(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044578
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】垂直栽培装置及び垂直栽培の方法
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20220310BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20220310BHJP
A01G 22/05 20180101ALI20220310BHJP
A01G 7/02 20060101ALI20220310BHJP
A01G 25/16 20060101ALI20220310BHJP
A01G 27/00 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
A01G9/02 B
A01G9/02 D
A01G7/00 602A
A01G22/05 A
A01G7/02
A01G25/16
A01G27/00 502M
A01G27/00 502W
A01G27/00 504Z
A01G27/00 502K
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021144812
(22)【出願日】2021-09-06
(31)【優先権主張番号】2014046.3
(32)【優先日】2020-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2107294.7
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】521392882
【氏名又は名称】アグリカルチャー インベストメンツ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッド ジェームズ ムーア
【テーマコード(参考)】
2B022
2B327
【Fターム(参考)】
2B022AA01
2B022AA03
2B022AB15
2B022DA12
2B022DA17
2B327NA10
2B327NC08
2B327NC24
2B327NC42
2B327ND01
2B327NE01
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2B327TA09
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2B327TA11
2B327TA18
2B327TA22
2B327UA04
2B327UA08
2B327UA26
2B327UB11
2B327UB14
2B327UB22
2B327UB26
(57)【要約】
【課題】 垂直栽培装置を提供する。
【解決手段】 装置が、植物トラフ又はポットを支持するためのフレームと、フレームを支持するためのベースと、フレームによって支持され、ガターの下側層の上方にガターの上側層を含むガターのアレイと、植物を収容するための複数の容器であって、各容器がガターのアレイ内のガターによって支持され、かつその中へ排水するように配置された上記複数の容器と、容器を灌水するように配置された灌水システムとを含み、ガターの下側層が、下側層内の各ガターが下側層内の他のガターから第1の水平方向に少なくとも部分的にオフセットされ、かつ上側層内のガターから第1の水平方向に少なくとも部分的にオフセットされるように階段状構成に配置され、装置が、気体状二酸化炭素、空気、及び二酸化炭素と空気の混合気を容器に交換可能に供給するように配置された供給システムを更に含む垂直栽培装置。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直栽培装置であって、
植物トラフ又はポットを支持するためのフレームと、
前記フレームを支持するためのベースと、
前記フレームによって支持され、ガターの下側層の上方にガターの上側層を含むガターのアレイと、
植物を収容するための複数の容器であって、各容器が前記ガターのアレイ内のガターによって支持され、かつその中に排水するように配置される前記複数の容器と、
前記容器を灌水するように配置された灌水システムと、
を含み、
ガターの前記下側層は、該下側層内の各ガターが該下側層内の他のガターから第1の水平方向に少なくとも部分的にオフセットされ、かつ前記上側層内の前記ガターから第1の水平方向に少なくとも部分的にオフセットされるように階段状構成に配置され、
装置が、
気体状二酸化炭素、空気、及び二酸化炭素と空気の混合気を前記容器に交換可能に供給するように配置された供給システム、
を更に含む、
ことを特徴とする垂直栽培装置。
【請求項2】
前記供給システムは、前記容器の各々に気体を直接に供給するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の垂直栽培装置。
【請求項3】
前記供給システムは、前記容器に気体を供給するための複数の気体導管を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の垂直栽培装置。
【請求項4】
前記気体導管の各々が、前記フレームによって支持されることを特徴とする請求項3に記載の垂直栽培装置。
【請求項5】
前記気体導管の各々が、前記ガターのアレイ内の前記ガターの長手軸線と実質的に平行な方向に延びることを特徴とする請求項3又は4に記載の垂直栽培装置。
【請求項6】
前記各気体導管は、あるべきように配置されることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の垂直栽培装置。
【請求項7】
前記気体導管は、平坦チューブであることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の垂直栽培装置。
【請求項8】
前記気体導管は、該気体導管からの気体を退出のための微小孔を含むことを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の垂直栽培装置。
【請求項9】
前記供給システムは、前記容器のアレイの周りの二酸化炭素レベルを制御するように配置されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の垂直栽培装置。
【請求項10】
前記供給システムは、使用時に前記容器と該容器内に収容された前記植物とに熱を提供するように配置されることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の垂直栽培装置。
【請求項11】
前記供給システムは、加圧二酸化炭素、加圧空気、又は二酸化炭素と空気の加圧混合気を供給するように配置されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の垂直栽培装置。
【請求項12】
前記灌水システムは、前記容器の各々を直接に灌水するように構成されることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の垂直栽培装置。
【請求項13】
前記灌水システムは、導管を灌水するための複数の灌水導管を含むことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の垂直栽培装置。
【請求項14】
前記灌水導管は、前記ガターのアレイ内の前記ガターの長手軸線と実質的に平行な方向に延びることを特徴とする請求項13に記載の垂直栽培装置。
【請求項15】
各灌水導管が、前記ガターのアレイ内のガターに関連付けられることを特徴とする請求項13又は14に記載の垂直栽培装置。
【請求項16】
前記関連付けられる灌水導管は、そのそれぞれの容器の上方に位置付けられることを特徴とする請求項15に記載の垂直栽培装置。
【請求項17】
複数の灌水導管が、前記ガターのアレイ内の各ガターに関連付けられることを特徴とする請求項15に記載の垂直栽培装置。
【請求項18】
前記灌水導管の各々が、前記フレームによって支持されることを特徴とする請求項13から16のいずれか一項に記載の垂直栽培装置。
【請求項19】
前記灌水システムは、各灌水導管から分配される液体の量を独立に制御することができるように配置されることを特徴とする請求項13から18のいずれか一項に記載の垂直栽培装置。
【請求項20】
各灌水導管が、圧力補償されることを特徴とする請求項13から19のいずれか一項に記載の垂直栽培装置。
【請求項21】
前記容器のアレイ内の各容器が、植物が通って延びるための1又は2以上の開口部を有する蓋を含むことを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の垂直栽培装置。
【請求項22】
前記蓋は、請求項13から20に記載の前記灌水導管を受け入れて収容するように配置されることを特徴とする請求項21に記載の垂直栽培装置。
【請求項23】
イチゴ植物を収容するための1又は2以上の容器と、
気体状二酸化炭素、空気、及び二酸化炭素と空気の混合気を前記容器に供給するように配置された供給システムと、
を含むことを特徴とする垂直栽培装置。
【請求項24】
ガターを支持するためにフレームを与える段階と、
前記フレーム上にガターを与える段階と、
前記ガター上に容器を与える段階と、
植物を灌水するための灌水システムを与える段階と、
供給システムを通じて前記容器に気体状二酸化炭素を供給する段階と、
前記供給システムを使用して前記容器の周りに気流を与える段階と、
を含むことを特徴とする垂直栽培方法。
【請求項25】
前記気流は、前記容器の周りに温度差を生成することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直栽培装置、特に、フレーム、ガター、容器、灌水システム、及び気体を供給するための供給システムを含む垂直栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ある一定の作物、及び特に果物、サラダ、及び野菜農産物の栽培のための垂直、水耕、かつ集約的な生育栽培システムの使用は、近年にわたって成長している。これらのシステムは、多くの場合に、農産物の生育を増大させる、農産物の収率を改善する、農産物の収穫をより容易にすることにより、及び/又は例えば土地利用又は労働要件を低減することによって農産物のコストを低減することにより、果物又は野菜の栽培及び耕作を改善することを目標にしている。これに加えて、これらの栽培システムは、ある一定の野菜、サラダ、及び果物の生産を従来の又は標準的な栽培方法を使用してそれらを経済的に生育させることが困難であると考えられる気候及び環境内で可能にすることができる。
【0003】
この分野で使用される1つのシステムは、生育ハウス又は温室内のテーブル上に果物、サラダ、又は野菜植物を置くこと、又は生育ハウス又は温室の屋根から吊り下げられたガターに植物を置くことを伴っている。これは、植物及びそれらの農産物が地面から離されて上昇されるので農産物の収穫を有利により容易かつ迅速にする。しかし、そのようなシステムは、それらが典型的には単位面積当たりの植物の密度を増大せず、従って土地利用を低減しないので果物及び野菜農産物の生産コストを実質的に低減しない。
【0004】
果物、サラダ、及び野菜を生育させるのに時々使用される別のシステムは、植物トラフ又はポットを各ポット又はトラフの間にスペーサを有して垂直縦列に積み重ねることである。植物トラフ又はポットを垂直に積み重ねることは、単位面積当たりの植物密度を有意に増大し、それによって土地利用及びその関連コストを低減する。しかし、垂直縦列に植物を積み重ねることに関連付けられたいくつかの有意な欠点がある。第1に、縦列の下側部分で植物に受け入れられる日光は、トラフ又はポット及び上方の植物がそれらの日光を遮るので、多くの場合に縦列の上側部分にある植物によって受け入れられる日光よりもかなり少ない。これは、単一縦列内の生育及び熟成の様々なレベルを引き起こす可能性がある。第2に、垂直縦列は、通常は最上位の植物に給水することによって給水されて施肥される。水及び肥料は、次に、重力によって順番に縦列の各層を通って下向きに自然に滴下又は浸透する。これは、水及び栄養素の不均等かつ頭重的な分配に起因して、縦列内の植物の非対称生育をもたらす可能性がある。第3に、1つの植物トラフ又はポットが別のものの上に積み重ねられることを可能にするスペーサは、典型的に植物の周りの日光及び気流を妨害する。スペーサの問題を克服するために、縦列内の植物の周りの気流及び循環を模擬する複合システムが使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的及び態様は、従来技術が有する少なくともこれらの問題を軽減しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様により、垂直栽培装置を提供し、装置は、植物トラフ又はポットを支持するためのフレームと、フレームを支持するためのベースと、フレームによって支持されたガターのアレイであって、ガターの下側層の上方にガターの上側層を含む上記ガターのアレイと、植物を収容するための複数の容器であって、各容器がガターのアレイ内のガターによって支持され、かつその中に排水するように配置された上記複数の容器と、容器を灌水するように配置された灌水システムとを含み、ガターの下側層は、下側層内の各ガターが下側層内の他のガターから第1の水平方向に少なくとも部分的にオフセットされ、かつ上側層内のガターから第1の水平方向に少なくとも部分的にオフセットされるように階段状構成に配置され、この装置は、気体状二酸化炭素、空気、及び二酸化炭素と空気の混合気を容器に交換可能に供給するように配置された供給システムを更に含む。
【0007】
このようにして、果物、サラダ、及び野菜植物のような作物を垂直に栽培するための装置又はシステムを提供する。使用時に、果物、サラダ、又は野菜植物は、ガターのアレイによって支持された容器内の成長基質内に埋め込まれる。
【0008】
本発明の垂直栽培装置は、容器内に収容された植物が生育するための最適環境を提供するように相乗的に組み合わされたいくつかの特徴を含む。
【0009】
第1に、階段状構成は、上記で議論したように植物が生育するのに適度な光を容器の各々が受け入れることを保証する。階段状構成及びガターのアレイの下側層の水平方向オフセットは、使用時にガター上に支持された植物が光合成レベルの増大のために日光への垂直方向アクセスを有することを意味する。これは、作物の生育及び健康を改善し、かつ収率の改善をもたらすことができる。更に、階段状構成は垂直オフセットも伴うので、単位面積当たりの植物密度が、卓上作物又は従来の栽培方法と比べた時に増加する。これに加えて、階段状構成は、作物を地面から離して上昇させ、それによって作物を収穫して検査する容易性及び速度を改善し、かつ冷たい又は湿った地面から作物を保護する。
【0010】
第2に、灌水システムは、使用時に容器内に収容された植物を灌水して植物が必要な量の水及び栄養素を有することを保証する。このようにして、植物に供給される水、栄養素、及び養分は、植物に最適環境を提供するために緊密に制御かつモニタすることができる。
【0011】
第3に、供給システムは、使用時に容器内に収容された植物に気体状二酸化炭素、空気の両方、及びその混合気を供給するように構成又は配置される。使用時に植物が光合成のための必要な成分を有し、これが生育及び作物収率を改善するように、容器内に収容された植物に気体状二酸化炭素を供給することは有益である。容器内に収容された植物に気体を供給することはまた、使用時に空気乱流が植物の茎及び葉を移動し、これが作物の構造を強化し、それによって生育と熟成果物を支持する能力とを改善するので有益である。これに加えて、植物の葉を横切る気流は、植物の葉を横切って温度差を形成させることができ、これは、孔隙を開くことによって植物の自然な日/夜サイクルを刺激し、それによって光合成を促進する。気流は、植物をそれらの好ましい温度まで受動的又は能動的に加熱するのに使用することもでき、これも植物を刺激して生育を促進することができる。
【0012】
従って、以上の有益な効果の組合せを通して、垂直栽培装置は、植物を生育するための最適環境を提供することができ、これは、果物、サラダ、又は野菜の収率を増大し、疾病を低減し、生育を加速し、エネルギ消費を低減し、かつ土地利用を低減することができる。あるいは換言すれば、本発明の重要な利点は、垂直栽培装置が収率の改善及び土地利用の低減によって作物を栽培するための主要要件の全てを提供することである。
【0013】
好ましい実施形態では、供給システムは、気体を容器の各々に直接供給するように構成される。より好ましくは、供給システムは、容器の各々に気体を個々に供給するように構成される。このようにして、供給システムは、気体を垂直栽培装置のほぼ近くに供給する供給システムとは異なり、気体を容器に非常に近接して供給するように構成される。容器に気体が直接又は個々に供給されるので、気体の供給は、特定のガター上の植物の容器の各々の内部の植物の個々の必要性に適するように調整することができ、それによって植物により最適な環境を提供することを支援する一方、同時に供給システムのエネルギ消費を低減する。
【0014】
好ましくは、供給システムは、容器に気体を供給するための複数の気体導管を含む。使用時に、気体導管は、気体を容器内に収容された植物に供給する。
【0015】
好ましくは、気体導管の各々は、フレームによって支持される。このようにして、気体導管は、容器に近接して位置決めすることができ、これは、垂直栽培装置を取り囲む又はそれに関連付けられた構成要素の数を低減することができる。
【0016】
好ましくは、気体導管の各々は、ガターのアレイ内のガターの長手軸線と実質的に平行な方向に延びる。気体を容器及びガターの長さに沿ってより均等に供給するために、気体導管がこの方向に延びることが好ましい。
【0017】
好ましくは、各気体導管は、ガターのアレイ内のガターに関連付けられる。関連付けられるとは、特定の気体導管が特定の容器に気体を供給するように配置されることを意味するように理解される。
【0018】
好ましくは、各気体導管は、ガターの下に位置付けられる。気体導管をガターの下に位置付けることは、気体導管にとって、それが光を遮らないがそれが使用時に気体を容器とそこに収容された植物とに供給することができるように容器に十分に近いような有益な位置であることが見出されている。
【0019】
好ましくは、気体導管は、平坦なチューブである。平坦チューブの使用は、それらが比較的廉価であり、かつ多くの異なる気体透過率レベルで生産かつ調達することができるので有利である。このようにして、平坦チューブは、作物の気体要件、すなわち、二酸化炭素消費に適するように交換することができる。
【0020】
好ましくは、気体導管は、気体導管から気体を退出させるための微小孔を含む。微小孔は、気体導管の長さに沿った気体導管からの気体の均等かつ連続的な退出を保証するのに有益であることが見出されている。
【0021】
好ましくは、供給システムは、容器のアレイの周りの二酸化炭素レベルを制御するように配置される。好ましくは、供給システムは、容器に近接する二酸化炭素のレベルを検出するように構成されたセンサを含む。好ましくは、供給システムは、1又は2以上の容器に近接する二酸化炭素のレベルを検出するように各々が構成された1又は2以上のセンサを含む。
【0022】
好ましくは、供給システムは、容器に近接した気流を検出するように構成されたセンサを含む。好ましくは、供給システムは、1又は2以上の容器に近接した気流を検出するように各々が構成された1又は2以上のセンサを含む。
【0023】
好ましくは、供給システムは、容器に近接した温度を検出するように構成されたセンサを含む。好ましくは、供給システムは、1又は2以上の容器に近接した温度を検出するように各々が構成された1又は2以上のセンサを含む。
【0024】
好ましくは、供給システムのセンサの各々は、信号に応答して供給システムを制御するように配置されたコントローラに信号を提供するように配置される。このようにして、供給システムは、使用時に容器内に収容された植物の二酸化炭素レベル、気流、及び/又は温度を制御するように配置された環境制御システムを含む。本発明の垂直栽培装置は、従って、使用時に容器内に収容された植物のための制御されたかつ最適な環境を提供することができる。
【0025】
好ましくは、供給システムは、使用時に容器と容器内に収容された植物とに熱を提供するように配置される。すなわち、供給システムによって分配された空気は、それが気体導管に入る前に加熱される。このようにして植物を加熱することにより、熱は、それが最も必要される区域、すなわち、植物の近くに非常に近接した区域に集中させることができる。これは、温室全体を加熱する従来の方法よりも遥かにエネルギ及びコスト効率的である。供給システムからの加熱した気流はまた、植物を例えばそれらの孔隙を朝に開くことによって有益に刺激することができる。この好ましい実施形態では、典型的に、空気は、加熱されて次に供給システムの気体導管の中にポンピングされる。
【0026】
好ましくは、供給システムは、加圧された二酸化炭素、加圧された空気、又は二酸化炭素と空気の加圧された混合気を供給するように配置される。加圧気体を供給することにより、供給される二酸化炭素及び/又は(加熱)空気の量は、より正確に制御され、かつ容器に分配することができる。
【0027】
好ましくは、灌水システムは、容器の各々を直接に灌水するように構成される。より好ましくは、灌水システムは、容器の各々を個々に灌水するように構成される。このようにして、灌水システムは、各容器がそれ自体の灌水部分によって灌水されるように容器に非常に近接するように構成される。換言すれば、この好ましい実施形態の灌水システムは、容器の全てを一緒に噴霧するスプリンクラーシステムのような頭上システムを含まない。むしろ、この好ましい実施形態の灌水システムは、各々が異なる容器を個々に灌水する灌水導管のような複数の構成要素を含む。容器が直接に灌水されるので、液体栄養素の灌水及び流れは、特定の容器内の又は特定のガター上の植物の個々の必要性に適するように調整することができ、それによって植物にとってより最適な環境を提供することを支援する一方、同時に液体消費を低減する。
【0028】
好ましくは、灌水システムは、導管を灌水するための複数の灌水導管を含む。使用時に、灌水導管は、容器内に収容された植物を灌水する。
【0029】
好ましくは、灌水導管は、ガターのアレイ内のガターの長手軸線と実質的に平行な方向に延びる。液体栄養素を容器及びガターの長さに沿って均等に供給するために灌水導管がこの方向に延びることが好ましい。
【0030】
好ましくは、各灌水導管は、ガターのアレイ内のガターに関連付けられる。関連付けられるとは、特定の灌水導管が特定の容器を灌水するように配置されることを意味するように理解される。
【0031】
好ましくは、関連付けられる灌水導管は、そのそれぞれの容器の上方に位置付けられる。このようにして、使用中に灌水導管から分配される液体栄養素は、容器内に収容された植物を重力を通じて灌水し、それによってエネルギ及び浪費を低減することができる。
【0032】
好ましくは、ガターのアレイ内の各ガターに複数の灌水導管が関連付けられる。この関連では、複数の導管は、特定の容器を灌水するように配置される。複数の導管を有することは、複数の灌水導管が他の導管の間の差を補償することができるので、容器の全体の長さ及び幅が均等に灌水されることを保証するのに有益である。
【0033】
好ましくは、関連付けられる灌水導管の各々は、それらのそれぞれの容器の上方に位置付けられる。このようにして、使用時に灌水導管から分配される液体栄養素は、容器内に収容された植物を重力を通じて灌水し、それによって噴霧からのエネルギ及び浪費を低減することができる。すなわち、灌水導管の場所は、容器の長さ及び幅に沿った均等な送出を保証する。
【0034】
好ましくは、灌水導管の各々は、フレームによって支持される。このようにして、灌水導管は、容器に近接して位置決めすることができ、これは、垂直栽培装置を取り囲む又はこれに関連付けられた構成要素の数を低減することができる。
【0035】
好ましくは、灌水システムは、各灌水導管から分配される液体の量を独立に制御することができるように配置される。この制御は、典型的に、灌水システム内のコントローラの具備によって達成され、それは、灌水導管を通って流れる液体栄養素の圧力及び容積を制御するように配置される。
【0036】
好ましくは、灌水システムは、容器に近接した湿度を検出するように構成されたセンサを含む。好ましくは、灌水システムは、1又は2以上の容器に近接した湿度を検出するように各々が構成された1又は2以上のセンサを含む。
【0037】
好ましくは、灌水システムは、使用時に容器内である培地又は基質の含水率を検出するように構成されたセンサを含む。好ましくは、灌水システムは、使用時に1又は2以上の容器内である培地又は基質の含水率を検出するように各々が構成された1又は2以上のセンサを含む。
【0038】
好ましくは、灌水システムのセンサの各々は、信号に応答して灌水システムを制御するように配置されたコントローラに信号を提供するように配置される。このようにして、灌水システムは、使用時に容器内に収容された植物の湿度及び/又は灌水を制御するように配置された環境制御システムを含む。本発明の垂直栽培装置は、従って、使用時に容器内に収容された植物のための制御されたかつ最適な環境を提供することができる。
【0039】
好ましくは、各灌水導管は圧力補償される。好ましくは、圧力補償は、圧力閾値が満足された状態で液体栄養素の設定流れが流れることを可能にするように配置された流れシステムによって提供される。
【0040】
好ましくは、容器のアレイ内の各容器は蓋を含む。好ましくは、容器のアレイ内の各容器は、植物が通って延びるための1又は2以上の開口部を有する蓋を含む。開口部は、日光が植物にそれが開口部を通って生育する前に到達することを可能にする。蓋は、例えば、蒸発を制限することによって基質及び根構造の湿気及び湿度を制御することを支援することにより、基質及び植物の根構造を保護するように作用する。すなわち、蓋は、垂直栽培装置内で生育する植物の水消費を低減することができる。
【0041】
好ましくは、蓋は、容器に可逆的に取り付けられる。このようにして、蓋は、植物を植える又は育てるために、基質を追加する又は植物を維持するために取り除くことができる。
【0042】
好ましくは、蓋は、灌水導管を含む灌水システムの実施形態では灌水導管を受け入れてそれを収容するように配置される。蓋は、植物を保護するためのカバーとして作用し、従って、蓋は、頭上灌水システムから分配されている液体栄養素の一部を遮る可能性がある。この好ましい実施形態では、この問題は、蓋と容器の間に灌水導管を位置決めすることによって克服され、又は換言すれば、灌水導管は、容器及びその蓋によって定められる空間を通って延びる。灌水導管のこの位置決めは、液体栄養素がそれによって分配される効率を改善し、蓋及び容器は、使用時により多くが基質及び植物に供給されるように液体の浪費を抑制する。
【0043】
好ましくは、灌水導管は、容器にわたって長さ方向に延び、すなわち、蓋は、蓋の下を延びる灌水導管を受け入れてそれを収容するために開口部に加えて開口を含むことが好ましい。
【0044】
垂直栽培装置及びフレームは、以下の任意的な特徴を更に含むことができる。
【0045】
好ましくは、ガターのアレイ内の各ガターは、1又は2以上の植物トラフ又はポットを支持するように配置された隆起面と、使用時に隆起面によって支持された1又は2以上の植物トラフ又はポットから排水を受け入れるように配置された隆起面の下方の排水面とを含む。ガターは、使用時に植物トラフ又はポットを支持するための隆起面と隆起面の下方の排水面とを有利に含むことができる。使用時に、排水面は、容器の底部の下方である。従って、植物が灌水されると、液体栄養素は、容器を通ってガターの排水面の上に排出される。これは、植物が水浸しにならないように有利に支援し、それによって根の生育を改善して根腐れを防止することを支援する。
【0046】
灌水システムは、任意的に、液体栄養素を格納するための流体リザーバを含むことができる。灌水システムは、任意的にポンプを含む場合があり、又は灌水システムは、重力で養分給送することができる。
【0047】
ガターのアレイ内の各ガターは、ガターのアレイ内の他のガターの各々と実質的に同じ寸法を有することができる。ガターのアレイ内の各ガターが同じ寸法を有することにより、ガターによって支持された容器は、使用時に、いずれか又は各ガターの間で移動することができる。従って、植物は、例えば生育又は熟成によって選別するために容易に再配置することができる。
【0048】
ガターの下側層内の他のガターに対する各ガターの第1の水平方向のオフセットは、この各ガターの幅に等しいか又はそれよりも大きいとすることができる。ガターに等しいか又はそれよりも大きいオフセットを有することは、単位面積当たりの植物密度が僅かに減るトレードオフによってガターの下側層によって支持された植物の直射日光の量を増すことができる。従って、そのような実施形態は、より多くの直射日光を要求する作物に対して主に使用することができるであろうと想定される。
【0049】
これに代えて、ガターの層内の他のガターに対する各ガターの第1の水平方向のオフセットは、この各ガターの幅よりも小さくすることができる。水平方向オフセットをガターの幅よりも小さく低減することは、ガターの下側層によって支持された植物が受け入れる直射日光の量が僅かに減るトレードオフによって単位面積当たりの植物密度を増すことができる。従って、そのような実施形態は、日陰条件を好む及び/又は土地利用が重大なファクタである作物に主に使用されるであろうと想定される。
【0050】
ガターのアレイ内のガターは、全て第2の水平方向に位置合わせすることができる。第2の水平方向は、下側層内のガターがオフセットされる第1の水平方向と垂直とすることができる。ガターを第2の水平方向に位置合わせすることは、装置のフットプリントを縮小することを支援し、それによって使用時に植物密度を増大することができる。
【0051】
ガターの上側層内のガターは、第1の水平方向及び第2の水平方向の両方に沿って中心をフレームと位置合わせすることができる。これに代えて、ガターの上側層内のガターは、上述の水平方向の一方のみに沿って中心をフレームと位置合わせすることができる。ガターの上側層内の第1のガターは、第1及び第2の水平方向に一方又は両方に沿って中心を上側層内の第2のガターと位置合わせすることができる。これに代えて又はこれに加えて、ガターの上側層内のガターは、第1及び第2の水平方向の一方又は両方に沿って中心をガターの下側層の最上位ガターと位置合わせすることができる。
【0052】
フレーム及びガターのアレイの両方は、第1の水平方向と直交する平面に沿って対称とすることができる。このようにして、フレーム及びガターのアレイは、対称平面を含むことができる。フレーム及びガターのアレイの両方は、第2の水平方向と直交する平面に沿って対称とすることができる。フレーム及びガターのアレイは、両方の平面に沿って対称とすることができる。フレームは、A字フレームとすることができる。フレームは、2.5メートル未満の高さとすることができる。このようにして、装置上で生育される作物は、ある高さで作業するのに適する精巧な機器及び要求される関連の安全システムの必要性なしに収穫することができる。
【0053】
ガターの下側層の階段状構成は、V字形又はシェブロン形に類似する場合がある。このようにして、下側層内のいずれかのガターの上方及び/又は下方のガター間の第1の水平方向のオフセットは等しい。ガターの上側及び下側層は、ロケット形に類似する場合がある。
【0054】
各ガターは、直線状とすることができる。このようにして、その上で生育される植物は、収穫及び他の労働集約的活動を効率的に行うことができるように直線状に配置することができる。
【0055】
フレームは、第1のサブフレーム及び第2のサブフレームを含むことができ、ガターのアレイ内の各ガターは、第1のサブフレーム及び第2のサブフレームの両方によって同時に支持することができる。第1のサブフレーム及び第2のサブフレームは、ガターによる以外は接続されない又は取り付けられない場合がある。
【0056】
ガターのアレイ内の各ガターは、フレームから取り外し可能とすることができる。このようにして、ガターと使用時にそれらが支持する容器とは、フレーム上の異なる位置に移動されて洗浄することができる。更に、ガターは、フレームよりも使用寿命が短い場合があり、ガターを取り外し可能にすることは、装置の使用寿命を全体として延ばすことができる。
【0057】
気体導管は、気体状二酸化炭素を直列構成でガターのアレイ内の2又は3以上のガターに供給するように配置することができる。導管を直列構成で配置することは、二酸化炭素を供給するためのシステムの複雑さを低減することができる。
【0058】
これに代えて又はこれに加えて、装置は、気体状二酸化炭素を並列構成でガターのアレイ内の2又は3以上のガターに供給するように配置された2又は3以上の気体導管を含むことができる。導管を並列構成に接続することは、使用時の2又は3以上の導管の内側の気体状二酸化炭素の均等な圧力及び従って二酸化炭素のガターのアレイ内のガターへのより均等な供給を保証することがより容易であることを意味することができる。
【0059】
灌水ラインは、水を直列構成でガターのアレイ内の2又は3以上のガターに供給するように配置することができる。導管を直列構成に配置することは、使用時に植物に給水する及び/又は養分給送するシステムの複雑さを低減することができる。
【0060】
これに代えて又はこれに加えて、2又は3以上の灌水ラインは、水をガターのアレイ内の2又は3以上のガターに供給するように並列構成で配置することができる。灌水ラインを並列構成で接続することは、使用時の2又は3以上の導管内の均等な水圧及び従って水のガターのアレイ内のガターへのより均等な供給を保証することがより容易であることを意味することができる。
【0061】
装置は、ガターのアレイからの排水を収集して処理するためのシステムを含むことができる。収集かつ処理された水は、ガターに再供給するために灌水ラインに供給することができる。このようにして、廃水を低減することができる。
【0062】
フレームは、ガターの少なくとも下側層を支持する階段状構成に配置された湾曲部分を有する湾曲支持部材を含むことができる。フレームは、湾曲支持部材によって支持された上側支持部材を更に含むことができる。上側支持部材は、ガターの上側層の1又は2以上のものを支持することができる。
【0063】
フレームは、ベースから延びてガターの少なくとも上側層を支持する垂直支持部材を含むことができる。
【0064】
フレームは、垂直支持部材から延びる1又は2以上の水平支持部材を含むことができる。各水平支持部材は、ガターの下側層からガターを支持することができる。
【0065】
フレームは、昆虫の生息環境を支持するための昆虫生息環境支持体を含むことができる。装置は、昆虫の生息環境を含むことができる。生息環境は、使用時に栽培されている作物に有益であると見なされる昆虫だけに適切とすることができる。
【0066】
装置は、イチゴを垂直に栽培するように配置及び/又は構成することができる。しかし、他の作物の栽培も想定される。
【0067】
使用時に、容器は、そこに生育又は成長培地又は基質を閉じ込めることができる。生育培地は、不活性である場合があり、又はゼロイオン電荷を有することができ、それは、植物生育を支援することが見出されている。生育培地は、粘土ボール基質を含むことができる。これに加えて又はこれに代えて、生育培地は、パーライト、蛭石、ミネラルウール、又はココナツ繊維のようないずれかの他の公知の生育基質を含むことができる。生育培地は、自由に排出することができる。生育培地は、再利用又は再使用することができる。
【0068】
これに代えて、容器は、植物を水耕生育するように構成かつ配置することができる。
【0069】
典型的に、垂直栽培装置は、使用時に生育室内に位置決めされることになる。生育室は、透明又は半透明外面を含むことができる。生育室は、光拡散外面を含むことができる。生育室は、温室、ポリトンネル、又はいずれかの他の公知の適切な構造である場合がある。生育室は、そこの熱、湿度、及び空気移動を制御するように構成することができる。
【0070】
第2の態様により、イチゴ植物を収容するための1又は2以上の容器と、気体状二酸化炭素、空気、及び二酸化炭素と空気の混合気を容器に供給するように配置された供給システムとを提供する。
【0071】
本発明の第2の態様は、第1の態様の好ましい特徴のいずれか、特に、気体システム、気体導管、容器、蓋、灌水システム、及び灌水導管に関連するものを含むことができる。
【0072】
本発明の第3の態様により、垂直栽培方法を提供し、本方法は、ガターを支持するためのフレームを与える段階と、フレーム上にガターを与える段階と、ガター上に容器を与える段階と、植物を灌水するための灌水システムを与える段階と、容器に供給システムを通じて気体状二酸化炭素を供給する段階と、供給システムを使用して容器の周りに気流を与える段階とを含む。
【0073】
使用時に、容器は、植物、基質を含むことになる。灌水システムは、植物を灌水することになり、気体状二酸化炭素の供給は、かつ気流は、第1の態様に関連して議論したような利点を提供することになる。
【0074】
好ましくは、気流は、容器の周りに温度差を生成する。これは、植物を加熱する及び/又は刺激するのに有益である。
【0075】
この明細書では、垂直栽培システム及び垂直栽培装置は交換可能に使用され、同じ意味を有するように理解される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
ここで添付図面を参照して本発明の実施形態を単なる例として以下に説明する。
【0077】
【
図1a】本発明による第1の垂直栽培装置の概略図である。
【
図1b】代替レイアウトの気体導管を有する
図1aの第1の垂直栽培装置の概略図である。
【
図2】本発明による第2の垂直栽培装置の一部分の斜視図である。
【
図3】
図1aの第3の垂直栽培装置の一部分の端部断面図である。
【
図4】本発明による第4の垂直栽培装置の一部分の端部断面図である。
【
図5】本発明による第5の垂直栽培装置の一部分の端部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1aは本発明による垂直栽培装置2の概要である。垂直栽培装置2は、栽培すべき植物5、例えばイチゴ、ピーマンを階段状構成で支持するためのフレーム4を含む。本発明によるフレームの構造は、以下に
図2~
図5に関して詳細に説明する。
【0079】
植物5を支持するために、装置2は、同様に階段状構成であるガターのアレイ6を含み、ガターのアレイ6の各ガター6は、植物5を収容するための容器8を支持する。従って、容器8及びそこに収容された植物5も、階段状構成に配置される。この実施形態では、容器8は植物トラフであり、植物ポット、植物バッグ、又は水耕システムのような他の適切な容器も使用することができると想定される。ガター6の階段状構成は、水平方向にオフセットされることによって階段状構成の下側レベルにある植物5がより多くの日光を受け入れることが可能になるので有益であり、その理由は、上側レベルが垂直な構成と比較して植物に到達する日光をあまり妨げないからである。
【0080】
容器8は各々蓋9を含む。蓋9は、三角形の側部の面に一連の開口(図示しない)を含む実質的に三角形の上面部分を有する。一連の開口により、植物は妨害されることなく生育することが可能になる。蓋9は、植物5が容器8内で生育する培地又は基質(例えば土壌及び堆肥)の条件を調節することを支援し、その理由は、蓋9が囲まれた環境に開口及び開口部を与えるからである。例えば、蓋9は、基質又は培地からの蒸発を低減することにより、湿度を調節することを支援することができる。他の実施形態では、容器8は、例えばそれが成長バッグである時に蓋9なしで与えられる。
【0081】
垂直栽培装置2は、更に灌水システム11を含む。灌水システム11は、水又は液体植物栄養素のような液体の栄養素を灌水導管13に供給するためのポンプ(図示しない)及び/又はリザーバを含むことができる。この実施形態では、灌水システム11は、容器8に収容された植物5を灌水するために灌水のための導管13を含む。例えば、植物5がプリンクラーによって給水される時は他の実施形態が想定される。
【0082】
灌水導管13は容器8の上方に延びて容器8に収容された植物5に水、液体栄養素、又は植物養分のような液体を供給するように配置される。この実施形態では、2つの灌水導管13が、各容器8及び各ガター6の上方で容器8及びガター6の長手軸線と実質的に平行な方向に延びている。2つの灌水導管13が、容器の長さに沿ったかつ容器8の幅を横切る均一な供給をする時に特に有益であることが見出されている。しかし、容器8毎に他の数の灌水導管13が想定される。
【0083】
灌水導管13は、蓋9と容器8の間に収容され、各容器8及び各蓋9は、2つの灌水導管13に関連付けられる。灌水導管13は、ポンプ及び/又はリザーバのような灌水システム11の残りに接続するために、蓋9の一端にある開口部15を通って延びる。この実施形態では、矩形の開口部15のサイズは、灌水導管13のサイズと補足的であるように設計され、結果として蓋9は、灌水導管13を所定位置に保持し、かつ灌水導管13が植物を移動して配置を変えることを防止するように作用する。灌水導管13は、灌水システムの残りと直列に又は好ましくは並列に接続することができる。並列の構成では、各灌水導管13に供給される液体の量はコントローラ(図示しない)によって制御可能であり、結果として灌水導管13によって供給される液体の量を各容器13のために個々に構成することができる。灌水導管13を容器8と蓋9の間に位置決めすることは、蓋9が浪費を防止する障壁として作用することができるので特に有益であることが見出されている。
【0084】
垂直栽培装置2は、更に供給システム17を含み、供給システム17は、気体状二酸化炭素、空気、及び気体状二酸化炭素と空気の混合気を容器8とそこに収容された植物5とに供給するように配置される。この実施形態では、供給システム17は、各々のガター6のすぐ下に位置付けられ、かつ各ガター6の下側に取り付けられた気体導管19を含む。気体は、典型的にリザーバから気体導管19にポンピングされる。従って、各ガター6は、それに関連付けられた気体導管19を有する。気体導管19は、関連付けられた容器8内の植物5に気体を供給するのに適するフレーム4上のどのような場所にも位置決めすることができる。この実施形態では、供給システム17によって供給される気体は、典型的に分配される前に加熱器(図示しない)によって加熱されるので、気体導管19はガター6及び容器8の下にある。他の想定される実施形態では、気体導管19は、容器8及び蓋9の上方に又は容器8と蓋9の間に位置付けられる。
【0085】
供給システム17は、気体状二酸化炭素、空気、又はそれらの混合気を気体導管19内で交換可能にポンピングすることができるように配置される。すなわち、供給システム17は、それによって分配される気体が制御されるように制御することができる。従って、分配された気体は、植物5に対する必要性又は条件に基づいて制御することができる。
【0086】
この実施形態での気体導管19は、平坦チューブであるが、他のタイプのチューブ又は導管も想定される。気体導管19は、それらの長さ及び幅に沿って微小孔を含み、それによって気体導管19から分配される気体が容器8の長さ及び幅に沿って均等に分配されることが可能になる。
【0087】
図1bは、代替レイアウトの気体導管19を含む第1の垂直栽培装置2を示している。この実施形態では、各ガター6の下の気体導管19に加えて、下側容器8の間に追加のものが設けられる。これらの追加の気体導管19は、中心がフレーム4と位置合わせされるので、それらは全て平行でかつ同じ平面上に横たわっている。この実施形態では、気体導管19は、フレーム4から延びる支持体21上に支持される。
【0088】
従って、下側ガター6及びそれらの関連付けられた容器8は、供給システム17及びそれらの間の気体導管19を有し、結果としてそれらは、ガターのすぐ下の気体導管19に加えて気体導管19を共有する。あるいは換言すれば、これらの追加の気体導管19は、2つの容器各々に気体を供給する。これは、空気及び二酸化炭素を容器8に同時に供給する時に特に有利とすることができる。例えば、中心に位置合わせされた気体導管19は、空気を提供して気流を生成するか又は植物を加熱することができ、同じく、ガター6のすぐ下の気体導管19は、植物に二酸化炭素を供給することができる。これらのいわゆる共有された気体導管19から分配される気体の量は、それらが複数の容器8に気体を供給する必要があるという事実を補うために増大させることができる。
【0089】
図2~
図5は、各々本発明による垂直栽培システム102、202、302、402の一部を示している。特に、
図2~
図5は、各々垂直栽培システム102、202、302、及び402のフレーム104、204、4、及び404を示し、それらのシステムでは、フレーム104、204、4、及び404は、ガターのアレイ106、206、306、406を支持している。ガターのアレイ106、206、306、406は、植物を収容するための容器118、218、318、418を支持している。灌水システム11及び供給システム17のような垂直栽培システム102、202、302、及び402の他の構成要素は、明瞭化のために
図2~
図5からは省略されている。垂直栽培装置のこれらの構成要素は、これまでに詳述しており、
図2~
図5のフレーム104、204、4、及び404に適用することができる。
【0090】
図2は、第2の垂直栽培装置102の一部分の斜視図である。本発明の灌水システム及び供給システムは、明瞭化のために省略される。第2の垂直栽培装置102は、ガターのアレイ106が上に支持されたフレーム104を含む。フレーム104は、第1のサブフレーム104a及び第2のサブフレーム104bを含み、これらは、実質的に形状、サイズ、及び構成が同じであり、かつ分離して互いに直接に接続されていない。
【0091】
第1のサブフレーム104a及び第2のサブフレーム104bは、各々フレーム104を地面上に支持するためのベースとして作用する2つの脚108a、108bを含む。脚108a、108bは、ロッド又はポールに類似している。使用時に、各々の脚108a、108bは、地面に垂直な垂直方向に延びる。4つの脚108a、108bの各々は、地面に挿入されてフレーム104を所定位置に取り外し可能に固定するためのピン110a、110bを含む。地面にフレームを取り付ける他の方法は、タイ-ライン又は固定具を受け入れるために開口を設けることが想定される。脚108a、108bは、それらの高さが調節可能になるように延ばすことができ、結果としてサブフレーム104a、104b及び従ってフレーム104を不均一な地面で水平にすることができる。更に、脚108a、108bは任意的にホイール又はキャスターを含み、結果としてフレーム104は車輪付きにして地面に沿って移動可能であることが想定される。
【0092】
各サブフレーム104a、104bは、更に下側支持部材112a、112bを含む。下側支持部材112a、112bは、ビーム状又はロッド状であり、ベースの両方のそれらのそれぞれの脚108a、108bに取り付けられる。下側支持部材112a、112bは、それらのそれぞれの脚108a、108bと実質的に直角な方向にかつベースが上に支持される面と実質的に平行な水平方向に延びる。下側支持部材112a、112bは、脚108a、108bの間隔よりも長いので、それらのそれぞれのサブフレーム104a、104bの側面まで延びる。
【0093】
2つのガター114は、下側支持部材112a、112bによって支持されてこれらの間を延びる。ガター114は、下側支持部材112a、112bの両端によって支持され、第1の下側支持部材112a及び第2の下側支持部材112bの長手軸線に対して実質的に垂直な方向に延びる。ガター114は、トレイに類似しており、使用時に植物トラフ118を支持する隆起面114aを含む。植物トラフ118は、ガター114から取り外し可能である。
【0094】
ガター114は、更に隆起面114aの下にある排水面114bを含む。使用時に、排水面114bは、植物トラフ118から排水を受け入れて収集する。ガター114の排水面114bから隆起面114aを使用して植物トラフ118を上昇させることにより、根の生育及び植物トラフ118からの排水を改善することを支援する。
【0095】
両方のサブフレーム104a、104bは、ビーム状又はロッド状であり、かつそのそれぞれの下側支持部材112a、112bの中間から延びる垂直支持部材116a、116bを含み、すなわち、垂直支持部材116a、116bは、下側支持部材112a、112bの2つの端部間及びそれらの支持されたガター114間で等距離にある位置から延びる。垂直支持部材116a、116bは、フレーム104の脚108a、108bと平行な方向に延びる。各垂直支持部材116の上部では、植物トラフ118を支持するための別のガター114が設けられる。
【0096】
各サブフレーム104a、104bは、更に中間支持部材120a、120b及び上側支持部材122a、122bを含み、両方ともそれぞれの垂直支持部材116a、116bから下側支持部材112a、112bと実質的に平行でかつ垂直支持部材116a、116bと実質的に垂直な方向に延びる。
【0097】
中間支持部材120a、120b及び上側支持部材122a、122bは、ビーム状又はロッド状であること、及び各支持部材112a、112b、120a、120b、122a、122bがそれらの端部に隣接する又は近接する位置で2つのガター114を支持することにより、下側支持部材112a、112bに類似している。下側支持部材112a、112b、中間支持部材120a、120b、及び上側支持部材122a、122bは、互いから少なくともガター114によって支持された植物トラフ118の高さだけ垂直方向にオフセットされている。
図1a及び
図1bに示した配置では、支持部材112a、112b、120a、120b、122a、122bの間の垂直方向のオフセットは、ほぼ植物トラフ118内で育つ植物の高さである。従って、異なる作物について異なるフレーム104を設計して比例させることができる。
【0098】
中間支持部材120a、120bは、下側支持部材112a、112bよりも長手方向に短く、かつ上側支持部材122a、122bは、中間支持部材120a、120bよりも長手方向に短い。このように長さが等しくないことにより、支持部材112a、112b、120a、120b、122a、122bによって支持されたガター114にV字形又はシェブロン形に類似する階段状構成を与える。あるいは換言すれば、1つの支持部材112a、112b、120a、120b、122a、122bによって支持されたガター114は、別の支持部材112a、112b、120a、120b、122a、122bによって支持されたガター114から水平方向にオフセットされる。支持部材112a、112b、120a、120b、122a、122bによって支持された6つのガター114は、ガター114の下側層とすることができ、垂直支持部材116a、116bによって支持されたガター114は、ガター114の上側層とすることができる。ガターを他の数にすることも想定される。上側層として1つのガター114だけが示されているが、
図3に示すように、1よりも多いガターを与えることができる。下側層及び上側層は、ガターのアレイを互いに形成する。ガターのアレイ内の各ガター114は、ガターのアレイ内の他の個々のガター114から水平方向にオフセットされる。1つの重要な態様は、ガター114と植物トラフ118の間でこの水平方向オフセットを達成することであり、こうして使用時に植物トラフ118内に含まれる植物が日光へ垂直方向にアクセスすることが可能になる。これを達成するために、他のフレーム設計も使用することができるように想定される。
【0099】
フレーム104は2つの平面に関して対称である。第2の垂直栽培装置102のフレーム104は、合計すると、その上に7つの植物トラフ118を支持して示されている。
【0100】
サブフレーム104、104baの一方は、垂直方向に他方よりも低く位置決めすることができる。これに代えて又はこれに加えて、ガター114は、その長さに沿って排水面114bが隆起面114aから離れて下るように配置することができる。従って、ガター114内へ排出される水は、重力を通じてガターの長さに沿って進むことができる。
【0101】
図3は、第3の垂直栽培装置202の一部分の端部断面図である。第3の垂直栽培装置202は、地面224に位置決めして示されている。第3の垂直栽培装置202も、7つの植物ポット218を
図1a及び
図1bに示す第1の垂直栽培装置102のそれらと同じ配置及び向きでその上に支持して示されている。この描写では、植物ポット226及びイチゴ植物228が植物トラフ218内の所定位置に示されている。
【0102】
第3の垂直栽培装置202は、第1の垂直栽培装置と同様にその上に7つの植物ポット218を支持して示すが、フレームは異なる。フレームは湾曲フレーム部材230を有する2つのサブフレーム204a(第2のサブフレームは図示しない)を含み、湾曲フレーム部材230は、第1の垂直栽培装置102のうちで垂直支持部材116a、116b以外の全てのフレーム部材の役割を果たす。従って、湾曲フレーム部材230は、その上に6つの植物ポット218、すなわち、各側面に3つの植物ポット218を支持するように構成される。サブフレーム204aは、湾曲フレーム部材230の上側中心部分ら垂直方向に延びて単一植物ポット218を上に支持する垂直支持部材216aを含む。
【0103】
フレーム204は2つの平面に関して対称である。単一湾曲フレーム部材230を使用したことにより、フレーム部材間の接合又は取り付けに対する必要性が低減し、それによって構造が単純になり、使用寿命を延ばすことができる。
【0104】
図4は、第4の垂直栽培装置302の一部分の端部断面図である。第4の垂直栽培装置は、どのような蓋も含まない点を除いて、構造及び設計が第1の垂直栽培装置に類似している。従って、第4の垂直栽培装置302の説明には、第1の垂直栽培装置2も当て嵌まる。第4の垂直栽培装置は、第1の垂直栽培装置202の湾曲フレーム部材230に類似する湾曲フレーム部材330を含む。第1の垂直栽培装置302の湾曲フレーム部材330は、フレーム部材230に類似するが、5つの植物トラフ318、すなわち、各側面に2つの植物トラフ318、同じくその上に1つの植物トラフ318を支持するように構成される。
【0105】
更に、フレーム304は上側部材332を含み、上側部材332は、湾曲フレーム部材330の上に支持された植物トラフ318のすぐ上に植物トラフ318を支持するように構成される。上側部材332は、実質的に逆U字形であり、各端部において湾曲フレーム部材330に取り付けられる。上側部材332は、逆U字形の2つの脚の間を延びかつ植物トラフ318を上に支持する交差部材334を含む。この上側部材332は、第1の垂直栽培装置102又は第2の垂直栽培装置202に組み込むことができ、こうして
図1a、
図1b、及び
図2にそれぞれ示した最上位植物トラフの上方にありかつこれに一致する別の植物トラフを提供する。
【0106】
図5は、第4の垂直栽培装置402の端部断面図である。第4の垂直栽培装置402は、6つの植物トラフ418を
図4に示す第3の垂直栽培装置と類似の配置で支持するように構成されたフレーム404を含む。フレーム404は、一端が地面424に延びる2つの脚を有して示され、他端が最上位植物トラフ418を支持して示されているほぼ逆U字形のフレーム部材430を含む。
【0107】
フレーム404はまた、下側支持部材412、中間支持部材420、及び上側支持部材422を含み、これらは
図1aに示す第1の垂直栽培装置の対応する部材に類似している。支持部材412、420、422の各々は水平方向に向いている。上側支持部材422は、U字形フレーム部材430の2つの脚の間を延びて、最上位植物トラフ418のすぐ下で2つの脚の間に植物トラフ418を支持する。上側支持部材422は、それが実質的に2つの脚を超えて延びないように、U字形フレーム部材430の2つの脚の間の幅と実質的に同じ長さで示されている。
【0108】
中間支持部材420は、上側支持部材422よりも長さが大きく、U字形フレーム部材430の脚の各側面で第1の距離だけ延びる。植物トラフ418は、U字形フレーム部材430に隣接するU字形フレーム部材430の各脚の外側で支持されて示されている。下側支持部材412は、上側支持部材422及び中間支持部材420よりも長さが大きく、U字形フレーム部材430の脚の各側面で第1の距離よりも大きい第2の距離だけ延びる。植物トラフ418は、下側支持部材412の端部に隣接して支持され、従って、U字形フレーム部材430の各脚の外側でかつU字形フレーム部材430から離間して示されている。
【0109】
支持部材412、420、422は、最上位植物トラフ418の下方で植物トラフ418を実質的に逆V字形又はシェブロン形で支持する。更に、支持部材412、420、422は、それらの相対的位置を調節することができるように、U字形フレーム部材430に取り外し可能に取り付けることができる。これは有利であり、その理由は、植物は、一般的にそれらが生育する時にサイズが増大し、従って、より大きい間隔を要求するからである。
【0110】
各図は、6つ又は7つの植物トラフを示すが、あらゆる数の植物トラフを設けることができるように想定される。フレームには、支持すべきトラフの数に依存してより多い又はより少ない支持部材を配置することができる。装置及び従って植物トラフは、あらゆる長手方向長さにすることができる。各図のうちのいくつかは直線状の装置を示すが、装置は、湾曲した部屋又は他の同種のものに適応させるために曲線状を呈することができる。更に、各図からある程度の間隔及びスケールを推論することができるが、栽培される作物に応答して、どのような適切な間隔又は装置サイズも選択することができるように想定される。装置はまた、灌水ライン、植物に気体状二酸化炭素を運ぶための導管、及び/又は本明細書に説明する他のどのような特徴も含むことができる。
【符号の説明】
【0111】
102 垂直栽培システム
104 フレーム
106 ガターのアレイ
114 ガター
112a 下側支持部材
【外国語明細書】