(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044525
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】押出成形で製造されたフラットな形状の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル。
(51)【国際特許分類】
H01B 7/08 20060101AFI20220310BHJP
H01B 7/04 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
H01B7/08
H01B7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020162711
(22)【出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】520376889
【氏名又は名称】柴田 斉
(72)【発明者】
【氏名】柴田 斉
【テーマコード(参考)】
5G311
【Fターム(参考)】
5G311AA03
5G311AD03
5G311CA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】延長ケーブルの延長距離を伸ばし、配線敷設部分の段差を少なくし、絶縁体と導体の素材信頼性を改善、抗菌作用や防水機能を備え、かつ製造時に空気が混入しにくいフラットケーブルを提供する。
【解決手段】給電線、アンテナケーブル、スピーカーケーブル0であって、適切な絶縁樹脂素材を選定して、押出成形法で薄くフラットに製造し、帯状導体3には金属板やカーボンナノチューブ等しなやかで耐久性の高い素材を使用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形により延長距離を飛躍的に伸ばした電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル
【請求項2】
薄くフラット化した請求項1に記載の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル
【請求項3】
簡便に移動可能な請求項1から請求項2に記載の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル
【請求項3】
断線の可能性が極めて低い電気導体を使用した請求項1から請求項2に記載の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル
【請求項4】
車両の扉や窓等を締めている状態で、車内の電源設備と外部連携を可能にした請求項1から請求項3に記載の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル
【請求項5】
太陽光パネル同士の連結や、扉や窓等を締めている状態で、太陽光パネルが設置されている外部から内部に連携を可能にした請求項1から請求項4に記載の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル
【請求項6】
扉や窓等を締めている状態で、外部に設置された発電機から、内部に連携を可能にした請求項1から請求項5に記載の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル
【請求項7】
押し出し成形による密閉型により高い防水、高い耐久性、高い柔軟性、ノイズが発生にしにくいシールド性を持ち、絡みにくい特性をもった、野外での使用も可能な請求項1から請求項6に記載の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル。
【請求項8】
抗菌樹脂の絶縁素材を用いてウイルス感染拡大を抑止した請求項1から請求項7に記載した電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル。
【請求項9】
耐熱樹脂、耐寒樹脂、耐摩耗樹脂の絶縁素材を用いることで耐久性が高い為、車内外の配線、船舶内外の配線、潜水艦内外の配線、飛行機内外の配線、ロケット内外の配線、宇宙船内外の配線、宇宙ステーション内外の配線に使用可能な請求項1から請求項8に記載の電線及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル。
【請求項10】
押出し成形により薄く細く成形できたことにより、固定設置だけではなく、持ち運びや設置や取り外しが簡便になった請求項1から請求項9に記載の電線及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル。
【請求項11】
請求項1から請求項10に記載した電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出成形で製造されたフラットな形状の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブルに関わるものである
【背景技術】
【0002】
家庭用等で一般的に用いられる従来の延長ケーブルセット(テーブルタップとも称する)で使用されている電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブルでは、断面形状が円形、あるいは長円形のコードが使用されており、厚みがある。そのため、従来の延長ケーブルセットのコード部分を敷物の下に敷くと、コードが存在する敷物の一部分が盛り上がり、段差のようになる。このような延長ケーブルセットのコード部により生じた段差は、敷物の見栄えが低下するといった問題があることに加え、人が段差につまずくといった問題があった。
【0003】
また、ドアなどが有る場所では、延長ケーブルセットを使用すると、ドアなどにコード部が挟まり、ドアを閉める事が出来なくなる。そのため、従来の延長ケーブルセットでは、使用される場所や状況が限定されていた。
【0004】
上述のような延長ケーブルセットの課題を解決するものとして、下記特許文献1には、配線部分の一部をフラット状に形成した延長ケーブルが開示されている。特許文献1の延長ケーブルでは、配線部の一部をフラットな構造とすることにより、壁面への取り付けが容易となることに加え、コード部分で形成される段差に人がつまずく、引っかかるなどのトラブルを抑制可能とされている。
【0005】
しかし、フラット型ケーブル(特許文献1)は、通常の電線ケーブルと違って押出成形で製造されていない為、絶縁素材が破れやすい。特許文献1の絶縁素材は薄いシートを面積が広い部分同士を貼り合わせて筒状したものに、銅箔を挿入していることから、断線や被膜体の破断のリスクが高く、銅箔部分に空気が入っている為、銅にサビを発生させてしまい、サビが電流の抵抗となり、抵抗箇所が熱を帯びることから、高電圧を流すことはできない。また、切れ目が無い状態での絶縁素材の延長距離は3m前後が限界であった。
【0006】
また、フラット型ケーブルとは別に野外で防水機能を備え、野外で使える長距離電線ケーブルは、導体が線や撚り線で断面形状が円形の為、線の厚みが約6mm以上ありフラット化されていない。
【0007】
今後、電気自動車、キャンピングカー、災害で活躍を期待されているプラグインハイブリッド車(PHEV)が増加していく社会情勢である。プラグインハイブリッドは発電機を兼ねているもので、車内から100Vのコンセントが備え付けられており、100Vの電源を確保できる。プラグインハイブリッド車(PHEV)を発電機として使用する際、災害時やアウトドア時に車内から車外に100V電源を確保する時に、通常の延長ケーブルでは、厚みがあるため、ドアや窓を締めた状態で使用することができない。
【0008】
断面形状が円形、あるいは長円形のコードは絡まりやすい特性から、熱が絡まった箇所に熱がこもりやすいことや、電気的ノイズや磁力が発生しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献1】特開2013-093298
【特許文献2】特開2013-089310
【特許文献3】特開2007-299659
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、太陽光パネルや電気自動車の普及が進み、電気自動車等の車両から100V電源を活用したいとのニーズが高まっている。このような背景もあり、特許文献1の延長ケーブルを屋外で使用したいとの要望が高まりつつある。しかしながら、特許文献1のフラット型延長ケーブルは、次のような欠点があった。
(イ)距離を伸ばす事が困難であり、伸長性に改善の余地があった。
(ロ)絶縁素材が破れやすい。
(ハ)電気導体が銅箔であることから、薄く脆いため断線のリスクが高い。
(ニ)抗菌作用が無く、野外で使う場合は感染リスクがある。
(ホ)防水機能を備えておらず、野外での使用は不可能である。
(ヘ)コンセント部分があらゆる形状に変えることが出来ず、100V用の延長コードとしか利用出来なかった。
(ト)袋状の絶縁素材に銅箔をいれるために、袋部分に棒を差し込み、銅箔を棒の先にはりつけて、銅箔をいれる部分に空気を注入して袋部分を膨らました状態で銅箔がついた棒を引き抜いて、手作業で製造するため、棒を入れるためのスペースが必要であった為、フラット部分を薄く、幅を細くすることができなかった。また、銅箔をいれる作業の時に空気を注入することから、水分や湿気が含む為、銅箔が錆びることで、錆が抵抗となり、通電した際に高熱が帯びることがあった。
本発明は、以上の問題点を解決するために作られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
銅板や純銀板、金、アルミニウム、カーボンナノチューブ(CNT)などの通電物質は、しなやかで、柔らかく、強度が高い為、電線の距離を伸長しやすく断線の可能性も極めて低い。電線ケーブル及び給電線は、これらの物質を変形可能(なまし加工)な帯状にして、電気導体として利用する。
【0011】
ケーブルの絡み防止や片付けを容易にするために薄く平たい形状にした。
【0012】
ここで本発明の発明者は、フラット状の部分を有する電線ケーブルセットを屋外で好適に使用することができる構成について検討した。その結果、配線部のうち、フラット部分が押出成形されていないものは、絶縁部分と電気導体に空気が混入している。また、水分や湿気や粉塵などの浸入が起こりやすい。水分が電気導体に錆を発生させてしまい、錆が抵抗となり、錆がある部分に集中して、熱を発生することが判明した。
【0013】
コンセント部分には太陽光に対応したMC4などのプラグや通常コンセントで使用できるプラグ、蓄電池の取り込みに対応したプラグ、スピーカーと連結するプラグなど、様々なプラグの取り付けが可能になる。
【0014】
上述の知見に基づき提供される本発明の電線ケーブル及び給電線及びスピーカーケーブルは、押出し成形により、フラット部に空気が入らずに帯状の電気導体に被覆していることから、水や湿気や粉塵の浸入を抑制することができる。その結果、本発明の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブルは、屋外で好適に利用することが可能となる。
【0015】
また、本発明の電線ケーブルセット及び給電線は、前記フラット部は、帯状の電気導体と帯状の絶縁素材が融着している。帯状の絶縁素材には、抗菌樹脂耐熱樹脂、耐寒樹脂、耐摩耗樹脂を用いるため、抗菌・耐熱・耐寒・耐摩耗を併せ持つ樹脂を用いる。
【0016】
上述の構成によれば、本発明の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブルは、水の浸入だけではなく、湿気も抑制することができ、耐久性が高く、ウイルスに汚染されにくい。その結果、屋外で好適に利用することが可能となる。
【0017】
本発明の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブルは、帯状の電気導体が変形可能な素材及び厚みとされており、前記外装部も柔軟性のある素材により、構成されている。
【0018】
上述の構成によれば、フラット部を変形可能して、様々な場所で好適に使用することができる。その結果、本発明は、利便性の高い電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブルとして提供することができる。
【0019】
本発明の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブルの製造方法は、帯状の電気導体に、帯状の金型にて、絶縁素材を押出し成形によって融着させた外装部の構成になる。
【0020】
本発明によれば、フラット部の帯状導体を押出成形(原理は押出機で加熱・溶融した樹脂を製品の形状をした金型から押出すこと)で製造することで、フラット部分に水が浸入することを抑制することができる電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブルを製造することができる。
【0021】
本発明によれば、押出し成形により、薄く細く成形できるため、軽く、持ち運びが容易となり、設置、取り外しも容易にできる電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブルとして提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
(イ)電気導体に銅板(タフピッチ銅・りん脱酸銅・無酸素銅(OFHC銅)・真空溶解銅、カーボンナノチューブ(CNT)純銀板、アルミニウムなどの通電性が良く、しなやかで、耐久性が高い素材を用いる事で、電線ケーブルの伸長性が高まり、100m以上の距離間をつなげる事も可能となる。
(ロ)電気導体には、断線が極めて少ない素材を用い、断線のリスクを最小限に抑える事が可能となる。
(ハ)消防ホースのようにロール形状に巻き取りが容易となりコードの絡み防止や片付けの手間が減る
(ニ)帯状の絶縁素材は、抗菌仕様のため、ウイルス感染の防止になる。
(ホ)密閉型の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブルであることから、高い防水耐性を持ち、野外での活用も可能となる。また、防火耐性があるため、太陽光パネルとの接続や発電機やプラグインハイブリッド車などの電気自動車の充電にも対応する事ができる。
(ヘ)コンセント部分があらゆる形状に変えることが出来る為、太陽光パネルとの接続や蓄電池との接続やスピーカープラグなど、様々な場面で活躍する事ができる。
(ト)押出成形による製造のため、理論的には無限に長い電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブルを形成できる。
(チ)押出成形は、理論上、複数本の帯状の電気導体を、隙間を開けて並行した状態で形成することができるため、通常のコンセントでは2本の帯状の電気導体が必要である。アース付きのように3本の帯状の電気導体が必要な場合であっても形成することができる。または、帯状の電気導体の本数は、理論上、金型を変更すれば、電気導体の本数に制限は無い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブルを示す斜視図である。
【
図2】
図1の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブルのフラット部端部を示す断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブルを示す斜視図である。
【
図4】
図3の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブルのフラット部端部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態に係る電線ケーブル及び給電線及びスピーカーケーブル「0」について説明する。
【0025】
電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル「0」は、コンセント等の電気の供給源から離れた場所の、あるいは複数の電気器具に電源を供給するために用いられるものである。例えば、車両のバッテリー等や、発電機や、蓄電池や、太陽光パネルを電気の供給源として、屋内外で用いることができる。
【0026】
図1と
図3は、電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル「0」を示す斜視図である。
図1と
図3に示すとおり、電線ケーブル及び給電線及びスピーカーケーブル「0」は、絶縁樹脂素材のフラットの外装部「1」、絶縁素材の厚み部分「2」、帯状の電気導体「3」、かつ、ロール状「4」である。
【0027】
続いて、
図1と
図3の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル「0」に設けられたフラット部「1」について説明する。
図1と
図3に示すとおり、フラット部「1」は、絶縁樹脂素材であり、2本以上(一対)の帯状の電気導体「3」で構成されている。
【0028】
外装部「1」は、帯状の電気導体「3」を、抗菌、耐熱、耐寒、耐摩耗の絶縁性を有する絶縁樹脂素材を融解させて、押出成形によって、形成されたものである。
図2と
図4に示すとおり、外装部「1」は、抗菌、耐熱、耐寒、耐摩耗の絶縁性を有する絶縁樹脂素材が帯状の電気導体「3」と融着させることで空気が入らない状態で形成されている。より詳細に説明すると、
図1と
図3に示すとおり、外装部「1」は、押出成形により、形成されている。押出成形とは大きく5つの工程に分かれている。▲1▼押出機に投入された絶縁材料が加熱して、ドロドロに溶け「ところてん」のように押し出され、
図2と
図4の長方形型の断面図と同じ形の金型へ向かう。▲2▼金型にて、押出機内で溶かされた絶縁材料が、各金型が持つ形状となる。▲3▼水槽にて、金型から形状にとなって出て来たものを、冷却し、形状を整える。▲4▼引取機にて、成形されたものを運ぶ。▲5▼切断機にて、巻き取りしたのちにカットする。押出成形にて出来る製品は「金太郎飴」のように、どこを切っても同じ
図2と
図4の通りの断面となる。
【0029】
本実施形態の外装部「1」では、柔軟性を有する絶縁樹脂素材「2」と同じものである。なお、絶縁樹脂素材「1」と「2」は、抗菌、耐熱、耐寒、耐摩耗を有する素材であり、柔軟性を有し、変形可能であることが望ましい。絶縁樹脂素材「1」と「2」は、例えば、厚み0.1mm~60mm、さらに好ましくは厚み0.1mm~1mmであることが望ましい。
【0030】
図1と
図3に示すとおり、外装部「1」には、
図1に示すとおり、帯状の電気導体「3」が内包されている。外装部「1」の内部が帯状の電気導体の本数分に区画しているため、帯状の電気導体「3」同士が接触することを抑制している。
【0031】
帯状の電気導体「3」は、導電性を有する素材により構成されている。本実施形態の帯状の電気導体は、銅板や純銀板、金、アルミニウム、カーボンナノチューブ(CNT)が用いられている。なお、帯状の電気導体の厚みは、0.01mm~60mm、より好ましくは、0.05mm~1mm程度であることが望ましい。また、帯状の電気導体「3」は、変形可能であることが望ましい。
【0032】
図1と
図3に示すとおり、フラット部「1」は、絶縁素材により構成された外装部であり、及び平坦形状とされた帯状の電気導体「3」とにより、平坦な形状(平坦な配線部)を構成している。また、フラット部「1」は、帯状の電気導体「3」により一端から他端に電気を通電可能としつつ、外装部「1」により覆われて水等の浸入を抑制しつつ絶縁されている。
【0033】
続いて、実施形態の電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル「0」を屋外で利用する場合について説明する。
【0034】
上述のとおり、電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル「0」には、フラット部「1」が形成されている。例えばプラグインハイブリッド車両に設けられた電気の供給源(コンセントなど)に接続し、車両のドアなどの隙間にフラット部「1」を配置させることができる。発電機や太陽光パネル等から、電気を車内や屋内に供給する場合もドアや窓等の隙間にフラット部「1」を配置させることができる。
【0035】
これにより、電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル「0」は、帯状の電気導体「3」に用途に合わせたコンセントプラグを取り付ければ、車両の室内に設けられた100V電源のコンセントに、オスのコンセントプラグを接続して、ドアや窓を閉めたままで、ドアの隙間にフラット部「1」を通すことができる。その結果、メスのコンセント部を車内の電源設備から、ドアや窓を閉めたままで、電気を車外に取り出して電気製品を使うことができる。
【0036】
さらに、電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル「0」は、フラット部「1」が屋外に配置されることとなった場合帯状導体「3」と絶縁素材「2」には空気が混入しておらず、雨や湿気の影響を受けることは無い。その結果、電線ケーブル及び給電線及びスピーカーケーブル「0」は、屋外で好適に利用することができる。
【0037】
また、電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル「0」は、フラット部「1」を有することで、様々なシーンで好適に利用することができる。
【0038】
例えば、敷物の下にフラット部「1」を配置させることで、敷物に段差が生じることを抑制することができる。そのため、人が段差につまずくなどの事態の発生を抑制することができる。
【0039】
また、電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル「0」は、わずかな隙間にフラット部「1」を配置することができるため、様々な場所で利用することができる。
【0040】
さらに、電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル「0」のフラットの外装部分「1」は柔軟性を備え、帯状の電気導体「3」は変形可能な素材、厚みで構成されている。そのため、電線ケーブル及び給電線「0」は、フラット部「1」を消防ホースのように、「4」のような形状で巻き付けて、コンパクトに収納にすることができる。その結果、電線ケーブル及び給電線「0」は、収容する際や持ち運びの際に場所を取らず、好適に利用することができる。
【0041】
また、帯状の電気導体「3」には、銅板、無酸素銅、タフピッチ銅、純銀板、純金板、アルミニウム、カーボンナノチューブ(CNT)を用いる。
【0042】
銅板は、金属の中で、常温では銀に次いで2番目に電気を良く通す金属であり電気抵抗が小さい点や電気抵抗率が低いことで加工が容易、更に低温に強い特徴を持っている。純銀板は、銅板より通電率が高く、更に、柔らかく伸びるため断線の可能性が極めて低い特徴を。また、純金板は、銅板・純銀板よりも電気抵抗率は高いが表面に酸化膜がないため圧接加工も容易となる。
【0043】
カーボンナノチューブ(CNT)は、その特異な形状や特性ゆえに、様々な応用が考えられている。カーボンナノチューブの形状は炭素原子の六員環で構成されるグラフェンシートを巻いた1次元性を有する筒状であり、グラフェンシートが1枚の構造のカーボンナノチューブを単層ナノチューブ(SWNT)、複数枚の構造の場合をマルチウォールナノチューブ(MWNT)と呼ぶ。SWNTは直径約1nm、多層カーボンナノチューブは数十nm程度であり、従来のカーボンファイバーと呼ばれる物よりも極めて細い。
【0044】
また、カーボンナノチューブは、マイクロメートルオーダーの長さを有し、直径とのアスペクト比が非常に大きいことが特徴的である。さらに、カーボンナノチューブは炭素原子の六員環の配列が螺旋構造をとることから、金属性と半導体性の両方の性質を有するという、極めて希有な特性を有する物質である。加えて、カーボンナノチューブの電気伝導性は極めて高く、電流密度に換算すると100MA/cm2以上の電流を流すことができる。
【0045】
カーボンナノチューブは、電気的特性だけではなく、機械的性質についても優れた点を有する。すなわち、炭素原子のみで構成されているため、非常に軽量であるにもかかわらず、1TPaを越えるヤング率を有し、極めて強靱である。また、ケージ物質であるために弾力性・復元性にも富んでいる。このように、カーボンナノチューブは様々な優れた性質を有するため、工業材料として、極めて魅力的な物質である。
【0046】
これまでに、カーボンナノチューブの優れた特性を利用した応用研究が数多く行われている。樹脂の強化や伝導性カーボンナノチューブ構造体としてカーボンナノチューブを添加したり、走査プローブ顕微鏡の探針として利用されたりしている。また、微小電子源として、電界放出型電子素子やフラットディスプレィとしてカーボンナノチューブが利用され、さらに水素貯蔵への応用が進められている。
【0047】
電線ケーブル及び給電線及びスピーカーケーブル「0」は、電気工事の配線、家電製品の電源コード、介護、医療、ディスプレー、店舗装飾の分野イベント会場の仮設電気工事や一般の建築工事の配線、車内外の配線、船舶内々の配線、潜水艦内外の配線、飛行機内外の配線、ロケット内外の配線、宇宙船内外の配線、宇宙ステーション内外の配線、タイルカーペットやフローリングの下に設置しても、好適に利用することができる。
【0048】
また、
図1と
図3に示す通り、ロール状「4」になっている為、長距間での活用が見込める。更に、消防ホースのように巻き取り方式になったことで手軽に持ち運びも可能となり、太陽光の電気を蓄電するのに利用できる、等の様々な場面での活用が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、電線ケーブル及び給電線(アンテナケーブル)及びスピーカーケーブル(0)として、好適に採用することができる。
【符号の説明】
【0050】
(0) 電線ケーブル及び給電線
(1) フラット部
(2) シート材
(3) 帯状導体
(4) 外装部
(5) 収容空間
(6) ロール状