(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044240
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】シート圧着綴じ処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20220310BHJP
B42B 5/00 20060101ALI20220310BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
B42B5/00
B65H37/04 D
G03G15/00 431
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149773
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】清水 達矢
(72)【発明者】
【氏名】清水 大樹
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072AA25
2H072FA05
2H072FB10
2H072GA08
2H072JA02
2H072JA04
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
3F108HA32
3F108HA45
(57)【要約】 (修正有)
【課題】圧着綴じ手段で綴じ処理を行う際に、シートジャムの発生の少ない圧着綴じ処理装置を提供する。
【解決手段】シート所定の方向に搬送する搬送経路と、搬送されてきたシートを載置する載置部と、載置部の下流側に設けられる積載部と、載置部から積載部へシートを排出する手段と、載置部の載置位置に載置されたシートを搬送方向と直交する方向に移動するシフト手段と、シフト手段によって直交する方向に移動したシートに圧着綴じ処理を施す圧着綴じ手段と、載置部に送られるシートの枚数情報を認識する認識手段と、載置部にシートが一枚載置されるごとに圧着綴じ位置に移動させ、圧着綴じ位置にシートが所定の綴じ処理可能枚数が移動された状態において、載置部に搬送される後続シートはシフト手段による圧着綴じ位置への移動をキャンセルする制御手段とを備えるシート圧着綴じ処理装置。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを所定の搬送方向に搬送する搬送経路と、
前記搬送経路から搬送されてきたシートを載置する載置部と、
前記載置部の前記搬送方向下流側に設けられる積載部と、
前記載置部から前記積載部へシートを排出する排出手段と、
前記載置部の載置位置に載置されたシートをシート面に沿った前記搬送方向と直交する方向に移動するシフト手段と、
前記シフト手段によって前記直交する方向に移動した圧着綴じ位置に位置するシートに圧着綴じ処理を施す圧着綴じ手段と、
前記載置部に送られるシートの枚数情報を認識する認識手段と、
前記載置部にシートが一枚載置されるごとに前記圧着綴じ位置に移動させ、前記圧着綴じ位置にシートが所定の綴じ処理可能最大枚数が移動された状態において、前記認識手段によってさらに後続シートがあることを認識した場合、前記シフト手段によって前記圧着綴じ位置に位置するシートを前記載置位置に移動したのちに前記排出手段によって前記積載部へと排出し、前記載置部に搬送される前記後続シートは前記シフト手段による前記圧着綴じ位置への移動をキャンセルする制御手段と、
を備えるシート圧着綴じ処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記圧着綴じ位置に位置するシートが所定の綴じ処理可能最大枚数以内であるときは、前記圧着綴じ位置に位置するシート束を前記搬送方向に所定量移動させたのちに圧着綴じ処理を施す請求項1に記載のシート圧着綴じ処理装置。
【請求項3】
前記載置部の前記載置位置に近い位置に、シートに針綴じ処理を施すステープラを備え、前記ステープラよりも前記載置位置から離れた位置に前記圧着綴じ手段を配置する請求項1に記載のシート圧着綴じ処理装置。
【請求項4】
前記請求項1乃至3の何れか一項に記載のシート圧着綴じ処理装置を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置で画像形成されたシートを部揃え集積して圧着綴じ処理するシート束綴じ処理装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に画像形成装置で画像形成されたシートを処理トレイ上に部揃え集積して綴じ処理する後処理装置(フィニッシャ)は広く知られている。そして綴じ処理方法としてはステープル針で綴じ処理するステープラ装置、重ね合わせたシートをプレス変形させて結束する圧着綴じ装置などが知られている。
【0003】
特許文献1には画像形成装置の排紙口に連設され、画像形成済みシートを搬入経路から処理トレイに搬入して集積し、この処理トレイで圧着綴じ装置による綴じ処理を行った後に下流側のスタックトレイに収納する装置が開示されている。そして同文献には、排紙経路から処理トレイに送られて集積されたシート束を排紙方向後端部を突き当て規制して位置決めし、シート幅方向における整合動作を行ったうえで、シート束を幅方向にシフトして圧着綴じ処理を施すことで、シート束のずれを少なくした装置が開示されている。
【0004】
また、圧着綴じ装置は、凸溝と凹溝を有する上下一対の加圧面を有するバインダ機構でシート相互を加圧変形させて繊維を絡ませることで結束しており、構造上、小さなモータ等の駆動源で大きな加圧力を必要とするため、圧着綴じ手段の加圧面の間の高さ(間口)も小さく設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように画像形成装置で画像形成したシートを後処理装置で束状に集積して綴じ処理した後にスタックトレイに収納する後処理機構は広く知られている。そして、処理トレイに集積したシート束を圧着綴じ処理する装置(例えば特許文献1)が知られている
【0007】
近年、圧着綴じ装置の改良により、一度に圧着綴じ可能な最大枚数は増加してきており、特許文献1に開示される束シフト動作を多数枚束に対して実施すると、束内でシートがずれてしまったり、整合部材のシフト機能では駆動力が不足する可能性がある。また、前述のように圧着綴じの間口は狭く、厚みやふくらみのあるシート束を綴じ間口に入れようとすると、シートが引っかかってしまう可能性がある。
【0008】
そこで、特許文献1の針ステープラでの綴じ処理で用いられるような、シートが処理トレイに排出されるごと(1枚排出されるごと)に綴じ位置にシフトする動作を取る必要があるが、針ステープラが処理トレイに排出されるシート枚数をカバーできるのに対し、針ステープラよりも綴じ処理可能な枚数の少ない圧着綴じ処理装置では、圧着綴じ処理可能な枚数を超えてしまうことがあり、装置ジャムの発生を抑えるために、針ステープラと異なる制御が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明のシート圧着綴じ処理装置は、シートを所定の搬送方向に搬送する搬送経路と、前記搬送経路から搬送されてきたシートを載置する載置部と、前記載置部の前記搬送方向下流側に設けられる積載部と、前記載置部から前記積載部へシートを排出する排出手段と、前記載置部の載置位置に載置されたシートをシート面に沿った前記搬送方向と直交する方向に移動するシフト手段と、前記シフト手段によって前記直交する方向に移動した圧着綴じ位置に位置するシートに圧着綴じ処理を施す圧着綴じ手段と、前記載置部に送られるシートの枚数情報を認識する認識手段と、前記載置部にシートが一枚載置されるごとに前記圧着綴じ位置に移動させ、前記圧着綴じ位置にシートが所定の綴じ処理可能枚数が移動された状態において、前記認識手段によってさらに後続シートがあることを認識した場合、前記シフト手段によって前記圧着綴じ位置に位置するシートを前記載置位置に移動したのちに前記排出手段によって前記積載部へと排出し、前記載置部に搬送される前記後続シートは前記シフト手段による前記圧着綴じ位置への移動をキャンセルする制御手段を備えるシート圧着綴じ処理装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、処理トレイ上に排出されたシートを圧着綴じ位置にシフトしながら一枚ずつ集積して、圧着綴じ位置にシートを送り込むとともに、圧着綴じ処理可能な枚数を超えた場合には綴じ位置へのシフト動作をキャンセルすることで、装置ジャムの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係わる画像形成システムの全体構成の説明図。
【
図2】
図1の画像形成システムに於ける後処理装置の全体構成を示す斜視説明図。
【
図3】
図2の装置の側面断面図(装置フロント側)。
【
図4】
図2の装置におけるシート搬入機構の説明図であり、(a)はパドル回転体が待機位置にある状態を示し、(b)は係合位置にある状態を示す。
【
図5】
図2の装置における各エリアと整合位置との配置関係を示す説明図。
【
図6】
図2の装置におけるサイド整合手段の構成説明図。
【
図8】ステープラユニットの綴じ位置を示す説明図。
【
図9】ステープラユニットのマルチ綴じと左コーナ綴じの説明図。
【
図10】ステープラの綴じ位置での状態を示し、(a)は右コーナ綴位置の状態を、(b)は針装填位置の状態を、(c)はマニュアル綴じ位置の状態を示す。
【
図11】
図2の装置におけるシート束搬出機構の説明図であり、(a)は待機状態を示し、(b)は引継搬送状態を示し、(c)は第2搬送部材の構造を示し、(d)はスタックトレイへ排出した状態を示す。
【
図12】(a)乃至(d)はシート束の綴じ処理方法。
【
図13】(a)はステープラユニットの構成説明図であり、(b)はプレスバインドユニットの構成説明図。
【
図14】
図2の装置におけるスタックトレイの構成説明図。
【
図15】
図2の装置におけるペーパーガイド機構の説明図であり、(a)はガイドが退避した状態を示し、(b)はガイドが係合した状態を示す。
【
図17】エコ綴じジョブにおける動作のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書中において「シート束のオフセット搬送」とは、排紙口から搬入されたシートを、シート搬送方向とは直交(又は交差)する方向にシート束を位置移動(幅寄せ移動)することを云い、「オフセット量とは」その移動量を云う。また、「シート束の整合」とは、排紙口から搬入されたシートを基準(センタ基準または片側基準)に従って異なるサイズシートを位置合わせすることを云う。従って「シートを整合した後、オフセットする」とは、異なるサイズのシートを基準に位置合わせしたのち、シートの搬送方向と直交する方向にシート全体を位置移動することを意味する。
【0013】
以下図示の好適な実施の形態に従って本発明を詳述する。本発明は後述する画像形成システムなどにおいて画像形成され部揃え集積されたシート束を綴じ処理するシート束綴じ処理機構に関する。
図1に示す画像形成システムは画像形成ユニットAと、画像読取ユニットCと後処理ユニットBで構成される。そして原稿画像を画像読取ユニットCで読み取り、その画像データに基づいて画像形成ユニットAでシート上に画像を形成する。そして画像形成されたシートを、後処理ユニットB(シート束綴じ処理装置;以下同様)で部揃え集積して綴じ処理を施し、下流側のスタックトレイ25に収納する。
【0014】
後述する後処理ユニットBは、画像形成ユニットAのハウジングに形成された排紙空間(スタックトレイ空間)15にユニットとして内蔵され、排紙口16に送られた画像形成シートを処理トレイ上に部揃え集積して、綴じ処理した後に下流側に配置したスタックトレイに収納する後処理機構を備えたインナーフィニッシャ構造を示している。本発明はこれに限らず画像形成ユニットAと画像読取ユニットCと後処理ユニットBを独立したスタンドアロン構造で構成し、各装置間をネットワークケーブルで接続してシステム化することも可能である。
【0015】
[シート束綴じ処理装置(後処理ユニット)]
後処理ユニットBは
図2にその斜視構成を、
図3にその断面構成を示すように、装置ハウジング20と、このハウジングに配置されたシート搬入経路22と、その経路排紙口23の下流側に配置された処理トレイ24と、さらにその下流側に配置されたスタックトレイ25で構成されている。
【0016】
処理トレイ24にはシートを搬入するシート搬入手段35と、搬入シートを束状に集積するシート規制手段40と整合手段45が配置されている。これと共に処理トレイ24にはシート束をステープル綴じするステープル綴じ手段26(第1の綴じ手段)と、シート束を針なし綴じする無針綴じ手段27(第2の綴じ手段)が配置されている。以下各構成について詳述する。
【0017】
[装置ハウジング]
装置ハウジング20は、装置フレーム20aと、外装ケーシング20bで構成され、装置フレームは、後述する各機構部(経路機構、トレイ機構、搬送機構など)を支持するフレーム構造で構成される。図示のものは互いに対向する左右一対の側枠フレーム(不図示)に綴じ機構、搬送機構、トレイ機構及び駆動機構が配置され、外装ケーシング20bで一体化されたモノコック構造で構成されている。外装ケーシング20bは左右側枠フレーム20c、20dと、両側枠フレームを連結するステーフレーム(後述の底枠フレーム20e)を樹脂などのモールド加工で一体化したモノコック構造で構成され、その一部(装置フロント側は)は外部から操作可能に露出している。
【0018】
つまりフレーム枠組の外周を外装ケーシング20bでカバーし、後述する画像形成ユニットAの排紙空間15に内蔵される。その状態で装置フロント側の外装ケースは外部から操作可能な状態に露出している。この外装ケーシング20bのフロント側には後述するステープル針のカートリッジ装着開口28と、手差しセット部29と、マニュアル操作釦30(図示のものは表示ランプを内蔵したスイッチ)が装備される。
【0019】
上記外装ケーシング20bは排紙方向の長さ寸法Lxと、排紙直交方向の長さ寸法Lyとは、最大サイズシートを基準に設定され、後述する画像形成ユニットAの排紙空間15より小さい寸法に設定されている。
【0020】
[シート搬入経路(排紙経路)]
上述の装置ハウジング20には、
図3に示すように搬入口21と排紙口23を有するシート搬入経路22(以下「排紙経路」という)が配置され、図示のものは水平方向からシートを受け取って略水平方向に搬送して排紙口23から搬出するように構成されている。この排紙経路22は適宜のペーパーガイド(板)22aで形成され、シートを搬送するフィーダ機構が内蔵されている。このフィーダ機構は、経路長に応じて所定間隔の搬送ローラ対で構成され、図示のものは搬入口21の近傍に搬入ローラ対31が、排紙口23の近傍に排紙ローラ対32が配置されている。また排紙経路22にはシートの先端及び/又は後端を検出するシートセンサSe1が配置されている。
【0021】
上記排紙経路22は、装置ハウジング20を横断するように略水平方向の直線経路で形成されている。これは湾曲した経路でシートにストレスを及ぼすのを避ける為であり、装置レイアウトから許容される直線性で経路形成する。上述の搬入ローラ対31と排紙ローラ対32とは、同一の駆動モータM1(以下搬送モータと云う)に連結され、同一周速度でシートを搬送する。
【0022】
[処理トレイ]
図3に従って説明すると、排紙経路22の排紙口23には、その下流側に段差dを形成して処理トレイ24が配置されている。この処理トレイ24は排紙口23から送られたシートを上方に積み重ねて束状に集積するため、シートの少なくとも一部を支持する紙載面24aを備えている。図示のものは後述するスタックトレイ25でシート先端側を支持し、シート後端側を処理トレイ24で支持する構造(ブリッジ支持構造)を採用している。これによってトレイ寸法を小型化している。
【0023】
上記処理トレイ24は排紙口23から送られたシートを束状に集積して、所定姿勢に整合したのちに綴じ処理を施し、処理後のシート束を下流側のスタックトレイ25に搬出するように構成されている。このため処理トレイ24には、「シート搬入機構35」と、「シート整合機構45」と、「綴じ処理機構26,27」と、「シート束搬出機構60」が組込まれている。
【0024】
「シート搬入機構(シート搬入手段)」
上述の排紙口23には段差dを形成して処理トレイ24が配置されている。この処理トレイ上にシートを正しい姿勢で円滑に搬送するシート搬入手段35が必要となる。図示のシート搬入手段35(摩擦回転体)は、昇降するパドル回転体36で構成され、排紙口23からシート後端がトレイ上に搬出した段階でパドル回転体36がシートを排紙反対方向(
図3右方向)に移送して後述するシート端規制手段40に突き当て整合(位置決め)する。
【0025】
このため排紙口23には装置フレーム20aに支軸37xで揺動可能に軸支持された昇降アーム37が設けられ、この昇降アームの先端部にパドル回転体36が回転可能に軸支持されている。上記支軸37xには図示しないプーリが装備され、このプーリには前述の搬送モータM1が連結されている。
【0026】
これと共に昇降アーム37には昇降モータM3(以下パドル昇降モータという)がバネクラッチ(トルクリミッタ)を介して連結され、モータの回転で昇降アーム37を上方の待機位置Wpと下方の作動位置(シート係合位置)Apとの間で昇降するように構成されている。つまりバネクラッチは、パドル昇降モータM3の一方向回転で昇降アーム37を作動位置Apから待機位置Wpに上昇させ、図示しない係止ストッパに突き当たった後はその待機位置で待機する。またパドル昇降モータM3の反対方向回転でバネクラッチは弛緩して昇降アーム37はその自重で待機位置Wpから下方の作動位置Apに下降して処理トレイ上の最上シートと係合する。
【0027】
図示の装置はパドル回転体36が
図5に示すようにシートセンタ(センタ基準Sx)を基準に所定距離離れて左右対称に一対配置されている。この外、シートセンタとその両サイドに計3個のパドル回転体を配置しても、或いはシートセンタに1つのパドル回転体を配置してもよい。
【0028】
また、上記パドル回転体36はゴム質の板状部材、プラスチックの羽根部材などフレキシブルな回転体で構成されている。このパドル回転体以外にシート搬入手段35としてはローラ体、ベルト体などの摩擦回転部材で構成することが可能である。また図示の装置はシート後端が排紙口23から搬出したのちにパドル回転体36を上方の待機位置Wpから下方の作動位置Apに降下する機構を示したが次の昇降機構を採用することも可能である。
【0029】
図示と異なる昇降機構は、例えばシート先端が排紙口23から搬出した段階で、摩擦回転体を待機位置から作動位置に降下させ、同時に排紙方向に回転させて、シート後端が排紙口23から搬出するタイミングでこの回転体を排紙反対方向に逆回転する。これによって排紙口23から搬出されるシートを高速で、かつスキューすることなく処理トレイ24の所定位置に移送することが可能である。
【0030】
「掻き込み回転体(掻き込み搬送手段)」
上述の排紙口23に配置されたシート搬入機構35(パドル回転体)でシートを処理トレイ24の所定位置に搬送する場合に、カールしたシート、スキューしたシートなどの影響でシート先端を下流側の規制ストッパ40に案内する掻き込み搬送手段33が必要となる。
【0031】
図示の装置は、排紙ローラ対32の下方で後述するシート端規制ストッパ40の上流側に積載されたシートの最上シートを規制部材側に搬送力を付与する掻き込み回転体(掻き込み搬送手段)33が配置されている。図示のものはリング形状のベルト部材34(以下「掻き込みベルト」という)を処理トレイ24の先端部上方に配置し、この掻き込みベルト34は紙載面上の最上シートと係合するとともに規制部材側にシートを搬送する方向に回転する。
【0032】
このため掻き込みベルト34はゴム質などの柔軟な材料で、摩擦力の高いベルト材(ローレットベルトなど)で構成し、駆動モータ(図示のものは搬送モータM1と共通)に連結された回転軸34xとアイドル軸34yとの間にニップ支持されている。そして
図3反時計方向の回転力が回転軸34xから付与されている。これと共に、掻き込みベルト34は処理トレイ上に積載されている最上シートに沿って搬入してくるシート先端を押圧しながら下流側の規制ストッパ40に突き当てる。
【0033】
上記掻き込みベルト34は、ベルトシフトモータM5(以下ローレット昇降モータという)でトレイ上の最上シートの上方に上下動するように構成されている(その昇降機構は省略する)。そしてシート先端がベルト表面と最上シートとの間に進入したタイミングで、掻き込みベルト34が下降して搬入シートと係合する。また掻き込みベルト34は後述するシート束搬出手段60で処理トレイ24から下流側のスタックトレイ25に移送するときには最上シートから離間して上方に待機するようにローレット昇降モータM5を制御する。
【0034】
「シート整合機構」
処理トレイ24には、搬入されたシートを所定の位置(処理位置)に位置決めするシート整合機構45が配置されている。図示のシート整合機構45は、排紙口23から送られたシートの排紙方向端面(先端面か後端面のいずれか)を位置規制する「シート端規制手段40」と排紙直交方向(シートサイド方向)を幅寄せ整合する「サイド整合手段45」で構成されている。以下この順に説明する。
【0035】
「シート端規制手段」
図示のシート端規制手段40は、排紙方向後端縁を突き当て規制する後端規制部材41で構成されている。この後端規制部材41は、処理トレイ上の紙載面24aに沿って搬入されるシートの排紙方向後端縁を突き当て規制する規制面41aを備え、前述の掻き込み搬送手段33で送られるシートの後端縁を突き当てて停止させる。
【0036】
この後端規制部材41は、後述するステープラ手段26でマルチ綴じするときステープラユニットがシート後端に沿って(排紙直交方向に)移動する。このユニット移動の妨げとならないように(1)後端規制部材を綴じユニットの移動路(運動軌跡)に対して進入および退避する機構を採用するか、(2)綴じユニットと一体的に位置移動する機構を採用するか、(3)後端規制部材を、綴じユニットのヘッドとアンビルで構成される綴じ空間の内部に例えばチャンネル形状の折曲げ片で構成する。
【0037】
図示のものは、後端規制部材41をステープル綴じ手段26の綴じ空間内に配置する断面コ字状(チャンネル形状)の板状折曲げ部材で構成している。そして最小サイズシートを基準にシートセンタに第1の部材41Aを、これと距離を隔てて左右に第2第3の部材41B,41Cを配置している(
図5参照)。これによってステープル綴じユニット26のシート幅方向への移動を可能にしている。
【0038】
図5及び
図7に示すように処理トレイ24にはチャンネル形状の折曲げ片からなる複数の後端規制部材41が固定(部材先端部をトレイ背面壁にネジで固定している)されている。上記各後端規制部材41には規制面41aが形成してあり、その折曲げ先端部にはシート端を規制面に案内する傾斜面41bが連設している。
【0039】
「サイド整合手段」
処理トレイ24には上述の後端規制部材41に突き当たったシートを排紙直交方向(シート幅方向)に位置決めする整合手段45(以下「サイド整合部材」という)が設けられている。
【0040】
サイド整合部材45は、処理トレイ上に異なるサイズのシートをセンター基準で整合するか、片側基準で整合するか、によってその構成は異なる。
図5に示す装置は、排紙口23からセンター基準で異なるサイズのシートが排出され、このシートを処理トレイ上にセンター基準で整合する。そしてセンター基準で束状に整合されたシート束を綴じ処理に応じて、マルチ綴じのときには整合姿勢で綴じ位置Ma1、Ma2に、左右コーナ綴じのときには左右方向に所定量シート束をオフセットさせて綴じ位置Cp1、Cp2に、ステープラユニット26で綴じ処理する。
【0041】
このため、整合手段45は、処理トレイの紙載面24aから上方に突出し、シートの側縁と係合する規制面46xを有するサイド整合部材46(46F,46R)を、左右一対互いに対向するように配置する。そしてこの一対の左右サイド整合部材46を所定ストロークで往復動可能に処理トレイ24に配置する。このストロークは、最大サイズシートと最小サイズシートのサイズ差および整合した後のシート束を左右いずれかの方向に位置移動(オフセット搬送)するオフセット量によって設定する。つまり、左右のサイド整合部材46F,46Rの移動ストロークは、異なるサイズシートを整合するための移動量と、整合後のシート束のオフセット量で設定されている。
【0042】
このためサイド整合部材46は、
図6に示すように、右サイド整合部材46F(装置フロント側)と左サイド整合部材46R(装置リア側)で構成され、両サイド整合部材46には、シート側端と係合する規制面46xが互いに接近方向又は離間方向に移動するようにトレイ部材に支持されている。処理トレイ24には表裏を貫通するスリット溝24xが設けられ、このスリットからトレイ上面にシート側縁と係合する規制面46xを有するサイド整合部材46が摺動可能に嵌合されている。
【0043】
各サイド整合部材46F,46Rはトレイ背面側で複数のガイドコロ49(レール部材であっても良い)で摺動可能に支持され、ラック47が一体形成されている。左右のラック47にはピニオン48を介して整合モータM6、M7が連結されている。この左右の整合モータM6,M7はステッピングモータで構成され、図示しないポジションセンサで左右のサイド整合部材46F,46Rを位置検出し、その検出値を基準に各規制部材を左右いずれの方向にも、指定された移動量で位置移動できるように構成されている。
【0044】
なお、図示のラック-ピニオン機構によることなく、各サイド整合部材46F,46Rをタイミングベルトに固定し、このベルトを左右往復動させるモータにプーリで連結する構成を採用することも可能である。
【0045】
このような構成で後述する制御手段75は、画像形成ユニットAなどから提供されるシートサイズ情報に基づいて左右のサイド整合部材46を所定の待機位置(シートの幅サイズ+α位置)に待機させる。この状態で処理トレイ上にシートを搬入し、シート端がシート端規制部材41に突き当たったタイミングで整合動作を開始する。この整合動作は左右の整合モータM6、M7を同一量ずつ反対方向(接近方向)に回転する。すると処理トレイ24に搬入されたシートはシートセンタを基準に位置決めされ束状に積み重ねられる。このシートの搬入動作と整合動作の繰り返しでシートは処理トレイ上に束状に部揃え集積される。このとき異なるサイズのシートは、センター基準で位置決めされる。
【0046】
このようにセンター基準で処理トレイ上に集積されたシートは、その姿勢でシート後端縁(または先端縁)を所定間隔で複数箇所綴じ処理する(マルチ綴じ処理)ことができる。またシートコーナを綴じ処理する場合には、左右のサイド整合部材46F,46Rの片側を指定された綴じ位置にシート側端が一致する位置に移動して静止させる。そして反対側のサイド整合部材を、接近方向に位置移動する。この接近方向の移動量はシートサイズに応じて算出する。これによって処理トレイ24上に搬入されたシートは、右コーナ綴じのときには右側縁が綴じ位置に一致するように整合され、左コーナ綴じ位置のときには左側縁が綴じ位置に一致するように整合される。
【0047】
シートコーナに後述する「針なし綴じ処理」を行う場合、センター基準で排出されてくるシートに対し、装置奥側のサイド整合部材46Rを針なし綴じを行う指定された綴じ位置にシート側縁が一致するよう移動して停止させておく。そして、シートが処理トレイ上に出てくると、サイド整合部材46Fをサイド整合部材46Rに接近する方向に位置移動する。これによって処理トレイ24上に排出されたシートは、針なし綴じ位置に一枚ごとに移動される。
【0048】
なお、左右のサイド整合部材46F、46Rとその整合モータM6,M7には、ポジションセンサ、エンコードセンサなどのポジションセンサ(不図示)が配置され、サイド整合部材46の位置を検出するようになっている。また整合モータM6、M7をステッピングモータで構成し、サイド整合部材46のホームポジションをポジションセンサ(不図示)で検出し、モータをPWM制御することによって比較的簡単な制御構成で左右のサイド整合部材46F,46Rをコントロールすることができる。
【0049】
[シート束搬出機構]
図11に示すシート束搬出機構(シート束搬出手段60)について説明する。上述の処理トレイ24には第1、第2綴じ手段26,27で綴じ処理したシート束を下流側のスタックトレイ25に搬出するシート束搬出機構が配置されている。
図5に従って説明した処理トレイ24には、シートセンタSxに第1のシート後端規制部材41Aが、その左右に距離を隔てて第2、第3のシート後端規制部材41B,41Cが配置されている。そしてこの規制部材41に係止したシート束を綴じ手段26(27)で綴じ処理した後に下流側のスタックトレイ26に搬出するように構成されている。
【0050】
このため処理トレイ24には紙載面24aに沿ってシート束搬出手段60が配置されている。図示のシート束搬出手段60は第1搬送部材60Aと第2搬送部材60Bで構成され、処理トレイ上の第1の区間L1を第1搬送部材60Aで、第2の区間L2を第2搬送部材60Bでリレー搬送する。このように第1、第2搬送部材60A,60Bでシートを引継ぎ搬送することによって、各搬送部材の機構を異なる構造とすることができる。そしてシート後端規制手段40と、ほぼ同一の始点からシート束を搬送する部材は、揺るぎの少ない部材(長尺支持部材)で構成し、搬送終点でスタックトレイ25にシート束を落下させる部材は、小型(ループ軌跡を走行するため)である必要がある。
【0051】
第1搬送部材60Aは、断面チャンネル形状の折曲げ片で形成された第1搬出部材61で構成され、この部材にはシート束の後端面を係止する係止面61aと、この面に係止したシートの上面を押圧する紙面押圧部材62(弾性フィルム部材;マイラー片)が設けられている。この第1搬送部材60Aは、図示のようにチャンネル形状の折曲げ片で構成されているため、後述するキャリア部材65a(ベルト)に固定したとき、揺るぐことが少なくベルトと一体的に走行してシート束の後端を搬送方向に移動(繰り出す)する。そしてこの第1搬送部材60Aは、後述するように湾曲したループ軌跡を走行することなく、ほぼ直線状の軌跡でストロークStr1を往復動する。
【0052】
第2搬送部材60Bは、爪形状の第2搬出部材63で構成され、シート束の後端面を係止する係止面63aと、シート束の上面を押圧する紙面押圧部材64が設けられている。この紙面押圧部材64は、第2搬出部材63に揺動可能に軸支持されていると共に紙面押圧面64aが設けられ、この紙面押圧面はシート束の上面を押圧するように付勢スプリング64bで付勢されている。
【0053】
また、紙面押圧面64aは、図示のように走行方向に傾斜した傾斜面で構成され、
図10(b)矢視方向に移動すると挟み角γでシートの後端と係合する。このとき紙面押圧面64aは付勢スプリング64bに抗して矢印方向に上向き(同図反時計方向)変形する。すると
図10(c)に示すように紙面押圧面64aは付勢スプリング64bの作用でシート束の上面を紙載面側に押圧する。
【0054】
上述のように構成された第1搬出部材61は、第1キャリア部材65aで、第2搬出部材63は、第2キャリア部材65bで、紙載面24aの基端部から出口端部に往復動する。このため、紙載面24aには、搬送ストロークを隔てた位置に駆動プーリ66a、66bと従動プーリ66cが配置されている。図示66d,66eはアイドルプーリである。
【0055】
そして駆動プーリ66aと従動プーリ66c間に第1キャリア部材65a(図示のものは歯付ベルト)が架け渡してあり、駆動プーリ66bと従動プーリ66cとの間に第2キャリア部材65b(歯付ベルト)がアイドルプーリ66d、66eを介して架け渡してある。駆動プーリ66a、66bには、駆動モータM4が連結してあり、モータの回転は第1キャリア部材65aには低速で、第2キャリア部材65bには高速で駆動が伝達されるように第1駆動プーリ65aは小径に、第2駆動プーリ65bは大径に形成されている。
【0056】
つまり共通の駆動モータM4に、第1搬送部材60Aは低速で、第2搬送部材60Bは高速で走行するように減速機構(ベルト-プーリ、歯車連結など)を介して連結されている。これと共に第2駆動プーリ66bには、駆動伝達を遅延させるカム機構が内蔵されている。これは後述するように第1搬送部材60Aの移動ストロークStr1と第2搬送部材60Bの移動ストロークStr2が異なることと、各部材の待機位置を位置調整する為である。
【0057】
以上の構成で、第1搬送部材60Aは、処理トレイ24の後端規制位置から第1ストロークStr1で直線軌跡で往復動し、このストローク内に第1区間Tr1が設定してあり、第2搬送部材60Bは、第1区間Tr1から処理トレイ24の出口端に第2ストロークStr2で半ループ状軌跡で往復動し、このストローク内に第2区間Tr2が設定してある。
【0058】
そして駆動モータM4の一方向回転で第1搬送部材60Aはシート後端規制位置から速度V1で下流側(
図11(a)から(b))に移動し、その係止面61aでシート束の後端を押して移送する。この第1搬送部材60Aから所定時間遅延して第2搬送部材60Bが、処理トレイ背面側の待機位置(
図11(a))から紙載面上に突出し、第1搬送部材60Aに追随して同方向に速度V2で走行移動する。このとき速度V1<V2に設定してあるから処理トレイ上のシート束は第1搬送部材60Aから第2搬送部材60Bに引き継がれる。
【0059】
図11(b)は引継搬送状態を示し、速度V1で走行するシート束は、速度V2で走行する第2搬送部材60Bに追いつかれる。つまり第1区間Tr1を過ぎると第1搬送部材60Aは第2搬送部材60Bに追いつかれて、第2搬送部材60Bがシート後端面と係合して、下流側に第2区間Tr2を搬送する。
【0060】
そして、速度V1で走行するシート束を引継ポイントで第2搬送部材60Bが高速度で突き当たるときに紙面押圧部材64は、紙面押圧面64aがシート束の上面を押圧してキャリア部材(ベルト)65a(65b)との間でニップするようにシート束後端を保持しながらスタックトレイ25に向けて搬出する。
【0061】
「綴じ処理方法(綴じ位置)」
上述したように排紙経路22の搬入口21に送られたシートは処理トレイ上に部揃え集積され、シート端規制部材40とサイド整合部材46で予め設定された位置と姿勢で位置決め(整合)される。そこでこのシート束に綴じ処理を施し、下流側のスタックトレイ25に搬出する。この場合の綴じ処理方法について説明する。
【0062】
図示の装置は、綴じ処理方法として「シート束をステープル綴じする第1綴じ手段26」と、「シート束を針なし綴じする第2綴じ手段27」を処理トレイ24に備える。そして後述する制御手段75は、第1、第2の選択された綴じ手段26(27)でシート束を綴じ処理した後に下流側に搬出することを第1の特徴としている。これはシート束をステープル針で綴じ処理すると容易に離脱しない製本綴じが可能であるが、使用者の用途によっては綴じたシート束を簡単に引き離す利便性が必要となることがある。また使用後のシート束を、シュレッダなどで切断するとき、古紙再生するとき、などに金属針が問題となることから「針有り」、「針なし」綴じ手段を選択して使用できるようにするためである。
【0063】
また、図示の装置は、シート搬入経路(排紙経路)22からシートを搬入して部揃え集積した後に綴じ処理する一連の後処理動作とは別に、装置外部(システム外)で作成したシートを綴じ処理する(以下「マニュアルステープル処理」という)ことを第2の特徴としている。
【0064】
このため、外装ケーシング20bに外部からシート束をセットする手差セット部29が配置され、シート束をセットする手差セット面29aをケーシングに成形し、前述のステープル綴じ手段(ステープラユニット26)を、処理トレイ24のシート搬入エリアArから手差しエリアFrに位置移動するように構成している。
【0065】
図8乃至
図10に基づいて各綴じ処理方法を説明する。図示の装置は、ステープル針でシートの複数箇所を綴じ処理する「マルチ綴位置Ma1,Ma2」と、シートコーナを束綴じ処理する「コーナ綴位置Cp1,Cp2」と、マニュアルセットしたシートを綴じ処理する「マニュアル綴位置Mp」と、シートコーナを針なし綴じする「針なし綴位置Ep」が設定されている。各綴じ位置の位置関係を説明する。
【0066】
図8に基づいて綴じ処理方法を説明する。図示の装置は、ステープル針でシートの複数箇所を綴じ処理する「マルチ綴位置Ma1,Ma2」と、シートコーナを綴じ処理する「コーナ綴位置Cp1,Cp2」と、マニュアルセットしたシートを綴じ処理する「マニュアル綴位置Mp」と、シートコーナを針なし綴じする「針なし綴位置Ep」が設定されている。各綴じ位置の位置関係を説明する。
【0067】
「マルチ綴じ」
図5に示すように、 マルチ綴じ処理は、処理トレイ24上にシート端規制部材41とサイド整合部材46で位置決めされたシート束(以下「整合シート束」という)の端縁(図示のものは後端縁)を綴じ処理する。
図9には間隔を隔てて2箇所を綴じ処理する綴位置Ma1、Ma2が設定されている。後述するステープラユニット26はホームポジションから綴位置Ma1、次いで綴位置Ma2の順に移動してそれぞれ綴じ処理する。なおこのマルチ綴位置Maは、2箇所に限らず、3箇所、或いはそれ以上に綴じ処理する場合がある。
図12(a)はマルチ綴じした状態を示している。
【0068】
「コーナ綴じ」
コーナ綴じ処理は、処理トレイ24に集積された整合シート束の右コーナを綴じ処理する右コーナ綴位置Cp1と、整合シート束の左コーナを綴じ処理する左コーナ綴位置Cp2との左右2箇所に綴位置が設定されている。この場合ステープル針を所定角度(約30度~約60度)傾斜させて綴じ処理する。(後述するステープラユニット26はこの位置でユニット全体が所定角度傾斜するように装置フレームにマウントされている。)
図12(b)(c)はコーナ綴じした状態を示している。
【0069】
図示の装置仕様はシート束の左右いずれか一方を選択して綴じ処理する場合と、ステープル針を所定角度傾斜させて綴じ処理する場合を示した。これに限らず左右いずれか一方のみにコーナ綴じする構成も、ステープル針を傾斜させることなくシート端縁と平行に綴じる構成も採用可能である。
【0070】
「マニュアル綴じ」
マニュアル綴位置Mpは、後述する外装ケーシング20b(装置ハウジングの一部)に形成された手差セット面29aに配置されている。この手差セット面29aは処理トレイの紙載面24aとほぼ同一平面を形成する高さ位置で、紙載面24aと側枠フレーム20cを介して隣接する位置に配置(並行配置)されている。図示のものは処理トレイの紙載面24aと手差セット面29aとは、いずれもシートを略水平姿勢で支持し、略同一高さ位置に配置されている。
図12(d)は、マニュアル綴じした状態を示している。
【0071】
つまり
図5において側枠フレーム20cを介して、その右側に手差セット面29aが、左側に紙載面24aが配置されている。そしてこのマニュアル綴位置Mpは紙載面に配置された前述のマルチ綴位置Maと同一直線上に配列されている。これは両綴じ位置を共通のステープラユニット26で綴じ処理するためである。従って処理トレイ24にはシート搬入エリアArと、その装置フロント側に手差しエリアFrが、装置リア側に後述するエコ綴じエリアRrが配置されている。
【0072】
「針なし綴位置」
針なし綴位置Ep (以下「エコ綴位置」という)は、
図5に示すようにシートの側縁部(コーナ部)を綴じ処理するように配置されている。図示のエコ綴位置Epは、シート束の排紙方向側縁部1箇所を綴じ処理する位置に配置され、シートに対して所定角度傾斜した角度位置を綴じ処理する。そして、エコ綴位置Epは、処理トレイ24のシート搬入エリアArから装置リア側に離れたエコ綴じエリアRrに配置されている。尚、本実施例にあっては針なし綴位置Epが、シートを綴じる際の待機位置とシートを綴じる際の綴じ位置が同一の位置になっているが、シートを綴じる際にエコ綴じユニット27をシート束の載置側に移動させてもよく、要はエコ綴位置Epがシートの搬入領域外に位置していれば束として移動するシート束を綴じることも可能である。
【0073】
「各綴位置相互の関係」
マルチ綴位置Ma1,Ma2は、処理トレイ24に排紙口23から搬入されるシートの搬出エリアAr内(内側)に配置されている。また、コーナ綴位置Cp1,Cp2は、シート搬入エリアArの外側で、シートの排紙基準Sx(センタ基準)から右、左いずれか一方に所定距離離れた基準位置(サイド整合基準)に配置されている。
図6に示すように、(綴じ処理する)最大サイズシートの側縁より外側であって、右コーナ綴位置Cp1は、シート側縁から所定量(δ1)右側に偏った位置に、左コーナ綴位置Cp2は、シート側縁から所定量(δ2)左側に偏った位置に配置されている。この両偏り量は同一距離(δ1=δ2)に設定されている。
【0074】
マルチ綴位置Ma1,Ma2とマニュアル綴位置Mpは略直線上に配置されている。また、コーナ綴位置Cp1,Cp2は排紙基準Sxを介して左右対称となる傾斜角度(例えば45度角度位置)に設定されている。
【0075】
マニュアル綴位置Mpは、シート搬入エリアArの外側であって装置フロント側Frの手差しエリアFrに配置され、エコ綴位置Epは、シート搬入エリアArの外側であって装置リア側Reのエコ綴じエリアRrに配置されている。
【0076】
また、マニュアル綴位置Mpは、処理トレイの右コーナ綴じ位置から所定量(Of1)オフセットした位置に配置され、エコ綴位置Epは、処理トレイ24の左コーナ綴じ位置から所定量(Of2)オフセットした位置に配置されている。このように、シートを搬入する処理トレイの搬出基準(センタ基準)に基づいてマルチ綴じ位置Mpを設定し、最大サイズシートに基づいてコーナ綴じ位置Cpを設定し、更に左右のコーナ綴じ位置から装置フロント側に所定量オフセットOf1した位置にマニュアル綴じ位置Mpを設定し、同様に装置リア側に所定量オフセットOf2した位置にエコ綴位置Epを設定することによってシート移動が互いに干渉することがなく整然と配列することができる。
【0077】
各綴じ処理におけるシート移動について説明すると、マルチ綴じ処理のときシートは処理トレイにセンター基準(片側基準であってもよい)で搬入され、その状態で整合されて綴じ処理される。綴じ処理後はその姿勢で下流側に搬出される。コーナ綴じ処理のときにはシートは指定されたサイドの整合位置に整合され、綴じ処理される。綴じ処理後はその姿勢で下流側に搬出する。またエコ綴じ処理のときには、処理トレイ上に搬入されたシートは一枚搬入されるごとに装置リア側に所定量オフセットOf2され、そのオフセット移動後に綴じ処理される。
【0078】
またマニュアル綴じでは、オペレータは処理トレイ24からフロント側に位置する整合基準から所定量オフセットOf1、離れた手差しセット面にシートをセットする。これによって複数の綴じ処理を、シートのセット位置を搬送直交方向に、振り分けられ、綴じ処理を実行するから処理スピードが迅速で、シートジャムの少ない処理が可能である。
【0079】
なお、エコ綴じ処理のとき後述する制御手段75は、シートを後端基準位置から排紙方向に所定量オフセットOf3させて綴じ位置Epを設定している。これはシートの左コーナ綴じのためにステープラユニット26と、エコ綴じユニット(後述するプレスバインドユニット27)が干渉するのを避けるためである。従って、エコ綴じユニット27をステープル綴じユニット26と同様に綴じ位置と、これから退避した退避位置との間で移動可能に装置フレーム20にマウントすると、排紙方向にオフセットOf3させる必要はなくなる。
【0080】
なお、ここで装置フロント側Frは、装置設計時に設定されオペレータが各種操作を実行する外装ケーシング20bの正面側を云う。通常この装置フロント側にはコントロールパネル、シートカセットの装着カバー(扉)、或いはステープラユニットの針を補充する開閉カバーが配置されている。また、装置リア側Reとは、例えば装置を設置する際に建造物の壁面に面する側(設計上は背面に壁がある設置条件)を云う。
【0081】
このように図示の装置は、シート搬入エリアArを基準に、エリア外部であって装置フロント側Frにマニュアル綴位置Mpを、装置リア側Reにエコ綴位置Epを配置している。このときシート搬入エリアArの基準(シート搬入基準Sx)とマニュアル綴位置Mpとの間の距離Ofxは、搬入基準Sxとエコ綴位置Epとの距離Ofyより長く(離れた位置;Ofx>Ofy)に設定してある。
【0082】
このようにマニュアル綴位置Mpを処理トレイ24のシート搬入基準(Sx)から遠く離れた位置に、エコ綴位置Epを搬入基準近くの接近した位置に設定したのは、マニュアル綴位置Mpに外部からシート束をセットするとき、処理トレイ24から離れているためその操作が容易であるという利便性のためである。これと同時にエコ綴位置Epを搬入基準Sxから接近した(近い)位置に設定したのは処理トレイ上に搬入したシートを綴じ位置にオフセット移動する際の移動量を少なくしてスピーディ(プロダクタビリティの向上)に綴じ処理する為である。
【0083】
「ステープラユニットの移動機構」
ステープラユニット26(第1の綴じ処理手段)は、その構造について後述するがユニットフレーム26a(第1ユニットフレームという)に針カートリッジ39と、ステープルヘッド26bと、アンビル部材26cを装備している。このユニット26は、処理トレイ24のシート端面に沿って所定ストロークで往復動するように装置フレーム20aに支持されている。以下その支持構造について説明する。
【0084】
図7に、ステープラユニット26を装置フレーム20に装着した正面構成を、
図8に、その平面構成を示す。また
図9及び
図10は、ステープラユニットを案内するガイドレール機構の部分説明図を示す。
【0085】
図7に示すように、装置フレーム20aを構成する左右の側枠フレーム20c,20dには、シャーシフレーム20e(以下「底枠フレーム」という)が配置されている。この底枠フレーム20eに、ステープラユニット26が所定ストロークで移動可能にマウントされている。底枠フレーム20eには、走行ガイドレール42(以下単に「ガイドレール」という)とスライドカム43が配置されている。ガイドレールには走行レール面42xが、スライドカム43には走行カム面43xが形成され、この走行レール面42xと走行カム面43xが互いに協同してステープラユニット26(以下この項では「移動ユニット」という)を所定ストロークで往復動可能に支持し、同時にその角度姿勢を制御している。
【0086】
上記走行ガイドレール42とスライドカム43は、移動ユニットの移動範囲(シート搬入エリアと手差しエリアとエコ綴じエリア)SLで往復動するようにレール面42xとカム面43xが形成されている(
図8参照)。上記走行ガイドレール42は、処理トレイ24の後端規制部材41に沿ってストロークSLを有するレール部材で構成され、図示のものは底枠フレーム20eに形成された開口溝で構成されている。その開口縁に走行レール面42xが形成され、この走行レール面は処理トレイの後端規制部材41と同一直線で互いに平行な関係に配置されている。また走行レール面と間隔を隔ててスライドカム43が配置され、図示のものは底枠フレーム20eに形成した溝カムで構成されている。この溝カムには走行カム面43xが形成されている。
【0087】
移動ユニット26(ステープラユニット)には、駆動モータ(走行モータ)M11に連結された走行ベルト44に固定されている。この走行ベルト44は装置フレーム20eに軸支した一対のプーリに巻回され、プーリの一方に駆動モータが連結されている。従って、走行モータM11の正逆転でステープラユニット26はストロークSLで往復動することとなる。
【0088】
上記走行レール面と走行カム面は、互いに平行な平行間隔部(スパンG1)43a、43bと、狭い首振り間隔部(スパンG2)43c、43dと、更に狭い間隔の首振り間隔部(スパンG3)43eに間隔が形成されている。そしてスパンG1>スパンG2>スパンG3の関係に構成されている。スパンG1ではユニットはシート後端縁と平行な姿勢に、スパンG2ではユニットは左右何れかに傾斜した姿勢で、スパンG3ではユニットは更に傾斜した角度姿勢となるように首振り角度変更する。
【0089】
なお走行ガイドレール42は、開口溝構造に限らず、ガイドロッド、突起状リブ、その他種々の構造が採用可能である。またスライドカム43は溝カムに限らず、突起条リブ部材、など、所定のストローク方向に移動ユニット26を案内するカム面を備えていればその形状は種々のものが採用可能である。
【0090】
上記移動ユニット26は、上記走行ガイドレール42とスライドカム43に次のように係合している。
図7に示すように、移動ユニット26には、走行レール面42xと係合する第1転動コロ50(レール嵌合部材)と、走行カム面43xと係合する第2転動コロ51(カムフォロア部材)が設けられている。これと共に移動ユニット26には底枠フレーム20eのサポート(支持)面と係合する滑動コロ52(図示のものは2箇所にボール形状の滑動コロ52a、52bが形成されている)。また、移動ユニットには底枠部フレームの底面と係合するガイドコロ53が形成してあり、底枠フレームから移動ユニット26が浮上するのを防止している。
【0091】
以上の構成から移動ユニット26は底枠フレーム20eに滑動コロ52a、52bとガイドコロ53で移動可能に支持されている。これと共に第1転動コロ50は走行レール面42xに、第2転動コロ52は走行カム面43xに沿って回転しながらレール面42xと
カム面43xに倣って走行移動する。
【0092】
そこでレール面42xとカム面43xとの間隔は、平行間隔部(スパンG1)が前述のマルチ綴じ位置Ma1Ma2に対向する図示位置43aと、マニュアル綴じ位置Mpに対向する図示位置43bに形成されている。このスパンG1では
図9(a)、
図10(c)に示すように移動ユニット26は首振りすることなくシート端縁と直交する姿勢で保持されている。従ってマルチ綴じ位置とマニュアル綴じ位置ではシート束はシート端縁と平行なステープル針で綴じ処理される。
【0093】
また、レール面42xとカム面43xとの間隔は、首振り間隔(スパンG2)が、右コーナ綴じ位置に対向する図示位置43eと、左コーナ綴じ位置に対向する図示位置43dに形成されている。そして移動ユニットは
図9(a)、
図10(a)に示すように、右傾き角度姿勢(例えば右45度傾き)と、左傾き角度姿勢(例えば左45度傾き)に傾斜した姿勢で保持されている。
【0094】
また、レール面42xとカム面43xとの間隔は、首振り間隔(スパンG3)が、針装填に位置に対向する図示位置43cに形成されている。このスパンG3はスパンG2より短い間隔に形成され、この状態で移動ユニット26は
図10(b)に示すように右傾き角度姿勢(例えば60度傾き)に保持されている。なお針装填位置で移動ユニット26を角度変更したのは、ユニットに針カートリッジ39を装着する角度方向にユニット姿勢を一致させるためであり、外装ケーシングに配置する開閉カバーとの関係で角度設定する。
【0095】
以上の走行レール面42xと走行カム面43xで移動ユニットの角度姿勢を偏向する際に、移動長さを短くするために、第2の走行カム面を設けるか、ストッパカム面を設けて走行カム面と協調して角度偏向することがレイアウトのコンパクト性から好ましい。
【0096】
図示するストッパカム面について説明する。
図8に示すように側枠フレーム20eには装置フロント側の右コーナ綴じ位置Cp1と、マニュアル綴じ位置Mpでユニット姿勢を変更するために移動ユニットの一部(図示のものは滑動コロ52a)と係合するストッパ面43y、43zが図示位置に配置してある。これによって針装填位置で傾斜しているユニットを、マニュアル綴位置Mpで傾斜を矯正する必要があるが、前述のカム面とレール面のみで角度変更することは移動ストロークが冗長となる。
【0097】
そこでストッパ面43yで移動ユニットを係止した状態でマニュアル綴じ側に進めるとユニットは傾斜した状態から元の状態に戻る。またこのユニットをマニュアル綴じ位置から反対方向に復帰動させるときには、ストッパー面43zがユニットを(強制的に)傾斜させてコーナ綴じ位置に向ける。
【0098】
[ステープラユニット]
ステープラユニット26はステープル針で綴じ処理する装置としてすでに広く知られている。その一例を
図13(a)に従って説明する。ステープラユニット26はシート束綴じ処理装置B(後処理装置)とは別にユニット構成されている。ボックス形状のユニットフレーム26aと、このフレームに揺動可能に軸支持されたドライブカム26dと、このドライブカム26dを回動する駆動モータM8がフレームにマウントされている。
【0099】
そしてドライブカム26dには、ステープルヘッド26bとアンビル部材26cが綴じ位置に対向配置され、ステープルヘッドはドライブカムに付勢スプリング(不図示)で上方の待機位置から下方のステープル位置(アンビル部材)に上下動する。そしてユニットフレームには針カートリッジ39が着脱可能に装着されている。
【0100】
針カートリッジ39には直線状のブランク針が収納され、針送り機構でヘッド26bに針を供給する。ヘッド部26bには、内部に直線針をコ字状に折り曲げるフォーマ部材と、折り曲げられた針をシート束に圧入するドライバーが内蔵されている。このような構成で駆動モータM8でドライブカム26dを回転し、付勢スプリングに蓄勢する。そして、回転角度が所定角度に達するとヘッド部26bは勢いよくアンビル部材26c側に下降する。この動作でステープル針はコ字状に折り曲げられた後にドライバーでシート束に刺入する。そしてその先端はアンビル部材26cで折り曲げられステープル綴じされる。
【0101】
また、針カートリッジ39とステープルヘッド26bとの間には針送り機構が内蔵されこの針送り部には針なしを検出するセンサ(エンプティセンサ)が配置されている。またはユニットフレーム26aには、針カートリッジ39が挿入されているか否かを検出するカートリッジセンサ(不図示)の配置されている。
【0102】
図示の針カートリッジ39は、ボックス形状のカートリッジに帯状に連結したステープル針を積層状に積み重ねて収納する構造と、ロール状に収納する構造が採用されている。
【0103】
またユニットフレーム26aには、上述の各センサを制御する回路と駆動モータM8を制御する回路基盤が設けられ、針カートリッジ39が収納されていないとき、ステープル針がエンプティのときには、警告信号を発するようになっている。またこのステープル制御回路は、ステープル針信号でステープル動作を実行するように駆動モータを制御し、ステープルヘッドが待機位置からアンビル位置に移動して、再び待機位置に復帰したときに「動作終了信号」を発信するように構成されている。
【0104】
[プレスバインダユニット]
図13(b)に従ってプレスバインダユニット27の構成について説明する。プレスバインダ機構としては数枚のシートを綴じ部に切り欠き開口を形成してその一辺を折り合わせることによって結束する折曲げ結束機構(特開2011-256008号公報参照)と、互いに圧接離間自在の加圧面27b、27cに凹凸面を形成してシート束を圧着変形させて結束するプレスバインド機構が知られている。
【0105】
図13(b)にはプレスバインダユニットを示し、ベースフレーム部材27aに可動フレーム部材27dを揺動可能に軸支持し、支軸27xで両フレームは圧接離間可能に揺動する。可動フレーム部材27bにはフォロワーコロ27fが配置され、このフォロアコロはベースフレーム27aに配置されているドライブカム27eが係合している。
【0106】
上記ドライブカム27eにはベースフレーム部材27aに配置した駆動モータM9が減速機構を介して連結され、モータの回転でドライブカム27eが回転し、そのカム面(図示のものは偏心カム)で可動フレーム部材27dを揺動させるように構成されている。
【0107】
そしてベースフレーム部材27aには下部加圧面27cが、可動フレーム部材27dには上部材加圧面27bがそれぞれ対向する位置に配置されている。このベースフレーム部材27aと可動フレーム部材27dの間には図示しないが付勢スプリングが配置され、両加圧面が離間する方向に付勢されている。
【0108】
上記上部加圧面27bと下部加圧面27cは
図13(b)に拡大図を示すように一方に突起条が、他方にはこれと適合する凹陥溝が形成されている。この突起条と凹陥溝は所定長さの畝(リブ)形状に形成されている。従って上部加圧面27bと下部加圧面27cで挟圧されたシート束は波板形状に変形して密着することとなる。上記ベースフレーム部材27a(ユニットフレーム)には図示しないポジションセンサが配置され、上下加圧面27b、27cが加圧位置か離間位置にあるか否かを検出するように構成されている。
【0109】
[スタックトレイ]
図14に従ってスタックトレイの構成について説明する。スタックトレイ25は処理トレイ24の下流側に配置され、処理トレイに集積されたシート束を積載収納する。このスタックトレイ25の積載量に応じて順次繰り下がるようにトレイ昇降機構備えている。このトレイの積載面(最上シート高さ)は処理トレイの紙載面と略同一平面となる高さ位置に制御される。また積載されたシートは、その自重で排紙方向後端縁がトレイ整合面53(立ち面)に突き当たった角度に傾斜している。
【0110】
その具体的構成を移動すると、装置フレーム20aには積載方向上下に昇降レール54が固定され、昇降レールにトレイ基台25xが昇降可能にスライドコロ55などで摺動可能に嵌合されている。これと共にトレイ基体25xには昇降方向にラック25rが一体に形成してあり、このラックには装置フレームに軸支持した駆動ピニオン56が噛合してある。そして駆動ピニオン56にはウオームギア57とウオームホイール58を介して昇降モータM10が連結してある。
【0111】
従って、昇降モータM10を正逆転すると、駆動ピニオン56に連結されたラック25rが装置フレームの上方と下方に上下動する。この構成でトレイ基体25xは片持状態で昇降動作することとなる。トレイ昇降機構としては、ラックピニオン機構、以外にプーリ懸架ベルト機構などが採用可能である。
【0112】
トレイ基体25xには積載トレイ25が一体に取り付けられ、その積載面25a上にシートを積載収納するように構成されている。また装置フレームには、シートの積載方向上下にシートの後端縁を支持するトレイ整合面20fが形成され、図示のものは外装ケーシングでトレイ整合面を形成している。
【0113】
また、トレイ基体25xに一体に取り付けられている積載トレイ25は図示角度方向に傾斜して形成され、シートの自重でその後端がトレイ整合面20fに突き当たるように角度設定(例えば20度~60度)されている。
【0114】
[シート押え機構]
上記積載トレイ25には、集積された最上シートを押圧する紙押え機構53が設けられている。図示の紙押え機構は、最上シートを押圧する弾性押圧部材53aと、この弾性押圧部材を装置フレーム20aに回動可能に軸支する軸支部材53bと、この軸支部材を所定角度方向に回転する駆動モータM2と、その伝動機構で構成されている。図示の駆動モータM2は、シート束搬出機構の駆動モータを駆動源として駆動連結し、シート束をスタックトレイ25に搬入(搬出)する際には弾性押圧部材53aは、トレイ外方に退避し、シート束の後端が積載トレイの最上シートの上に収納された後に、待機位置から図示反時計方向に回転して最上シートの上に係合してこれを押圧する。
【0115】
また、上記弾性押圧部材53aは、処理トレイ上のシート束をスタックトレイ向けて搬出する駆動モータM2の初期回転動作で、積載トレイ上の最上シートの紙面から退避位置に退避する。
【0116】
[レベルセンサ]
上記積載トレイ25には最上シートの紙面高さを検出するレベルセンサが配置され、このレベルセンサの検知信号によって前述の巻き上げモータを回転させてトレイ紙載面25aを繰り上げ上昇させる。このレベルセンサ機構は種々のものが知られているが、図示のものは装置フレームのトレイ整合面20fからトレイ上方に検出光を照射し、その反射光を検出してその高さ位置にシートが存在するか否かを検出する検出方法を採用している。
【0117】
[積載シート量センサ]
上記積載トレイ25には、レベルセンサと同様にトレイ上からシートが取り外されたのを検出するセンサが配置されている。その構造は詳述しないが、例えば前述の紙押さえ弾性押圧部材53と一体的に回転するセンサレバーを設け、このセンサレバーをセンサ素子で提出することによって積載面上にシートが存在するか否かを検知することができる。そして後述する制御手段75はシート束の搬出の前後でこのセンサレバーの高さ位置が異なった(変化した)ときには、例えば排紙動作を停止するかトレイを所定位置に上昇させる。なお、このような操作は異常操作であって、装置の稼働中に使用者が不用意に積載トレイからシートを取り出したときなどに生ずる不具合である。また、スタックトレイ25にはトレイが、異常下降しないように下限位置が配定してあり、この下限位置にはトレイを検出するリミットセンサSe3が配置さている。
【0118】
[画像形成システム]
画像形成ユニットAは、
図1に示すように給紙部1と画像形成部2と排紙部3と信号処理部(不図示)で構成され装置ハウジング4に内蔵されている。給紙部1はシートを収納するカセット5で構成され図示のものは複数のカセット5a,5b,5cで構成され、異なるサイズのシートを収納可能に構成されている。各カセット5a~5cにはシートを繰出す給紙ローラ6と、シートを1枚ずつ分離する分離手段(分離爪、分離ローラなど;不図示)が内蔵されている。
【0119】
また、給紙部1には給紙経路7が設けられ各カセット5からシートを画像形成部2に給送する。この給紙経路7の経路端にはレジストローラ対8が設けられ各カセット5から送られたシートを先端揃えすると共に画像形成部2の画像形成タイミングに応じて給紙するまで待機させる。
【0120】
このように給紙部1は装置仕様に応じて複数のカセットで構成され制御部で選択されたサイズのシートを下流側の画像形成部2に給送するように構成されている。この各カセット5はシートを補給可能なように装置ハウジング4に着脱可能に装着されている。
【0121】
画像形成部2はシート上に画像形成する種々の画像形成機構が採用可能である。図示のものは静電式画像形成機構を示している。
図1に示すように装置ハウジング4に感光体(ホトコンダクタ)で構成されるドラム9a~9dが色成分に応じて複数配置されている。各ドラム9a,9b,9c,9dには発光器(レーザヘッドなど)10と現像器11が配置されている。そして各ドラム9a~9dに発光器10で潜画像(静電画像)を形成し、現像器11でトナーインクを付着する。この各ドラム上に付着されたたインク画像は、色成分毎に転写ベルト12に転写され画像合成される。
【0122】
このベルト上に形成された転写画像は給紙部1から送られたシートにチャージャ13で画像転写され、定着器(加熱ローラ)14で定着された後に排紙部3に送られる。
【0123】
排紙部3は、装置ハウジング4に形成された排紙空間15にシートを搬出する排紙口16と、この排紙口に画像形成部2からシートを案内する排紙経路17で構成されている。なお排紙部3には後述するデュープレックス経路18が連設され、表面に画像形成したシートを表裏反転して再び画像形成部2に給送するようになっている。
【0124】
デュープレックス経路18は画像形成部2で表面側に画像形成したシートを表裏反転して画像形成部2に再送する。そして画像形成部2で裏面側に画像形成した後に排紙口16から搬出する。このためデュープレックス経路18は画像形成部2から送られたシートを、搬送方向を反転して装置内に返送するスイッチバックパスと、装置内に返送されたシートを表裏反転するUターンパス18aで構成されている。図示の装置はこのスイッチバックパスを後述する後処理ユニットCの排紙経路22に形成している。
【0125】
[画像読取ユニット]
画像読取ユニットCはプラテン19aと、このプラテンに沿って往復動する読取キャリッジ19bで構成されている。プラテン19aは透明ガラスで形成され、静止画像を読取キャリッジ19bの移動で走査する静止画像読取面と、所定速度で走行する原稿画像を読み取る走行画像読取面で構成されている。
【0126】
読取キャリッジ19bは光源ランプと、原稿からの反射光を変更する反射ミラーと、光電変換素子(不図示)で構成されている。光電変換素子はプラテン上の原稿幅方向(主走査方向)に配列されたラインセンサで構成され、これと直交する副走査方向に読取キャリッジ19bが往復移動することによって線順位で原稿画像を読取ようになっている。また、プラテン19aの走行画像読取面の上方には原稿を所定速度で走行させる原稿自動給送ユニットDが搭載されている。この原稿自動給送ユニットDは給紙トレイ上にセットした原稿シートを1枚ずつプラテン19aに給送し、画像を読み取った後に排紙トレイに収納するフィーダ機構で構成されている。
【0127】
[ペーパーガイド機構]
処理トレイ24にはサイド整合部材46Fでシートを整合位置から綴じ位置Epに位置移動する際にプレスバインダ手段27の加圧面27b、27cの間にシートを案内するためのペーパーガイド機構80が設けられている。
【0128】
図16にペーパーガイド機構を示す。装置フレーム20には、処理トレイ24の上方に、シートを整合位置Ap3から綴じ位置Epに案内するペーパーガイド部材81が配置されている。このペーパーガイド部材81は、シートをプレスバインダユニット27の上下に対向する一対の加圧面27b、27cの間に案内するガイド面81aを備えている。
【0129】
このペーパーガイド部材81は、処理トレイ上にシートを搬入するときには、その妨げとならないようにトレイ上方に退避し、シートを集積した後に綴じ位置に向けてオフセット移動するときには、そのシート上面を案内するようにガイド面81aは高さ位置を高低異ならせるように配置されている。
【0130】
このためペーパーガイド部材81は支軸81xで揺動可能に装置フレーム20に支持され、ガイド面81aを高低いずれか一方に付勢する付勢スプリング84が軸支部に配置されている。また、ペーパーガイド部材81には、伝動レバー82が伝動ピン82pで連結され、伝動レバーの揺動運動でガイド面81aは、トレイ上方に退避した高さ位置の
図16(a)から低い高さ位置の同図(b)にシフトする。そして伝動レバー82の先端部82aはステープラユニット26のユニットフレーム26aと係合する位置に配置されている。
【0131】
つまり装置フレーム20には支軸82xで揺動可能に伝動レバー82が配置され、このレバー先端82は伝動ピン82pでペーパーガイド部材81に連結されている。また伝動レバー82の他端部82bはステープラユニット26の移動軌跡内に配置されている。そこで後述する制御手段75がステープラユニット26を予め設定したガイドポジションGpと、退避ポジションションNpとの間で位置移動する。Gp位置のときにはペーパーガイド部材81は処理トレイ上のシート上面と係合するガイド姿勢(
図16(b)の状態)となり、Np位置のときにはペーパーガイド部材81は処理トレイの上方に退避した退避位置(
図16(a)の状態)となる。
【0132】
そこでステープラユニット26の移動位置と、ペーパーガイド部材81の退避位置及びガイド位置との関係を設定する。本実施例にあっては、エコ綴じ処理する際の整合位置は搬入されるシートセンタSxに設定されている。 シート搬入時ステープラユニット26はペーパーガイド部材81に係合する手前近傍まで移動し、搬入されるシートの搬入と整合が完了するまで、その位置で待機している。シートの搬入が完了するとステープラユニット26は、マルチ綴じ位置(Ma2)直後の位置からリア側コーナ綴じ位置Cp2手前の位置に移動する。するとガイド部材81は、伝動レバー82の他端部82bがステープラユニット26に退避位置からガイド位置に移動し、サイド整合部材46Fによるシートのシフトに備える。
【0133】
このように設定することによって、処理トレイ上にシートを集積する際にはステープラユニット26を、マルチ綴じ位置直後の位置に待機させてシートの搬入、整合に迅速に対応できるようにしている。またシートの搬入、整合が完了したらリア側コーナ手前の位置に移動してシートの移動に備えることができる。尚、リア側コーナ位置(Cp2)でペーパーガイド部材81を下降しガイド位置とすることも可能であるが、エコ綴じを採用しない通常のリア側コーナ綴じの際もガイド位置に移動するので本実施例のように他の動作に影響を与えない位置、すなわちマルチ綴じ位置直後(Ma2)とリアコーナ綴じ位置(Cp2)直前の間位置Gpでペーパーガイド部材81を下降するように作動させることが望ましい。
【0134】
そしてシートオフセット手段(サイド整合部材46F)を作動させてシートをエコ綴じ位置Epに向けて位置移動する。このときにはペーパーガイド部材81は
図16(b)の状態でシート上面をプレスバインダユニット27の加圧面27b、27c間に案内する。このように、エコ綴じ処理が設定されている場合、シートの排出時にペーパーガイド部材81を退避位置に位置させ、エコ綴じ位置へのシフト時にはガイド位置に位置させる動作をシートが一枚排出されるごとに行う。
【0135】
なお、ペーパーガイド部材81をステープラユニット26の位置移動に連動させて退避位置Npとガイド位置Gpとの間で上下動する構成を説明したが、ステープラユニット26以外に例えば別途ソレノイド等によりペーパーガイド部材81を退避位置とガイド位置との間で上下動するように連動させることも可能である。
【0136】
[制御構成の説明]
上述した画像形成システムの制御構成を
図16のブロック図に従って説明する。
図16に示す画像形成システムは、画像形成ユニットAの制御部70(以下「本体制御部」という)と後処理ユニットB(シート束綴じ処理装置;以下同様)の制御部75(以下「綴じ処理制御部」という)を備えている。本体制御部70は印字制御部71と給紙制御部72と入力部73(コントロールパネ
ル)を備えている。
【0137】
そして入力部73(コントロールパネル)から「画像形成モード」と「後処理モード」の設定を行う。画像形成モードはカラー・モノクロ印刷、両面・片面印刷などのモード設定と、シートサイズ、シート紙質、プリントアウト部数、拡大・縮小印刷、などの画像形成条件を設定する。また「後処理モード」は、例えば「プリントアウトモード」「ステープル綴じ処理モード」「エコ綴じ処理モード」「ジョグ仕分けモード」などに設定する。なお図示の装置には「マニュアル綴じモード」が設けられ、このモードは画像形成ユニットAの本体制御部70とは別にオフラインでシート束の綴じ処理動作を実行する。
【0138】
また、本体制御部70は綴じ処理制御部75に後処理モードとシート枚数、部数情報及び画像形成するシートの紙厚さ情報などをデータ転送する。これと同時に本体制御部70は画像形成を終了する都度、ジョブ終了信号を綴じ処理制御部75に転送する。
【0139】
上述の後処理モードについて説明すると、上記「プリントアウトモード」は、排紙口23からのシートを、綴じ処理することなく処理トレイ24を介してスタックトレイ25に収容する。この場合にはシートを処理トレイ24に重ね合わせて集積し、本体制御部70からのジョグ終了信号で集積後のシート束をスタックトレイ25に搬出する。
【0140】
上記「ステープル綴じ処理モード(第2排紙モード)」は、排紙口23からのシートを処理トレイ上に集積して部揃えし、このシート束を綴じ処理した後にスタックトレイ25に収容する。この場合には画像形成されるシートは原則として同一紙厚さで同一サイズのシートにオペレータによって指定される。このステープル綴じ処理モードは、「マルチ綴じ」「右コーナ綴じ」「左コーナ綴じ」のいずれかが選択され指定される。各綴じ位置については前述した通りである。
【0141】
上記「ジョグ仕分けモード」は、画像形成ユニットAで画像形成されたシートを処理トレイ上にオフセットさせて集積するグループと、オフセットさせることなく集積するグループとに区分けられ、スタックトレイ25には交互にオフセットされたシート束とオフセットされないシート束が積み上げられる。特に図示の装置は、装置フロント側にオフセットエリア(
図5参照)を設け、処理トレイ上に排紙口23からセンター基準Sxで搬出されたシートをその姿勢で集積するグループと、同様にセンター基準Sxで搬出されたシートを装置フロント側Frに所定量オフセットさせて集積するグループに区分けている。
【0142】
このように装置フロント側Frにオフセットエリアを配置したのは、装置フロント側でマニュアル綴じ処理、針カートリッジの交換処理などの作業エリアを確保する為である。またこのオフセットエリアは、シート束を区分けする寸法(数センチ程度)に設定されている。
【0143】
「マニュアル綴じモード」
外装ケーシング20bには装置フロント側に、オペレータが綴じ処理するシート束をセットする手差しセット部29が設けられている。この手差しセット部29のセット面29aには、セットされたシート束を検出するセンサが配置され、このセンサからの信号で後述する綴じ処理制御部75は、ステープラユニット26をマニュアル綴じ位置に位置移動する。そしてオペレータが作動スイッチ30を押下すると、綴じ処理を実行するように構成されている。
【0144】
従ってこのマニュアル綴じモードは綴じ処理制御部75と本体制御部70とはオフラインで制御される。ただし、マニュアル綴じモードとステープル綴じモードが同時に実行するときには、いずれか一方が優先するようにモード設定されている。
【0145】
[綴じ処理制御部]
綴じ処理制御部75は、画像形成制御部70で設定された後処理モードに応じて後処理ユニットCを動作させる。図示の綴じ処理制御部75は制御CPU(以下単に制御手段という)で構成されている。制御CPU75には、ROM76とRAM77が連結され、ROM76に記憶された制御プログラムとRAM77に記憶された制御データで後述する排紙動作を実行する。このため、制御CPU75には前述したすべての駆動モータの駆動回路に連結され、各モータを起動、停止および正逆転制御する。
【0146】
[エコ綴じ動作説明]
フローチャート
図18にそってエコ綴じ処理の動作を説明する。なお説明の都合上、「パドル」とはシート搬入手段(パドル回転体36など)を、「ローレット」とは掻き込み回転体33を、「整合板」とは、サイド整合部材45を、「アシスト」とは、第1、第2搬送部材60A,60Bを意味する。
【0147】
「エコ綴じモード」
エコ綴じモード動作の詳細について説明する。
【0148】
「エコ綴じ動作の説明」
エコ綴じ処理動作について
図17のフローチャート及びこれに対応する
図18から
図22に従って説明する。制御手段75は、画像形成ユニットAから圧着綴じ処理モードが選択された信号を受け取ると、圧着綴じジョブを開始する。画像形成装置本体から送られる出紙開始信号もしくはシートセンサSe1からの先端検出信号を元に(St01)、少なくとも圧着綴じ処理される対象シートの一枚目が処理トレイ24に排紙される前に、パドル回転体36を待機位置に位置決めし、サイド整合手段46F及び46Rは排紙されてくるシート幅よりも広い待機位置に位置決めされる(St02)。この時、装置リア側に設けられるサイド整合手段46Rは圧着綴じ手段27によってシートに綴じ処理する際の位置、つまりシートのリア側縁が圧着綴じ処理する際の位置となるようあらかじめ位置決めされる(St02)。
【0149】
次に制御手段75は排紙ローラ32をシート後端が通過したタイミング(St03、
図18(a))でパドル回転体36を上方の待機位置から作動位置に下降させる(St04)。これと共にローレット回転体34を紙載面上方の待機位置から紙載面上の作動位置に下降させる(St04)。このときパドル回転体36とローレット回転体34のいずれも排紙方向と反対に回転している。
【0150】
制御手段75は所定時間(シート後端がローレット回転体位置に到達した見込み時間)経過したときパドル回転体36を作動位置から待機位置に上昇させる)。また制御手段75は、ローレット回転体36を、所定時間(シート先端は後端規制部材に到達した見込み時間)経過した後に、少量上昇させる。このパドル回転体の上昇量は予め設定され、シートに対する押圧力が軽減される実験値から設定されている。これにより、シートの搬送方向後端はシート規制手段40と当接した状態となる(
図18(b)。
【0151】
次に制御手段75は、サイド整合部材46Fで、シートを装置リア側に位置する圧着綴じ位置Epに移動させる(St05)。束を構成する1枚目のシートの移動は、一対のサイド整合部材46F及び46Rでシートを挟んだ状態でリア側に移動させる方法をとることも可能であるが、本実施例においてはより生産性を重視し、上述の通りリア側のサイド整合部材Rを圧着綴じ位置Epのシート側縁の位置で停止させておき(
図18(c)、フロント側のサイド整合部材46Fをリア側のサイド整合部材Rに近づける方向に移動させてシートを動かす方法を用いている(
図19(d))。2枚目以降(n枚目:n≦10枚)のシートの移動は、既に処理トレイ上に載置されたシートがあるので、リア側のサイド整合部材を圧着綴じ位置のシート側縁の位置で停止させておき(
図19(e))、シートが処理トレイ上に排出されるごとに、フロント側の整合板をリア側整合板に近づける方向に移動させてシートを動かす方法を用いる(
図19(f))。
【0152】
なお、前述のペーパーガイド部材81は、シートが処理トレイ24排出される際には退避位置に位置し、サイド整合部材46Fでシートをエコ綴じ位置に移動する際にはガイド位置に位置する動作を、一枚ごとに実行する。
【0153】
本実施例における圧着綴じ装置は最大綴じ枚数を10枚と設定しているため、10枚乃至それ以下の設定された綴じ枚数に達するまで上述のシートの搬出及び圧着綴じ位置へのシート移動を繰り返し行う(St06)。一枚目のシートが排出され、シートの圧着綴じ位置への移動が完了したらフロント側サイド整合部材46Fは待機位置へ一旦戻り、次のシートが排紙ローラ32から排出され、パドル回転体36とローレット回転体34によるシート規制手段40への掻き込み動作が完了した後に、フロント側のサイド整合部材46Fをリア側のサイド整合部材Rに近づける方向に移動させてシートを動かす。この動作をシートが一枚排出されるごとに実行する(St01からSt06)。
【0154】
圧着綴じ位置に位置されたシート枚数が10枚以内で終了した場合は、圧着綴じ位置Epでサイド整合部材45及び46Rで幅方向の整合動作を行った後に(St07)、シート規制手段40を搬送方向下流側に移動させて位置決めした後(St08、
図20(g))、圧着綴じ手段27による圧着綴じ処理を行い(ST09、
図20(h))、綴じたシート束をシート搬送方向下流側に向けて移動してシート排出動作を完了させる(St10、
図20(i))。
【0155】
本実施例の圧着綴じ装置は最大綴じ枚数を10枚と設定しているため、上述の圧着綴じ位置へのシート移動を繰り返し行い、圧着綴じ位置に位置するシート枚数が10枚以内である場合は、圧着綴じ位置で一度幅方向の整合動作を行った後に、規制手段を搬送方向下流側に移動させて位置決めした後に圧着綴じ処理を行い、綴じたシート束をシート束搬出手段60でシート搬送方向下流側に向けて移動しスタックトレイ25シート排出動作を完了させるが、上述のような2枚目以降のシートの移動処理を行っていくと、綴じ処理可能枚数の上限である10枚を超えてしまうケースがある。例えば、画像読み取り装置で読み込んだ原稿枚数が10枚を超える場合などでは、ジョブの入力段階では綴じ枚数が不明であるため、シート枚数が圧着綴じ処理可能な枚数を超える場合がある。
【0156】
このようなケースにおいて、針綴じ処理装置では元々の綴処理理可能枚数が多いため(50~100枚)そのまま処理トレイへの集積を続けて綴じ処理を行わずに排出することで対応可能であるが、綴じ処理可能枚数の少ない(本実施例では10枚)圧着綴じ処理では綴じ手段自体の間口が狭く、綴じ処理可能枚数である10枚を超えて集積しようとすると圧着綴じの間口と11枚目のシートが接触し、搬送ジャムとなってしまう虞がある。
【0157】
本実施例においては、綴じ処理位置に位置するシート枚数が10枚ある状態で、同一ジョブ内で後続のシートが存在する場合には圧着綴じ処理をキャンセルすべく、後述の綴じキャンセル動作を行いシートジャムの発生を防止している。
【0158】
圧着綴じ位置に一枚ずつシフトして挿入されたシートが10枚ある状態で、同一束に入るべく後続シートが存在する場合、本実施例においては既に綴じ位置にあるシートに綴じ処理を行うことなく、シートを機外に排出する綴じキャンセル動作を行う。この綴じキャンセル動作について詳述する。
【0159】
まず、綴じ位置に位置するシートのカウント値が10枚となっている状態(
図21(j))で、さらに画像形成装置から同一束に含まれるシートが搬送されてきている場合(St11)、シートが処理装置内に搬入されたことをトリガーにして綴じキャンセル動作を実行する。
【0160】
まず再度FR整合部材を移動させることで、圧着綴じ処理の間口に位置している10枚のシートを、処理トレイのセンター位置、つまりシートが最初に排出される位置(排出位置)に移動する(St12、
図21(k))。排出位置に移動させたのちに10枚のシートを規制手段で搬送方向下流側に移動させ既積載シート排出動作を完了させる(St13、
図21(l))。
【0161】
11枚目以降のシートは圧着綴じ処理対象のフラグオフとなった状態(綴じ枚数オーバーフラグON)で搬送されるので、処理トレイに排出されると(
図22(m))、圧着綴じ処理位置へのシフト動作はおこなわずに、排出位置に排出されるごとに規制手段40及びサイド整合手段46FRでの整合を行った後に(
図22(n)及び
図22(o))、規制手段で搬送方向下流側に移動させてスタックトレイ25へ排出する(St15、
図22(p))。なお、この後続シートの排出動作は通常のストレート排出モードと同様の制御となる。そのため、一定枚数を処理トレイ24で受け入れてからスタックトレイに排出する方法や、処理トレイ24には出せずに、直接スタックトレイ25に排出する方法も採用可能である。その後、所定のジョブ枚数に達したところで、ジョブ終了となる。なお、綴じ枚数オーバー時の後続シートの排出については、一枚ずつ排出でも、複数枚ずつ排出でも、束形成後の排出でもよい。
【0162】
また、一つのジョブ内で圧着綴じ枚数オーバーが発生した場合は、同一ジョブ内の続く後続束も圧着綴じ処理対象フラグがオフとなった状態(綴じ枚数オーバーフラグON)で処理トレイ24に搬送されてくる。そのため、後続束を構成するシートに対しては処理トレイ24に排出されても一枚シフト動作を行わず、排紙センタ位置で受け入れたままスタックトレイ25への排出動作を行う。
【符号の説明】
【0163】
Ma1 マルチ綴位置
Ma2 マルチ綴位置
Cp1 右コーナ綴位置
Cp2 左コーナ綴位置
Mp マニュアル綴位置
Ep 針なし綴位置(エコ綴位置)
Sx 排紙基準(センタ基準)
20 装置ハウジング
20a 装置フレーム
20b 外装ケーシング
20c 右側枠フレーム
20d 左側枠フレーム
20e 底枠フレーム
22 シート搬入経路(排紙経路)
24 処理トレイ
25 スタックトレイ
26 ステープル綴じ手段(第1の綴じ手段)
27 無針綴じ手段(第2の綴じ手段)(プレスバインドユニット)
29a 手差セット面
30 マニュアル操作釦
33 掻き込み搬送手段
36 パドル回転体
39 針カートリッジ
40 シート端規制手段(規制ストッパ)
41 後端規制部材
42 走行ガイドレール
42x 走行レール面
43 スライドカム
43x 走行カム面
45 整合手段(サイド整合部材)
46 サイド整合部材
46F 右サイド整合部材(装置フロント側)
46R 左サイド整合部材(装置リア側)
60 シート束搬出手段
80 ペーパーガイド機構
81 ペーパーガイド部材