部分
的に囲まれている。更に、好適な実施例では、芯28が互いに対向するスロット63を通
って内管62内に延在し、芯28の各端部が(図2に示す)液体供給領域22と接触する
ようにする。
【0076】
好適な実施例では、芯28がフィラメントを有するとともに、ガラスフィラメントの束
を有するようにする。例えば、芯28が複数のフィラメントを有するようにしうる。これ
らのフィラメント又はスレッドは一般には、電子式喫煙物の長手方向に対して垂直な(直
交する)方向で整列させることができる。好ましくは、芯28が1~8本のフィラメント
、より好ましくは2~6本のフィラメントを有するようにする。好適な実施例では、芯2
8が3つのストランドを有し、各ストランドは、撚り合わせた複数のガラスフィラメント
を有するようにする。
【0077】
好適な実施例では、芯28がフィラメントから構成され、毛管作用により液体がこれら
フィラメントを介してヒータ14に伝達されうるようにする。芯28は、一般には十字状
、クローバー状、Y字状又はその他の適切な何らかの形状とすることができる断面を有す
るフィラメントを具えるようにしうる。
【0078】
芯28は適切な何らかの材料又はこれら材料の組合せを有するのが好ましい。これらの
適切な材料の例は、ガラスや、セラミック又はグラファイトを主成分とする材料である。
更に、芯28は、濃度、粘度、表面張力及び蒸気圧のような種々の液体物理特性を有する
エアロゾル発生用液体に適合する適切な如何なる毛管吸引作用を有するようにしうる。芯
28の毛管特性は液体の特性と相俟って、芯28がヒータ14の領域で常に湿潤し、ヒー
タ14の過熱を回避する。
【0079】
芯28を用いる代わりに、ヒータ14を、熱を迅速に発生させうる高電気抵抗を有する
材料より成る抵抗ヒータを組入れた多孔質材料とすることができる。
【0080】
芯28と、液体領域22の繊維媒体とをガラス繊維から構成するのが好ましい。
【0081】
(スリーブアセンブリ)
図17に示すように、電子式喫煙物60には、この電子式喫煙物60の第1の区分70
を囲んで取外し自在に又は回転自在に或いはこれらの双方で配置したスリーブ(套管)ア
センブリ87を設けることもできる。更に、スリーブアセンブリ87は第1の区分70の
少なくとも一部分を断熱させて、エアロゾルが喫煙者に送給される前にこのエアロゾルの
温度を保つようにする。好適な実施例では、スリーブアセンブリ87は電子式喫煙物60
の周囲に回転でき且つスリーブアセンブリの周囲にこのスリーブアセンブリと交差する方
向で離間して配置したスロット88を有し、これらスロット88が第1の区分70におけ
る空気吸入口ポート44及び44´と整列されて、喫煙者がパフする際に空気が電子式喫
煙物60内に入り込むようにする。喫煙前又は喫煙中に、喫煙者は所望に応じスリーブア
センブリ87を回転させ、空気吸入口ポート44及び44´がこのスリーブアセンブリ8
7により少なくとも部分的に遮断され、電子式喫煙物60の吸引抵抗及び通気の双方又は
何れか一方を調整するようにしうる。
【0082】
スリーブアセンブリ87はシリコーン又はその他の柔軟性材料から形成し、喫煙者にや
わらかい口当たりを与えるようにするのが好ましい。しかし、スリーブアセンブリ87は
1つ以上の片から形成しうるとともに、プラスチック、金属及びこれらの組合せを有する
種々の材料から形成しうる。好適な実施例では、スリーブアセンブリ87はシリコーンよ
り成る単一片とする。このスリーブアセンブリ87は取外して他の電子式喫煙物に再使用
することができるか、又は第1の区分70と一緒に廃棄するようにすることができる。ス
リーブアセンブリ87は適切な如何なる色にもすることもでき、或いは画像又はその他の
しるしを有するようにでき、又はこれらの双方を達成することができる。
【0083】
(アロマデリバリ)
図29に示すように、電子式シガレット60には、第1の区分70及び第2の区分72
の少なくとも一方の外側面91上に位置するアロマ細条89を含めることもできる。或い
はまた、アロマ細条89をスリーブアセンブリ87の一部の上に位置させることができる
。アロマ細条89は装置のバッテリとヒータ14との間に位置させ、アロマ細条89が喫
煙中に喫煙者の鼻に隣接させるようにするのが好ましい。アロマ細条89には、喫煙前又
は喫煙中或いはその双方で放出されるフレグランス又は風味材料を含むゲル、フィルム又
は溶液を含めることができる。一実施例では、ゲルと、流体と、溶液との何れか又は任意
の組合せの風味アロマは、第1の区分70の内部に位置させた場合のアロマ細条上の通気
口(図示せず)を開放させることのできるパフ作用により放出させることができる。或いは
また、ヒータ14により発生させる熱によりアロマを放出させることができる。
【0084】
一実施例では、アロマ細条89がたばこ風味エキスを有するようにしうる。このような
エキスは、たばこ材料を小片に研磨し、有機溶剤を用いて抽出を行うことにより得ること
ができる。次にこのエキスを濾過し、(例えば、硫酸ナトリウムを用いて)乾燥させ、凝
縮させることができる。或いはまた、揮発性部分と不揮発性部分とを分離させるSAFE
(Solvent Assisted Flavor Extraction:溶媒補助の風味抽出)蒸留技術(Engel 氏等、
1999年)のような風味化学の分野で既知の技術を用いてエキスを得ることができる。
更に、特定の化合物の更なる分離(separation)及び単離(isolation )の双方又は何れ
か一方のためにpH分別及びクロマトグラフ法を用いることができる。
【0085】
アロマキャリア89は、ポリマ又は紙の細条とし、これに、例えば絵筆を用いるか又は
含浸によりエキス又は風味材料を被着するようにすることができる。風味材料は自然の又
は人工のものとすることができる。或いはまた、エキス又は風味材料は、紙のリング及び
細条の双方又は何れか一方の中にカプセル封止し、喫煙者が、例えば、喫煙中にアロマ細
条を引っかくことにより手動で放出するようにしうる。
【0086】
(繊維素子)
図19、20及び21に示すように、電子式喫煙物60には、(図2に示す)口挿入端
部8の代わりに、ヒータ14の下流に繊維素子、すなわちフィルタ300又は300´を
設けることができる。図25及び26に示す他の実施例では、ヒータの下流で口挿入端部
8に加えて繊維素子300を設けることができる。繊維素子300、300´は、図26
に示すようにヒータ14と口挿入端部8との間に配置するか、又は図25に示すように口
挿入端部8の下流に配置することができる。
【0087】
繊維素子300、300´を加えることは、電子式喫煙物60の吸引抵抗を調整するの
に役立ち得る。更に、繊維素子300、300´によれば、添加剤を加えることによりエ
アロゾルの特性を変えることができるか、又は追加の風味を生ぜしめるとともに喫煙中の
エアロゾルの口当たりを変えることができ、或いはこれらの双方を達成することができる
。繊維素子300、300´は、従来の喫煙物で用いられているフィルタに類似するよう
にして構成することができる。
【0088】
繊維素子300は第1の区分70の常設部分として製造し、従って、使い捨ての第1の
区分と一緒に廃棄するようにするのが好ましい。他の実施例では、繊維素子300´を図
23及び24に示すように着脱自在の繊維素子とすることができる。
【0089】
好適な実施例では、繊維素子300、300´が低能率のフィルタ材料を有するように
する。繊維素子300、300´には、プラグとして形成した繊維材料の束を含めること
ができる。繊維材料は、従来の喫煙物のフィルタ素子に用いるのに適した種々の繊維材料
のうちの何れのものにもすることができる。繊維材料は、セルロースアセテート繊維、ポ
リエステル繊維、ポリプロピレン繊維、紙等を有するようにしうる。例えば、繊維素子3
00、300´はセルロースアセテートトウを有することができ、しかも所望に応じ、紙
材料で包むようにしうる。
【0090】
フィルタ素子を形成するのに種々のフィルタ構造を用いることができる。代表的なフィ
ルタ構造には、モノフィルタ、デュアルフィルタ、トリプルフィルタ、キャビティフィル
タ、レセスド(凹所付)フィルタ、フリーフローフィルタ又はこれらの任意の組合せが含
まれる。モノフィルタは代表的に、セルロースアセテートトウ又はセルロース紙材を有し
ている。デュアルフィルタは代表的に、セルロースアセテートの口側端部プラグ及びピュ
アセルロースの又はセルロースアセテートのセグメントを有している。繊維素子300、
300´を構成するのに用いる材料の種類と関連しうるこれらセグメントの長さ及び圧力
降下は、所望の濾過作用及び吸引抵抗(RTD)を生じるように調整しうる。
【0091】
繊維素子300、300´の長さは、約3mm~約10mmとすることができる。繊維素子
300、300´の直径はほぼ、電子式喫煙物60の直径と同じ又はそれよりも小さくす
るのが好ましい。
【0092】
図20に示すように、繊維素子300、300´は、繊維材料の上流プラグ342と、
繊維材料の下流プラグ340と、これらの間のスペース344とを有するプラグ‐スペー
ス‐プラグ繊維素子としうる。スペース344内には添加剤348を配置することができ
る。或いはまた、スペースが繊維素子300、300´内に設けられている場合には、こ
のスペース内に添加剤348を含めることに加えて、図21に示すように、添加剤348
を、繊維素子300、300´内の繊維材料の1つ以上のプラグを形成するのに用いられ
ている繊維材料の全体に亘って又は一部に亘って分散させることができる。従って、例え
ば、所望に応じ、繊維素子300、300´の上流のプラグ342及び下流のプラグ34
0内に添加剤を分散させることができる。
【0093】
着脱自在の繊維素子300´は、複数の繊維素子300´を有するパックで購入するこ
とができ、各繊維素子は互いに同じ又は異なる添加剤348を有し、喫煙者は好みの繊維
素子300´及び添加剤348を選択しうるようにする。着脱自在の繊維素子300´は
、電子式喫煙物60内に挿入するか、さもなければ電子式喫煙物に取付けるようにするこ
とができる。例えば、一実施例では、図22に示す電子式喫煙物60の開放口側端部34
6内に繊維素子300を挿入するようにしうる。或いはまた、図24及び25に示すよう
に、電子式喫煙物60の繊維素子300、300´を、所望に応じ口挿入端部8を有する
電子式喫煙物60の口側端部上に着脱自在に摺動しうるスリーブ325と対にすることが
できる。スリーブ325はスナップ嵌合機構を有するか、又は単に摩擦嵌合により適所に
保持しうるようにしうる。
【0094】
一実施例では、繊維素子300、300´に含まれる添加剤348に加えて、電子式喫
煙物の口側端部の外側面と繊維素子300、300´の外側面との双方又は何れか一方に
、添加剤を含浸させるか、又は繊維素子300、300´内に含まれる添加剤348に加
えて添加剤含有マイクロカプセルの被膜370(図22及び25に示す)或いはその他の
風味及びアロマの双方又は何れか一方の成分を含めることができる。添加剤348は、喫
煙者の口及び唇からの湿気に応答して放出させることができ、これら添加剤は、水溶性の
程度が変化する水溶性材料と一緒にカプセル封止させて、添加剤の放出をある期間に亘る
ように制御しうるようにできる。被膜材料には、繊維素子300、300´に含まれるの
と同じ添加剤348か又は異なる添加剤348を有するようにしうる。含浸させた添加剤
348又は添加剤含有被膜370を繊維素子300、300´内の添加剤348と一緒に
設けることにより、喫煙中の添加剤348の放出をスタッガ状とするか、又は複数の添加
剤を放出しうるか、或いはこれらの双方を達成するようにしうる。
【0095】
ここで用いた用語“添加剤”は、電子式喫煙物60を喫煙する場合に、この電子式喫煙
物の特性を変える如何なる材料又は組成をも意味するものである。繊維素子300、30
0´内には、適切な如何なる添加剤材料をも、又はこれら材料の如何なる組合せをも含め
ることができる。このような添加剤材料には、風味材料と、アロマ材料と、pH変性剤と、
冷却剤及び加熱剤を含む化学感覚剤と、二酸化炭素形成体と、市販されている風味系と、
液体中のニコチンと、塩又は粉末形態と、その他の煙モディファイヤとが含まれる。更に
、添加剤材料には、エアロゾルの感覚特性に影響を及ぼしうる希釈剤又は溶剤を含めるこ
ともできる。例えば、繊維素子300、300´には、炭酸ガスが充満する口当たりを高
めうるか又は生ぜしめうるか或いはその双方を達成しうるCarbosation (カーボセーショ
ン:登録商標)(小川香料株式会社から入手しうる)を含めることができる。
【0096】
希釈剤は、これを含める場合、グリセリン又はプロピレングリコールのようなエアロゾ
ル形成剤としうる。
【0097】
ここで用いた用語“風味材料”は、風味及びアロマの双方又は何れか一方をエアロゾル
の流れの中に放出しうる材料又は製剤を含む液体又は固体の如何なる風味をも意味するも
のである。適切な風味又はフレーバリングには、メントールと、ペパーミント及びスペア
ミントのようなミントと、チョコレートと、リコリスと、かんきつ類及びその他の果実風
味と、γ‐オクタラクトンと、バニリンと、エチルバニリンと、呼吸清涼飲料水の風味と
、シナモンのようなスパイス風味と、メチルサリチル酸と、リナロールと、ベルガモット
油と、ゼラニウム油と、レモン油と、ジンジャー油と、たばこ風味とを含むが、これらに
限定されるものではない。他の適切な風味には、酸、アルコール、エステル、アルデヒド
、ケトン、ピラジン、これらの組合せ、すなわち混合物等より成る群から選択した風味化
合物を含めることができる。
【0098】
風味材料は、粒子、顆粒、繊維、カプセル、マイクロカプセル、粉末、押しつぶした植
物材料、芳香性樹皮、種子、乾燥果実及び乾燥根の双方又は何れか一方の片、又は何らか
の他の適切な形態にすることができる。風味材料には、例えば、たばこビーズ、風味ビー
ズ、メントールを含んだ風味ビーズ、風味カプセル及び従来のたばこのスモークフィルタ
に用いられているようなその他の風味材料を含めることができる。
【0099】
適切な風味材料は、不揮発性又は揮発性とすることができ、これらは、フィルタ中のエ
アロゾルの凝縮及びこれに続く封入、又は小滴中の風味材料の溶解、又はパフ中に喫煙者
の舌への小滴の堆積を介して、或いはこれらの任意の組合せを介して口に送給することが
できる。小滴は、ポリエチレングリコール、グリセリン、水及び任意ではあるがニコチン
を含むエアロゾルを形成するのに用いられる成分から構成しうる。風味材料はエアロゾル
内に放出させることができ、又は喫煙者の唇からの湿気との接触を介して喫煙者の口に送
給することができ、又はこれらの双方を行うことができる。
【0100】
風味材料は苦味を与えるようにしうる。苦味を与える適切な化合物には、カフェイン、
安息香酸デナトニウム、テオブロミン、キニーネ及びナリンギンが含まれるが、これらに
限定されるものではない。
【0101】
又、風味材料は酸味を与えるようにしうる。酸味を与える適切な化合物には、クエン酸
、リンゴ酸、コハク酸及び酒石酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0102】
又、風味材料は塩味を与えるようにしうる。塩味を与える適切な化合物には、塩化ナト
リウム及び塩化カリウムが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0103】
又、風味材料は甘味を与えるようにしうる。甘味を与える適切な化合物には、サッカロ
ースを含む炭水化物、及びスクラロースとサッカリンとを含む強力甘味料が含まれるが、
これらに限定されるものではない。
【0104】
又、風味材料はうまみ及び口当たりを与えるようにしうる。うまみ及び口当たりを与え
る適切な化合物には、グルタミン酸モノナトリウムと、γ‐グルタミシステイン‐β‐ア
ラニン(gamma-glutamycysteine-beta-alanine)のようなγ‐グルタミルペプチドと、(
R)‐ストロンビン((R)-strombine )とが含まれるが、これらに限定されるものではな
い。
【0105】
一実施例では、添加剤を化学感覚剤とするか、又はエアロゾルの口当たりを変えるよう
に選択するか、又はこれらの双方を達成するようにすることができる。例えば、添加剤を
、暖かさの感覚と、刺痛感覚と、冷却感覚との何れか又は任意の組合せを生じる化学感覚
剤とすることができる。或いはまた、“脂肪質”の口当たりを生ぜしめるに、添加剤を、
中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリアセチン又はネオビー(Neobee:登録商標)M‐5のよ
うな食用油とすることができる。他の実施例では、“収斂性”の口当たりを生ぜしめるた
めに、添加剤をタンニン酸とすることができる。暖かさの感覚、刺痛感覚又は灼熱感覚を
生ぜしめるのに、カプサイシン、ピペリン、α‐ヒドロキシ‐サンショオール及び(8)
‐ジンゲロールのような添加剤を含めることができる。冷却感覚を生ぜしめるには、メン
トール、乳酸メンチル、WS‐3(N‐エチル‐p‐メンタン‐3‐カルボキサミド)、
WS‐23(2‐イソプロピル‐N,2,3‐トリメチルブチルアミド)及びエバークー
ル180(Evercool 180:登録商標)を含む添加剤を入れることができる。更に、添加剤
には、コーヒーエキス、赤唐辛子エキス、生姜エキス及びペパーミント油のようなエキス
を含めることができる。
【0106】
他の実施例では、添加剤によりエアロゾル中のニコチンの不快な特性を低減させるか、
さもなければエアロゾルの特性を変えるか、或いはこれらの双方を達成するようにするこ
とができる。例えば、添加剤を、食用の酸を含む酸性溶液とすることができる。酸性溶液
を繊維素子300、300´に添加し、酸がエアロゾルの流れの中にあるニコチンと反応
してニコチン酸を形成するとともに、喫煙中ののどへの刺激を生ぜしめると思われるエア
ロゾル中の揮発性ニコチン遊離塩基の量を減少させるようにすることができる。酸性溶液
中に含めるのに適した酸には、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、塩酸及びこれらの任意の組合
せが含まれるが、これらに限定されるものではない。繊維素子300、300´内には、
酸性溶液に加えて、イオン樹脂又は吸収剤を含め、気相からニコチンを吸収して刺激を低
減させるようにすることができる。適切な吸収剤には活性炭やシリカゲルがある。
【0107】
更なる他の実施例では、揮発性でパフ中に蒸気を放出することができるとともに鼻後通
路を介して感知しうるアロマ材料を添加剤に含めることができる。
【0108】
好適な実施例では、繊維素子300、300´中に複数種類の繊維材料と添加剤との双
方又は何れか一方を含め、その各々が互いに異なるpH値を有するようにしうる。繊維素子
300、300´を通過するエアロゾルは、繊維素子300、300´及びこれに含める
添加剤348を形成するのに用いた材料のpH値に応じて変性するようにしうる。例えば、
繊維素子300、300´は、添加剤で処理したセルロースアセテートから形成しうる。
添加剤には、酸性溶液として添加するpH変性剤を含めることができる。適切な酸性溶液は
、プロピレングリコールと、グリセロールと、水との混合体内で約20mg~約150mgの
2%クエン酸を有するとともに約4のpHを有する。この溶液は、繊維プラグ300、30
0´に添加し且つ電子式喫煙物60内に用いた場合に、このように処理した繊維素子を有
さない電子式喫煙物に比べてよりマイルドで低刺激性の喫煙体験が得られるようにするこ
とを確かめた。
【0109】
或いはまた、添加剤348は、溶液として繊維素子300、300´の繊維材料に被着
されるpH変性材料としうる。この溶液は、プロピレングリコールと、グリセロールと、水
との混合体内で約20mg~約150mgの2%重炭酸ナトリウムを有するとともに約10の
pHを有することができる。このような溶液は、電子式喫煙物内に入れられた繊維素子30
0、300´に加えた場合に、このような溶液で処理されていない繊維素子300、30
0´を有する電子式喫煙物と比べて喫煙者ののどへの影響及び刺激を増大させることが確
かめられている。
【0110】
喫煙中、微粒子化した固体の形態の添加剤がエアロゾル内に混入されて喫煙者に伝達さ
れるようにしうる。添加剤にメントール又はその他の揮発性風味のような揮発性材料が含
まれている場合には、この添加剤は繊維素子300、300´を通過する際にエアロゾル
内に拡散しうる。最終的に、エアロゾルの一部分が繊維素子300、300´内に堆積さ
れるか又は繊維素子300、300´内で凝縮され、添加剤を内部に溶解させるようにし
うる。従って、喫煙者が電子式喫煙物60を一服すると、添加剤が送給される。
【0111】
上述したように、添加剤は二酸化炭素をエアロゾルの流れに与えるようにすることがで
きる。二酸化炭素がエアロゾルの流れに加えられることにより、エアロゾルの風味及び口
当たりを更に良好にすることができるものと思われる。ある種のエアロゾルは、従来のシ
ガレットから生じる煙に比べて人工的、又は異臭的、又は特性欠如になるか、或いはこれ
らの任意の組合せとなるおそれがあるものと思われる。従って、二酸化炭素をエアロゾル
の流れに与えることのできる添加剤を加えることにより風味又は口当たりを更に良好にす
ることができるものである。
【0112】
一実施例では、二酸化炭素を大気中の二酸化炭素の濃度よりも高めるために、添加剤3
48が重炭酸ナトリウムと、クエン酸のような一種類以上の酸とを有するようにしうる。
重炭酸ナトリウム及びクエン酸は、プロピレングリコールのようなエアロゾルキャリアの
存在中で二酸化炭素を発生又は放出させるか、或いはその双方を行うことができる。
【0113】
或いはまた、添加剤348を、エアロゾルからの熱の存在中で所望の量の二酸化炭素を
放出させる重炭酸アンモニウムのような塩とすることができる。塩は、繊維素子内に又は
図21及び27に示す)スクリーン401上に配置しうる。図27に示す一実施例では
、スクリーン401をスリーブ325に取付け、このスリーブを製造中に又は喫煙の直前
に外管6の口側端部に取付けるようにしうる。或いはまた、図21に示すように、スクリ
ーン401を繊維素子300の上流で電子式喫煙物60内に配置することができる。
【0114】
図28に示す他の実施例では、電子式喫煙物60が二酸化炭素のタンク403を有する
ようにしうる。所望に応じエアロゾルの口当たりを高めるために各パフ当りタンク403
から少量の二酸化炭素を選択的に放出させるように電子式喫煙物60の制御システムをプ
ログラミングしうる。
【0115】
他の実施例では、添加剤348を、液体、塩又は粉末形態のニコチンとする。ニコチン
は、繊維素子300、300´内にのみ入れて、液体材料にはニコチンが無く、プロピレ
ングリコール又はグリセリンと、水と、任意ではあるが風味とのエアロゾル形成体のみを
含めるようにしうる。或いはまた、繊維素子300、300´内に添加剤として入れられ
たニコチン以外に、液体供給部(領域)にニコチンを含めることができる。エアロゾルが
繊維素子を通過する際、ニコチンを抽出してエアロゾルと一緒に喫煙者に送給することが
できる。繊維素子300、300´内には、所望に応じ追加の添加剤をニコチンと一緒に
含めることができる。
【0116】
ニコチンは、繊維素子300、300´内の液体懸濁液内に保持されるようにするのが
好ましい。或いはまた、ニコチンをペクチンフィルムのような高分子フィルム内に、又は
繊維素子300、300´内に、又はプラグ‐スペース‐プラグ繊維素子300、300
´内に保持するようにできる。繊維素子300、300´に加えて又はこれに代えて、ヒ
ータの下流に樹脂を配置することができる。この樹脂は、イオン交換樹脂、例えば、ポリ
アクリレックス(polyacrylex )とすることができ、ニコチンはこの樹脂内に結合させる
ことができる。種々の繊維素子300、300´を購入しうるようにし、各々は所望に応
じ互いに異なるニコチン含有量を有するようにしうる。
【0117】
有利なことに、ニコチン内にエアロゾルを形成することによりのどへの刺激及び胸への
影響を低減させると思われる。しかし、エアロゾルの形成後にエアロゾルにニコチンを加
えることにより、ニコチンがのどに及ぼしうる如何なる影響をも低減させるものと思われ
る。
【0118】
添加剤348は、追加の風味及びアロマの双方又は何れか一方を生ぜしめるか、又はエ
アロゾルの口当たりを高めるか、又はエアロゾルの口当たりを変えるのに充分な量で加え
るのが好ましい。例えば、繊維素子300内には約0.05mg~約100mgの添加剤を含
めることができる。
【0119】
用語“約”を数値と関連してこの明細書及び特許請求の範囲で用いている場合、この用
語は、関連する数値がその数値の前後に±10%の許容誤差を含むことを意味するもので
ある。更に、この明細書で%を参照する場合には、この%は重量、すなわち重量%に基づ
いているものである。
【0120】
更に、用語“一般には”及び“実質的に”が幾何学的形状と関連して用いられている場
合、これらの用語は、幾何学的形状の精度は必要としないが、形状に対する余裕が開示範
囲内にあることを意味するものである。これらの用語“一般には”及び“実質的に”は、
幾何学的用語に対して用いられている場合、厳密な規定を満足する特徴のみならず、この
厳密な規定にかなり近似する特徴をも包含するものである。
【0121】
本明細書では、新たな、改良した、自明ではない電子式喫煙物を、特に当業者が理解す
るのに充分に説明したこと明らかである。更に、当業者にとって明らかなように、本発明
の精神及び範囲から本質的に逸脱することなしに、電子式喫煙物の特徴事項に対し種々の
変更、変形、置換及び等価処置を行うことができる。従って、特許請求の範囲に規定した
本発明の精神及び範囲に入るこのような変更、変形、置換及び等価処置が特許請求の範囲
に含まれるものである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【外国語明細書】