(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044068
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】透明な断熱体を含む哺乳瓶用温度計
(51)【国際特許分類】
A61J 9/02 20060101AFI20220310BHJP
G01K 1/16 20060101ALI20220310BHJP
G01K 1/143 20210101ALI20220310BHJP
【FI】
A61J9/02 B
G01K1/16
G01K1/143
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149503
(22)【出願日】2020-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】713010411
【氏名又は名称】加藤 博和
(72)【発明者】
【氏名】加藤 博和
【テーマコード(参考)】
2F056
4C047
【Fターム(参考)】
2F056CA03
2F056CA16
2F056CA18
2F056DA02
2F056DA08
4C047PP15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】哺乳瓶の内部に温度計を挿入することなく、また哺乳瓶内のミルクに温度測定用の器具を接触させることなく、哺乳瓶の外壁面に接触する温度計の感温部を用いて、哺乳瓶の内部にあるミルクの温度を測定できる哺乳瓶用温度計を提供する。
【解決手段】哺乳瓶1の外側に熱接触する温度計2の感温部3を、哺乳瓶外側の温度の影響を排除するに必要な幅と奥行と厚みをもった断熱体5で覆うことにより、哺乳瓶内側にあるミルクの温度を哺乳瓶外側から測定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳瓶外壁に熱接触する感温部と該感温部を覆い哺乳瓶に密着する透明な断熱体を備えたことを特徴とする哺乳瓶用温度計。
【請求項2】
前記の透明な断熱体は、哺乳瓶に密着する下面部に相対する上面部が透明である容器と該容器に内封された気体で構成されていることを特徴とする請求項1記載の哺乳瓶用温度計。
【請求項3】
前記の透明な断熱体は、エアロゲルで構成されていることを特徴とする請求項1記載の哺乳瓶用温度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳瓶の外側に取付け、哺乳瓶の中にあるミルクの温度を測定する温度計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、哺乳瓶の中にあるミルクの温度を測定するために、哺乳瓶の内壁に温度計を取り付けた哺乳瓶(例えば特許文献 1を参照)、良熱伝導性膜を介して哺乳瓶内のミルクの温度を検出する温度計(例えば特許文献 2を参照)、そして哺乳瓶の外側に金属板と液晶を取り付けた温度計(例えば特許文献 3を参照)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平02-111440号
【特許文献2】実開昭62-117537号
【特許文献3】実開昭51-160582号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乳児のミルクを調乳するには、粉ミルクをいれた哺乳瓶に70度以上の熱湯を注ぎ、冷却することにより40度程度の適温まで冷ます必要がある。乳児にミルクを調乳するときは母親にとって忙しいときでもあり、その最中に高温のミルクを冷水で短時間冷ましては哺乳瓶の温度を手で確認し、再び冷水で冷ますということを繰り返し、最後は手首の皮膚にミルクを数滴落として確認し、授乳ということになる。このように忙しい時に手数が掛かり、それを昼夜何回となく調乳しなければならないことから、母親にとって大きな負担になっている。この負担を軽減するため、ミルクの温度を測定する温度計がある。
【0005】
哺乳瓶内に温度計を取り付け、哺乳瓶の中に入れたミルクの温度を測定する温度計では、ミルクの温度を正確に測定することができるが、哺乳瓶内に温度計を取り付けるため衛生面で注意が必要となる(例えば特許文献 1を参照)。哺乳瓶の外面に温度計を取り付け測定する場合は哺乳瓶の熱伝導度が低く且つ温度計が冷水に触れているため実用レベルでの温度検出が不可能であるとして、哺乳瓶内に直接温度計を挿入しないが乳首部に熱伝導性の高い薄膜とそれに接触する感温部を取り付けた温度計がある。この温度計においても薄膜はミルクに接触するため、衛生的に取り扱うために注意が必要である(例えば特許文献 2を参照)。哺乳瓶内のミルクと直接接触しないでミルクの温度を測定する温度計として、哺乳瓶外壁に熱伝導のよい金属板を密着させその外側に温度によって変色する液晶を取り付ける温度計がある(例えば特許文献 3を参照)が、哺乳瓶を冷水で冷却させる場合正確な温度を表示しないなどの問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明に係る哺乳瓶用温度計は以下の手段を有する。
【0007】
第一の手段は、哺乳瓶外壁に熱接触する感温部と該感温部を覆い哺乳瓶に密着する透明な断熱体を備えたことを特徴とする。
【0008】
第二の手段は、前記の透明な断熱体は、哺乳瓶に密着する下面部に相対する上面部が透明である容器と該容器に内封された気体で構成されていることを特徴とする。
【0009】
第三の手段は、前記の透明な断熱体は、エアロゲルで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
前記第一の解決手段によれば、哺乳瓶内のミルクの温度を哺乳瓶外側に取り付けた感温部で測定することができ、しかもその指示値を断熱体を通して直接目視することができる。
【0011】
前記第二の解決手段によれば、断熱体は容器と気体から構成されていることから、断熱体の外部に感温部を配置することができるが、さらに断熱体の中に感温部を封入することもできる。
【0012】
前記第三の解決手段によれば、断熱体は透明な固形物であることから断熱体の容器は必ずしも必要とはしないことから、構造が簡単になる。
【0013】
本発明によれば、哺乳瓶の外側に感温部を熱接触させ、その上から断熱体を密着させることにより、哺乳瓶の中にあるミルクの温度を哺乳瓶の外側から測定することができる。ミルクの温度を測定する温度計として、哺乳瓶の中に挿入する温度計や、良熱伝導性薄膜を通してミルクに熱接触させて測定する温度計がある。それらはミルクの温度を測定することはできるが、温度計を授乳の度に滅菌する必要があり、母親の負担を軽減することにはならず、逆に負担を増加させることにもなる。断熱材で覆われないで哺乳瓶の外側に取り付けられた液晶では、冷却水の影響を受けてミルクの温度を測定することはできない。
【0014】
本発明の哺乳瓶用温度計を哺乳瓶の外側に密着させ哺乳瓶を冷水で冷ますことにより、ミルクを手間をかけずに効率よく短時間でしかも簡単に適温まで冷却することができる。感温部の材料として、液晶示温シート、バイメタル、有機液体が好ましいが、これらの感温部を哺乳瓶外側に直接接触させるか、もしくは薄膜を介して哺乳瓶外側に熱的に接触させ、その上から断熱体を密着させることにより、感温部はミルクの温度を精度よく測定することができる。測定された温度は、表示部で表示され、透明な断熱体を通して、直接目視することができる。
【0015】
本発明の哺乳瓶用温度計は滅菌する必要はなく、また着脱式であるため、哺乳瓶を簡単に洗浄することができる。また着脱式であるため、母親が使用を望む哺乳瓶に装着することができることから、特定の哺乳瓶を選択しないことも特長である。これらのことから、前記課題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明実施例1に係る哺乳瓶用温度計の構造を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA-Aにおける端面図である。
【
図2】
図2は、本発明実施例2に係る哺乳瓶用温度計の構造を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA-Aにおける端面図である。
【
図3】
図3は、本発明実施例3に係る哺乳瓶用温度計の実施形態の構成を示す端面図であり、(a)は下面部がない場合、(b)は下面部の上に感温部がある場合、(c)は下面部の下に感温部がある場合である。
【
図4】
図4は、本発明実施例4に係る哺乳瓶用温度計の別の実施形態の構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のA-Aにおける端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る哺乳瓶用温度計の実施の形態を
図1から
図4に基づいて説明する。
【0018】
なお、本記載は特許請求の範囲を示した例であり、特許請求の範囲を本記載に限定することを意味するものではない。
【実施例0019】
実施例1は、前記解決手段の第一と第二を実施した場合の例であり、哺乳瓶用温度計の構造を
図1を用いて説明する。
【0020】
図1(a)は哺乳瓶1に哺乳瓶用温度計2を密着したところの斜視図である。
図1(b)は
図1(a)のA-A端面図であり、断熱体5の構造を示す。断熱体5は側壁7、上面部8、下面部9からなる容器6と、容器6に内封された気体10から構成されている。感温部3は下面部9に密着し、表示部4は上面部8と向き合っている。感温部3で測定された温度は、表示部4で表示され、透明な気体10と透明な上面部8を通して、断熱体5の外部から目視することができる。
【0021】
断熱体5の外形は直方体、楕円柱、そして円柱が考えられるが、うち好ましくは円柱である。断熱体5の上面部8および下面部9の幅および奥行は15mm~80mmが考えられるが、うち好ましくは40mmである。断熱体5の高さは5mm~30mmが考えれるが、うち好ましくは20mmである。気体10として透明で熱伝導率の小さい、空気、窒素ガス、そしてアルゴンガスが考えられるが、このうち好ましくは空気である。容器6の上面部8は熱伝導率が小さく透明なプラスチックが考えられるが、プラスチックのうち好ましくはアクリルである。感温部3の熱応答は下面部9の熱伝達に依存するため、下面部9は哺乳瓶1の熱伝導率に近く、でき得る限り薄いことが望まれる。このことから強度の大きなプラスチックが考えられるが、プラスチックのうち好ましくはポリエチレンテレフタラートのフィルムである。下面部9の厚みは10μmから1000μmが考えられるが、好ましくは30μmである。下面部9は透明が好ましいが不透明でもよい。下面部9が透明であると、哺乳瓶1から感温部3への熱伝達を良くするため、感温部3と表示部4を断熱体5の外側に配置し哺乳瓶に密着させることができる。側壁7は熱伝導率が小さく断熱体5の形状を保つに充分な強度が必要である。側壁7は透明であっても、透明でなくてもよい。冷却水が哺乳瓶1と下面部9の間に侵入しないようにするため、側壁7は弾力性のある素材が望ましく、弾力性のある材質として独立気泡型のフッ素スポンジ、シリコンスポンジ、ポリエチレンスポンジがあるが、好ましくはシリコンスポンジである。側壁7のすべてをスポンジにしてもよいが、下面部9の近傍のみをスポンジにしてもよい。