(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044513
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】面積可変ストッパ
(51)【国際特許分類】
B26D 7/01 20060101AFI20220310BHJP
H02G 1/12 20060101ALI20220310BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
B26D7/01 C
H02G1/12 048
B26D3/00 603Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150187
(22)【出願日】2020-09-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2020年7月1日に株式会社トータルシステムに対して,2020年8月3日に光昭株式会社に対して,販売先住所地にて,特許出願に係る発明品を組み込んだ製品を販売,引き渡しを行った。
(71)【出願人】
【識別番号】506104172
【氏名又は名称】株式会社MKエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100093816
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 和明
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 誠一
【テーマコード(参考)】
3C021
5G353
【Fターム(参考)】
3C021BB01
5G353EA01
(57)【要約】
【課題】対象物が接触する当接面の広さを可変とし、広範な対象物に汎用できる面積可変ストッパを提供する。
【解決手段】先端に対象物を当接させる内当接面を備える内部材と、前記内当接面を収納するスペースを有し前記内当接面の外側に位置可能な外当接面を備えるとともに前記内部材に沿ってスライド、係止位置可変の外部材と、前記外部材の移動と係止を制御する切替機構と、からなり、
前記外部材の位置移動に伴い、内当接面が前記スペースから露出することで前記対象物が当接する面積を狭め、前記内当接面が前記スペースに収納することで前記対象物の当接する面積を広げることを可能としたことを特徴とする面積可変ストッパの構成とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に対象物を当接させる内当接面を備える内部材と、
前記内当接面を収納するスペースを有し前記内当接面の外側に位置可能な外当接面を備えるとともに前記内部材に沿ってスライド、係止位置可変の外部材と、
前記外部材の移動と係止を制御する切替機構と、
からなり、
前記外部材の位置移動に伴い、内当接面が前記スペースから露出することで前記対象物が当接する面積を狭め、前記内当接面が前記スペースに収納することで前記対象物の当接する面積を広げることを可能としたことを特徴とする面積可変ストッパ。
【請求項2】
前記内部材の側面に長孔の両端に前記長孔より直径の大きい穴が連設する左溝及び右溝が穿設され、さらに前記外部材に側面にそれぞれ孔が穿設されたうえで、
前記切替機構が、
前記左溝、前記右溝及び前記孔に挿通する軸と、
軸に挿通するバネと、
前記バネの両端に配置される、前記長孔に嵌まらず前記穴には嵌まる前記バネ側に位置する第一リングと前記第一リングに連設され前記長孔に嵌まる第二リングと前記第一リング及び前記第二リングを貫通し前記軸を通す貫通孔を備える左段付きカラー及び右段付きカラーと、
前記スライダの側面に側面方向に回動可能に係止される左羽根及び右羽根と、
前記左羽根及び前記右羽根を貫通した前記軸を脱落しないよう係止する留具と、
からなり、
前記第一リングが前記バネの付勢で前記穴に嵌まることで前記外部材の位置を固定し、前記左羽根及び前記右羽根を左右より前記バネ側に押圧することで前記穴に嵌まった前記第一リングを前記穴から外し、前記第二リングが前記長孔を移動可能にし、前記外部材をスライド可能とし、前記外当接部の固定位置を変更することで前記対象物の当接する面積を可変したことを特徴とする請求項1に記載の面積可変ストッパ。
【請求項3】
前記内部材に連設する取付部を備え、前記取付部が移動体に連結され、請求項1又は請求項2に記載の面積可変ストッパの位置移動を可能としたことを特徴とする。
【請求項4】
前記対象物が、被覆ケーブルであることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の面積可変ストッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物が接触する当接面の広さを可変とし、広範な対象物に汎用できる面積可変ストッパに関する。
【背景技術】
【0002】
対象物としては、例えば、特許文献1に示すような、多種多様な素材、径がある被覆ケーブルなどが例示でき、ストッパとしては、特許文献1に示すように、被覆ケーブルの被覆の剥離の際に、被覆ケーブルの末端を当接面に当てて位置決めしているストッパ41が例示できる。
【0003】
しかしながら、ストッパの当接面が狭い場合、細い被覆ケーブルを長く剥離するときに、被覆ケーブルを挟持する部分(刃)から当接面までの距離が長く、その間に被覆ケーブルが湾曲して被覆ケーブルの末端が当接面に当たらないことがある。他方、剥離長が短い場合には、剥離刃付近まで、当接面を近づける必要があるが、剥離刃近傍が狭い場合は、広い当接面は近づけず、使用できない。
【0004】
したがって、被覆ケーブルの素材、径、被覆剥離長によって、都度、最適な面積の当接面(ストッパ)に交換する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願出願は、対象物が接触する当接面の広さを可変とし、広範な対象物に汎用できる面積可変ストッパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、
(1)
先端に対象物を当接させる内当接面を備える内部材と、
前記内当接面を収納するスペースを有し前記内当接面の外側に位置可能な外当接面を備えるとともに前記内部材に沿ってスライド、係止位置可変の外部材と、
前記外部材の移動と係止を制御する切替機構と、
からなり、
前記外部材の位置移動に伴い、内当接面が前記スペースから露出することで前記対象物が当接する面積を狭め、前記内当接面が前記スペースに収納することで前記対象物の当接する面積を広げることを可能としたことを特徴とする面積可変ストッパ。
(2)
前記内部材の側面に長孔の両端に前記長孔より直径の大きい穴が連設する左溝及び右溝が穿設され、さらに前記外部材に側面にそれぞれ孔が穿設されたうえで、
前記切替機構が、
前記左溝、前記右溝及び前記孔に挿通する軸と、
軸に挿通するバネと、
前記バネの両端に配置される、前記長孔に嵌まらず前記穴には嵌まる前記バネ側に位置する第一リングと前記第一リングに連設され前記長孔に嵌まる第二リングと前記第一リング及び前記第二リングを貫通し前記軸を通す貫通孔を備える左段付きカラー及び右段付きカラーと、
前記スライダの側面に側面方向に回動可能に係止される左羽根及び右羽根と、
前記左羽根及び前記右羽根を貫通した前記軸を脱落しないよう係止する留具と、
からなり、
前記第一リングが前記バネの付勢で前記穴に嵌まることで前記外部材の位置を固定し、前記左羽根及び前記右羽根を左右より前記バネ側に押圧することで前記穴に嵌まった前記第一リングを前記穴から外し、前記第二リングが前記長孔を移動可能にし、前記外部材をスライド可能とし、前記外当接部の固定位置を変更することで前記対象物の当接する面積を可変したことを特徴とする(1)に記載の面積可変ストッパ。
(3)
前記内部材に連設する取付部を備え、前記取付部が移動体に連結され、(1)又は(2)に記載の面積可変ストッパの位置移動を可能としたことを特徴とする。
(4)
前記対象物が、被覆ケーブルであることを特徴とする(1)~(3)のいずれか一に記載の面積可変ストッパ。
の構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記構成であるので、以下の効果を奏する。即ち、対象物が接触する当接面の広さを可変とし、広範な対象物に汎用できる面積可変ストッパを提供できる。その結果、対象物毎に、都度、煩雑な当接面(ストッパ)の着脱を要せず、作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の面積可変ストッパを広い当接面に切り替えたときの斜視写真である。
【
図2】本発明の面積可変ストッパを狭い当接面に切り替えたときの斜視写真である。
【
図3】本発明の面積可変ストッパを広い当接面に切り替えたときの右側面写真である。一部透過線を白色点線で付加した。
【
図4】切り替え機構の説明写真であり、当接面の広さ切り替え途中の底面斜視図写真である。一部透過線を白色点線で付加した。
【
図5】本発明の面積可変ストッパを狭い当接面に切り替えたときの底面斜視写真である。一部透過線を白色点線で付加した。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例0011】
本発明である面積可変ストッパ1は、
図1-5に示すように、取付部2と、内部材3と、外部材4と、切替機構5とからなり、対象物の末端部を当接して、対象物の位置決めをする。
【0012】
取付部2は、移動体(図示省略)などの取り付け対象に面積可変ストッパ1を連結する際に使用する部分で、取り付け対象に合わせて、形状、向きは適時変更する。移動体は、移動して、対象物と面積可変ストッパ1との距離、すなわち対象物の末端が当接する部分(当接面)との距離を決定する。
【0013】
内部材3は、取付部2に連設され、ここでは、断面コの字型のガイド3aと、先端に対象物を当接させる内当接面3bを備える。角形のガイド3aと円形の内当接面3bはネジ3cで連結した。
【0014】
なお、後述の切替機構5を採用する場合には、ガイド3aの側面に、長孔3gの両端に長孔3gより直径の大きい穴3fが連設する左溝3d及び右溝3eが穿設される。
【0015】
外部材4は、内当接面3bを収納するスペース4cを有し内当接面3bの外側に位置可能な外当接面4bを備えるとともに内部材のガイド3aに沿ってスライド、係止位置可変なスライダ4aとからなる。スライダ4aの外当接面4bに接触するところは突起して、外当接面4bの変更を防ぐ、押さえ4fを形成する。
【0016】
なお、後述の切替機構5を採用する場合には、側面にそれぞれ孔が穿設され、さらに、切替機構5の一部を側面方向に回動可能に係止する係止部4dを側面に備える。
【0017】
取付部2及び内部材3のガイド3a、また、同様に外部材4は、それぞれ一枚の板を折り曲げ、必要な穿設をすることで成形できる。
【0018】
切替機構5は、外部材4のスライド移動と係止を制御するものであって、軸5dと、バネ5eと、左段付きカラー5f及び右段付きカラー5gと、左羽根5aと右羽根5bと、留具5jとからなる。
【0019】
軸5dは、左溝3d及び右溝3e及び外部材4に側面の孔に挿通する、両端部は留具5jで脱落しないよう、係止される。
【0020】
バネ5eは、軸5dに挿通し、左段付きカラー、右段付きカラーをバネ5eの端部側に追いやるバネ付勢を付加する。
【0021】
左段付きカラー5f及び右段付きカラー5gは、同一形状で、バネ5eの両端の軸5dに配置される。左段付きカラー5f及び右段付きカラー5gは、
図5に明示したように、それぞれ、長孔3gに嵌まらず穴3fには嵌まるバネ5e側に位置する第一リング5kと第一リング5kに連設され長孔3gに嵌まる第二リング5mと、第一リング5k及び第二リング5mを貫通し軸5dを通す貫通孔5nを備えてなる。
【0022】
左羽根5a及び右羽根5bは、同一形状で、指で押圧し、スライダ4aの側面に側面方向に突出した係止部4dの溝4eに突起5cを嵌め、側面方向に回動可能に係止される。
【0023】
留具5jは、左羽根5a及び右羽根5bを貫通した軸5dを脱落しないよう係止するもので、ここでは、ワッシャー5hと軸5dの溝に係止されるCリング5iとからなる。
【0024】
このようにしてなる切替機構5は、第一リング5kがバネ5eの付勢で穴3fに嵌まることで外部材4の位置を固定し、左羽根5a及び右羽根5bを左右よりバネ5e側に押圧することで穴3fに嵌まった第一リング5kを穴3fから外し、第二リング5mが長孔3gを移動可能にし、外部材4をスライド可能とする。
【0025】
以上の構成により、外部材4の位置移動に伴い、内当接面3bがスペース4cから露出することで対象物が当接する面積を狭め、内当接面3bをスペース4cに収納することで対象物の当接する面積を広げることを可能とする。すなわち、外当接面4bの固定位置を変更することで対象物の当接する面積を可変とすることができる。
【0026】
例えば、対象物の導入箇所と内当接面3bとの距離がある場合に、内当接面3bの外側に外当接面4bを位置させ、当接面を拡張し、対象物が曲がっても当接面から逃げないようにすること、さらに外当接面4bが入り込めない狭小部に内当接面3bのみ露出して挿入することが可能になり、ストッパの交換なしに、利用範囲が広がる。本発明は、特に、特許文献1の被覆ケーブル被覆剥離装置のストッパ41の代替として好適である。