(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044124
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】飲食物搬送装置用自動扉および飲食物搬送装置
(51)【国際特許分類】
A47G 23/08 20060101AFI20220310BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149589
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】390010319
【氏名又は名称】株式会社石野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】川口 岳宏
(72)【発明者】
【氏名】久保 茂
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA25
3B115CA05
3B115CB07
(57)【要約】
【課題】本発明は、搬送路と客席との間を仕切る両開きの自動扉を開閉しても、左右の扉同士の接触音を発生させないことを解決課題とする。
【解決手段】本発明は、飲食物の搬送路沿いに設置される飲食物搬送装置用自動扉であって、搬送路と搬送路沿いにある客席との間に配置される左扉及び右扉と、左扉及び右扉を左右方向にスライド可能に保持する保持部と、左扉及び右扉を左右方向にスライドさせる駆動部と、を備え、保持部は、左扉と右扉が前後方向において互い違いになるように左扉及び右扉を保持する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物の搬送路沿いに設置される飲食物搬送装置用自動扉であって、
前記搬送路と前記搬送路沿いにある客席との間に配置される左扉及び右扉と、
前記左扉及び前記右扉を左右方向にスライド可能に保持する保持部と、
前記左扉及び前記右扉を左右方向にスライドさせる駆動部と、を備え、
前記保持部は、前記左扉と前記右扉が前後方向において互い違いになるように前記左扉及び前記右扉を保持する、
飲食物搬送装置用自動扉。
【請求項2】
前記保持部は、1本のレールに設けられた2つのスライダのうち、一方のスライダが左扉用部材で前記左扉を保持し、他方のスライダが右扉用部材で前記右扉を保持しており、
前記左扉用部材と前記右扉用部材は、前後方向における前記レールから扉の取付位置までの寸法が互い違いになっている、
請求項1に記載の飲食物搬送装置用自動扉。
【請求項3】
前記保持部は、前記左扉と前記右扉が正面から見て一部重なった場合に、重なり部分における扉の前後方向の隙間が所定距離以上となる位置関係で、前記左扉及び前記右扉を保持する、
請求項1又は2に記載の飲食物搬送装置用自動扉。
【請求項4】
前記駆動部は、扉の閉動作時に前記左扉と前記右扉が正面から見て一部重なる状態で停止する、
請求項1から3の何れか一項に記載の飲食物搬送装置用自動扉。
【請求項5】
前記駆動部は、扉の開動作時、前記左扉を左方向へスライドさせ、前記右扉を右方向へスライドさせる、
請求項1から4の何れか一項に記載の飲食物搬送装置用自動扉。
【請求項6】
前記駆動部は、ステッピングモータのパルス数に基づいて開閉動作を停止する、
請求項1から5の何れか一項に記載の飲食物搬送装置用自動扉。
【請求項7】
飲食物を搬送する飲食物搬送装置であって、
複数の客席沿いに前記搬送路を形成する搬送機構と、
前記搬送路沿いの各客席部分に設けられる請求項1から6の何れか一項に記載の飲食物搬送装置用自動扉と、を備える、
飲食物搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物搬送装置用自動扉および飲食物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食店においては、搬送装置を使った飲食物の提供が行なわれている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲食物を機械で搬送する仕組みとしては、例えば、厨房から客席へ至るベルトコンベアに飲食物の皿を載せて搬送するものや、厨房と客席との間を往復する台車に飲食物の皿を載せて搬送するもの、店内を循環する循環搬送路に飲食物の皿を載せて搬送するものがある。しかし、何れの仕組みも複数の客席沿いに設けられた搬送路で飲食物を搬送するので、搬送路がカバー等で覆われていない場合、搬送途中の注文飲食物を他の客が誤って取る可能性がある。そこで、特許文献1に開示されているような自動開閉式のゲートを客席付近に設置し、搬送途中の注文飲食物を他の客が誤って取るのを防ぐ手段を講ずることが考えられる。
【0005】
ところが、このようなゲートの場合、客席側の空間と搬送路側の空間との間を遮断することができない。よって、例えば、審美性の観点や、飛沫等の飛散防止といった衛生上の観点から搬送路を客席から覆い隠したい場合に、このようなゲートを採用することはできない。そこで、このようなゲートに代わり、横方向へスライドするスライド式の自動扉を設置することが考えられるが、例えば、1枚の扉を左または右の何れかへスライドさせる片開き方式の場合、開閉時間が長い、或いは、支持構造の荷重配分にアンバランスが発生するといった諸問題がある。一方、2枚の扉を左右へそれぞれスライドさせる両開き方式の場合、開閉時間が短い、支持構造の荷重配分を均等にしやすいといった優位点がある反面、扉を閉じる際に左右の扉同士が接触して不快な接触音を発する可能性があるため、扉を動かすモータの制動力や、扉の取り付け位置の調整が難しくなる。
【0006】
そこで、本発明は、搬送路と客席との間を仕切る両開きの自動扉を開閉しても、左右の扉同士の接触音を発生させないことを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、スライド式の左扉と右扉を、前後方向において互い違いになるように保持することにした。
【0008】
詳細には、本発明は、飲食物の搬送路沿いに設置される飲食物搬送装置用自動扉であって、搬送路と搬送路沿いにある客席との間に配置される左扉及び右扉と、左扉及び右扉を左右方向にスライド可能に保持する保持部と、左扉及び右扉を左右方向にスライドさせる駆動部と、を備え、保持部は、左扉と右扉が前後方向において互い違いになるように左扉及び右扉を保持する。
【0009】
左扉と右扉が前後方向において互い違いになっていれば、扉を閉じても扉同士が接触し
ない。このため、扉同士の接触による接触音の発生を防ぐことができる。
【0010】
なお、保持部は、1本のレールに設けられた2つのスライダのうち、一方のスライダが左扉用部材で左扉を保持し、他方のスライダが右扉用部材で右扉を保持しており、左扉用部材と右扉用部材は、前後方向におけるレールから扉の取付位置までの寸法が互い違いになっていてもよい。1本のレールに設けられた2つのスライダで2つの扉を保持していても、前後方向におけるレールから扉の取付位置までの寸法が互い違いになっていれば、扉同士の接触による接触音の発生を防ぐことができる。
【0011】
また、保持部は、左扉と右扉が正面から見て一部重なった場合に、重なり部分における扉の前後方向の隙間が所定距離以上となる位置関係で、左扉及び右扉を保持してもよい。例えば、当該所定距離が、部材の寸法精度等に応じた適宜の大きさに設定されていれば、扉同士の接触による接触音の発生を防ぐことができる。
【0012】
また、駆動部は、扉の閉動作時に左扉と右扉が正面から見て一部重なる状態で停止してもよい。扉がこのような状態で駆動部が停止すれば、正面から見た場合に扉同士に隙間が生じない。
【0013】
また、駆動部は、扉の開動作時、左扉を左方向へスライドさせ、右扉を右方向へスライドさせてもよい。これによれば、扉の開閉がスムーズである。
【0014】
また、駆動部は、ステッピングモータのパルス数に基づいて開閉動作を停止してもよい。これによれば、停止位置を検出するためのセンサが不要である。
【0015】
また、本発明は、飲食物搬送装置の側面から捉えることもできる。本発明は、例えば、飲食物を搬送する飲食物搬送装置であって、複数の客席沿いに搬送路を形成する搬送機構と、搬送路沿いの各客席部分に設けられる上記何れかに記載の飲食物搬送装置用自動扉と、を備えるものであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記の飲食物搬送装置用自動扉および飲食物搬送装置であれば、搬送路と客席との間を仕切る両開きの自動扉を開閉しても、左右の扉同士の接触音を発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態に係る注文飲食物搬送装置の全体構成図である。
【
図3】
図3は、自動扉の内部構造を示した図である。
【
図6】
図6は、飲食物の搬送状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。以下に示す各実施形態や変形例は、例えば、寿司や飲料物、そばやうどんといった丼物、から揚げや天ぷら、焼肉といった各種の飲食物を提供する飲食店に好適である。
【0019】
図1は、実施形態に係る注文飲食物搬送装置1の全体構成図である。注文飲食物搬送装置1は、客の注文を受けて用意された飲食物Fを飲食店の厨房5から客席3へ搬送する装置であり、
図1に示すように、客が飲食する客席3付近に配置されている。そして、注文
飲食物搬送装置1は、飲食店の厨房5側から客席3へ至るベルトコンベア11により、飲食物Fを搬送する。なお、
図1では、厨房5側から客席3へ至る搬送路が1本のベルトコンベア11で形成されているが、当該搬送路は、複数のベルトコンベアの組合せにより形成されていてもよい。搬送路が複数のベルトコンベアの組合せにより形成される場合、厨房5側のベルトコンベアは、飲食物Fが下流側のベルトコンベアへ乗り移った時点で停止するようにすれば、下流側のベルトコンベアが作動している状態であっても次に搬送する飲食物Fを載せることが可能な状態になる。また、搬送路は、直線状に形成される形態に限定されるものではなく、例えば、複数のベルトコンベア同士の組合せによりコーナー部分等を有するものであってもよい。また、
図1では、ベルトコンベア11は、食器を載せたトレーの飲食物Fを載せることが横幅を有しているが、寿司皿等の小さい皿を載せることが可能な横幅の小さいものであってもよい。また、注文飲食物搬送装置1は、ベルトコンベア11を並列に複数設けたものであってもよい。
【0020】
ベルトコンベア11は、飲食物Fを搭載可能な横幅を有する。ベルトコンベア11には、回転制御可能な駆動モータや支持用のローラ、センサ等が設けられている。そして、駆動モータは、図示しない制御装置に繋がっており、操作パネルに入力された操作内容や各センサからの信号に基づいて制御される。
【0021】
また、注文飲食物搬送装置1には、自動扉2が設けられている。自動扉2は、ベルトコンベア11が形成する搬送路と各客席3との間に立設されている。ベルトコンベア11は、ベルトコンベア11が形成する搬送路と客席3との間を扉で遮る装置であり、注文飲食物搬送装置1の制御装置に連動して扉を自動開閉する。
【0022】
図2は、客席3付近を拡大した図である。
図2を見ると判るように、自動扉2は、ベルトコンベア11が形成する搬送路と各客席3との間に配置されている。そして、注文飲食物搬送装置1は、客席3に設置された注文端末等を介して注文が受け付けられ、厨房5で用意された飲食物Fをベルトコンベア11で搬送すると、客席3の客が飲食物Fをベルトコンベア11から取り出す際に手を出し入れするための取出し部分に設置されている自動扉2を作動させて扉を自動開閉させる。
【0023】
なお、
図2では、湯呑みや調味料、お品書き等を乗せる棚板4が自動扉2の上側に図示されているが、注文飲食物搬送装置1は、このような形態に限定されるものではない。注文飲食物搬送装置1は、棚板4を省略したものであってもよい。また、
図2では、ボックス席タイプの客席3が図示されているが、客席3は、例えば、カウンター席タイプであってもよい。
【0024】
図3は、自動扉2の内部構造を示した図である。自動扉2は、
図3に示されるように、自動扉2を構成する各部材を保持するフレーム21と、フレーム21の左側に固定された回転軸によって回動可能に支持されるプーリー22と、フレーム21の右側に固定された回転軸によって回動可能に支持されるプーリー23と、プーリー22とプーリー23に架かるベルト24とを備える。また、自動扉2は、フレーム21に固定されており、フレーム21の左右方向に延在するレール25を備える。レール25には、スライダ26とスライダ27がスライド可能なように設けられている。スライダ26には扉板28が固定され、スライダ27には扉板29が固定されている。扉板28と扉板29は、透明または半透明の板材で形成されていてもよいし、非透明の板材で形成されていてもよい。また、扉板28と扉板29には、各種の装飾等が施されていてもよい。
【0025】
スライダ26は、扉板保持部26Aとベルト固定部26Bとレール係合部26Cを有する部材であり、扉板保持部26Aに固定されている扉板28を、レール25に係合されているレール係合部26Cで保持する。スライダ27もスライダ26と同様、扉板保持部2
7Aとベルト固定部27Bとレール係合部27Cを有する部材であり、扉板保持部27Aに固定されている扉板29を、レール25に係合されているレール係合部27Cで保持する。このため、扉板28と扉板29は、レール25の軌道に沿ってスライド可能である。
【0026】
そして、スライダ26のベルト固定部26Bは、プーリー22の上側とプーリー23の上側との間に架かるベルト24の上側部分の途中に固定されている。また、スライダ27のベルト固定部27Bは、プーリー22の下側とプーリー23の下側との間に架かるベルト24の下側部分の途中に固定されている。このため、モータ2Aの動力でプーリー23が回転駆動し、ベルト24が回ると、スライダ26とスライダ27がレール25の軌道に沿って互いに反対方向へスライドすることになる。例えば、プーリー23が
図3において左方向へ回転すると、ベルト24の上側部分が左方向へ動き、ベルト24の下側部分が右方向へ動くため、スライダ26とスライダ27が互いに接近する方向へスライドする。また、例えば、プーリー23が
図3において右方向へ回転すると、ベルト24の上側部分が右方向へ動き、ベルト24の下側部分が左方向へ動くため、スライダ26とスライダ27が互いに離間する方向へスライドする。
【0027】
モータ2Aは、ステッピングモータであり、回転角を電子的に制御可能である。また、ベルト24は歯付ベルトであり、プーリー22とプーリー23の外周面に設けられている歯と噛み合う。このため、自動扉2は、モータ2Aの回転角を調整することで、扉板28と扉板29を適宜の位置に停止させることができる。
【0028】
図4は、自動扉2の閉動作を示した図である。
図4(A)に示されるように、自動扉2が開いた状態でモータ2Aが作動し、プーリー23が左方向へ回転すると、自動扉2の左側の戸袋部分にあった扉板28が右側へ向かって移動を開始し、自動扉2の右側の戸袋部分にあった扉板29が左側へ向かって移動を開始する。すると、
図4(B)に示されるように、扉板28と扉板29が互いに接近する方向へスライドする。そして、モータ2Aが適当な回転角で停止し、扉板28と扉板29が自動扉2の開口部を閉じた状態になる。開動作は閉動作の逆である。
【0029】
図5は、扉板28と扉板29の位置関係を示した図である。
図5では、自動扉2の上側から扉板28と扉板29を見た様子を示している。自動扉2の開口部が閉じるようにモータ2Aが作動すると、
図5(A)に示されるように、扉板28と扉板29が互いに接近する方向へスライドする。そして、自動扉2の正面から見た場合に、扉板28の端部と扉板29の端部が重なるような位置関係で停止する。すなわち、本実施形態の自動扉2では、扉板28と扉板29がスライドする両開き式の扉でありながら、扉板28の端部と扉板29の端部が突き合うような位置関係で開口部を閉じるのではなく、左側の扉板28と右側の扉板29が自動扉2の前後方向において互い違いになるように、スライダ26とスライダ27によって保持されている。そして、扉板28と扉板29の間にある隙間の大きさLは、約4mm程度となっているが、約1~10mmの範囲で適宜変更してもよいし、この範囲外であってもよい。隙間の大きさLは、扉板28,29の強度や寸法精度、食材や飲食物等の匂い又は煙の漏出量、油分等の飛散物の抑制量等に応じて適宜決定される。
【0030】
なお、本実施形態の自動扉2では、扉板28を扉板29よりも前側で保持するために、1本のレール25に係合しているスライダ26とスライダ27のうち、スライダ26の前後方向におけるレール係合部26Cから扉板保持部26Aまでの寸法が、スライダ27の前後方向におけるレール係合部27Cから扉板保持部27Aまでの寸法よりも大きくなっている。しかし、本実施形態の自動扉2は、このような形態に限定されるものではない。自動扉2は、例えば、扉板29を扉板28よりも前側で保持するために、スライダ27の前後方向におけるレール係合部27Cから扉板保持部27Aまでの寸法が、スライダ26の前後方向におけるレール係合部26Cから扉板保持部26Aまでの寸法よりも大きくな
っていてもよい。
【0031】
左右の扉がスライドする両開き式の扉の場合、通常は、左側の扉の端部と右側の扉の端部が突き合うような位置関係が採用される。左側の扉の端部と右側の扉の端部が突き合うような位置関係で開口部が閉鎖されれば、開口部の隙間を可及的に抑制した状態で閉鎖可能であり、また、左側の扉と右側の扉の板面が同一平面上に位置することになるため、審美性も向上する。しかし、本実施形態の自動扉2では、敢えて前後方向に互い違いの位置関係で扉板28と扉板29を保持することにより、扉板28と扉板29の接触による接触音の発生を防ぐことにしたものである。
【0032】
自動扉2では、モータ2Aを停止させるタイミングを、ステッピングモータであるモータ2Aで検知するパルス数に基づいて決定しているため、停止位置を検出するためのセンサが不要であるが、扉板28や扉板29の慣性力、ベルト24の張力、レール25に対するスライダ26やスライダ27の摺動特性等により、扉板28や扉板29の停止位置が僅かに変化する。このため、左側の扉の端部と右側の扉の端部が突き合うような位置関係の場合、左側の扉の端部と右側の扉の端部が接触する場合が生じ得る。扉同士が接触すると、接触音が発生することになるため、客席3に居る客には煩わしい。この点、本実施形態では、前後方向に互い違いの位置関係で扉板28と扉板29を保持しているため、扉同士が接触する可能性が無い。また、扉板28と扉板29の間にある隙間の大きさLが約4mm程度となっているため、扉板28と扉板29の何れかが多少の位置ずれやたわみを生じても、扉板28と扉板29が接触して接触音を発する可能性が低い。なお、モータ2Aは、パルス数に基づく停止のみならず、例えば、扉板28と扉板29の間に異物等が接触したことを検知した場合にも停止する。
【0033】
図6は、飲食物Fの搬送状態を示した図である。
図6(A)に示されるように、厨房5において注文飲食物搬送装置1のベルトコンベア11に飲食物Fが置かれて搬送開始操作が行われると、ベルトコンベア11が作動する。ベルトコンベア11が作動すると、
図6(B)に示されるように、ベルトコンベア11に置かれた飲食物Fが厨房5から客席3の方へ移動を開始する。そして、
図6(C)に示されるように、指定の搬送先の客席3に飲食物Fが到着すると、自動扉2が作動して扉の開動作が行われる。そして、客席3の客が飲食物Fをベルトコンベア11から取り除くと、自動扉2が作動して扉の閉動作が行われる。注文飲食物搬送装置1におけるこれらの動作は、注文飲食物搬送装置1に設けられた図示しない光学式センサ等からの信号に基づいて制御信号を発する注文飲食物搬送装置1の制御装置が、注文飲食物搬送装置1に備わるモータやソレノイド等の各種電動部品を作動させることによって実現される。注文飲食物搬送装置1は、飲食物Fが指定の搬送先へ到着して自動扉2を開く際、例えば、飲食物Fの到着を音や光で客に知らせるようにしてもよい。
【0034】
このような自動扉2を注文飲食物搬送装置1に設けておけば、客席3側の空間とベルトコンベア11が形成する搬送路側の空間との間を扉板28と扉板29で遮断することができる。よって、例えば、審美性の観点や衛生上の観点に基づき、ベルトコンベア11の搬送路を客席3から覆い隠すことが可能となる。
【0035】
なお、上記実施形態は、注文飲食物をベルトコンベア11で搬送する注文飲食物搬送装置1に自動扉2を設置する形態となっていたが、自動扉2は、例えば、クレセントチェーンを使った循環搬送方式の飲食物搬送装置や、ベルトコンベアの代わりに搬送路を走行する台車で飲食物を搬送する装置に設置されてもよい。循環搬送方式の飲食物搬送装置に自動扉2が設置される場合、当該自動扉2は、注文飲食物が指定の搬送先に到着した時点で自動扉2を開く形態であってもよいし、或いは、注文品ではない飲食物が近づいてきたことを知った客席3の客がボタン操作等により自動扉2を開く形態であってもよい。自動扉
2は、既設の注文飲食物搬送装置1に追加で設置することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
F・・飲食物
1・・注文飲食物搬送装置
2・・自動扉
3・・客席
4・・棚板
5・・厨房
11・・ベルトコンベア
21・・フレーム
22,23・・プーリー
24・・ベルト
25・・レール
26,27・・スライダ
28,29・・扉板
2A・・モータ
26A,27A・・扉板保持部
26B,27B・・ベルト固定部
26C,27C・・レール係合部