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特開2022-44216新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防または治療剤および医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044216
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防または治療剤および医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20220310BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20220310BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20220310BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20220310BHJP
   A61K 31/41 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P31/12
A61K31/513
A61K31/44
A61K31/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149741
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】501280921
【氏名又は名称】インタープロテイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】特許業務法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛史
(72)【発明者】
【氏名】池田 健
(72)【発明者】
【氏名】松崎 尹雄
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZB331
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086BC42
4C086BC62
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】3CLproの阻害剤を有効成分として含有するCOVID-19の予防または治療剤および医薬組成物の提供。
【解決手段】ダサブビル誘導体もしくはその薬学的に許容される塩またはその溶媒和物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3CLproを阻害する活性を有する化合物を有効成分として含有する、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防または治療剤。
【請求項2】
前記化合物が、下記の一般式(I)で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはその溶媒和物である、請求項1に記載の予防または治療剤。
(式中、
は、炭素-炭素単結合および炭素-炭素二重結合からなる群から選択され;
は、水素、メチルおよび窒素保護基からなる群から選択され;
は、水素、ハロ、ヒドロキシ、メチル、シクロプロピルおよびシクロブチルからなる群から選択され;
は、水素、ハロ、オキソおよびメチルからなる群から選択され;
は、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、アジド、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボシクリルおよびヘテロシクリルからなる群から選択され、
(a)アミノ、アミノカルボニルおよびアミノスルホニルは、
(1)独立に、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルキルスルホニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基、または
(2)アミノ窒素と一緒になって単環ヘテロシクリルを形成する2つの置換基で場合に
よって置換されており、
(b)アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシおよびアルキルスルホニルは、独立に、ハロ、オキソ、ニトロ、シアノ、アジド、ヒドロキシ、アミノ、アルキルオキシ、トリメチルシリル、カルボシクリルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
アミノは、
(1)独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルオキシカルボニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基、または
(2)アミノ窒素と一緒になって単環ヘテロシクリルを形成する2つの置換基で場合によって置換されており、
(c)カルボシクリルおよびヘテロシクリルは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、オキソ、ニトロ、シアノ、アジド、ヒドロキシ、アミノ、アルキルオキシ、トリメチルシリル、カルボシクリルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される3つまでの置換基で場合によって置換されており、
アミノは、
(1)独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルオキシカルボニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基、または
-(2)アミノ窒素と一緒になって単環ヘテロシクリルを形成する2つの置換基で場合によって置換されており;
は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、カルボシクリルスルホニルオキシ、ハロアルキルスルホニルオキシおよびハロからなる群から選択され;
は、縮合2環カルボシクリルおよび縮合2環ヘテロシクリルからなる群から選択され、各当該置換基は、独立に、R、R、R、R、R、RおよびRからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており;
各Rは、独立に、ハロ、ニトロ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、シアノ、アミノ、イミノ、アジドおよびアルデヒドからなる群から選択され;
アミノは、独立に、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており;
各Rは、独立に、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択され;
各当該置換基は、独立に、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、イミノ、ニトロ、アジド、オキソ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、シアノおよびアミノカルボニルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
アミノ、イミノ、アミノスルホニル、アミノカルボニル、カルボシクリルおよびヘテロシクリルは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシおよびアルキルオキシからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており、
アルキルスルホニルアミノのアミノ部分は、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択される置換基で場合によって置換されており;
各Rは、独立に、カルボシクリルおよびヘテロシクリルからなる群から選択され、
各当該置換基は、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、ニトロ、アジド、オキソ、アミノスルホニル、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、シアノおよびアミノカルボニルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
アミノ、アミノスルホニルおよびアミノカルボニルは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニルおよびアルキニルスルホニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており;
各Rは、独立に、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、アルケニルスルホニルオキシおよびアルキニルスルホニルオキシからなる群から選択され、
各当該置換基は、独立に、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、ニトロ、アジド、オキソ、アミノスルホニル、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、シアノおよびアミノカルボニルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
アミノ、アミノスルホニルおよびアミノカルボニルは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニルおよびアルキニルスルホニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており;
各Rは、独立に、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルオキシカルボニル、カルボシクリルカルボニルおよびヘテロシクリルカルボニルからなる群から選択され、
(a)アルキルカルボニル、アルケニルカルボニルおよびアルキニルカルボニルは、独立に、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、ニトロ、アジド、オキソ、アミノスルホニル、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、シアノおよびアミノカルボニルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
(b)アミノカルボニルは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルキルスルホニルおよびアルキルスルホニルアミノからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており、
カルボシクリルおよびヘテロシクリルは、独立に、ハロ、アルキルおよびオキソからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており;
各Rは、独立に、カルボシクリルスルホニルアミノ、ヘテロシクリルスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アルキニルカルボニルアミノ、アルキルオキシカルボニルアミノ、アルケニルオキシカルボニルアミノ、アルキニルオキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アルケニルスルホニルアミノ、アルキニルスルホニルアミノ、アミノカルボニルアミノ、アルキルオキシカルボニルアミノイミノ、アルキルスルホニルアミノイミノ、アルケニルスルホニルアミノイミノおよび
アルキニルスルホニルアミノイミノからなる群から選択され、
(a)当該置換基のアミノ部分は、独立に、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニルアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシアルキルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシアルキルおよびアルキルスルホニルからなる群から選択される置換基で場合によって置換されており、
(1)カルボシクリルアルキルのカルボシクリル部分およびヘテロシクリルアルキルのヘテロシクリル部分は、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボキシ、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、アジド、オキソおよびアミノからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
(2)アミノカルボニルアルキルのアミノ部分は、独立に、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており、
(b)当該置換基のアルキル、アルケニルおよびアルキニル部分は、独立に、カルボキシ、ハロ、オキソ、アミノ、アルキルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ヒドロキシ、アルキルオキシ、カルボシクリル、ヘテロシクリルおよびシアノからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
アミノは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アルケニルオキシおよびアルキニルオキシからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており、
アルキルは、1つまたは複数のヒドロキシで場合によって置換されており、
(c)当該置換基のカルボシクリルおよびヘテロシクリル部分は、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボキシ、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、アジドおよびアミノからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
アミノは、独立に、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており;
各Rは、独立に、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニルおよびアルキニルスルホニルからなる群から選択され、
(a)アルキルスルホニル、アルケニルスルホニルおよびアルキニルスルホニルは、独立に、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、ニトロ、アジド、オキソ、アミノスルホニル、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、シアノおよびアミノカルボニルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
アミノ、アミノスルホニルおよびアミノカルボニルは、独立に、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており;
(b)アミノスルホニルは、独立に、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されている。)
【請求項3】
前記化合物が、下記の一般式(II)で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはその溶媒和物である、請求項1に記載の予防または治療剤。
一般式(II)
(式中、Rは一般式

または
で表される基、または
(iv)炭素数1~20の直鎖または分岐鎖のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を表す(式中のRおよびRはおのおの独立して、水素原子、ハロゲン原子、アラルキルオキシ基、または任意の1つ、2つまたは3つの炭素原子が酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、窒素原子、ベンゼン環、チオフェン環、炭素数4~7の炭素環、カルボニル基、カルボニルオキシ基、水酸基、カルボキシ基、アジド基、ニトロ基、で置き換えられていてもよい炭素数1~20の直鎖または分岐鎖のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を表す。)。
は、水素原子、または炭素数1~6の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。
は、水素原子、ハロゲン、水酸基、ニトロ基、一般式―COOR7(式中、R7は、水素原子または炭素数1~6の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。)で示される基、素数1~6の直鎖または分岐鎖のアルキル、アルコキシまたはアルキルチオ基を表す。
は、一般式―COOR8または-CH2COOR8(式中、R8は、水素原子または炭素数1~6の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。)で示される基、2-テトラゾリル基または2-テトラゾリルメチル基を表す。
記号Aは、単結合、または炭素数1~10の直鎖または分岐鎖のアルキル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ブタジエニレンまたはエチニレン基を表す。
記号
は、式


または
で示される環を表す。
記号Tは、酸素原子または硫黄原子を表す。)
【請求項4】
前記化合物が、下記の一般式(III)で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはその溶媒和物である、請求項1に記載の予防または治療剤。
A-D-B (III)
(式中、
Dは-NH-C(O)-NH-であり;
Aは式-L-(M-L1)qの炭素原子40までの置換分であって、ここでL
はDへ直接結合した5もしくは6員の環構造であり、L1は少なくとも5員の置換環状基を含み、Mは少なくとも1原子を有するブリッジ基であり、qは1~3の整数であり、そしてLおよびL1の環構造は窒素、酸素およびイオウよりなる群の0~4員を含有し;
Bは置換もしくは未置換の三環までのアリ-ルか、または窒素、酸素およびイオウよりなる群の0~4員を含有するDへ直結した少なくとも6員環構造を有する炭素原子30までのヘテロアリ-ル基であり;
ここでL1は-SO2Rx,-C(O)Rxおよび-C(NRy)Rzよりな
る群から選ばれた少なくとも一つの置換基によって置換されており;
Ryは水素か、または任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意にペルハロまでハロゲン置換された炭素原子24までの炭素系基であり;
Rzは水素か、または任意にハロゲン、ヒドロキシ、および任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意にペルハロまでハロゲンで置換された炭素原子24までの炭素系置換基で置換された任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有する炭素原子30までの炭素系基であり;
RxはRzであるか、またはNRaRbであり、ここでRaおよびRbは、
a)独立に、水素か、または任意にハロゲン、ヒドロキシ、および任意にN,S,Oから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意にハロゲンまたは-OSi(Rf)3で置換された炭素原子24までの炭素系置換基で置換された任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有する炭素原子30までの炭素系基であり、ここでRfは水素か、または任意にハロゲン、ヒドロキシおよび任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意にハロゲンで置換された炭素原子24までの炭素系置換基で置換された任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有する炭素原子24までの炭素系基であり、あるいは
b)RaおよびRbは一所でN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子1~3の
5ないし7員複素環を形成するか、またはハロゲン、ヒドロキシもしくは任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意にハロゲンで置換された炭素原子24までの炭素系置換基で置換されたN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子1~3の置換5ないし7員複素環を形成し、あるいは
c)RaおよびRbの一つは少なくとも5員の環状構造を形成するように基L
へ結合した-C(O)-,C1-C52価アルキレンまたは置換C1-C52価
アルキレンであって、置換C1-C52価アルキレンの置換基はハロゲン、ヒド
ロキシおよび任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意にハロゲンで置換された炭素原子24までの炭素系置換基からなる群から選ばれ;
Bが置換されている場合、Lが置換されているかまたはL1が追加的に置換されており、その置換基はペルハロまでのハロゲンおよびWn(nは1~0)よりなる群から選ばれ、
この場合めいめいのWは独立に-CN,-CO2R7,-C(O)NR7R7
,-C(O)R7,-NO2,-OR7,-SR7,-NR7R7,-NR7C(O)OR7,-NR7C(O)R7,-Q-Ar,および任意にN,Sおよび
Oから選ばれたヘテロ原子を含有しそして-CN,-CO2R7,-C(O)R
7,-C(O)NR7R7,-OR7,-SR7,-NR7R7,-NO2,-
NR7C(O)R7,-NR7C(O)OR7およびペルハロまでのハロゲンよ
りなる群から選ばれた1以上の置換基で任意に置換された炭素原子24までの炭素系基よりなる群から独立に選ばれ、ここで各R7はHまたは任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意にハロゲンで置換された炭素原子24までの炭素系基から独立に選ばれ、
ここでQは-O-,-S-,-N(R7)-,-(CH2)m-,-C(O)
-,-CH(OH)-,-(CH2)mO-,-(CH2)mS-,-(CH2)mN(R7)-,-O(CH2)m-,CHXa-,CXa2-,-S(CH2)m-,または-N(R7)(CH2)m-であり-(mは1~3およびXaはハロゲンである);そして
Arは窒素、酸素およびイオウよりなる群から選ばれたヘテロ原子0~2を含有し、そして任意にペルハロまでハロゲンで置換され、そして任意にZn1によって置換された5もしくは6員芳香族構造であって、ここでn1は0ないし3であり、各Zは-CN,-CO2R7,-C(O)R7,-C(O)NR7R7,-NO2,-OR7,-NR7R7,-NR7C(O)OR7,-NR7C(O)
R7および任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意に-CN,-CO2R7,-C(O)R7,-C(O)NR7R7,-OR7,-
SR7,-NO2,-NR7R7,-NR7C(O)R7および-NR7C(O
)OR7よりなる群から選ばれた1以上の置換基で置換された炭素原子24までの炭素系基よりなる群から独立に選ばれ、R7は上記定義のとおりである。)
【請求項5】
前記化合物が、下記化合物群から選ばれた化合物:
a)4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル尿素類
N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(3-(2-カルバモイル-4-ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(3-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素;
N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(4-(2-カルバモイル-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素;
N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素;
N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(2-クロロ-4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル)尿素;および
N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(2-フルオロ-4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル)尿素
b)4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)フェニル尿素類
N-(4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(3-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素;
N-(4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素;
N-(4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(3-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルチオ)フェニル尿素;
N-(4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(2-クロロ-4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素;および
N-(4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(3-クロロ-4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素
c)2-メトキシ-4-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル尿素類
N-(2-メトキシ-4-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル-N’-(4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素;
N-(2-メトキシ-4-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル-N’-(2-クロロ-4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素
もしくはその薬学的に許容される塩またはその溶媒和物である、請求項1に記載の予防または治療剤。
【請求項6】
前記式(I)で表される化合物が、ダサブビルである、請求項2に記載の予防または治療剤。
【請求項7】
前記式(II)で表される化合物が、プランルカストである、請求項3に記載の予防または治療剤。
【請求項8】
前記式(III)で表される化合物が、レゴラフェニブである、請求項4または5に記載の予防または治療剤。
【請求項9】
エルダフィチニブ、アプレピタント、ボラパクサール、ザヌブルチニブ、ベトリキサバン、アムサクリンおよびエルビテグラビル、トスフロキサシン、メクリジン、パルボシクリブ、フルバスタチン、ダサブビル、プランルカスト、およびレゴラフェニブからなる群から選択される少なくとも2種以上の化合物を含有する、請求項1に記載の予防または治療剤。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の予防または治療剤および薬学的に許容される担体を含む、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防または治療用医薬組成物。











【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロナウイルス特有のプロテア-ゼ(3-chymotrypsin-like protease;3CLpro)を阻害する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防または治療剤および医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2019年の年末に現われた新興感染症である。COVID-19は、疫学的には重症急性呼吸器症候群(SARS:severe acute respiratory syndrome)とも、また新型インフルエンザともまったく異なり、多くの感染者が無症候・軽症であり、すべての感染連鎖を見つけることはほぼ不可能である。
【0003】
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の病原体として特定されている。
【0004】
3CLproは、細胞内複製に関与する新規コロナウイルス(SARS-CoV-2)の主要プロテア-ゼであることが知られており、該プロテア-ゼはウイルスのライフサイクルでの重要な機能を示すだけでなく、コロナウイルス肺炎の症状を引き起こす原因となっている。よって、SARS-CoV-2 が持つプロテア-ゼ3CLproは、コロナウイルス肺炎の治療の有効な薬剤タ-ゲットと考えられるが、コロナウイルス肺炎の有効な予防または治療剤の開発には至っていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来法では、コロナウイルス肺炎を十分に予防および/ または治療することができなかったため、コロナウイルス肺炎を有効に治療することができる新たな方法が望まれていた。そこで、本発明では、3CLproを阻害するCOVID-19の予防または治療剤および医薬組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、複数の含窒素複素環を有する化合物がSARS-CoV-2 のプロテア-ゼ(3CLpro)を抑制することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、下記記載の発明を提供することにより、上記課題を解決したものである。
[1]
3CLproを阻害する活性を有する化合物を有効成分として含有する、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防または治療剤。
[2]
前記化合物が、下記の一般式(I)で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはその溶媒和物である、[1]に記載の予防または治療剤。
(式中、
は、炭素-炭素単結合および炭素-炭素二重結合からなる群から選択され;
は、水素、メチルおよび窒素保護基からなる群から選択され;
は、水素、ハロ、ヒドロキシ、メチル、シクロプロピルおよびシクロブチルからなる群から選択され;
は、水素、ハロ、オキソおよびメチルからなる群から選択され;
は、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、アジド、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボシクリルおよびヘテロシクリルからなる群から選択され、
(a)アミノ、アミノカルボニルおよびアミノスルホニルは、
(1)独立に、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルキルスルホニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基、または
(2)アミノ窒素と一緒になって単環ヘテロシクリルを形成する2つの置換基で場合に
よって置換されており、
(b)アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシおよびアルキルスルホニルは、独立に、ハロ、オキソ、ニトロ、シアノ、アジド、ヒドロキシ、アミノ、アルキルオキシ、トリメチルシリル、カルボシクリルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
アミノは、
(1)独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルオキシカルボニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基、または
(2)アミノ窒素と一緒になって単環ヘテロシクリルを形成する2つの置換基で場合によって置換されており、
(c)カルボシクリルおよびヘテロシクリルは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、オキソ、ニトロ、シアノ、アジド、ヒドロキシ、アミノ、アルキルオキシ、トリメチルシリル、カルボシクリルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される3つまでの置換基で場合によって置換されており、
アミノは、
(1)独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルオキシカルボニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基、または
-(2)アミノ窒素と一緒になって単環ヘテロシクリルを形成する2つの置換基で場合によって置換されており;
は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、カルボシクリルスルホニルオキシ、ハロアルキルスルホニルオキシおよびハロからなる群から選択され;
は、縮合2環カルボシクリルおよび縮合2環ヘテロシクリルからなる群から選択され、各当該置換基は、独立に、R、R、R、R、R、RおよびRからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており;
各Rは、独立に、ハロ、ニトロ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、シアノ、アミノ、イミノ、アジドおよびアルデヒドからなる群から選択され;
アミノは、独立に、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており;
各Rは、独立に、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択され;
各当該置換基は、独立に、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、イミノ、ニトロ、アジド、オキソ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、シアノおよびアミノカルボニルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
アミノ、イミノ、アミノスルホニル、アミノカルボニル、カルボシクリルおよびヘテロシクリルは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシおよびアルキルオキシからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており、
アルキルスルホニルアミノのアミノ部分は、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択される置換基で場合によって置換されており;
各Rは、独立に、カルボシクリルおよびヘテロシクリルからなる群から選択され、
各当該置換基は、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、ニトロ、アジド、オキソ、アミノスルホニル、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、シアノおよびアミノカルボニルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
アミノ、アミノスルホニルおよびアミノカルボニルは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニルおよびアルキニルスルホニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており;
各Rは、独立に、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、アルケニルスルホニルオキシおよびアルキニルスルホニルオキシからなる群から選択され、
各当該置換基は、独立に、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、ニトロ、アジド、オキソ、アミノスルホニル、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、シアノおよびアミノカルボニルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
アミノ、アミノスルホニルおよびアミノカルボニルは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニルおよびアルキニルスルホニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており;
各Rは、独立に、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルオキシカルボニル、カルボシクリルカルボニルおよびヘテロシクリルカルボニルからなる群から選択され、
(a)アルキルカルボニル、アルケニルカルボニルおよびアルキニルカルボニルは、独立に、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、ニトロ、アジド、オキソ、アミノスルホニル、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、シアノおよびアミノカルボニルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
(b)アミノカルボニルは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルキルスルホニルおよびアルキルスルホニルアミノからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており、
カルボシクリルおよびヘテロシクリルは、独立に、ハロ、アルキルおよびオキソからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており;
各Rは、独立に、カルボシクリルスルホニルアミノ、ヘテロシクリルスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アルキニルカルボニルアミノ、アルキルオキシカルボニルアミノ、アルケニルオキシカルボニルアミノ、アルキニルオキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アルケニルスルホニルアミノ、アルキニルスルホニルアミノ、アミノカルボニルアミノ、アルキルオキシカルボニルアミノイミノ、アルキルスルホニルアミノイミノ、アルケニルスルホニルアミノイミノおよび
アルキニルスルホニルアミノイミノからなる群から選択され、
(a)当該置換基のアミノ部分は、独立に、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニルアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシアルキルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシアルキルおよびアルキルスルホニルからなる群から選択される置換基で場合によって置換されており、
(1)カルボシクリルアルキルのカルボシクリル部分およびヘテロシクリルアルキルのヘテロシクリル部分は、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボキシ、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、アジド、オキソおよびアミノからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
(2)アミノカルボニルアルキルのアミノ部分は、独立に、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており、
(b)当該置換基のアルキル、アルケニルおよびアルキニル部分は、独立に、カルボキシ、ハロ、オキソ、アミノ、アルキルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ヒドロキシ、アルキルオキシ、カルボシクリル、ヘテロシクリルおよびシアノからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
アミノは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アルケニルオキシおよびアルキニルオキシからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており、
アルキルは、1つまたは複数のヒドロキシで場合によって置換されており、
(c)当該置換基のカルボシクリルおよびヘテロシクリル部分は、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボキシ、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、アジドおよびアミノからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
アミノは、独立に、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており;
各Rは、独立に、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニルおよびアルキニルスルホニルからなる群から選択され、
(a)アルキルスルホニル、アルケニルスルホニルおよびアルキニルスルホニルは、独立に、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、ニトロ、アジド、オキソ、アミノスルホニル、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、シアノおよびアミノカルボニルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されており、
アミノ、アミノスルホニルおよびアミノカルボニルは、独立に、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されており;
(b)アミノスルホニルは、独立に、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で場合によって置換されている。)
[3]
前記化合物が、下記の一般式(II)で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはその溶媒和物である、[1]に記載の予防または治療剤。
一般式(II)
(式中、Rは一般式


または
で表される基、または
(iv)炭素数1~20の直鎖または分岐鎖のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を表す(式中のRおよびRはおのおの独立して、水素原子、ハロゲン原子、アラルキルオキシ基、または任意の1つ、2つまたは3つの炭素原子が酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、窒素原子、ベンゼン環、チオフェン環、炭素数4~7の炭素環、カルボニル基、カルボニルオキシ基、水酸基、カルボキシ基、アジド基、ニトロ基、で置き換えられていてもよい炭素数1~20の直鎖または分岐鎖のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を表す。)。
は、水素原子、または炭素数1~6の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。
は、水素原子、ハロゲン、水酸基、ニトロ基、一般式―COOR7(式中、R7は、水素原子または炭素数1~6の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。)で示される基、素数1~6の直鎖または分岐鎖のアルキル、アルコキシまたはアルキルチオ基を表す。
は、一般式―COOR8または-CH2COOR8(式中、R8は、水素原子または炭素数1~6の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。)で示される基、2-テトラゾリル基または2-テトラゾリルメチル基を表す。
記号Aは、単結合、または炭素数1~10の直鎖または分岐鎖のアルキル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ブタジエニレンまたはエチニレン基を表す。
記号
は、式


または
で示される環を表す。
記号Tは、酸素原子または硫黄原子を表す。)
[4]
前記化合物が、下記の一般式(III)で表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはその溶媒和物である、[1]に記載の予防または治療剤。
A-D-B (III)
(式中、
Dは-NH-C(O)-NH-であり;
Aは式-L-(M-L1)qの炭素原子40までの置換分であって、ここでL
はDへ直接結合した5もしくは6員の環構造であり、L1は少なくとも5員の置換環状基を含み、Mは少なくとも1原子を有するブリッジ基であり、qは1~3の整数であり、そしてLおよびL1の環構造は窒素、酸素およびイオウよりなる群の0~4員を含有し;
Bは置換もしくは未置換の三環までのアリ-ルか、または窒素、酸素およびイオウよりなる群の0~4員を含有するDへ直結した少なくとも6員環構造を有する炭素原子30までのヘテロアリ-ル基であり;
ここでL1は-SO2Rx,-C(O)Rxおよび-C(NRy)Rzよりな
る群から選ばれた少なくとも一つの置換基によって置換されており;
Ryは水素か、または任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意にペルハロまでハロゲン置換された炭素原子24までの炭素系基であり;
Rzは水素か、または任意にハロゲン、ヒドロキシ、および任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意にペルハロまでハロゲンで置換された炭素原子24までの炭素系置換基で置換された任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有する炭素原子30までの炭素系基であり;
RxはRzであるか、またはNRaRbであり、ここでRaおよびRbは、
a)独立に、水素か、または任意にハロゲン、ヒドロキシ、および任意にN,S,Oから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意にハロゲンまたは-OSi(Rf)3で置換された炭素原子24までの炭素系置換基で置換された任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有する炭素原子30までの炭素系基であり、ここでRfは水素か、または任意にハロゲン、ヒドロキシおよび任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意にハロゲンで置換された炭素原子24までの炭素系置換基で置換された任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有する炭素原子24までの炭素系基であり、あるいは
b)RaおよびRbは一所でN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子1~3の
5ないし7員複素環を形成するか、またはハロゲン、ヒドロキシもしくは任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意にハロゲンで置換された炭素原子24までの炭素系置換基で置換されたN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子1~3の置換5ないし7員複素環を形成し、あるいは
c)RaおよびRbの一つは少なくとも5員の環状構造を形成するように基L
へ結合した-C(O)-,C1-C52価アルキレンまたは置換C1-C52価
アルキレンであって、置換C1-C52価アルキレンの置換基はハロゲン、ヒド
ロキシおよび任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意にハロゲンで置換された炭素原子24までの炭素系置換基からなる群から選ばれ;
Bが置換されている場合、Lが置換されているかまたはL1が追加的に置換されており、その置換基はペルハロまでのハロゲンおよびWn(nは1~0)よりなる群から選ばれ、
この場合めいめいのWは独立に-CN,-CO2R7,-C(O)NR7R7
,-C(O)R7,-NO2,-OR7,-SR7,-NR7R7,-NR7C(O)OR7,-NR7C(O)R7,-Q-Ar,および任意にN,Sおよび
Oから選ばれたヘテロ原子を含有しそして-CN,-CO2R7,-C(O)R
7,-C(O)NR7R7,-OR7,-SR7,-NR7R7,-NO2,-
NR7C(O)R7,-NR7C(O)OR7およびペルハロまでのハロゲンよ
りなる群から選ばれた1以上の置換基で任意に置換された炭素原子24までの炭素系基よりなる群から独立に選ばれ、ここで各R7はHまたは任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意にハロゲンで置換された炭素原子24までの炭素系基から独立に選ばれ、
ここでQは-O-,-S-,-N(R7)-,-(CH2)m-,-C(O)
-,-CH(OH)-,-(CH2)mO-,-(CH2)mS-,-(CH2)mN(R7)-,-O(CH2)m-,CHXa-,CXa2-,-S(CH2)m-,または-N(R7)(CH2)m-であり-(mは1~3およびXaはハロゲンである);そして
Arは窒素、酸素およびイオウよりなる群から選ばれたヘテロ原子0~2を含有し、そして任意にペルハロまでハロゲンで置換され、そして任意にZn1によって置換された5もしくは6員芳香族構造であって、ここでn1は0ないし3であり、各Zは-CN,-CO2R7,-C(O)R7,-C(O)NR7R7,-NO2,-OR7,-NR7R7,-NR7C(O)OR7,-NR7C(O)
R7および任意にN,SおよびOから選ばれたヘテロ原子を含有しそして任意に-CN,-CO2R7,-C(O)R7,-C(O)NR7R7,-OR7,-
SR7,-NO2,-NR7R7,-NR7C(O)R7および-NR7C(O
)OR7よりなる群から選ばれた1以上の置換基で置換された炭素原子24までの炭素系基よりなる群から独立に選ばれ、R7は上記定義のとおりである。)
[5]
前記化合物が、下記化合物群から選ばれた化合物:
a)4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル尿素類
N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(3-(2-カルバモイル-4-ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(3-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素;
N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(4-(2-カルバモイル-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素;
N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素;
N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(2-クロロ-4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル)尿素;および
N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(2-フルオロ-4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル)尿素
b)4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)フェニル尿素類
N-(4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(3-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素;
N-(4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素;
N-(4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(3-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルチオ)フェニル尿素;
N-(4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(2-クロロ-4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素;および
N-(4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-N’-(3-クロロ-4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素
c)2-メトキシ-4-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル尿素類
N-(2-メトキシ-4-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル-N’-(4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素;
N-(2-メトキシ-4-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル-N’-(2-クロロ-4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)フェニル尿素
もしくはその薬学的に許容される塩またはその溶媒和物である、[1]
に記載の予防または治療剤。
[6]
前記式(I)で表される化合物が、ダサブビルである、[2]
に記載の予防または治療剤。
[7]
前記式(II)で表される化合物が、プランルカストである、[3]に記載の予防または治療剤。
[8]
前記式(III)で表される化合物が、レゴラフェニブである、[4]または[5]
に記載の予防または治療剤。
[9]
エルダフィチニブ、アプレピタント、ボラパクサール、ザヌブルチニブ、ベトリキサバン、アムサクリンおよびエルビテグラビル、トスフロキサシン、メクリジン、パルボシクリブ、フルバスタチン、ダサブビル、プランルカスト、およびレゴラフェニブからなる群から選択される少なくとも2種以上の化合物を含有する、[1]に記載の予防または治療剤。
[10]
[1]~[9]のいずれかに記載の予防または治療剤および薬学的に許容される担体を含む、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防または治療用医薬組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の阻害剤を用いることにより、3CLproを特異的に抑制することができ、それによってSARS-CoV-2の複製を阻害することができる。本発明の阻害剤は、COVID-19の予防または治療剤として用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
特に言及しない限り、本明細書および特許請求の範囲で用いた用語は、以下に述べる意味を有する。
【0011】
本発明の3CLproの阻害剤は、SARS-CoV-2を含む種々のコロナウイルスが宿主細胞内で複製する際に必須の蛋白質分解酵素の一つである3CLproに結合し、その活性を抑制することによりコロナウイルスの複製を阻害し、コロナウイルスによって生じる肺炎、敗血症および多臓器不全などの症状を予防または改善することが期待される薬剤である。
【0012】
本発明で使用する前記化合物は遊離形態であってもよく、塩の形態であってもよく、溶媒和物の形態であってもよく、または修飾もしくは誘導体化されていてもよい。
【0013】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩およびカルシウム塩等)、アンモニウム塩、モノ-、ジ-またはトリ-低級(アルキルまたはヒドロキシアルキル)アンモニウム塩(例えば、エタノ-ルアンモニウム塩、ジエタノ-ルアンモニウム塩、トリエタノ-ルアンモニウム塩、トロメタミン塩)、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝 酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、メシチレンスルホン酸塩およびナフタレンスルホン酸塩等が挙げられる。また、塩は、無水物、または溶媒和物であってもよく、溶媒和物としては、水和物、メタノ-ル和物、エタノ-ル和物、プロパノ-ル和物および2-プロパノ-ル和物等が挙げられる。
【0014】
上記式(I)~(III)で表される化合物は、ラセミ体であってもよく、純粋なエナンチオマ-であってもよい。
【0015】
上記式(I)で表される化合物は、ダサブビル(Dasabuvir)であってもよい。ダサブビルは、N-{6-[5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ピリミジニル)-2-メトキシ-3-(2-メチル-2-プロパニル)フェニル]-2-ナフチル}メタンスルホンアミドの国際一般名(INN)であり、下記式(1)で表される化学構造を有する化合物である。また、下記式(1)の化合物のCAS番号は、11132935-63-7である。
【0016】
上記式(II)で表される化合物は、プランルカスト(Pranlukast)であってもよい。プランルカストは、N-[4-オキソ-2-(1H-テトラゾ-ル-5-イル)-4H-クロメン-7-イル]-4-(4-フェニルブトキシ)ベンズアミドの国際一般名(INN)であり、下記式(2)で表される化学構造を有する化合物である。また、下記式(2)の化合物のCAS番号は、103177-37-3である。
【0017】
上記式(III)で表される化合物は、レゴラフェニブ(Regorafenib)であってもよい。レゴラフェニブは、4-[4-({[4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]カルバモイル}アミノ)-3-フルオロフェノキシ]-N-メチルピリジン-2-カルボキサミド水和物の国際一般名(INN)であり、下記式(3)で表される化学構造を有する化合物である。また、下記式(3)の化合物のCAS番号は、755037-03-7である。
【0018】
本発明の一実施態様において、本発明は、上記の3CLproを阻害する活性を有する化合物を有効成分として含有する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防または治療剤および薬学的に許容される担体を含む、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防または治療用の医薬組成物を提供する。
【0019】
本発明の3CLproの阻害剤または薬学的に許容される塩は、そのままCOVID-19の予防または治療剤のための薬剤として用いてもよく、または医薬上許容される担体または賦形剤を用いて、当業者に公知の方法により様々な剤形に処方してもよい。使用する担体または賦形剤は当業者に公知であり、適宜選択することができる。本発明の薬剤は、当業者に公知の手段・方法を用い製造することができる。本発明の薬剤の調製に際し、増粘剤、吸収促進剤、pH調整剤、保存剤、分散剤、湿潤剤、安定剤、防腐剤、懸濁剤、界面活性剤等の医薬上許容される添加剤を用いてもよい。
【0020】
本発明のCOVID-19の予防または治療剤の剤形は特に限定されず、予防または治療すべき患者の状態等に応じて適宜選択することができる。本発明のCOVID-19の予防または治療剤は液状、半固形、固形のいずれであってもよい。本発明のCOVID-19の予防または治療剤の剤形の例としては、注射剤、輸液剤、点鼻剤、点眼剤、ロ-ション剤、スプレ-剤、クリ-ム剤、ゲル剤、軟膏剤、座剤、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、シロップ剤、エアロゾ-ル剤、経皮剤、経粘膜剤、吸入剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。あるいは本発明の薬剤は、投与時に生理食塩水やリン酸緩衝生理食塩水などの医薬上許容される担体に懸濁される凍結乾燥品の形態であってもよい。
【0021】
本発明のCOVID-19の予防または治療剤の投与経路も特に限定されず、予防または治療すべき患者の状態等に応じて適宜選択することができる。本発明の薬剤の投与経路の例としては、皮下注射、皮内注射、静脈注射、点滴、経口投与、経粘膜投与、経腸投与、点眼、点鼻、点耳、吸入、経皮投与などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本発明のCOVID-19の予防または治療剤の用量は、予防または治療すべき患者の状態等応じて医師が適宜用量を決定することができる。
【0023】
本発明の一実施態様において、3CLproの阻害剤を他の薬剤と併用することを特徴する、COVID-19の予防または治療剤を提供する。他の薬剤に関し、薬物代謝酵素の阻害および/または誘導等によって各化合物の曝露量が大きく変化し、有効性および/または安全性に影響を及ぼす場合を除いて、3CLpro阻害作用を示す薬剤、その他の機序でSARS-CoV-2cの侵入・複製・遊離等を阻害する薬剤、種々の作用機序によってヒトの抗作用を誘導および/または増強する薬剤等の様々な薬剤との併用が可能である。他の薬剤としては、例えば、プロテア-ゼ合成阻害薬であり抗HIV薬であるカレトラ(ロピナビル・リトナビル)、RNA依存性RNAポリメラ-ゼ阻害薬であり新型インフルエンザ薬であるアビガン(ファビピラビル)、吸入ステロイド薬であるオルベスコ(シクレソニド)、セリンプロテア-ゼ阻害薬であるナファモスタットおよびカモスタット、ウイルスのRNAポリメラ-ゼ阻害薬であるレムデシビル、抗マラリア薬であるクロロキン、クレオシドのグアノシンアナログでありウイルスのRNA合成阻害薬であるリバビリンヌならびにインタ-フェロン等が例示される。
【0024】
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、実施例は本発明の範囲を限定するものと解してはならない。
【実施例0025】
阻害活性の評価方法
インタ-プロテイン株式会社が独自に開発した低分子化合物用の活性予測システムであるAI-guided INTENDD(登録商標)を用いて、各化合物の予測活性を8クラス(クラス0~7)に選別した。各クラスの活性範囲は次の通りである;クラス0=0.1ナノモル/L以上1ナノモル/L未満、クラス1=1ナノモル/L以上10ナノモル/L未満、クラス2=10ナノモル/L以上100ナノモル/L未満、クラス3=100ナノモル/L以上1マイクロモル/L未満、クラス4=1マイクロモル/L以上10マイクロモル/L未満、クラス5=10マイクロモル/L以上100マイクロモル/L未満、クラス6=100マイクロモル/L以上1ミリモル/L未満、クラス7=1ミリモル/L以上10ミリモル/L未満)
【0026】
AI-guided INTENDDとは、標的蛋白質とそれに結合した既存低分子化合物のX線結晶構造情報(独自の前処理を施した原子レベルの3次元情報を含む。)および活性を機械学習(深層学習)させた後、活性未知の低分子化合物の結合ポ-ズを予測した上でその化合物の活性を予測するシステムである。本発明の化合物である、ダサブビル(Dasabuvir)、プランルカスト(Pranlukast)、およびレゴラフェニブ(Regorafenib)に対する予測活性を下記の表に示す。
【0027】
ai score:AI-guided INTENDDにおいて、予測確度を示す独自の指標であり、低値に対して高値の方が、予測精度がより高いことを示す。
predicted class:予測活性クラスを示す。
docking score:汎用ソフトウェアを用い、標的化合物と低分子化合物との結合強度を結合自由エネルギ-(主にエンタルピ-;enthalpy)を基に計算した際のスコアである。低値の方が、結合強度が強いことを示す。
【0028】
COVID-19の予防または治療剤となるための3CLproの阻害剤の選択基準として、AI-guided INTENDDによる活性予測において、100マイクロモル/L未満のKD値で3CLproへの結合が期待される化合物を、既にFDAによって薬剤として承認されている化合物の中から選定した。