(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044091
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】フィルム状部材の分離方法
(51)【国際特許分類】
B26D 3/28 20060101AFI20220310BHJP
B26D 1/02 20060101ALI20220310BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
B26D3/28 610T
B26D1/02 Z
B26D3/00 601B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149540
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】390029104
【氏名又は名称】株式会社丸仲鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】西 村 弘 之
【テーマコード(参考)】
3C027
【Fターム(参考)】
3C027EE06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フィルム状部材を切削によって分離することができるフィルム状部材の分離方法を提供する。
【解決手段】フィルム状部材の分離方法は、接着剤層100の一方部材の面に第1の層101、接着剤層100の一方部材の面と反対側の面に第2の層102を有するフィルム状部材10を層に沿って刃2で切削して分離するフィルム状部材の分離方法であって、フィルム状部材10はテーブル1上にあって、フィルム状部材10を送りローラ3によって刃2に供給して、フィルム状部材10を分離するものであり、刃2でフィルム状部材10を二分割に分離後、分離された一方部材10Xは、重力又は巻き取りローラーにより下方へ、分離された他方部材10Yは、送りローラ3に沿って上方へ、それぞれ導かれるようにして、刃2に対して分離されたフィルム状部材10が離間するものである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤層の一方の面に第1の層、前記接着剤層の一方の面と反対側の面に第2の層を有するフィルム状部材を層に沿って刃で切削して分離するフィルム状部材の分離方法であって、
前記フィルム状部材はテーブル上にあって、前記フィルム状部材を送りローラによって前記刃に供給して、前記フィルム状部材を分離するものであり、
前記刃で前記フィルム状部材を二分割に分離後、分離された一方部材は、重力又は巻き取りローラーにより下方へ、分離された他方部材は、前記送りローラに沿って上方へ、それぞれ導かれるようにして、前記刃に対して分離された前記フィルム状部材が離間する
ことを特徴とするフィルム状部材の分離方法。
【請求項2】
刃にフィルム状部材を供給する方向を前方とした場合、前記刃の先端が送りローラのセンターより前方に位置している
ことを特徴とする請求項1記載のフィルム状部材の分離方法。
【請求項3】
接着剤層の一方部材の面に第1の層、前記接着剤層の一方部材の面と反対側の面に第2の層を有するフィルム状部材の前記接着剤層から前記第1の層と前記第2の層を切削して分離するフィルム状部材の分離方法であって、
刃の先端が前記フィルム状部材の前記第1の層、又は、前記接着剤層と前記第1の層の間、又は、前記接着剤層と前記第1の層の境に位置するように、前記フィルム状部材を前記刃に供給して、前記フィルム状部材から前記第1の層、又は、前記フィルム状部材から前記接着剤層を含む前記第1の層を切削し、
その後、前記刃の先端が前記フィルム状部材の前記第2の層、又は、前記接着剤層と前記第2の層の間、又は、前記接着剤層と前記第2の層の境に位置するように、前記フィルム状部材を前記刃に供給して、前記フィルム状部材から前記第2の層、又は、前記フィルム状部材から前記接着剤層を含む前記第2の層を切削して、前記フィルム状部材を分離する
ことを特徴とするフィルム状部材の分離方法。
【請求項4】
少なくとも、複数の層を有するフィルム状部材を層に沿って刃で切削して分離するフィルム状部材の分離方法であって、
前記フィルム状部材はテーブル上にあって、前記フィルム状部材を送りローラによって前記刃に供給して、前記フィルム状部材を分離するものであり、
前記刃で前記フィルム状部材を二分割に分離後、分離された一方部材は、重力又は巻き取りローラーにより下方へ、分離された他方部材は、前記送りローラに沿って上方へ、それぞれ導かれるようにして、前記刃に対して分離された前記フィルム状部材が離間する
ことを特徴とするフィルム状部材の分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム状部材の分離方法に係り、特に、フィルム状部材を切削によって分離することができるフィルム状部材の分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接着剤層の一方の面に第1の層(第1の層の材質は、例えば、樹脂製フィルム)、前記接着剤層の一方の面と反対側の面に第2の層(第2の層の材質は、例えば、樹脂製フィルム)を有するフィルム状部材(例えば、フィルム状部材の厚みが数100μm)がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記フィルム状部材にあっては、フィルム状部材を使用した後、第1の層、第2の層の再利用を図りたい要請があるにも関わらず、分離できる有効な手段がなく、廃棄しなければならないという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記問題点を除去するようにしたフィルム状部材の分離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載のフィルム状部材の分離方法は、接着剤層の一方の面に第1の層、前記接着剤層の一方の面と反対側の面に第2の層を有するフィルム状部材を層に沿って刃で切削して分離するフィルム状部材の分離方法であって、前記フィルム状部材はテーブル上にあって、前記フィルム状部材を送りローラによって前記刃に供給して、前記フィルム状部材を分離するものであり、前記刃で前記フィルム状部材を二分割に分離後、分離された一方部材は、重力又は巻き取りローラーにより下方へ、分離された他方部材は、前記送りローラに沿って上方へ、それぞれ導かれるようにして、前記刃に対して分離された前記フィルム状部材が離間するものである。
【0006】
また、請求項2記載のフィルム状部材の分離方法は、請求項1記載のフィルム状部材の分離方法において、刃にフィルム状部材を供給する方向を前方とした場合、前記刃の先端が送りローラのセンターより前方に位置しているものである。
【0007】
また、請求項3記載のフィルム状部材の分離方法は、接着剤層の一方部材の面に第1の層、前記接着剤層の一方部材の面と反対側の面に第2の層を有するフィルム状部材の前記接着剤層から前記第1の層と前記第2の層を切削して分離するフィルム状部材の分離方法であって、刃の先端が前記フィルム状部材の前記第1の層、又は、前記接着剤層と前記第1の層の間、又は、前記接着剤層と前記第1の層の境に位置するように、前記フィルム状部材を前記刃に供給して、前記フィルム状部材から前記第1の層、又は、前記フィルム状部材から前記接着剤層を含む前記第1の層を切削し、その後、前記刃の先端が前記フィルム状部材の前記第2の層、又は、前記接着剤層と前記第2の層の間、又は、前記接着剤層と前記第2の層の境に位置するように、前記フィルム状部材を前記刃に供給して、前記フィルム状部材から前記第2の層、又は、前記フィルム状部材から前記接着剤層を含む前記第2の層を切削して、前記フィルム状部材を分離するものである。
【0008】
また、請求項4記載のフィルム状部材の分離方法は、少なくとも、複数の層を有するフィルム状部材を層に沿って刃で切削して分離するフィルム状部材の分離方法であって、前記フィルム状部材はテーブル上にあって、前記フィルム状部材を送りローラによって前記刃に供給して、前記フィルム状部材を分離するものであり、前記刃で前記フィルム状部材を二分割に分離後、分離された一方部材は、重力又は巻き取りローラーにより下方へ、分離された他方部材は、前記送りローラに沿って上方へ、それぞれ導かれるようにして、前記刃に対して分離された前記フィルム状部材が離間するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載のフィルム状部材の分離方法によれば、フィルム状部材を分離する際、刃でフィルム状部材を二分割に分離後、分離された一方部材は、重力又は巻き取りローラーにより下方へ、分離された他方部材は、送りローラに沿って上方へ、それぞれ導かれるようにして、刃に対して分離されたフィルム状部材が離間するため、フィルム状部材の接着剤が、刃について分離された一方部材及び/又は分離された他方部材に付着することを防いで、フィルム状部材を切削によって分離することができる。
【0010】
また、請求項2記載のフィルム状部材の分離方法によれば、上述した請求項1記載の発明の効果に加え、刃にフィルム状部材を供給する方向を前方とした場合、前記刃の先端が送りローラのセンターより前方に位置しているため、送りローラによる荷重が極力刃の先端にかからないようにして、フィルム状部材を良好に分離することができる。
【0011】
また、請求項3記載のフィルム状部材の分離方法によれば、刃の先端が前記フィルム状部材の前記第1の層、又は、前記接着剤層と前記第1の層の間、又は、前記接着剤層と前記第1の層の境に位置するように、前記フィルム状部材を前記刃に供給して、前記フィルム状部材から前記第1の層、又は、前記フィルム状部材から前記接着剤層を含む前記第1の層を切削し、
その後、前記刃の先端が前記フィルム状部材の前記第2の層、又は、前記接着剤層と前記第2の層の間、又は、前記接着剤層と前記第2の層の境に位置するように、前記フィルム状部材を前記刃に供給して、前記フィルム状部材から前記第2の層、又は、前記フィルム状部材から前記接着剤層を含む前記第2の層を切削して、前記フィルム状部材を分離することができる。
【0012】
また、請求項4記載のフィルム状部材の分離方法によれば、フィルム状部材を分離する際、刃でフィルム状部材を二分割に分離後、分離された一方部材は、重力又は巻き取りローラーにより下方へ、分離された他方部材は、送りローラに沿って上方へ、それぞれ導かれるようにして、刃に対して分離されたフィルム状部材が離間するため、分離された一方部材及び/又は分離された他方部材の薄層フィルムが、刃に付着することを防いで、フィルム状部材を切削によって分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本願発明の一実施例のフィルム状部材の分離方法を実施するためのフィルム状部材の分離装置の概略的正面図である。
【
図4】
図4は、
図2の一部を拡大して示す概略的一部拡大側面図である。
【
図5】
図5(a)は、フィルム状部材から第1の層を切削して分離する状態を、
図5(b)は、フィルム状部材から第1の層を切削して分離した後、フィルム状部材から第2の層を切削して分離する状態を、それぞれ概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施例のフィルム状部材の分離方法を図面(
図1乃至
図5)を参照して説明する。
【0015】
図1に示すSはフィルム状部材の分離方法を実施するためのフィルム状部材の分離装置で、フィルム状部材の分離装置Sは、テーブル1、このテーブル1の図示しない刃口に近接して設けられた刃2、テーブル1の下方に設けられた第1の案内ローラG1、第1の案内ローラG1によって案内された刃2で切削され、分離された一方部材10Xを巻き取る巻き取りローラー(図示せず)を有している。
【0016】
また、テーブル1の上方には、送りローラ(例えば、ゴム被覆ローラ)3、第2ローラG2、第3ローラG3、第4ローラG4が設けられている。刃2で切削され、分離された他方部材10Yは、第2ローラG2、第3ローラG3、第4ローラG4を通って図示しない巻き取りローラーによって巻き取られるようになっている。
【0017】
フィルム状部材の分離方法は、接着剤層100の一方の面に第1の層101、接着剤層100の一方の面と反対側の面に第2の層102を有するフィルム状部材100を層に沿って刃2で切削して分離するものである。
フィルム状部材10はテーブル1上にあって、フィルム状部材10を送りローラ3によって刃2に供給して、フィルム状部材10を分離するもので、
図5(a)に示すように、刃2でフィルム状部材10を二分割に分離後、分離された一方部材10Xは、図示しない巻き取りローラー(図示しない巻き取りローラーを用いない場合は、重力)により下方へ、分離された他方部材10Yは、送りローラ3に沿って上方へ、それぞれ導かれるようにして(例えば、第2ローラG2、第3ローラG3、第4ローラG4を通って図示しない巻き取りローラーによって巻き取られるようになっている。)、刃2に対して分離されたフィルム状部材10が離間するようになっている。
そのため、フィルム状部材10の接着剤層100の接着剤が、刃2について分離された一方部材10X及び/又は分離された他方部材10Yに付着することを防いで、フィルム状部材10を切削によって分離することができる。
なお、フィルム状部材の分離方法の対象であるフィルム状部材10は、接着剤層100の一方の面に第1の層101、接着剤層100の一方の面と反対側の面に第2の層102を有するものである。接着剤層100の厚みBは、例えば、数100μm、第1の層(材質は、例えば、樹脂製フィルム)101の厚みCは、例えば、数100μm、第2の層(材質は、例えば、樹脂製フィルム)102の厚みAは、例えば、数100μmである。
【0018】
そして、刃2にフィルム状部材100を供給する方向Xを前方とした場合、刃2の先端21が送りローラ3のセンター31より前方に位置している(刃2の先端21より数mm後方に送りローラ3のセンター31が位置している。)に位置している[
図5(a)]。
これは、送りローラ3による荷重が極力刃2の先端21にかからないようにして、フィルム状部材100を良好に分離させるためである。
【0019】
このフィルム状部材の分離方法を詳述すれば、刃2の先端21がフィルム状部材10の第1の層101(又は、接着剤層100と第1の層101の間、又は、接着剤層100と第1の層101の境)に位置するように、フィルム状部材10を送りローラ3により押圧しながら刃2に供給して、フィルム状部材10から第1の層101(又は、フィルム状部材10から接着剤層100を含む第1の層101)を切削する。分離部材は、10Xで示される。
その後、
図5(b)に示すように、刃2の先端21がフィルム状部材10の第2の層102(又は、接着剤層100と第2の層102の間、又は、接着剤層100と第2の層102の境)に位置するように、フィルム状部材10を送りローラ3により押圧しながら刃2に供給して、フィルム状部材10から第2の層102又は、フィルム状部材10から接着剤層100を含む第2の層102を切削して、フィルム状部材10を分離することができる(分離部材は、10X、10Y、10Zである。)
分離部材10X、10Yは、再利用することができる。
【0020】
なお、上述したフィルム状部材の分離方法は、接着剤層100の一方の面に第1の層101、接着剤層100の一方の面と反対側の面に第2の層102を有するフィルム状部材100を層に沿って刃2で切削して分離するものとしたが、本願発明は、これに限らず、例えば、3層に限らず、層は少なくとも、複数あれば良い。
即ち、少なくとも、複数の層を有するフィルム状部材を層に沿って刃で切削して分離するフィルム状部材の分離方法であって、前記フィルム状部材はテーブル上にあって、前記フィルム状部材を送りローラによって前記刃に供給して、前記フィルム状部材を分離するものであり、前記刃で前記フィルム状部材を二分割に分離後、分離された一方部材は、重力又は巻き取りローラーにより下方へ、分離された他方部材は、前記送りローラに沿って上方へ、それぞれ導かれるようにして、前記刃に対して分離された前記フィルム状部材が離間するものである。
このフィルム状部材の分離方法によれば、フィルム状部材を分離する際、刃でフィルム状部材を二分割に分離後、分離された一方部材は、重力又は巻き取りローラーにより下方へ、分離された他方部材は、送りローラに沿って上方へ、それぞれ導かれるようにして、刃に対して分離されたフィルム状部材が離間するため、分離された一方部材及び/又は分離された他方部材の薄層フィルムが、刃に付着することを防いで、フィルム状部材を切削によって分離することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 テーブル
2 刃
3 送りローラ
10 フィルム状部材
10X 分離された一方部材
10Y 分離された他方部材
100 接着剤層
101 第1の層
102 第2の層