(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044094
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 5/02 20060101AFI20220310BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
B05C5/02
B05C11/10
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149543
(22)【出願日】2020-09-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】西尾 勤
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA02
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA10
4F041BA12
4F041BA22
4F041BA36
4F042AA02
4F042BA06
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA13
4F042BA27
4F042CA01
4F042CA09
4F042CB03
4F042CB08
4F042CB10
4F042CB11
4F042CB19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】塗布用ノズルに設けたスリット状吐出口から塗液を被塗布体の表面に塗布するにあたり、被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させて、塗布の開始、停止が速やかであり、均一な厚みに簡単に塗布できる、塗布装置を提供する。
【解決手段】塗布用ノズル10を被塗布体Wの上で被塗布体と相対的に移動させ、塗布用ノズルの塗液収容部11内における塗液Pを、スリット状吐出口12から被塗布体の表面に塗布する塗布装置において、塗液収容部内で回転して塗液収容部とスリット状吐出口との間の開閉を行うシャッター部材13と、塗液収容部内の塗液に加わる圧力を調整する気体供給調整手段32を設け、気体供給調整手段により塗液収容部内における塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、シャッター部材を回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間を開閉させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布用ノズルにおける塗液収容部内に塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を供給すると共に、この塗液収容部内における塗液を吐出させる塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を被塗布体の上に配置し、前記の被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させて、前記の塗液収容部内における塗液を、前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布する塗布装置において、前記の塗液収容部内で回転して塗液収容部と前記のスリット状吐出口との間の開閉を行うシャッター部材を設け、前記のシャッター部材を回転させて、塗液収容部とスリット状吐出口との間を開閉させることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置において、前記の塗液収容部内で回転して塗液収容部と前記のスリット状吐出口との間の開閉を行うシャッター部材を設けると共に、前記の塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する圧力調整手段を設け、前記の圧力調整手段により塗液収容部内における塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、前記のシャッター部材を回転させて、塗液収容部とスリット状吐出口との間を開閉させることを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
請求項2に記載の塗布装置において、前記の圧力調整手段として、前記の塗液収容部内に塗液を供給させた状態で塗液収容部内に気体を供給して、前記の塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整する気体供給調整手段を設けたことを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
請求項2に記載の塗布装置において、前記の圧力調整手段として、前記の塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液収容部内に塗液を供給させて充填させるにあたり、塗液収容部内に収容された塗液に加わる圧力が一定圧になるように塗液の供給を調整する塗液供給調整手段を設けたことを特徴とする塗布装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の塗布装置において、前記のシャッター部材として、塗液収容部内で回転する棒状体の外周部に、その軸方向に沿って前記のスリット状吐出口よりも長く伸びた案内切欠き部を設けたものを用い、このシャッター部材を回転させて、前記の案内切欠き部を前記のスリット状吐出口の位置に導いて前記の塗液収容部とスリット状吐出口との間を連通させ、塗液収容部内における塗液を、案内切欠き部からスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布させることを特徴とする塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を供給すると共に、この塗液収容部内における塗液を吐出させる塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を被塗布体の上に配置し、前記の被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させて、前記の塗液収容部内における塗液を、前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布する塗布装置に関するものである。特に、前記のように被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させて、塗布用ノズルの先端部に設けたスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗液を塗布させるにあたり、速やかに塗布の開始と停止ができ、被塗布体の表面に塗液の厚みムラ等が生じないように、塗液を被塗布体の表面に均一な厚みになるように簡単に塗布できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、塗布装置により塗液を被塗布体の表面に塗布することが行われており、このような塗布装置としては、特許文献1に示されるように、塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗布用ノズルに供給させると共に、この塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を被塗布体に対向させるようにして、塗布用ノズルを被塗布体の上に配置させ、前記の塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗布用ノズルに所定の圧力で供給して、この塗液をスリット状吐出口から被塗布体の表面に吐出させながら、被塗布体の上において塗布用ノズルを塗布方向に移動させ、被塗布体の表面に塗液を塗布させるようにしたものが広く利用されている。
【0003】
ここで、前記のように塗液供給装置から塗液を塗布用ノズルに所定の圧力で供給して、この塗液をスリット状吐出口から被塗布体の表面に吐出させる場合、塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗液収容部に供給する際に、配管圧損(圧力損失)等か生じて、速やかに所定量の塗液をスリット状吐出口から被塗布体の表面に吐出させることができず、塗布開始時から被塗布体の表面に塗布される塗液の膜厚が徐々に増加して、被塗布体の表面に塗布される塗液の膜厚が一定になるまでは所定の時間を要すると共に、被塗布体の表面への塗液の塗布を停止させるにあたり、塗液供給装置から塗布用ノズルに供給する塗液に加わる圧力を減圧させて塗布用ノズルから塗液が吐出されないようにする場合にも、塗布用ノズルから塗液が吐出されなくなるまでに時間を要し、被塗布体の表面に塗布される塗液の膜厚が徐々に減少するようになり、塗布の開始時と停止時においては、塗液を被塗布体の表面に均一な厚みに塗布することができなかった。
【0004】
また、前記のような塗布装置において、被塗布体の表面に塗液を均一な厚みになるように塗布させるためには、塗布用ノズルを被塗布体の上で塗布方向に移動させる速度を、塗布開始時と塗布停止前とにおいて微妙に調整することが必要になり、被塗布体の表面に塗液を均一な厚みになるように塗布することは非常に困難であった。
【0005】
また、従来においては、特許文献2に示されるように、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口の下に、シリンダーによって移動されて前記のスリット状吐出口を開閉させるシャッター部材を設け、このシャッター部材によりスリット状吐出口を閉じて、塗液中における揮発性の溶剤が揮発するのを防止するようにしたものが提案されている。
【0006】
ここで、このようにシャッター部材をスリット状吐出口の下においてシリンダーにより水平方向に移動させて、スリット状吐出口を閉じるようにしたものにおいては、塗液を塗布用ノズルに所定の圧力で供給して、この塗液をスリット状吐出口から被塗布体の表面に吐出させるようにした場合、スリット状吐出口の下に設けられたシャッター部材に塗液による大きな圧力が加わり、板状のシャッター部材やシリンダーロッドが塗液により押されて曲がってしまい、塗布用ノズルにおける塗液がスリット状吐出口とシャッター部材との間から漏れ出すという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4344381号公報
【特許文献2】特開2000-280454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を供給すると共に、この塗液収容部内における塗液を吐出させる塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を被塗布体の上に配置し、前記の被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させて、前記の塗液収容部内における塗液を、前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布するようにした塗布装置における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0009】
すなわち、本発明においては、前記のように被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させて、塗布用ノズルに設けたスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗液を塗布させるにあたり、速やかに塗布の開始と停止ができ、被塗布体の表面に塗液の厚みムラ等が生じないように、塗液を被塗布体の表面に均一な厚みになるように簡単に塗布できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る塗布装置においては、前記のような課題を解決するため、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を供給すると共に、この塗液収容部内における塗液を吐出させる塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を被塗布体の上に配置し、前記の被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させて、前記の塗液収容部内における塗液を、前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布する塗布装置において、前記の塗液収容部内で回転して塗液収容部と前記のスリット状吐出口との間の開閉を行うシャッター部材を設け、前記のシャッター部材を回転させて、塗液収容部とスリット状吐出口との間を開閉させるようにした。
【0011】
そして、このようにシャッター部材を塗布用ノズルにおける塗液収容部内に設けたため、塗液に大きな圧力が加わっても、特許文献2のように、シャッター部材が曲がって塗液が漏れだすということがなく、また前記のシャッター部材を塗液収容部内で少し回転させるだけで、幅の広いスリット状吐出口を全幅にわたって同時に一瞬で速やかに開閉できるようになる。
【0012】
そして、このように塗液収容部内に設けたシャッター部材を少し回転させて、幅の広いスリット状吐出口を全幅にわたって速やかに開閉させることができるため、塗布の開始と停止とが速やかに行えるようになり、従来のように、塗布開始時から被塗布体の表面に塗布される塗液の膜厚が徐々に増加して、塗液の膜厚が一定になるまで時間を要したり、塗布を停止させる際に、塗液の膜厚が徐々に減少して、塗液の吐出が停止されるまでに時間を要したりすることがなくなる。
【0013】
また、本発明に係る塗布装置において、前記のように塗液収容部内で回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間の開閉を行うシャッター部材を設けると共に、塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する圧力調整手段を設け、圧力調整手段により塗液収容部内に収容された塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、シャッター部材を回転させて、塗液収容部とスリット状吐出口との間を開閉させるようにすると、シャッター部材を回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間を開口させた場合には、塗液収容部内に収容された塗液が一定した圧力でスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に供給されて、相対的に移動する被塗布体の表面に塗液が一定した厚みで塗布されるようになると共に、シャッター部材を回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間を閉塞させた場合には、塗液収容部内に収容された塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗液が供給されるのが速やかに停止されるようになる。
【0014】
また、本発明に係る塗布装置においては、前記の圧力調整手段として、前記の塗液収容部内に塗液を供給させた状態で塗液収容部内に気体を供給して、前記の塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整する気体供給調整手段を設けるようにし、或いは前記の塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液収容部内に塗液を供給させて充填させるにあたり、塗液収容部内に収容された塗液に加わる圧力が一定圧になるように塗液の供給を調整する塗液供給調整手段を設けるようにすることができる。
【0015】
ここで、圧力調整手段として、前記のように塗液収容部内に塗液を供給させた状態で塗液収容部内に気体を供給して、塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整する気体供給調整手段を設けた場合、塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整することが容易に行えると共に、塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗液収容部内に供給する際に、気泡が塗液と一緒に塗液収容部内に供給されたとしても、塗液収容部内において気泡が浮かび上がって塗液から分離されて、塗液収容部内に供給される気体と一緒になり、気泡がスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に供給されるのが防止される。
【0016】
また、本発明に係る塗布装置においては、前記のシャッター部材として、塗液収容部内で回転する棒状体の外周部に、その軸方向に沿って前記のスリット状吐出口よりも長く伸びた案内切欠き部を設けたものを用い、このシャッター部材を回転させて、前記の案内切欠き部を前記のスリット状吐出口の位置に導いて前記の塗液収容部とスリット状吐出口との間を連通させ、塗液収容部内における塗液を、案内切欠き部からスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布させるようにすることができる。
【0017】
このようにすると、スリット状吐出口の幅方向において、一斉に塗料の吐出の開始と停止が速やかに行えるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明における塗布装置においては、前記のように塗液収容部内で回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間の開閉を行うシャッター部材を設けると共に、塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する圧力調整手段を設け、圧力調整手段により塗液収容部内に収容された塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、シャッター部材を回転させて、塗液収容部とスリット状吐出口との間を開閉させるようにしたため、シャッター部材を回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間を開口させた場合には、塗液収容部内に収容された塗液が一定した圧力でスリット状吐出口を通して速やかに被塗布体の表面に供給されて、相対的に移動する被塗布体の表面に塗液が一定した厚みで塗布されるようになると共に、シャッター部材を回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間を閉塞させた場合には、塗液収容部内に収容された塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗液が供給されるのが速やかに停止されるようになる。
【0019】
この結果、本発明における塗布装置においては、被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させて、塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布するにあたり、前記のように圧力調整手段により塗液収容部内に収容された塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、シャッター部材を回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間を開閉させるだけで、塗液収容部内に収容された塗液を一定した圧力でスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に速やかに供給させたり、停止させたりすることができるようになり、塗布開始時に塗液の膜厚が一定になるまでに時間を要したり、塗布停止時に塗液の吐出が停止するまでに時間を要したりすることがなくなり、被塗布体の表面に塗液の厚みムラ等が生じないようにして、塗液を被塗布体の表面に均一な厚みになるように簡単に塗布できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態1に係る塗布装置において、塗布用ノズルの塗液収容部内に設けたシャッター部材により塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を閉じた状態で、塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗液収容部内に供給する状態を示したスリット状吐出口の長手方向の概略断面説明図である。
【
図2】前記の実施形態1に係る塗布装置において、塗布用ノズルの塗液収容部内に設けたシャッター部材により塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を閉じた状態で、塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗液収容部内に供給する状態を示したスリット状吐出口の長手方向と交差する方向の概略断面説明図である。
【
図3】前記の実施形態1に係る塗布装置において、塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗液収容部内に供給した後、塗液収容部内に気体を供給して、塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する状態を示したスリット状吐出口の長手方向と交差する方向の概略断面説明図である。
【
図4】前記の実施形態1に係る塗布装置を示し、(A)~(D)は、所定量の塗液が供給された塗液収容部内に気体を供給して塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整した状態で、塗布用ノズルを被塗布体の上に配置し、シャッター部材を回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間を開口させて、スリット状吐出口から塗液を被塗布体の上に供給して、被塗布体の表面に塗液を塗布するにあたり、気体供給調整手段により塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整しながら、被塗布体を塗布用ノズルの下で移動させて、塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口から被塗布体の表面に塗布する工程を示した概略断面説明図である。
【
図5】本発明の実施形態2に係る塗布装置を示し、(A)は、塗布用ノズルの塗液収容部内に設けたシャッター部材により塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を閉じた状態で、塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗液収容部内に供給する状態を示したスリット状吐出口の長手方向と交差する方向の概略断面説明図、(B)は、塗液収容部内に塗液を充填させて、塗液収容部内に収容された塗液に加わる圧力が一定圧になるように、塗液の供給を調整する状態を示したスリット状吐出口の長手方向と交差する方向の概略断面説明図である。
【
図6】前記の実施形態2に係る塗布装置を示し、(A)~(D)は、塗液収容部内に充填させて、塗液収容部内に充填された塗液に加わる圧力が所定圧になるように調整した状態で、塗布用ノズルを被塗布体の上に配置し、シリンジポンプを用いて塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整しながら、被塗布体を塗布用ノズルの下で移動させて、塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布する工程を示した概略断面説明図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る塗布装置において、シャッター部材に案内切欠き部を設けるにあたり、(A)~(D)は、シャッター部材に設ける案内切欠き部の形状を変更させたシャッター部材の概略展開図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る塗布装置において、
図7(A)~(D)に示した案内切欠き部の形状を変更させたシャッター部材を用いて被塗布体に塗液を塗布する例を示し、(A)~(H)は、これらのシャッター部材の回転を制御して、被塗布体に塗液を塗布した状態を示した概略平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る塗布装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る塗布装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0022】
(実施形態1)
実施形態1における塗布装置においては、
図1~
図4に示すように、塗布用ノズル10の内部に塗液Pを収容させる塗液収容部11を設けると共に、先端部に前記の塗液収容部11内に収容された塗液Pを吐出させるスリット状吐出口12を設け、さらに前記の塗液収容部11内で回転して塗液収容部11とスリット状吐出口12との間の開閉を行うシャッター部材13を設けている。
【0023】
ここで、前記のシャッター部材13としては、前記の塗液収容部11内で回転する棒状体の外周部に、その軸方向に沿って前記のスリット状吐出口12よりも長く伸びた案内切欠き部13aを設けたものを用いている。
【0024】
そして、このシャッター部材13を塗液収容部11内で回転させて、シャッター部材13における案内切欠き部13aをスリット状吐出口12の位置に導かない状態では、塗液収容部11とスリット状吐出口12との間がシャッター部材13によって閉塞されて、塗液収容部11内に収容された塗液Pがスリット状吐出口12に導かれない一方、案内切欠き部13aがスリット状吐出口12の位置に導かれた状態では、塗液収容部11とスリット状吐出口12との間が案内切欠き部13aを介して連通され、塗液収容部11内に収容された塗液Pが案内切欠き部13aを通してスリット状吐出口12に導かれるようになる。
【0025】
また、この実施形態1における塗布装置においては、前記の塗布用ノズル10における塗液収容部11に対して、塗液供給装置20から塗液Pを供給させる塗液供給パイプ21に塗液供給弁22を設け、塗液供給装置20の上方から塗液Pに圧力をかけ、この塗液供給弁22を開閉させて、塗液収容部11への塗液Pの供給や停止を行うようにすると共に、塗液収容部11内への気体の供給・排気を行う供給・排気パイプ31を設け、この供給・排気パイプ31における供給側パイプ31aに、気体供給調整手段として、気体供給装置30から前記の塗液収容部11に供給する気体を調整する気体供給調整弁32を設ける一方、供給・排気パイプ31における排気側パイプ31bに排気弁33を設け、この排気弁33を通して塗液収容部11内における気体を排気させるようにしている。
【0026】
そして、この実施形態1における塗布装置において、塗布用ノズル10における塗液収容部11内に塗液Pを供給する場合には、
図1及び
図2に示すように、塗布用ノズル10の先端部におけるスリット状吐出口12を前記のシャッター部材13によって閉じた状態で、塗液供給パイプ21に設けた前記の塗液供給弁22を開け、塗液供給装置20から塗液供給パイプ21を通して塗液収容部11内に所定量の塗液Pを供給させると共に、前記の排気側パイプ31bに設けた排気弁33を開けて、この排気側パイプ31bを通して塗液収容部11内における気体を排気(気抜き)させる一方、前記の供給側パイプ31aに設けた気体供給調整弁32を閉じて、気体供給装置30から気体を塗液収容部11に供給させないようにする。なお、図に示した塗液供給弁22、気体供給調整弁32、排気弁33の開閉については、開いた状態を白抜きで、閉じた状態を黒塗りで示した。
【0027】
また、前記のようにして塗布用ノズル10における塗液収容部11内に所定量の塗液Pを供給させた後は、
図3に示すように、前記の塗布用ノズル10の先端部におけるスリット状吐出口12を前記のシャッター部材13によって閉じた状態で、塗液供給パイプ21に設けた前記の塗液供給弁22を閉じて、塗液供給装置20から塗液Pを塗液収容部11に供給させないようにすると共に、前記の排気側パイプ31bに設けた排気弁33を閉じて塗液収容部11内における気体を排気させないようにする一方、前記の供給側パイプ31aに設けた気体供給調整弁32を開け、気体供給装置30から気体を供給側パイプ31aに設けた気体供給調整弁32を通して塗液収容部11内に供給し、塗液収容部11内における塗液Pに加わる圧力が所定圧になるように調整している。
【0028】
そして、この実施形態1における塗布装置において、前記の塗布用ノズル10から被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布するにあたっては、前記のように塗布用ノズル10の先端部におけるスリット状吐出口12をシャッター部材13によって閉じ、気体供給装置30から気体供給調整弁32を介して気体を塗液収容部11内に供給し、塗液収容部11内における塗液Pに加わる圧力を所定圧に調整した状態で、
図4(A)に示すように、この塗布用ノズル10を、スリット状吐出口12から被塗布体Wの表面に塗液Pの塗布を開始させる位置に導くようにする。
【0029】
次いで、
図4(B)に示すように、前記のシャッター部材13を塗液収容部11内で速やかに回転させて、シャッター部材13における案内切欠き部13aをスリット状吐出口12の位置に導いて、塗液収容部11とスリット状吐出口12との間を案内切欠き部13aによって連通させ、塗液収容部11内に収容された塗液Pを所定圧で前記の案内切欠き部13aからスリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に供給させるようにする。
【0030】
このようにすると、塗液Pが速やかにシャッター部材13によりスリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に供給されるようになり、従来のように、塗布の開始時から被塗布体Wの表面に塗布される塗液Pの膜厚の量が徐々に増加するということがなく、塗布の開始時から被塗布体Wの表面全体に塗液Pが均一な厚みになるようにして塗布されるようになる。
【0031】
そして、
図4(C)に示すように、前記の気体供給調整弁32により気体供給装置30から塗液収容部11内に供給する気体の量を調整して、塗液収容部11内における塗液Pに加わる圧力を一定の所定圧に調整した状態で、塗液収容部11内における塗液Pを一定の圧力でスリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に供給させながら、被塗布体Wを塗布用ノズル10の下で移動(もしくは、塗布用ノズル10を被塗布体Wの上で移動)させて、被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布させるようにする。このようにすると、常にスリット状吐出口12を通して塗液Pが一定の圧力で被塗布体Wの表面に供給され、被塗布体Wの表面に塗液Pが均一な厚みになるようにして塗布される。
【0032】
このようにして、スリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布させた後、被塗布体Wの表面への塗液Pの塗布を停止させる場合には、
図4(D)に示すように、速やかに前記のシャッター部材13を回転させて、シャッター部材13における案内切欠き部13aをスリット状吐出口12の位置から離れるようにし、シャッター部材13により塗液収容部11とスリット状吐出口12との間を閉塞させて、塗液収容部11内に収容された塗液Pがスリット状吐出口12に導かれないようにする。このようにすると、スリット状吐出口12を通して一定の圧力で被塗布体Wの表面に供給されていた塗液Pが、速やかにシャッター部材13によりスリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に供給されなくなり、従来のように、塗布の終了時に、被塗布体Wの表面に塗布される塗液Pの膜厚が徐々に減少するということがなく、被塗布体Wの表面全体に塗液Pが均一な厚みになるようにして塗布されるようになる。
【0033】
(実施形態2)
実施形態2における塗布装置においても、
図5及び
図6に示すように、前記の実施形態1のものと同様に、塗布用ノズル10の内部に塗液Pを収容させる塗液収容部11を設けると共に、先端部に前記の塗液収容部11内に収容された塗液Pを吐出させるスリット状吐出口12を設け、さらに塗液収容部11内で回転させて塗液収容部11とスリット状吐出口12との間の開閉を行うシャッター部材13を設けている。
【0034】
そして、この実施形態2における塗布装置においても、前記の実施形態1のものと同様に、前記のシャッター部材13を塗液収容部11内で回転させて、シャッター部材13における案内切欠き部13aをスリット状吐出口12の位置に導かない状態では、塗液収容部11とスリット状吐出口12との間がシャッター部材13によって閉塞されて、塗液収容部11内に収容された塗液Pがスリット状吐出口12に導かれない一方、案内切欠き部13aがスリット状吐出口12の位置に導かれた状態では、塗液収容部11とスリット状吐出口12との間が案内切欠き部13aを介して連通され、塗液収容部11内に収容された塗液Pが案内切欠き部13aを通してスリット状吐出口12に導かれるようにしている。
【0035】
また、この実施形態2における塗布装置においても、塗布用ノズル10における塗液収容部11に塗液Pを供給させるにあたり、前記の実施形態1のものと同様に、図示していない塗液供給装置20から塗液供給パイプ21を通して塗液Pを塗布用ノズル10における塗液収容部11に供給させるようにしている。
【0036】
そして、この実施形態2における塗布装置においては、塗液供給装置20から塗液供給パイプ21を通して塗液Pを塗布用ノズル10における塗液収容部11に供給させるにあたり、
図5及び
図6に示すように、前記の塗液供給パイプ21の途中の位置に、塗液収容部11内に収容された塗液Pに加わる圧力が一定圧になるように塗液Pの供給を調整する塗液供給調整手段として、シリンジポンプ40を設け、シリンジポンプ40の上流側における塗液供給パイプ21に設けた第1塗液供給弁22aを通して塗液Pをシリンジポンプ40内に導くと共に、このシリンジポンプ40内に導かれた塗液Pをシリンジポンプ40の下流側における塗液供給パイプ21に設けた第2塗液供給弁22bを通して塗液収容部11内に供給して充填させるようにしている。
【0037】
また、この実施形態2における塗布装置においては、塗液収容部11内に塗液Pの供給させる場合に、塗液収容部11内における気体を外部に排気させる排気用パイプ34に排気用弁35を設けている。
【0038】
そして、この実施形態2における塗布装置において、塗布用ノズル10における塗液収容部11内に塗液Pを供給する場合には、
図5(A)に示すように、塗布用ノズル10の先端部におけるスリット状吐出口12を前記のシャッター部材13によって閉じた状態にして、塗液供給パイプ21に設けた前記の第1塗液供給弁22aと第2塗液供給弁22bとを開け、塗液供給パイプ21を通して塗液Pをシリンジポンプ40内に供給して充填し、このようにシリンジポンプ40内に供給された塗液Pを塗布用ノズル10の塗液収容部11内に供給すると共に、前記の排気用パイプ34に設けた排気用弁35を開けて、塗液Pが供給される塗液収容部11内の気体を、排気用パイプ34を通して排気(気抜き)させるようにしている。
【0039】
また、このようにして塗布用ノズル10の塗液収容部11内に塗液Pを供給して、塗液収容部11内に塗液Pを充填させた後は、
図5(B)に示すように、前記の第1塗液供給弁22aと排気用弁35とを閉じた状態で、前記のシリンジポンプ40におけるシリンダー41により、シリンジポンプ40内における塗液Pを塗液収容部11内に送り出す方向に押して、塗液収容部11内における塗液Pに加わる圧力が所定圧になるようにしている。なお、図に示した第1塗液供給弁22a、第2塗液供給弁22b、排気用弁35の開閉については、開いた状態を白抜きで、閉じた状態を黒塗りで示した。
【0040】
そして、この実施形態2における塗布装置において、前記の塗布用ノズル10から被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布するにあたっては、前記のように塗布用ノズル10の先端部におけるスリット状吐出口12をシャッター部材13によって閉じ、シリンジポンプ40におけるシリンダー41により、シリンジポンプ40内における塗液Pを塗液収容部11内に送り出す方向に押して、塗液収容部11内における塗液Pに加わる圧力を所定圧に調整した状態で、
図6(A)に示すように、この塗布用ノズル10を、スリット状吐出口12から被塗布体Wの表面に塗液Pの塗布を開始させる位置に導くようにする。
【0041】
次いで、
図6(B)に示すように、前記のシャッター部材13を塗液収容部11内で速やかに回転させて、シャッター部材13における案内切欠き部13aをスリット状吐出口12の位置に導いて、塗液収容部11とスリット状吐出口12との間を案内切欠き部13aによって連通させ、塗液収容部11内に収容された塗液Pを所定圧で前記の案内切欠き部13aからスリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に供給させるようにする。
【0042】
このようにすると、塗液Pが速やかにシャッター部材13によりスリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に供給されるようになり、従来のように、塗布の開始時から被塗布体Wの表面に塗布される塗液Pの膜厚の量が徐々に増加するということがなく、塗布の開始時から被塗布体Wの表面全体に塗液Pが均一な厚みになるようにして塗布されるようになる。
【0043】
そして、
図6(C)に示すように、前記のシリンダー41によりシリンジポンプ40内における塗液Pを塗液収容部11内に送り出す方向に押して、塗液収容部11内における塗液Pに加わる圧力を一定の所定圧に調整した状態で、塗液収容部11内における塗液Pを一定の圧力でスリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に供給させながら、被塗布体Wを塗布用ノズル10の下で移動(もしくは、塗布用ノズル10を被塗布体Wの上で移動)させて、させて、被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布させるようにする。このようにすると、スリット状吐出口12を通して塗液Pが一定の圧力で被塗布体Wの表面に供給され、被塗布体Wの表面に塗液Pが均一な厚みになるようにして塗布される。
【0044】
このようにして、スリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布させた後、被塗布体Wの表面への塗液Pの塗布を停止させる場合には、
図6(D)に示すように、速やかに前記のシャッター部材13を回転させ、シャッター部材13における案内切欠き部13aをスリット状吐出口12の位置から離して、シャッター部材13により塗液収容部11とスリット状吐出口12との間を閉塞されて、塗液収容部11内に収容された塗液Pがスリット状吐出口12に導かれないようにする。このようにすると、スリット状吐出口12を通して一定の圧力で被塗布体Wの表面に供給されていた塗液Pが、シャッター部材13によりスリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に速やかに供給されなくなり、従来のように、塗布の終了時に被塗布体Wの表面に塗布される塗液Pの膜厚が徐々に減少するということがなく、被塗布体Wの表面全体に塗液Pが均一な厚みになるようにして塗布されるようになる。
【0045】
そして、シリンジポンプ40内における塗液Pの量が減少した場合には、図示していないが、前記の第2塗液供給弁22bを閉じる一方、前記の第1塗液供給弁22aを開け、シリンジポンプ40におけるシリンダー41を吸引方向に動かして、再び、塗液供給装置20から塗液供給パイプ21を通して塗液Pをシリンジポンプ40内に充填させる。なお、同実施形態の図においては、1回の塗布でシリンジポンプ40内における塗液Pがなくなるように示したが、シリンジポンプ40内に充填される塗液Pの量を多くして、塗布を複数回行うようにし、その後、前記のようにして塗液供給装置20から塗液供給パイプ21を通して塗液Pをシリンジポンプ40内に充填させるようにすることもできる。
【0046】
また、本発明において使用するシャッター部材13は、前記の実施形態1、2に示したものに限られず、前記のシャッター部材13に設ける案内切欠き部13aの形状を、
図7(A)~(D)に示したシャッター部材13の展開図のように様々な形状にすることができる。
【0047】
例えば、
図7(A)に示すように、シャッター部材13として、平面四角形状になった大きな案内切欠き部13aを設けたものを用い、被塗布体Wと塗布用ノズル10とを相対的に移動させて、被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布するにあたり、シャッター部材13を一定時間開放させて、
図8(A)に示すように、被塗布体Wの表面に前記の案内切欠き部13aから塗液Pを連続して供給して被塗布体Wの表面に四角形状に塗布し、また、シャッター部材13を断続的に開閉させて、
図8(B)に示すように、被塗布体Wの表面に塗液Pを前記の案内切欠き部13aから断続的に供給して、シャッター部材13の軸方向に伸びた短冊状になるようにして、被塗布体Wの表面に塗液Pを複数本塗布させるようにすることができる。
【0048】
また、
図7(B)に示すように、シャッター部材13として、その軸方向に所要間隔を介するようにして四角形状になった案内切欠き部13aを複数設けたものを用い、被塗布体Wと塗布用ノズル10とを相対的に移動させて、被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布するにあたり、シャッター部材13を一定時間開放させて、
図8(C)に示すように、被塗布体Wの表面に塗液Pを各案内切欠き部13aから連続して供給して複数の縦縞状に塗布し、また、シャッター部材13を断続的に開閉させて、
図8(D)に示すように、被塗布体Wの表面に塗液Pを各案内切欠き部13aから断続的に供給して、四角状の塗液Pを格子状に塗布させるようにすることができる。
【0049】
また、
図7(C)に示すように、シャッター部材13として、凹型状になった案内切欠き部13aを設けたものを用い、被塗布体Wと塗布用ノズル10とを相対的に移動させて、被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布するにあたり、シャッター部材13を適当なタイミングで開閉させて、
図8(E)に示すように、被塗布体Wの表面に塗液Pを額縁状に塗布したり、
図8(F)に示すように、被塗布体Wの表面に塗液Pを、額縁の内部に横縞を設けた状態になるように塗布させたりすることができる。
【0050】
また、
図7(D)に示すように、シャッター部材13として、櫛歯状になった案内切欠き部13aを設けたものを用い、被塗布体Wと塗布用ノズル10とを相対的に移動させて、被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布するにあたり、シャッター部材13を適当なタイミングで開閉させて、
図8(G)に示すように、被塗布体Wの表面に塗液Pを、額縁の内部に縦縞を設けた状態になるように塗布させるたり、
図8(H)に示すように、被塗布体Wの表面に塗液Pを櫛歯状になった案内切欠き部13aから断続的に供給して、被塗布体Wの表面に四角状になった複数の非塗布部を配列させるようにして、塗液Pを格子状に塗布させるようにすることができる。
【符号の説明】
【0051】
10 :塗布用ノズル
11 :塗液収容部
12 :スリット状吐出口
13 :シャッター部材
13a :案内切欠き部
20 :塗液供給装置
21 :塗液供給パイプ
22 :塗液供給弁
22a :第1塗液供給弁
22b :第2塗液供給弁
30 :気体供給装置
31 :供給・排気パイプ
31a :供給側パイプ
31b :排気側パイプ
32 :気体供給調整弁
33 :排気弁
34 :排気用パイプ
35 :排気用弁
40 :シリンジポンプ
41 :シリンダー
P :塗液
W :被塗布体
【手続補正書】
【提出日】2021-02-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布用ノズルにおける塗液収容部内に塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を供給すると共に、この塗液収容部内における塗液を吐出させる塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を被塗布体の上に配置し、前記の被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させて、前記の塗液収容部内における塗液を、前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布する塗布装置において、前記の塗液収容部内で回転して塗液収容部と前記のスリット状吐出口との間の開閉を行うシャッター部材を設けると共に、前記の塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する圧力調整手段として、前記の塗液収容部内に塗液を供給させた状態で塗液収容部内に気体を供給して、前記の塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整する気体供給調整手段を設け、前記の圧力調整手段により塗液収容部内における塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、前記のシャッター部材を回転させて、塗液収容部とスリット状吐出口との間を開閉させることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置において、前記のシャッター部材として、塗液収容部内で回転する棒状体の外周部に、その軸方向に沿って前記のスリット状吐出口よりも長く伸びた案内切欠き部を設けたものを用い、このシャッター部材を回転させて、前記の案内切欠き部を前記のスリット状吐出口の位置に導いて前記の塗液収容部とスリット状吐出口との間を連通させ、塗液収容部内における塗液を、案内切欠き部からスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布させることを特徴とする塗布装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明に係る塗布装置においては、前記のような課題を解決するため、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を供給すると共に、この塗液収容部内における塗液を吐出させる塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を被塗布体の上に配置し、前記の被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させて、前記の塗液収容部内における塗液を、前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布する塗布装置において、前記の塗液収容部内で回転して塗液収容部と前記のスリット状吐出口との間の開閉を行うシャッター部材を設けると共に、前記の塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する圧力調整手段として、前記の塗液収容部内に塗液を供給させた状態で塗液収容部内に気体を供給して、前記の塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整する気体供給調整手段を設け、前記の圧力調整手段により塗液収容部内における塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、前記のシャッター部材を回転させて、塗液収容部とスリット状吐出口との間を開閉させるようにした。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、本発明に係る塗布装置においては、前記のように塗液収容部内で回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間の開閉を行うシャッター部材を設けると共に、塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する圧力調整手段として、前記の塗液収容部内に塗液を供給させた状態で塗液収容部内に気体を供給して、前記の塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整する気体供給調整手段を設け、前記の圧力調整手段により塗液収容部内における塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、シャッター部材を回転させて、塗液収容部とスリット状吐出口との間を開閉させるようにしたため、シャッター部材を回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間を開口させた場合には、塗液収容部内に収容された塗液が一定した圧力でスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に供給されて、相対的に移動する被塗布体の表面に塗液が一定した厚みで塗布されるようになると共に、シャッター部材を回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間を閉塞させた場合には、塗液収容部内に収容された塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗液が供給されるのが速やかに停止されるようになる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
ここで、圧力調整手段として、前記のように塗液収容部内に塗液を供給させた状態で塗液収容部内に気体を供給して、塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整する気体供給調整手段を設けるようにすると、塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整することが容易に行えると共に、塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗液収容部内に供給する際に、気泡が塗液と一緒に塗液収容部内に供給されたとしても、塗液収容部内において気泡が浮かび上がって塗液から分離されて、塗液収容部内に供給される気体と一緒になり、気泡がスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に供給されるのが防止される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明における塗布装置においては、前記のように塗液収容部内で回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間の開閉を行うシャッター部材を設けると共に、塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する圧力調整手段として、前記の塗液収容部内に塗液を供給させた状態で塗液収容部内に気体を供給して、前記の塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整する気体供給調整手段を設け、圧力調整手段により塗液収容部内に収容された塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、シャッター部材を回転させて、塗液収容部とスリット状吐出口との間を開閉させるようにしたため、シャッター部材を回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間を開口させた場合には、塗液収容部内に収容された塗液が一定した圧力でスリット状吐出口を通して速やかに被塗布体の表面に供給されて、相対的に移動する被塗布体の表面に塗液が一定した厚みで塗布されるようになると共に、シャッター部材を回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間を閉塞させた場合には、塗液収容部内に収容された塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗液が供給されるのが速やかに停止されるようになる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態1に係る塗布装置において、塗布用ノズルの塗液収容部内に設けたシャッター部材により塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を閉じた状態で、塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗液収容部内に供給する状態を示したスリット状吐出口の長手方向の概略断面説明図である。
【
図2】前記の実施形態1に係る塗布装置において、塗布用ノズルの塗液収容部内に設けたシャッター部材により塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を閉じた状態で、塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗液収容部内に供給する状態を示したスリット状吐出口の長手方向と交差する方向の概略断面説明図である。
【
図3】前記の実施形態1に係る塗布装置において、塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗液収容部内に供給した後、塗液収容部内に気体を供給して、塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する状態を示したスリット状吐出口の長手方向と交差する方向の概略断面説明図である。
【
図4】前記の実施形態1に係る塗布装置を示し、(A)~(D)は、所定量の塗液が供給された塗液収容部内に気体を供給して塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整した状態で、塗布用ノズルを被塗布体の上に配置し、シャッター部材を回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間を開口させて、スリット状吐出口から塗液を被塗布体の上に供給して、被塗布体の表面に塗液を塗布するにあたり、気体供給調整手段により塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整しながら、被塗布体を塗布用ノズルの下で移動させて、塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口から被塗布体の表面に塗布する工程を示した概略断面説明図である。
【
図5】本発明の
参考形態に係る塗布装置を示し、(A)は、塗布用ノズルの塗液収容部内に設けたシャッター部材により塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を閉じた状態で、塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗液収容部内に供給する状態を示したスリット状吐出口の長手方向と交差する方向の概略断面説明図、(B)は、塗液収容部内に塗液を充填させて、塗液収容部内に収容された塗液に加わる圧力が一定圧になるように、塗液の供給を調整する状態を示したスリット状吐出口の長手方向と交差する方向の概略断面説明図である。
【
図6】前記の
参考形態に係る塗布装置を示し、(A)~(D)は、塗液収容部内に充填させて、塗液収容部内に充填された塗液に加わる圧力が所定圧になるように調整した状態で、塗布用ノズルを被塗布体の上に配置し、シリンジポンプを用いて塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整しながら、被塗布体を塗布用ノズルの下で移動させて、塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布する工程を示した概略断面説明図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る塗布装置において、シャッター部材に案内切欠き部を設けるにあたり、(A)~(D)は、シャッター部材に設ける案内切欠き部の形状を変更させたシャッター部材の概略展開図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る塗布装置において、
図7(A)~(D)に示した案内切欠き部の形状を変更させたシャッター部材を用いて被塗布体に塗液を塗布する例を示し、(A)~(H)は、これらのシャッター部材の回転を制御して、被塗布体に塗液を塗布した状態を示した概略平面図である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
(
参考形態)
参考形態における塗布装置においても、
図5及び
図6に示すように、前記の実施形態1のものと同様に、塗布用ノズル10の内部に塗液Pを収容させる塗液収容部11を設けると共に、先端部に前記の塗液収容部11内に収容された塗液Pを吐出させるスリット状吐出口12を設け、さらに塗液収容部11内で回転させて塗液収容部11とスリット状吐出口12との間の開閉を行うシャッター部材13を設けている。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
そして、この参考形態における塗布装置においても、前記の実施形態1のものと同様に、前記のシャッター部材13を塗液収容部11内で回転させて、シャッター部材13における案内切欠き部13aをスリット状吐出口12の位置に導かない状態では、塗液収容部11とスリット状吐出口12との間がシャッター部材13によって閉塞されて、塗液収容部11内に収容された塗液Pがスリット状吐出口12に導かれない一方、案内切欠き部13aがスリット状吐出口12の位置に導かれた状態では、塗液収容部11とスリット状吐出口12との間が案内切欠き部13aを介して連通され、塗液収容部11内に収容された塗液Pが案内切欠き部13aを通してスリット状吐出口12に導かれるようにしている。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
また、この参考形態における塗布装置においても、塗布用ノズル10における塗液収容部11に塗液Pを供給させるにあたり、前記の実施形態1のものと同様に、図示していない塗液供給装置20から塗液供給パイプ21を通して塗液Pを塗布用ノズル10における塗液収容部11に供給させるようにしている。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
そして、この
参考形態における塗布装置においては、塗液供給装置20から塗液供給パイプ21を通して塗液Pを塗布用ノズル10における塗液収容部11に供給させるにあたり、
図5及び
図6に示すように、前記の塗液供給パイプ21の途中の位置に、塗液収容部11内に収容された塗液Pに加わる圧力が一定圧になるように塗液Pの供給を調整する塗液供給調整手段として、シリンジポンプ40を設け、シリンジポンプ40の上流側における塗液供給パイプ21に設けた第1塗液供給弁22aを通して塗液Pをシリンジポンプ40内に導くと共に、このシリンジポンプ40内に導かれた塗液Pをシリンジポンプ40の下流側における塗液供給パイプ21に設けた第2塗液供給弁22bを通して塗液収容部11内に供給して充填させるようにしている。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
また、この参考形態における塗布装置においては、塗液収容部11内に塗液Pの供給させる場合に、塗液収容部11内における気体を外部に排気させる排気用パイプ34に排気用弁35を設けている。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
そして、この
参考形態における塗布装置において、塗布用ノズル10における塗液収容部11内に塗液Pを供給する場合には、
図5(A)に示すように、塗布用ノズル10の先端部におけるスリット状吐出口12を前記のシャッター部材13によって閉じた状態にして、塗液供給パイプ21に設けた前記の第1塗液供給弁22aと第2塗液供給弁22bとを開け、塗液供給パイプ21を通して塗液Pをシリンジポンプ40内に供給して充填し、このようにシリンジポンプ40内に供給された塗液Pを塗布用ノズル10の塗液収容部11内に供給すると共に、前記の排気用パイプ34に設けた排気用弁35を開けて、塗液Pが供給される塗液収容部11内の気体を、排気用パイプ34を通して排気(気抜き)させるようにしている。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
そして、この
参考形態における塗布装置において、前記の塗布用ノズル10から被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布するにあたっては、前記のように塗布用ノズル10の先端部におけるスリット状吐出口12をシャッター部材13によって閉じ、シリンジポンプ40におけるシリンダー41により、シリンジポンプ40内における塗液Pを塗液収容部11内に送り出す方向に押して、塗液収容部11内における塗液Pに加わる圧力を所定圧に調整した状態で、
図6(A)に示すように、この塗布用ノズル10を、スリット状吐出口12から被塗布体Wの表面に塗液Pの塗布を開始させる位置に導くようにする。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
また、本発明において使用するシャッター部材13は、前記の
実施形態1に示したものに限られず、前記のシャッター部材13に設ける案内切欠き部13aの形状を、
図7(A)~(D)に示したシャッター部材13の展開図のように様々な形状にすることができる。