(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044288
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】低湿空調機
(51)【国際特許分類】
F24F 3/147 20060101AFI20220310BHJP
F24F 6/10 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
F24F3/147
F24F6/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149841
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】503021102
【氏名又は名称】五和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 稔
【テーマコード(参考)】
3L053
3L055
【Fターム(参考)】
3L053BC03
3L053BC09
3L055CA04
(57)【要約】
【課題】室温付近の50%以下の低湿度空気が容易に、低コストで得られる低湿空調機を提供する。
【解決手段】外気を取り込み室内に供給する給気管路1と、給気管路に設けられたファン2及び熱交換器3と、熱交換器を通ってのびる冷媒循環管路4と、冷媒循環管路に設けられた冷媒冷却源5と、除湿ロータ6と、給気管路における熱交換器の下流側から分岐し、除湿ロータの吸着ゾーン6aを経て、給気管路に再接続するバイパス管路7と、給気管路とバイパス管路の下流端との接続部に設けられ、接続部の下流側に給気管路及びバイパス管路からそれぞれ供給される空気の混合比を調節する風量混合比制御手段8と、除湿ロータの再生ゾーン6bに再生用空気を供給する空気導入管路11と、空気導入管路に設けられたヒータ12と、除湿ロータの再生ゾーンから再生用空気を排出する空気排出管路13と、空気排出管路に設けられたファン14を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気を取り込み室内に給気する給気管路と、
前記給気管路に設けられた第1のファンと、
前記給気管路に設けられた熱交換器と、
前記熱交換器を通ってのび、内部に冷媒が流れる冷媒循環管路と、
前記冷媒循環管路に設けられた冷媒冷却源と、
吸着ゾーンおよび再生ゾーンを有する除湿ロータと、
前記給気管路における前記熱交換器の下流側から分岐し、前記除湿ロータの吸着ゾーンを経て、前記給気管路に再接続するバイパス管路と、
前記給気管路と前記バイパス管路の下流端との接続部に設けられ、前記接続部の下流側に前記給気管路および前記バイパス管路からそれぞれ供給される空気の混合比を調節する風量混合比制御手段と、
前記除湿ロータの再生ゾーンに再生用空気を供給する空気導入管路と、
前記空気導入管路に設けられたヒータと、
前記除湿ロータの再生ゾーンから再生用空気を排出する空気排出管路と、
前記空気排出管路に設けられた第2のファンと、を備えたものであることを特徴とする低湿空調機。
【請求項2】
外気を取り込み室内に供給する給気管路と、
前記給気管路に設けられた第1のファンと、
前記給気管路に設けられた、前記給気管路を流れる空気を冷却するための蒸発器と、
吸着ゾーンおよび再生ゾーンを有する除湿ロータと、
前記給気管路における前記蒸発器の下流側から分岐し、前記除湿ロータの吸着ゾーンを経て、前記給気管路に再接続するバイパス管路と、
前記給気管路と前記バイパス管路の下流側との接続部に設けられ、前記接続部の下流側に前記給気管路および前記バイパス管路からそれぞれ供給される空気の混合比を調節する風量混合比制御手段と、
前記除湿ロータの再生ゾーンに再生用空気を供給する空気導入管路と、
前記空気導入管路に設けられた、前記空気導入管路を流れる空気を加熱するための凝縮器と、
前記除湿ロータの再生ゾーンから再生用空気を排出する空気排出管路と、
前記空気排出管路に設けられた第2のファンと、
前記蒸発器および前記凝縮器間において冷媒を循環させる冷媒循環管路と、
前記冷媒循環管路における、前記蒸発器の下流側であってかつ前記凝縮器の上流側に設けられた冷凍機と、を備えたものであることを特徴とする低湿空調機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低湿空調機、特に、除湿ロータを備え、室温付近の50%以下の低湿度空気を供給する低湿空調機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のビル、工場および事業所における空調は、主として冷却式除湿によって行われるので、得られる空気の湿度が比較的高く、そのため、快適性に欠ける、結露が発生しやすい等の問題を生じていた。
【0003】
この問題を解決するため、従来技術においては、除湿ロータ(デシカントロータ)を備えた低湿空調機がまた使用されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
従来の低湿空調機においては、給気管路に取り込まれた外気が、冷却器で冷却された後、除湿ロータの吸着ゾーンを経て室内に供給される。
【0005】
除湿ロータは吸着材からなるロータを有し、ロータは、除湿ロータの運転中、連続回転し、吸着ゾーンおよび再生ゾーンを順次何回も通過する。
【0006】
吸着ゾーンにおいて、ロータが給気管路から流入した低温高湿度空気中の水分を吸着する一方、低温高湿度空気は、ロータによって吸着除湿される際に加熱され、高温低湿度空気として吸着ゾーンから下流側に排出される。そして、吸着ゾーンにおいて水分を吸着したロータは、再生ゾーンに移動する。
【0007】
また、再生空気用管路に取り込まれた外気が加熱され、除湿ロータの再生ゾーンに導入され、ロータに含まれた水分を吸収する一方、ロータは、この高温の再生用空気によって再生(乾燥)され、再生ゾーンから吸着ゾーンに移動する。水分を含んだ再生用空気は、再生用空気排出管路を通じて再生ゾーンから外部に排出される。
【0008】
給気管路における除湿ロータ(吸着ゾーン)の下流側には冷却器が設けられ、吸着ゾーンから排出された高温低湿度空気は、この冷却器によって所望の温度(室温程度)まで冷却された後、室内に供給される。
【0009】
すなわち、除湿ロータを備えた従来の低湿空調機においては、外気を冷却後、除湿ロータに通して冷却除湿しても、除湿ロータから排出される乾き空気は、除湿ロータへの導入前よりも高温になるので、除湿ロータの後段に冷却手段を配置し、高温の乾き空気を室温まで冷却する必要があり、そのため、消費エネルギーが増大して、運転コストがかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008-96069号公報
【特許文献2】特開2019-74278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、室温付近の50%以下の低湿度空気が容易にかつ低コストで得られる低湿空調機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、第1の発明によれば、外気を取り込み室内に給気する給気管路と、前記給気管路に設けられた第1のファンと、前記給気管路に設けられた熱交換器と、前記熱交換器を通ってのび、内部に冷媒が流れる冷媒循環管路と、前記冷媒循環管路に設けられた冷媒冷却源と、吸着ゾーンおよび再生ゾーンを有する除湿ロータと、前記給気管路における前記熱交換器の下流側から分岐し、前記除湿ロータの吸着ゾーンを経て、前記給気管路に再接続するバイパス管路と、前記給気管路と前記バイパス管路の下流端との接続部に設けられ、前記接続部の下流側に前記給気管路および前記バイパス管路からそれぞれ供給される空気の混合比を調節する風量混合比制御手段と、前記除湿ロータの再生ゾーンに再生用空気を供給する空気導入管路と、前記空気導入管路に設けられたヒータと、前記除湿ロータの再生ゾーンから再生用空気を排出する空気排出管路と、前記空気排出管路に設けられた第2のファンと、を備えたものであることを特徴とする低湿空調機が提供される。
【0013】
上記課題を解決するため、また、第2の発明によれば、外気を取り込み室内に供給する給気管路と、前記給気管路に設けられた第1のファンと、前記給気管路に設けられた、前記給気管路を流れる空気を冷却するための蒸発器と、吸着ゾーンおよび再生ゾーンを有する除湿ロータと、前記給気管路における前記蒸発器の下流側から分岐し、前記除湿ロータの吸着ゾーンを経て、前記給気管路に再接続するバイパス管路と、前記給気管路と前記バイパス管路の下流側との接続部に設けられ、前記接続部の下流側に前記給気管路および前記バイパス管路からそれぞれ供給される空気の混合比を調節する風量混合比制御手段と、前記除湿ロータの再生ゾーンに再生用空気を供給する空気導入管路と、前記空気導入管路に設けられた、前記空気導入管路を流れる空気を加熱するための凝縮器と、前記除湿ロータの再生ゾーンから再生用空気を排出する空気排出管路と、前記空気排出管路に設けられた第2のファンと、前記蒸発器および前記凝縮器間において冷媒を循環させる冷媒循環管路と、前記冷媒循環管路における、前記蒸発器の下流側であってかつ前記凝縮器の上流側に設けられた冷凍機と、を備えたものであることを特徴とする低湿空調機が提供される。
【発明の効果】
【0014】
第1および第2の発明によれば、給気管路内に取り込んだ外気を冷却して低温高湿度空気とし、低温高湿度空気の一部をバイパス管路に導入する一方、低温高湿度空気の残りはそのまま給気管路内に流す。そして、バイパス管路に導入した低温高湿度空気を除湿ロータによって除湿(吸着除湿)して高温低湿度空気とし、この高温低湿度空気をバイパス管路から給気管路に供給し、低温高湿度空気と混合し、この混合空気を給気管路を通じて室内に供給する。
【0015】
そして、混合空気の温度制御は、熱交換器による外気冷却時の冷却温度を制御することによって、あるいは、低温高湿度空気と高温低湿度空気の混合比を制御することによって行い、混合空気の湿度制御は、低温高湿度空気と高温低湿度空気の混合比を制御することによって行う。
【0016】
こうして、非常に簡単な構成において、室温付近の50%以下の低湿度空気を容易にかつ低コストで得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の1実施例による低湿空調機の概略構成を示す図である。
【
図2】
図1の低湿空調機の風量混合比制御手段の構成例を示す図である。
【
図3】本発明の別の実施例による低湿空調機の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の1実施例による低湿空調機の概略構成を示す図である。
図1を参照して、本発明の低湿空調機は、外気を取り込み室内に給気する給気管路1と、給気管路に設けられた第1のファン2と、給気管路1に設けられた熱交換器3と、熱交換器3を通ってのび、内部に冷媒が流れる冷媒循環管路4と、冷媒循環管路4に設けられた冷媒冷却源5とを備えている。
【0019】
本発明の低湿空調機は、さらに、吸着ゾーン6aおよび再生ゾーン6bを有する除湿ロータ6と、給気管路1における熱交換器3の下流側から分岐し、除湿ロータ6の吸着ゾーン6aを経て、給気管路1に再接続するバイパス管路7とを備えている。
【0020】
給気管路1とバイパス管路7の下流端との接続部には、接続部の下流側に給気管路1およびバイパス管路7からそれぞれ供給される空気の混合比を制御する風量混合比制御手段8が設けられている。
【0021】
図2は、風量混合比制御手段8の構成例を示す図である。
風量混合比制御手段8は、例えば、
図2(A)に示すように、給気管路1およびバイパス管路7にそれぞれ設けられた風量制御ダンパ9aおよび風量制御ダンパ9bからなっている。
【0022】
あるいは、風量混合比制御手段8は、例えば、
図2(B)に示すように、給気管路1とバイパス管路7の合流点に設けられた旋回軸10aと、基端が旋回軸10aに固定されて、旋回軸10aと一体的に旋回し得るフラップ10bと、管路の外部に配置され、旋回軸10aに平行な駆動軸を有するモータ10cと、一端がモータ10cの駆動軸に固定されたアーム10dと、フラップ10bの中間部およびアーム10cの他端を連結するリンク10eとを有する風量制御ダンパ10からなっている。
【0023】
本発明の低湿空調機は、さらに、除湿ロータ6の再生ゾーン6bに再生用空気を供給する空気導入管路11と、空気導入管路11に設けられたヒータ12と、除湿ロータ6の再生ゾーン6bから再生用空気を排出する空気排出管路13と、空気排出管路13に設けられた第2のファン14とを備えている。
【0024】
次に、この低湿空調機の動作を説明する。
低湿空調機の運転が開始されると、外気が給気管路1に取り込まれ、熱交換器3を通過する間に冷却され、低温高湿度空気として熱交換器3から下流側に排出される。そして、低温高湿度空気の一部がバイパス管路7に分配され、低温高湿度空気の残りはそのまま給気管路1内を流れる。
バイパス管路7に導入された低温高湿度空気は、除湿ロータ6の吸着ゾーン6aに流入する。
【0025】
また、除湿ロータ6は吸着材からなるロータを備え、ロータは、除湿ロータ6の運転中、連続回転して吸着ゾーン6aおよび再生ゾーン6bを順次何回も通過する。
【0026】
そして、空気導入管路11に取り込まれた外気がヒータ12によって加熱され、除湿ロータ6の再生ゾーン6bに導入される。吸着ゾーン6aで水分を吸着したロータは、再生ゾーン6bに移動し、この高温空気(再生用空気)によって再生(乾燥)され、再生ゾーン6bから吸着ゾーン6aに移動する。
再生ゾーン6bを通過した水分を含む空気は、空気排出管路13を通じて外部に排出される。
【0027】
吸着ゾーン6aにおいて、ロータが、給気管路1から流入した低温高湿度空気中の水分を吸着する一方、低温高湿度空気は、ロータによって吸着除湿される際に加熱され、高温低湿度空気として吸着ゾーン6aから下流側に排出される。
【0028】
また、給気管路1とバイパス管路7の下流端との接続部において、バイパス管路7から高温低湿度空気が給気管路1に流入し、給気管路1内を流れる低温高湿度空気と混合され、混合空気が給気管路1を通じて室内に供給される。
【0029】
そして、混合空気の温度制御が、熱交換器による外気冷却時の冷却温度を制御することによって、あるいは、低温高湿度空気と高温低湿度空気の混合比を制御することによって行われ、混合空気の湿度制御は、低温高湿度空気と高温低湿度空気の混合比を制御することによって行われる。
【0030】
こうして、本発明によれば、非常に簡単な構成において、室温付近の50%以下の低湿度空気を容易にかつ低コストで得ることができる。
【0031】
図3は、本発明の別の実施例による低湿空調機の概略構成を示す図である。
図3の実施例は、
図1の実施例と、給気管路に取り込んだ外気を冷却する冷却部と、除湿ロータの再生用空気を加熱する加熱部を、ヒートポンプの一部構成で置き換えた点が異なるだけである。
よって、
図2中、
図1に示したものと同じ構成要素には同一番号を付し、以下ではそれらの詳細な説明を省略する。
【0032】
図2を参照して、この実施例では、
図1の実施例の熱交換器3、冷媒循環管路4および冷媒冷却源の代わりに蒸発器15が設けられ、また、
図1の実施例のヒータ12の代わりに凝縮器16が設けられる。
【0033】
さらに、蒸発器15および凝縮器16間において冷媒を循環させる冷媒循環管路17が設けられ、冷媒循環管路17における、蒸発器15の下流側であってかつ凝縮器16の上流側に冷凍機18が設けられる。
【0034】
そして、蒸発器15、凝縮器16、冷凍機18、および冷媒循環管路17からヒートポンプが構成され、蒸発器15は、給気管路1に取り込まれた外気を冷却する冷却器として機能する一方、凝縮器16は、空気導入管路11に取り込まれた外気を加熱するヒータとして機能する。
【0035】
図3の実施例によれば、ヒートポンプの作用により、冷媒循環管路17を還流する冷媒を介して、蒸発器15において給気管路1を流れる外気から吸収された熱が、凝縮器15において空気導入管路11を流れる外気に熱交換される。
【0036】
図3の実施例によれば、
図1の実施例によって得られる効果に加えて、消費エネルギーがさらに節減できるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0037】
1 給気管路
2 第1のファン
3 熱交換器
4 冷媒循環管路
5 冷媒冷却源
6 除湿ロータ
6a 吸着ゾーン
6b 再生ゾーン
7 バイパス管路
8 風量混合比制御手段
9a、9b 風量制御ダンパ
10 風量制御ダンパ
10a 旋回軸
10b フラップ
10c モータ
10d アーム
10e リンク
11 空気導入管路
12 ヒータ
13 空気排出管路
14 第2のファン
15 蒸発器
16 凝縮器
17 冷媒循環管路
18 冷凍機