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特開2022-44447ブレーキ付きモータ、モータシリーズの製造方法、及び検出装置付きモータ
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  • 特開-ブレーキ付きモータ、モータシリーズの製造方法、及び検出装置付きモータ 図1
  • 特開-ブレーキ付きモータ、モータシリーズの製造方法、及び検出装置付きモータ 図2
  • 特開-ブレーキ付きモータ、モータシリーズの製造方法、及び検出装置付きモータ 図3
  • 特開-ブレーキ付きモータ、モータシリーズの製造方法、及び検出装置付きモータ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044447
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】ブレーキ付きモータ、モータシリーズの製造方法、及び検出装置付きモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/106 20060101AFI20220310BHJP
   H02K 5/10 20060101ALN20220310BHJP
【FI】
H02K7/106
H02K5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150072
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】591218307
【氏名又は名称】株式会社ニッセイ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】飯島 正人
(72)【発明者】
【氏名】田中 良昌
(72)【発明者】
【氏名】都 圭二郎
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
5H605AA02
5H605BB05
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC02
5H605DD01
5H605DD05
5H605DD09
5H605DD17
5H605DD32
5H605EC01
5H607BB01
5H607BB14
5H607BB26
5H607CC03
5H607CC09
5H607DD03
5H607DD08
5H607DD09
5H607DD19
5H607EE08
5H607GG01
(57)【要約】
【課題】リード線を取り外す必要がなく、簡単にブレーキまたは検出装置等のメンテナンスができるブレーキ付きモータ、モータシリーズの製造方法、及び検出装置付きモータを提供することを目的とする。
【解決手段】内部にモータ軸が設けられたモータフレームと、モータ軸を制動するためのブレーキと、ブレーキが内部に収められており二分割可能に形成されている第1のブレーキカバー及び第2のブレーキカバーと、を備えており、第1のブレーキカバーには、軸方向に連通する連通孔が設けられており、ブレーキに接続されるブレーキリード線は連通孔を通過してモータフレームの内部に引き込まれている。第2のブレーキカバーを外すだけでブレーキのメンテナンスが出来るため、ブレーキリード線を取り外す必要がなく、メンテナンス作業が容易となる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にモータ軸が設けられたモータフレームと、
前記モータ軸を制動するためのブレーキと、
前記ブレーキが内部に収められており、二分割可能に形成されている第1のブレーキカバー及び第2のブレーキカバーと、
を備えており、
前記第1のブレーキカバーは前記モータフレームと前記ブレーキとの間に配置されており、
前記第2のブレーキカバーは前記ブレーキを挟んで前記第1のブレーキカバーとは反対側に配置されており、
前記第1のブレーキカバーには軸方向に連通する連通孔が設けられており、
前記ブレーキに接続されるブレーキリード線は前記連通孔を通過して前記モータフレーム内に引き込まれている
ことを特徴とするブレーキ付きモータ。
【請求項2】
前記第1のブレーキカバーと前記第2のブレーキカバーとの分割面は、前記モータ軸の軸心に垂直な方向から見て、前記ブレーキと重なる位置にある
ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキ付きモータ。
【請求項3】
前記ブレーキはブレーキコイルが内蔵されたブレーキフィールドを備え、
前記第1のブレーキカバーと前記第2のブレーキカバーとの分割面は、前記モータ軸の軸心に垂直な方向から見て、前記ブレーキフィールドと重なる位置にある
ことを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ付きモータ。
【請求項4】
前記モータフレームと前記第1のブレーキカバーとの間に配置され、前記モータ軸を軸受を介して回転可能に支持するモータブラケットを備え、
前記第1のブレーキカバーは前記モータブラケットに取り付けられており、
前記ブレーキは前記第1のブレーキカバーに取り付けられている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のブレーキ付きモータ。
【請求項5】
請求項4に記載のブレーキ付きモータと、当該ブレーキ付きモータから前記第2のブレーキカバー、前記ブレーキ、及び前記第1のブレーキカバーを除き、前記モータブラケットに前記ブレーキとは異なる第2のブレーキを取り付けた第2のブレーキ付きモータとを含んで構成されるモータシリーズの製造方法であって、
前記ブレーキ付きモータを製造する工程と、
前記ブレーキ付きモータで使用されるモータブラケットと同一形状のモータブラケットを用いて、前記第2のブレーキ付きモータを製造する工程と、
を実行することを特徴とするモータシリーズの製造方法。
【請求項6】
内部にモータ軸が設けられたモータフレームと、
前記モータ軸の回転を検出する検出装置と、
前記検出装置が内部に収められており、二分割可能に形成されている第1のカバー及び第2のカバーと、
を備えており、
前記第1のカバーは前記モータフレームと前記検出装置との間に配置されており、
前記第2のカバーは前記検出装置を挟んで前記第1のカバーとは反対側に配置されており、
前記第1のカバーには軸方向に連通する連通孔が設けられており、
前記検出装置に接続されるリード線は前記連通孔を通過して前記モータフレーム内に引き込まれている
ことを特徴とする検出装置付きモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキの調整が容易なブレーキを備えたブレーキ付きモータ、検出装置の調整が容易な検出装置付きモータ、及びブレーキ付きモータを含むモータシリーズの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、フレームとスペーサとの間にフレーム窓およびブラケット窓と連通する第1および第2リード穴と、第1および第2リード穴を連絡する連絡穴とを設けた中継パッキンを設け、電磁ブレーキのリード線を第1リード穴から連絡穴を介して第2リード穴に通した電磁ブレーキ付きモータが開示されている。この電磁ブレーキ付きモータによれば、固定子巻線のリード線をフレーム内に押し込んでも、電磁ブレーキのリード線は固定子巻線のリード線の影響を受けないようにしてあるので、フレーム窓の角や電磁ブレーキの回転部に押し付けられたり、傷をつけられることがなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-23609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、このような電磁ブレーキ付きモータでは、使用によってブレーキディスク(可動部)が摩耗すると、ブレーキフィールド(固定部)とアーマチュア(可動部)との間隔(ギャップ)が広くなり、アーマチュアへのブレーキコイルの吸引力が弱くなって制動の解除ができなくなる。よって、メンテナンスによりギャップを調整して適正値に維持する必要がある。特許文献1に記載の電磁ブレーキ付きモータでは、ギャップの調整作業をするためにはブラケットを外す必要があり、そのためにはブレーキのリード線を一旦外す作業が必要となるため、メンテナンスに手間がかかってしまう。
【0005】
また、特許文献1に記載の電磁ブレーキ付きモータにおいて、電磁ブレーキの代わりに、例えばモータ軸の回転を検出するエンコーダ等の検出装置を設け、エンコーダのリード線を同様に第1リード穴から連絡穴を介して第2リード穴に通した構造を考えた場合であっても、エンコーダのメンテナンス時にはブラケットを外す必要があり、同じくリード線を一旦外す作業が必要となるため、メンテナンスに手間がかかってしまう。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、リード線を外すことなく、簡単にブレーキまたは検出装置等のメンテナンスをすることができるブレーキ付きモータ、検出装置付きモータ、及びモータシリーズの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1記載のブレーキ付きモータは、内部にモータ軸が設けられたモータフレームと、前記モータ軸を制動するためのブレーキと、前記ブレーキが内部に収められており、二分割可能に形成されている第1のブレーキカバー及び第2のブレーキカバーと、を備えており、前記第1のブレーキカバーは前記モータフレームと前記ブレーキとの間に配置されており、前記第2のブレーキカバーは前記ブレーキを挟んで前記第1のブレーキカバーとは反対側に配置されており、前記第1のブレーキカバーには軸方向に連通する連通孔が設けられており、前記ブレーキに接続されるブレーキリード線は前記連通孔を通過して前記モータフレーム内に引き込まれていることを特徴とするものである。
また、請求項2記載のブレーキ付きモータは、請求項1に記載のブレーキ付きモータであって、更に、前記第1のブレーキカバーと前記第2のブレーキカバーとの分割面は、前記モータ軸の軸心に垂直な方向から見て、前記ブレーキと重なる位置にあることを特徴とするものである。
また、請求項3記載のブレーキ付きモータは、請求項1または2に記載のブレーキ付きモータであって、更に、前記ブレーキはブレーキコイルが内蔵されたブレーキフィールドを備え、前記第1のブレーキカバーと前記第2のブレーキカバーとの分割面は、前記モータ軸の軸心に垂直な方向から見て、前記ブレーキフィールドと重なる位置にあることを特徴とするものである。
また、請求項4記載のブレーキ付きモータは、請求項1から3のいずれか1項に記載のブレーキ付きモータであって、更に、前記モータフレームと前記第1のブレーキカバーとの間に配置され、前記モータ軸を軸受を介して回転可能に支持するモータブラケットを備え、前記第1のブレーキカバーは前記モータブラケットに取り付けられており、前記ブレーキは前記第1のブレーキカバーに取り付けられていることを特徴とするものである。
また、請求項5記載のモータシリーズの製造方法は、請求項4に記載のブレーキ付きモータと、当該ブレーキ付きモータから前記第2のブレーキカバー、前記ブレーキ、及び前記第1のブレーキカバーを除き、前記モータブラケットに前記ブレーキとは異なる第2のブレーキを取り付けた第2のブレーキ付きモータとを含んで構成されるモータシリーズの製造方法であって、前記ブレーキ付きモータを製造する工程と、前記ブレーキ付きモータで使用されるモータブラケットと同一形状のモータブラケットを用いて、前記第2のブレーキ付きモータを製造する工程と、を実行することを特徴とするものである。
また、請求項6記載の検出装置付きモータは、内部にモータ軸が設けられたモータフレームと、前記モータ軸の回転を検出する検出装置と、前記検出装置が内部に収められており、二分割可能に形成されている第1のカバー及び第2のカバーと、を備えており、前記第1のカバーは前記モータフレームと前記検出装置との間に配置されており、前記第2のカバーは前記検出装置を挟んで前記第1のカバーとは反対側に配置されており、前記第1のカバーには軸方向に連通する連通孔が設けられており、前記検出装置に接続されるリード線は前記連通孔を通過して前記モータフレーム内に引き込まれていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載のブレーキ付きモータによれば、ブレーキのメンテナンス時にブレーキリード線を外す必要がない。このため、ブレーキのメンテナンス作業が容易となる。
また、請求項2記載のブレーキ付きモータによれば、ブレーキのメンテナンス作業時に、第2のブレーキカバーを取り外すことで、第1のブレーキカバーからブレーキ部が露出する。このため、ブレーキのメンテナンス作業がより容易となる。
また、請求項3記載のブレーキ付きモータによれば、ブレーキのメンテナンス作業時に、第2のブレーキカバーを取り外すことで、第1のブレーキカバーからブレーキ部のうちアーマチュアが露出する。このため、ブレーキのメンテナンス作業がより容易となる。
また、請求項4記載のブレーキ付きモータによれば、ブレーキのメンテナンス時や交換時に、ブレーキ、第1のブレーキカバー、及び第2のブレーキカバーを外しても、モータブラケットによってモータ軸が支持されているため、モータ部が分解されることがない。このため、メンテナンス作業や交換作業が容易となる。
また、請求項5記載のモータシリーズの製造方法によれば、ブレーキ、第1のブレーキカバー、及び第2のブレーキカバーを除いた状態のモータモジュールとして在庫することができ、使用者の要求に応じて、第1及び第2のブレーキカバー付きのブレーキ付きモータと、ブレーキカバーの無いブレーキ付きモータとを選択して製造することができるため、生産性が良い。また、モータ軸やモータブラケットを共通化できるため、ブレーキの種類に応じたブレーキ付きモータの選択をコストダウンの効果が大きい構成で実現可能となる。
また、請求項6記載の検出装置付きモータによれば、検出装置のメンテナンス時にリード線を外す必要がない。このため、検出装置のメンテナンス作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態における防水機構を備えないブレーキ付きモータの説明図である。
図2】第1実施形態における防水機構を備えたブレーキ付きモータの説明図である。
図3】防水機構を備えたモータを含むモータシリーズの分解斜視図である。
図4】第2実施形態におけるエンコーダ付きモータの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
[ブレーキ付きモータの説明]
図1は、防水機構を備えないブレーキ付きモータ(減速機構付き)の説明図であり、ブレーキ部分のみ断面を表示している。このブレーキ付きモータ1Aは、筒状のモータフレーム2と、モータフレーム2の軸方向の一端側(負荷側,図1の右側)にギアブラケット3を介して接続されるギアヘッド4と、モータフレーム2の他端側(反負荷側,図1の左側)にモータブラケット5を介して接続されるファンカバー6Aと、ファンカバー6A内でモータブラケット5とファン7との間に設けられるブレーキ8Aと、モータフレーム2の外周面に設置された端子箱9とを備えている。
【0012】
モータフレーム2の内部には、図示しないステータとロータとからなるモータが収容され、ロータに結合されたモータ軸10が、ギアブラケット3とモータブラケット5とにそれぞれ保持された軸受11,11を介して軸心C0を中心として回転可能に支持されている。負荷側に突出するモータ軸10の端部は、ギアヘッド4内に設けられた図示しない減速機構の入力側と噛合している。減速機構の出力軸12は、ギアヘッド4から突出している。
【0013】
モータブラケット5には、軸方向に第一連通孔37が形成されており、ブレーキ8Aは、ブレーキフィールド14が第一連通孔37を塞ぐように、モータブラケット5に複数のボルト13,13・・によって固定されている。ブレーキ8Aは、反負荷側にリング状の凹部を開口させたブレーキフィールド14と、ブレーキフィールド14内に収容されてブレーキリード線15と電気的に接続されるブレーキコイル16と、ブレーキフィールド14の反負荷側に配置されるアーマチュア17とを備えている。ブレーキフィールド14の反負荷側の面には、図示しないスペーサを介して、リング状のサイドプレート18が固定されている。サイドプレート18は、図示しないギャップ調整ネジにより、ブレーキフィールド14との間隔(ギャップ)が調整可能となっている。アーマチュア17は、ボルト13に外周が係合して回転を規制された状態で軸方向へ移動可能に支持されるが、ブレーキフィールド14に設けられた図示しないコイルバネによって、サイドプレート18側へ付勢されている。モータブラケット5の外周とファンカバー6Aとの間には、隙間が設けられており、ブレーキリード線15はこの隙間を通ってファンカバー6Aの外部へ引き出されている。
【0014】
モータ軸10の反負荷側の端部にはキー溝22が軸方向に形成されている。モータ軸10の反負荷側の端部はファンカバー6A内に突出し、アーマチュア17とサイドプレート18との間には、円盤状のブレーキディスク19が設けられて、このブレーキディスク19が、ブレーキハブ20Aを介してモータ軸10の反負荷側の端部と回転方向で一体に結合されている。このブレーキハブ20Aは、外周にブレーキディスク19の中心孔が嵌合する複数の平面を有する筒体で、中心には、モータ軸10の端部に隙間嵌めで嵌合する貫通孔21が形成されている。貫通孔21の内面には、モータ軸10のキー溝22に対応するキー溝が形成されている。さらに、ブレーキハブ20Aの外周には、ネジ穴23,24が、ブレーキハブ20Aの軸方向に並んで形成されており、それぞれ内面のキー溝と連通している。
【0015】
ブレーキハブ20Aは、モータ軸10の端部を貫通孔21に嵌合挿入させた状態で、キー溝22と貫通孔21内面のキー溝とに跨がってキー25を嵌合させ、ネジ穴23から螺合させた止めネジ26をキー25に押圧させることで、モータ軸10と一体にキー結合されている。このブレーキハブ20Aは、ブレーキ8Aのブレーキフィールド14、アーマチュア17、サイドプレート18、及びブレーキディスク19の中心を貫通して反負荷側に突出している。
【0016】
反負荷側に突出するブレーキハブ20Aの先端には、延長軸27Aを介してファン7が結合される。この延長軸27Aは、一端をブレーキハブ20Aの貫通孔21に嵌合させた状態で、ネジ穴24から螺合させた止めネジ28を、延長軸27Aの一端に設けた凹部に係止させることで、他端を突出させた状態で、ブレーキハブ20Aを介してモータ軸10と一体に結合される。そして、突出した他端にファン7の嵌合孔29を嵌合させて、その外側でファン7の羽根の間から中心側へ螺合させた止めネジ30を、延長軸27Aの他端に係止させることで、ファン7と一体に結合されることになる。
【0017】
以上の如く構成されたブレーキ付きモータ1Aにおいては、OFF状態でのアーマチュア17は、コイルバネの付勢によって反負荷側へ移動して、ブレーキディスク19をサイドプレート18に押し付ける。よって、モータ軸10には、ブレーキディスク19及びブレーキハブ20Aを介して制動がかけられた状態となる。ここで給電によってONすると、ブレーキリード線15を介してブレーキコイル16に給電されてブレーキコイル16に電磁力による吸引力が発生するため、アーマチュア17は、コイルバネの付勢に抗して負荷側へ移動してブレーキディスク19から離間する。よって、モータ軸10の制動が解除されたロータが回転し、減速機構を介して出力軸12が減速回転することになる。
【0018】
なお、ファンカバー6Aにおけるファン7との対向部分には、図示しない吸気口が形成されているため、モータ軸10の回転に伴ってファン7が回転すると、ファンカバー6A内で空気がファン7の外周側へ導かれて、モータブラケット5の外周とファンカバー6Aとの隙間を通ってモータフレーム2の表面及びギアヘッド4の表面を冷却するようになっている。
【0019】
[防水機構を備えたブレーキ付きモータの説明]
図2は、防水機構を付加したブレーキ付きモータ1Bを示している。ここではモータブラケット5の反負荷側の面に、ブレーキフィールド14を保持してブレーキ8Bの外側を覆う短筒状の防水スペーサ31がボルト止めされて、モータブラケット5と防水スペーサ31との接触面には、Oリング32が設けられている。モータブラケット5の負荷側でモータ軸10の貫通部分には、オイルシール33が設けられている。
【0020】
また、防水スペーサ31の反負荷側には、ブレーキ8Bを覆う防水カバー34がボルト止めされて、防水スペーサ31と防水カバー34との間にもOリング35が設けられている。防水スペーサ31と防水カバー34との分割面36は、モータ軸10の軸心C0に垂直な方向から見て、ブレーキフィールド14と重なる位置にある。防水スペーサ31には、モータブラケット5の第一連通孔37と重なる位置に、軸方向に第二連通孔38が設けられており、ブレーキリード線15は第二連通孔38及び第一連通孔37を通って、モータフレーム2の内部に引き込まれている。第二連通孔38及び第一連通孔37と、ブレーキリード線15との隙間を、必要に応じてゴムブッシュ等で塞ぐことにより、ブレーキ8Bから発生する摩耗粉等がモータフレーム2内部に侵入することを防ぐことができる。また、モータフレーム2の内部に引き込まれたブレーキリード線15は、モータフレーム2の内部を通り、ステータのリード線と一緒に、端子箱9の内部に設けられた図示しない端子台へと接続されている。
【0021】
ここでのブレーキハブ20Bは、図3にも示すように、ブレーキ付きモータ1Aで用いたブレーキハブ20Aよりも軸方向に長く形成されて、延長軸27Bも、防水カバー34を貫通する中間部が設けられて軸方向に長くなっている。また、ブレーキ8Bは、ブレーキ付きモータ1Aで用いたブレーキ8Aよりも径方向に小さく、軸方向に厚く形成されている。
【0022】
延長軸27Bにおける防水カバー34を貫通している部分には、オイルシール39が設けられ、防水カバー34とファン7との間には、Vリング40が外装されており、防水スペーサ31と防水カバー34とによって、ブレーキ8B部に水等が進入しないような防水構造となっている。ファンカバー6Bはブレーキ付きモータ1Aのファンカバー6Aよりも軸方向に長く(深く)形成されている。
【0023】
図3にも示すように、防水機構を備えたブレーキ付きモータ1Bは、ファンカバー6B、ブレーキ8B、ブレーキハブ20B、防水スペーサ31、防水カバー34、及び延長軸27Bを除く他の構成はブレーキ付きモータ1Aと同じとなっている。よって、ブレーキ付きモータ1Aと、防水機構を備えたブレーキ付きモータ1Bとを含んで構成されるモータシリーズを製造する際には、ブレーキ付きモータ1Aを製造する工程(モータ軸10の端部にブレーキハブ20A及び延長軸27Aを取り付け、モータブラケット5の反負荷側にブレーキ8Aを組み付け、延長軸27Aにファン7を取り付けてファンカバー6Aを被せる工程)と、防水機構を備えたブレーキ付きモータ1Bを製造する工程(モータ軸10の端部にブレーキハブ20B及び延長軸27Bを取り付け、モータブラケット5の反負荷側に防水スペーサ31、ブレーキ8B、及び防水カバー34を組み付け、延長軸27Bにファン7を取り付けてファンカバー6Bを被せる工程)とを実行すればよい。
【0024】
このように、上記形態のモータシリーズの製造方法によれば、モータフレーム2、ギアブラケット3、ギアヘッド4、モータブラケット5、及びモータ軸10までを共通化できるため、最小限のモータ部分をモジュールとして在庫することができる。例えば防水機構が必要無いブレーキ付きモータの受注に対しては、ブレーキ付きモータ1Aを製造する工程を実行すれば完成し、防水機構が必要なブレーキ付きモータの受注に対しては、ブレーキ付きモータ1Bを製造する工程を実行すれば完成する。よって、製造面でも短納期対応が可能となり、防水機構を備えないブレーキ付きモータと防水機構を備えるブレーキ付きモータとの選択を、コストダウンの効果が大きい構成で実現することができる。
【0025】
また、防水機構を備えたブレーキ付きモータ1Bによれば、防水スペーサ31に設けられた第二連通孔38及びモータブラケット5に設けられた第一連通孔37を通してブレーキリード線15がモータフレーム2の内部に引き込まれるため、ブレーキギャップのメンテナンス時にもブレーキリード線15を取り外す必要がない。このため、メンテナンス作業が簡単になる。
【0026】
また、防水機構を備えたブレーキ付きモータ1Bによれば、ブレーキ8Bのメンテナンス時に、防水カバー34を取り外すことで、防水スペーサ31の端面からブレーキ部が露出する。このため、ブレーキ8Bのメンテナンス作業がより簡単になる。
【0027】
また、防水機構を備えたブレーキ付きモータ1Bによれば、防水スペーサ31と防水カバー34との分割面36は、モータ軸10の軸心C0に垂直な方向から見て、ブレーキフィールド14と重なる位置にある。このため、ブレーキ8Bのメンテナンス時に、防水カバー34を取り外すことで、防水スペーサ31の端面からアーマチュア17が露出する。このため、ブレーキ8Bのメンテナンス作業がより簡単になる。
【0028】
また、ブレーキ付きモータ1A及び防水機構を備えたブレーキ付きモータ1Bによれば、モータ軸10は軸受11を介してギアブラケット3及びモータブラケット5に軸支されている。このため、例えばブレーキ部品の交換等のメンテナンス時において、ブレーキ8A、またはブレーキ8B及び防水スペーサ31を取り外した場合であっても、モータブラケット5によりモータ軸10は保持されているため、モータ部が分解されることなく作業をすることができる。
【0029】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図4を参照して説明する。図4は、第2実施形態におけるエンコーダ付きモータ1Cの説明図であり、図2に対応する図面である。第2実施形態におけるエンコーダ付きモータ1Cの構造は、ブレーキ8Bの代わりにエンコーダ41を備えている点が、第1実施形態とは異なる。上記を除くエンコーダ付きモータ1Cの構成については、上述の第1実施形態におけるブレーキ付きモータ1Bと同様なので、詳細な説明は省略する。
【0030】
エンコーダ付きモータ1Cにおいては、ブレーキハブ20Bの外周面に、モータ軸10の回転を検出するためのエンコーダ41が取り付けられている。エンコーダ41は防水スペーサ31にネジ43により回転止めされて、エンコーダ41のリード線42は第二連通孔38及び第一連通孔37を通ってモータフレーム2の内部に引き込まれている。モータフレーム2の内部に引き込まれたリード線42は、モータフレーム2の内部を通り、ステータのリード線と一緒に、端子箱9の内部に設けられた図示しない端子台へと接続されている。また、図3にも示すように、ブレーキ付きモータ1Bからブレーキ8Bを除き、代わりにエンコーダ41を取り付けることで、ブレーキ付きモータ1Bをエンコーダ付きモータ1Cに変更することもできる。
【0031】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得る。上記形態のエンコーダ付きモータ1Cによれば、防水スペーサ31に設けられた第二連通孔38及びモータブラケット5に設けられた第一連通孔37を通してエンコーダ41のリード線42がモータフレーム2の内部に引き込まれるため、エンコーダ41のメンテナンス時に防水カバー34を取り外す際に、リード線42を取り外す必要がない。このため、メンテナンス作業が簡単になる。
【0032】
[本発明と実施形態との構成の対応関係]
本実施形態のブレーキ付きモータ1Aは、本発明の第2のブレーキ付きモータの一例である。本実施形態のエンコーダ付きモータ1Cは、本発明の検出装置付きモータの一例である。本実施形態のブレーキ8Aは、本発明の第2のブレーキの一例である。本実施形態の防水スペーサ31は、本発明の第1のブレーキカバー及び第1のカバーの一例である。本実施形態の防水カバー34は、本発明の第2のブレーキカバー及び第2のカバーの一例である。本実施形態の第二連通孔38は、本発明の連通孔の一例である。本実施形態のエンコーダ41は、本発明の検出装置の一例である。
【符号の説明】
【0033】
1A,1B ブレーキ付きモータ
1C エンコーダ付きモータ
2 モータフレーム
5 モータブラケット
8A,8B ブレーキ
10 モータ軸
11 軸受
14 ブレーキフィールド
15 ブレーキリード線
16 ブレーキコイル
31 防水スペーサ
34 防水カバー
36 分割面
37 第一連通孔
38 第二連通孔
41 エンコーダ
42 リード線
C0 軸心
図1
図2
図3
図4