(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044514
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】飛沫感染防止家具
(51)【国際特許分類】
F24F 3/16 20210101AFI20220310BHJP
F24F 1/0071 20190101ALI20220310BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20220310BHJP
F24F 1/0007 20190101ALI20220310BHJP
【FI】
F24F3/16
F24F1/0071
F24F13/08 A
F24F1/0007
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150188
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000228028
【氏名又は名称】株式会社トルネックス
(74)【代理人】
【識別番号】100111785
【弁理士】
【氏名又は名称】石渡 英房
(72)【発明者】
【氏名】金指 忠
(72)【発明者】
【氏名】山本 直樹
【テーマコード(参考)】
3L049
3L051
3L053
3L081
【Fターム(参考)】
3L049BA01
3L049BD01
3L051BA02
3L051BB01
3L051BC01
3L053BD01
3L053BD04
3L081AA01
3L081AB06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】取込口ユニットを越える空気流を減少させるとともに空気中を漂う飛沫核の濃度を低減する。
【解決手段】飛沫感染防止家具1Aであって、天板82に開口84を有するテーブルと、前記開口の周囲を囲んで天板の上面に接続された取込口ユニット10と、前記テーブルの下部に設けられた台部81に収納され、前記開口を通して前記取込口ユニットから前記天板の上側の空気Ainを取り込むとともにその空気を清浄化して送り出す空気清浄ユニット20と送風ユニット30を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板(82)に開口(84)を有するテーブル(80)と、
前記開口の周囲を囲んで天板の上面に接続された取込口ユニット(10、101、102;110)と、
前記テーブルの下部に設けられた台部(81)に収納され、前記開口を通して前記取込口ユニットから前記天板の上側の空気(Ain)を取り込むとともにその空気を清浄化して送り出す空気清浄ユニット(20)と送風ユニット(30)を備えた飛沫感染防止家具(1A、1B)。
【請求項2】
前記取込口ユニット(10、101、102)は、前記開口(84)の周囲を囲んで前記天板(82)から立ち上がる隔離障壁(11c、101c、102c)と、前記開口を通して前記隔離障壁の上端が作る取込口(11a、101a、102a)と、を有する請求項1記載の飛沫感染防止家具(1A)。
【請求項3】
前記取込口(11a、101a、102a)と前記開口(84)の間に整流手段(60)を備える請求項1又は2に記載の飛沫感染防止家具。
【請求項4】
前記隔離障壁(101c)の下部にさらに取込口(101b)を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の飛沫感染防止家具。
【請求項5】
前記隔離障壁(102)は、取込口(102a)から取り込まれる空気の流れを円滑にするためのベンド部(102d)をその上端に有する請求項1から3のいずれか1項に記載のに記載の飛沫感染防止家具(1A)。
【請求項6】
前記取込口ユニット(110)は、外側に開いた円形状の断面を有する2つの円筒部(112)とその上部に設けられた板部(111)が作る第1取込口(110a)と各円筒部の開口が作る第2取込口(110b)とを有する請求項1記載の飛沫感染防止家具(1B)。
【請求項7】
請求項1~6に記載の飛沫感染防止家具(1A、1B)に組み込まれて用いられる空気清浄ユニット(20)。
【請求項8】
開口(84)を有する天板(82)と、
前記開口の周囲を囲んで天板の上面に接続された取込口ユニット(10、110)と、
前記天板を支える台部(81)に収納され、前記開口を通して前記取込口ユニットから前記天板の上側の空気(Ain)を取り込むとともにその空気を清浄化して前記天板の下側から送り出す空気清浄ユニット(20)と送風ユニット(30)を備えた飛沫感染防止システム(SA、SB)。
【請求項9】
(装置向け空気清浄ユニット)
請求項8に記載の飛沫感染防止システム(SA、SB)に組み込まれて用いられる空気清浄ユニット(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の居間や事務所の会議室、打合せ場所などに設置される家具又はシステムに関するもので、人が話しをする際に放出される唾液などの飛沫を含む空気を吸引して清浄化する家具又はシステムに関し、特に、感染症を引き起こす可能性のあるウィルスなどを含む飛沫を含む空気の清浄化に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から住宅において室内の空気を清浄化する空気清浄装置は用いられていたが、これは空気中に含まれる粉塵などを対象にするものであり、感染症を引き起こすウィルスなどの感染の防止をするためののものではなかった(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
一方、近年、SARS、severe acute respiratory syndromeや新型コロナウイルス、COVID-19などの感染症を引き起こすウィルスの流行によって、密閉・密着・密集を避けることやマスクの着用、テレワークや在宅勤務への移行など、職場などで人が集まらないようにする働き方に移行する動きがある。
【0004】
しかしながら、生活やビジネスを続けるために、テーブルやデスク、あるいはカウンターなどの家具を介した室内での対面の接客・ミーティングや複数人数が集合しての会議(以下、「対面状況」という。)が必要とされ、その際には感染防止対策が強く求められている。
【0005】
特に、新型コロナウイルスの感染ルートは、主として、接触感染、唾液などの飛沫感染、そして特殊な状況での飛沫核感染といわれており、感染防止のために対面状況で発言する場合は、このような飛沫が相手に届きにくくすることのみならず、空気流に乗って空気中を漂う飛沫核が相手に届かないように、または、届いたとしてもその濃度を可能な限り低減することが望まれている。さらに、相手がいない場合であっても、このような飛沫核を回収して清浄化することが望まれている。
【0006】
従来は、簡易な手段として、対面者間に透明なアクリル板などを設置して飛沫防止を行うことがあるが、このような方法では透明であっても物理的に隔たれていることから疎外感や閉塞感を感じやすく、また、声の通りも悪くなるためコミュニケーションの質が低下することがある。
【0007】
さらに受付などで異なる対面者と連続して対面する場合、感染防止を徹底すると利用者が変わるたびにアクリル板を清掃、除菌する必要が生じるが、これは手間がかかる上、清掃の際に感染する危険も排除できない。また、このようにして飛沫感染は防止できても空気流に乗って漂って来る飛沫核については防止することは困難である。
【0008】
このため、発明者らは、空気流に乗って漂う飛沫核を回収することも考慮した空気清浄機能を有する家具及びシステムを鋭意検討し、特に、対面する機会が多いテーブルなどの家具に飛沫及び飛沫核で感染することを防止する機能を加えた飛沫感染防止家具及び飛沫感染防止システムを発明をするに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009-195890号公報
【特許文献2】特開平10-286420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような従来事情に鑑みてなされたもので、その目的は、取込口ユニットを越える空気流を減少させるとともに空気中を漂う飛沫核の濃度を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(解決手段1)
本発明は、
天板に開口を有するテーブルと、
前記開口の周囲を囲んで天板の上面に接続された取込口ユニットと、
前記テーブルの下部に設けられた台部に収納され、前記開口を通して前記取込口ユニットから前記天板の上側の空気を取り込むとともにその空気を清浄化して送り出す空気清浄ユニットと送風ユニットを備えた飛沫感染防止家具である。
これにより、取込口ユニットを越える空気流を減少させるとともに空気中を漂う飛沫核の濃度を低減することができる。
【0012】
(解決手段2)
この場合、
前記取込口ユニットは、前記開口の周囲を囲んで前記天板から立ち上がると、前記開口を通して前記隔離障壁の上端が作る取込口とを有することが好ましい。
このようにすると、隔離障壁で飛沫を遮るとともに、その飛沫核を取込口から吸引することができる。
【0013】
(解決手段3)
この場合、
前記取込口と前記開口の間に整流手段を備えていることが好ましい。
このようにすると、吸込口から整える空気流が乱れの少ない層流に近づくため、吸込口周辺の空気も整えられるため、効率的に飛沫核を取込むことができる。
【0014】
(解決手段4)
この場合、
前記隔離障壁の下部にさらに取込口を備えることが望ましい。
これにより、隔離障壁手前で滞留する空気を取り込むことができ、取込口ユニットを越えない飛沫核の濃度を下げることができる。
【0015】
(解決手段5)
この場合、
前記隔離障壁は、取込口から取り込まれる空気の流れを円滑にするためのベンド部をその上端に有することが好ましい。
このようにすると、さらに吸込口周辺の空気がベント部に沿って流れ、空気流がベント部にガイドされて整えられるため、効率的に飛沫核を取込むことができる。
【0016】
(解決手段6)
本発明は、解決手段1に加え、
前記取込口ユニットは、外側に開いた円形状の断面を有する2つの円筒部とその上部に設けられた板部が作る第1取込口と各円筒部の開口が作る第2取込口とを有することが好ましい。
このようにすると、取込口ユニットにより、第1の取込口で取り込まれた空気は円筒部の内部で旋回流を生じ、次いで連続した旋回流である竜巻流(竜巻型の渦)が形成されて第2の取込口に向かって取り込まれるので、取込口ユニットから周辺空気を効率的に取り込むことができる。
【0017】
(解決手段7)
本発明は、上記記載の飛沫感染防止家具に組み込まれて用いられる空気清浄ユニットである。
これにより、飛沫感染防止家具に好適な空気清浄ユニットを提供することができる。
【0018】
(解決手段8)
本発明は、
開口を有する天板と、
前記開口の周囲を囲んで天板の上面に接続された取込口ユニットと、
前記天板を支える台部に収納され、前記開口を通して前記取込口ユニットから前記天板の上側の空気を取り込むとともにその空気を清浄化して前記天板の下側から送り出す空気清浄ユニットと送風ユニットを備えた飛沫感染防止システムである。
これにより、取込口ユニットを越える空気流を減少させるとともに空気中を漂う飛沫核の濃度を低減することができる。
【0019】
(解決手段9)
本発明は、
上記記載の飛沫感染防止システムに組み込まれて用いられる空気清浄ユニットである。
これにより、飛沫感染防止システムに好適な空気清浄ユニットを提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上のような構成により、取込口ユニットを越える空気流を減少させるとともに空気中を漂う飛沫核の濃度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施例である飛沫感染防止家具(システム)(実施例1)の外観斜視図である。
【
図3】実施例1の取込口ユニットの変形例1の構成を示す斜視図である。
【
図4】実施例1の取込口ユニットの変形例2の構成を示すその中央断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施例である飛沫感染防止家具(システム)(実施例2)の外観斜視図である。
【
図6】実施例2の取込口ユニットの構成を示すその中央断面図である。
【
図7A】実施例2の取込口ユニットの原理を説明する説明図である。
【
図7B】実施例2の取込口ユニットの原理をさらに説明する説明図である。
【
図8】本発明の効果を示す実験装置の配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態について、実施例にもとづいて、飛沫感染防止家具1A、1Bについて説明する。
【実施例0023】
(飛沫感染防止家具)
図1に本例の飛沫感染防止家具1Aの外観斜視図を示す。また、
図2にその中央断面模式図を示す。
本例の飛沫感染防止家具1は、
図1、
図2に示すように、
天板82に開口84を有するテーブル80と、
この開口の周囲を囲んで天板の上面に接続された取込口ユニット10と、
テーブルの下部に設けられた台部81に収納され、開口を通して取込口ユニットから天板の上側の空気Ainを取り込むとともにその空気を清浄化して前記天板の下側から送り出す空気清浄ユニット20と送風ユニット30を備える。
【0024】
(テーブル)
テーブル80は、天板82を有し、テーブルに向って位置する人がその天板82の上で作業、会議、食事などをするものである。
図2に示すように、これらの人が対面してもよいが、片側に居てもよく、また単独であってもよい。
【0025】
(台部)
図1及び
図2に示すように、テーブル80の下部に台部81が接続されている。
台部81は、
図1、
図2に示すように、床Fに接触して天板82を支えてもよい。台部81が天板82を支えない場合は、テーブル80は、別に脚部(不図示)を有してもよい。台部81の下部の側面には、清浄化された空気Aoutが送り出される送出口81aが設けられている。
図2に示すように、台部81の内部は、区分されたチャンバー構造、すなわち、区分された気密の空洞になっている。この空洞は、上部に開口84が設けられており、開口84の上部は取込口ユニット10に接続されている。そして、空洞は3つのチャンバーに区分され、まず、第1のチャンバー内に空気清浄ユニット20が設けられ、次いで、第2のチャンバー内に送風ユニット30が、そして送出口81aを有する第3のチャンバーが設けられている。
このような構造にすると、飛沫感染防止家具1Aが取り込む空気Ainを外部の空気と遮断することができる。天板82の上側の空気を取り込み、台部81の内部で取り込んだ空気Ainを遮断して清浄化し感染防止処理を行い、清浄化した空気Aoutを送出口81aから送り出し、室内に戻すことができる。このため、感染防止をすることができる。
【0026】
(取込口ユニット)
図1、
図2に示すように、取込口ユニット10は、天板82の開口84の周囲を隔離障壁11cで覆うようにして天板82の中央部に突出して位置し、天板82に接続されている。取込口ユニット10は、天板82からほぼ垂直に突起した煙突形状、すなわち、その上側と下側が開いた四角柱状の形状を有している。上側の開口はその周囲の空気を吸い寄せて取込口ユニット10に引き込む空気流Ainを作る上部取込口11aである。
空気が吸い寄せられるのは、後述の送風ユニット30のシロッコファンが台部81内のチャンバーに負圧を作り、このため、取込口ユニット10内も負圧になり、上部取込口11a周辺の空気が引き込まれるためである。
【0027】
(整流手段)
整流手段60は、スリットやパンチングメタル、もしくはそれらの組み合わせなどにより構成されるもので、取込風速を均一化させ、上部取込口11aの全体から効率よく空気を吸い込まれるようにさせるものである。整流手段60は、空気の流れがある場合に、大きい開口を分割して格子状あるいは円形状の小さい開口を多数有するようにしたものである。このため、少し乱れがある流れであっても小さい開口を通すことにより乱れを消して空気流の流れを均一化して整えるものである。
取込口ユニット10内あるいは天板の開口84に、整流手段60を備えることができる。なお、整流手段60は状況により設けるかどうか決めることができ、必ずしも必須の手段ではない。
【0028】
(空気清浄部)
第1のチャンバーには空気清浄部(空気清浄ユニット)20を備える。なお、続いて第2のチャンバーには、送風部30を備えているが、空気清浄部20と送風部30は、直列になるように配置することができ、いずれを先後とすることもできる。
空気清浄ユニット20は、その詳細について図示を省略するが、入側から3段のサブユニットに分かれている。すなわち、空気の流路の順では、プレフィルター、メインフィルター、脱臭フィルターが備えられている。
図2に示すように、台部81の上面と接続する天板82に設けられた開口84から後述の送風部30で作られた負圧により吸入された未清浄の空気Ainは、プレフィルターおよびメインフィルターを通って順次空気中の粒子、すなわち、飛沫及び飛沫核が取り除かれ、脱臭フィルターを通って空気中に含まれる臭気を発する気体などのガス成分が取り除かれる。このようにして清浄化した空気Aoutは、送風部30により台部81の外部に送出口81aから送出される。
【0029】
(空気清浄部:プレフィルター)
プレフィルターは、メインフィルターの前段階として、吸引した空気中に浮遊する粗い粒子を除去するもので、不織布またはメッシュ状の金網で構成される。主として、目視可能な粒子をターゲットにしており、粒子径が10~20μm以上のものを除去する。プレフィルターを介することにより、早期の目詰まりを防止して省メンテナンスを図るとともに、次段の電子式集塵フィルターで飛沫及び飛沫核に至る微粒子を効率的に取り除くことができる。
【0030】
(空気清浄部:メインフィルター)
次段のメインフィルターである電子式集塵フィルターは、台部81内に吸引した空気中に浮遊するさらに細かい粒子を除去する。主として、粒子径が0.3μm程度以上のもので、たとえば空気中の土埃、花粉、黄砂やPM2.5などの浮遊粒子がターゲットとなりうるが、本例の場合は、空気流に乗って漂う飛沫核がターゲットである。
【0031】
電子式集塵フィルターは、いわゆる2段荷電型電子式集塵フィルターと呼ばれる公知のものを用いることができる。この電子式集塵フィルターは、コロナ放電などにより空気中の浮遊粒子を帯電させるイオン化部と、帯電させた浮遊粒子を電界により捕集する集塵部とこれらに電力を供給する電源を備える。イオン化部は、イオン化線およびイオン化電極を備え、集塵部は、集塵電極板と集塵対電極板を交互に配置しこれらをスペーサで等間隔に配置してなる。
【0032】
このようにすると、イオン化線とイオン化電極との間、及び集塵電極板と集塵対電極板との間を空気が通過する構造とすることができるため、圧力損失が少なく、空気中を漂う飛沫核などの微粒子を効率よく除去できる。
たとえば、定格風量810~900m3/hの際に粒子0.3~0.5μmの集塵効率は、84%~96%となる。
【0033】
加えて、電源とイオン化部との間に定電流制御部を設けるとともに、電源と集塵部との間に測定部を備えた電圧段階制御部および電圧変更部を設けて、段階的制御を行うことができる。この制御は、たとえば、特許第5545559号に記載されており、この明細書に組み込まれるものとする。
【0034】
このような構成では、イオン化部におけるコロナ放電などを安定して継続でき、集塵部に湿気などの環境の変動や集塵の継続による集塵物などにより、火花放電などの異常放電が起きても、印加電圧を下げて速やかに正常な電界形成を再開して集塵作用を継続し、異常放電の原因が解消されると、印加電圧を上げて速やかに集塵作用を継続する。したがって、湿気や結露などの自然回復可能な場合のみならず、集塵物の堆積などの自然回復の困難な場合も含めて、全体として、集塵作用を高効率で運用でき、その上メンテナンス頻度を減らすことができる。
【0035】
(空気清浄部:脱臭フィルター)
電子式集塵フィルターの後段には脱臭フィルターが設けられている。脱臭フィルターは、通気性を有するシート状の公知のものを用いることができる。脱臭フィルターでは、においなどの化学物質をトラップする。
【0036】
(送風部)
図2に示すように、台部81内には、空気の吸入・送出のための送風部(送風ユニット)であるシロッコファン30が設けられている。シロッコファン30は、台部81内の前段を負圧状態にさせて取込口ユニット10から空気を取り込むとともに、取り込んだ空気Ainを清浄機ユニット20に引き込んで清浄化させ、最終的には、空気送出口81aから清浄化した空気を送出する。シロッコファン30は、取込口ユニット10から取り込まれる空気量を賄う容量および圧力を有するものを用いることができる。
【0037】
(使用方法)
このような飛沫感染防止家具1Aは次のように使用することができる。
たとえば、
図2に示すように、会議においてこのような家具を用い、取込口11aを挟んで天板82の両側に人P、Pがそれぞれ椅子Stに座って向かいあって会話をすることができる。それぞれの話者Pは会話をするときに唾液の飛沫及び飛沫核Dを顏の正面を中心に前方へ放出する。
本例の場合、この飛沫Dは2人の話者の間に設けられている取込口ユニット10の話者側に設けられている壁面、すなわち隔離障壁11cに遮られて、これを越えるものしか相手側に届かない。
一方、飛沫核Dは話者P、Pの息や室内の空気流に乗って漂うが、取込口ユニット10を越える際には、この家具1Aに設けられた送風ユニット30が作る家具内部81の負圧により上部吸込口11aから家具1A内の台部81に取り込まれる。このため、取込口ユニット10を越えて相手に到達する飛沫核Dは、吸い込まれずに漂う空気流に含まれるものとなるため、その濃度は低減する。
飛沫感染防止家具1Aは、さらに、家具1Aが置かれた室内全体に拡散した飛沫核(微粒子)も取込口11aの上部で捕集して除去することが可能なので、室内環境全体を改善することができる。
【0038】
取込口ユニット10の隔離障壁11cは透明のアクリル板などの樹脂を用いてもよい。このようにすると、話者Pは、その視界を妨げられることなく発言ができる。
また、隔離障壁11cの高さは対面する人の目の位置より低い位置にすれば、開放感を増すことができる。
【0039】
(取込口ユニットの変形例1-1)
図3に取込口ユニットの変形例1を示す。
図3に示されるように、この取込口ユニット101は、上部取込口101aに加えて、その基部に下部取込口101bを備える。ここでは、片側に6か所設けているが、その反対側も含めて両側に設けてもよい。
この下部取込口101bの働きは、隔離障壁101cにより取込口ユニット101を越えずに隔離障壁101cの下部周辺に滞留するテーブル82上の空気について送風ユニット30の負圧が働き、下部取込口101bの周辺の空気Ainを取り込むことである。これにより、取込口ユニット101の隔離障壁101c付近に滞留する空気に含まれる飛沫核Dを取り込んで清浄化できる。
【0040】
(取込口ユニットの変形例1-2)
図4に取込口ユニットの変形例2の中央付近の垂直断面図を示す。
図4に示されるように、この取込口ユニット102は、両側の隔離障壁102cの上部が内側になだらかに曲がるベンド部102dを有する。
このベンド部102dの働きは、隔離障壁102cの上端付近の形状が、取込口ユニット10のように直線で構成されたものでなく緩やかに曲っているため、負圧により取り込まれる空気流Ainがこれに沿って流れ込み、上部取込口102a付近の取込口ユニット内側で空気流Ainに渦を生じさせ、渦の作用により、取り込まれる空気流Ainの風速を均一化させることである。これにより、上部取込口102aから効率的に空気を取り込んで清浄化できる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。その場合でも、本発明の範囲に含まれるものである。