(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044476
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】搬送具
(51)【国際特許分類】
A45C 7/00 20060101AFI20220310BHJP
A45C 3/00 20060101ALI20220310BHJP
A45C 11/00 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
A45C7/00 N
A45C3/00 P
A45C11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150109
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】503277259
【氏名又は名称】株式会社ビッグウイング
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 尚子
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA51
3B045BA00
3B045CB05
3B045DA00
(57)【要約】
【課題】比較的大きな搬送物であっても安定的に搬送することを可能とする、搬送具を提供する。
【解決手段】搬送具1は、一対の保持部材2・2と、把持部材3・3と、保持部材2・2を連結する連結部材4と、を備え、連結部材4は、一端部に被係合部材43aが固定され、他端側に被係合部材43aと係合可能な係合部材43bが設けられ、一対の保持部材2・2は、連結部材4における被係合部材43aと係合部材43bとが係合することにより互いに連結され、連結部材4における係合部材43bの位置を調節可能とすることにより、一対の保持部材2・2の相対距離が変更可能とされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の保持部材と、前記一対の保持部材を吊下げる把持部材と、前記一対の保持部材を連結する連結部材と、を備えた搬送具であって、
それぞれの前記保持部材は、二枚の矩形の布体が底辺で接合され、前記底辺に隣接する一側辺には二枚の前記布体の少なくとも一部が接合された閉塞辺が形成され、前記閉塞辺の反対側における他側辺には開放辺が形成され、前記底辺の反対側には上側開口辺が形成され、
一対の前記保持部材は、互いに前記開放辺が対向する姿勢で配置され、
前記把持部材は、それぞれの前記保持部材において、前記開放辺と同じ方向に前記底辺の下側に巻回された状態で固定される、二本の帯状体であって、
一の前記保持部材に固定された前記把持部材が、他の前記保持部材に固定された前記把持部材と互いに連結されることにより二本の把持部が形成され、
前記連結部材は、前記一対の保持部材において、前記上側開口辺と同じ方向に前記閉塞辺の外側に巻回される、少なくとも一本の帯状体であって、
前記連結部材は、一端部に被係合部材が固定され、他端側に前記被係合部材と係合可能な係合部材が設けられ、
前記一対の保持部材は、前記連結部材における前記被係合部材と前記係合部材とが係合することにより互いに連結され、
前記連結部材における前記係合部材の位置を調節可能とすることにより、一対の前記保持部材の相対距離が変更可能とされる、搬送具。
【請求項2】
一の前記保持部材に固定された前記把持部材と、他の前記保持部材に固定された前記把持部材と、の連結箇所を調節可能とすることにより前記把持部の長さが変更可能とされる、請求項1に記載の搬送具。
【請求項3】
一の前記保持部材に固定された前記把持部材と、他の前記保持部材に固定された前記把持部材と、のそれぞれが、一端部に連結具を備えるとともに、他端側には前記連結具に連結される被連結部が形成される、請求項1又は請求項2に記載の搬送具。
【請求項4】
一の前記保持部材に固定された前記把持部材は両端部に連結具を備え、他の前記保持部材に固定された前記把持部材の両端部には前記連結具に連結される被連結部が形成される、請求項1又は請求項2に記載の搬送具。
【請求項5】
前記連結部材における前記被係合部材の近傍は、前記把持部材により前記保持部材に固定される、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の搬送具。
【請求項6】
前記連結部材の中途部には、前記連結部材に巻回されるとともに前記連結部材の長手方向の位置を変位可能なループ部材が設けられ、
前記ループ部材は、前記連結部材の他端部が挿入可能とされる、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の搬送具。
【請求項7】
前記保持部材における前記閉塞辺の下端部には、二枚の前記布体が接合されない開口部が形成される、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の搬送具。
【請求項8】
前記一対の保持部材のうち何れか一方には、当該保持部材と同形状の内袋が当該保持部材の前記開放辺に沿って固定され、
前記内袋は、前記一対の保持部材を近接させた際に他方の前記保持部材の内部に展開可能とされる、請求項1から請求項7の何れか1項に記載の搬送具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアウトドアテーブル等の比較的大きな搬送物を搬送可能な搬送具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞄などの搬送具において、搬送物を収容する部分をベルト等で締め付けることにより容量を可変とする構成が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、シートを折りたたむことにより容量を可変とする鞄が記載されている。
【0003】
また、被搬送物を搬送しているときに搬送物の外観意匠を外に表すことを可能とする搬送具が知られている(例えば、特許文献2を参照)。特許文献1には、底支持部、側支持部並びに第1及び第2接続部の縁で囲まれる領域に開口が設けた搬送具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5721844号公報
【特許文献2】特開2019-69806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載の鞄においては、人が背負って用いる大きさであるため、アウトドアテーブルのように比較的大きな搬送物を搬送することは難しい。また、仮に鞄の寸法をアウトドアテーブルが収容できる程度に大きくした場合でも、鞄の内部にアウトドアテーブルを挿入する作業が煩雑になる。このため、特許文献1に記載の鞄の構成は大きな搬送物の搬送には適していなかった。
【0006】
一方、前記特許文献2に記載の搬送具によれば、搬送物が搬送具から表出した状態で搬送することができる。このような搬送具を二個用いて、アウトドアテーブルのように比較的大きな搬送物を搬送した場合、搬送物が搬送具において変位するため安定的に搬送することができない。このため、大きな搬送物の搬送に特許文献2に記載の搬送具を採用することは難しかった。
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、比較的大きな搬送物であっても安定的に搬送することを可能とする、搬送具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
本発明に係る搬送具は、一対の保持部材と、前記一対の保持部材を吊下げる把持部材と、前記一対の保持部材を連結する連結部材と、を備えた搬送具であって、それぞれの前記保持部材は、二枚の矩形の布体が底辺で接合され、前記底辺に隣接する一側辺には二枚の前記布体の少なくとも一部が接合された閉塞辺が形成され、前記閉塞辺の反対側における他側辺には開放辺が形成され、前記底辺の反対側には上側開口辺が形成され、一対の前記保持部材は、互いに前記開放辺が対向する姿勢で配置され、前記把持部材は、それぞれの前記保持部材において、前記開放辺と同じ方向に前記底辺の下側に巻回された状態で固定される、二本の帯状体であって、一の前記保持部材に固定された前記把持部材が、他の前記保持部材に固定された前記把持部材と互いに連結されることにより二本の把持部が形成され、前記連結部材は、前記一対の保持部材において、前記上側開口辺と同じ方向に前記閉塞辺の外側に巻回される、少なくとも一本の帯状体であって、前記連結部材は、一端部に被係合部材が固定され、他端側に前記被係合部材と係合可能な係合部材が設けられ、前記一対の保持部材は、前記連結部材における前記被係合部材と前記係合部材とが係合することにより互いに連結され、前記連結部材における前記係合部材の位置を調節可能とすることにより、一対の前記保持部材の相対距離が変更可能とされる。
【0010】
また、本発明に係る搬送具において、一の前記保持部材に固定された前記把持部材と、他の前記保持部材に固定された前記把持部材と、の連結箇所を調節可能とすることにより前記把持部の長さが変更可能とされることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る搬送具において、一の前記保持部材に固定された前記把持部材と、他の前記保持部材に固定された前記把持部材と、のそれぞれが、一端部に連結具を備えるとともに、他端側には前記連結具に連結される被連結部が形成されることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る搬送具において、一の前記保持部材に固定された前記把持部材は両端部に連結具を備え、他の前記保持部材に固定された前記把持部材の両端部には前記連結具に連結される被連結部が形成されることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る搬送具において、前記連結部材における前記被係合部材の近傍は、前記把持部材により前記保持部材に固定されることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る搬送具において、前記連結部材の中途部には、前記連結部材に巻回されるとともに前記連結部材の長手方向の位置を変位可能なループ部材が設けられ、前記ループ部材は、前記連結部材の他端部が挿入可能とされることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る搬送具において、前記保持部材における前記閉塞辺の下端部には、二枚の前記布体が接合されない開口部が形成されることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る搬送具において、前記一対の保持部材のうち何れか一方には、当該保持部材と同形状の内袋が当該保持部材の前記開放辺に沿って固定され、前記内袋は、前記一対の保持部材を近接させた際に他方の前記保持部材の内部に展開可能とされることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る搬送具によれば、比較的大きな搬送物であっても安定的に搬送することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第一実施形態に係る搬送具の構成を示す斜視図。
【
図2】第一実施形態に係る搬送具の連結状態を示す斜視図。
【
図3】第一実施形態に係る搬送具の第一使用状態を示す斜視図。
【
図4】第一実施形態に係る搬送具の第二使用状態を示す斜視図。
【
図5】第一実施形態に係る搬送具の第二使用状態を示す部分平面図。
【
図6】第一実施形態に係る搬送具の第三使用状態を示す斜視図。
【
図7】第二実施形態に係る搬送具の構成を示す斜視図。
【
図8】第二実施形態に係る搬送具の使用状態を示す斜視図。
【
図9】第三実施形態に係る搬送具の使用状態を示す斜視図。
【
図10】(a)から(c)はそれぞれ、第三実施形態に係る搬送具の組付構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態に係る搬送具1について、
図1から
図6を用いて説明する。以下の説明においては、
図1に示す矢印を用いて搬送具1の前後左右方向を規定する(
図7及び
図9についても同様)。
図1及び
図2に示す如く、搬送具1は、防水帆布生地で形成された左右一対の保持部材2・2と、一対の保持部材2・2を吊下げる把持部材3・3と、一対の保持部材2・2を連結する連結部材4・4と、を備える。
【0020】
本実施形態において、一対の保持部材2・2は左右対称形状に形成される点以外についてはほぼ同形状に形成されている。以下では、搬送具1における左側に配置される保持部材2を第一保持部材2A、右側に配置される保持部材2を第二保持部材2Bとして説明する。
図3(第一使用状態)、
図4(第二使用状態)、及び
図6(第三使用状態)に示す如く、搬送具1は第一保持部材2Aと第二保持部材2Bとの相対距離が無段階に可変とされることにより、搬送物の大きさに応じて左右方向の大きさを変更することが可能とされる。
【0021】
図2に示す如く、それぞれの保持部材2は、前後方向に重ねられる二枚の矩形の布体が、下辺である底辺21で接合されて形成されている。また、底辺21に隣接する一側辺には二枚の布体の少なくとも一部が接合された閉塞辺22が形成されている。本実施形態に係る保持部材は、一枚の布体を底辺21で略半分に折り返すとともに、閉塞辺22で縫い合わせることで接合している。
図2に示す如く、本実施形態における保持部材2における閉塞辺22の下端部には、二枚の布体が接合されない開口部25が形成されている。
【0022】
このように、本発明における「接合」の文言は、一枚の布体が折り返されることによって連続する場合についても含まれるものである。即ち、保持部材2において一枚の布体を閉塞辺で略半分に折り返して底辺で縫い合わせる構成とすることも可能である。また、二枚の布体を底辺及び閉塞辺のそれぞれで縫い合わせて保持部材2を構成しても差し支えない。なお、保持部材2における接合方法は縫合に限定されるものではなく、接着やリベット止め等、他の方法を採用することも可能である。
【0023】
図2に示す如く、保持部材2における閉塞辺22の反対側における他側辺には開放辺23が形成されている。また、底辺21の反対側である上辺には上側開口辺24が形成されている。そして、一対の保持部材2・2は、互いに開放辺23が対向する姿勢で配置される。詳細には、左側に配置される第一保持部材2Aは開放辺23を右側方に向け、右側に配置される第二保持部材2Bは開放辺23を左側方に向けて配置される。
【0024】
把持部材3は、それぞれの保持部材2において、開放辺23と同じ上下方向に底辺21の下側に巻回された状態で固定される帯状体である。把持部材3は二個の保持部材2のそれぞれに、計二本設けられる。本実施形態においては、第一保持部材2Aに設けられる把持部材3を第一把持部材3A、第二保持部材2Bに設けられる把持部材3を第二把持部材3Bとして説明する。
【0025】
図1に示す如く、第一把持部材3Aは第一保持部材2Aの後面における上側開口辺24の近傍に固定端31が設けられ、底辺21の下側から前側に巻回されて前面の上側開口辺24から自由端32が上方に延出される。一方、第二把持部材3Bは第二保持部材2Bの前面における上側開口辺24の近傍に固定端31が設けられ、底辺21の下側から後側に巻回されて後面の上側開口辺24から自由端32が上方に延出される。
【0026】
それぞれの把持部材3・3における固定端31には連結具33が設けられる。また、それぞれの把持部材3・3における上側開口辺24の近傍は保持部材2に縫い合わされて固定部34が形成される。
図2に示す如く、自由端32の側には連結具33に連結される被連結部が形成される。
【0027】
図2に示す如く、第一把持部材3Aの自由端32が第二把持部材3Bの固定端31に設けられた連結具33に挿入される。同様に、第二把持部材3Bの自由端32が第一把持部材3Aの固定端31に設けられた連結具33に挿入される。これにより、第一把持部材3Aと第二把持部材3Bとがそれぞれの端部で互いに連結され、把持部材3・3における自由端32・32の中途部が二本の把持部5・5として形成される。本実施形態に係る搬送具1の使用者は、把持部5・5を肩に掛けることにより搬送物を搬送するのである。
【0028】
本実施形態に係る搬送具1において、第一把持部材3Aと第二把持部材3Bとの連結箇所が調節可能とされている。具体的には
図3及び
図4に示す如く、連結具33に挿入する自由端32の長さを調節して、第一把持部材3Aと第二把持部材3Bとの連結箇所を調節することにより、把持部5・5の長さを変更可能としている。
【0029】
連結部材4は、一対の保持部材2・2において上側開口辺24と同じ左右方向に、閉塞辺22の外側に巻回される帯状体である。本実施形態において連結部材4は保持部材2・2の上部と下部のそれぞれに計二本設けられる。具体的には、保持部材2・2の上部には第一連結部材4A、下部には第二連結部材4Bが設けられる。本実施形態において第一連結部材4Aと第二連結部材4Bとは同じ構成である。なお、連結部材4の本数は限定されるものではなく、一本又は三本以上としても差し支えない。
【0030】
図1及び
図2に示す如く、連結部材4は、一端部である固定端41に被係合部材43aが固定される。また、連結部材4の他端部である自由端42の側には、被係合部材43aと係合可能な係合部材43bが設けられる。被係合部材43aと係合部材43bとは互いに係合することによりクリップ43を構成する。
【0031】
搬送具1では、連結部材4における被係合部材43aの近傍は、把持部材3により保持部材2に固定される。具体的には
図1及び
図2に示す如く、被係合部材43aの近傍は、第一保持部材2Aにおいて、第一把持部材3Aとともに縫い合わされることにより連結部材固定部35が形成されて固定される。これにより、連結部材4は連結部材固定部35において第一保持部材2A及び第一把持部材3Aとの相対変位が規制される。
【0032】
連結部材4が把持部材3と交差する箇所のうち、連結部材固定部35以外の部分では、把持部材3と保持部材2との間は挿通部36としてループ状に開口されている。連結部材4はこの挿通部36に挿通されることにより、保持部材2及び把持部材3に対して上下方向の変位が規制されつつ、左右方向への変位が許容される。
【0033】
搬送具1において、連結部材4における係合部材43bの位置は調節可能とされている。具体的には
図3及び
図4に示す如く、自由端42における係合部材43bの長手方向位置を調節することができる。また、連結部材4の中途部には、連結部材4に巻回されるとともに連結部材4の長手方向の位置を変位可能なループ部材44が設けられている。ループ部材44は、連結部材4の自由端42が挿入可能とされる(
図5を参照)。
【0034】
搬送具1における一対の保持部材2・2は、
図2及び
図3に示す如く、連結部材4における被係合部材43aと係合部材43bとが係合することにより互いに連結される。そして、搬送具1においては連結部材4における係合部材43bの位置を調節可能とすることにより、連結部材4における被係合部材43aから係合部材43bまでの長さが変更されるため、一対の保持部材2・2の相対距離が変更可能とされる。連結部材4における被係合部材43aから係合部材43bまでの長さを短くして(保持部材2・2の相対距離を小さくして)使用する場合、連結部材4において係合部材43bから延出される部分は、挿通部36に挿通可能とされる。
【0035】
本実施形態に係る搬送具1においては、保持部材2・2を近接又は離間させることにより、保持部材2・2を使用者の任意の相対距離として使用することができる。このため、
図3に示す如く、保持部材2・2の相対距離を大きくすることにより、アウトドアテーブルである長テーブルTLのように比較的大きな搬送物であっても搬送することが可能となる。一方、
図4に示す如く搬送物が短テーブルTSのように小さいものであれば、保持部材2・2の相対距離を小さくして使用することができる。このように、搬送具1においては、搬送物の大きさに応じて寸法を可変とすることにより、搬送物の大きさによらず搬送することができる。さらに、
図6に示す如く保持部材2・2を互いに部分的に重なりあう程度に近接させることにより、搬送具1を通常の鞄として使用することも可能となる。
【0036】
また、搬送具1においては、長テーブルTLの両端の外側から保持部材2・2を被せるようにして搬送物を収容できるため、搬送具1の内部に搬送物を挿入する作業を容易に行うことが可能となる。
【0037】
また、搬送具1においては、
図3及び
図4に示す如く、搬送物の大きさが異なる場合であっても、それぞれの搬送物の大きさに調節して使用することができる。これにより、搬送物が搬送具1の内部において変位することがないため、搬送物を安定的に搬送することが可能となる。
【0038】
また、本実施形態に係る搬送具1において、第一把持部材3Aと第二把持部材3Bとの連結箇所を調節可能として、把持部5・5の長さを変更可能としている。これにより、搬送物の大きさに対応して保持部材2・2の距離を変更した場合でも、把持部5・5の長さを適切かつ容易に調節することを可能としている。
【0039】
また、本実施形態に係る搬送具1では、連結部材4における被係合部材43aの近傍に連結部材固定部35を形成して、連結部材4を把持部材3により保持部材2に固定している。これにより、連結部材4で保持部材2・2を連結させる際に、係合部材43bを引っ張っても被係合部材43aが変位しないため、被係合部材43aと係合部材43bとを容易に係合させることを可能としている。
【0040】
また、本実施形態に係る搬送具1において、連結部材4の中途部には、連結部材4に巻回されるとともに連結部材4の長手方向の位置を変位可能なループ部材44が設けられる。これにより、
図5に示す如く、連結部材4の自由端42が後面の挿通部36に届かずに中途半場な長さが残った場合でも、ループ部材44を連結部材4における任意の箇所に変位させて、自由端42を保持することができる。即ち、連結部材4の自由端42の垂れ下がりを防ぐことができるため、搬送具1の使用時におけるデザイン性が損なわれることを防止できる。
【0041】
また、本実施形態に係る搬送具1では、保持部材2における閉塞辺22の下端部に、二枚の布体が接合されない開口部25が形成される。これにより、搬送物の厚さが大きくなった場合でも、保持部材2の下側角部(底辺21と閉塞辺22とが交わる角部)が左右外側方に飛び出すことを防止できる。即ち、搬送具1の使用時におけるデザイン性が損なわれることを防止できる。
【0042】
また、本実施形態に係る搬送具1において、第一保持部材2Aに固定された第一把持部材3Aと、第二保持部材2Bに固定された第二把持部材3Bと、のそれぞれが、固定端31に連結具33を備え、自由端32の側には連結具33に連結される被連結部が形成される。これにより、第一把持部材3Aと第二把持部材3Bとを同じ構成とすることができるため、搬送具1の製造工程を簡素化して製造コストを抑制することが可能となる。
【0043】
[第二実施形態]
次に、
図7及び
図8を用いて、第二実施形態に係る搬送具101について説明する。本実施形態に係る搬送具101は、第一実施形態に係る搬送具1と比較して、把持部材103・103の構成が異なるだけであるため、以下では把持部材103・103を中心に説明する。
【0044】
把持部材103は、それぞれの保持部材2において、開放辺23と同じ上下方向に底辺21の下側に巻回された状態で固定される帯状体である。把持部材103は二個の保持部材2のそれぞれに、計二本設けられる。本実施形態においては、第一保持部材2Aに設けられる把持部材103を第一把持部材103A、第二保持部材2Bに設けられる把持部材103を第二把持部材103Bとして説明する。
【0045】
図7に示す如く、第一把持部材103Aは第一保持部材2Aの下側から巻回されて前面及び後面の上側開口辺24から自由端132・132が上方に延出される。一方、第二把持部材103Bは第二保持部材2Bの前面及び後面のそれぞれにおける上側開口辺24の近傍に固定端131・131が設けられる。
【0046】
第二把持部材103Bにおける固定端131・131には連結具133・133が設けられる。また、第一把持部材103Aにおける自由端132・132には連結具133・133に連結される被連結部が形成される。
【0047】
図8に示す如く、第一把持部材103Aの自由端132・132が第二把持部材103Bの固定端131・131に設けられた連結具133・133に挿入される。これにより、第一把持部材103Aと第二把持部材103Bとが互いに連結され、把持部材103・103における自由端132・132の中途部が二本の把持部5・5として形成される。
【0048】
このように、本実施形態に係る搬送具101において、第二保持部材2Bに固定された第二把持部材103Bは両端部に連結具133・133を備え、第一保持部材2Aに固定された第一把持部材103Aの両端部には連結具133・133に連結される被連結部が形成される。これにより、第一把持部材103Aと第二把持部材103Bとを前後対称形状とすることができるため、搬送具101の製造時において第一把持部材103Aと第二把持部材103Bとの姿勢を間違える等の作業ミスを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る搬送具101においては、使用者が第二保持部材2Bを前方にして右肩に搬送具101を担いだ場合、連結具133・133が右前部に位置するため右手で把持部5・5の長さを調節しやすくなる。
【0050】
[第三実施形態]
次に、
図9及び
図10を用いて、第三実施形態に係る搬送具201について説明する。本実施形態に係る搬送具201は、第一実施形態に係る搬送具1の構成に加えて、第二保持部材202Bに内袋226が設けられた構成である。
【0051】
図9及び
図10に示す如く、本実施形態に係る搬送具201において、第二保持部材202Bには、第二保持部材202Bと同形状の内袋226が第二保持部材202Bの開放辺223に沿って固定されている。そして、内袋226は、第一保持部材202A及び第二保持部材202Bを近接させた際に、
図9及び
図10(c)に示す如く、第一保持部材202Aの内部に展開可能とされる。搬送具201の使用者は、内袋226の内側に収容物を収容して搬送具201を使用する。
【0052】
本実施形態においては
図9に示す如く、保持部材202・202を互いに近接させた状態で搬送具201を通常の鞄として使用する際に、搬送具201は内袋226に収容物が収容される。このため、搬送具201の使用時に保持部材202・202の隙間からペンや小物などが落下することを防止できる。即ち、本実施形態に係る搬送具201によれば、搬送具201を通常の鞄として使用する際に、収容物の紛失等を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1 搬送具(第一実施形態)
2 保持部材 2A 第一保持部材
2B 第二保持部材 3 把持部材
3A 第一把持部材 3B 第二把持部材
4 連結部材 4A 第一連結部材
4B 第二連結部材 5 把持部
21 底辺 22 閉塞辺
23 開放辺 24 上側開口辺
25 開口部 31 固定端
32 自由端 33 連結具
34 固定部 35 連結部材固定部
36 挿通部 41 固定端
42 自由端 43 クリップ
43a 被係合部材 43b 係合部材
44 ループ部材
101 搬送具(第二実施形態)
103 把持部材 103A 第一把持部材
103B 第二把持部材 131 固定端
132 自由端 133 連結具
134 固定部 135 連結部材固定部
136 挿通部
201 搬送具(第三実施形態)
202 保持部材 202A 第一保持部材
202B 第二保持部材 223 開放辺
226 内袋
TL 長テーブル(搬送物)
TS 短テーブル(搬送物)