(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044194
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】異なる距離の虚像を利用する、車両用ヘッドアップ表示システム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20220310BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20220310BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220310BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20220310BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20220310BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
G02B27/01
G02F1/13 505
G09G3/20 680B
G09G3/20 611E
G09G3/36
G09G3/20 621A
G09G3/34 J
B60K35/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149709
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】517330151
【氏名又は名称】創智車電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONSERVE&ASSOCIATES,INC.
【住所又は居所原語表記】5f.-3, No.185,Kewang Rd., Longtan Dist., Taoyuan City 325,Taiwan.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】秦宗
(72)【発明者】
【氏名】林世明
(72)【発明者】
【氏名】林益民
(72)【発明者】
【氏名】駱光祚
【テーマコード(参考)】
2H088
2H199
3D344
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H088EA12
2H088EA23
2H088EA47
2H088HA18
2H088HA20
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2H199DA27
3D344AA19
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5C080FF11
5C080FF14
5C080JJ02
5C080KK20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両用ヘッドアップ表示システムは、運転者に、異なる画像距離の2つの虚像を提供する。
【解決手段】虚像の各々は、単一の画像ソース10における全てのピクセルを利用する。画像ソースから発せられた直線的に偏光した光ビーム11は、動的偏光変換器12を通過する。それによって、時分割多重化で迅速に切り替えられる、直交する偏光状態の2つの画像光ビーム13を形成する。2つの画像光ビームは、偏光選択構成要素14によって、透過及び反射をそれぞれ選択される。反射した画像光ビームは光中継構成要素によって扱われ、中間画像を形成する。曲面鏡64は2つの画像光ビームを虚像反射面に反射し、虚像反射面の前における運転者の目に対して、異なる虚像距離の2つの虚像を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ヘッドアップ表示システムであって、
タイミング信号に従って、第1の偏光状態における第1の画像光ビーム、及び第2の偏光状態における第2の画像光ビームを生成するために切り替わる、画像ソースと、
前記画像ソースの光出力側に配設され、前記画像ソースが、前記第1の画像光ビーム及び前記第2の画像光ビームで切り替わるのに対応して、第1の状態と第2の状態との間で同時に切り替わる、光偏光変換器であって、前記第1の状態において、前記光偏光変換器は、前記第1の偏光状態における前記第1の画像光ビームまたは前記第1の偏光状態における前記第2の画像光ビームを、前記第2の偏光状態における前記第1の画像光ビームまたは前記第2の偏光状態における前記第2の画像光ビームに変換し、前記第2の状態において、前記光偏光変換器は、前記第1の偏光状態における前記第1の画像光ビームまたは前記第1の偏光状態における前記第2の画像光ビームを、前記第1の偏光状態に維持し、前記第1の偏光状態は、前記第2の偏光状態とは異なる、光偏光変換器と、
前記光偏光変換器の光出力側に配設され、前記第1の画像光ビーム及び前記第2の画像光ビームの透過及び反射を可能にする、偏光選択構成要素であって、前記第1の画像光ビーム及び前記第2の画像光ビームは前記光偏光変換器を通過して第1の光経路及び第2の光経路を開始し、前記第1の光経路は、前記偏光選択構成要素の透過光の出力面から始まり、前記第2の光経路は、前記偏光選択構成要素の反射光の出力面から始まる、偏光選択構成要素と、
前記第1の光経路及び前記第2の光経路に配設され、前記第1の画像光ビーム及び前記第2の画像光ビームを誘導して、第1の虚像及び第2の虚像をそれぞれ形成する、光中継モジュールであって、前記第1の虚像から運転者までの距離と、前記第2の虚像から運転者までの距離は異なり、
前記第2の光経路に配設され、前記第2の光経路にある前記第1の画像光ビームまたは前記第2の画像光ビームを使用して、中間画像を生成する、少なくとも1つの光中継平面鏡と、
運転者の視野の前に配設された、虚像反射面と、
前記第1の光経路及び前記第2の光経路に配設され、前記第1の光経路及び前記第2の光経路における、前記第1の画像光ビーム及び前記第2の画像光ビームを、前記虚像反射面に反射させて、前記第1の虚像及び前記第2の虚像を形成し、前記第1の経路の距離は、前記第2の光経路とは異なる、曲面鏡と
を含む、光中継モジュールと
を備える、車両用ヘッドアップ表示システム。
【請求項2】
前記画像ソースは、液晶表示デバイス、有機発光ダイオード(OLED)表示デバイス、デジタル光処理装置(DLP)、反射型液晶(LCOS)表示デバイス、またはレーザ走査表示(LSD)デバイスである、請求項1に記載の車両用ヘッドアップ表示システム。
【請求項3】
前記画像ソースは、前記第1の偏光状態における前記第1の画像光ビーム、及び前記第1の偏光状態における前記第2の画像光ビームを発するために使用される、直線偏光器をさらに備える、請求項2に記載の車両用ヘッドアップ表示システム。
【請求項4】
前記画像ソース及び前記光偏光変換器の切り替え周波数は、30Hz以上である、請求項1に記載の車両用ヘッドアップ表示システム。
【請求項5】
前記光偏光変換器は、前記画像ソースの光出力側に配設された第1のツイステッドネマチック液晶ユニットを含み、前記第1のツイステッドネマチック液晶ユニットに電圧が印加されない間は、前記第1のツイステッドネマチック液晶ユニットは前記第1の状態にあり、前記第1のツイステッドネマチック液晶ユニットに電圧が印加される間は、前記第1のツイステッドネマチック液晶ユニットは前記第2の状態にある、請求項1に記載の車両用ヘッドアップ表示システム。
【請求項6】
前記光偏光変換器は、前記第2の光経路に配設された第2のツイステッドネマチック液晶ユニットを含む、請求項5に記載の車両用ヘッドアップ表示システム。
【請求項7】
前記偏光選択構成要素は、偏光ビームスプリッタを含む、請求項1に記載の車両用ヘッドアップ表示システム。
【請求項8】
前記光中継平面鏡は、平面鏡または半透過型反射体である、請求項1に記載の車両用ヘッドアップ表示システム。
【請求項9】
前記半透過型反射体は、前記光偏光変換器と前記偏光選択構成要素との間に配設される、請求項8に記載の車両用ヘッドアップ表示システム。
【請求項10】
前記虚像反射面は、運転者の視野の前におけるフロントガラスによって提供される、請求項1に記載の車両用ヘッドアップ表示システム。
【請求項11】
前記虚像反射面は、運転者の視野の前に配設された光コンバイナによって提供される、請求項1に記載の車両用ヘッドアップ表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドアップ表示システムに関し、詳細には、異なる距離の虚像を利用する、車両用ヘッドアップ表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの研究及び出願は、ヘッドアップ表示(HUD)デバイスが、運転の安全性を向上させ得ることを証明している。したがって、HUDは徐々に、安全性が重視される車両にとって不可欠なデバイスになってきている。従来のヘッドアップ表示デバイスは、画像ソース(液晶表示デバイスまたはデジタル光処理デバイスなど)、及び光撮像素子(1つまたは複数の反射ミラーまたはレンズなど)のセットを含む。画像ソースから発せられた光は、光コンバイナまたは車両のフロントガラスに投影され、所与の距離だけ運転者から離れた、拡大された虚像を形成する。HUDの進歩によって、単一の虚像では要求を満たすことが不十分となっている。少なくとも2つの虚像距離を伴うヘッドアップ表示デバイスは、運転者にとって、より好ましくなっている。速度及び燃料レベルなどの単純な情報は、短い距離で虚像が示され得る。ナビゲーション情報または地図情報など、現実の世界と一体化するための必要な情報は、長い距離で虚像が示されることが望ましい。HUDの人間工学研究によると、近い虚像は運転者から1.8~2.5m離されるのが望ましく、それによって運転者は緊急時に迅速に対応できる。遠い虚像は運転者から7m以上離されるのが望ましく、それによって画像は外部環境と適合できる。
【0003】
従来技術では、一般に2つの画像ソースを使用するか、または画像ソースを2つの領域に分割して、異なる虚像距離を有する2つの虚像を生成する。前者の技術は、構造が複雑で、コストが高く、かつ耐久性及び信頼性が低い。後者の技術は、解像度を犠牲にし、視野を狭め、かつ情報量を減少させる。したがって、2つの従来技術には、まだ改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、単一の画像ソース及び時分割多重化技術を使用して、異なる距離で2つの虚像をそれぞれ生成する、車両用ヘッドアップ表示システムを提供する。画像ソースにおける全てのピクセルの、異なる内容が順次出力され、異なる虚像を形成する。それによって運転者は、同時に異なる距離に現われる2つの虚像を知覚する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、光偏光変換器及び時分割多重化技術を使用して、単一の画像ソースを制御し、複数の虚像を生成する、車両用ヘッドアップ表示システムを提供する。虚像は異なる距離で現われるが重複しないか、または虚像は異なる距離で現われて重複する。
【0006】
本発明の車両用ヘッドアップ表示システムは、画像ソース、光偏光変換器、偏光選択構成要素、及び光中継モジュールを備える。画像ソースを使用し、タイミング信号に従って、第1の偏光状態における第1の画像光ビーム、及び第2の偏光状態における第2の画像光ビームを生成する。光偏光変換器は、画像ソースの光出力側に配設され、画像ソースが第1の画像光ビーム及び第2の画像光ビームを発するタイミングに従って、第1の状態と第2の状態との間で切り替わる。第1の状態において、光偏光変換器は、第1の偏光状態における第1または第2の光ビームを、第2の偏光状態に変換する。第2の状態において、光偏光変換器は、第1または第2の画像光ビームを第1の偏光状態に維持する。第1の偏光状態は、第2の偏光状態と直交する。偏光選択構成要素は、光偏光変換器の光出力側に配設され、光偏光変換器を通過した第1及び第2の画像光ビームを透過及び反射させ、第1の光路及び第2の光路を開始させる。第1の光路は、偏光選択構成要素の透過光の出力側から始まる。第2の光路は、偏光選択構成要素の反射光の出力側から始まる。光中継モジュールは、第1の光路及び第2の光路を確立し、第1の画像光ビーム及び第2の画像光ビームを誘導して、第1の虚像及び第2の虚像をそれぞれ形成する。運転者から第1の虚像までの距離は、運転者から第2の虚像までの距離とは異なる。光中継モジュールは、少なくとも1つの光中継平面鏡、少なくとも1つの虚像反射面、及び少なくとも1つの曲面鏡を含む。光中継平面鏡は、第2の光路に配設され、第2の光路における第1または第2の画像光ビームのための中間画像を生成する。虚像反射面は、運転者の視野の前に配設される。曲面鏡は、第1及び第2の光路に配設され、第1及び第2の光路の第1及び第2の画像光ビームを、虚像反射面に反射して、第1の虚像及び第2の虚像をそれぞれ形成する。第1の光路までの距離は、第2の光路までの距離とは異なる。
【0007】
好ましい実施形態において、画像ソースは、液晶表示デバイス、有機発光ダイオード(OLED)表示デバイス、デジタル光処理装置、反射型液晶(LCOS)表示デバイス、またはレーザ走査表示(LSD)デバイスであってよい。
【0008】
好ましい実施形態において、画像ソースは直線偏光子を含み、それによって第1の偏光状態における第1の画像光ビーム、及び第1の偏光状態における第2の画像光ビームを発する。
【0009】
好ましい実施形態において、画像ソース及び光偏光変換器を切り替える周波数は、30Hz以上である。
【0010】
好ましい実施形態において、光偏光変換器は、ツイステッドネマチック(TN)液晶ユニットを含む。第1のツイステッドネマチック液晶ユニットは、画像ソースの光出力側に配設される。第1のツイステッドネマチック液晶ユニットに電圧が印加されない間、第1のツイステッドネマチック液晶ユニットは第1の状態にある。第1のツイステッドネマチック液晶ユニットに電圧が印加される間、第1のツイステッドネマチック液晶ユニットは第2の状態にある。
【0011】
好ましい実施形態において、光偏光変換器は、第2の光路に配設された第2のツイステッドネマチック(TN)液晶ユニットを、さらに含む。
【0012】
好ましい実施形態において、偏光選択構成要素は、偏光ビームスプリッタを備える。
【0013】
好ましい実施形態において、光中継平面鏡は、平面反射鏡または半透過型反射体である。
【0014】
好ましい実施形態において、半透過型反射体は、光偏光変換器と偏光選択構成要素との間に配設される。
【0015】
好ましい実施形態において、運転者の視野の前におけるフロントガラスは、虚像反射面として機能する。
【0016】
好ましい実施形態において、光コンバイナは、運転者の視野の前に配設され、虚像反射面として機能する。
【0017】
以下では、添付の図面と共に実施形態を説明し、本発明の目的、技術的内容、特徴、及び成果の、容易な理解をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態による、ある時点における車両用ヘッドアップ表示システムを概略で示す側面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態による、別の時点おける車両用ヘッドアップ表示システムを概略で示す側面図である。
【
図3】タイミング信号が画像ソースを制御して、本発明の第1の実施形態による車両用ヘッドアップ表示システムで、画像光ビームを連続的に出力しているところを概略で示す側面図である。
【
図4】タイミング信号が画像ソースを制御して、本発明の第2の実施形態による車両用ヘッドアップ表示システムで、画像光ビームを連続的に出力しているところを概略で示す側面図である。
【
図5】タイミング信号が画像ソースを制御して、本発明の第3の実施形態による車両用ヘッドアップ表示システムで、画像光ビームを連続的に出力しているところを概略で示す側面図である。
【
図6】タイミング信号が画像ソースを制御して、本発明の第4の実施形態による車両用ヘッドアップ表示システムで、画像光ビームを連続的に出力しているところを概略で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を、実施形態及び添付の図を用いて、以下で詳細に説明する。しかしこれらの実施形態は、本発明の実例を挙げるのみであり、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書で説明する実施形態に加えて、本発明は他の実施形態にも適用される。さらに、本発明の実施形態に従って当業者によって容易に成され得る、任意の変更、変形、または代用も、以下に記載した特許請求の範囲に基づき、本発明の範囲内に含まれることになる。多くの特定の詳細が本明細書に提供され、本発明の完全な理解をもたらすが、本発明は、これらの詳細が部分的または完全に省かれた条件下でも、実行され得る。さらに、当業者には公知である要素またはステップは、本発明が限定されないように、本明細書では説明しない。同様または同一の要素は、図では同様または同一の記号で表示される。図は、本発明を概略で示すためだけのものであり、本発明の実際の寸法、数量を示すものではないことに、留意されたい。さらに、図を簡潔にするために、重要ではない詳細部は必ずしも図に示されない。
【0020】
以降で言及する画像ソースは、平面光ソースとして機能できる表示デバイスである。画像ソースは、限定ではないが、液晶表示デバイス、有機発光ダイオード(OLED)表示デバイス、デジタル光処理装置(DLP)、反射型液晶(LCOS)表示デバイス、またはレーザ走査表示(LSD)デバイスであってよい。画像ソースは、直線偏光した画像光ビームまたは円偏光した画像光ビームを発する。代替として、直線偏光子が画像ソースの光出力側に装着され、直線偏光した画像光ビームを発する。さらに、画像ソースのハードウェアは、所与のピクセル数を有する。
【0021】
以降で言及する光偏光変換器は、その状態または構造を一時的に変えるよう制御され得る。それによって、偏光した画像光ビームの状態を変化させるか、または維持する。例えば、ツイステッドネマチック液晶(TN-LC)ユニットの液晶分子の配置は、印加された電圧と相関する。電圧がTN-LCユニットに印加されない間、TN-LCユニットは第1の状態にある。偏光した画像光ビームが、第1の状態にあるTN-LCユニットを通過する間、偏光状態は90°回転される。電圧がTN-LCユニットに印加される間、TN-LCユニットは第2の状態にある。偏光した画像光ビームが、第2の状態にあるTN-LCユニットを通過する間、偏光状態は同じままである。しかし本発明は、光偏光変換器がTN-LCユニットであるべきであるとは、限定しない。さらに、光偏光変換器の状態または構造を切り替える周波数は、30Hzよりも高いなど、十分に迅速でなければならない。
【0022】
以降で言及する偏光選択構成要素は、異なる偏光状態の偏光した光ビームを、選択的に透過、反射、または屈折させる。例えば、偏光選択構成要素は、P偏光の光ビームに90%より大きい透過率を持たせ、あるいはS偏光の光ビームに80%より大きい反射率を持たせるか、または左右に円偏光した光ビームにそれぞれ異なる屈折角度を持たせる。1つの実施形態において、偏光選択構成要素は、1つもしくは複数の偏光ビームスプリッタ(PBS)、1つもしくは複数のパンチャラトナムベリー(Pancharatnam-Berry)素子、または、1つもしくは複数のメタレンズを含む。
【0023】
以降で言及する時分割多重化技術は、異なる時点における異なる出力または性能を有するために、タイミング信号を使用して、画像ソース及び光偏光変換器を制御する。見る人が、ちらつきを感知すること、または画像の異なる内容を同時に見ることを避けるため、タイミング信号の周波数は、30Hzを超えるよう、好ましくは60Hzにすべきである。
【0024】
以降で言及する光中継モジュールは、1つもしくは複数の平面反射鏡、1つもしくは複数の曲面反射鏡、1つもしくは複数の反射面、及び/または、1つもしくは複数の半透過型反射体を含み得る。光中継モジュールが、反射面または透過面である実施形態において、車両本体の一部は、反射面または透過面として機能し得る。例えば、フロントガラスの一部は、反射面または透過面として機能し得る。さらに別の光素子も、上述のTN-LCユニットなど、光中継モジュールの一部として使用され得る。
【0025】
図1及び
図2は、本発明の第1の実施形態による車両用ヘッドアップ表示システムを、概略で示す側面図である。
図1及び
図2に示される第1の実施形態において、車両用ヘッドアップ表示システム31は、画像ソース10、光偏光変換器12、偏光選択構成要素14、及び光中継モジュール16を備える。画像ソース10は、所与のピクセル数を有し、第1の偏光状態の少なくとも1つの画像光ビーム11を出力する。光偏光変換器12は、画像ソース10の光出力側に配設され、第1の偏光状態の画像光ビーム11を受ける。光偏光変換器12は、切り替え作業を始め、第1の偏光状態または第2の偏光状態の画像光ビーム13を出力する。第1の偏光状態は、第2の偏光状態と直交する。偏光選択構成要素14は、光偏光変換器12の光出力側に配設され、画像光ビーム13の入射を受け、画像光ビーム13が、第1の光出力面、または第2の光出力面のいずれから、後続の光経路を始めるかを決定する。第1の光出力面は、第2の光出力面とは異なる。画像光ビーム13が第1の偏光状態である場合、偏光選択構成要素14は、画像光ビーム13に、第1の光出力面からの光経路を始めさせる。例えば画像光ビーム13は、
図1に示されるように、透過光の出力面41から発し、第1の光経路61に沿って伝搬する。画像光ビーム13が第2の偏光状態である場合、偏光選択構成要素14は、画像光ビーム13を反射して、画像光ビーム13を、
図2に示されるように、反射光の出力面43などの第2の光出力面から発し、第2の光経路63に沿って伝搬する。第1の光経路61及び第2の光経路の、「第1」及び「第2」は、優先または上位を意味するのではなく、互いに区別するためだけのものである。したがって、代替として同じ事実を次のように説明し得る:第2の偏光状態の画像光ビーム13は第1の光経路61に沿って伝搬し、第1の偏光状態の画像光ビーム13は第2の光経路63に沿って伝搬する。光中継モジュール16は、いくつかの光構成要素を含む。例えば、第1の反射鏡62、第2の反射鏡64、及び第3の反射面66が、第1の光経路61及び/または第2の光経路63に配設される。いくつかの光構成要素は、複数の光経路によって共有される。例えば、第2の反射鏡64、及び第3の反射面66は、第1の光経路61及び/または第2の光経路63に共有される。いくつかの光構成要素は、単一の光経路のみに使用される。例えば、第1の反射鏡62は、第2の光経路63のみに使用される。光中継モジュール16の光構成要素は、車両1の適切な位置もしくはフロントガラス2に配設され得るか、またはフロントガラス2に一体化され得る。第1の偏光状態の画像光ビーム13は、第1の光経路61で処理され、第1の虚像21を形成する。第2の偏光状態の画像光ビーム13は、第2の光経路63で処理され、第2の虚像23を形成する。第1の虚像21及び第2の虚像23の、「第1」及び「第2」は、優先または上位を意味するのではなく、互いに区別するためだけのものである。第1の光路61の距離は、第2の光路63の距離とは異なる。運転者5にとって、第1の虚像21から運転者5までの距離は、第2の虚像23から運転者5までの距離とは異なる。
【0026】
図3は、本発明の第1の実施形態による車両用ヘッドアップ表示システムで、タイミング信号が画像ソースを制御して、画像光ビームを出力しているところを概略で示す側面図である。
図1~
図3を参照されたい。この実施形態において、画像ソースは、対角延長が1.8インチである液晶表示デバイス(
図3で「L」で表示)である。あらかじめ設定されたタイミング信号に従い、液晶表示デバイスは、第1の偏光状態の画像光ビームを発する。それは、紙面に対してS偏光の光ビームである。画像ソースは迅速に切り替わり、30Hz以上の周波数で、第1の画像光ビーム及び第2の画像光ビームを発する。第1の画像光ビーム及び第2の画像光ビームは、同じ偏光状態(S偏光の光ビーム)であることに留意されたい。第1の画像光ビーム及び第2の画像光ビームの内容は、液晶表示デバイスLの全てのピクセルによって提供される。第1の画像光ビームの内容は、第2の画像光ビームの内容とは異なっていてよい。例えば、第1の画像光ビームは、計器パネルの情報を搬送し、第2の画像光ビームは道路情報を搬送する。しかし、本発明は上述の例に限定されない。画像ソースの光出力側にある、偏光変換器は、ツイステッドネマチック液晶ユニットTNを含む。電圧がツイステッドネマチック液晶ユニットTNに印加されているかどうかは、ツイステッドネマチック液晶ユニットTNの状態に相関する。電圧がツイステッドネマチック液晶ユニットTNに印加されない間、ツイステッドネマチック液晶ユニットTNは第1の状態にあり、受けた画像光ビーム11をP偏光の光ビームに変換して、それを出力する。電圧がツイステッドネマチック液晶ユニットTNに印加される間、ツイステッドネマチック液晶ユニットTNは第2の状態にあり、受けた画像光ビーム11をS偏光の光ビームに変換して、それを出力する。画像ソースのために設定された同じタイミング信号に従って、電圧の印加がオンまたはオフに切り替えられた場合、光偏光変換器の第1の状態及び第2の状態は、画像ソースのための同じタイミング設定で切り替えられることになる。したがって、光偏光変換器によって出力された画像光ビーム13は、P偏光の第1の画像光ビーム、及びS偏光の画像光ビームであり、それらは迅速に切り替えられる。したがって、同一の制御器を使用して、画像ソース10及び光偏光変換器12(TN)の切り替えタイミング、ならびに切り替え周波数を、同期的に制御し得る。換言すると、光偏光変換器12(TN)は、画像ソース10によって迅速に切り替えられる、第1の画像光ビーム及び第2の画像光ビームに対応して、光偏光変換器12(TN)の第1及び第2の状態を同期的に切り替える。
【0027】
図1~
図3を再び参照されたい。第1の実施形態において、偏光選択構成要素は、偏光ビームスプリッタPBを含む。偏光ビームスプリッタPBは、画像光ビーム13の伝搬経路に配設され、入射する画像光ビーム13を受ける。第1の反射鏡は、平面鏡M1である。第2の反射鏡は、非回転型対称曲面鏡M0である。フロントガラスWSの一部は、第3の反射面として使用される。電圧がツイステッドネマチック液晶ユニットTNに印加されない間、P偏光の第1の画像光ビームは、元の光経路に沿って移動し、偏光ビームスプリッタPBの第1の光出力面を通過して、第1の画像光ビームP1を形成する。第1の画像光ビームP1は、元の光経路(第1の方向)に沿って移動を続け、非回転型対称曲面鏡M0及びその後フロントガラスWSで反射され、運転者Dの目に入り、運転者Dの視線方向において第1の虚像VI1を形成する。第1の虚像VI1から運転者Dまでの距離は、第1の虚像距離VID1である。電圧が光偏光変換器12(TN)に印加される間、S偏光の第1の画像光ビームは、元の光経路に沿って移動し、偏光選択構成要素14(PB)に入り、偏光選択構成要素14(PB)で反射されて、偏光選択構成要素14(PB)の第2の光出力面から発して、第2の画像光ビームP2を形成する。第2の画像光ビームP2は、元の光経路(第2の方向)に沿って移動を続け、平面鏡M1(光中継平面鏡)で反射して、中間画像L’を形成する。中間画像L’は、非回転型対称曲面鏡M0及びフロントガラスWS(虚像の反射面)で反射され、運転者Dの目に入り、運転者Dの視線方向において第2の虚像を形成する。第2の虚像VI2から運転者Dまでの距離は、第2の虚像距離VID2である。非回転型対称曲面鏡M0(曲面反射鏡)は、システムのための画像視度を提供する主要な要素であり、通常は非回転型対称面を有し、水平方向と垂直方向とにおける異なる収差を平衡させる。複数の曲面鏡が、単一の曲面鏡に取って代わり、収差を除去するための、より高い順応性を提供することが容易に理解される。さらに、適切な平面鏡を使用して、光学機構の位置を調整し得る。
【0028】
図1~
図3を再び参照されたい。液晶表示デバイスL及び中間画像L’は、非回転型対称曲面鏡M0の焦点内にある。平面鏡M1の光中継(光中継平面鏡)における作用のため、中間画像L’の物体距離は、液晶表示デバイスLの物体距離よりも長い。したがって、第2の虚像距離VID2は、第1の虚像距離VID1よりも長い。それによって、運転者Dは、第1の虚像VI1及び第2の虚像VI2を同時に見ることができる。第1の虚像VI1及び第2の虚像VI2の各々は、液晶表示デバイスLの全てのピクセルによって生成された虚像である。第1の虚像VI1及び第2の虚像VI2は、それぞれ異なる距離を有し、それらの視界は重複しない。
【0029】
図4は、本発明の第2の実施形態による車両用ヘッドアップ表示システムで、タイミング信号が画像ソースを制御して、画像光ビームを出力しているところを概略で示す側面図である。車両用ヘッドアップ表示システム33において、画像ソースは、対角延長が3インチであるレーザ走査表示デバイス(
図4では「LS」で表示)である。レーザ走査表示デバイスLSは、迅速に切り替わり、30Hz以上の周波数で、第1の画像光ビーム及び第2の画像光ビームを発する。この実施形態において、画像ソースは、レーザ走査表示デバイスLSの光出力面に装着された、直線偏光器PLをさらに含む。直線偏光器の偏光方向は、紙面に対してSである。タイミング信号に従って画像ソースから発せられた、第1の画像光ビーム及び第2の画像光ビームの両方は、S偏光の画像光ビーム11である。第1の実施形態と同様に、光偏光変換器は、ツイステッドネマチック液晶ユニットTN1を含む。レーザ走査表示デバイスLSのタイミング信号に従い、電圧がツイステッドネマチック液晶ユニットTN1に印加されない間に、ツイステッドネマチック液晶ユニットTN1は第1の状態にあり、画像光ビーム11(第1の画像光ビーム)を受け、画像光ビーム11の偏光状態を変換して、P偏光の画像光ビーム13を出力する。レーザ走査表示デバイスLSのタイミング信号に従い、電圧がツイステッドネマチック液晶ユニットTN1に印加される間に、ツイステッドネマチック液晶ユニットTN1は第2の状態にあり、画像光ビーム11(第2の画像光ビーム)を受け、画像光ビーム11の偏光状態を維持して、S偏光の画像光ビーム13を出力する。
【0030】
図4を再び参照されたい。偏光選択構成要素及び光中継モジュールの一部は、画像光ビーム13が移動する方向に沿って配設される。この実施形態において、偏光選択構成要素は、偏光ビームスプリッタPBを含み、光中継モジュールは、ツイステッドネマチック液晶ユニットTN1と偏光ビームスプリッタPBとの間に配設された、半透過型反射体HMを含む。光中継モジュールは、非回転型対称曲面鏡M0、平面鏡M1、平面鏡M2、及び光コンバイナCBを、さらに含む。光コンバイナCBは、車両本体の内部でフロントガラスWS近くに配設され、虚像のための反射面を提供する。さらに、光偏光変換器は、平面鏡M2と半透過型反射体HMとの間に配設された、別のツイステッドネマチック液晶ユニットTN2を、さらに含む。光中継モジュールの中に位置付けられた、ツイステッドネマチック液晶ユニットTN2においては、恒常的に電圧はかけられない。
【0031】
ツイステッドネマチック液晶ユニットTN1に電圧がかけられず、かつ第1の状態である間、P偏光の画像光ビーム13の一部は、半透過型反射体HM及び偏光ビームスプリッタPBを通過して、第1の光経路において第1の画像光ビームP1を生成する。第1の画像光ビームP1は、曲面鏡M0及び光コンバイナCBで順次反射され、運転者Dの目に入り、運転者Dの視線方向において第1の虚像VI1を形成する。第1の虚像VI1から運転者Dまでの距離は、第1の虚像距離VID1である。ツイステッドネマチック液晶ユニットTN1に電圧がかけられ、かつ第2の状態である間、S偏光の第2の画像光ビーム13の一部は、半透過型反射体HMを通過し、偏光ビームスプリッタPBの鏡で反射して、第2の画像光ビームP2を生成する。第2の光経路において、第2の画像光ビームP2は、適切な位置に配設された平面鏡M1及び平面鏡M2で順次反射する。恒常的に電圧がかけられないツイステッドネマチック液晶ユニットTN2は、平面鏡M2の後、かつ第2の画像光ビームP2の光経路に配設される。付勢されないツイステッドネマチック液晶ユニットTN2は、S偏光の第2の画像光ビームP2の偏光状態を90°回転させる。したがって、恒常的に電圧がかけられないツイステッドネマチック液晶ユニットTN2は、S偏光の第2の画像光ビームP2を、P偏光の第2の画像光ビームP2に変換する。次に、P偏光の第2の画像光ビームP2は、半透過型反射体HMで反射され、中間画像LS’を形成する。次に、第2の画像光ビームP2の中間画像LS’は、偏光ビームスプリッタPBを通過し、曲面鏡M0及び光コンバイナCBで順次反射され、運転者Dの目に入り、運転者Dの視線方向において第2の虚像VI2を形成する。第2の虚像VI2から運転者Dまでの距離は、第2の虚像距離VID2である。
【0032】
図4を再び参照されたい。レーザ走査表示デバイスLS及び中間画像LS’は、曲面鏡M0の焦点内にある。さらに、平面鏡M1、平面鏡M2、及び半透過型反射体HMにおける3つの反射作用のため、中間画像LS’の距離は、レーザ走査表示デバイスLSの物体距離よりも長い。したがって、第2の虚像VI2の距離は、第1の虚像VI1の距離よりも長い。それによって、運転者Dは、第1の虚像VI1(第1の画像光ビームの内容)及び第2の虚像VI2(第2の画像光ビームの内容)を、同時に見ることができる。第2の実施形態において、レーザ走査表示デバイスLSの全てのピクセルは、視野が重複する2つの虚像を異なる距離で生成する。第1の実施形態との比較において、第2の実施形態の異なる距離で現われる2つの虚像の重複は、遠い虚像の内容が近くの虚像の内容と重複する必要がある状況に適用され得る。
【0033】
図5は、本発明の第3の実施形態による車両用ヘッドアップ表示システムで、タイミング信号が画像ソースを制御して、画像光ビームを出力しているところを概略で示す側面図である。
図3及び
図5を参照されたい。
図5の車両用ヘッドアップ表示システム35は、第1の画像光ビーム及び第2の画像光ビームが光偏光変換器を通過する間、それらの偏光状態と光中継モジュールの光素子の位置が、
図3の車両用ヘッドアップ表示システムとは異なる。
図5において、液晶表示デバイスLのタイミング信号に従って、S偏光の画像光ビーム11はツイステッドネマチック液晶ユニットTNを通過し、S偏光の第1の画像光ビームP1及びP偏光の第2の画像光ビームP2を続けて生成する。S偏光の第1の画像光ビームP1は、初めに偏光ビームスプリッタPBの鏡で反射され、次に非回転型対称曲面鏡M0で反射され、次にフロントガラスWSで反射され、運転者Dの目に入って、運転者Dの視線方向に第1の虚像VI1を形成する。第1の虚像VI1から運転者Dまでの距離は、第1の虚像距離VID1である。P偏光の第2の画像光ビームP2は、元の方向に沿って偏光ビームスプリッタPBを通過し、次に平面鏡M1で反射して、中間画像L’を形成する。中間画像L’は、曲面鏡M0及びフロントガラスWSで反射され、次に運転者Dの目に入って、運転者Dの視線方向において第2の虚像VI2を形成する。第2の虚像VI2から運転者Dまでの距離は、第2の虚像距離VID2である。第3の実施形態は、以下の点で第1の実施形態と同様である:液晶表示デバイスL及び中間画像L’は、曲面鏡M0の焦点内にあること;平面鏡M1の光中継は、中間画像L’の距離を液晶表示デバイスLの物体距離よりも長くすること、である。したがって、第2の虚像距離VID2は、第1の虚像距離VID1よりも長い。それによって、運転者Dは、第1の虚像VI1及び第2の虚像VI2を同時に見ることができる。液晶表示デバイスLの全てのピクセルは、視野が重複しない第1の虚像VI1及び第2の虚像VI2を、異なる距離で生成する。第3の実施形態は、偏光ビームスプリッタPBで反射されたS偏光の光ビームが、より近い第1の虚像VI1を生成するために使用され、偏光ビームスプリッタPBを通過するP偏光の光ビームが、より遠い第2の虚像VI2を生成するために使用されるという点で、第1の実施形態とは異なる。
【0034】
図6は、本発明の第4の実施形態による車両用ヘッドアップ表示システムで、タイミング信号が画像ソースを制御して、画像光ビームを出力しているところを概略で示す側面図である。車両用ヘッドアップ表示システム37において、画像ソースは、対角延長が1.8インチである液晶表示デバイスLである。液晶表示デバイスLから発せられた光ビームは、紙面に対してS偏光の光ビームである。液晶表示デバイスLは迅速に切り替わり、30Hz以上の周波数で、第1の画像光ビーム及び第2の画像光ビームを発する。ツイステッドネマチック液晶ユニットTN1は、液晶表示デバイスLの光出力側に配設される。ツイステッドネマチック液晶ユニットTN1に電圧がかけられており、かつ第1の状態の間、液晶表示デバイスLは、第1の画像光ビームを発する。ツイステッドネマチック液晶ユニットTN1に電圧がかけられておらず、かつ第2の状態の間、液晶表示デバイスLは第2の画像光ビームを発する。したがって、ツイステッドネマチック液晶ユニットTN1は、第1の状態でS偏光の画像光ビーム13(第1の画像光ビーム)を出力し、第2の状態でP偏光の画像光ビーム13(第2の画像光ビーム)を出力する。半透過型反射体HM及び偏光ビームスプリッタPBは、画像光ビーム13の伝搬方向に沿って続けて配設される。ツイステッドネマチック液晶ユニットTN1に電圧がかけられ、かつ第1の状態である間、S偏光の第1の画像光ビーム13の一部は、半透過型反射体HMを通過し、偏光ビームスプリッタPBの鏡で反射され、第1の画像光ビームP1を形成する。第1の画像光ビームP1は、曲面鏡M0及びフロントガラスWSで反射され、運転者Dの目に入って、運転者Dの視線方向において第1の虚像VI1を形成する。第1の虚像VI1から運転者Dの距離は、第1の虚像距離VID1である。
【0035】
図6を再び参照されたい。第2の状態において、ツイステッドネマチック液晶ユニットTN1に電圧が印加されない間、P偏光の第2の画像光ビーム13の一部は、半透過型反射体HM及び偏光ビームスプリッタPBを通過し、第2の画像光ビームP2を形成する。第2の画像光ビームP2は、平面鏡M1、平面鏡M2、及び平面鏡M3で、順次反射される。電圧が印加されないツイステッドネマチック液晶ユニットTN2は、平面鏡M3の前、かつ第2の画像光ビームP2の伝搬経路に配設される。ツイステッドネマチック液晶ユニットTN2は、入射する光ビームの偏光状態を90°回転させる。したがって、ツイステッドネマチック液晶ユニットTN2は、P偏光の第2の画像光ビームP2を、S偏光の第2の画像光ビームP2に回転させる。次に、S偏光の第2の画像光ビームP2は、半透過型反射体HMで反射され、中間画像L’を形成する。次に、中間画像L’は、偏光ビームスプリッタPB、曲面鏡M0、及びフロントガラスWSで順次反射され、次に運転者Dの目に入って、運転者Dの視線方向で第2の虚像VI2を形成する。第2の虚像VI2から運転者Dまでの距離は、第2の虚像距離VID2である。
【0036】
図6を再び参照されたい。第4の実施形態は、以下の点で第2の実施形態と同様である:液晶表示デバイスL及び中間画像L’は、曲面鏡M0の焦点内にあること;平面鏡M1、平面鏡M2、平面鏡M3、及び半透過型反射体HMの光中継は、中間画像L’の距離を、液晶表示デバイスLの物体距離よりも長くすること、である。したがって、第2の虚像距離VID2は、第1の虚像距離VID1よりも長い。それによって、運転者Dは、第1の虚像VI1及び第2の虚像VI2を同時に見ることができる。液晶表示デバイスLの全てのピクセルは、視野が重複する第1の虚像VI1及び第2の虚像VI2を、異なる距離で生成する。第4の実施形態は、偏光ビームスプリッタPBで反射されたS偏光の光ビームが、より近い第1の虚像VI1を生成するために使用され、偏光ビームスプリッタPBを通過するP偏光の光ビームが、より遠い第2の虚像VI2を生成するために使用されるという点で、第2の実施形態とは異なる。
【0037】
上述の実施形態は、本発明の技術的思想及び特徴を実証するためのものであり、当業者が本発明を理解し、作成し、及び使用するのを可能にする。しかし、これらの実施形態が、本発明の範囲を限定することは意図しない。本発明の趣旨に従った、いかなる同等の変更または変形も、本発明の範囲に含まれる。