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特開2022-44371流下装置、水質検査システムおよび水質検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044371
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】流下装置、水質検査システムおよび水質検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/06 20060101AFI20220310BHJP
   C02F 1/00 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
G01N15/06 E
G01N15/06 C
C02F1/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149962
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】福水 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】横山 知士
(72)【発明者】
【氏名】宮ノ下 友明
(57)【要約】
【課題】対象水の安定した水質検査を容易に行う。
【解決手段】流下している水をカメラを用いて撮像するための流下装置200であって、水処理装置に接続され、水処理装置から水が流入される流入部210と、流入部210に流入した水が流下するように、流入した水を排出する流下部230とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流下している水をカメラを用いて撮像するための流下装置であって、
水処理装置に接続され、前記水処理装置から水が流入される流入部と、
前記流入部に流入した水が流下するように、該水を排出する流下部とを有する流下装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流下装置において、
前記流下部は、前記流入した水を排出する排出口が鉛直方向下向きの管路形状であることを特徴とする流下装置。
【請求項3】
請求項2に記載の流下装置において、
前記排出口は、開口部分の断面が円形であることを特徴とする流下装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の流下装置において、
前記流入部から流入された水の流れ方向に対して垂直方向に流れを遮る遮蔽板と、
該遮蔽板によって流れを遮られた水を、前記流れ方向に対して垂直方向に導く第1の流路と、
該第1の流路から前記流下部へ前記水を導く第2の流路とを有する整流部をさらに有し、
前記流下部は、前記第2の流路に配置され、前記第1の流路と前記第2の流路との接続位置と同等の高さ、または該接続位置よりも高い位置に配置される流下装置。
【請求項5】
請求項4に記載の流下装置において、
前記流入部および前記流下部それぞれは、当該流下装置の互いに対向する側壁面に設けられ、
前記第2の流路は、前記第1の流路の下部から前記流下部へ前記水を導き、
前記遮蔽板は、当該流下装置内に鉛直方向に延びており、
前記接続位置は、前記遮蔽板の下方に位置する流下装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の流下装置において、
前記遮蔽板は、前記第1の流路と前記第2の流路との間に位置する流下装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の流下装置において、
前記流下部から流下する水と、当該流下装置の側壁面との間に背面板を有する流下装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の流下装置と、
前記流下部から流下された水を、空気層を介して撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が撮像した画像に基づいて、演算を行う演算装置とを有する水質検査システム。
【請求項9】
請求項8に記載の水質検査システムにおいて、
前記撮像装置の撮像範囲に光を照射する光源を複数有し、該複数の光源それぞれが前記撮像範囲を介して互いに対向する方向から光を照射する水質検査システム。
【請求項10】
水処理装置に接続された流入部から、前記水処理装置に貯留された水を流下装置に流入させる処理と、
前記流入部に流入された水を前記流下装置から流下するように排出させる処理と、
前記流下装置の外部に設けられた撮像装置が、前記流下装置から流下された水を撮像する処理と、
演算装置が、前記撮像した水の画像に基づいて、所定の演算を行う処理とを行う水質検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流下装置、水質検査システムおよび水質検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
浄水場や下水処理場、その他の水処理設備においては、処理を行った水の水質を測定する必要がある。例えば、測定対象水に光を照射し、測定対象水を透過した光を受光して受光強度と閾値との比較の結果を用いて、水質情報を得る水質センサが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-22083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような水質センサにおいては、測定対象水に含まれる懸濁物質等により水質センサが汚染されてしまう。そのため、水質センサの感度の低下や、メンテナンス頻度の増加等が生じてしまうという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、対象水の安定した水質検査を容易に行うことができる流下装置、水質検査システムおよび水質検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の流下装置は、
流下している水をカメラを用いて撮像するための流下装置であって、
水処理装置に接続され、前記水処理装置から水が流入される流入部と、
前記流入部に流入した水が流下するように、該水を排出する流下部とを有する。
【0007】
また、本発明の水質検査システムは、
流下している水をカメラを用いて撮像するための流下装置であって、
水処理装置に接続され、前記水処理装置から水が流入される流入部と、
前記流入部に流入した水が流下するように、該水を排出する流下部とを有する流下装置と、
前記流下部から流下された水を、空気層を介して撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が撮像した画像に基づいて、演算を行う演算装置とを有する。
【0008】
また、本発明の水質検査方法は、
水処理装置に接続された流入部から、前記水処理装置に貯留された水を流下装置に流入させる処理と、
前記流入部に流入された水を前記流下装置から流下するように排出させる処理と、
前記流下装置の外部に設けられた撮像装置が、前記流下装置から流下された水を撮像する処理と、
演算装置が、前記撮像した水の画像に基づいて、所定の演算を行う処理とを行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、対象水の安定した水質検査を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の水質検査システムの第1の実施の形態を示す図である。
図2図1に示した流下装置の内部構成の一例を示す図である。
図3】本発明の水質検査システムの第2の実施の形態を示す図である。
図4図3に示した流下装置の内部構成の一例を示す図である。
図5図4に示した流下装置の断面の一例を示す図である。
図6図3に示した撮像装置の撮像範囲に2台の光源が設けられた場合のその配置位置の一例を示す図である。
図7図3に示した演算装置が算出した特徴量と、懸濁物質濃度との相関の一例を示す図である。
図8】本発明の水質検査システムの第3の実施の形態を示す図である。
図9図8に示した流下装置の内部構成の一例を示す図である。
図10図9に示した流下装置の断面の一例を示す図である。
図11図10に示した流下装置をA方向から見た図である。
図12図10に示した流下装置をB方向から見た図である。
図13図9に示した流下装置の断面の他の例を示す図である。
図14図10に示した迂流機構が複数段接続された流下装置の断面の一例を示す図である。
図15】本発明の水質検査システムの第4の実施の形態を示す図である。
図16図15に示した流下装置の内部構成の一例を示す図である。
図17図16に示した流下装置の断面の一例を示す図である。
図18】本発明の水質検査システムの第1の適用例を示す図である。
図19】本発明の水質検査システムの第2の適用例を示す図である。
図20】本発明の水質検査システムの第3の適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0012】
図1は、本発明の水質検査システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における水質検査システムは図1に示すように、水処理装置100と、流下装置200と、撮像装置300と、演算装置400とを有する。
【0013】
水処理装置100は、懸濁物質を含む原水である被処理水が流入し、流入された被処理水を貯留する貯留槽であり、貯留された被処理水に対して外部から凝集剤が注入される反応槽でもある。流下装置200は、水処理装置100からの本ラインに接続され、水処理装置100からの水を整流する。撮像装置300は、流下装置200が整流した水の画像を撮像する。撮像装置300は、例えば、水の画像を撮像する画像センサ(カメラ)であっても良い。撮像装置300が、画像センサである場合、撮像装置300は、流下装置200が整流した水の画像をあらかじめ設定された時間間隔以下の時間間隔で撮像するカメラ(例えば、動画撮像用カメラ)であっても良い。撮像装置300として適応可能なカメラとしては、k8-USB(カトウ光研株式会社製)が挙げられる。撮像装置300としてハイスピードカメラを用いる場合、撮影速度(フレームレート)はより速い方が好ましく、60fps以上であることがより好ましい。撮像装置300の画素数はより大きい方が好ましく、130万画素以上であることがより好ましい。撮像装置300のシャッタースピードはより速い方が好ましく、1/8s以下であることがより好ましい。撮像装置300の撮影素子としては、CCDやCMOS等が挙げられ、特に制限はないが、白黒のCMOSと白黒の背面板(後述する)とを組み合わせることが好ましい。演算装置400は、撮像装置300が撮像した画像について所定の演算を行う。例えば、演算装置400は、撮像装置300が撮像した画像から特徴量(例えば、白色の部分の面積(白面積))を算出する。撮像装置300と演算装置400との接続は、互いの間で通信ができるものであれば良く、無線を用いた接続であっても良いし、有線を用いた接続であっても良い。また、撮像装置300と演算装置400とは、通信ネットワークを介して接続されていても良い。
【0014】
図2は、図1に示した流下装置200の内部構成の一例を示す図である。図1に示した流下装置200は図2に示すように、流入部210と、整流部220と、流下部230とを有する。なお、図2には、図1に示した流下装置200が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示す。
【0015】
流入部210は、水処理装置100に貯留された水が流れる本ラインと接続され、水処理装置100からの水が流入される。整流部220は、流入部210から流入された水を整流する。流下部230は、整流部220が整流した水を流下装置200の外部へ流下させる。これらの構成を有する流下装置200は、水処理装置100からの水が流れる本ラインに接続されたバルブであっても良い。
【0016】
このように、本形態の水質検査システムにおいては、水処理装置100からの処理水を流下装置200が整流し、整流された水を撮像装置300が撮像し、撮像した画像に基づいて、演算装置400が所定の演算を行う。そのため、対象水の安定した水質検査を容易に行うことができる。
(第2の実施の形態)
【0017】
図3は、本発明の水質検査システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態における水質検査システムは図3に示すように、水処理装置100と、流下装置201と、撮像装置300と、演算装置400とを有する。水処理装置100、撮像装置300および演算装置400それぞれは、第1の実施の形態におけるものと同じものである。
【0018】
図4は、図3に示した流下装置201の内部構成の一例を示す図である。図3に示した流下装置201は図4に示すように、流入部211と、整流部221と、流下部231とを有する。なお、図4には、図3に示した流下装置201が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示す。
【0019】
流入部211は、水処理装置100に貯留された水が流れる本ラインから分岐された分岐ラインと接続され、水処理装置100からの水の一部が流入される開口である。整流部221は、流入部211から流入された水を整流する。整流部221の具体的な整流構造については後述する。流下部231は、流入部211に流入した水を、当該水が流下するように流下装置201の外部へ排出する。具体的には、流下部231は、整流部221が整流した水を流下装置201の外部へ流下させる。
【0020】
図5は、図4に示した流下装置201の断面の一例を示す図である。図5に示すように、流入部211は、流下装置201の側壁面に設けられている。流下部231は、流下装置202の流入部211の設けられている側壁面と対向する側面に設けられている。流下部231の形状は、流下装置201に流入した水が流下装置201の外部に排出される排出口2312が、鉛直方向下向きとなる管路形状である。排出口2312の開口部分の断面は、円形である。これは、排出口2312から排出(流下)される水の断面の形状が円形になるようにするためである。流下部231には、流下する水の量を調整する開閉弁であるバルブ2311が設けられている。なお、バルブ2311が設けられていなくても良い。整流部221には、遮蔽板241と、2つの流路251,261とが設けられている。また、流下装置201の流下部231が設けられている側壁面の外側には、背面板271が設けられている。
【0021】
遮蔽板241は、流入部211から流入された水の流れ方向に対して垂直方向に水の流れを遮るように、流下装置201内に略鉛直方向に延びて配置されている。流路251は、流入部211から流入され、遮蔽板241で水平方向の流れを遮られた水を鉛直下方向(流入された水の流れ方向に対して垂直方向)へ導く第1の流路である。流路261は、流路251の下部から流下部231へ水を導く第2の流路である。このように、整流部221は、遮蔽板241と流路251,261とから構成される迂流機構を有する。この迂流機構は、流入部211から水平方向に流入された水の流れの向きを鉛直下方向へ変更させ、さらに鉛直上方向へ流れの向きを変更させて、流下部231へ導く機構である。流下部231は、流路261に配置され、流路251と流路261との接続位置よりも高く、且つ流入部211が配置されている高さよりも低い位置に配置される。なお、遮蔽板241のサイズは、流入部211の開口面積よりも大きいことが望ましく、取り付け位置は、遮蔽板241の下端が流下部231よりも低い位置になるような位置が望ましい。なお、流入部211が、流下装置201の下方(底部近くまたは底部)に設けられたものであっても良い。この場合、遮蔽板241を具備するものや、遮蔽板241を具備しないものであっても良い。
【0022】
また、流下部231が流下装置201の側面から水を鉛直方向下向きへ流下させる排出口2312へ流す形状であるため、流下部231と流下装置201の側壁面との間に隙間ができる。そのため、図5に示すように、排出口2312から鉛直下方向へ流下していく水と、背面板271との間に空気層ができる。また、撮像装置300は、流下部231から流下する水を、空気層を介して撮像する。つまり、流下部231から流下する水を介して撮像装置300と対向する位置に背面板271が設けられている。背面板271の色は、特に限定しないが、処理水による光の吸収や反射に対し、安定した画像データを取得するため白と黒との2色であることが好ましい。
【0023】
また、撮像装置300の撮像範囲に光源が光を照射するものであっても良い。図6は、図3に示した撮像装置300の撮像範囲に2台の光源が設けられた場合のその配置位置の一例を示す図である。図6に示すように、2つの光源500-1,500-2が、撮像装置300の撮像範囲に光を照射する。光源500-1と光源500-2とそれぞれは、撮像装置300が背面板271を背面として水を撮像する撮像範囲の、撮像装置300の撮像方向および水の流れの方向と直交する方向であって、互いに対向する方向から光を照射する。また、光源500-1から撮像範囲に流れる水までの距離と、光源500-2から撮像範囲に流れる水までの距離とが等しいものが好ましい。また、光源500-1が照射する光の強度と、光源500-2が照射する光の強度とが等しいものが好ましい。光源500-1,500-2から照射される光の強度は、5,000~100,000lxが好ましい。また、光源500-1,500-2から照射される照明の種類や、照射される光の波長は特に限定しない。また、検出したい物質の成分分析や分光器を使った分光測定を事前に実施することで、物質の検出精度を向上させても良い。
【0024】
演算装置400は、撮像装置300が撮像した画像の解析を行う。例えば、演算装置400は、撮像装置300が撮像した水の水質を検査するために、撮像装置300が撮像した画像の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて水の懸濁濃度を算出するものであっても良い。具体例を以下に挙げて説明する。演算装置400は、撮像装置300が撮像した静止画について、画像処理を行い、画像情報を数値化する。例えば、演算装置400は、撮像装置300が撮像した画像を二値化処理して、その結果得られた値に基づいて、水の懸濁物質濃度を算出するものであっても良い。その際、演算装置400は、複数の画像について二値化処理を行い、それぞれの数値を平均化して、その平均値に基づいて、水の懸濁物質濃度を算出するものであっても良い。
【0025】
図7は、図3に示した演算装置400が算出した特徴量と、懸濁物質濃度との相関の一例を示す図である。図7に示すように、画像から得られる白面積等の特徴量と懸濁物質濃度との相関があらかじめ算出されている。この相関に基づいて、演算装置400は撮像装置300が撮像した画像から算出した特徴量(白面積)と対応する懸濁物質濃度を得ることができる。演算装置400における演算方法は、これに限らず、撮像装置300が撮像した画像から水質を得るものであれば特に限定しない。
【0026】
なお、演算装置400は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等、演算処理を行うものであれば特に限定しない。
【0027】
このように、本形態の水質検査システムにおいては、流下装置201は、側壁面に設けられた流入部211から水平方向へ流入した水を、対向側の側壁面に設けられた流下部231から鉛直方向下向きへ流下させる。そのとき、流入部211から水平方向へ流入した水を鉛直方向に設けられた遮蔽板241を用いて流路251が鉛直下方向へ導き、流路251に接続された流路261が、その接続位置よりも高く、流入部211よりも低い位置の流下装置201の側壁面に設けられた流下部231へ導き、管路形状の流下部231に導かれた水が鉛直方向下向きに設けられた排出口2312から流下される。そして、断面の形状が円形である排出口2312から水が流下することで、断面の形状が円形となった水を撮像装置300が撮像し、撮像した画像に基づいて、演算装置400が所定の演算を行う。そのため、水処理装置100に貯留された水の水質を算出しやすい画像を得ることができ、対象水の安定した水質検査を容易に行うことができる。
(第3の実施の形態)
【0028】
図8は、本発明の水質検査システムの第3の実施の形態を示す図である。本形態における水質検査システムは図8に示すように、水処理装置100と、流下装置202と、撮像装置300と、演算装置400とを有する。水処理装置100、撮像装置300および演算装置400それぞれは、第1の実施の形態におけるものと同じものである。
【0029】
図9は、図8に示した流下装置202の内部構成の一例を示す図である。図8に示した流下装置202は図9に示すように、流入部211と、整流部221と、流下部232とを有する。なお、図9には、図8に示した流下装置202が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示す。
【0030】
流入部211は、水処理装置100に貯留された水が流れる本ラインから分岐された分岐ラインと接続され、水処理装置100からの水の一部が流入される開口である。整流部221は、流入部211から流入された水を整流する。整流部221の具体的な整流構造については後述する。流下部232は、整流部221が整流した水が流下装置202の外部へ流下する開口である。
【0031】
図10は、図9に示した流下装置202の断面の一例を示す図である。図10に示すように、流入部211は、流下装置202の側壁面に設けられている。流下部232は、流下装置202の流入部211の設けられている側壁面と対向する側面に設けられている。整流部221には、遮蔽板241と、2つの流路251,261とが設けられている。また、流下装置202の流下部232が設けられている側壁面の外側には、背面板271が設けられている。
【0032】
遮蔽板241は、流入部211から流入された水の流れ方向に対して垂直方向に水の流れを遮るように、流下装置202内に略鉛直方向に延びて配置されている。流路251は、流入部211から流入され、遮蔽板241で水平方向の流れを遮られた水を鉛直下方向(流入された水の流れ方向に対して垂直方向)へ導く第1の流路である。流路261は、流路251の下部から流下部232へ水を導く第2の流路である。このように、整流部221は、遮蔽板241と流路251,261とから構成される迂流機構を有する。この迂流機構は、流入部211から水平方向に流入された水の流れの向きを鉛直下方向へ変更させ、さらに鉛直上方向へ流れの向きを変更させて、流下部232へ導く機構である。流下部232は、流路261に配置され、流路251と流路261との接続位置よりも高く、且つ流入部211が配置されている高さよりも低い位置に配置される。なお、遮蔽板241のサイズは、流入部211の開口面積よりも大きいことが望ましく、取り付け位置は、遮蔽板241の下端が流下部232よりも低い位置になるような位置が望ましい。なお、流入部211が、流下装置202の下方(底部近くまたは底部)に設けられたものであっても良い。この場合、遮蔽板241を具備するものや、遮蔽板241を具備しないものであっても良い。
【0033】
図11は、図10に示した流下装置202をA方向から見た図である。図11に示すように、流下部232の開口部分の形状は水平方向に長い矩形状である。また、流下部232の開口部分の2つの短辺それぞれには、ガイド板281が設けられている。なお、流下部232の開口面積は、流入部211の開口面積よりも大きい。
【0034】
図12は、図10に示した流下装置202をB方向から見た図である。図12に示すように、図11に示したガイド板281は、流下部232から水が流下していく方向に向けて延びるように設けられている。流下部232から流下していく水は、流下部232が流下装置202の側面に設けられていることから、流下部232から水平方向に流出されるが、重力により、その流れの向きが滝のように鉛直下方向へ変化していく。ガイド板281の長さは、少なくとも水が流下部232から水平方向へ流出される長さである。このように、ガイド板281を設けることで、流下部232から水平方向に流出された水とガイド板281との間に水の表面張力が働き、水がガイド板281へ引き付けられ、流下装置202の流下部232が設けられている側面に沿った平たい状態で鉛直下方向へ流下していく。
【0035】
図13は、図9に示した流下装置202の断面の他の例を示す図である。図13に示すように、図10に示したガイド板281と比較して、鉛直下方向に延びたガイド板282を用いることで、流れがより安定し撮像しやすくなる効果が得られる。図13に示した例では、ガイド板282が、流下装置202の底部まで延びている。
【0036】
また、上述したように流下部232から水平方向に流出されるため、図14に示すように、その後鉛直下方向へ流下していく水と、背面板271との間に空気層ができる。また、撮像装置300は、流下部232から流下する水を、空気層を介して撮像する。つまり、流下部232から流下する水を介して撮像装置300と対向する位置に背面板271が設けられている。背面板271の色は、特に限定しないが、処理水による光の吸収や反射に対し、安定した画像データを取得するため白と黒との2色であることが好ましい。
【0037】
また、上述した迂流機構が複数段、接続されているものであっても良い。図14は、図10に示した迂流機構が複数段接続された流下装置の断面の一例を示す図である。図14に示した流下装置203の整流部222は、遮蔽板241を複数設け、流入部211から流入された水を流路251、流路252、流路253および流路254を介して流下部232へ導き、流下部232から流下させる。
【0038】
このように、本形態の水質検査システムにおいては、水処理装置100からの処理水を流下装置202が整流する。流下装置202は、側壁面に設けられた流入部211から水平方向へ流入した水を、鉛直方向に設けられた遮蔽板241を用いて流路251が鉛直下方向へ導き、流路251に接続された流路261が、その接続位置よりも高く、流入部211よりも低い位置の流下装置202の側壁面に設けられた流下部232へ導き、流下部232に導かれた水が流下部232から水平方向に流出される。そして、流下部232から水平方向に流出された後に、重力によって鉛直下方向に流下する水を撮像装置300が撮像し、撮像した画像に基づいて、演算装置400が所定の演算を行う。そのため、水処理装置100に貯留された水の水質を算出しやすい画像を得ることができ、対象水の安定した水質検査を容易に行うことができる。
(第4の実施の形態)
【0039】
図15は、本発明の水質検査システムの第4の実施の形態を示す図である。本形態における水質検査システムは図15に示すように、水処理装置100と、流下装置204と、撮像装置300と、演算装置400とを有する。水処理装置100、撮像装置300および演算装置400それぞれは、第1の実施の形態におけるものと同じものである。
【0040】
図16は、図15に示した流下装置204の内部構成の一例を示す図である。図15に示した流下装置204は図16に示すように、流入部211と、整流部221と、流下部233とを有する。なお、図16には、図15に示した流下装置204が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示す。流入部211および整流部221それぞれは、第2の実施の形態におけるものと同じである。
【0041】
図17は、図16に示した流下装置204の断面の一例を示す図である。第3の実施の形態における流下装置202と本形態における流下装置204との違いは、図10に示した流下部232の形状と図17に示した流下部233の形状との違いである。流下部233の形状は、筒状である。流下部233の形状は、例えば、蛇口のような円筒状(円柱状)であっても良い。また、流下部233の形状は、流下部233における水の流速が0.1~0.5m/secとなるような形状が好ましい。
【0042】
本形態を用いて、例えば、被処理水としてフロック(カオリンに凝集剤を添加して粗大化させたもの)が含まれる水道水を撮像装置300が撮像し、演算装置400が、撮像装置300が撮像した画像の白点数と懸濁物質濃度との相関を求めることで、図7に示したような相関をあらかじめ得ることができる。
【0043】
このように、本形態においては、第3の実施の形態における流下部232を筒状の形状を持つ流下部233にする。これにより、撮像装置300が撮像する画像がより安定する。流下部232の形状を筒状にすることで、水の表面張力が働くため、円柱状の水が形成され、水面の乱れを抑制することができる。円柱状の水は、薄膜状に流出させる第3の実施の形態よりも、撮像する画像の奥行きが増し、色の変化を大きくすることができ、懸濁物質濃度が低い水でも検出しやすくなる。
(適用例1)
【0044】
図18は、本発明の水質検査システムの第1の適用例を示す図である。図18に示す水質検査システムは、原水槽1001と、流下装置201と、撮像装置300と、演算装置400と、出力装置600と、反応槽1002と、凝集槽1003と、沈殿槽1004と、ポンプ701,702とを有する。原水槽1001に貯留されている水をポンプ701が反応槽1002へ送る。反応槽1002は、ポンプ701を用いて原水槽1001から送られてきた水が貯留され、無機凝集剤が注入される槽である。この無機凝集剤は、アルミニウム系(PAC、硫酸バンド等)、鉄系(ポリ鉄、塩化第二鉄)等が多く使われるが、これらに限定しない。凝集槽1003は、反応槽1002で処理された水が注入される槽である。凝集槽1003に貯留された水には、例えばポリマーが注入される。沈殿槽1004は、凝集槽1003で処理された水が注入される。沈殿槽1004にて、処理水と沈殿した沈殿物とに分離され、沈殿物はポンプ702によって沈殿槽1004の外部へ排泥される。
【0045】
流下装置201は、沈殿槽1004で処理された処理水を流入する位置に配置されている。流下装置201は、沈殿槽1004からの処理水の分岐ラインに接続されている。流下装置201から流下する水を撮像装置300が撮像する。撮像装置300が撮像した水の画像について演算装置400が画像処理を行い、その結果を出力装置600が出力する。出力装置600は、演算装置400が画像処理を行った結果を表示しても良いし、印刷しても良いし、他の装置へ送信しても良い。出力装置600が結果を表示する場合、出力装置600はディスプレイや、タッチパネル、移動通信端末等であっても良い。また、出力装置600は、演算装置400が演算した結果があらかじめ設定された条件を満たしていない場合、警告を出力するものであっても良い。演算装置400と出力装置600との接続は、互いの間で通信ができるものであれば良く、無線を用いた接続であっても良いし、有線を用いた接続であっても良い。また、演算装置400と出力装置600とは、通信ネットワークを介して接続されていても良い。なお、演算装置400が出力装置600の出力機能を具備するものであっても良い。
(適用例2)
【0046】
図19は、本発明の水質検査システムの第2の適用例を示す図である。図19に示す水質検査システムは、流下装置201が配置される位置が第1の適用例とは異なる。流下装置201は、沈殿槽1004で処理された処理水を流入する位置に配置されており、沈殿槽1004からの処理水の本ラインに接続されている。
(適用例3)
【0047】
図20は、本発明の水質検査システムの第3の適用例を示す図である。図20に示す水質検査システムは、流下装置201が配置される位置が第1の適用例とは異なる。流下装置201は、原水槽1001に貯留されている水を送るポンプ701と、反応槽1002との間に配置されている。ポンプ701が、原水槽1001に貯留されている水を流下装置201へ送る。
【0048】
上述した適用例1~3は、凝集沈澱を行うシステムであるが、懸濁物質や溶存成分など、水処理装置であればどのようなシステムでも良い。適用可能なシステムとして、例えば、凝集加圧浮上が挙げられる。また、適用例1~3では、流下装置201が適用されている例を示しているが、流下装置200,203,204のいずれかが適用されるものでも良い。
【0049】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、各実施の形態を組み合わせたものであっても良い。
【符号の説明】
【0050】
100 水処理装置
200,201,202,203,204 流下装置
210,211 流入部
220,221,222 整流部
230,231,232,233 流下部
241 遮蔽板
251~254,261 流路
271 背面板
281,282 ガイド板
300 撮像装置
400 演算装置
500-1,500-2 光源
600 出力装置
701,702 ポンプ
1001 原水槽
1002 反応槽
1003 凝集槽
1004 沈殿槽
2311 バルブ
2312 排出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20