(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044214
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】アクセルペダル装置
(51)【国際特許分類】
B60K 26/02 20060101AFI20220310BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20220310BHJP
G05G 1/38 20080401ALI20220310BHJP
G05G 5/05 20060101ALI20220310BHJP
F02D 11/10 20060101ALI20220310BHJP
F02D 11/02 20060101ALN20220310BHJP
【FI】
B60K26/02
G05G1/30 E
G05G1/38
G05G5/05
F02D11/10 U
F02D11/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149738
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 智
【テーマコード(参考)】
3D037
3G065
3J070
【Fターム(参考)】
3D037EA01
3D037EA03
3D037EB02
3D037EB04
3D037EB10
3G065CA21
3G065CA22
3G065CA23
3G065DA15
3G065JA04
3G065JA09
3G065KA15
3J070AA32
3J070BA71
3J070BA90
3J070CB12
3J070CC71
3J070CD15
3J070DA01
(57)【要約】
【課題】簡単な手動操作により、軽重の二種類の踏力特性のいずれかに選択的に切り換えることのできるアクセルペダル装置を提供する。
【解決手段】アクセルペダルを有するペダルアーム20、ペダルアームを所定の軸線S回りに回動自在に支持するハウジング10、ペダルアームを休止位置に戻すべく配置された主戻しバネ30、ペダルアームを休止位置に戻す付勢力を生じる副戻しバネ40、副戻しバネがペダルアームに対して付勢力を及ぼす作用状態と当該付勢力を及ぼさない非作用状態とを選択的に切り換える切換ユニットUを備え、切換ユニットUは、副戻しバネの第1端部42が掛止されると共にペダルアームの回動に追従して移動し得る可動部材50、作用状態において可動部材の移動を規制しかつ非作用状態において可動部材の移動を許容するべく操作可能な操作部材60を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルペダルを有するペダルアームと、
前記ペダルアームを所定の軸線回りに回動自在に支持するハウジングと、
前記ペダルアームを休止位置に戻すべく配置された主戻しバネと、
前記ペダルアームを前記休止位置に戻す付勢力を生じる副戻しバネと、
前記副戻しバネが前記ペダルアームに対して付勢力を及ぼす作用状態と前記付勢力を及ぼさない非作用状態とを選択的に切り換える切換ユニットと、を備え、
前記切換ユニットは、前記副戻しバネの第1端部が掛止されると共に前記ペダルアームの回動に追従して移動し得る可動部材と、前記作用状態において前記可動部材の移動を規制しかつ前記非作用状態において前記可動部材の移動を許容するべく操作可能な操作部材と、を含む、
ことを特徴とするアクセルペダル装置。
【請求項2】
前記ペダルアームは、前記作用状態において前記可動部材が離脱しかつ前記非作用状態において前記副戻しバネの付勢力により前記可動部材が当接する受け部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のアクセルペダル装置。
【請求項3】
前記主戻しバネは、伸縮コイルバネであり、
前記副戻しバネは、捩りコイルバネであり、
前記可動部材は、前記副戻しバネと同軸上において回動する回動部材である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項4】
前記ペダルアームは、前記軸線を中心とする円筒部と、前記円筒部から上方に伸長する上側アームと、前記円筒部から下方に伸長すると共に前記アクセルペダルを有する下側アームを含み、
前記副戻しバネは、前記軸線上において前記円筒部の領域に配置されると共に第2端部が前記円筒部の一部に掛止され、
前記回動部材は、前記ハウジング内において前記軸線回りに回動自在に配置されると共に前記作用状態において移動が規制されるべく前記操作部材と係合する係合部を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載のアクセルペダル装置。
【請求項5】
前記係合部は、前記ハウジングを通して外側に配置され、
前記操作部材は、前記ハウジングの外側に往復動自在に保持され、前記係合部から離脱して前記回動部材の回動を許容し、前記係合部と係合して前記回動部材の回動を規制する規制部を含む、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のアクセルペダル装置。
【請求項6】
前記係合部は、前記ハウジング内に配置され、
前記操作部材は、前記ハウジングの外側から内側に貫通して往復動自在に保持され、前記係合部から離脱して前記回動部材の回動を許容し、前記係合部と係合して前記回動部材の回動を規制する規制部を含む、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のアクセルペダル装置。
【請求項7】
前記ペダルアームの回転角度位置を検出する位置センサをさらに含み、
前記回動部材及び前記副戻しバネと前記位置センサは、前記軸線を中心とする同軸上に配置されている、
ことを特徴とする請求項3ないし6いずれか一つに記載のアクセルペダル装置。
【請求項8】
前記主戻しバネは、前記円筒部の近傍において前記上側アーム寄りに配置されている、
ことを特徴とする請求項3ないし7いずれか一つに記載のアクセルペダル装置。
【請求項9】
前記アクセルペダルの踏込み操作及び戻し操作における踏力にヒステリシスを発生するヒステリシス発生機構をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1ないし8いずれか一つに記載のアクセルペダル装置。
【請求項10】
前記ヒステリシス発生機構は、前記ハウジングの内壁を摺動するスライダと、前記スライダを押し戻しつつ前記ハウジングに押し付ける付勢力を及ぼす付勢バネを含み、
前記スライダは、前記ペダルアームの上端部と係合するように配置されている、
ことを特徴とする請求項9に記載のアクセルペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に適用されるアクセルペダル装置に関し、特に、アクセルペダルを休止位置に戻す複数の戻しバネを備えたアクセルペダル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアクセルペダル装置としては、アクセルペダルに連結され支点を中心として回動するアクセルアームと、支点からの離隔距離がそれぞれ異なる位置においてアクセルアームに掛止された引張り型の二つのコイルバネを備えたアクセル機構が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この装置において、アクセルペダルの踏込みが小さい領域では、一方のコイルバネの張力が主として作用し、アクセルペダルの踏込みが大きい領域では、両方のコイルバネの張力が作用するものである。すなわち、踏力特性としては、踏込みが小さい領域で踏力が小さく、踏込みが大きい領域で踏力が大きくなるものの、二つのコイルバネの合成付勢力が常に作用する一つの踏力特性が得られるものである。
したがって、非力な運転者にとっては、特に踏込み量が大きい領域において、アクセルペダルが重く、操作性が悪いと感じる虞がある。
【0004】
また、他のアクセルペダル装置としては、アクセルペダルを有するペダルアームと、ペダルアームを軸部回りに回動自在に支持するハウジングと、ペダルアームの上端部に付勢力を及ぼすべく入れ子状に配置された圧縮型の二つのコイルバネを備えたアクセル装置が知られている(例えば、特許文献2)。
【0005】
この装置においても、前述の従来例のように、二つのコイルバネの合成付勢力が常に作用する一つの踏力特性が得られるものである。
したがって、非力な運転者にとっては、特に踏込み量が大きい領域において、アクセルペダルが重く、操作性が悪いと感じる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-225665号公報
【特許文献2】特開2004-108214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、構造の簡素化、小型化等を図り、安価で、簡単な操作により軽重の二種類の踏力特性のいずれかに選択的に切り換えることのできるアクセルペダル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のアクセルペダル装置は、アクセルペダルを有するペダルアームと、ペダルアームを所定の軸線回りに回動自在に支持するハウジングと、ペダルアームを休止位置に戻すべく配置された主戻しバネと、ペダルアームを休止位置に戻す付勢力を生じる副戻しバネと、副戻しバネがペダルアームに対して付勢力を及ぼす作用状態と付勢力を及ぼさない非作用状態とを選択的に切り換える切換ユニットとを備え、切換ユニットは、副戻しバネの第1端部が掛止されると共にペダルアームの回動に追従して移動し得る可動部材と、作用状態において可動部材の移動を規制しかつ非作用状態において可動部材の移動を許容するべく操作可能な操作部材を含む、構成となっている。
【0009】
上記アクセルペダル装置において、ペダルアームは、作用状態において可動部材が離脱しかつ非作用状態において副戻しバネの付勢力により可動部材が当接する受け部を含む、構成を採用してもよい。
【0010】
上記アクセルペダル装置において、主戻しバネは、伸縮コイルバネであり、副戻しバネは、捩りコイルバネであり、可動部材は、副戻しバネと同軸上において回動する回動部材である、構成を採用してもよい。
【0011】
上記アクセルペダル装置において、ペダルアームは、軸線を中心とする円筒部と、円筒部から上方に伸長する上側アームと、円筒部から下方に伸長すると共にアクセルペダルを有する下側アームを含み、副戻しバネは、軸線上において円筒部の領域に配置されると共に第2端部が円筒部の一部に掛止され、回動部材は、ハウジング内において軸線回りに回動自在に配置されると共に作用状態において移動が規制されるべく操作部材と係合する係合部を含む、構成を採用してもよい。
【0012】
上記アクセルペダル装置において、係合部は、ハウジングを通して外側に配置され、操作部材は、ハウジングの外側に往復動自在に保持され、係合部から離脱して回動部材の回動を許容し、係合部と係合して回動部材の回動を規制する規制部を含む、構成を採用してもよい。
【0013】
上記アクセルペダル装置において、係合部は、ハウジング内に配置され、操作部材は、ハウジングの外側から内側に貫通して往復動自在に保持され、係合部から離脱して回動部材の回動を許容し、係合部と係合して回動部材の回動を規制する規制部を含む、構成を採用してもよい。
【0014】
上記アクセルペダル装置において、ペダルアームの回転角度位置を検出する位置センサをさらに含み、回動部材及び副戻しバネと位置センサは、軸線を中心とする同軸上に配置されている、構成を採用してもよい。
【0015】
上記アクセルペダル装置において、主戻しバネは、円筒部の近傍において上側アーム寄りに配置されている、構成を採用してもよい。
【0016】
上記アクセルペダル装置において、アクセルペダルの踏込み操作及び戻し操作における踏力にヒステリシスを発生するヒステリシス発生機構をさらに含む、構成を採用いてもよい。
【0017】
上記アクセルペダル装置において、ヒステリシス発生機構は、ハウジングの内壁を摺動するスライダと、スライダを押し戻しつつハウジングに押し付ける付勢力を及ぼす付勢バネを含み、スライダは、ペダルアームの上端部と係合するように配置されている、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0018】
上記構成をなすアクセルペダル装置によれば、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、安価で、簡単な操作により軽重の二種類の踏力特性のいずれかに選択的に切り換えることのできるアクセルペダル装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係るアクセルペダル装置の一実施形態を示す外観斜視図である。
【
図2】
図1に示すアクセルペダル装置を反対側から視た外観斜視図である。
【
図3】
図1に示すアクセルペダル装置の分解斜視図である。
【
図4】アクセルペダル装置に含まれるハウジング本体を示す斜視図である。
【
図5】アクセルペダル装置において、ペダルアームが休止位置にある状態を示す断面図である。
【
図6】アクセルペダル装置に含まれる可動部材、副戻しバネ、ペダルアームの一部を示す分解斜視図である。
【
図7】アクセルペダル装置に含まれる可動部材の外観斜視図である。
【
図8】アクセルペダル装置において、切換ユニット(可動部材、副戻しバネ、操作部材)、ペダルアーム、ハウジングの関係を示す部分断面図である。
【
図9】アクセルペダル装置において、操作部材が可動部材の移動を規制する規制状態と操作部材が可動部材の移動を許容する規制解除状態を示す断面図である。
【
図10】アクセルペダル装置において、ペダルアームが休止位置にある状態で、可動部材、副戻しバネ、ペダルアームの関係を示す部分断面図である。
【
図11】アクセルペダル装置において、操作部材が可動部材の移動を許容する状態でかつペダルアームが最大踏込み位置に移動した状態において、可動部材、副戻しバネ、ペダルアームの関係を示す部分断面図である。
【
図12】アクセルペダル装置において、操作部材が可動部材の移動を規制する状態でかつペダルアームが最大踏込み位置に移動した状態において、可動部材、副戻しバネ、ペダルアームの関係を示す部分断面図である。
【
図13】アクセルペダル装置の踏力特性を示すグラフである。
【
図14】アクセルペダル装置に含まれる切換ユニットの操作部材及び可動部材の他の実施形態を示す外観斜視図である。
【
図15】
図14に示す実施形態において、操作部材が可動部材の移動を規制する規制状態と操作部材が可動部材の移動を許容する規制解除状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
一実施形態に係るアクセルペダル装置は、
図1ないし
図8に示すように、自動車等の車体に固定されるハウジング10、ペダルアーム20、主戻しバネ30、副戻しバネ40、可動部材としての回動部材50、操作部材60、位置センサ70、ヒステリシス発生機構80を備えている。
ここでは、回動部材50及び操作部材60により、副戻しバネ40がペダルアーム20に対して、付勢力を及ぼす作用状態と、付勢力を及ぼさない非作用状態と、を手動操作により選択的に切り換える切換ユニットUが構成されている。
【0021】
ハウジング10は、樹脂材料により二分割構造に形成されており、互いに連結されて軸線Sを画定する第1ハウジング11及び第2ハウジング12により構成されている。
第1ハウジング11は、
図4に示すように、軸線Sに垂直な側壁部11a、外周壁部11b、軸線Sを中心とする円筒部11c、開口部11d、摺動面11e,11f、バネ受け部11g,11h、休止ストッパ11i、全開ストッパ11j、第2ハウジング12を連結する連結部11k、第2ハウジング12を締結するネジBを捩じ込むネジ穴11m、スナップフィット用の凸部11n、車体等に固定するボルトを通す貫通孔を有するフランジ部11p、操作部材60を往復動自在に保持する保持部11qを備えている。
【0022】
円筒部11cは、
図8に示すように、その外周面に軸受RBを介して円筒部21を嵌合させてペダルアーム20を軸線S回りに回動自在に支持すると共に、内側において回動部材50を収容するように形成されている。
開口部11dは、軸線Sを中心とする円孔に形成され、回動部材50の係合部55を第1ハウジング11の外側に突出させる。
バネ受け部11gは、外周壁部11bの内側に形成され、ヒステリシス発生機構80に含まれる付勢バネ83の第1端部83aを受ける環状座面をなす。
バネ受け部11hは、
図5に示すように、外周壁部11bの内側に形成され、主戻しバネ30の第1端部31を受ける環状座面をなす。
保持部11qは、
図2、
図4及び
図9に示すように、開口部11dを覆う領域において第1ハウジング11の外壁に組み付けられて、操作部61を露出させると共に操作部材60を軸線Sに垂直な方向に往復動自在に保持するものであり、操作部材60を挿入する矩形開口11q
1、操作部材60の位置決め溝63にスナップ係合する位置決め突起11q
2を備えている。
【0023】
第2ハウジング12は、
図3及び
図8に示すように、軸線Sに垂直な側壁部12a、軸線Sを中心とする円筒部12c、第1ハウジング11に連結される連結部12k、第1ハウジング11に捩じ込むネジBを通す孔12m、スナップフィット用の凹部12n、位置センサ70の一部(ステータ73、ホール素子74)を埋設する円柱状の埋設部12q、回路基板CBを収容する収容部12r、電気的接続を行うコネクタ12sを備えている。
【0024】
円筒部12cは、その内周面に軸受RBを介して円筒部21を嵌合させて、ペダルアーム20を軸線S回りに回動自在に支持する。
埋設部12qは、第2ハウジング12が第1ハウジング11に連結された状態で、ペダルアーム20の円筒部21に形成された凹部26に挿入されて、凹部26において内周面26aに露出するように埋設された位置センサ70の一部(アマチャ71及び永久磁石72)と対向するように形成されている。
【0025】
そして、第2ハウジング12は、ペダルアーム20、主戻しバネ30、副戻しバネ40、回動部材50、ヒステリシス発生機構80が収容された状態で、第1ハウジング11と協働してペダルアーム20の下方領域を除いた全体を覆うように、第1ハウジング11にスナップフィット結合により連結され、ネジBにより締結される。
【0026】
ペダルアーム20は、全体が樹脂材料により成形されており、
図3及び
図6に示すように、円筒部21、環状溝22、掛止溝23、軸部材24、受け部25、凹部26、円筒部21から上方に伸長する上側アーム27、円筒部21から下方に伸長する下側アーム28、バネ受け部29を備えている。
ここで、上側及び下側とは、アクセルペダル装置が車両等に搭載された状態において、鉛直方向の上側及び下側を示すものである。
【0027】
円筒部21は、ペダルアーム20が軸線S回りに回動自在に支持されるべく、
図3及び
図8に示すように、第1ハウジング11の円筒部11cに軸受RBを介して嵌合される内周面21a、第2ハウジング12の円筒部12cに軸受RBを介して嵌合される外周面21bを備えている。
環状溝22は、
図6に示すように、円筒部21の内側において軸線Sを中心とする円環状に形成されて、副戻しバネ40のコイル部41を収容するように形成されている。
掛止溝23は、副戻しバネ40の第2端部43が掛止される円筒部21の一部として、円筒部21の内側において環状溝22から径方向に伸長するように形成されている。
【0028】
軸部材24は、円筒部21の内側において軸線S上に伸長する円柱状をなし、回動部材50を回動自在に支持する。
受け部25は、副戻しバネ40により回転付勢される回動部材50の当接部54を当接させて受けるように、円筒部21の内側に形成されている。
そして、受け部25は、副戻しバネ40がペダルアーム20に対して付勢力を及ぼさない非作用状態において、副戻しバネ40の付勢力により付勢される回動部材50の当接部54を受けることで、回動部材50をペダルアーム20に追従させて一緒に回動させるようになっている。
凹部26は、第2ハウジング12の埋設部12qを非接触にて受け入れるべく、円筒部21の内側において軸線Sを中心とする円形の内周面26aを画定する。
そして、凹部26には、内周面26aに露出するように位置センサ70のアマチャ71及び永久磁石72が埋設されている。
【0029】
上側アーム27は、休止位置において、休止ストッパ11iに当接する当接部27a、ヒステリシス発生機構80の第1スライダ81と係合する上端部27bを備えている。
下側アーム28は、運転者が足を乗せるアクセルペダル28a、最大踏込み位置において全開ストッパ11jに当接する当接部28bを備えている。
バネ受け部29は、円筒部21の近傍でかつ上側アーム27寄りの領域において、主戻しバネ30の第2端部32を受ける環状座面を画定する二段円筒状に突出して形成されている。
【0030】
主戻しバネ30は、バネ鋼等により形成された伸縮コイルバネであり、第1端部31が第1ハウジング11のバネ受け部11hに当接しかつ第2端部32がペダルアーム20のバネ受け部29に当接するように所定の圧縮代に圧縮されて配置され、常にペダルアーム20を休止位置に戻す付勢力を及ぼす。
このように、主戻しバネ30は、ペダルアーム20に直接係合して常にペダルアーム20を休止位置に戻す付勢力を及ぼすため、ヒステリシス発生機構80がスティックして停止したような作動不良の状態が生じ又副戻しバネ40が非作用の状態であっても、ペダルアーム20は、主戻しバネ30の付勢力により休止位置へ確実に戻されて、安全性が保証される。
【0031】
副戻しバネ40は、バネ鋼等により形成された捩りコイルバネであり、
図3及び
図6に示すように、コイル部41、第1端部42、第2端部43を備えている。
そして、副戻しバネ40は、コイル部41がペダルアーム20の環状溝22に嵌め込まれ、第1端部42が回動部材50の掛止部53に掛止され、第2端部43がペダルアーム20の円筒部21の一部としての掛止溝23に掛止されている。
そして、副戻しバネ40は、切換ユニットUにより作用状態が選択されると、ペダルアーム20を休止位置に戻す付勢力を及ぼし、切換ユニットUにより非作用状態が選択されると、ペダルアーム20を休止位置に戻す付勢力を及ぼさず、回動部材50をペダルアーム10の回動に追従させて回動させる。
【0032】
回動部材50は、樹脂材料を用いて形成され、
図6及び
図7に示すように、円盤状の鍔部51、軸部24が嵌合される嵌合穴52、副戻しバネ40の第1端部42が掛止される掛止部53、当接部54、操作部材60の規制部62の係合により回動が規制される係合部55を備えている。
【0033】
鍔部51は、第1ハウジング11の開口部11dの周りの壁面とペダルアーム20の円筒部21の領域の壁面との間に挟まれように配置される。
当接部54は、副戻しバネ40がペダルアーム20に対して付勢力を及ぼす作用状態においてペダルアーム20が踏み込まれると受け部25から離脱し、副戻しバネ40がペダルアーム20に対して付勢力を及ぼさない非作用状態において受け部25に当接する。
係合部55は、略矩形断をなす所定幅の二面幅部として形成され、第1ハウジング11の開口部11dを通して外側に配置され、操作部材60の規制部62と係合すると、回動部材50の回動が規制され、操作部材60の規制部62から離脱すると、回動部材50の回動が許容されるべく機能する。
【0034】
そして、回動部材50は、ペダルアーム20の軸部24が嵌合穴52に嵌合されると共に環状溝22に収容された副戻しバネ40の第1端部42が掛止部53に掛止されて、係合部55が開口部11dを通して外部に突出するように、第1ハウジング11とペダルアーム20とに挟まれる領域に配置され、軸線S回りに回動自在に支持される。
【0035】
操作部材60は、樹脂材料等を用いて略矩形の板状に形成され、
図9に示すように、操作部61、規制部62、位置決め溝63を備えている。
操作部61は、
図2に示すように、車両の運転者等が指で掴めるように半円柱状に形成され、外部に露出して配置される。
規制部62は、略U字状の切欠きを画定し、回動部材50の係合部55の二面幅部が嵌合する切欠き幅に形成されている。
位置決め溝63は、V字状の断面をなすと共に軸線Sに平行な直線溝として形成され、操作部材60の往復動方向において離隔して配置された第1位置決め溝63a及び第2位置決め溝63bを備えている。
【0036】
そして、
図9に示すように、操作部材60は、第1位置決め溝63aが保持部11qの位置決め突起11q
2と係合したとき、規制部62が係合部55に係合して、回動部材50の回動を規制する位置に位置決めされる。これにより、副戻しバネ40がペダルアーム20に対して付勢力を及ぼす作用状態が設定される。
一方、操作部材60は、第2位置決め溝63bが保持部11qの位置決め突起11q
2と係合したとき、規制部62が係合部55から離脱して、回動部材50の回動を許容する位置に位置決めされる。これにより、副戻しバネ40がペダルアーム20に対して付勢力を及ぼさない非作用状態が設定される。
【0037】
上記構成をなす回動部材50及び操作部材60は、副戻しバネ40がペダルアーム20に対して付勢力を及ぼす作用状態と、当該付勢力を及ぼさない非作用状態とを、手動操作により選択的に切り換える切換ユニットUを構成するものである。
すなわち、操作部材60が押し込まれると、規制部62が係合部55に係合して回動部材50の回動を規制し、副戻しバネ40がペダルアーム20に対して付勢力を及ぼす作用状態となる。これにより、回動部材50は、
図10及び
図12に示すように、ペダルアーム20が休止位置から最大踏込み位置まで踏み込まれても、休止位置に対応する位置に停止する。それ故に、副戻しバネ40は踏込み量に応じた付勢力をペダルアーム20に及ぼす。
一方、操作部材60が引き出されると、規制部62が係合部55から離脱して回動部材50の回動を許容し、副戻しバネ40がペダルアーム20に対して付勢力を及ぼさない非作用状態となる。これにより、回動部材50は、
図10及び
図11に示すように、ペダルアーム20が休止位置から最大踏込み位置まで踏み込まれると、ペダルアーム20に追従して回転する。それ故に、副戻しバネ40は回動部材50と一緒に回転して付勢力をペダルアーム20に及ぼさない。
【0038】
位置センサ70は、
図8に示すように、ペダルアーム20の軸線Sの周りの領域に配置された非接触式の磁気式センサであり、環状のアマチャ71、一対の永久磁石72、二つのステータ73、二つのホール素子74を備えている。
アマチャ71は、磁性材料により環状に形成されて、ペダルアーム20の凹部26に埋設されている。
一対の永久磁石72は、円弧状に形成され、凹部26の内周面26aに露出するように、アマチャ71の内周面に結合されている。
二つのステータ73は、磁性材料により形成され、第2ハウジング12の埋設部12qに埋設されている。
二つのホール素子74は、二つのステータ73の間に配置されて第2ハウジング12の埋設部12qに埋設されている。
【0039】
また、回路基板CBが、第2ハウジング12の収容部12rに配置されて、封止樹脂材Gにより封止されている。
回路基板CBは、ホール素子74を電気的に接続する回路を備えると共に、種々の電子部品を実装するものである。
そして、位置センサ70は、ペダルアーム20が回動することにより生じる磁束密度の変化をホール素子74で検出して電圧信号として出力する。この出力信号は、コネクタ12sに接続された検出器(不図示)により、ペダルアーム20の角度位置の情報として検出される。
【0040】
ヒステリシス発生機構80は、
図3及び
図5に示すように、含油ポリアセタール等の高摺動性樹脂材料により形成された第1スライダ81及び第2スライダ82、バネ鋼等により形成された付勢バネ83を備えている。
第1スライダ81は、第1ハウジング11の下側の摺動面11fに摺動自在に接触する接触面81a、第2スライダ82の傾斜面82bと接触する傾斜面81b、上側アーム部27の上端部27bが離脱可能に係合し得る係合面81cを有する。
第2スライダ82は、第1ハウジング11の上側の摺動面11eに摺動自在に接触する接触面82a、第1スライダ81の傾斜面81bと接触する傾斜面82b、付勢バネ83の第2端部83bを受ける受け面82cを有する。
付勢バネ83は、伸縮コイルバネであり、第1端部83aが第1ハウジング11のバネ受け部11gに当接しかつ第2端部83bが第2スライダ82の受け面82cに当接して圧縮された状態で配置される。
【0041】
そして、付勢バネ83は、第2スライダ82の傾斜面82bを第1スライダ81の傾斜面81bに押し付けて、第1スライダ81及び第2スライダ82を摺動面11e,11fに向けて押し付けるようなくさび作用を及ぼし、又、第1スライダ81及び第2スライダ82を介してペダルアーム20を休止位置に戻す付勢力を及ぼす。
【0042】
ここで、ヒステリシス発生機構80が発生するヒステリシス特性について説明する。
先ず、ペダルアーム20が、休止位置から最大踏込み位置に向けて踏み込まれる場合は、上端部27bが付勢バネ83の付勢力に抗して第1スライダ81を
図5中の左向きに押圧する。
この踏込み操作のとき、付勢バネ83が及ぼす付勢力により、第1スライダ81及び第2スライダ82が互いにくさび作用を及ぼし、ハウジング10に対して摩擦力(摺動抵抗)が生じる。踏込み操作時の摩擦力は、踏込み操作と対抗する向きに作用すると共に付勢バネ83の圧縮量の増加に伴って増加する。
したがって、踏込み操作時の摩擦力と踏込み操作に応じて増加する付勢バネ83の付勢力との合力により、踏込み時の踏力は、
図13のヒステリシスをなす踏力線NLにおいて、上側の踏力線DNLとして示され、踏込み量(アクセルペダルの開度)の増加に伴って直線的に増加する。
【0043】
一方、ペダルアーム20が、休止位置に向けて戻される場合は、第1スライダ81及び第2スライダ82は、付勢バネ83の付勢力により上側アーム部27に追従して
図5中の右向きに移動する。
この戻し操作のときも、付勢バネ83が及ぼす付勢力により、第1スライダ81及び第2スライダ82が互いにくさび作用を及ぼし、ハウジング10に対して摩擦力(摺動抵抗)が生じる。戻し操作時の摩擦力は、踏込み操作の場合と逆向きに作用すると共に付勢バネ83の圧縮量の減少に伴って減少する。
したがって、逆向きに作用する戻し操作時の摩擦力と戻し操作に応じて減少する付勢バネ83の付勢力との合力により、戻し時の踏力は、
図13のヒステリシスをなす踏力線NLにおいて、下側の踏力線RNLとして示され、踏込み量(アクセルペダルの開度)の減少に伴って直線的に減少する。
ここで、戻り動作の際の踏力は、踏込み操作の際の踏力よりも小さくなるため、
図13中の踏力線DNL,RNLで示すように、踏込み操作から戻し操作までの全体において、踏力にヒステリシスが発生する。
【0044】
次に、アクセルペダル装置及び切換ユニットUの動作を、
図11ないし
図13を参照しつつ説明する。
先ず、運転者は、運転に先立って、アクセルペダル28aを踏込み、アクセルペダル28aの反力が重いと感じれば「軽いモード」を選択し又は軽いと感じれば「重いモード」を選択するべく、切換ユニットUの操作部材60を手動により適宜操作する。
【0045】
ここで、「重いモード」を選択する場合、操作部材60を押し込んで規制部62を回動部材50の係合部55に係合させる。これにより、回動部材50は回動が規制されて休止位置に対応する位置に保持される。これにより、副戻しバネ40は、ペダルアーム20に対して付勢力を及ぼす作用状態に設定される。
【0046】
そして、運転者がアクセルペダル28aを休止位置から踏み込むと、
図12に示すように、回動部材50の回動が規制された状態で、ペダルアーム20のみが、主戻しバネ30及び副戻しバネ40の付勢力に抗して反時計回りに回転し、ヒステリシス発生機構80が発生する抵抗荷重は増加しつつ、
図13中の実線で示す上側の踏力線DNLに沿って踏力が増加する。そして、ペダルアーム20は、最大踏込み位置まで回転し、当接部28bが全開ストッパ11jに当接して停止する。
【0047】
一方、運転者が踏力を緩めると、アクセルペダル28aは、踏み込み時の抵抗荷重よりも小さい抵抗荷重を運転者に及ぼしながら、ペダルアーム20は、主戻しバネ30及び副戻しバネ40の付勢力により休止位置に向けて回転し、ヒステリシス発生機構80が発生する抵抗荷重は減少しつつ、
図13中の実線で示す上側の踏力線RNLに沿って踏力が減少する。そして、ペダルアーム20は、当接部27aが休止ストッパ11iに当接して休止位置に停止する。
【0048】
尚、運転者がアクセルペダル28aを戻す際に、ヒステリシス発生機構80がスティック等によりハウジング10の内壁に固着して戻らない場合であっても、主戻しバネ30及び副戻しバネ40の付勢力により、上端部27bが第1スライダ81から離脱して、ペダルアーム20は確実に休止位置に戻る。
したがって、位置センサ70は、ペダルアーム20が休止位置に戻ったことを検出するため、運転者の戻し動作と連動して所望の制御を行うことができる。
【0049】
一方、運転者が「軽いモード」を選択する場合、操作部材60を引き出して規制部62を回動部材50の係合部55から離脱させる。これにより、回動部材50は回動が許容された状態となる。これにより、副戻しバネ40は、ペダルアーム20に対して付勢力を及ぼさない非作用状態に設定される。
【0050】
そして、運転者がアクセルペダル28aを休止位置から踏み込むと、
図11に示すように、回動部材50はペダルアーム20の回転に追従して回転する状態となり、ペダルアーム20が、主戻しバネ30の付勢力に抗して反時計回りに回転し、ヒステリシス発生機構80が発生する抵抗荷重は増加しつつ、
図13中の一点鎖線で示す下側の踏力線DNLに沿って踏力が増加する。そして、ペダルアーム20は、最大踏込み位置まで回転し、当接部28bが全開ストッパ11jに当接して停止する。
【0051】
一方、運転者が踏力を緩めると、アクセルペダル28aは、踏み込み時の抵抗荷重よりも小さい抵抗荷重を運転者に及ぼしながら、ペダルアーム20は、主戻しバネ30の付勢力により休止位置に向けて回転し、ヒステリシス発生機構80が発生する抵抗荷重が減少しつつ、
図13中の一点鎖線で示す下側の踏力線RNLに沿って踏力が減少する。そして、ペダルアーム20は、当接部27aが休止ストッパ11iに当接して休止位置に停止する。
【0052】
尚、運転者がアクセルペダル28aを戻す際に、ヒステリシス発生機構80がスティック等によりハウジング10の内壁に固着して戻らない場合であっても、主戻しバネ30の付勢力により、上端部27bが第1スライダ81から離脱して、ペダルアーム20は確実に休止位置に戻る。
したがって、位置センサ70は、ペダルアーム20が休止位置に戻ったことを検出するため、運転者の戻し動作と連動して所望の制御を行うことができる。
上記のように、運転者は、車両を運転する前に、切換ユニットUを手動により操作して、アクセルペダル28aの反力を「重いモード」又は「軽いモード」のいずれかに選択的に切り換えることができる。
【0053】
上記実施形態においては、切換ユニットUが、回動部材50及び操作部材60により構成されているため、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、安価で、簡単な手動操作により軽重の二種類の踏力特性のいずれかを選択できるアクセルペダル装置を得ることができる。
また、ペダルアーム20は、上記作用状態において回動部材50が離脱しかつ上記非作用状態において副戻しバネ40の付勢力により回動部材50が当接する受け部25を含むため、非作用状態において回動部材50をペダルアーム20の回動に確実に追従させて回動させることができ、副戻しバネ40がペダルアーム20に対して付勢力を及ぼさない非作用状態を確実に設定することができる。
【0054】
上記実施形態においては、主戻しバネ30が伸縮コイルバネであり、副戻しバネ40がペダルアーム20の円筒部21の領域に配置される捩りコイルバネであり、可動部材が副戻しバネ40と同軸(軸線S)上において回動する回動部材50であるため、部品の集約化、小型化等を達成することができる。
特に、回動部材50の係合部55がハウジング10を通して外側に配置され、操作部材60がハウジング10の外側に往復動自在に保持されて、回動部材50の回動を規制又は規制を解除できるように形成されているため、切換ユニットUを、簡単な構造で安価に提供することができる。
【0055】
上記実施形態においては、回動部材50、副戻しバネ40、及び位置センサ70が、軸線Sを中心とする同軸上に配置されて部品が集約されているため、装置の小型化に寄与する。また、主戻しバネ30が、ペダルアーム20の円筒部21の近傍において上側アーム27寄りに配置されているため、切換ユニットU(回動部材50、副戻しバネ40)及び位置センサ70と併せて部品の集約化がなされ、装置全体としての小型化が達成される。
【0056】
図14及び
図15は、本発明の他の実施形態に係る切換ユニットU2を示すものであり、前述の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
この実施形態に係る切換ユニットU2は、回動部材150及び操作部材160を備えている。また、ハウジング10は、保持部11qに替えて保持部111qを備えている。
【0057】
保持部111qは、
図14及び
図15に示すように、開口部111dを覆う領域において第1ハウジング11の外壁に組み付けられており、操作部材160を挿入する矩形開口111q
1、操作部材160の位置決め溝163にスナップ係合する位置決め突起111q
2を備えている。
そして、保持部111qは、操作部161を露出させると共に操作部材160をハウジング10の外側から内側に貫通して軸線S方向に往復動自在に保持する。
【0058】
回動部材150は、鍔部51、嵌合穴52、掛止部53、当接部54、係合部155を備えている。
係合部155は、ハウジング10内に配置されて、軸線S方向に開口する係合穴として形成されている。
【0059】
操作部材160は、樹脂材料又は金属材料等を用いて略矩形の棒状に形成され、操作部161、規制部162、位置決め溝163を備えている。
操作部161は、車両の運転者等が指で掴めるように外部に露出して配置される。
規制部162は、係合部155の係合穴に嵌合するように形成されている。
位置決め溝163は、V字状の断面をなすと共に軸線Sに垂直な方向に伸長する直線溝として形成され、操作部材160の往復動方向において離隔して配置された第1位置決め溝163a及び第2位置決め溝163bを備えている。
【0060】
そして、
図15に示すように、操作部材160は、第1位置決め溝63aが保持部111qの位置決め突起111q
2と係合したとき、規制部162が係合部155に係合して、回動部材150の回動を規制する位置に位置決めされる。これにより、副戻しバネ40がペダルアーム20に対して付勢力を及ぼす作用状態が設定される。
一方、操作部材160は、第2位置決め溝163bが保持部111qの位置決め突起111q
2と係合したとき、規制部162が係合部155から離脱して、回動部材150の回動を許容する位置に位置決めされる。これにより、副戻しバネ40がペダルアーム20に対して付勢力を及ぼさない非作用状態が設定される。
【0061】
この実施形態においても、切換ユニットU2が、回動部材150及び操作部材160により構成されているため、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、安価で、簡単な手動操作により軽重の二種類の踏力特性のいずれかを選択できるアクセルペダル装置を得ることができる。
特に、回動部材150の係合部155がハウジング10の内側に配置され、操作部材160がハウジング10の外側から内側に貫通して往復動自在に保持されて、回動部材150の回動を規制又は規制を解除できるように形成されているため、切換ユニットU2を、簡単な構造で安価に提供することができる。
【0062】
上記実施形態においては、切換ユニットU,U2を構成する可動部材として、回動部材50,150を示し、副戻しバネとして捩りコイルバネをなす副戻しバネ40を示したが、これに限定されるものではなく、副戻しバネとして伸縮コイルバネを採用し、可動部材として直線的に往復移動するものを採用してもよい。
【0063】
上記実施形態においては、副戻しバネ40がペダルアーム20に対して付勢力を及ぼす作用状態と付勢力を及ぼさない非作用状態とを選択的に切り換える切換ユニットとして、手動操作により操作される操作部材60を採用した切換ユニットUを示したが、これに限定されるものではなく、操作部材60,160を移動させる電動の機構を設け、車両に搭載された切換スイッチ、例えばON/OFFボタンの簡単な操作により、二種類の踏力特性のいずれかに選択的に切り換える構成を採用してもよい。
【0064】
上記実施形態においては、主戻しバネとして、伸縮コイルバネの形態をなす主戻しバネ30を採用したが、これに限定されるものではなく、主戻しバネとして捩りコイルバネを採用してもよい。
【0065】
上記実施形態においては、アクセルペダルがペダルアーム20に一体的に形成されたアクセルペダル28aを示したが、これに限定されるものではなく、車両の床面に対して揺動自在に支持されたアクセルペダルを有するアクセルペダル装置において、本発明の切換ユニットを採用してもよい。
【0066】
以上述べたように、本発明のアクセルペダル装置は、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、安価で、簡単な操作により軽重の二種類の踏力特性のいずれかに選択的に切り換えることができるため、自動車等に適用できるのは勿論のこと、その他の車両等においても有用である。
【符号の説明】
【0067】
S 軸線
10 ハウジング
11e,11f 摺動面(内壁)
20 ペダルアーム
23 掛止溝(円筒部の一部)
25 受け部
21 円筒部
27 上側アーム
27b 上端部
28 下側アーム
28a アクセルペダル
30 主戻しバネ
40 副戻しバネ
42 第1端部
43 第2端部
U 切換ユニット
50 回動部材(可動部材、切換ユニット)
55 係合部
60 操作部材(切換ユニット)
62 規制部
70 位置センサ
80 ヒステリシス発生機構
81 第1スライダ
82 第2スライダ
83 付勢バネ
U2 切換ユニット
150 回動部材(可動部材、切換ユニット)
155 係合部
160 操作部材(切換ユニット)
162 規制部