(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044524
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】トイレットペーパーホルダー
(51)【国際特許分類】
A47K 10/36 20060101AFI20220310BHJP
A47K 10/38 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
A47K10/36 N
A47K10/38 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020161461
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】398027090
【氏名又は名称】角田 和夫
(72)【発明者】
【氏名】角田 和夫
(57)【要約】
【課題】従来のトイレットペーパーホルダーは、両手を使用してトイレットペーパーを畳みながら所定の長さ分だけ繰り出した状態で、切断歯部でトイレットペーパーを切断するという作業となり、両手での操作を余儀なくされ、さらに切断歯による怪我をする虞れもあり、手の不自由の方や高齢者にとっては使用勝手が良くないという問題があった。
【解決手段】上部にその先端側に液体で濡れた素材を備えた切断部が配置され、左右の側板の間に回動支点軸を回動軸として上下に開閉する扉を備え、略90度開いた状態の扉の上面で、トイレットペ-パーホルダーから引き出されたトイレットペーパーを折り畳んだ状態のまま扉の外側に引き出した状態で、扉を閉じることで、引き出されたトイレットペーパーを切断部の先端側に瞬時接触させて線状に濡れた部分を作り、引き出されたペーパーの紙質を線状に溶化させ、溶化した部分を切断するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に並置された側板と、後部に配置された背板と、上部にその先端側に液体で濡れた素材を備えた切断部とが配置された構成からなるトイレットペーパーホルダーであって、
該トイレットペーパーホルダーの内部の下部側に、トイレットペ-パーを回転自在に載置扉を備え、略90度開いた状態の前記扉の上面で、前記トイレットペ-パーホルダーから引き出されたトイレットペーパーを適当回数折り畳んだ状態のまま前記扉の外側に引き出した状態で、前記扉を閉じることで、前記トイレットペーパーを前記切断部の先端側に接触させ線状の濡れた状態となることで、前記トイレットペーパーの紙質を線状に溶化させ、溶化した部分を切断することを特徴とするトイレットペーパーホルダー。
【請求項2】
前記切断部が、液体が収納された水槽に線状断面の繊維状素材を浸す構造であることを特徴とする請求項1に記載のトイレットペーパーホルダー。
【請求項3】
前記切断部の前面に、前記トイレットペーパーの切断後の前記トイレットペ-パーの先端部を保持するためのクッション部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のトイレットペーパーホルダー。
【請求項4】
前記扉の内側の、回動支点軸付近に、前記トイレットペ-パーを引きだす際の案内となるガイドロールを備えたことを特徴とする請求項1乃至3に記載のトイレットペーパーホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトイレットペーパーを保持するホルダーに関し、特に片手でトイレットペーパーの折り畳み及び切断を可能とするトイレットペーパーホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトイレットペーパーホルダーは、両手を使用してトイレットペーパーを畳みながら所定の長さ分だけ繰り出した状態で、トイレットペーパーホルダーのカバー部分先端の切断歯部を一方の手で抑えながら、トイレットペーパーの先端を他方の手で引き上げて、前記切断歯部でトイレットペーパーを切断するという作業となり、両手での操作を余儀なくされている。さらに切断歯による怪我をする虞れもあり、手の不自由の方や高齢者にとっては使用勝手が良くないという問題があった。
【0003】
そこで、上記問題点の解決を目的としたトイレットペーパーホルダーの切断装置が開示されている(特許文献1)。これは、毛細管現象で吸水された吸水材の線状の切断面をトイレットペーパーに接触させ、トイレットペーパーを怪我の虞れも無く、綺麗に切断する装置である。
【0004】
さらに、上記問題点の解決を目的として、トイレットペーパーなどのロールペーパーに、水で濡れた舌状体を接触させて切断し、さらに残留ペーパーにブレーキを掛けることで、片手で切断及び切り取りを可能としたロールペーパーカッターが開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】公開実用新案昭63-31894号 公報
【特許文献2】公開実用新案昭63-199693号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のようなトイレットペーパーホルダーの切断装置では、トイレット-パーを安全に切断できるものの、その後切断したトイレットペーパーを通常2枚~5枚程度重ねて使用するためにはトイレットペーパーを30~60cm程度引き出した後に切断する必要がある。この切断動作をトイレの狭い空間で行うには、トイレットペーパーを畳みながら引き出すなどの工夫が必要であり、この動作を片手で行うのは無理と考えられる。また、特許文献2のようなロールペーパーカッターでは、片手で引き出して安全に切断できるものの、特許文献1と同様の問題が考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、片手の不自由な人でもトイレの狭い空間で、トイレット-パーを安全に切断でき、且つトイレットペーパーを折り畳んだ状態にすることのできる実用性の有るトイレットペーパーホルダーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明の一つの特徴に従ったトイレットペーパーホルダーは、左右に並置された側板と、後部に配置された背板と、上部にその先端側に液体で濡れた素材を備えた切断部とが配置された構成からなるトイレットペーパーホルダーであって、トイレットペーパーホルダーの内部の下部側に、トイレットペ-パーを回転自在に載置するための中板を設け、左右の側板の間に回動支点軸を回動軸として上下に開閉する扉を備え、略90度開いた状態の扉の上面で、トイレットペ-パーホルダーから引き出されたトイレットペーパーを適当回数折り畳んだ状態のまま扉の外側に引き出した状態で、扉を閉じることで、引き出されたトイレットペーパーを切断部の先端側に瞬時接触させて線状に濡れた部分を作り、引き出されたペーパーの紙質を線状に溶化させ、溶化した部分を切断するものである。
【0009】
本発明の他の特徴に従ったトイレットペーパーホルダーは、切断部を液体が収納された水槽に線状断面の繊維状素材を浸す構造としたものである。
【0010】
本発明の更に他の特徴に従ったトイレットペーパーホルダーは、切断部の前面に、引き出されたペーパーの切断後のトイレットペ-パーの先端部を保持するためのクッション部材を設けた構造としたものである。
【0011】
本発明の更に他の特徴に従ったトイレットペーパーホルダーは、扉の内側の、回動支点軸付近に、トイレットペ-パーを引きだす際の案内となるガイドロールを備えた構造としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、片手の不自由な人でもトイレの狭い空間で、トイレット-パーを安全に切断でき、且つトイレットペーパーを折り畳んだ状態にすることのできる実用性の有るトイレットペーパーホルダーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】(A)は扉開状態のトイレットペーパーホルダー側面断面図であり、(B)は扉閉状態のトイレットペーパーホルダー側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び
図2に示すように、本発明のトイレットペーパーホルダー100は、左右に並置された側板1と後部に配置された背板2と上部の天板3と下部の地板5とによって形成された箱体である。トイレットペーパーホルダー100の前面には、左右の側板1に挟まれ、回動支点軸8を回動軸として約90度上下に開閉する扉6を備え、トイレットペーパーホルダー100の内側上部にはトイレットペーパー7を切断するための切断部20と、トイレットペーパー7を回転自在に載置するための中板4を備えている。
【0015】
また、中板4と地板5の間の空間には予備のトイレットペーパーを置いておくことができる。そしてトイレットペーパー7は、中板4の上に拘束されず置かれているので回転自在に支えられることになる。
【0016】
図2(A)に示すように、トイレットペーパー7は、その先端部を下側から引き出せる位置で中板4の上に載置され、引き出されたトイレットペーパー7の先端をガイドロール13と扉6との隙間に差し入れることで、トイレットペーパー7を扉6側に拘束された状態で引き出すことが可能となる。ガイドロール13は、扉6に固定した状態で設置することや、扉6側又はガイドロール13側にマグネット14を装着することで、ガイドロール13を容易に扉6側から取り外す構造で設け、トイレットペーパー7の先端をガイドロール13と扉6との隙間に、より容易に差し入れる構造とすることも可能である。要は扉6側にトイレットペーパー7の先端を挿入できる構造で有れば種々の構造が適用できる。
【0017】
トイレットペーパーホルダー100の使用の準備は以下の通りである。トイレットペーパー7を初めて使用又はトイレットペーパー7の交換後初めて使用する際、
図2(A)に示すように、扉6を開いてトイレットペーパー7の先端をガイドロール13と扉6との隙間に挿入し、扉6の先端付近までトイレットペーパー7の先端を引き出し、その後
図2(B)に示すように、扉6を閉じて準備完了となる。
【0018】
前記準備完了後、トイレットペーパーホルダー100を使用する仕方は以下の通りである。扉6を開いてトイレットペーパー7の先端を引き出しながら、使用目的に合わせて開いた扉6の上面で3枚~5枚程度折り畳んだ状態のペーパー11とする。その後、折り畳んだ状態のペーパー11を扉6の外部に掴み出し、折り畳んだ状態のペーパー11を掴んだままの手で扉6を閉じる。この時、扉6の先端部のトイレットペーパー7はクッション部材17で押さえられながら、
図3に示す切断部20に備えた繊維状素材の先端19aに接触する。切断部20の構造は、水槽18内の液体16に浸された繊維状素材19が、毛細管現象で繊維状素材の先端19aは濡れた状態となっている。従って、トイレットペーパー7が繊維状素材の先端19aに接触することで溶解しトイレットペーパー7が線状に濡れた状態になり切断される。切断されたペーパー12を使用することができる。
【0019】
トイレットペーパーホルダー100に残った切断されたトイレットペーパー7の先端はクッション部材17で押さえられると伴に、クッション部材17の前方向の長さを繊維状素材の先端19aの前方向の長さより長くすることで、トイレットペーパー7は繊維状素材の先端19aに接触しない状態を保持でき、液体16で濡れることは無い。次回使用する際は扉6を開くことで前記同様に目的の切断されたペーパー12を得ることができる。切断されたペーパー12をつかんだ後に扉にも開けた窓に指を差し込み、ガイドロール13に乗せ掛ける。この動作によって切れ方によっては残りのトイレットペーパー7が繊維状素材19aに触れないようにして次の使用時に取り出しやすくする。液体16に香水等を含ますことで香りを得たり、消臭効果を得ることも可能である。
図4に示すように、水槽18には蓋15を備え、蓋15を外して液体16の注入を可能とし、蓋締結部材15aにより蓋15を固定することで、液体16の揮発や液体16が振動等により零れることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0020】
1・・・側板、 2・・・背板、 3・・・天板、 4・・・中板、 5・・・地板
6・・・扉、 7・・・トイレットペーパー、 8・・・回動支点軸
11・・・折り畳んだ状態のペーパー、 12・・・切断されたペーパー
13・・・ガイドロール、 14・・・マグネット、 15・・・蓋
15a・・・蓋締結部材、 16・・・ 液体、 17・・・クッション部材
18・・・水槽、 19・・・繊維状素材、 19a・・・繊維状素材の先端
20・・・切断部、 100・・・トイレットペーパーホルダー