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特開2022-44090ブリスタシート製造集積装置及びブリスタシートの製造集積方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044090
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】ブリスタシート製造集積装置及びブリスタシートの製造集積方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 63/00 20060101AFI20220310BHJP
【FI】
B65B63/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149539
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】野田 尚彦
(72)【発明者】
【氏名】畠山 肇
(72)【発明者】
【氏名】樋口 守彦
【テーマコード(参考)】
3E056
【Fターム(参考)】
3E056AA01
3E056BA11
3E056CA12
3E056DA03
3E056DA05
3E056EA05
3E056FA02
3E056GA01
3E056HA08
(57)【要約】
【課題】印刷ヘッドのクリーニングに伴う生産速度の低下抑制などを図る。
【解決手段】PTPシート製造集積装置10は、印刷ヘッドにより印刷の施された錠剤を有してなるPTPシートを製造するPTP包装機11と、PTPシートを集積する集積装置91と、集積装置91への投入前のPTPシートを貯留するシートバッファ装置81とを備える。PTPシートの製造時に、単位時間当たりに製造されるPTPシートの数が集積装置91による単位時間当たりのPTPシートの処理数よりも多くなるように設定されることで、シートバッファ装置81にPTPシートが貯留される。そして、印刷ヘッドのクリーニングに伴いPTPシートの製造が停止される時間帯と、貯留されたPTPシートを集積装置91へと投入する時間帯とが全部又は一部において重複させられる。これにより、クリーニングに伴う集積装置91の稼働停止の一部又は全てが防止される。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するとともに、製造したブリスタシートを集積する機能を備えたブリスタシート製造集積装置であって、
内容物に対し印刷を施す印刷ヘッドを有するとともに、内容物に対する印刷を停止した上で前記印刷ヘッドのクリーニングを実行可能なインクジェット方式の印刷手段と、
帯状の前記容器フィルムに形成された前記ポケット部に対し前記印刷手段によって印刷の施された内容物を充填するとともに、該容器フィルムに対し該ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着し、かつ、該容器フィルムに該カバーフィルムが取着されてなる帯状のブリスタフィルムを切離してブリスタシートを製造するブリスタシート包装手段と、
前記ブリスタシート包装手段によって製造されたブリスタシートを集積する集積手段と、
前記ブリスタシート包装手段及び前記集積手段間において、前記集積手段へと投入されるブリスタシートを貯留するためのシートバッファ手段とを備え、
前記印刷手段及び前記ブリスタシート包装手段を稼働させてブリスタシートを製造している状態においては、単位時間当たりに製造されるブリスタシートの数が前記集積手段による単位時間当たりのブリスタシートの処理数よりも多いものとなるように設定されており、
前記印刷手段による内容物への印刷を停止して前記印刷ヘッドのクリーニングを実行することに伴い、前記ブリスタシート包装手段によるブリスタシートの製造が一時的に停止される時間帯と、前記シートバッファ手段に貯留されたブリスタシートを前記集積手段へと投入する時間帯とが全部又は一部において重複するように構成されていることを特徴とするブリスタシート製造集積装置。
【請求項2】
前記印刷手段は、
所定の搬送経路に沿って内容物を搬送する内容物搬送手段と、
前記内容物搬送手段により搬送される内容物を前記印刷ヘッドよりも上流位置にて撮像する撮像手段とを備え、
前記印刷ヘッドは、インクを吐出可能な複数のノズルを備えるものであり、
前記撮像手段により得られたデータに基づき、前記複数のノズルのうちの選択されたものがインクを吐出することによって、前記印刷手段による内容物に対する印刷位置を調節可能に構成されており、
前記印刷手段を稼働させるとともに、前記ブリスタシート包装手段により前記ポケット部へと内容物を充填している状態においては、印刷の施される内容物の数が前記ブリスタシート包装手段によって前記ポケット部に充填される内容物の数よりも多いものとなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のブリスタシート製造集積装置。
【請求項3】
前記印刷手段は、
前記内容物搬送手段によって搬送される内容物を検査する内容物検査手段と、
前記内容物検査手段によって不良判定された内容物を系外に排出する不良品排出手段とを備え、
前記印刷手段及び前記ブリスタシート包装手段間には、内容物を貯留するための内容物バッファ手段が設けられており、
前記内容物バッファ手段には、前記内容物検査手段によって良判定された内容物のみが貯留されるように構成されており、
前記ブリスタシート包装手段によって単位時間当たりに前記ポケット部に充填される内容物の数が前記内容物検査手段によって単位時間当たりに良判定される内容物の数よりも多くなる時間帯が、前記内容物バッファ手段に貯留された内容物を前記ポケット部へと充填する時間帯と重複するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のブリスタシート製造集積装置。
【請求項4】
前記印刷手段は、
所定の搬送経路に沿って内容物を搬送する内容物搬送手段と、
前記内容物搬送手段により搬送される内容物を前記印刷ヘッドよりも上流位置にて撮像する撮像手段とを備え、
前記撮像手段により得られたデータに基づき、前記印刷手段による内容物に対する印刷位置が調節可能に構成されており、
前記印刷ヘッドのクリーニングに伴い前記搬送手段による内容物の搬送を一時的に停止した後においては、前記撮像手段と前記印刷ヘッドとの間に位置する前記搬送経路に内容物がない状態で、前記搬送手段による内容物の搬送を再開するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブリスタシート製造集積装置。
【請求項5】
前記印刷手段は、所定の搬送経路に沿って内容物を搬送する内容物搬送手段を備えるとともに、該内容物搬送手段により搬送される内容物に印刷を施すように構成されており、
所定の第一数値をmとし、前記第一数値よりも多数である第二数値をnとしたときに、
前記内容物搬送手段は、m列に並んだ状態で内容物を搬送するとともに、
前記ブリスタシート包装手段は、n列に並んだ内容物を前記ポケット部に充填する充填手段を有しており、
前記内容物搬送手段及び前記充填手段間において、内容物の列数をmからnに変換する列数変換手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブリスタシート製造集積装置。
【請求項6】
容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造する工程、及び、製造したブリスタシートを集積する工程を含むブリスタシートの製造集積方法であって、
インクジェット方式の印刷手段が備える印刷ヘッドによって、内容物に対し印刷を施す印刷工程と、
前記印刷工程の実行を停止した上で前記印刷ヘッドのクリーニングを行うクリーニング工程と、
帯状の前記容器フィルムに形成された前記ポケット部に対し前記印刷工程によって印刷の施された内容物を充填するとともに、該容器フィルムに対し該ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着し、かつ、該容器フィルムに該カバーフィルムが取着されてなる帯状のブリスタフィルムを切離してブリスタシートを製造するブリスタシート包装工程と、
所定のシートバッファ手段によって、前記ブリスタシート包装工程により製造されたブリスタシートを貯留するシートバッファ工程と、
前記シートバッファ手段に貯留されたブリスタシートを所定の集積手段へと投入するシート投入工程と、
前記集積手段によってブリスタシートを集積する集積工程とを備え、
前記印刷工程及び前記ブリスタシート包装工程を実行してブリスタシートを製造している状態においては、単位時間当たりに製造されるブリスタシートの数が前記集積工程による単位時間当たりのブリスタシートの処理数よりも多いものとなるように設定されており、
前記クリーニング工程の実行に伴い、前記ブリスタシート包装工程によるブリスタシートの製造が一時的に停止される時間帯と、前記シート投入工程を実行する時間帯とが全部又は一部において重複することを特徴とするブリスタシートの製造集積方法。
【請求項7】
前記印刷工程は、
所定の搬送経路に沿って内容物を搬送する内容物搬送工程と、
前記内容物搬送工程により搬送される内容物を前記印刷ヘッドよりも上流位置にて撮像する撮像工程とを含み、
前記印刷ヘッドは、インクを吐出可能な複数のノズルを備えるものであり、
前記撮像工程により得られたデータに基づき、前記複数のノズルのうちの選択されたものがインクを吐出することによって、前記印刷工程における内容物に対する印刷位置を調節可能であり、
前記印刷工程を実行しているとともに、前記ブリスタシート包装工程状態により前記ポケット部へと内容物を充填している状態においては、印刷の施される内容物の数が前記ブリスタシート包装工程によって前記ポケット部に充填される内容物の数よりも多いものとなるように設定されていることを特徴とする請求項6に記載のブリスタシートの製造集積方法。
【請求項8】
前記印刷工程は、
前記内容物搬送工程によって搬送される内容物を検査する内容物検査工程と、
前記内容物検査工程によって不良判定された内容物を系外に排出する不良品排出工程とを含み、
前記印刷工程により印刷の施された内容物を前記ポケット部へと充填する前において、該内容物を所定の内容物バッファ手段に貯留する内容物バッファ工程を備え、
前記内容物バッファ手段には、前記内容物検査工程によって良判定された内容物のみが貯留され、
前記ブリスタシート包装工程によって単位時間当たりに前記ポケット部に充填される内容物の数が前記内容物検査工程によって単位時間当たりに良判定される内容物の数よりも多くなる時間帯が、前記内容物バッファ手段に貯留された内容物を前記ポケット部へと充填する時間帯と重複するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のブリスタシート製造集積方法。
【請求項9】
前記印刷工程は、
所定の搬送経路に沿って内容物を搬送する内容物搬送工程と、
所定の撮像手段によって、前記内容物搬送工程により搬送される内容物を前記印刷ヘッドよりも上流位置にて撮像する撮像工程とを含み、
前記撮像工程により得られたデータに基づき、前記印刷工程における内容物に対する印刷位置が調節可能であり、
前記クリーニング工程の実行に伴い前記内容物搬送工程を一時的に停止した後においては、前記撮像手段と前記印刷ヘッドとの間に位置する前記搬送経路に内容物がない状態で、前記搬送工程を再開することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のブリスタシートの製造集積方法。
【請求項10】
前記印刷工程は、所定の搬送経路に沿って内容物を搬送する内容物搬送工程を含むとともに、該内容物搬送工程により搬送される内容物に印刷を施すものであり、
所定の第一数値をmとし、前記第一数値よりも多数である第二数値をnとしたときに、
前記内容物搬送工程では、m列に並んだ状態で内容物を搬送し、
前記ブリスタシート包装工程は、n列に並んだ内容物を前記ポケット部に充填する充填工程を含み、
前記内容物搬送工程及び前記充填工程間において、内容物の列数をmからnに変換する列数変換工程を備えることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載のブリスタシートの製造集積方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷の施された内容物を収容してなるブリスタシートを製造するとともに、製造したブリスタシートの集積を行うことが可能なブリスタシート製造集積装置、及び、ブリスタシートの製造集積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に医薬品や食料品等の分野において用いられるブリスタシートとしてPTP(プレススルーパック)シートが知られている。PTPシートは、錠剤等の内容物が収容されるポケット部を有する容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとを備えている。
【0003】
かかるPTPシートは、PTP包装機を用いて製造される。PTP包装機は、搬送される帯状の容器フィルムを予熱する手段、予熱された容器フィルムに対しポケット部を形成する手段、ポケット部に内容物を充填する手段、ポケット部の開口側を密封するように容器フィルムに対しカバーフィルムを取着する手段、容器フィルム及びカバーフィルムからなる帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜く手段等を備えている。
【0004】
また、製造されたPTPシートは、所定の集積手段によって集積される。そして、集積された複数のPTPシートに対し、例えばバンド結束やピロー包装、箱詰めなどの処理が施されることでシート梱包体が得られ、このシート梱包体が最終的に出荷される。尚、仮に集積手段を停止させたときであっても、PTP包装機によるPTPシートの製造を停止させずに済むように、製造されたPTPシートを一時的に貯留するためのバッファ手段を設けることがある(例えば、特許文献1等参照)。
【0005】
加えて、従来、内容物の表面に対し、製品名や製品番号など、文字や記号等からなる識別情報の印刷を施すことがある。内容物に印刷を施すための印刷手段としては、印刷ヘッドを備えてなるインクジェット方式のものが知られている。印刷ヘッドは、複数のノズルを具備しており、これらノズルからインクを吐出することで印刷を行う。尚、前記PTP包装機として、印刷手段を一体的に備えたものが知られている(例えば、特許文献2等参照)。
【0006】
ところで、インクジェット方式の印刷手段においては、印刷品質の低下を防ぐために、印刷ヘッドの定期的なクリーニングを行う必要がある。しかし、印刷手段を一体的に備えたPTP包装機においては、印刷ヘッドのクリーニング時に印刷を停止させると、結果的に、印刷された内容物が不足して、PTP包装機によるPTPシートの製造を一時的に停止させる必要が生じ得る。PTPシートの製造を停止させると、集積手段に投入(供給)すべきPTPシートが不足することとなり、集積手段を停止させる必要が生じる。このような集積手段の停止は、最終的に得られるシート梱包体の生産を滞らせることに繋がり、生産速度の低下を招くこととなる。
【0007】
これに対し、第1の印刷ヘッド及び第2の印刷ヘッドを備えた印刷手段を用い、第1の印刷ヘッドのクリーニング時には第2の印刷ヘッドにより印刷を行うことで印刷の停止を防ぎ、ひいては集積手段の停止を避けることが考えられる(例えば、特許文献3等参照)。第2の印刷ヘッドは、いわば第1の印刷ヘッドのクリーニング時に使用される予備の印刷ヘッドといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭59-1326号公報
【特許文献2】特開2018-143615号公報
【特許文献3】特許第6405114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、印刷手段において予備の印刷ヘッドを設けることは、装置の製造やメンテナンス等に係るコストの増大を招くとともに、装置の大型化を生じさせるおそれがある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コストの増大や装置の大型化をより確実に防止しつつ、印刷ヘッドのクリーニングに伴う生産速度の低下を抑えることができるブリスタシート製造集積装置などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0012】
手段1.容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するとともに、製造したブリスタシートを集積する機能を備えたブリスタシート製造集積装置であって、
内容物に対し印刷を施す印刷ヘッドを有するとともに、内容物に対する印刷を停止した上で前記印刷ヘッドのクリーニングを実行可能なインクジェット方式の印刷手段と、
帯状の前記容器フィルムに形成された前記ポケット部に対し前記印刷手段によって印刷の施された内容物を充填するとともに、該容器フィルムに対し該ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着し、かつ、該容器フィルムに該カバーフィルムが取着されてなる帯状のブリスタフィルムを切離してブリスタシートを製造するブリスタシート包装手段と、
前記ブリスタシート包装手段によって製造されたブリスタシートを集積する集積手段と、
前記ブリスタシート包装手段及び前記集積手段間において、前記集積手段へと投入されるブリスタシートを貯留するためのシートバッファ手段とを備え、
前記印刷手段及び前記ブリスタシート包装手段を稼働させてブリスタシートを製造している状態においては、単位時間当たりに製造されるブリスタシートの数が前記集積手段による単位時間当たりのブリスタシートの処理数よりも多いものとなるように設定されており、
前記印刷手段による内容物への印刷を停止して前記印刷ヘッドのクリーニングを実行することに伴い、前記ブリスタシート包装手段によるブリスタシートの製造が一時的に停止される時間帯と、前記シートバッファ手段に貯留されたブリスタシートを前記集積手段へと投入する時間帯とが全部又は一部において重複するように構成されていることを特徴とするブリスタシート製造集積装置。
【0013】
上記手段1によれば、印刷手段及びブリスタシート包装手段を稼働させてブリスタシートを製造している状態(通常製造時)においては、単位時間当たりに製造されるブリスタシートの数が集積手段による単位時間当たりのブリスタシートの処理数(集積処理されるブリスタシートの数)よりも多いものとなるように設定されている。従って、通常製造時には、シートバッファ手段に対しブリスタシートを徐々に貯留していくことができる。
【0014】
その上で、上記手段1によれば、印刷手段による内容物への印刷を停止して印刷ヘッドのクリーニングを実行することに伴いブリスタシートの製造が一時的に停止される時間帯と、シートバッファ手段に貯留されたブリスタシートを集積手段へと投入する時間帯とが全部又は一部において重複するように構成されている。つまり、ブリスタシートの製造停止時には、予め貯留されたブリスタシートが集積手段に投入されるようになっている。これにより、印刷ヘッドのクリーニングに伴う集積手段の停止の一部又は全てを防ぐことができ、生産速度の低下を抑えることができる。
【0015】
また、上記手段1によれば、集積手段の停止を防ぐにあたって、予備の印刷ヘッドを設ける必要がない。これにより、装置の製造やメンテナンス等に係るコストの増大、及び、装置の大型化をより確実に防止することができる。
【0016】
手段2.前記印刷手段は、
所定の搬送経路に沿って内容物を搬送する内容物搬送手段と、
前記内容物搬送手段により搬送される内容物を前記印刷ヘッドよりも上流位置にて撮像する撮像手段とを備え、
前記印刷ヘッドは、インクを吐出可能な複数のノズルを備えるものであり、
前記撮像手段により得られたデータに基づき、前記複数のノズルのうちの選択されたものがインクを吐出することによって、前記印刷手段による内容物に対する印刷位置を調節可能に構成されており、
前記印刷手段を稼働させるとともに、前記ブリスタシート包装手段により前記ポケット部へと内容物を充填している状態においては、印刷の施される内容物の数が前記ブリスタシート包装手段によって前記ポケット部に充填される内容物の数よりも多いものとなるように設定されていることを特徴とする手段1に記載のブリスタシート製造集積装置。
【0017】
上記手段2によれば、搬送される内容物が印刷ヘッドよりも上流位置にて撮像手段によって撮像されるとともに、撮像手段により得られたデータに基づき、内容物に対する印刷位置が調節される。従って、内容物の状態(例えば位置や向き)を踏まえた適切な位置に印刷を施すことができ、印刷品質の向上を図ることができる。
【0018】
また、上記手段2によれば、印刷手段を稼働させるとともに、ブリスタシート包装手段によりポケット部へと内容物を充填している状態(換言すれば、印刷手段が稼働している時間帯と、ポケット部に対する内容物の充填が行われている時間帯とが重複する時間帯)においては、印刷の施される内容物の数(前記重複する時間帯における総数)がポケット部に充填される内容物の数(前記重複する時間帯における総数)よりも多いものとなるように設定されている。従って、印刷ヘッドによる印刷頻度(単位時間当たりに印刷の施される内容物の数)を増加させることができるため、各ノズルがインクの吐出対象として選択されやすくなる。これにより、一般にインクの吐出対象として選択されにくいノズル(例えば、印刷手段による印刷可能領域の端を担当するノズル)であってもインクの吐出を行いやすくなる。そのため、インクの固形化や増粘等によるノズルの目詰まり不良を効果的に抑制して、印刷不良の発生をより確実に防止することができる。また、ノズルの目詰まりが生じにくくなることで、印刷ヘッドのクリーニング頻度やクリーニング時間を低減することができる。これらの結果、生産速度の向上を図ることができる。
【0019】
手段3.前記印刷手段は、
前記内容物搬送手段によって搬送される内容物を検査する内容物検査手段と、
前記内容物検査手段によって不良判定された内容物を系外に排出する不良品排出手段とを備え、
前記印刷手段及び前記ブリスタシート包装手段間には、内容物を貯留するための内容物バッファ手段が設けられており、
前記内容物バッファ手段には、前記内容物検査手段によって良判定された内容物のみが貯留されるように構成されており、
前記ブリスタシート包装手段によって単位時間当たりに前記ポケット部に充填される内容物の数が前記内容物検査手段によって単位時間当たりに良判定される内容物の数よりも多くなる時間帯が、前記内容物バッファ手段に貯留された内容物を前記ポケット部へと充填する時間帯と重複するように構成されていることを特徴とする手段2に記載のブリスタシート製造集積装置。
【0020】
通常、印刷不良の発生率は、印刷の実行に伴い経時的に増大していくものであり、印刷ヘッドのクリーニング直後に最も低くなり、印刷ヘッドのクリーニング直前に最も高くなる。そのため、上記手段2のように印刷の施される内容物の数が充填される内容物の数よりも多いものとなるように設定することで、印刷不良の発生率が比較的低い時間帯においては、内容物バッファ手段に対し内容物を徐々に貯留していくことができる。
【0021】
その上で、上記手段3によれば、単位時間当たりにポケット部に充填される内容物の数が単位時間当たりに良判定される内容物の数よりも多くなる時間帯が、内容物バッファ手段に貯留された内容物をポケット部へと充填する時間帯と重複するようになっている。つまり、印刷不良の発生率が比較的高いものとなって、ポケット部へと充填される内容物の数の方が良判定される内容物の数よりも多いものとなる時間帯においても、内容物バッファ手段に予め貯留された内容物が安定的にポケット部へと充填されるようになっている。これにより、内容物の不足に伴う内容物の充填停止を抑制することができ、ひいては充填停止に伴うブリスタシートの製造停止を抑えることができる。その結果、生産速度の低下抑制をより確実に図ることができる。
【0022】
手段4.前記印刷手段は、
所定の搬送経路に沿って内容物を搬送する内容物搬送手段と、
前記内容物搬送手段により搬送される内容物を前記印刷ヘッドよりも上流位置にて撮像する撮像手段とを備え、
前記撮像手段により得られたデータに基づき、前記印刷手段による内容物に対する印刷位置が調節可能に構成されており、
前記印刷ヘッドのクリーニングに伴い前記搬送手段による内容物の搬送を一時的に停止した後においては、前記撮像手段と前記印刷ヘッドとの間に位置する前記搬送経路に内容物がない状態で、前記搬送手段による内容物の搬送を再開するように構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のブリスタシート製造集積装置。
【0023】
上記手段4によれば、上記手段2と同様に、内容物の状態(例えば位置や向き)を踏まえた適切な位置に印刷を施すことができ、印刷品質の向上を図ることができる。
【0024】
また、上記手段4によれば、印刷ヘッドのクリーニングに伴い内容物搬送手段による内容物の搬送を一時的に停止した後には、撮像手段と印刷ヘッドとの間に位置する搬送経路に内容物がない状態で、内容物の搬送が再開される。従って、搬送再開に伴う衝撃が内容物に加わって内容物の状態(例えば位置や向き)が変化したとしても、状態が変化した後の内容物を撮像して得られたデータに基づき印刷位置を調節することができる。これにより、内容物の搬送及び印刷を再開した直後においても内容物の状態を踏まえた適切な位置に印刷を施すことが可能となり、印刷品質の向上効果をより確実に担保することができる。
【0025】
手段5.前記印刷手段は、所定の搬送経路に沿って内容物を搬送する内容物搬送手段を備えるとともに、該内容物搬送手段により搬送される内容物に印刷を施すように構成されており、
所定の第一数値をmとし、前記第一数値よりも多数である第二数値をnとしたときに、
前記内容物搬送手段は、m列に並んだ状態で内容物を搬送するとともに、
前記ブリスタシート包装手段は、n列に並んだ内容物を前記ポケット部に充填する充填手段を有しており、
前記内容物搬送手段及び前記充填手段間において、内容物の列数をmからnに変換する列数変換手段を備えることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のブリスタシート製造集積装置。
【0026】
上記手段5によれば、内容物搬送手段による搬送時(すなわち、印刷手段による印刷時)における内容物の列数(m列)よりも、ポケット部に対する内容物の充填時における内容物の列数(n列)を増加させることができる。すなわち、上記手段5によれば、比較的少ない列数で内容物の印刷処理を行いつつ、比較的多い列数で内容物の充填を行うことができる。比較的少ない列数で内容物の印刷処理を行うことができるため、印刷手段の規模を小さなものとすることができ、装置の製造やメンテナンス、印刷手段の制御処理などに係る各種コストの抑制を図ることができる。一方、比較的多い列数で内容物の充填を行うことができるため、内容物の充填に係る高速化を図ることができ、ブリスタシートの製造速度の向上を図ることができる。
【0027】
また、上記手段5によれば、印刷時の列数が比較的少なくて済むことから、印刷ヘッドをクリーニングするための装置の規模を小さなものとすることができる。そのため、コストの抑制をより効果的に図ることができる。
【0028】
さらに、上記手段5によれば、印刷手段による印刷頻度をより増加させることができる。そのため、印刷ヘッドが複数のノズルを備えるものであって、これらノズルのうちの選択されたものがインクを吐出することによって、内容物に対する印刷位置を調節可能なものである場合、各ノズルがインクの吐出対象としてより選択されやすくなり、一般にインクの吐出対象として選択されにくいノズルであってもインクの吐出をより行いやすくなる。これにより、ノズルの目詰まり不良をより効果的に抑制することができ、印刷不良の発生を一層確実に防止することができる。また、ノズルの目詰まり不良が抑制されることで、印刷ヘッドのクリーニング頻度やクリーニング時間を低減させることができ、生産速度の更なる向上を図ることができる。
【0029】
手段6.容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造する工程、及び、製造したブリスタシートを集積する工程を含むブリスタシートの製造集積方法であって、
インクジェット方式の印刷手段が備える印刷ヘッドによって、内容物に対し印刷を施す印刷工程と、
前記印刷工程の実行を停止した上で前記印刷ヘッドのクリーニングを行うクリーニング工程と、
帯状の前記容器フィルムに形成された前記ポケット部に対し前記印刷工程によって印刷の施された内容物を充填するとともに、該容器フィルムに対し該ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着し、かつ、該容器フィルムに該カバーフィルムが取着されてなる帯状のブリスタフィルムを切離してブリスタシートを製造するブリスタシート包装工程と、
所定のシートバッファ手段によって、前記ブリスタシート包装工程により製造されたブリスタシートを貯留するシートバッファ工程と、
前記シートバッファ手段に貯留されたブリスタシートを所定の集積手段へと投入するシート投入工程と、
前記集積手段によってブリスタシートを集積する集積工程とを備え、
前記印刷工程及び前記ブリスタシート包装工程を実行してブリスタシートを製造している状態においては、単位時間当たりに製造されるブリスタシートの数が前記集積工程による単位時間当たりのブリスタシートの処理数よりも多いものとなるように設定されており、
前記クリーニング工程の実行に伴い、前記ブリスタシート包装工程によるブリスタシートの製造が一時的に停止される時間帯と、前記シート投入工程を実行する時間帯とが全部又は一部において重複することを特徴とするブリスタシートの製造集積方法。
【0030】
上記手段6によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0031】
手段7.前記印刷工程は、
所定の搬送経路に沿って内容物を搬送する内容物搬送工程と、
前記内容物搬送工程により搬送される内容物を前記印刷ヘッドよりも上流位置にて撮像する撮像工程とを含み、
前記印刷ヘッドは、インクを吐出可能な複数のノズルを備えるものであり、
前記撮像工程により得られたデータに基づき、前記複数のノズルのうちの選択されたものがインクを吐出することによって、前記印刷工程における内容物に対する印刷位置を調節可能であり、
前記印刷工程を実行しているとともに、前記ブリスタシート包装工程状態により前記ポケット部へと内容物を充填している状態においては、印刷の施される内容物の数が前記ブリスタシート包装工程によって前記ポケット部に充填される内容物の数よりも多いものとなるように設定されていることを特徴とする手段6に記載のブリスタシートの製造集積方法。
【0032】
上記手段7によれば、上記手段2と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0033】
手段8.前記印刷工程は、
前記内容物搬送工程によって搬送される内容物を検査する内容物検査工程と、
前記内容物検査工程によって不良判定された内容物を系外に排出する不良品排出工程とを含み、
前記印刷工程により印刷の施された内容物を前記ポケット部へと充填する前において、該内容物を所定の内容物バッファ手段に貯留する内容物バッファ工程を備え、
前記内容物バッファ手段には、前記内容物検査工程によって良判定された内容物のみが貯留され、
前記ブリスタシート包装工程によって単位時間当たりに前記ポケット部に充填される内容物の数が前記内容物検査工程によって単位時間当たりに良判定される内容物の数よりも多くなる時間帯が、前記内容物バッファ手段に貯留された内容物を前記ポケット部へと充填する時間帯と重複するように構成されていることを特徴とする手段7に記載のブリスタシート製造集積方法。
【0034】
上記手段8によれば、上記手段3と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0035】
手段9.前記印刷工程は、
所定の搬送経路に沿って内容物を搬送する内容物搬送工程と、
所定の撮像手段によって、前記内容物搬送工程により搬送される内容物を前記印刷ヘッドよりも上流位置にて撮像する撮像工程とを含み、
前記撮像工程により得られたデータに基づき、前記印刷工程における内容物に対する印刷位置が調節可能であり、
前記クリーニング工程の実行に伴い前記内容物搬送工程を一時的に停止した後においては、前記撮像手段と前記印刷ヘッドとの間に位置する前記搬送経路に内容物がない状態で、前記搬送工程を再開することを特徴とする手段6乃至8のいずれかに記載のブリスタシートの製造集積方法。
【0036】
上記手段9によれば、上記手段4と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0037】
手段10.前記印刷工程は、所定の搬送経路に沿って内容物を搬送する内容物搬送工程を含むとともに、該内容物搬送工程により搬送される内容物に印刷を施すものであり、
所定の第一数値をmとし、前記第一数値よりも多数である第二数値をnとしたときに、
前記内容物搬送工程では、m列に並んだ状態で内容物を搬送し、
前記ブリスタシート包装工程は、n列に並んだ内容物を前記ポケット部に充填する充填工程を含み、
前記内容物搬送工程及び前記充填工程間において、内容物の列数をmからnに変換する列数変換工程を備えることを特徴とする手段6乃至9のいずれかに記載のブリスタシートの製造集積方法。
【0038】
上記手段10によれば、上記手段5と同様の作用効果が奏されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】PTPシートを示す斜視図である。
図2】PTPシートの部分拡大断面図である。
図3】錠剤を示す斜視図である。
図4】PTPフィルムを示す斜視図である。
図5】PTPシート製造集積装置の概略構成を示す模式図である。
図6】PTP包装機などの概略構成を示す模式図である。
図7】印刷装置、錠剤バッファ装置及び充填装置などの概略構成を示す正面模式図である。
図8】印刷装置、錠剤バッファ装置及び充填装置などの概略構成を示す斜視模式図である。
図9】供給装置などを示す斜視模式図である。
図10】不良品除去装置などを示す斜視模式図である。
図11】列数変換装置などを示す斜視模式図である。
図12】列数変換装置などを示す正面模式図である。
図13】錠剤バッファ装置及び受取搬送装置などを示す斜視模式図である。
図14】充填装置などを示す斜視模式図である。
図15】印刷ヘッドにおけるノズル列の配置を示す模式図である。
図16】第一印刷機の印刷ヘッドに対するクリーニングの開始直前において、錠剤の供給を停止した状態を示す模式図である。
図17】第一印刷機の印刷ヘッドに対しクリーニングを開始したときの状態を示す模式図である。
図18】第二印刷機の印刷ヘッドに対しクリーニングを開始したときの状態を示す模式図である。
図19】錠剤の供給を再開するとともに、第一印刷機の印刷ヘッドに対するクリーニングが完了したときの状態を示す模式図である。
図20】第二印刷機の印刷ヘッドに対するクリーニングが完了したときの状態を示す模式図である。
図21】クリーニングの完了後において、通常の動作状態に戻った印刷装置を示す模式図である。
図22】装置の稼働及び一時停止のタイミングやPTPシート等のバッファ量の遷移などを大まかに示す図である。
図23】別の実施形態において、PTPシートの製造が一時的に停止される時間帯と、貯留されたPTPシートを集積装置へと投入する時間帯とが一部において重複する場合における装置の稼働及び一時停止のタイミングなどを大まかに示す図である。
図24】別の実施形態における錠剤バッファ装置などを示す斜視模式図である。
図25】別の実施形態における第一搬送装置の吸着孔などを示す斜視模式図である。
図26】別の実施形態における印刷装置などの概略構成を示す斜視模式図である。
図27】別の実施形態において、錠剤のバッファ量の遷移などを大まかに示す図である。
図28】別の実施形態において、錠剤のバッファ量の遷移などを大まかに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、「ブリスタシート」としてのPTPシートの構成について説明する。
【0041】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0042】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。勿論、各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0043】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(図4参照)がシート状に打抜かれることによって製造されるものであり、平面視略矩形状に形成されている。本実施形態では、PTPフィルム6が「ブリスタフィルム」に相当する。
【0044】
PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、「内容物」としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0045】
図2,3に示すように、本実施形態における錠剤5は、平面視円形状をなす円盤状の素錠であって、側面5aと、該側面5aを挟む表面5b及び裏面5cとを有した構成となっている。そして、錠剤5の表面5b及び裏面5cの双方には、錠剤5に関する製品情報を示す識別情報(文字や記号、数字、図形など)が印刷されている。
【0046】
錠剤5に関する製品情報としては、例えば「製品名」、「含量」、「剤形」、「製造元」及び「ロット番号」などを挙げることができる。図3に示す例では、「製品名」としての「ABC」の文字と、「含量」としての「20」の数字とが印刷されている。以下では、これら「ABC」の文字や「20」の数字が印刷された部位を「印刷部5e」と称する。本実施形態では、同一内容の印刷部5eが表面5b及び裏面5cに形成されている。勿論、表面5b及び裏面5cにおいて、印刷部5eの内容が異なるものであってもよい。
【0047】
次に、上記PTPシート1を製造するとともに、製造されたPTPシート1を集積する機能を備えたPTPシート製造集積装置10の概略構成について説明する。図5に示すように、PTPシート製造集積装置10は、PTP包装機11、印刷装置51、錠剤バッファ装置61、制御装置71、シートバッファ装置81及び集積装置91を備えている。本実施形態では、PTPシート製造集積装置10が「ブリスタシート製造集積装置」を構成し、同様に、PTP包装機11が「ブリスタシート包装手段」を、印刷装置51が「印刷手段」を、錠剤バッファ装置61が「内容物バッファ手段」を、シートバッファ装置81が「シートバッファ手段」を、集積装置91が「集積手段」を構成する。
【0048】
まず、PTP包装機11の概略構成について説明する。図6に示すように、PTP包装機11の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0049】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が形成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0050】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0051】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、充填装置21及び検査装置22が順に配設されている。
【0052】
充填装置21は、印刷装置51により印刷部5eの形成された錠剤5をポケット部2に充填する。本実施形態では、充填装置21が「充填手段」を構成する。充填装置21の構成については後に説明する。
【0053】
検査装置22は、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、錠剤5の異常の有無、ポケット部2への異物混入の有無などに関する検査を行う。
【0054】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。
【0055】
加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造される。
【0056】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0057】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
【0058】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。また、刻印装置34はPTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。尚、図1等では、切離用スリットや刻印の図示を省略している。
【0059】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く機能を有する。
【0060】
打抜きによって製造されたPTPシート1は、コンベア39によってシートバッファ装置81へと搬送される。但し、前記検査装置22によって不良判定がなされた場合、この不良判定に係るPTPシート1は、シートバッファ装置81へ送られることなく、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。本実施形態では、PTP包装機11によってPTPシート1を製造する工程が「ブリスタシート包装工程」に相当する。
【0061】
尚、前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断する。裁断された不要フィルム部42(スクラップ)はスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0062】
次に、充填装置21の説明に先立って、充填装置21の上流に設置される印刷装置51及び錠剤バッファ装置61の構成について説明する。
【0063】
印刷装置51は、錠剤5を搬送しつつ、該錠剤5に対し印刷や検査などを行う装置である。印刷装置51は、図7及び図8に示すように、供給装置52、第一印刷検査装置53、第二印刷検査装置54、不良品除去装置55及び列数変換装置56を備えている。本実施形態では、不良品除去装置55が「不良品排出手段」を構成し、列数変換装置56が「列数変換手段」を構成する。また、印刷装置51により錠剤5に印刷を施す工程が「印刷工程」に相当する。
【0064】
供給装置52は、多数の錠剤5が貯留された図示しない貯留部(例えばホッパ等)から第一印刷検査装置53へと錠剤5を供給する。供給装置52は、供給シュート521及び供給ドラム522を備えている。尚、前記貯留部に貯留された錠剤5は、印刷部5eが形成されていないものである。
【0065】
供給シュート521は、前記貯留部から供給された錠剤5を、1錠ずつ供給ドラム522へと受け渡すものであり、供給ドラム522により搬送される錠剤5の列数と同数並んで設けられている。各供給シュート521は、筒状をなしており、錠剤5を鉛直方向に一列で積載できるように構成されている。また、各供給シュート521は、その下側開口部が供給ドラム522の回転軸の真上において該供給ドラム522に近接した状態で設置されている。
【0066】
各供給シュート521の下側開口部近傍には、該開口部を開閉可能なシャッタ(図示せず)が設けられている。該シャッタの開閉動作によって、錠剤5が、供給シュート521から1錠ずつ落下して、供給ドラム522へと供給される。
【0067】
供給ドラム522は、供給シュート521から供給された錠剤5を受け取った上で、該錠剤5を吸着保持しつつ、第一印刷検査装置53側へと搬送する。供給ドラム522は、円筒形状をなすとともに、図示しない駆動手段によって回転可能に構成されている。
【0068】
供給ドラム522の外周面には、錠剤5を吸着保持するための吸着部522aが多数形成されている(図9参照)。各吸着部522aは、供給ドラム522の回転軸の真上から真下付近まで移動する間、所定の吸引手段(図示せず)により負圧が供給された状態となるように構成されている。これにより、各吸着部522aは、供給ドラム522の回転軸の真上から真下付近まで移動する間、錠剤5を吸着保持する。一方、各吸着部522aは、供給ドラム522の回転軸の真下から真上付近まで移動する間、大気に開放された状態となるように構成されている。これにより、吸着部522aにより吸着保持された錠剤5は、供給ドラム522の回転軸の真下にて吸着解除されて、第一印刷検査装置53へと受け渡される。
【0069】
また、吸着部522aは、供給ドラム522の周方向及び軸方向に所定間隔で規則的に配列されている。本実施形態において、吸着部522aは、供給ドラム522の周方向に沿って等間隔で多数設けられている。そして、この周方向に並ぶ吸着部522aの列が、供給ドラム522の軸方向に沿って等間隔に複数設けられている。尚、吸着部522aの列数は、それぞれ後述する第一搬送装置531や第二搬送装置541により搬送される錠剤5の列数と同一とされる。
【0070】
第一印刷検査装置53は、供給装置52から供給された錠剤5を搬送しつつ、該錠剤5の表面5b側に対する印刷や検査を行うとともに、該錠剤5を第二印刷検査装置54へと受け渡すものである。第一印刷検査装置53は、第一搬送装置531、第一錠剤検査装置532、第一印刷機533及び第一印刷検査装置534を備えている。
【0071】
第一搬送装置531は、供給装置52から受け渡された錠剤5を吸着保持しつつ、第二印刷検査装置54側へと搬送するものである。第一搬送装置531は、一対の上流側プーリ531a,531bと、これら上流側プーリ531a,531bに掛け渡された上流側搬送ベルト531cとを備えている。
【0072】
一対の上流側プーリ531a,531bは、所定間隔をあけた状態で配設されており、それぞれ供給ドラム522の回転軸と平行な回転軸にて回転可能とされている。
【0073】
上流側搬送ベルト531cは、上流側プーリ531a,531bの回転に伴い回転移動する。上流側搬送ベルト531cは、錠剤5を吸着保持するための吸着孔531dを備えている。
【0074】
吸着孔531dは、上流側搬送ベルト531cの移動方向つまり錠剤5の搬送方向に沿って、等間隔で多数並んで設けられている。そして、所定の第一数値(但し、自然数)をmとしたとき、上流側搬送ベルト531cの移動方向(錠剤5の搬送方向)に沿って並ぶ吸着孔531dの列がm列形成されている。本実施形態において、第一数値(つまりm)は「4」である。
【0075】
また、上流側搬送ベルト531cで囲まれてなる上流側搬送ベルト531cの内部空間であって、所定の第一ポジションP1から所定の第二ポジションP2までの間に対応する空間は、図示しない吸引機構によって負圧が供給されており、該内部空間は真空状態となっている。これにより、該内部空間に連通する吸着孔531dに負圧が供給された状態となる。その結果、錠剤5は、吸着孔531dによって吸着保持されつつ、上流側プーリ531a,531bの回転に伴い、m列に並んだ状態で第一ポジションP1から第二ポジションP2へと搬送される。尚、第一ポジションP1は、供給装置52から第一印刷検査装置53へと錠剤5が受渡されるポジションであり、第二ポジションP2は、第一印刷検査装置53から第二印刷検査装置54へと錠剤5が受渡されるポジションである。また、図8等では、上流側搬送ベルト531cや後述する下流側搬送ベルト541cなどの各内部空間が外部に開放された状態を示しているが、実際には、これら内部空間は密閉された状態となっている。
【0076】
第一錠剤検査装置532は、第一搬送装置531による錠剤5の搬送経路に沿って設けられており、搬送される錠剤5における表面5b側の部位を検査する。第一錠剤検査装置532は、搬送される錠剤5を撮像するためのカメラ532a、及び、該カメラ532aにより得られた撮像データ(画像データ)に基づき錠剤5の良否を判定する錠剤判定装置(不図示)を備えている。カメラ532aは、第一印刷機533の後述する印刷ヘッド533aよりも上流位置にて錠剤5を撮像する。カメラ532aにより得られた錠剤5の撮像データや前記錠剤判定装置により得られた錠剤5の良否判定結果は、前記制御装置71へと送信される。
【0077】
第一印刷機533は、第一搬送装置531による錠剤5の搬送方向に沿って第一錠剤検査装置532の下流に配置されており、所定のインクジェット方式(例えばピエゾ方式やサーマル方式)で、搬送される錠剤5に対し非接触で印刷を行う。
【0078】
第一印刷機533は、上流側搬送ベルト531cの幅方向に並ぶm個の吸着孔531d(錠剤5)に対応するようにして、該幅方向に並ぶm個の印刷ヘッド533a(図15参照)を備えている。各印刷ヘッド533aは、上流側搬送ベルト531cの移動方向に並ぶ1列の錠剤5の印刷をそれぞれ担当する。各印刷ヘッド533aは、第一印刷機533を通過する各錠剤5に向けてインクを吐出することで、各錠剤5の表面5bに印刷を施して前記印刷部5eを形成する。
【0079】
また、各印刷ヘッド533aは、インクの液滴を吐出可能な複数のノズルを一定間隔で配列した2列のノズル列La,Lbを備えている(図15参照)。ノズル列Laは、x個のノズルNa(Na1,Na2,Na3,Na4,Na5,・・・,Nax)をヘッド幅方向に一定間隔で備え、ノズル列Lbは、x個のノズルNb(Nb1,Nb2,Nb3,Nb4,Nb5,・・・,Nbx)をヘッド幅方向に一定間隔で備えている。本実施形態では、各ノズルNa,Nbに対し、図示しないインクタンクから所定の可食性インクが供給されるようになっている。
【0080】
さらに、ノズル列Lbの各ノズルNbは、ノズル列Laの各ノズルNaに対してヘッド幅方向に位置ずれしており、各ノズルNa間に位置している。つまり、両ノズル列La,LbのノズルNa,Nbは、全体として千鳥状に配置され、ヘッド幅方向に一定間隔に並んだ状態となっている。
【0081】
また、各印刷ヘッド533aには、該印刷ヘッド533aをクリーニングするためのクリーニング装置(不図示)が設けられている。クリーニング装置は、ノズルNa,Nbの内部に詰まった塵埃や増粘又は固形化したインク等を外部に排出する加圧パージを行うパージ機構や、パージ後の印刷ヘッド533aを拭くワイピング機構などを備えている。印刷ヘッド533aのクリーニングは、第一印刷機533による錠剤5に対する印刷を停止した上で行われる。
【0082】
第一印刷検査装置534は、第一印刷機533によって形成された印刷部5eの検査を行う。第一印刷検査装置534は、搬送される錠剤5を撮像するためのカメラ、及び、該カメラにより得られた撮像データに基づき印刷部5eの良否を判定し、ひいては錠剤5の良否を判定する印刷判定装置(それぞれ不図示)を備えている。該印刷判定装置による錠剤5の良否判定結果は、前記制御装置71へと送信される。
【0083】
第二印刷検査装置54は、第一印刷検査装置53から供給された錠剤5を列数変換装置56側へと搬送しつつ、該錠剤5の裏面5c側に対する印刷や検査を行うものである。第二印刷検査装置54は、第二搬送装置541、第二錠剤検査装置542、第二印刷機543及び第二印刷検査装置544を備えている。
【0084】
第二搬送装置541は、基本的には第一搬送装置531と同様の構成を有するものであり、前記上流側プーリ531a,531bに相当する一対の下流側プーリ541a,541bと、下流側プーリ541a,541bに掛け渡された、前記上流側搬送ベルト531cに相当する下流側搬送ベルト541cとを備えている。
【0085】
下流側搬送ベルト541cは、錠剤5を吸着保持するための吸着孔541dを備えている(図8では、吸着孔541dを示すべく、1の吸着孔541dに対応する1の錠剤5の図示を省略している)。吸着孔541dは、上流側搬送ベルト531cにおける吸着孔531dと同様の態様で設けられており、下流側搬送ベルト541cの移動方向(錠剤5の搬送方向)に沿って並ぶ吸着孔541dの列がm列形成された状態となっている。
【0086】
下流側搬送ベルト541cで囲まれてなる下流側搬送ベルト541cの内部空間には、図示しない吸引機構によって負圧が供給されており、該内部空間は真空状態となっている。これにより、吸着孔541dに負圧が供給された状態となり、前記第二ポジションにて第一印刷検査装置53から受け渡された錠剤5は、吸着孔541dによって吸着保持されつつ、下流側プーリ541a,541bの回転に伴い、m列に並んだ状態で列数変換装置56側へと搬送される。
【0087】
尚、本実施形態において、第一搬送装置531及び第二搬送装置541のそれぞれには、図示しないエンコーダが設けられており、該エンコーダから制御装置71へと上流側プーリ531a,531b及び下流側プーリ541a,541bの回転量(移動量)に関する信号が所定時間毎に送信されるようになっている。これにより、制御装置71は、各搬送装置531,541により搬送される錠剤5の位置を把握可能となっている。本実施形態では、第一搬送装置531及び第二搬送装置541がそれぞれ「内容物搬送手段」を構成する。また、各搬送装置531,541により、所定の搬送経路に沿って、m列に並んだ状態で錠剤5を搬送する工程が「内容物搬送工程」に相当する。
【0088】
第二錠剤検査装置542は、第一錠剤検査装置532と同様に、搬送される錠剤5を撮像するためのカメラ542a及び錠剤判定装置を備えており、該カメラ542aにより得られた撮像データに基づき、錠剤5における裏面5c側の部位を検査する。カメラ542aは、第二印刷機543の後述する印刷ヘッド543aよりも上流位置にて錠剤5を撮像する。カメラ542aにより得られた錠剤5の撮像データや錠剤5の良否判定結果は、制御装置71へと送信される。本実施形態では、錠剤検査装置532,542の各カメラ532a,542aがそれぞれ「撮像手段」を構成する。また、カメラ532a,542aによって錠剤5を撮像する工程が「撮像工程」に相当する。
【0089】
第二印刷機543は、第一印刷機533と同様のインクジェット方式の印刷機であり、下流側搬送ベルト541cの幅方向に並ぶm個の吸着孔541d(錠剤5)に対応するようにして、該幅方向に並ぶm個の印刷ヘッド543a(図15参照)を備えている。各印刷ヘッド543aは、第一印刷機533の印刷ヘッド533aと同様のノズルNa,Nbを備えており、該ノズルNa,Nbからインクの液滴を吐出することで、搬送される錠剤5に対し非接触で印刷を行う。
【0090】
また、第二印刷機543の各印刷ヘッド543aにも、第一印刷機533と同様に、パージ機構やワイピング機構などを具備してなる、印刷ヘッド543aをクリーニングするためのクリーニング装置(不図示)が設けられている。印刷ヘッド543aのクリーニングは、第二印刷機543による錠剤5に対する印刷を停止した上で行われる。本実施形態では、前記クリーニング装置によって印刷ヘッド533a,543aのクリーニングを行う工程が「クリーニング工程」に相当する。
【0091】
また、各印刷機533,543は、前記カメラ532a,542aにより得られた撮像データに基づき、制御装置71によって印刷位置が制御されるようになっている。これにより、搬送されている各錠剤5の状態(本実施形態では位置)がそれぞれ異なるものであっても、各錠剤5の適切な位置に印刷部5eが形成されるようになっている。
【0092】
第二印刷検査装置544は、第二印刷機543によって形成された印刷部5eの検査を行う。第二印刷検査装置544は、第一印刷検査装置534と同様の構成を備えており、カメラ及び印刷判定装置を用いて印刷部5eひいては錠剤5の良否を判定するとともに、良否判定結果を制御装置71へと送信する。本実施形態では、錠剤検査装置532,542及び印刷検査装置534,544がそれぞれ「内容物検査手段」を構成する。また、これら検査装置532,534,542,544により錠剤5を検査する工程が「内容物検査工程」に相当する。
【0093】
不良品除去装置55は、検査装置532,534,542,544のうちの少なくとも1つによって不良品と判定された錠剤5を系外(つまり搬送装置531,541による搬送経路の外)へと取り除くための装置である。不良品除去装置55は、第二搬送装置541による錠剤5の搬送方向に沿って、第二印刷検査装置544よりも下流に設けられている。また、不良品除去装置55は、下流側搬送ベルト541cの内部空間に配置されている。
【0094】
不良品除去装置55は、図10に示すように、吸着孔541dに対しブローを行うことで錠剤5の吸着保持を解除して、該錠剤5を系外へと排出可能な不良品用ブローノズル55aを複数備えている。各不良品用ブローノズル55aは、錠剤5の搬送方向と直交する方向に沿ってm個並んで設けられており、該搬送方向に沿って並ぶ1列の錠剤5の除去をそれぞれ担当する。これにより、不良品の錠剤5のみを選択的に系外へと除去可能である。尚、不良品用ブローノズル55aのブロー動作によって除去された錠剤5は、所定の不良品収容部55bへと投入される。本実施形態では、不良品除去装置55により錠剤5を系外に排出する工程が「不良品排出工程」に相当する。
【0095】
列数変換装置56は、搬送装置531,541及び充填装置21間において、ポケット部2への充填時における錠剤5の列数を、搬送装置531,541による搬送時における錠剤5の列数よりも増大させるためのものである。すなわち、前記第一数値よりも多数である第二数値をnとしたとき(但し、nは自然数)、列数変換装置56は、搬送装置531,541及び充填装置21間において、錠剤5の列数をmからnに変換する機能を有する。尚、本実施形態において、第二数値(つまりn)は「5」である。
【0096】
列数変換装置56は、図11~13に示すように、排出装置561及び受取搬送装置562を備えている。尚、本実施形態においては、前記制御装置71におけるその一部機能(特に排出装置561による錠剤5の排出に関する機能)も、列数変換装置56の一部を構成している。
【0097】
排出装置561は、第二搬送装置541によって搬送される錠剤5を選択的に受取搬送装置562側へと排出する。尚、排出装置561の上流に不良品除去装置55が設けられているため、受取搬送装置562に対しては、検査装置532,534,542,544により良判定された錠剤5のみが排出される。排出装置561は、下流側搬送ベルト541cの内部に配置された複数のブローノズル561aを備えている。
【0098】
各ブローノズル561aは、吸着孔541dに対しブローを行うことで錠剤5の吸着保持を解除して、該錠剤5を排出する。各ブローノズル561aは、第二搬送装置541による錠剤5の搬送方向に沿ってn個並んでおり、また、このブローノズル561aの列は、前記搬送方向に沿って並ぶ吸着孔541dの列数に対応するようにしてm列設けられている。従って、m×n本(本実施形態では20本)のブローノズル561aが設けられている。
【0099】
また、第二搬送装置541による錠剤5の搬送方向に沿った各ブローノズル561aの間隔は、前記搬送方向に沿った各吸着孔541dの間隔と同一とされており、前記搬送方向と直交する方向に沿った各ブローノズル561aの間隔は、前記搬送方向と直交する方向に沿った各吸着孔541dの間隔と同一とされている。これにより、各ブローノズル561aにおけるブロー口〔気体(例えばエア)の吹き出し口〕の全てが、一定タイミング毎に吸着孔541dと重なるようになっている。
【0100】
受取搬送装置562は、排出装置561によって排出されて落下した錠剤5を受け取るとともに、該錠剤5を錠剤バッファ装置61側へと搬送する。受取搬送装置562は、前記搬送装置531,541とほぼ同様の構成を有するものであり、回転可能な一対のプーリ562a,562b及びこれらプーリ562a,562bに架け渡された搬送ベルト562cを備えている。プーリ562a,562bの回転に伴い、搬送ベルト562cは、各搬送装置531,541による錠剤5の搬送方向と直交する方向に沿って移動する。
【0101】
また、搬送ベルト562cは、錠剤5を吸着保持するための吸着孔562dを備えている。本実施形態では、搬送ベルト562cの移動方向(錠剤5の搬送方向)に沿って並ぶ吸着孔562dの列がn列形成された状態となっている。
【0102】
加えて、搬送ベルト562cで囲まれてなる搬送ベルト562cの内部空間であって、所定の第三ポジションP3から所定の第四ポジションP4までの間に対応する空間は、図示しない吸引機構によって負圧が供給されており、該内部空間は真空状態となっている。これにより、該内部空間に連通する吸着孔562dに負圧が供給された状態となり、排出装置561により排出された錠剤5は、該吸着孔562dによって吸着保持される。そして、吸着保持された錠剤5は、プーリ562a,562bの回転に伴い、n列に並んだ状態で第三ポジションP3から第四ポジションP4へと搬送される。その後、第四ポジションP4にて、錠剤5の吸着保持が解除される。尚、第三ポジションP3は、排出装置561によって錠剤5が排出されるポジションであり、第四ポジションP4は、受取搬送装置562から錠剤バッファ装置61へと錠剤5が受渡されるポジションである。
【0103】
上記のように、列数変換装置56によれば、錠剤5の列数がmからnに変換される。本実施形態では、列数変換装置56によって錠剤5の列数をmからnに変換する工程が「列数変換工程」に相当する。
【0104】
次に、錠剤バッファ装置61について説明する。錠剤バッファ装置61は、印刷装置51及びPTP包装機11間に設けられ、印刷装置51により印刷の施された錠剤5を一時的に貯留する装置である。錠剤バッファ装置61には、検査装置532,534,542,544により良判定された錠剤5のみが貯留される。錠剤バッファ装置61は、シュート入口部611及びn本のスプリングシュート612を備えている(図12参照)。
【0105】
シュート入口部611は、受取搬送装置562により搬送された錠剤5が投入される部位である。シュート入口部611は、搬送ベルト562cの外周面に近接した状態で、第四ポジションP4に対応して設置されている。シュート入口部611は、搬送ベルト562cの幅方向に並ぶn個の投入口611aを備えており、受取搬送装置562により搬送されるn列の錠剤5は、列毎にそれぞれ異なる投入口611aへと投入される。例えば、搬送ベルト562cの幅方向中央に位置する1列の錠剤5は、前記幅方向中央に位置する投入口611aへと投入される。尚、錠剤5は、立った状態(錠剤5の径方向がほぼ鉛直方向となった状態)で、投入口611aへと投入される。
【0106】
スプリングシュート612は、所定の線材を螺旋状に巻回してなるものであり、筒状をなしている。尚、図面では、スプリングシュート612を簡略化して示しているが、実際のスプリングシュート612は、コイルばね状であり、可撓性を有する。
【0107】
各スプリングシュート612は、シュート入口部611と連結されており、各スプリングシュート612の内側空間は、それぞれ異なる投入口611aと連通している。これにより、1の投入口611aに投入された錠剤5は、該投入口611aに対応する特定のスプリングシュート612内に入ることとなる。
【0108】
スプリングシュート612内に入った錠剤5は、各スプリングシュート612内にて1列に並んだ状態で貯留されつつ、充填装置21側へと搬送される。従って、n本のスプリングシュート612によって、錠剤5はn列に並んだ状態で搬送される。本実施形態では、ポケット部2へと錠剤5を充填する前において、錠剤5を錠剤バッファ装置61に貯留する工程が「内容物バッファ工程」に相当する。
【0109】
次いで、充填装置21について説明する。充填装置21は、n列に並んだ状態で搬送される錠剤5を、帯状の容器フィルム3に形成されたポケット部2へと充填する。充填装置21は、図14に示すように、充填用シュート211及び充填ドラム212を備えている。
【0110】
充填用シュート211は、錠剤バッファ装置61を経て供給された錠剤5を、1錠ずつ充填ドラム212へと受け渡すものである。充填用シュート211は、容器フィルム3の幅方向に沿ったポケット部2の数と同数(本実施形態ではn個)設けられており、それぞれスプリングシュート612と連結されている。各充填用シュート211は、基本的には、前記供給シュート521と同様の機能を有しており、所定のシャッタを開閉動作させることで、錠剤5を1錠ずつ落下させて充填ドラム212へと供給する。
【0111】
充填ドラム212は、充填用シュート211から供給された錠剤5を吸着保持しつつ、搬送される容器フィルム3のポケット部2へと該錠剤5を充填する。充填ドラム212は、円筒形状をなすとともに、図示しない駆動手段によって回転可能に構成されている。
【0112】
充填ドラム212の外周面には、錠剤5を吸着保持するための吸着部212aが多数形成されている。各吸着部212aは、基本的には、前記供給ドラム522の吸着部522aと同様の機能を備えており、充填ドラム212の回転軸の真上から真下付近まで移動する間、錠剤5を吸着保持する一方、充填ドラム212の回転軸の真下にて錠剤5の吸着を解除する。吸着解除により、錠剤5はポケット部2へと充填される。
【0113】
また、吸着部212aは、充填ドラム212の周方向及び軸方向に所定間隔で規則的に配列されている。本実施形態において、吸着部212aは、充填ドラム212の周方向に沿って等間隔で多数設けられている。そして、この周方向に並ぶ吸着部212aの列が、容器フィルム3の幅方向に沿ったポケット部2の列数に対応するようにして、充填ドラム212の軸方向に沿って等間隔にn列設けられている。これにより、充填装置21は、吸着部212aに吸着保持されてn列に並んだ錠剤5を、容器フィルム3の幅方向にn個並んだポケット部2へと順次充填していく。本実施形態では、充填装置21によって、n列に並んだ印刷済みの錠剤5をポケット部2に充填する工程が「充填工程」に相当する。
【0114】
次いで、制御装置71について説明する。制御装置71は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、各種データを一時的に記憶するRAM、情報を長期記憶するための記憶媒体(例えばハードディスク等)などを備えている。制御装置71は、CPUが所定のプログラムを実行することによって、PTP包装機11や印刷装置51に対する制御処理を実行する。
【0115】
また、制御装置71は、印刷部5eに関する印刷データを予め記憶している。そして、錠剤5に印刷部5eを形成する際に、制御装置71は次のようにして動作する。すなわち、制御装置71は、錠剤検査装置532,542の前記カメラ532a,542aにより得られた撮像データ(画像データ)に基づき、錠剤5の状態(本実施形態では位置)を把握する。そして、制御装置71は、把握した錠剤5の状態に基づきインクの吐出対象として適切なノズルNa,Nbを選択し、この選択したノズルNa,Nbからインクを吐出するように印刷機533,543を制御する。また、このとき、制御装置71は、各搬送装置531,541の前記エンコーダからの信号に基づき、印刷機533,543による印刷タイミング(インクの吐出タイミング)を制御する。これにより、錠剤5の状態に応じた適切な位置に印刷部5eが形成される。
【0116】
また、制御装置71は、検査装置532,534,542,544による判定結果に基づき不良品の錠剤5を特定可能とされている。そして、制御装置71は、第二搬送装置541の前記エンコーダからの信号に基づき、不良品の錠剤5が不良品除去装置55に到達するタイミングを算出するとともに、この算出したタイミングで、該錠剤5の吸着を解除するためのブローを行うように不良品用ブローノズル55aを制御する。その結果、不良品の錠剤5は、系外へと排出されて不良品収容部55bに投入される。
【0117】
加えて、制御装置71は、排出装置561の各ブローノズル561aを選択的にブロー動作させることで、排出装置561による錠剤5の排出ポジションを制御する。排出ポジションを変化させることで、錠剤5の受け渡し対象となる前記吸着孔562dの列が変化する。尚、以下では、吸着孔562dの列を単に「吸着列」ということがある。
【0118】
また、制御装置71は、各吸着列に対し錠剤5が均等に振り分けられるように、各ブローノズル561aの動作を制御する。本実施形態において、制御装置71は、基本的には、搬送方向と直交する方向に並んだm個の錠剤5が最上流に位置するブローノズル561aの配設位置へと到達したタイミング(排出タイミング)となる度に、m個の吸着列のそれぞれへと錠剤5を1錠ずつ排出して、最終的に、各吸着列に同数の錠剤5が受け渡されるように各ブローノズル561aの動作を制御する。
【0119】
例えば、複数の吸着列を、搬送ベルト562cの幅方向に沿って、(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)と番号付けした場合、制御装置71は、ある排出タイミングでは(2)、(3)、(4)、(5)の吸着列に、次の排出タイミングでは(1)、(2)、(3)、(4)の吸着列に、次の排出タイミングでは(1)、(2)、(3)、(5)の吸着列に、次の排出タイミングでは(1)、(2)、(4)、(5)の吸着列に、次の排出タイミングでは(1)、(3)、(4)、(5)の吸着列に、錠剤5を1錠ずつ受け渡すように各ブローノズル561aの動作を制御する。
【0120】
但し、不良品除去装置55により不良品の錠剤5が除去された場合、制御装置71は、不良品の錠剤5による影響を極力小さなものとして、各吸着列に受け渡される錠剤5が均等となるように、動作対象となるブローノズル561aを選択する。ここで、制御装置71は、各吸着列に受け渡された錠剤5の個数を記憶するように構成されており、動作対象となるブローノズル561aを、この記憶した個数を利用して選択する。尚、上記の「均等」とは、厳密に均等である場合、つまり各吸着列に振り分けられる錠剤5の個数が厳密に同一である場合のみならず、各吸着列に振り分けられる錠剤5の個数差がほとんどない(例えば個数差が数個以内に抑えられる)場合も含む。
【0121】
さらに、制御装置71は、予め設定された所定のクリーニングタイミング(例えば、30分間に一度のタイミング)に至ると、印刷機533,543における各印刷ヘッド533a,543aのクリーニングを行うべく、次のような動作制御を行う。すなわち、制御装置71は、クリーニングタイミングに至ると、図16に示すように、供給シュート521の前記シャッタを閉鎖して第一搬送装置531に対する錠剤5の供給を停止させる。また、供給ドラム522の回転も停止させる。そして、図17に示すように、最上流に位置する(供給シュート521の前記シャッタの閉鎖直前に供給された)錠剤5が第一印刷機533を通過した直後のタイミングになると、制御装置71は、第一印刷機533の印刷動作を停止させた上で、該第一印刷機533の前記クリーニング装置を動作させて印刷ヘッド533aのクリーニングを開始させる。つまり、印刷ヘッド533aに係るクリーニング工程を開始させる。尚、最上流に位置する錠剤5が第二搬送装置541に受け渡された後、制御装置71は、上流側プーリ531a,531bの回転動作を停止させて、第一搬送装置531を一時的に停止させる。
【0122】
そして、図18に示すように、最上流に位置する錠剤5が第二印刷機543を通過した直後のタイミングになると、制御装置71は、第二印刷機543の動作を停止させた上で、該第二印刷機543の前記クリーニング装置を動作させて印刷ヘッド543aのクリーニングを開始させる。つまり、印刷ヘッド543aに係るクリーニング工程を開始させる。
【0123】
また、制御装置71は、第二印刷機543における印刷ヘッド543aのクリーニング中にも、第二搬送装置541の動作を継続させるとともに、第三ポジションP3に至った錠剤5を排出装置561によって受取搬送装置562へと排出させる。尚、本実施形態において、第二搬送装置541は、クリーニングの実行に伴い一時停止することはなく、動作を継続するようになっているが、最上流に位置する錠剤5が受取搬送装置562へと排出された後に一時停止するものであってもよい。
【0124】
また、制御装置71は、充填装置21へと供給される錠剤5の不足が生じるまでの間、充填装置21の動作を継続させる。そして、錠剤5の不足が生じた段階で、充填装置21などを含むPTP包装機11の動作を一時停止させる。つまり、PTPシート1の製造を一時的に停止させる。PTPシート1の製造停止中には、シートバッファ装置81へとPTPシート1は受渡されないこととなる。尚、錠剤5の不足が生じたか否かについては、排出装置561によって排出された錠剤5の数や、充填装置21により充填された錠剤5の数に基づき把握することができる。
【0125】
そして、第一印刷機533の印刷ヘッド533aに対するクリーニング開始から一定時間が経過して、該印刷ヘッド533aに対するクリーニングが完了する直前のタイミングになると、制御装置71は、図19に示すように、供給シュート521の前記シャッタを開放するとともに供給ドラム522の動作を再開させ、さらに、第一搬送装置531の搬送動作も再開させる。このとき、第一搬送装置531による錠剤5の搬送再開は、第一錠剤検査装置532のカメラ532aと第一印刷機533の印刷ヘッド533aとの間に位置する搬送経路に錠剤5がない状態で行われる。
【0126】
尚、第二搬送装置541がクリーニングの実行に伴い一時停止するものである場合、制御装置71は、第一搬送装置531の動作再開タイミングと同一のタイミングや、第一搬送装置531の動作再開後であって錠剤5が第二搬送装置541へと至る前の所定のタイミングで、第二搬送装置541の動作を再開させる。これにより、第二搬送装置541による錠剤5の搬送再開は、第二錠剤検査装置542のカメラ542aと第二印刷機543の印刷ヘッド543aとの間に位置する搬送経路に錠剤5がない状態で行われる。
【0127】
第一印刷機533の印刷ヘッド533aに対するクリーニングが完了して、錠剤5が第一印刷機533に到達するタイミングになると、制御装置71は、第一印刷機533による印刷動作を再開させる。このとき、錠剤5に対する印刷位置の調整は、錠剤5の搬送再開後に得られた撮像データに基づき行われる。
【0128】
また、第二印刷機543の印刷ヘッド543aに対するクリーニング開始から一定時間(例えば30秒間)が経過すると、図20に示すように、該印刷ヘッド543aに対するクリーニングが完了する。そして、錠剤5が第二印刷機543に到達するタイミングになると、制御装置71は、第二印刷機543の印刷動作を再開させる。その結果、図21に示すように、各印刷機533,543によって錠剤5の表面5b及び裏面5cの双方に印刷部5eが形成される動作状態(つまり、印刷装置51における通常の動作状態)に復帰する。また、充填装置21に対する錠剤5の供給が再開されると、制御装置71は、PTP包装機11の動作を再開させる。これにより、PTPシート1の製造が再開される。
【0129】
次いで、図5を参照してシートバッファ装置81及び集積装置91について説明する。
【0130】
シートバッファ装置81は、PTP包装機11及び集積装置91間において、該集積装置91へと投入されるPTPシート1を一時的に貯留するための装置である。本実施形態では、シートバッファ装置81によりPTPシート1を貯留する工程が「シートバッファ工程」に相当する。シートバッファ装置81は、分配コンベア82、検査コンベア83及び積上げホッパ84を備えている。
【0131】
分配コンベア82は、PTP包装機11から供給されるPTPシート1を分配し複数列(例えば2列)に並べた状態で、これらPTPシート1を検査コンベア83側へと徐々に搬送していく。
【0132】
検査コンベア83は、図示しないシート検査装置を用いて、分配コンベア82から送られたPTPシート1に対する検査を行う。また、検査コンベア83には、PTPシート1が複数列(例えば2列)に並んだ状態で貯留されており、貯留されたPTPシート1は、集積装置91側へと搬送されて、最終的に該集積装置91へと投入される。本実施形態では、貯留されたPTPシート1が集積装置91へと投入される工程が「シート投入工程」に相当する。
【0133】
積上げホッパ84は、検査コンベア83におけるPTPシート1の搬送経路の途中に設けられており、PTPシート1を積み上げた状態で一時的に貯留する機能を備えている。積上げホッパ84としては、例えば特開昭59-1326号公報に記載された集積移送装置などを利用することができる。
【0134】
集積装置91は、シートバッファ装置81から投入されたPTPシート1を集積した上で、集積されたPTPシート1をピロー包装機やバンド掛包装機、箱詰め装置などの後工程装置へと受け渡す。PTPシート1に対し、前記後工程装置による処理が施されることでシート梱包体が得られ、このシート梱包体が最終的に出荷される。本実施形態では、集積装置91によりPTPシート1を集積する工程が「集積工程」に相当する。
【0135】
次いで、上述したPTPシート製造集積装置10における、(1)PTP包装機11等によるPTPシート1の製造スピードと集積装置91によるPTPシート1の集積スピードとに関する設定、(2)シートバッファ装置81に貯留されるPTPシート1の数の変動、(3)PTP包装機11(充填装置21)の一時停止時における集積装置91の動作、(4)印刷装置51による印刷スピードと充填装置21による錠剤5の充填スピードとに関する設定、並びに、(5)錠剤バッファ装置61に貯留される錠剤5の数の変動について説明する。
【0136】
まず、(1)PTPシート1の製造スピード及びPTPシート1の集積スピードに関する設定について説明する。本実施形態では、PTPシート1の製造スピードが、PTPシート1の集積スピードよりも速くなるように設定されている。すなわち、印刷装置51及びPTP包装機11を稼働させて(印刷工程及びブリスタシート包装工程を実行して)PTPシート1を製造している状態においては、単位時間当たりに製造されるPTPシート1の数(製造スピードに相当する)が、集積装置91による単位時間当たりのPTPシート1の処理数(集積スピードに相当する)よりも多いものとなるように設定されている。
【0137】
本実施形態では、印刷ヘッド533a,534aのクリーニングに伴いPTP包装機11を一時停止させる直前の段階で、シートバッファ装置81に対し、集積装置91による単位時間当たりのPTPシート1の処理数(個/s)に対しクリーニングに要する時間(s)を乗じた数とほぼ同数のPTPシート1が貯留されるように、PTPシート1の製造スピードが設定されている。例えば、単位時間当たりに製造されるPTPシート1の数が、集積装置91による単位時間当たりのPTPシート1の処理数よりも1~2%程度多くなるように、PTPシート1の製造スピードが設定されている。尚、最終的に良品となるPTPシート1の割合などの各種要素を考慮して、前記製造スピードを適宜調整してもよい。
【0138】
次いで、(2)シートバッファ装置81に貯留されるPTPシート1の数の変動について説明する。上記のように製造スピードが集積スピードよりも速くなるように設定されることで、印刷装置51及びPTP包装機11(充填装置21)を稼働させてPTPシート1を製造している状態においては、シートバッファ装置81においてPTPシート1のバッファ量が徐々に増加していく(図22参照)。
【0139】
そして、上記のようにPTPシート1の製造スピードが設定されることで、クリーニングの実行に伴いPTP包装機11を一時停止させる直前の段階には、集積装置91の動作を停止させずに済む程度の数のPTPシート1がシートバッファ装置81に貯留されることとなる。
【0140】
次に、(3)PTP包装機11(充填装置21)の一時停止時における集積装置91の動作について説明する。上記の通り、PTP包装機11を一時停止させる直前の段階で、シートバッファ装置81には、集積装置91の動作を停止させずに済む程度の数のPTPシート1が貯留された状態となる。従って、印刷ヘッド533a,543aのクリーニングを実行すること(つまりクリーニング工程の実行)に伴い、PTP包装機11によるPTPシート1の製造が一時的に停止されるときには、その一時停止の全期間において、シートバッファ装置81に貯留されたPTPシート1が集積装置91へと投入されて(つまりシート投入工程が実行されて)、集積装置91が動作し続けることとなる。すなわち、印刷装置51による錠剤5への印刷を停止して印刷ヘッド533a,543aのクリーニングを実行することに伴い、PTP包装機11によるPTPシート1の製造が一時的に停止される時間帯t1と、PTP包装機11からシートバッファ装置81にPTPシート1が供給されず、該シートバッファ装置81に予め貯留されたPTPシート1を集積装置91へと投入する時間帯t2とが全部において重複し(図22参照)、その結果、集積装置91が動作し続けることとなる。
【0141】
次いで、(4)印刷装置51による印刷スピードと充填装置21による錠剤5の充填スピードとに関する設定について説明する。本実施形態では、前記印刷スピードが前記充填スピードよりも速くなるように設定されている。すなわち、印刷装置51を稼働させている(印刷工程を実行している)とともに、ポケット部2へと錠剤5を充填している状態においては、単位時間当たりに印刷の施される錠剤5の数がPTP包装機11によって単位時間当たりにポケット部2に充填される錠剤5の数よりも多いものとなるように設定されている。その結果、本実施形態では、印刷装置51を稼働させているとともに、ポケット部2へと錠剤5を充填している状態(換言すれば、印刷装置51が稼働している時間帯と、充填装置21が稼働している時間帯とが重複する時間帯)においては、印刷の施される錠剤5の数(前記重複する時間帯における総数)が、ポケット部2に充填される錠剤5の数(前記重複する時間帯における総数)よりも多いものとなっている。
【0142】
但し、印刷スピードは過度に高くならないように設定されている。従って、クリーニングの開始直前など、印刷不良の発生率が比較的高くなったときには、PTP包装機11によって単位時間当たりに充填される錠剤5の数が、検査装置532,534,542,544によって単位時間当たりに良判定される錠剤5の数よりも多くなることがある。
【0143】
次に、(5)錠剤バッファ装置61に貯留される錠剤5の数の変動について説明する。上記のように印刷スピードが充填スピードよりも速くなるように設定されることで、印刷装置51及びPTP包装機11を稼働させている状態であって、印刷不良の発生率が比較的低いとき(例えば、クリーニング終了直後からある程度の期間が経過するまでの間)には、ポケット部2に対する錠剤5の充填が行われながら、錠剤バッファ装置61において錠剤5(良品の錠剤5)のバッファ量が徐々に増加していく(図22参照)。一方、印刷スピードは過度に高いものではないため、印刷装置51及びPTP包装機11を稼働させている状態であって、印刷不良の発生率が比較的高くなったときには、ポケット部2に対する錠剤5の充填によって、錠剤バッファ装置61における錠剤5のバッファ量は徐々に減少していく。
【0144】
但し、印刷不良の発生率が比較的低いときに錠剤5がある程度貯留されるため、上記のように錠剤5のバッファ量が減少していくときにおいても、貯留された錠剤5がポケット部2へと充填されていくことになる。換言すれば、本実施形態では、PTP包装機11によって(ブリスタシート包装工程によって)単位時間当たりにポケット部2に充填される錠剤5の数が検査装置532,534,542,544によって(内容物検査工程によって)単位時間当たりに良判定される錠剤5の数よりも多くなる時間帯t3(つまり、印刷不良の発生率が比較的高い時間帯)が、錠剤バッファ装置61に貯留された錠剤5をポケット部2へと充填する時間帯t4と重複するようになっている。尚、図22における錠剤5のバッファ量の遷移や時間帯t3の長さなどは一例であって、印刷不良の発生率の遷移などに応じて、バッファ量の遷移や時間帯t3の長さは変動する。また、図22では、錠剤5やPTPシート1のバッファ量が0になる期間があるが、バッファ量が0にならないこともある。さらに、図22では、PTP包装機11の動作継続時間(印刷機533,543や充填装置21などをオンとしている時間)を実際よりも極端に短いものとして表示している。
【0145】
以上詳述したように、本実施形態によれば、印刷装置51及びPTP包装機11を稼働させてPTPシート1を製造している状態(通常製造時)においては、単位時間当たりに製造されるPTPシート1の数が集積装置91による単位時間当たりのPTPシート1の処理数(集積処理されるPTPシート1の数)よりも多いものとなるように設定されている。従って、通常製造時には、シートバッファ装置81に対しPTPシート1を徐々に貯留していくことができる。
【0146】
その上で、印刷ヘッド533a,543aのクリーニングに伴いPTPシート1の製造が一時的に停止される時間帯t1と、シートバッファ装置81に貯留されたPTPシート1を集積装置91へと投入する時間帯t2とが全部において重複するようになっている。つまり、PTPシート1の製造停止時には、予め貯留されたPTPシート1が集積装置91に投入されるようになっている。これにより、印刷ヘッド533a,543aのクリーニングに伴う集積装置91の停止を防ぐことができ、生産速度の低下を抑えることができる。
【0147】
また、本実施形態によれば、集積装置91の停止を防ぐにあたって、予備の印刷ヘッドを設ける必要がない。これにより、PTPシート製造集積装置10(特に印刷装置51)の製造やメンテナンス等に係るコストの増大、及び、装置の大型化をより確実に防止することができる。
【0148】
加えて、搬送される錠剤5が印刷ヘッド533a,543aよりも上流位置にてカメラ532a,542aによって撮像されるとともに、カメラ532a,542aにより得られた撮像データに基づき、錠剤5に対する印刷位置が調節される。従って、錠剤5の状態を踏まえた適切な位置に印刷を施すことができ、印刷品質の向上を図ることができる。
【0149】
さらに、印刷装置51を稼働させているとともに、充填装置21によりポケット部2へと錠剤5を充填している状態においては、印刷の施される錠剤5の数(前記重複する時間帯における総数)がポケット部2に充填される錠剤5の数(前記重複する時間帯における総数)よりも多いものとなるように設定されている。従って、印刷ヘッド533a,543aによる印刷頻度(単位時間当たりに印刷の施される錠剤5の数)を増加させることができるため、各ノズルNa,Nbがインクの吐出対象として選択されやすくなる。これにより、一般にインクの吐出対象として選択されにくいノズルNa,Nb(例えば、印刷装置51による印刷可能領域の端を担当するノズルNa,Nb)であってもインクの吐出を行いやすくなる。そのため、インクの固形化や増粘等によるノズルNa,Nbの目詰まり不良を効果的に抑制して、印刷不良の発生をより確実に防止することができる。また、ノズルNa,Nbの目詰まりが生じにくくなることで、印刷ヘッド533a,543aのクリーニング頻度やクリーニング時間を低減することができる。これらの結果、生産速度の向上を図ることができる。
【0150】
また、上記のように、印刷の施される錠剤5の数がポケット部2に充填される錠剤5の数よりも多いものとなるように(特に本実施形態では、単位時間当たりに印刷の施される錠剤5の数が単位時間当たりに充填される錠剤5の数よりも多いものとなるように)設定されているため、印刷不良の発生率が比較的低い時間帯においては、錠剤バッファ装置61に対し錠剤5を徐々に貯留していくことができる。その上で、単位時間当たりに充填される錠剤5の数が単位時間当たりに検査装置532,534,542,544によって良判定される錠剤5の数よりも多くなる時間帯t3が、錠剤バッファ装置61に貯留された錠剤5をポケット部2へと充填する時間帯t4と重複するようになっている。つまり、印刷不良の発生率が比較的高いものとなって、ポケット部2へと充填される錠剤5の数の方が良判定される錠剤5の数よりも多いものとなる時間帯においても、錠剤バッファ装置61に予め貯留された錠剤5が安定的にポケット部2へと充填されるようになっている。これにより、錠剤5の不足に伴う錠剤5の充填停止を抑制することができ、ひいては充填停止に伴うPTPシート1の製造停止を抑えることができる。その結果、生産速度の低下抑制をより確実に図ることができる。
【0151】
さらに、本実施形態では、印刷ヘッド533a,543aのクリーニングに伴い第一搬送装置531による錠剤5の搬送を一時的に停止した後には、カメラ532aと印刷ヘッド533aとの間に位置する搬送経路に錠剤5がない状態で、第一搬送装置531による錠剤5の搬送が再開される。従って、搬送再開に伴う衝撃が錠剤5に加わって錠剤5の状態が変化したとしても、状態が変化した後の錠剤5を撮像して得られたデータに基づき印刷位置を調節することができる。これにより、錠剤5の搬送及び印刷を再開した直後においても錠剤5の状態を踏まえた適切な位置に印刷を施すことが可能となり、印刷品質の向上効果をより確実に担保することができる。
【0152】
加えて、列数変換装置56によって、搬送装置531,541による搬送時(すなわち、印刷装置51による印刷時)における錠剤5の列数(m列)よりも、ポケット部2に対する錠剤5の充填時における錠剤5の列数(n列)を増加させることができる。すなわち、比較的少ない列数で錠剤5の印刷処理を行いつつ、比較的多い列数で錠剤5の充填を行うことができる。比較的少ない列数で錠剤5の印刷処理を行うことができるため、印刷装置51の規模を小さなものとすることができ、PTPシート製造集積装置10(特に印刷装置51)の製造やメンテナンス、印刷装置51の制御処理などに係る各種コストの抑制を図ることができる。一方、比較的多い列数で錠剤5の充填を行うことができるため、錠剤5の充填に係る高速化を図ることができ、PTPシート1の製造速度の向上を図ることができる。
【0153】
また、印刷時の列数が比較的少なくて済むことから、印刷ヘッド533a,543aのクリーニング装置の規模を小さなものとすることができる。そのため、コストの抑制をより効果的に図ることができる。
【0154】
さらに、印刷時の列数が比較的少ないため、印刷装置51による印刷頻度をより増加させることができる。そのため、各ノズルNa,Nbがインクの吐出対象としてより選択されやすくなり、一般にインクの吐出対象として選択されにくいノズルNa,Nbであってもインクの吐出をより行いやすくなる。これにより、ノズルの目詰まり不良をより効果的に抑制することができ、印刷不良の発生を一層確実に防止することができる。また、ノズルの目詰まり不良が抑制されることで、印刷ヘッド533a,543aのクリーニング頻度やクリーニング時間を低減させることができ、生産速度の更なる向上を図ることができる。
【0155】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0156】
(a)上記実施形態では、印刷ヘッド533a,543aのクリーニングに伴いPTPシート1の製造が一時的に停止される時間帯t1と、シートバッファ装置81に予め貯留されたPTPシート1を集積装置91へと投入する時間帯t2とが全部において重複するように設定されている。これに対し、図23に示すように、PTPシート1の製造が一時的に停止される時間帯t1と、シートバッファ装置81に予め貯留されたPTPシート1を集積装置91へと投入する時間帯t2とが一部において重複するように設定してもよい。すなわち、集積装置91の一時停止は生じるが、その停止時間がPTP包装機11の停止時間よりも短くなるように設定してもよい。このように設定した場合には、印刷ヘッド533a,543aのクリーニングに伴う集積装置91の停止の一部を防ぐことができ、生産速度の低下を抑えることができる。
【0157】
(b)上記実施形態では、錠剤バッファ装置61として、複数本のスプリングシュート612等を備えたものを挙げているが、錠剤バッファ装置は、錠剤5を貯留する機能を備えたものであればよく、上記実施形態で挙げたものに限定される訳ではない。従って、例えば、図24に示すように、錠剤5を複数列に並べた状態で貯留しつつ搬送可能な直進フィーダ613を備えてなる錠剤バッファ装置61を用いてもよい。直進フィーダ613は、所定の振動が加えられることで、充填装置21側へと錠剤5を徐々に搬送する。直進フィーダ613によって搬送された錠剤5は、充填用シュート211に投入される。
【0158】
尚、図24においては、受取搬送装置562に代えて、排出装置561により排出された錠剤5が落下するn個の受取部563と、受取部563及び直進フィーダ613間に設けられ、受取部563に落下した錠剤5を直進フィーダ613へと搬送するn本の中間搬送部564とを設ける例を示している。
【0159】
(c)上記実施形態において、第一搬送装置531の吸着孔531dは、上流側搬送ベルト531cの移動方向に沿って間隔をあけて設けられる構成とされている。これに対し、図25に示すように、前記移動方向に沿って吸着孔531eが連続する構成としてもよい。すなわち、第一搬送装置531は、スリット状の吸着孔531eを有するものであってもよい。この場合、搬送方向に沿った錠剤5同士の間隔が一定とはならないことがあるが、前記エンコーダからの信号などに基づき錠剤5の位置を把握することで、錠剤5に対する印刷処理や検査処理などを適切に行うことができる。尚、第二搬送装置541や受取搬送装置562においても、スリット状の吸着孔を設けてもよい。
【0160】
(d)上記実施形態では、列数変換装置56によって、錠剤5の列数が「4」から「5」に変更される例を挙げているが、変換後の錠剤5の列数が変換前の錠剤5の列数よりも多くなる限り、変換前及び変換後の錠剤5の列数を適宜変更してもよい。例えば、図26に示すように、列数変換装置56によって、錠剤5の列数を「3」から「5」に変更するようにしてもよい。
【0161】
(e)上記実施形態では、印刷装置51による印刷スピード(単位時間当たりに印刷の施される錠剤5の数)がほぼ一定に維持される例を示しているが、錠剤5のバッファ量などに応じて、印刷スピードが適宜変更されるように構成してもよい。例えば、図27に示すように、錠剤バッファ装置61における錠剤5のバッファ量が所定の目標量(図27にて点線で示す)で極力維持されるように、錠剤5のバッファ量が比較的少ないときには、印刷スピードを高く設定してバッファ量を増大させ、一方、バッファ量が比較的多いときには、印刷スピードを低く設定してバッファ量の過多を防ぐように構成してもよい。
【0162】
また、上記実施形態では、充填装置21へと供給される錠剤5の不足が生じた段階で、充填装置21などを含むPTP包装機11の動作を一時停止させるように構成されている。これに対し、図28に示すように、錠剤バッファ装置61に錠剤5が十分にバッファされており、充填装置21へと供給される錠剤5の不足が生じていない段階で、印刷ヘッド533a,543aのクリーニングの実行に合わせて、PTP包装機11の動作を一時停止させるように構成してもよい。すなわち、PTP包装機11の動作の一時停止を、印刷された錠剤5の量によることなく、単に印刷ヘッド533a,543aに対するクリーニングを契機として実行してもよい。
【0163】
(f)上記実施形態において、排出装置561は、ブローノズル561aのブローによって錠剤5を排出するように構成されているが、錠剤5を搬送経路外へと排出可能なものであればよく、排出装置の構成を適宜変更してもよい。
【0164】
また、搬送装置531,541,562として、搬送ベルト531c,541c,562cを備えない装置を利用してもよい。例えば、搬送装置として吸着ドラムなどを用いてもよい。
【0165】
(g)上記実施形態では、内容物として錠剤5を挙げているが、内容物は錠剤に限定されるものではない。
【0166】
また、上記実施形態では、錠剤5として、平面視円形状をなす円盤状の素錠(円盤形状の平錠)が例示されているが、錠剤の種別や形状等については、上記実施形態に限定されるものではない。例えば錠剤には、医薬のみならず、飲食用に用いられる錠剤なども含まれる。また、錠剤には、素錠のみならず、糖衣錠やフィルムコーティング錠、口腔内崩壊錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠などが含まれるのは勿論のこと、硬カプセルや軟カプセルなどの各種カプセル錠なども含まれる。
【0167】
さらに、内容物の形状に関しては、平面視円形状のみならず、例えば、平面視多角形状、平面視楕円形状、平面視長円形状等であってもよい。
【0168】
(h)上記実施形態において、印刷部5eは、錠剤5の表面5b及び裏面5cの双方に設けられているが、印刷部5eを表面5b及び裏面5cのうちの一方のみに設けてもよい。
【0169】
(i)製造されるPTPシートの構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えばPTPシート1単位のポケット部2の配列や個数は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【0170】
また、上記実施形態において、PTPフィルム6は、その幅方向に沿って1シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、その幅方向に沿って複数シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。尚、この場合、第二数値(n)は、このポケット部2の数と同数とされる〔例えば、上記例において、2シート分であれば第二数値(n)は「10」とされる〕。
【0171】
さらに、上記実施形態では、ブリスタシートとしてPTPシート1を挙げているが、PTPシート1以外のブリスタシートに対し本発明の技術思想を適用してもよい。
【0172】
(j)上記実施形態において、印刷機533,543は、搬送ベルト531c,541cの幅方向に並ぶ複数の印刷ヘッドを備えているが、印刷ヘッドを1つのみ備える構成とし、この1つの印刷ヘッドによって前記幅方向に並ぶ複数の錠剤5の印刷を一度に行うものとしてもよい。また、複数色の印刷部5eを形成する場合には、各色を担当する複数の印刷機を設けてもよい。
【0173】
加えて、印刷ヘッドの構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、1列又は3列以上のノズル列を備えた構成としてもよい。
【0174】
さらに、上記実施形態の印刷ヘッド533a,543aに係る各クリーニング装置は、塵埃やインク等を加圧パージにより取り除く構成となっているが、これに限らず、塵埃等を吸引パージにより取り除く構成としてもよい。
【0175】
(k)上記実施形態において、検査装置532,534,542,544は、カメラにより得られた撮像データに基づき良否判定を行う判定装置を有しているが、該判定装置を備えないものであってもよい。この場合、制御装置71が、前記判定装置としての機能を有するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0176】
1…PTPシート(ブリスタシート)、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤(内容物)、6…PTPフィルム(ブリスタフィルム)、10…PTPシート製造集積装置(ブリスタシート製造集積装置)、11…PTP包装機(ブリスタシート包装手段)、21…充填装置(充填手段)、51…印刷装置(印刷手段)、55…不良品除去装置(不良品排出手段)、56…列数変換装置(列数変換手段)、61…錠剤バッファ装置(錠剤バッファ手段)、81…シートバッファ装置(シートバッファ手段)、91…集積装置(集積手段)、531…第一搬送装置(内容物搬送手段)、532…第一錠剤検査装置(内容物検査手段)、532a,542a…カメラ(撮像手段)、533a,543a…印刷ヘッド、534…第一印刷検査装置(内容物検査手段)、541…第二搬送装置(内容物搬送手段)、542…第二錠剤検査装置(内容物検査手段)、544…第二印刷検査装置(内容物検査手段)、Na,Nb…ノズル。
図1
図2
図3
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