(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044566
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】開閉器
(51)【国際特許分類】
H01H 9/44 20060101AFI20220310BHJP
【FI】
H01H9/44 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142447
(22)【出願日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2020149858
(32)【優先日】2020-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】阿部 健治
(72)【発明者】
【氏名】堀越 和彦
(72)【発明者】
【氏名】太田 剛史
【テーマコード(参考)】
5G027
【Fターム(参考)】
5G027AA02
5G027AA26
5G027BB03
5G027BC20
(57)【要約】
【課題】小型の開閉器において環境低負荷の絶縁性ガスを使用しても遮断性能を十分に高める。
【解決手段】接地開閉器(50)は、円筒状に形成された固定接触部(54)を有する固定接触子(52)と、固定接触部(54)を覆うように、固定接触部(54)と接触可能であり、円筒状に形状されるとともに、先端に開口部を有する可動接触部(46)と、可動接触部(46)が固定接触部(54)に近づく方向(A)と、方向(A)とは逆の方向(B)に可動接触部(46)を回転させる回転軸(48)と、を有する可動接触子(40)と、固定接触部(54)の内部に配置される永久磁石(70)と、可動接触子(40)及び固定接触子(52)を収納し、内部を絶縁性ガスで満たされた容器(容器管(10)及び支持底板(12))と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状に形成された固定接触部を有する固定接触子と、
前記固定接触部を覆うように、前記固定接触部と接触可能であり、筒状に形成されるとともに、先端に第1の開口部を有する可動接触部と、前記可動接触部が前記固定接触部に近づく第1の方向と、前記第1の方向とは逆の第2の方向に前記可動接触部を回転させる回転部と、を有する可動接触子と、
前記可動接触部及び前記固定接触部の少なくともいずれか一方の内部に配置される永久磁石と、
前記可動接触子及び前記固定接触子を収納し、内部を絶縁性ガスで満たされた容器と、
を備えていることを特徴とする開閉器。
【請求項2】
前記永久磁石は、前記可動接触部及び前記固定接触部の少なくともいずれか一方の、少なくとも先端側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の開閉器。
【請求項3】
前記固定接触部は筒状に形成され、
前記永久磁石は、前記固定接触部の内部に配置され、
前記固定接触部の先端には、前記内部に通じるように開口する第2の開口部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の開閉器。
【請求項4】
前記永久磁石は、前記可動接触部の内部に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の開閉器。
【請求項5】
前記永久磁石を高熱から保護する熱保護構造をさらに備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の開閉器。
【請求項6】
前記熱保護構造は、耐熱性を有する絶縁部材が、前記永久磁石が設けられた前記固定接触部の内部に通じるように開口し、前記固定接触部の先端に設けられた第2の開口部を閉塞する構造であることを特徴とする請求項5に記載の開閉器。
【請求項7】
前記熱保護構造は、前記永久磁石を電気的に絶縁するとともに、前記第2の開口部を閉塞する頭部を有し、
前記頭部は、前記固定接触部の先端の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする請求項6に記載の開閉器。
【請求項8】
前記頭部は、前記可動接触部側の面が曲面を有することを特徴とする請求項7に記載の開閉器。
【請求項9】
前記固定接触部の先端は、平面を有し、
前記頭部は、前記平面上に広がるように形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の開閉器。
【請求項10】
前記固定接触部の先端には、保持部が設けられ、
前記熱保護構造は、前記第2の開口部の内部に挿入される胴体部を更に有し、
前記胴体部は、前記保持部の前記永久磁石側の面と当接する鍔部を有することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の開閉器。
【請求項11】
前記熱保護構造は、前記第2の開口部の内部に挿入される胴体部を更に有し、
前記胴体部はネジ構造部を有することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の開閉器。
【請求項12】
前記頭部は、前記固定接触部の中心軸を通る断面でみたとき、前記固定接触部の前記永久磁石が配置されている部分の内壁面から前記頭部の外周の周縁部までの、前記頭部の径方向における距離は、前記周縁部から前記固定接触部の外径が最も大きい部分の外壁面までの、前記頭部の径方向における距離よりも長くなるように設けられていることを特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載の開閉器。
【請求項13】
前記熱保護構造は、前記永久磁石が耐熱性を有する材料で被覆される構造であることを特徴とする請求項5に記載の開閉器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス絶縁開閉装置は、遮断器、断路器、接地開閉器等を備えている。接地開閉器に好適に用いられる開閉器として、例えば、特許文献1には、内部に永久磁石が配置された固定接点電極に対して可動接点電極が移動することで、可動接点電極が固定接点電極から開離するガス封入型開閉器が記載されている。
【0003】
特許文献2には、外部からの操作により回転駆動される絶縁操作軸により回転移動する可動接触子と、固定接触子とを有する接地開閉器を含む断路装置が記載されている。この接地開閉器は、可動接触子が回転することにより、可動接触子が固定接触子に接触するとともに、可動接触子が固定接触子から開離する。
【0004】
しかし、上述した特許文献1の技術では、可動接触子を固定接触子に対して直線的に移動させるため、モータのような回転駆動源から出力される回転運動を直線運動に変換する運動変換機構が必要となる。そのため、装置が大型化してしまうという問題がある。
【0005】
また、特許文献2の技術では、回転駆動源の回転運動を直線運動に変換する必要がないため、運動変換機構を必要としない。そのため、装置の小型化が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭57-197144号公報(1982年12月14日公開)
【特許文献2】特開2004-320883号公報(2004年11月11日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2に記載された装置を含むガス絶縁開閉装置には、一般に、絶縁性ガスとして遮断性能の高いSF6が封入されている。地球環境に対する影響を考慮すれば、SF6のような温室効果が高く排出規制の対象にされている絶縁性ガスよりも、温室効果が低い環境低負荷の絶縁ガスを使用することが好ましい。しかし、環境低負荷の絶縁性ガスの遮断性能はSF6よりも劣る。
【0008】
ところで、特許文献1の装置では、永久磁石の磁力によって固定接点電極と可動接点電極との間でアークが回転する。これにより、アークは絶縁性ガスに多く触れることで消滅しやすくなる。したがって、この環境低負荷の絶縁ガスを特許文献1の装置に使用すると、絶縁性ガスの遮断性能の不足を補うことができると考えられる。
【0009】
しかし、特許文献1の装置では、上述したように大型化が避けられないという問題がある。そこで、特許文献2の装置において、固定接触子に永久磁石を設けることにより、装置の小型化を図りつつ、絶縁性ガスの遮断性能の不足を補うことができると考えられる。
【0010】
ところが、このような構成では、固定接触子に対して可動接触子が回転するので、可動接触子が固定接触子から離れるにしたがって、固定接触子と可動接触子とが平行に向き合わなくなる。このため、アークが固定接触子や可動接触子の上を回転移動すると、アークの存在する位置によってアークの長さが異なることになる。このようにアークの長さが異なると、アーク抵抗が変動するために、アークの回転力に変動が生じ、遮断性能が低下する。したがって、上記の構成では、特許文献1の装置のように絶縁性ガスの遮断性能の不足を補うことは困難である。
【0011】
本発明の一態様は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、環境低負荷の絶縁性ガスを使用しても遮断性能を十分に高めることができる小型の開閉器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る開閉器は、柱状に形成された固定接触部を有する固定接触子と、前記固定接触部を覆うように、前記固定接触部と接触可能であり、筒状に形成されるとともに、先端に第1の開口部を有する可動接触部と、前記可動接触部が前記固定接触部に近づく第1の方向と、前記第1の方向とは逆の第2の方向に前記可動接触部を回転させる回転部と、を有する可動接触子と、前記可動接触部及び前記固定接触部の少なくともいずれか一方の内部に配置される永久磁石と、前記可動接触子及び前記固定接触子を収納し、内部を絶縁性ガスで満たされた容器と、を備えている。
【0013】
上記の構成によれば、可動接触部及び固定接触部の少なくともいずれか一方の内部に配置された永久磁石によって磁界が発生する。可動接触部が固定接触部に接触している状態から固定接触部に対して開離すると、可動接触部と固定接触部との間にアークが発生する。アークは、磁界によって柱状の固定接触部の周囲を回転する。これにより、アークの回転が阻害されることなく円滑に行われ、さらに強い磁界を発生することができる永久磁石を使用することでアークの回転が向上するので、可動接触部が固定接触部に対して開離する距離が短い段階で遮断することができる。また、可動接触子が回転するので、開閉器の小型化を図ることができる。
【0014】
前記開閉器において、前記永久磁石は、前記可動接触部及び前記固定接触部の少なくともいずれか一方の、少なくとも先端側に配置されていても良い。
【0015】
上記の構成によれば、可動接触部及び固定接触部の先端の間に発生するアークに近いところに磁石を配置することで、アークに対してより強い磁界を作用させることができるとともに、アークに鎖交する磁束の方向を改善する。これにより、アークの回転力をより強くして、遮断性能を向上させることがきる。
【0016】
前記開閉器において、前記固定接触部は筒状に形成され、前記永久磁石は、前記固定接触部の内部に配置され、前記固定接触部の先端には、前記内部に通じるように開口する第2の開口部が設けられていても良い。
【0017】
上記の構成によれば、固定接触部の中心軸上にアークが発生することがないため、確実にアークが回転するように磁界を作用させやすくなる。また、永久磁石を固定接触部に容易に設けることができる。
【0018】
前記開閉器において、前記永久磁石は、前記可動接触部の内部に配置されていても良い。
【0019】
上記の構成によれば、永久磁石が可動接触部に配置されていても、その永久磁石の磁界によって、アークを可動接触部の周囲に回転させることができる。また、永久磁石が可動接触部及び固定接触部の両方に配置されていれば、アークの回転力をより強めることができる。これにより、可動接触子が固定接触子に対して開離する距離がより短い段階で遮断を完了することができる。したがって、接触子の損耗を少なくすることができる。
【0020】
前記開閉器は、前記永久磁石を高熱から保護する熱保護構造をさらに備えていても良い。
【0021】
上記の構成によれば、永久磁石が高熱から保護されるので、高熱による永久磁石の減磁を防止することができる。
【0022】
前記開閉器において、前記熱保護構造は、耐熱性を有する絶縁部材が、前記永久磁石が設けられた前記固定接触部の内部に通じるように開口し、前記固定接触部の先端に設けられた第2の開口部を閉塞する構造であっても良い。
【0023】
上記の構成によれば、第2の開口部を絶縁部材で閉塞するという簡素な構造で永久磁石を高熱から保護することができる。
【0024】
前記熱保護構造は、前記永久磁石を電気的に絶縁しても良い。
【0025】
上記の構成によれば、永久磁石に対するアークによる直接的な通電が阻止されるため、通電による永久磁石の減磁を防止することができる。
【0026】
前記熱保護構造は、前記永久磁石を電気的に絶縁する特性を持つとともに、第2の開口部を閉塞する頭部を有し、前記頭部は、前記固定接触部の先端の少なくとも一部を覆っていても良い。
【0027】
上記の構成によれば、アークは磁界に対して垂直に近い向きとなるように発生させることができるため、アークはより磁界の作用を受けやすくすることができる。
【0028】
前記頭部は、前記可動接触部側の面が曲面を有していても良い。
【0029】
上記の構成によれば、可動接触部と固定接触部との間の電界が大きくならず、アークの遮断性能を高めることができる。
【0030】
前記固定接触部の先端は、平面を有し、頭部は、前記平面上に広がるように形成されていてもよい。
【0031】
上記構成によれば、固定接触部の先端部分における頭部が占める割合を大きくすることができる。そのため、頭部の厚さを厚くすることができる。これにより、熱保護構造がアブレーションにより気化することにより発生する絶縁性ガスを持続的に発生させることができる。その結果、内部のガスの絶縁性能をより持続的に高めることができる。
【0032】
前記固定接触部の先端には、保持部が設けられ、前記熱保護構造は、前記第2の開口部の内部に挿入される胴体部を更に有し、前記胴体部は、前記保持部の前記永久磁石側の面と当接する鍔部を有していてもよい。
【0033】
上記の構成によれば、熱保護構造を固定接触部の第2の開口部に押し込むことにより、固定接触部に熱保護構造を取り付けることができる。これにより、簡易な構造により、固定接触部から外れにくい熱保護構造を提供することができる。
【0034】
前記熱保護構造は、前記第2の開口部の内部に挿入される胴体部を更に有し、前記胴体部はネジ構造部を有していても良い。
【0035】
上記の構成によれば、固定接触部に熱保護構造を取り付けやすくすることができる。これにより、絶縁体カバーを固定接触部に着実に固定することができるとともに、ガス絶縁開閉装置の組み立てを容易に行うことができる。
【0036】
前記頭部は、前記固定接触部の中心軸を通る断面でみたとき、前記固定接触部の前記永久磁石が配置されている部分の内壁面から前記頭部の外周の周縁部までの、前記頭部の径方向における距離は、前記周縁部から前記固定接触部の外径が最も大きい部分の外壁面までの、前記頭部の径方向における距離よりも長くなるように設けられている。
【0037】
上記の構成によれば、アークは磁界に対してより垂直に近い向きとなるように発生させることができるため、アークはより磁界の作用を受けやすくすることができる。
【0038】
前記開閉器において、前記熱保護構造は、前記永久磁石が耐熱性を有する材料で被覆される構造であっても良い。
【0039】
上記の構成によれば、永久磁石が全体的に高熱から保護される。これにより、永久磁石の減磁防止効果をより高めることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の一態様によれば、小型の開閉器において環境低負荷の絶縁性ガスを使用しても遮断性能を十分に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の実施形態1に係るガス絶縁開閉装置における接地開閉器を含む要部を示す縦断面図である。
【
図2】上記接地開閉器の固定接触子側から見た上記接地開閉器の可動接触子を含む上記ガス絶縁開閉装置の要部を示す横断面図である。
【
図3】上記接地開閉器が遮断状態となる位置まで上記可動接触子が上記固定接触子に対して開離した位置まで回転した状態を示す縦断面図である。
【
図4】上記可動接触子が規定の開状態となる位置まで上記固定接触子に対して開離した位置まで回転した状態を示す縦断面図である。
【
図5】上記固定接触子の先端部を拡大して示す縦断面図である。
【
図6】本発明の実施形態2に係る接地開閉器を示す縦断面図である。
【
図7】本発明の実施形態3に係る接地開閉器を示す縦断面図である。
【
図8】本発明の実施形態1に係る絶縁体カバーの第1変形例を示す図である。
【
図9】可動接触部と固定接触部との間に発生するアークと磁界との関係を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態1に係る絶縁体カバーの第2変形例を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態1に係る絶縁体カバーの第3変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1における開閉器について、
図1~
図5を参照して説明する。
【0043】
ガス絶縁開閉装置(GIS)は、変電所に配置される設備である。ガス絶縁開閉装置の容器内部には絶縁性ガスが満たされ、遮断器(GCB)、断路器(DS)、接地開閉器(ES)、変流器(CT)、避雷器(LA)等により構成される。
【0044】
図1は、ガス絶縁開閉装置1における接地開閉器(ES)を含む要部を示す縦断面図である。
図2は、可動接触子を接地開閉器の固定接触子側から見た接地開閉器の可動接触子を含むガス絶縁開閉装置1の要部を示す横断面図である。
【0045】
ガス絶縁開閉装置1は、容器管10と、装置全体を支持する支持底板12とが設けられている。容器管10と支持底板12により形成される容器内の内部空間Sは、外気から遮断され、密閉された状態を保っている。
【0046】
この内部空間Sには、絶縁性ガスが封入される。絶縁ガスは、環境低負荷ガスが使用される。環境低負荷ガスは、例えば、フルオロニトリル、Dry Air、N2、CO2、О2、CF4、フルオロケトンまたはそれらを混合したガス等である。これらのガスは、地球温暖化係数がSF6に比べて極めて小さく、化学的に安定しており、環境低負荷であり、且つガス絶縁開閉装置に使用可能なガスの条件を満たしている。また、これらのガスの遮断性能は、それぞれSF6の遮断性能に劣る。
【0047】
なお、CO2は代表的な温室効果ガスとして知られている。上述の通り、CO2の地球温暖化係数は、SF6の地球温暖化係数と比べて極めて小さいという条件を満たしている。また、現在、日本におけるガス絶縁開閉装置を含む電力機器に使用されているSF6を全てCO2に置き換えたとしても、その総量は現在の日本の年間のCO2の総排出量に対してほとんど無視できる程度の量であると試算できる。したがって、CO2も、環境低負荷ガスとしてガス絶縁開閉装置に使用されてもよい。
【0048】
内部空間Sには、電路を形成する三相導体30、33、三相導体30、33によって形成される電路を断路する断路器20及び三相導体33を接地するための接地開閉器50(開閉器)が配置されている。本実施形態において、接地開閉器50及び断路器20は、可動接触子40を共有する構成となっている。具体的には、断路器20は、可動接触子40と、固定接触子22とを有して構成され、接地開閉器50は、可動接触子40と、固定接触子52とを有して構成されている。なお、可動接触子40は、接地開閉器50と断路器20とで共有されるが、接地開閉器50と断路器20とで各々独立して設けられても良い。
【0049】
<可動接触子>
三相導体33の先端には、可動接触子40が取り付けられている。可動接触子40は、接地開閉器50の可動接触子の役割と断路器20の可動接触子の役割とを併せ持つ。可動接触子40は、アーム42、断路器20側の可動接触部44、接地開閉器50側の可動接触部46及び回転軸48(回転部)を備えている。アーム42の長手方向の一方側の端部には、可動接触部44、46が一体となって設けられている。アーム42の他方側の端部には、回転軸48が設けられている。
【0050】
可動接触子40は、回転軸48によって、
図1に示す方向A(第1の方向)と、その逆の方向B(第2の方向)とに回転可能に支持されている。方向Aは、可動接触部46が固定接触部54に近づく方向である。方向Bは、方向Aとは逆の、可動接触部44が固定接触部54から遠ざかる方向である。
【0051】
可動接触部44、46は、有底の円筒形状からなり、先端に開放された開口部(第1の開口部)44a、46aを有する。可動接触部44の開口部44aは、方向Bに向いて開口し、接地側の可動接触部46の開口部46aは、方向Aに向いて開口している。可動接触部44、46の先端は丸みをおびた断面形状を有している。なお、可動接触部44、46は、分割された複数の部材が木樽の箍のような環状の部材で束ねられることによって円筒状に形成されても良い。可動接触部44、46の円筒形状を形成する、内底面を除く内壁面45、47は、可動接触子40が固定接触子22、52に対して閉極した状態で、固定接触部24、54の外壁面29、59の一部と接触可能である。
【0052】
図2に示すように、絶縁操作棒27は、その一部が容器管10の外部に配置され、かつその大部分が容器管10の内部に配置されるように設けられている。回転軸48は、絶縁性の材料からなり、横断面が円形、四角形などの形状をなす長尺の棒状の部材である絶縁操作棒27を含んでおり、絶縁操作棒27により貫かれている。回転軸48は、絶縁性の支持部材28によって回転可能に支持されている。支持部材28は、支持部材21によって支持底板上に支持されている。
【0053】
回転軸48は、絶縁操作棒27及び気密軸受け14を介して、容器管10の外部に設けられる図示していない駆動源と、連結している。駆動源は、例えばモータ等が使用される。回転軸48は、駆動源からの動力をアーム42に伝達する。動力の伝達を受けたアーム42は、可動接触子40の接地側の可動接触部46を、接地側の固定接触子52の固定接触部54に接触させる方向A、又は可動接触部46を固定接触部54から開離させる方向Bに回転する。
【0054】
可動接触部46が固定接触部54に対して開離した状態から、可動接触部46が方向Aに回転すると、可動接触部46の開口部46aが固定接触部54に近づく。さらに方向Aに回転すると、可動接触部46の先端部分が固定接触部54の外壁面59と接触する。可動接触部46は、さらに方向Aに回転すると、外壁面59上を摺動するようにして、可動接触部46の先端から内壁面47へと接触している部分が移動する。
図3に二点鎖線で示すように、可動接触子40が固定接触子52に対して閉極した状態のとき、内壁面47の一部と、外壁面59の一部とが接触する。
【0055】
<断路器>
断路器20は、可動接触子40及び固定接触子22を有している。三相導体30の先端には、断路器20側の固定接触子22が取り付けられている。固定接触子22は、例えば金属のような、導電性材料によって形成される。固定接触子は円盤状の基盤23を有する。基盤23のほぼ中央には、中実の円柱形状からなる固定接触部24が、基盤23の表面に対して垂直に立ち上がるように設けられている。固定接触部24は、可動接触子40に設けられた可動接触部44と接触可能である。基盤23の周縁部には、固定接触部24と同方向に延出する外壁部26が設けられている。
【0056】
<接地開閉器>
図5は、固定接触子52の先端部を拡大して示す縦断面図である。
【0057】
接地開閉器50は、
図1に示すように、接地端子51及び固定接触子52を有している。接地端子51は、棒状に形成された導電性部材である。接地端子51は、支持底板12を貫通するように配置されている。接地端子51と支持底板12との間には、絶縁ブッシュ80が設けられている。接地端子51の支持底板12の外側に突出する部分は接地されている。接地端子51の内部空間S側の先端には、接地開閉器50の固定接触子52が支持底板12に対して所定角度に傾斜するように固定部材57によって取り付けられている。
【0058】
固定接触子52は、例えば金属のような、導電性の材料によって形成される。接地側の固定接触子52は円盤状の基盤53を有する。基盤53のほぼ中央には、固定接触部54が、基盤53の表面に対して垂直に立ち上がるように設けられている。固定接触部54は、柱状(円柱形状)に形成されている。具体的には、固定接触部54は、有底の円筒形状からなり、
図5に示すように、先端54aに開口部58(第2の開口部)を有する。
【0059】
固定接触部54の外壁面59は、可動接触子40に設けられた可動接触部46の少なくとも一部と接触可能である。
図5に示すように、固定接触部54の開口部58の内周縁には、固定接触部54の中心に向く保持部55が設けられている。基盤53の周縁部には、接地側の固定接触部と同方向に延出する外周壁56が設けられている。
【0060】
固定接触部54の円筒形状の内部には、円柱形状の永久磁石70が配置されている。永久磁石70は、例えばネオジム磁石のような磁力の強い磁石である。永久磁石70は、固定接触部54の円筒形状の底の部分から先端54a側に位置するように配置されている。永久磁石70は、固定接触部54の円筒形状の先端54a側の内部に部分的に配置するように設けても良い。
【0061】
図5に示すように、固定接触部54の開口部58を閉塞するように耐熱性と電気絶縁性とを有する絶縁体カバー60(絶縁部材)が取り付けられている(熱保護構造)。絶縁体カバー60は、絶縁体カバー60の周縁から径方向に突出する鍔部62が設けられている。鍔部62の開口部58側の面は、保持部55の永久磁石70側の面と当接する。絶縁体カバー60が固定接触部54から外れる方向に移動したとしても、鍔部62と、固定接触部54の先端54aに設けられた保持部55とが当接することになる。これにより、絶縁体カバー60が開口部58に保持される。これにより、絶縁体カバー60が固定接触部54から脱落することを防いでいる。絶縁体カバー60は、PTFE、PMMA、PA66、PC、PE、POM等の有機系の絶縁物により形成される。絶縁体カバー60は、永久磁石70がアークの発生による高熱に曝されてしまうことを防ぐことができる。これにより、永久磁石70の磁界が不可逆的な減磁をする恐れがなくなり、アークの回転が保たれた状態とすることができる。永久磁石70の周りを被覆するように、耐熱性と電気絶縁性とを有する絶縁部材を設けても良い。
【0062】
<接地開閉器の動作>
以下、接地開閉器50の動作を説明する。
【0063】
図3は、接地開閉器50が遮断状態となる位置まで可動接触子40が固定接触子52に対して開離した位置まで回転した状態を示す縦断面図である。
図4は、可動接触子40が規定の開状態となる位置まで固定接触子52に対して開離した位置まで回転した状態を示す縦断面図である。
【0064】
図3に二点鎖線にて示すように、固定接触部54と接触している可動接触部46を、駆動源の動力により、固定接触部54から開離する方向に回転させる。可動接触部46と固定接触部54の接触が解除されると、可動接触部46と固定接触部54との間でアークが発生する。このアークは、永久磁石70が発生する磁界の作用を受け、固定接触部54の円筒形状に沿って回転しながら移動する。これにより、アークは絶縁性ガスに多く触れるので消滅しやすくなる。
【0065】
また、外周壁56を設けることにより、開極状態での固定接触部54の周りに生じる電界分布を準平等電界とし、絶縁性能を確保することができる。
【0066】
したがって、
図3に示すように、可動接触部46が、固定接触部54から数mm程度に僅かに開離して、固定接触部54に対して略平行に向き合った位置で、発生したアークを消滅させることができる。回転軸48は、可動接触子40を固定接触子52からさらに開離させ、
図4に示すように、完全に開極された位置に移動させる。
【0067】
<実施形態の効果>
以上説明した実施形態1の接地開閉器50は、筒状に形状された固定接触部54を有する固定接触子52と、可動接触部46及び回転軸48を有する可動接触子40と、固定接触部54の内部に配置される永久磁石70と、容器管10と、を備える。可動接触部46は、固定接触部54を覆うように、固定接触部54と接触可能であり、筒状に形成されるとともに、先端に第1の開口部49を有する。回転軸48は、可動接触部46が固定接触部54に近づく方向Aと、方向Aとは逆の方向Bに可動接触子40を回転させる。容器管10は、後述する支持底板12とともに容器を形成している。この容器は、可動接触子40及び固定接触子52を収納し、内部を絶縁性ガスで満たされている。
【0068】
上記の構成によれば、固定接触部54の内部に配置された永久磁石70によって磁界が発生する。可動接触部46が固定接触部54に接触している状態から固定接触部54に対して開離すると、可動接触部46と固定接触部54との間にアークが発生する。アークは、磁界によって柱状の固定接触部54の周囲を回転する。強い磁界を発生することができる永久磁石を使用することでアークの回転が向上し、可動接触部46が固定接触部54に対して開離する距離が短い段階で遮断することができる。また、可動接触子40が回転するので、接地開閉器50の小型化を図ることができる。
【0069】
したがって、小型の接地開閉器50において、遮断性能がSF6より劣る、環境低負荷の絶縁性ガスを使用しても遮断性能を十分に高めることができる。
【0070】
また、永久磁石70は、固定接触部54の内部の先端54a側に配置されている。
【0071】
上記の構成によれば、可動接触部46及び固定接触部54の先端54aの間に発生するアークに近いところに磁石を配置することで、アークに対してより強い磁界を作用させることができるとともに、アークに鎖交する磁束の方向を改善する。これにより、アークの回転力をより強くして、遮断性能を向上させることができる。
【0072】
また、永久磁石70は、固定接触子52の固定接触部54の内部に配置されている。
【0073】
上記の構成によれば、固定接触部54の中心軸上にアークが発生することがないため、確実にアークが回転するように磁界を作用させやすくなる。また、永久磁石70を固定接触部54に容易に設けることができる。
【0074】
耐熱性を有する絶縁体カバー60が設けられ、永久磁石70を高熱から保護する熱保護構造をさらに備えている。
【0075】
上記の構成によれば、永久磁石70が高熱から保護されるので、高熱による永久磁石70の減磁を防止することができる。
【0076】
熱保護構造は、耐熱性を有する絶縁体カバー60が、永久磁石70が設けられた固定接触部54の内部に通じるように開口し、固定接触部54の先端54aに設けられた開口部58を閉塞する構造である。
【0077】
上記の構成によれば、開口部58を絶縁体カバー60で閉塞するという簡素な構造で永久磁石70を高熱から保護することができる。
【0078】
熱保護構造は、永久磁石70が耐熱性を有する材料で被覆される構造でも良い。このような熱保護構造としては、例えば、永久磁石70が絶縁コーティングされる構造、永久磁石70が筒状の絶縁物の中に収納される構造が挙げられる。
【0079】
上記の構成によれば、永久磁石70が全体的に高熱から保護される。これにより、永久磁石の減磁防止効果をより高めることができる。
【0080】
熱保護構造は、永久磁石70を電気的に絶縁するために、電気絶縁性を有する絶縁体カバー60が設けられている。
【0081】
上記の構成によれば、永久磁石70に対するアークによる直接的な通電が阻止されるため、通電による永久磁石70の減磁を防止することができる。また、アークは熱保護構造上において発生することがないため、固定接触部54の円筒形状に沿ってアークを回転させることができる。
【0082】
〔第1変形例〕
本発明の絶縁体カバーの第1変形例について、
図8および
図9を用いて説明する。第1変形例は、実施形態1の絶縁体カバー60と比較して、絶縁体カバー60aが固定接触部54の開口部58を覆う頭部63aを有している点で異なる。
図8は、本発明の実施形態1に係る絶縁体カバー60の第1変形例を示す図である。
図9は、可動接触部46と固定接触部54との間に発生するアークと磁界との関係を示す図である。
【0083】
図8に示すように、絶縁体カバー60aは、頭部63aと、頭部よりも直径の小さい胴体部65aとを有する。絶縁体カバー60aは、固定接触部54の開口部58を閉塞するように取り付けられている。
【0084】
頭部63aは、可動接触部46側の面が曲面を有する形状である。頭部63aは、可動接触部46と接触しないように設けられている。頭部63aは、固定接触部54の先端に設けられた開口部58の直径よりも、大きい直径を有するように形成されている。頭部63aは、固定接触部54の先端54aの少なくとも一部を覆っている。
【0085】
頭部63aは、固定接触部54の中心軸を通る断面でみたとき、距離D1が距離D2よりも長くなるように設けられている。ここで、距離D1は、固定接触部54の永久磁石70が配置されている部分の内壁面68から絶縁体カバー60aの頭部63aの外周の周縁部64aまでの、頭部63aの径方向における距離である。距離D2は、周縁部64aから固定接触部54の外径が最も大きい部分の外壁面までの、頭部63aの径方向における距離である。換言すれば、周縁部64aは、固定接触部54の外壁面59側に位置している。
【0086】
胴体部65aは、固定接触部54の先端54aに設けられた開口部58に挿入される。胴体部65aには、永久磁石70側に位置する胴体部65aの端部の周縁から径方向に突出する鍔部62aが設けられている。鍔部62aの頭部63a側の面は、保持部55の永久磁石70側の面と当接する。絶縁体カバー60aが固定接触部54から外れる方向に移動したとしても、保持部55が鍔部62aに当接することになる。これにより、絶縁体カバー60aが開口部58に保持される。鍔部62aは、胴体部65aが開口部58に挿入されるときに保持部55を乗り越えるように変形できる弾性を有している。
【0087】
図9を用いて、可動接触部46と、固定接触部54との間に発生するアークと磁界との関係について説明する。なお、
図9は図面の見やすさを考慮し、部材番号を一部省略している。
図9の1000は、実施形態1に係る絶縁体カバー60が固定接触部54に取り付けられている場合のアークの発生を示す。アークは、固定接触部54の開口部58付近において発生している。
【0088】
図9の1001は、第1変形例に係る絶縁体カバー60aが固定接触部54に取り付けられている場合のアークの発生を示す。アークは、絶縁体カバー60aの頭部63aの周縁部64aよりも外側において発生している。これにより、固定接触部54上を回転するアークの回転径を大きくすることができる。
【0089】
アークが磁界から受ける力Fは、以下の式により求めることができる。
【0090】
【数1】
図9の1001に示すように、
図9の1000に示した場合と比較して、アークの方向と磁界の方向とがなす角度θが大きくなっている(θ2>θ1)。アークが絶縁体カバー60aの頭部63aの周縁部64aよりも外側において発生することにより、磁界に対してより垂直に近い向きとなるようにアークを発生させることができる。つまり、第1変形例のような構成によれば、アークはより磁界からの力Fをより受けやすくすることができる。
【0091】
また、アークが周縁部64a付近に発生することで、アブレーションにより絶縁体カバー60aは気化し絶縁性のガスが発生する。絶縁性のガスが発生すると、内部のガスの絶縁性能を高めることできる。これにより、アークの遮断性能を向上させることができる。絶縁体カバー60aは有機系の絶縁物により形成されることにより、アブレーションによる内部のガスの絶縁性能をより高めることができる。
【0092】
〔第2変形例〕
本発明の絶縁体カバーの第2変形例について、
図10を用いて説明する。第2変形例は、第1変形例と比べて、胴体部65bがネジ構造部66bを有する点で異なる。
図10は、本発明の実施形態1に係る絶縁体カバー60の第2変形例を示す図である。
【0093】
図10に示すように絶縁体カバー60bは、頭部63bと、頭部よりも直径の小さい胴体部65bとを有する。頭部63bは、固定接触部54の先端に設けられた開口部58の直径よりも、大きい直径を有するように形成されている。頭部63bは、固定接触部54の先端部の少なくとも一部を覆っている。頭部63bは、固定接触部54の中心軸を通る断面でみたとき、距離D1が距離D2よりも短くなるように設けられている。換言すれば、頭部63bの周縁部64bは短く設けられ、第1変形例の絶縁体カバー60aの周縁部64aと比べて固定接触部54の内壁面68寄りに位置している。
【0094】
胴体部65bは、固定接触部54の先端に設けられた開口部58に挿入される。胴体部65bは、ネジ構造部66bを有している。固定接触部54の先端には、胴体部65bのネジ構造部66bが螺合するネジ構造部55aが設けられている。胴体部65bのネジ構造部66bと固定接触部54のネジ構造部55aとが螺合することにより、絶縁体カバー60bは固定接触部54に固定される。
【0095】
固定接触部54の中心軸方向における頭部63bの長さ(厚み)H1は、固定接触部54の中心軸方向における胴体部65bの長さ(高さ)H2よりも短くなるように形成されている。
【0096】
〔第3変形例〕
本発明の絶縁体カバーの第3変形例について、
図11を用いて説明する。第3変形例は、第2変形例の場合と比べて、絶縁体カバー60cの頭部63cの厚みが厚くなっている点で異なる。
図10は、本発明の実施形態1に係る絶縁体カバー60の第3変形例を示す図である。
【0097】
図11に示すように、固定接触部54の中心軸方向における頭部63cの長さH1は、固定接触部54の中心軸方向における胴体部65cの長さH2と同等か、またはそれよりも長くなるように形成されている。換言すれば、頭部63cの厚みが厚く形成されている。頭部63cの厚みを厚くすることで、アブレーションにより絶縁体カバーの厚さが薄くなっていっても、必要な最小の厚さに達するまで、絶縁体カバーの長期的な使用を可能とすることができる。頭部63cは、固定接触部54の中心軸を通る断面でみたとき、距離D1が距離D2と略同等となるように設けられている。
【0098】
固定接触部54の先端54bは、平面を有している。頭部63cは先端54bの平面上に広がるように形成されている。
図10に示す固定接触部54の先端54aの場合と比べ、先端54b上に設ける絶縁体カバー60cの頭部63cの直径の大きさを大きくすることができる。また、先端54bに平面を設けたことにより固定接触部54の先端部分における頭部63cが占める割合を大きくすることができる。そのため、頭部63cの厚さを厚くすることができる。
【0099】
<変形例の効果>
絶縁体カバー60aは、永久磁石70を電気的に絶縁する特性を持つとともに、開口部58を閉塞する頭部63aを有し、頭部63aは、固定接触部54の先端の少なくとも一部を覆っていても良い。上記の構成によれば、アークは磁界に対して垂直に近い向きとなるように発生させることができるため、アークはより磁界の作用を受けやすくすることができる。
【0100】
頭部63aは、可動接触部46側の面が曲面を有していても良い。上記の構成によれば、可動接触部46と固定接触部54との間の電界が大きくならず、アークの絶縁性を高めることができる。
【0101】
固定接触部54の先端54bは、平面を有し、頭部63cは、平面上に広がるように形成されていてもよい。上記構成によれば、固定接触部54の先端54b部分における頭部63cが占める割合を大きくすることができる。そのため、頭部63cの厚さを厚くすることができる。これにより、熱保護構造がアブレーションにより気化することにより発生する絶縁性ガスを持続的に発生させることができる。その結果、内部のガスの絶縁性能をより持続的に高めることができる。
【0102】
固定接触部54の先端54aには、保持部55が設けられ、絶縁体カバー60aは、開口部58の内部に挿入される胴体部65aを更に有し、胴体部65aは、保持部55の永久磁石70側の面と当接する鍔部62aを有していてもよい。上記の構成によれば、絶縁体カバー60aを固定接触部54の開口部58に押し込むことにより、固定接触部54に絶縁体カバー60aを取り付けることができる。これにより、簡易な構造により、固定接触部54から外れにくい絶縁体カバー60aを提供することができる。
【0103】
絶縁体カバー60bは、開口部58の内部に挿入される胴体部65bを更に有し、胴体部65bはネジ構造部66bを有していても良い。上記の構成によれば、固定接触部54に絶縁体カバー60bを取り付けやすくすることができる。これにより、絶縁体カバー60bを固定接触部54に着実に固定することができるとともに、ガス絶縁開閉装置1の組み立てを容易に行うことができる。
【0104】
頭部63aは、固定接触部54の中心軸を通る断面でみたとき、固定接触部54の永久磁石70が配置されている部分の内壁面68から絶縁体カバー60aの頭部63aの外周の周縁部64aまでの、径方向における距離は、周縁部64aから固定接触部54の外径が最も大きい部分の外壁面までの、径方向における距離よりも長くなるように設けられている。上記の構成によれば、アークは磁界に対してより垂直に近い向きとなるように発生させることができるため、アークはより磁界の作用を受けやすくすることができる。
【0105】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態2について、
図6を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0106】
図6は、実施形態2に係る接地開閉器50を示す縦断面図である。
【0107】
図6に示すように、実施形態2に係る接地開閉器50において、可動接触子40の接地側の可動接触部46の内部に永久磁石72が配置されている。永久磁石72は環状の形状を成している。永久磁石72は、内周面のみを露出するように、可動接触部46の内部に埋め込まれている。永久磁石72は、実施形態1における永久磁石70と同じく、ネオジム磁石のような磁力の強い磁石である。
【0108】
固定接触子52の固定接触部54は、柱状に形成されており、より詳しくは中実の円柱形状を成している。永久磁石72の円孔内を接地側の固定接触部54が挿通するように構成される。
【0109】
可動接触子40が固定接触子から開離する方向に回転すると、アークが発生する。このアークは、設けられた永久磁石72が発生する磁界の作用を受け、可動接触部46の円筒形状の先端部分に沿って回転しながら移動する。これにより、アークは絶縁性ガスに多く触れることで消滅しやすくなる。
【0110】
永久磁石72は、可動接触子40の可動接触部46の内部に配置されている。
【0111】
上記の構成によれば、永久磁石72が可動接触部46に配置されていても、その永久磁石72の磁界によって、アークを可動接触部46の周囲に回転させることができる。これにより、永久磁石70が固定接触部54の内部に配置される実施形態1の接地開閉器50と同じく、可動接触部が固定接触部に対して開離する距離が短い段階で遮断することができる。また、可動接触子が回転するので、開閉器の小型化を図ることができる。
【0112】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態3について、
図7を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1及び2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0113】
図7は、実施形態3に係る接地開閉器50を示す縦断面図である。
【0114】
図7に示すように、実施形態3に係る接地開閉器50において、固定接触子52の固定接触部54の内部に永久磁石70が配置され、可動接触子40の接地開閉器50側の可動接触部46の内部に永久磁石72が配置されている。永久磁石72の円孔内を接地側の固定接触部54が挿通するように構成される。
【0115】
可動接触子40が固定接触子から開離する方向に回転すると、アークが発生する。このアークは、設けられた永久磁石70、72が発生する磁界の作用を受け、固定接触部54の円筒形状の先端部分及び接地側の可動接触部46の円筒形状の先端部分に沿って回転しながら移動する。これにより、アークは絶縁性ガスにより多く触れることで消滅しやすくなり、高い遮断性能を有することとなる。
【0116】
また、永久磁石72が可動接触部46に配置されるとともに、永久磁石70が固定接触部54に配置されているので、アークの回転力をより強めることができる。これにより、可動接触子40が固定接触子52に対して開離する距離がより短い段階で遮断を完了することができる。したがって、可動接触子40、52の損耗を少なくすることができる。
【0117】
〔付記事項〕
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0118】
なお、本実施形態1~3では絶縁性ガスは、環境低負荷の絶縁性ガスを使用した例を説明したが、遮断性能の高いSF6を使用することも可能である。その場合、より高いアーク遮断性能を有した開閉器を提供することができる。
【0119】
また、本実施形態1~3では、接地開閉器に設けられる可動接触子及び固定接触子の少なくともいずれか一方の内部に永久磁石が配置される構成を例として説明したが、断路器に設けられる可動接触子及び固定接触子についても同様の構成を適用することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 ガス絶縁開閉装置
10 容器管(容器)
12 支持底板(容器)
40 可動接触子
42 アーム
46 可動接触部
46a 開口部(第1の開口部)
48 回転軸(回転部)
50 接地開閉器
51 接地端子
52 固定接触子
54 固定接触部
58 開口部(第2の開口部)
60 絶縁体カバー
70 永久磁石
A 方向(第1の方向)
B 方向(第2の方向)