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  • 特開-吊り装置の組立方法及び吊り装置 図1
  • 特開-吊り装置の組立方法及び吊り装置 図2
  • 特開-吊り装置の組立方法及び吊り装置 図3
  • 特開-吊り装置の組立方法及び吊り装置 図4
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  • 特開-吊り装置の組立方法及び吊り装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044312
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】吊り装置の組立方法及び吊り装置
(51)【国際特許分類】
   E01D 21/00 20060101AFI20220310BHJP
【FI】
E01D21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149873
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000103769
【氏名又は名称】オリエンタル白石株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100198214
【弁理士】
【氏名又は名称】眞榮城 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】篠原 弘亨
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA05
2D059CC03
2D059CC05
2D059CC07
2D059DD04
(57)【要約】
【課題】作業性を向上させるとともに、作業者の安全性を確保することが可能となる吊り装置の組立方法及び吊り装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る吊り装置の組立方法は、桁材79を吊り上げ又は吊り下げる際に用いられる吊り装置の組立方法であって、第1梁材23に設けられた引っ掛け部24にチェーンブロック20を引っ掛け、引っ掛け部24にチェーンブロック20が引っ掛けられた第1梁材23を吊り上げ、離間して配置された複数の第2梁材21に第1梁材23を載置し、第1梁材23を第2梁材21に接合することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
桁材を吊り上げ又は吊り下げる際に用いられる吊り装置の組立方法であって、
第1梁材に設けられた引っ掛け部にチェーンブロックを引っ掛け、
前記引っ掛け部に前記チェーンブロックが引っ掛けられた前記第1梁材を吊り上げ、
離間して配置された複数の第2梁材に前記第1梁材を載置し、前記第1梁材を前記第2梁材に接合すること
を特徴とする吊り装置の組立方法。
【請求項2】
前記引っ掛け部は、前記第1梁材の下方に配置されること
を特徴とする請求項1記載の吊り装置の組立方法。
【請求項3】
桁材を吊り上げ又は吊り下げる際に用いられる吊り装置であって、
チェーンブロックと、
前記チェーンブロックを引っ掛ける引っ掛け部が設けられた第1梁材と、
前記第1梁材が載置され、前記第1梁材に接合され、離間して配置される複数の第2梁材と、を備えること
を特徴とする吊り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り装置の組立方法及び吊り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレキャストコンクリート橋桁の架設に用いる橋桁架設装置として、特許文献1が開示されている。特許文献1の橋桁架設装置は、橋桁を吊下して前進させる搬送台車を載置し、ガーダ横移動可能な前方支持装置及び後方支持装置を備え、かつ、ガーダ昇降機構を備えた1本の鋼製ガーダからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-41828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、橋桁等の桁材99を吊り上げる吊り装置8は、図5(a)、図5(b)及び図6に示すように、架設桁81上を走行可能な複数の第1脚部82と、複数の第1脚部82に架設される主梁83と、主梁83に接合されるチェーンブロック取付フレーム9と、チェーンブロック取付フレーム9に取り付けられるチェーンブロック90と、を主に備える。チェーンブロック取付フレーム9は、複数の第2脚部91と、複数の第2脚部91に架設される第2梁材92と、第2梁材92同士を繋ぐ複数の繋ぎ板93と、有する。各々の繋ぎ板93の略中央には孔が形成され、一対の繋ぎ板93に貫通される固定ピン94にチェーンブロック90が引っ掛けられる。
【0005】
吊り装置8を組み立てる場合には、予め複数の第1脚部82と、主梁83と、チェーンブロック取付フレーム9を組んでおき、クレーン等でチェーンブロック90自体を繋ぎ板93の高さに吊り上げる。その後、固定ピン94を繋ぎ板93に貫通させ、固定ピン94にチェーンブロック90を引っ掛ける。また、チェーンブロック90の点検や吊り装置8を解体する等のチェーンブロック90を取り外す場合には、クレーン等によりチェーンブロック90を吊った状態で、固定ピン94を外すことになる。このように、チェーンブロック90の取り付けや取り外しの際には、高所において固定ピン94を脱着する必要がある。このため、作業性が低く、作業者の安全性の確保が困難であった。
【0006】
特許文献1の開示技術では、搬送台車は鋼製ガーダの両横に張出す吊下ビームを備え、その両端にチェーンブロックを吊下し、チェーンブロックの吊下ロープの下端の吊具に桁吊りビームを取付けている(特許文献1の段落[0018]参照)。このため、チェーンブロックの取り付けや取り外しの際には、高所にある吊下ビームに対して取り付けや取り外しをする必要がある。したがって、作業者の安全性の確保が困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、作業性を向上させるとともに、作業者の安全性を確保することが可能となる吊り装置の組立方法及び吊り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る吊り装置の組立方法は、桁材を吊り上げ又は吊り下げる際に用いられる吊り装置の組立方法であって、第1梁材に設けられた引っ掛け部にチェーンブロックを引っ掛け、前記引っ掛け部に前記チェーンブロックが引っ掛けられた前記第1梁材を吊り上げ、離間して配置された複数の第2梁材に前記第1梁材を載置し、前記第1梁材を前記第2梁材に接合することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る吊り装置は、桁材を吊り上げ又は吊り下げる際に用いられる吊り装置であって、チェーンブロックと、前記チェーンブロックを引っ掛ける引っ掛け部が設けられた第1梁材と、前記第1梁材が載置され、前記第1梁材に接合され、離間して配置される複数の第2梁材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業性を向上させるとともに、作業者の安全性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(a)は、実施形態に係る吊り装置の一例を示す正面図であり、図1(b)は、実施形態に係る吊り装置の一例を示す側面図である。
図2図2は、図1(a)のA部を拡大して示す図である。
図3図2は、図1(b)のB部を拡大して示す図である。
図4図4は、実施形態に係る吊り装置の組立方法を説明する図であって、図4(a)は、吊り上げた状態の第1梁材を示す図であり、図4(b)は、第1梁材を第2梁材に接合した状態を示す図である。
図5図5(a)は、従来の吊り装置の一例を示す正面図であり、図5(b)は、従来の吊り装置の一例を示す側面図である。
図6図6は、図5(b)のC部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る吊り装置の組立方法及び吊り装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
実施形態に係る吊り装置1は、橋桁等の桁材79を吊り上げ又は吊り下げる際に用いられる。桁材79としては、例えば、コンクリート桁、鋼製桁等である。吊り装置1は、図1(a)、図1(b)、図2及び図3に示すように、架設桁11上を走行可能な複数の第1脚部12と、複数の第1脚部12に架設されるH形鋼等の主梁13と、主梁13に接合されるチェーンブロック取付フレーム2と、チェーンブロック取付フレーム2に取り付けられるチェーンブロック20と、を主に備える。チェーンブロック20は、架設すべき桁材79を吊り上げ又は吊り下げる際に用いられるものである。
【0014】
チェーンブロック取付フレーム2は、主梁13に接合される複数の第2脚部21と、複数の第2脚部21に架設される複数の第2梁材22と、第2梁材22に載置されるとともに第2梁材22に接合される第1梁材23と、第1梁材23に設けられる引っ掛け部24と、有する。チェーンブロック取付フレーム2は、4つの第2脚部21のうちの2つの第2脚部21に第2梁材22が載置され、第2梁材22が一対に離間して配置される。第1脚部21と第2梁材22とは、溶接やボルト等の接合部材等により接合される。
【0015】
第2脚部21、第2梁材22としては、例えば、H形鋼が用いられる。第2脚部21と第2梁材22とは、ボルトやリベット等の接合部材により接合される。
【0016】
第1梁材23としては、例えば、一対のフランジと一対のフランジを繋ぐウェブとを有する、断面コ字状の溝形鋼が用いられる。第2梁材22と第1梁材23とは、ボルトやリベット等の接合手段により接合される。
【0017】
引っ掛け部24は、チェーンブロック20のフックが引っ掛けられる。引っ掛け部24は、第1梁材23の下方に配置される。引っ掛け部24は、第1梁材23のウェブに溶接や、ボルト、リベット等の接合部材等により接合される板材25と、板材25に貫通される棒状の固定ピン26と、を有する。板材25は、第1梁材23の上端及び下端よりも突出されて配置される。引っ掛け部24は、一対の第1梁材23にそれぞれ接合された一対の板材25に貫通される固定ピン26に、チェーンブロック20のフックが引っ掛けられる。
【0018】
第1梁材23は、クレーン等で吊り上げ又は吊り下げるための吊部27が設けられる。吊部27は、第1梁材23に接合される板材25の上端に形成される孔である。
【0019】
次に、実施形態に係る吊り装置1の組立方法について説明する。
【0020】
吊り装置1の組立方法では、予め複数の第1脚部12と、主梁13と、を組んでおき、主梁13に4つの第2脚部21をボルトやリベット等の接合部材により接合しておく。そして、吊り装置1の組立方法では、予め4つの第2脚部21のうちの2つの第2脚部21に第2梁材22を載置し、第2梁材22を一対に離間して配置しておく。また、吊り装置1の組立方法では、予め第2脚部21と第2梁材22とを、溶接やボルトやリベット等の接合部材により接合しておく。
【0021】
また、吊り装置1の組立方法では、予め一対の第1梁材23にそれぞれ板材25を溶接等により接合し、一対の板材25に固定ピン26を貫通させておき、第1梁材23に引っ掛け部24を設けておく。
【0022】
次に、吊り装置1の組立方法では、地上にある第1梁材23に設けられた引っ掛け部24の固定ピン26にチェーンブロック20のフックを引っ掛ける。この第1梁材23は地上にあるため、引っ掛け部24にチェーンブロック20を引っ掛ける作業は、地上で行うことができる。
【0023】
次に、吊り装置1の組立方法では、引っ掛け部24にチェーンブロック20が引っ掛けられた第1梁材23をクレーン等により吊り上げる。第1梁材23をクレーンで吊り上げる際には、第1梁材23に設けられた吊部27にクレーンのフックを引っ掛け、吊り上げる。
【0024】
そして、吊り装置1の組立方法では、図4(a)に示すように、クレーンにより第1梁材23を降下させる。そして、吊り装置1の組立方法では、図4(b)に示すように、離間して配置された複数の第2梁材22に第1梁材23を載置し、第1梁材23を第2梁材22にボルトやリベット等の接合部材で接合する。そして、クレーンのフックを吊部27から取り外し、完了する。
【0025】
また、チェーンブロック20を吊り装置1から取り外す場合には、上述した手順と逆に行えばよい。
【0026】
本実施形態によれば、第1梁材23に設けられた引っ掛け部24にチェーンブロック20を引っ掛け、引っ掛け部24にチェーンブロック20が引っ掛けられた第1梁材23を吊り上げ、離間して配置された複数の第2梁材22に第1梁材23を載置し、第1梁材23を第2梁材22に接合する。これにより、チェーンブロック20を引っ掛け部24に引っ掛ける作業や引っ掛けを解除する作業を、地上で行うことができる。このため、チェーンブロック20を引っ掛け部24に引っ掛ける作業やこの引っ掛けを解除する作業を高所で行う必要がない。その結果、作業性を向上させるとともに、作業者の安全性の確保することが可能となる。
【0027】
本実施形態によれば、引っ掛け部24は、第1梁材23の下方に配置される。これにより、引っ掛け部24の周囲の空間が狭隘となることを回避することができる。このため、チェーンブロック20を引っ掛け部24に引っ掛ける作業やこの引っ掛けを解除する作業を、より効率良く行うことができる。
【0028】
以上、この発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、上記の実施形態は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
1 :吊り装置
11 :架設桁
12 :第1脚部
13 :主梁
20 :チェーンブロック
2 :チェーンブロック取付フレーム
21 :第2脚部
22 :第2梁材
23 :第1梁材
24 :引っ掛け部
25 :板材
26 :固定ピン
27 :吊部
79 :桁材
8 :吊り装置
81 :架設桁
82 :第1脚部
83 :主梁
90 :チェーンブロック
9 :チェーンブロック取付フレーム
91 :第2脚部
92 :第2梁材
93 :繋ぎ板
94 :固定ピン
99 :桁材
図1
図2
図3
図4
図5
図6