(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044144
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】水平引シャッター装置のロック機構及び水平引シャッター装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/80 20060101AFI20220310BHJP
E06B 9/02 20060101ALI20220310BHJP
E06B 5/16 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
E06B9/80 A
E06B9/02 F
E06B5/16
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149624
(22)【出願日】2020-09-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】514112732
【氏名又は名称】株式会社横引SR
(71)【出願人】
【識別番号】517350322
【氏名又は名称】市川 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】市川 慎太郎
【テーマコード(参考)】
2E042
2E239
【Fターム(参考)】
2E042AA03
2E042CA01
2E042CC00
2E042DA01
2E042DB03
2E239CA02
2E239CA03
2E239CA47
2E239CA68
(57)【要約】 (修正有)
【課題】火災時に熱の影響を受けても、シャッターが変形して戸先側がひっぱられるように外れて抜けていくことを防ぎ、充分な防火性能及び防煙性能を発揮する手段を提供する。
【解決手段】ガイドレール間に位置するスラット2群と、該スラット2群の先端側に位置するカマチ部材と、スラット群の巻き取り及び送り出しを行う開閉器と、スラット2群の戸先側にロック機構5とを有する、水平引シャッター装置であって、該ロック機構5が、前記ガイドレール間を横断し、スラット2群の戸先側に位置するカマチ補強部材51と、該カマチ補強部材51に取り付けた第1ストッパー受部材52と、前記カマチ補強部材51に対向する戸当部材53と、該戸当部材53に取り付けた第2ストッパー受部材54と、前記第1ストッパー受部材52及び前記第2ストッパー受部材54に対して、下降して組み合うことでロックするストッパー55を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を有するように水平状態で並行に設置された2本のガイドレール間を横断し、スラット群の戸先側に位置するカマチ補強部材と、
該カマチ補強部材に取り付けた第1ストッパー受部材と、
前記ガイドレール間に位置するスラット群の先端側に位置するカマチ補強部材に対向する戸当部材と、
該戸当部材に取り付けた第2ストッパー受部材と、
前記第1ストッパー受部材及び前記第2ストッパー受部材に対して、下降して組み合うことでロックするストッパーを有することを特徴とする、水平引シャッター装置のロック機構。
【請求項2】
前記ストッパーが、スラットの送り出し方向側に位置する前面と、スラットの巻き取り方向側に位置する背面と、上面と、両側面とからなる底面開放の箱型形状であることを特徴とする、請求項1に記載の水平引シャッター装置のロック機構。
【請求項3】
前記第1ストッパー受部材が、スラット面より高い位置でスラットの巻き取り方向側に伸びる第1フランジを有し、
前記第2ストッパー受部材が、スラット面より高い位置でスラットの送り出し方向側に伸びる第2フランジを有し、
前記ストッパーが、スラットの送り出し方向側に位置する前面と、スラットの巻き取り方向側に位置する背面と、上面と、両側面とからなる底面開放の箱型形状であり、
該箱型形状の内部には、前面内側に前面フランジを有し、背面内側に背面フランジを有し、
該前面フランジは、ストッパーが第2ストッパー受部材に接触した状態で第2フランジより低く位置し、
該背面フランジは、ストッパーが第1ストッパー受部材に接触した状態で第1フランジより低く位置し、
該前面フランジ先端部分と、該背面フランジ先端部分との間隔が、カマチ部材が戸当部材と最も近づいて対向している状態で、第1フランジ先端部分から第2フランジ先端部分までの距離より大きく形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の水平引シャッター装置のロック機構。
【請求項4】
間隔を有するように水平状態で並行に設置された2本のガイドレールと、
該ガイドレール間に位置するスラット群と、
該スラット群の先端側に位置するカマチ部材と、
スラット群の巻き取り及び送り出しを行う開閉器と、
スラット群の戸先側にロック機構とを有する、水平引シャッター装置であって、
該ロック機構が、
前記ガイドレール間を横断し、スラット群の戸先側に位置するカマチ補強部材と、
該カマチ補強部材に取り付けた第1ストッパー受部材と、
前記カマチ補強部材に対向する戸当部材と、
該戸当部材に取り付けた第2ストッパー受部材と、
前記第1ストッパー受部材及び前記第2ストッパー受部材に対して、下降して組み合うことでロックするストッパーを有することを特徴とする、水平引シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平引シャッター装置のロック機構及び水平引シャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水平引き防火防煙シャッター装置として、特許文献1に記載の装置が知られている。
【0003】
該特許文献1に記載の装置は、あるスラットの係合部と、他のスラットの係合受部とを係合した箇所、即ち連接部を蓋体で覆うことで、火災時の炎と煙の漏れを防ぐことができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の水平引シャッター装置であっても、火災時の熱の影響により、シャッターが変形して戸先側がひっぱられるように外れて抜けていき、充分な防火性能及び防煙性能を発揮できなかった。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、火災時に熱の影響を受けても、シャッターの戸先側の変形を防ぎ、充分な防火性能及び防煙性能を発揮することができる、水平引シャッター装置及び該装置用のロック機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題を解決するための手段は、下記のとおりである。
【0008】
第1に、
間隔を有するように水平状態で並行に設置された2本のガイドレール間を横断し、スラット群の戸先側に位置するカマチ補強部材と、
該カマチ補強部材に取り付けた第1ストッパー受部材と、
前記ガイドレール間に位置するスラット群の先端側に位置するカマチ補強部材に対向する戸当部材と、
該戸当部材に取り付けた第2ストッパー受部材と、
前記第1ストッパー受部材及び前記第2ストッパー受部材に対して、下降して組み合うことでロックするストッパーを有することを特徴とする、水平引シャッター装置のロック機構。
第2に、
前記ストッパーが、スラットの送り出し方向側に位置する前面と、スラットの巻き取り方向側に位置する背面と、上面と、両側面とからなる底面開放の箱型形状であることを特徴とする、前記第1に記載の水平引シャッター装置のロック機構。
第3に、
前記第1ストッパー受部材が、スラット面より高い位置でスラットの巻き取り方向側に伸びる第1フランジを有し、
前記第2ストッパー受部材が、スラット面より高い位置でスラットの送り出し方向側に伸びる第2フランジを有し、
前記ストッパーが、スラットの送り出し方向側に位置する前面と、スラットの巻き取り方向側に位置する背面と、上面と、両側面とからなる底面開放の箱型形状であり、
該箱型形状の内部には、前面内側に前面フランジを有し、背面内側に背面フランジを有し、
該前面フランジは、ストッパーが第2ストッパー受部材に接触した状態で第2フランジより低く位置し、
該背面フランジは、ストッパーが第1ストッパー受部材に接触した状態で第1フランジより低く位置し、
該前面フランジ先端部分と、該背面フランジ先端部分との間隔が、カマチ部材が戸当部材と最も近づいて対向している状態で、第1フランジ先端部分から第2フランジ先端部分までの距離より大きく形成されていることを特徴とする、前記第1に記載の水平引シャッター装置のロック機構。
第4に、
間隔を有するように水平状態で並行に設置された2本のガイドレールと、
該ガイドレール間に位置するスラット群と、
該スラット群の先端側に位置するカマチ部材と、
スラット群の巻き取り及び送り出しを行う開閉器と、
スラット群の戸先側にロック機構とを有する、水平引シャッター装置であって、
該ロック機構が、
前記ガイドレール間を横断し、スラット群の戸先側に位置するカマチ補強部材と、
該カマチ補強部材に取り付けた第1ストッパー受部材と、
前記カマチ補強部材に対向する戸当部材と、
該戸当部材に取り付けた第2ストッパー受部材と、
前記第1ストッパー受部材及び前記第2ストッパー受部材に対して、下降して組み合うことでロックするストッパーを有することを特徴とする、水平引シャッター装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0010】
スラット群の戸先側に、カマチ補強部材を有し、該カマチ補強部材にストッパー受部材とストッパーによるロック機構を有しているので、火災時に熱の影響を受けても、シャッターが変形して戸先側がひっぱられるように外れて抜けていくことを防ぎ、充分な防火性能及び防煙性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例1の水平引シャッター装置の平面図である。
【
図2】本発明の実施例1の水平引シャッター装置の側面図である。
【
図3】本発明の実施例1の要部の縦断面図であり、ストッパーの上昇位置を示している。
【
図4】本発明の実施例1の要部の縦断面図であり、ストッパーの下降位置を示している。
【
図5】本発明の実施例1の要部の縦断面図であり、第1ストッパー受部材がストッパーの背面内側付近に接触する位置を示している。
【
図6】本発明の実施例1の要部の縦断面図であり、第2ストッパー受部材がストッパーの前面内側付近に接触する位置を示している。
【
図7】本発明の実施例2の要部の縦断面図であり、ストッパーの上昇位置を示している。
【
図8】本発明の実施例2の要部の縦断面図であり、ストッパーの下降位置を示している。
【
図9】本発明の実施例2の要部の縦断面図であり、第1ストッパー受部材がストッパーの背面内側付近に接触する位置を示している。
【
図10】本発明の実施例2の要部の縦断面図であり、第2ストッパー受部材がストッパーの前面内側付近に接触する位置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
ここで、添付図面において同一の部材には同一符号を付しており、また重複した説明は省略されている。
なお、ここでの説明は本発明が実施される一形態であることから、本発明は該当形態に限定されるものではない。
【実施例0013】
図1または
図2に示すように、本実施例の水平引シャッター装置は、間隔を有するように水平状態で並行に設置された2本のガイドレール1と、該ガイドレール1間に位置するスラット2群と、該スラット2群の先端側に位置するカマチ部材3と、スラット2群の巻き取り及び送り出しを行う開閉器4と、スラット2群の戸先側にロック機構5とを有している。
【0014】
2本のガイドレール1は、シャッターを完全に閉じた状態の際に、スラット2群の両端に位置し、スラット2群の巻き取り及び送り出しの際に、スラット2の動作をガイドするものである。
各スラット2は、隣接するスラット2と角度自在に係合し、ロール状の巻き取りや、送り出しを可能にしたものである。
【0015】
カマチ部材3は、スラット2群の先端に位置し、枠体として機能するものである。
該カマチ部材3には、図示は省略するが、障害物センサーが取り付けられている。
図1中、符号31は、カマチ部材3に取り付けた障害物センサーの送信部用カバーを点線で図示している。
【0016】
開閉器4は、
図2に示すように、ボックス41内に点線で示すモータ等を収めたものである。
該開閉器4は、スラット2群の巻き取り及び送り出し動作を行うものである。
【0017】
ロック機構5は、
図2に示すように、カマチ補強部材51と、第1ストッパー受部材52と、戸当部材53と、第2ストッパー受部材54と、ストッパー55を有している。
【0018】
カマチ補強部材51は、
図1に示すように、ガイドレール1間を横断し、スラット2群の戸先側に位置するものである。
該カマチ補強部材51の上面側には、
図3に示すように、第1ストッパー受部材52が取り付けられている。
【0019】
該第1ストッパー受部材52は、スラット面より高い位置でスラットの巻き取り方向側に水平状に伸びる第1フランジ521を有している。
【0020】
戸当部材53は、壁側に設置するもので、カマチ補強部材51に対向するものである。
該戸当部材53の上面側には、第2ストッパー受部材54が取り付けられている。
該第2ストッパー受部材54は、スラット面より高い位置でスラットの送り出し方向側に水平状に伸びる第2フランジ541を有している。
【0021】
ストッパー55は、第1ストッパー受部材52及び第2ストッパー受部材54に対して、下降して組み合うことでロックするものである(
図4~
図6参照)。
該ストッパー55は、スラットの送り出し方向側に位置する前面55Aと、スラットの巻き取り方向側に位置する背面55Bと、上面55Cと、両側面(図示は省略)とからなる底面開放の箱型形状である。
【0022】
該ストッパー55を構成する箱型形状の内部には、前面内側に前面フランジ551を有し、背面内側に背面フランジ552を有している。
【0023】
図4に示すように、前面フランジ551は、ストッパー55が第2ストッパー受部材54に接触した状態で第2フランジ541より低く位置するものである。
背面フランジ552は、ストッパー55が第1ストッパー受部材52に接触した状態で第1フランジ521より低く位置するものである。
【0024】
該ストッパー55は、
図3に示すように、前面フランジ先端部分551aと、背面フランジ先端部分552aとの間隔L1が、カマチ部材3が戸当部材53と最も近づいて対向している状態で、第1フランジ先端部分521aから第2フランジ先端部分541aまでの距離L2より大きくなるように形成されている。
【0025】
図1及び
図2中、符号56は、ストッパー55を収納するストッパーボックスである。
該ストッパーボックス56の内部には、
図2に示すように、ストッパー55の上下移動を行うためのギヤ57と、該ギヤ57と組み合う垂直軸であるラック58とが収納されている。
ここで、ギヤ57は、図示は省略するモータにより正逆方向に回転するものであり、ラック58と組み合うことで、モータの回転方向により、上昇または下降の動作を可能としたものである。
該ギヤ57及びラック58によって、ストッパー55の下降動作及び下降後のロック状態を解除する上昇動作が可能となっている。
【0026】
次に、水平引シャッター装置のロック機構5の動作について説明する。
【0027】
通常の水平引のシャッター閉鎖時には、
図3に示すように、有効開口部分が完全に閉鎖されている。
この状態は、スラット2群の先端側が壁内部に入り込み、カマチ補強部材51が戸当部材53と最も近づいて対向している。
また、ストッパー55が、第1ストッパー受部材52及び第2ストッパー受部材54の上方に位置している。
【0028】
火災時には、図示は省略するセンサーで感知して、ラック58と組み合うギヤ57を動作させることで、ストッパー55を下降させる。
すると、
図4に示すように、ストッパー55は、第1ストッパー受部材52及び第2ストッパー受部材54の上面側に接触し、上昇方向がロックされる。
【0029】
次に、開閉器4を動作させることにより、
図5に示すように、スラット2を少しだけ巻き取ることで、第1ストッパー受部材52の第1フランジ521の先端部分521aが、ストッパー55の背面55Bの内側に接触する。
【0030】
更に、スラット2を少しだけ巻き取ると、
図6に示すように、第2ストッパー受部材54の第2フランジ541の先端部分541aが、ストッパー55の前面55Aの内側に接触して水平方向がロックされる。
この状態になると、スラット2の巻き取り動作が停止する。
【0031】
図6に示す状態で、火災時の熱の影響で戸先側のスラット2が変形しても、カマチ補強部材51(
図3参照)によりスラット2が大きく変形することを抑えることができる。
さらに、熱の影響で、第1ストッパー受部材52の第1フランジ521の位置が上方または下方に移動することがあっても、ストッパー55の前面フランジ551または背面フランジ552によって垂直方向の位置が規制され、ロック状態が維持されることになる。
【0032】
その結果、シャッターが変形して戸先側がひっぱられるように外れて抜けていくことを防ぎ、充分な防火性能及び防煙性能を発揮することができる。