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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044325
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】シート処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/22 20060101AFI20220310BHJP
   B65H 43/00 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
B65H29/22 Z
B65H43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149890
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】岩間 智
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏一
【テーマコード(参考)】
3F048
3F049
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BB04
3F048CC03
3F048DA09
3F048DC14
3F048EB40
3F049AA01
3F049DA12
3F049EA24
3F049LA01
3F049LB01
(57)【要約】
【課題】 搬送ローラ対からのシートをスタックトレイにそのまま排紙する場合に、排紙ローラ対を離間することで、シートのスムーズな排紙を可能とするシート処理装置を提供することである。
【解決手段】 シートSの搬出口に配置され、圧接及び離間が可能な排紙ローラ対27と、前記搬出口から前記排紙ローラ対27によって排紙されるシートSを積載するスタックトレイ21bと、を備えたシート処理装置において、前記排紙ローラ対27は、離間した状態でシートSの先端Saを通過させ、前記シートSの先端Saが前記スタックトレイ21bに到達する前に、前記シートSを圧接する。
【選択図】 図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの搬出口に配置され、圧接及び離間が可能な排紙ローラ対と、前記搬出口から前記排紙ローラ対によって排紙されるシートを積載するスタックトレイと、を備えたシート処理装置において、
前記排紙ローラ対は、離間した状態でシートの先端を通過させ、前記シートの先端が前記スタックトレイに到達する前に、前記シートを圧接するシート処理装置。
【請求項2】
前記排紙ローラ対は、前記シートの先端が前記排紙ローラ対に到達する前に、離間から圧接に向けた動作を開始し、前記シートの先端が前記排紙ローラ対を通過したタイミングでシートを圧接する請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記排紙ローラ対の上流側にシートセンサを設け、
前記排紙ローラ対は、前記シートセンサが前記シートの先端を検出したことに基づき圧接動作を開始する請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項4】
シートの搬出口に配置され、圧接及び離間が可能な排紙ローラ対と、前記搬出口から前記排紙ローラ対によって排紙されるシートを積載するスタックトレイと、を備えたシート処理装置において、
前記排紙ローラ対は、前記排紙されるシートが特定のシートである場合に、離間した状態でシートの先端を通過させ、該シートの先端が前記スタックトレイに到達する前に、前記排紙ローラ対を圧接し、
前記排紙されるシートが前記特定のシート以外のシートである場合に、離間した状態でシートの先端を通過させ、該シートの先端が前記スタックトレイに到達した後に、前記排紙ローラ対を圧接するシート処理装置。
【請求項5】
前記排紙ローラ対の上流側にシートセンサを設け、
前記排紙ローラ対は、前記シートセンサが前記特定のシート又は特定のシート以外のシートの先端を検出したことに基づき圧接動作を開始する請求項4に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記特定のシートは、フラップ部を有する封筒である請求項4又は5に記載のシート処理装置。
【請求項7】
シートを後処理する処理トレイと、
前記処理トレイ上の一端側に配置され、前記処理トレイ上のステープル位置にあるシートに後処理を施す後処理手段と、
前記処理トレイの上方に配置され、前記処理トレイ上にシートを搬送する搬送ローラ対と、
前記処理トレイの他端側に配置され、前記処理トレイで後処理されたシート及び前記搬送ローラ対からのシートを排紙する排紙ローラ対と、
前記排紙ローラ対にて排紙されるシートを積載するスタックトレイと、
シートに後処理した後に前記スタックトレイ上にシートを排紙するステープルモードと、シートを後処理せずに前記スタックトレイ上に排紙するノンステープルモードを実行する制御手段と、を備えたシート処理装置において、
前記排紙ローラ対を正回転及び逆回転可能で、且つ、圧接及び離間可能に構成し、
前記ノンステープルモードにおける前記排紙ローラ対は、離間した状態でシートの先端を通過させ、シートの先端が前記スタックトレイに到達する前にシートを圧接し、正回転してシートを前記スタックトレイに向けて排紙し、
前記ステープルモードにおける前記排紙ローラ対は、離間した状態でシートの先端を通過させ、シートが前記処理トレイに搬送された後にシートを圧接し、逆回転して前記処理トレイに搬送されたシートを前記ステープル位置に搬送するシート処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、シートの種類に応じた最適な排紙モードが選択可能なシート処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタやスキャナ等の画像形成装置によって画像が形成されたシートをそのままスタックトレイに積載させて排紙したり、前記スタックトレイに積載されたシート束にステープル等の後処理を施した後に排紙したりする機能を有するシート処理装置が知られている(特許文献1,2)。この種のシート処理装置にあっては、シートを処理トレイ上に搬送する搬送ローラ対と、シートの搬出口でシートをスタックトレイに排紙する正転及び逆転可能な排紙ローラ対とを備えている。また、排紙ローラ対を圧接した状態で搬送ローラ対からのシートをスタックトレイにそのまま排紙するノンステープモードと、処理トレイに排紙された複数のシート(シート束)をスイッチバックして、ステープル等の後処理をした後、スタックトレイに収容させるステープモードとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-263027号公報
【特許文献2】特開2009-126658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に開示のシート処理装置にあっては、前記搬送ローラ対によってシートを処理トレイに落下させる構成となっているが、シートを排紙ローラ対の圧接部に案内する下ガイドがないため、シートの搬送状態やシートの種類によって、シートの先端が排紙ローラ対の周面に衝突し、シートがスムーズに排紙できないといった問題があった。
【0005】
そこで本願発明は、搬送ローラ対からのシートをスタックトレイにそのまま排紙する場合に、排紙ローラ対を離間することで、シートのスムーズな排紙を可能とするシート処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明のシート処理装置は、シートの搬出口に配置され、圧接及び離間が可能な排紙ローラ対と、前記搬出口から前記排紙ローラ対によって排紙されるシートを積載するスタックトレイと、を備えたシート処理装置において、前記排紙ローラ対は、離間した状態でシートの先端を通過させ、前記シートの先端が前記スタックトレイに到達する前に、前記シートを圧接する。
【発明の効果】
【0007】
本願発明のシート処理装置によれば、スタックトレイに向けて排紙されるシートの先端がスタックトレイに到達する前に排紙ローラ対によって圧接されるので、シートの先端を案内しながらスタックトレイ上に排紙させることができる。これによって、シートをスムーズに排紙することができる。
【0008】
特に、前記シートがフラップ部を有する封筒のような特定のシートの場合には、先に積載されている封筒のフラップ部に後続の封筒の先端が突き当たるなどして整列性を乱すことなく、スムーズに排紙することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本願発明のシート処理装置を含む画像形成システムの断面図である。
図2】シート処理装置内の主要構成を示す断面図である。
図3A】ノンステープルモードにおける普通紙の排紙動作(1)を示す説明図である。
図3B】ノンステープルモードにおける普通紙の排紙動作(2)を示す説明図である。
図3C】ノンステープルモードにおける普通紙の排紙動作(3)を示す説明図である。
図4A】ノンステープルモードにおける封筒の排紙動作(1)を示す説明図である。
図4B】ノンステープルモードにおける封筒の排紙動作(2)を示す説明図である。
図4C】ノンステープルモードにおける封筒の排紙動作(3)を示す説明図である。
図5A】ステープルモードにおける排紙動作(1)を示す説明図である。
図5B】ステープルモードにおける排紙動作(2)を示す説明図である。
図5C】ステープルモードにおける排紙動作(3)を示す説明図である。
図5D】ステープルモードにおける排紙動作(4)を示す説明図である。
図6】ノンステープルモードにおける普通紙及び封筒の排紙動作フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ本願発明の実施の形態を詳細に説明する。最初に、図1を参照して、本願発明のシート処理装置Cを含む画像形成システムAの概要について説明する。画像形成システムAは、画像形成装置Bとシート処理装置Cとによって構成されている。画像形成装置Bとシート処理装置Cとは、画像形成装置Bの搬出口3とシート処理装置Cの搬入口22とを介して連結される。画像形成装置Bによって画像形成されたシートは、シート処理装置Cを介してスタックトレイ21a,21bのいずれかに排紙される。シート処理装置Cでは、指定によってステープル綴じ等の各種の後処理が行われる。画像形成システムAにおいて扱われるシートには、フラットな普通紙の他、フラップ部を有する封筒等の特定のシートを含むものとする。前記フラップ部は、封筒の開封口の他、貼り合わせ部等を含む。本願発明のシート処理装置では、前記普通紙や封筒等のシートの種類に応じた最適なタイミングで排紙動作を行う。以下、普通紙(特定のシート以外)及び封筒(特定のシート)を含めてシートとして説明するが、特に普通紙、封筒に適した動作を説明する際には、普通紙又は封筒と称して説明する。また、シートの先端とは、シートの搬送(排紙)方向の端部を指し、シートの後端とは、シートの搬送(排紙)方向とは反対側の端部を指す。
【0011】
画像形成装置Bは、給紙部1からシートを画像形成部2に送り、画像形成部2でシートに画像を印刷した後、搬出口3から排紙するように構成されている。給紙部1は複数サイズのシートが給紙カセット1a、1bに収納されており、指定されたシートを1枚ずつ分離して画像形成部2に給送する。画像形成部2は、一例として、静電ドラム4、この静電ドラム4の周囲に配置されている印字ヘッド(図示せず)、現像器6、転写チャージャ7、定着器8等を備えている。シートへの画像形成は、静電ドラム4上に静電潜像を形成し、これに現像器6でトナーを付着し、転写チャージャ7でシート上に画像を転写し、定着器8で加熱定着することによって行われる。このようにして画像形成されたシートは、搬出口3から順次シート処理装置Cに向けて搬出される。循環経路9では、定着器8から表面側に印刷したシートを、スイッチバック経路10を介して表裏反転した後、再び画像形成部2に給送する。これによって、シートの表裏両面に印刷することができる。このようにして両面印刷されたシートは、スイッチバック経路10で表裏反転された後、搬出口3からシート処理装置Cに向けて搬出される。
【0012】
画像読取装置11では、プラテン12上にセットした原稿シートをスキャンユニット13で走査し、光電変換素子14を介して電気的に読み取る。この読み取られた画像データは、画像処理部(図示せず)によってデジタル処理等される。原稿送り装置15では、スタックトレイ16にセットした原稿シートをプラテン12に給送する。
【0013】
上記構成の画像形成装置Bには、制御部(図示せず)が設けられ、画像形成条件、例えばシートサイズ指定、カラー・モノクロ印刷指定、プリント部数指定、片面・両面印刷指定、拡大・縮小印刷指定などの印刷条件が設定される。
【0014】
本願発明のシート処理装置Cは、搬入口22から搬入ローラ対23を介して搬入されるシートをダイレクトに排紙する通常排紙手段と、処理トレイ28上の一端側に配置され、この処理トレイ28上のステープル位置にあるシートにステープルを施す後処理手段と、シートの後処理と排紙を制御する制御手段とを備えている。前記通常排紙手段は、画像形成装置Bによって画像が形成されたシートをスタックトレイ21a,21bのいずれかを指定して排紙する。本実施形態の後処理手段としては、ステープルユニット30を備え、画像形成装置Bによって画像が形成されたシートを複数束ねてステープル綴じ等の処理をした後、スタックトレイ21bに排紙する。
【0015】
前記搬入口22からはシート搬送方向の下流側に向けて搬送経路Rが延びており、この搬送経路Rは、上段のスタックトレイ21aに向かう第1排紙経路R1と、下段のスタックトレイ21bに向かう第2排紙経路R2とにフラッパRaを介して分岐している。前記第1排紙経路R1には、上流側に第1搬送ローラ対24、その下流側に第1排紙ローラ対25が配置されている。また、第2排紙経路R2には、上流側に第2搬送ローラ対26、その下流側で、搬出口29に向けて第2排紙ローラ対27が配置されている。前記第2搬送ローラ対26は、前記処理トレイ28の上方に配置され、処理トレイ28上にシートを搬送する。前記第2排紙ローラ対27は、前記処理トレイ28の他端側に配置され、処理トレイ28で後処理されたシート及び前記第2搬送ローラ対26からのシートを排紙する。
【0016】
前記第1搬送ローラ対24及び第1排紙ローラ対25は、それぞれ一方が図示しない駆動モータによって回転する駆動ローラ、他方が前記駆動ローラに従動して回転する従動ローラからなり、シートを圧接した状態でスタックトレイ21aに向けて排紙する。
【0017】
図2に示すように、第2搬送ローラ対26は、搬送モータMT1によって回転する駆動ローラ26aと、この駆動ローラ26aに従動して回転する従動ローラ26bとからなっている。第2排紙ローラ対27は、排紙モータMT2によって回転する上駆動ローラ27aと、スイッチバックモータMT4によって回転する下駆動ローラ27bとによって構成されている。
【0018】
前記第2排紙ローラ対27の上駆動ローラ27aは、前記第2搬送ローラ対26の駆動ローラ26aの回転軸26a1を支点として揺動可能な第1アーム32の一端に取り付けられている。また、前記第1アーム32は、リンク部材33及びラックピニオン34を介して圧接モータMT3に連結されており、この圧接モータMT3を駆動することによって、上駆動ローラ27aを下駆動ローラ27bに圧接する圧接位置と、離間した待機位置との間で上下移動可能となっている。
【0019】
その他、ステープルユニット30に関わる機構として、処理トレイ28に搬送されてくるシートを圧接してステープルユニット30に導く掻き込みローラ35を備えている。前記処理トレイ28は、合成樹脂プレートなどで形成され、上面がシートを積載支持するシート支持面28aとなっている。このシート支持面28aは、第2搬送ローラ対26の下流側に段差を形成して配置され、第2搬送ローラ対26からのシートを積載収容する。図2に示したように、シート支持面28aは、シートの排紙方向長さより短い長さ寸法に形成され、搬出口29からのシートの後端を支持し、シートの先端はスタックトレイ21bの最上シートの上に支持するようになっている。前記掻き込みローラ35は、昇降モータMT5によって回転する回転軸36を支点として揺動する第2アーム37の一端に取り付けられている。通常、前記掻き込みローラ35は、処理トレイ28上から離間した位置に待機しており、スイッチバックによる第2排紙ローラ対27の逆回転によって処理トレイ28にシートが搬入されてきたら下降してシート面に当接する。そして、シートの後端をステープルユニット30内の整合板38に整合させる。ここで整合させたシート束は、ステープルユニット30にてスープルされた後に、図5Dに示すように、グリッパ31によって挟持され、スタックトレイ21bに排紙される。前記搬送ベルト40は、一対のプーリ39によって架け渡され、ベルトモータMT6の駆動によって、グリッパ31を移動する。なお、ステープル処理の詳細は省略する。
【0020】
また、第2排紙経路R2の第2搬送ローラ対26の上流側近傍には、シートセンサSEが設けられている。このシートセンサSEは、第2排紙経路R2に搬入されてくるシートの先端を検出する。
【0021】
本願発明のシート処理装置Cは、第2搬送ローラ対26からのシートを処理トレイ28上で後処理(ステープル)を施し、ステープル処理されたシートをグリッパ31によってスタックトレイ21bに排紙するステープルモードと、第2搬送ローラ対26からのシートを第2排紙ローラ対27によって、そのままスタックトレイ21bに排紙するノンステープルモードとを備えている。本実施形態では、ノンステープルモードにおける第2スタックトレイ21bへのシート排紙動作時に第2排紙ローラ対27を離間状態から圧接状態に切り換え、さらに、シートの種類(普通紙と封筒)に応じて第2排紙ローラ対27の圧接タイミングを変更している。封筒の場合は、封筒の先端が第2排紙ローラ対27の圧接位置P2から第2スタックトレイ21bとの間の所定位置に到達したタイミングで、第2排紙ローラ対27を圧接する。これに対して、封筒以外のシートの場合は、シートの先端が第2スタックトレイ21bに到達した後に、第2排紙ローラ対27を圧接する。
【0022】
前記封筒の場合にあっては、封筒の表面側を下にしてスタックトレイ21bに排紙するが、第2排紙ローラ対27を離間した状態でシートを第2スタックトレイ21b上に排紙すると、スタックトレイ21bに先に積載されている封筒Sのフラップ部Sfに、次に排紙される封筒Sの先端Saが当たってしまうといった問題があった。これに対して、本願発明では、シートが第2スタックトレイ21bに排紙される前にシートを第2排紙ローラ対27で圧接して排紙することで、先の封筒Sのフラップ部Sfを避けて排紙することができる。
【0023】
図3A乃至図3Cは、ノンステープルモードにおける特定のシート以外のシート(普通紙)の排紙動作を示したものである。この動作では、図3Aに示したように、第2排紙ローラ対27は、離間した待機位置にあり、この状態でシートSの先端Saは、第2排紙ローラ対27の圧接位置P2の近傍まで送られる。次に、図3Bに示したように、圧接モータMT3が駆動を開始し、上駆動ローラ27aが下駆動ローラ27bに向けて下降する。この間にシートSの先端Saはスタックトレイ21b上に到達する位置P3まで送られる。そして、図3Cに示したように、シートSの先端Saが第2スタックトレイ21b上に到達した後であって、シートSの先端Sa側部分が第2スタックトレイ21b上に載った状態となったときに、第2排紙ローラ対27がシートSを圧接する。すなわち、封筒以外のシートSでは、シートSの先端Saが第2スタックトレイ21b上に到達した後に、第2排紙ローラ対27を圧接する。
【0024】
図4A乃至図4Cは、ノンステープルモードにおける特定のシート(封筒)の排紙動作を示したものである。この動作では、図4Aに示したように、第2排紙ローラ対27は、離間した待機位置にあり、この状態でシート(封筒)Sの先端Saは、第2搬送ローラ対26まで到達しない位置P4まで送られる。次に、図4Bに示したように、圧接モータMT3が駆動を開始し、上駆動ローラ27aが下駆動ローラ27bに向けて下降する。この間に封筒Sの先端Saは、第2排紙ローラ対27に到達し、第2排紙ローラ対27による圧接位置P2を若干通過した位置P5で上駆動ローラ27aと下駆動ローラ27bとが圧接する。すなわち、封筒では、封筒Sの先端Saがスタックトレイ21b上に到達する前に第2排紙ローラ対27を圧接する。その後、図4Cに示したように、先に積載されている封筒Sのフラップ部Sfに突き当ったり、引っ掛かったりすることなく後続の封筒Sがスムーズに排紙される。
【0025】
図5A乃至図5Dは、ステープルモードにおけるシートの掻き込み及び排紙動作を示したものである。このステープルモードでは、図5Aに示したように、第2排紙ローラ対27が離間した状態のまま、第2搬送ローラ対26によって、シートSの先端Saをスタックトレイ21b上に到達するまで送り動作を行う。そして、図5Bに示したように、シートSの後端Sbが第2搬送ローラ対26を通過し、処理トレイ28上に落下した後に第2排紙ローラ対27を圧接し、上駆動ローラ27a及び下駆動ローラ27bを排紙方向とは逆方向に回転する。このとき、掻き込みローラ35は、昇降モータMT5の駆動によって下降し、図5Cに示したように、処理トレイ28上のシートSをステープルユニット30の整合板38に導く。そして、所定枚数のシートSの整合が終了したら、ステープルユニット30にてステープル処理を行う。その後、図5Dに示したすように、ベルトモータMT6を駆動して、グリッパ31をスタックトレイ21b側に移動させてステープル処理されたシートSの束をスタックトレイ21b上に排紙する。
【0026】
以下、ノンステープルモードにおけるシート(普通紙、封筒)の排紙動作を、図3A乃至図3C図4A乃至図4Cを参照しつつ図6に示す動作フローチャートに基づき詳細に説明する。
画像形成装置Bからシート処理装置Cに向けてシート(普通紙又は封筒)が搬送され、画像形成装置Bの排紙動作が実行される(ST01)。なお、既にこの時点では画像形成装置Bからノンステープルモードの指令を受けている。画像形成装置Bから受けたシートがシートセンサSEで検出されると、搬送モータMT1、排紙モータMT2、スイッチバックモータMT4を駆動する(ST02-ST03)。そして、第2排紙ローラ対27の圧接動作を実行する(ST04)。第2排紙ローラ対27の圧接動作では、先ず排紙されてくるシートが普通紙であるか封筒であるかの判別を行う(ST04-1)。
【0027】
シートの種類が普通紙であれば、シートセンサSEがシートの先端を検出した時点からシートを第1の搬送量L1送った時点で圧接モータMT3の正転駆動を開始させる(ST04-2、ST04-4)(図3A参照)。そして、圧接モータMT3が前記所定量駆動した時点で圧接モータMT3を停止させる(ST04-5、ST04-6)。これによって、上駆動ローラ27aは、待機位置から圧接位置に移動し、上駆動ローラ27aと下駆動ローラ27bとが圧接する。この上駆動ローラ27aが移動する過程において、上駆動ローラ27aが圧接位置に到達する前に、シートの先端はスタックトレイ21bの積載面に到達(図3B参照)し、シートSの先端Sa部分がスタックトレイ21bの積載面上に載った状態となる(図3C参照)。なお、第1の搬送量L1は、図3Aに示すようにシートセンサSEの検出位置P1から第2排紙ローラ対27の圧接位置P2の下流側近傍に設定された距離に相当する搬送量である。
【0028】
一方、第2排紙ローラ対27の圧接動作において、シートの種類が封筒であれば、シートセンサSEがシートSの先端Saを検出した時点から第2の搬送量L2送った時点で圧接モータMT3の正転駆動を開始させる(ST04-3、ST04-4)(図4A参照)。そして、圧接モータMT3が前記所定量駆動した時点で圧接モータMT3を停止させる(ST04-5、ST04-6)。これによって、上駆動ローラ27aは、待機位置から圧接位置に移動し、上駆動ローラ27aと下駆動ローラ27bとが圧接する。このとき、シートSの先端Saは、圧接された第2排紙ローラ対27の圧接位置P2から若干下流に飛び出た位置にあり、第2スタックトレイ21bの載置面には到達していない(図4B参照)。したがって、シートの種類が封筒である場合、シートの先端は第2排紙ローラ対27が圧接した後に第2スタックトレイ21b上に送られる(図4C参照)。
【0029】
第2排紙ローラ対27は、通常は待機位置にあり、シートSの先端SaがシートセンサSEで検出された時点では既に離間状態にある。そして、第2排紙ローラ対27の圧接動作が完了した後、シートセンサSEにシートSの後端Sbが検出されると、その時点からシートSを第3の搬送量L3送り、搬送モータMT1、排紙モータMT2、スイッチバックモータMT4を停止する(ST05-ST07)。これによって、シートSは第2スタックトレイ21b上に排紙される。第3の搬送量L3は、シートSの後端Sbが第2スタックトレイ21b上に到達する距離に相当する搬送量に所定の量を加えた搬送量である。なお、第1、第2、第3の搬送量とは、シートを搬送するための第2搬送ローラ対26、第2排紙ローラ対27の駆動量(駆動時間)である。本実施形態では、第1、第2、第3の搬送量に相当するパルス数を予め設定し、搬送モータMT1、排紙モータMT2、スイッチバックモータMT4の駆動パルス数をカウントし、カウント値が設定された各パルスに到達したことで各搬送量を搬送したことを検出している。
【0030】
前記シートSが第2スタックトレイ21b上に排紙され、搬送モータMT1、排紙モータMT2、スイッチバックモータMT4を停止させた後に、圧接モータMT3を所定量逆転駆動して停止する(ST08-ST10)。これによって、上駆動ローラ27aは、圧接位置から待機位置に移動し、上駆動ローラ27aと下駆動ローラ27bとが離間する。
【0031】
以上説明したように、本願発明のシート処理装置は、ノンステープルモードにおける第2スタックトレイ21bへのシート排紙動作において、第2排紙ローラ対27を離間状態でシートの先端を通過させ、シートの先端が第2排紙ローラ対27を通過した後に第2排紙ローラ対27を圧接状態に切り換える構成となっている。これによって、スムーズな排紙が可能となる。さらに、排紙するシートの種類に応じて、第2排紙ローラ対27によるシートの圧接のタイミングを変更可能とした。ここで、前記シート材がフラップ部を有する封筒の場合には、封筒の先端が第2スタックトレイ21bに到達する前に第2排紙ローラ対27を圧接する。これによって、シートの種類が封筒であっても、スタックトレイ21b上における整列性を良好に保つことができる。
【符号の説明】
【0032】
A 画像形成システム
B 画像形成装置
C シート処理装置
R 搬送経路
Ra フラッパ
R1 第1排紙経路
R2 第2排紙経路
S シート(封筒)
Sa 先端
Sb 後端
Sf フラップ部
SE シートセンサ
MT1 搬送モータ
MT2 排紙モータ
MT3 圧接モータ
MT4 スイッチバックモータ
MT5 昇降モータ
MT6 ベルトモータ
1 給紙部
2 画像形成部
3 搬出口
11 画像読取装置
15 原稿送り装置
21a,21b スタックトレイ
22 搬入口
23 搬入ローラ対
24 第1搬送ローラ対
25 第1排紙ローラ対
26 第2搬送ローラ対
26a 駆動ローラ
26a1 回転軸
26b 従動ローラ
27 第2排紙ローラ対
27a 上駆動ローラ
27b 下駆動ローラ
28 処理トレイ
29 搬出口
30 ステープルユニット
31 グリッパ
32 第1アーム
33 リンク部材
34 ラックピニオン
35 掻き込みローラ
36 回転軸
37 第2アーム
38 整合板
39 プーリ
40 搬送ベルト
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6