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特開2022-44581情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044581
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/06 20120101AFI20220310BHJP
【FI】
G06Q40/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145730
(22)【出願日】2021-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2020149692
(32)【優先日】2020-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020186369
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516035910
【氏名又は名称】株式会社FOLIO
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】高山 智史
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB57
(57)【要約】
【課題】金融機関個社における複数の運用サービスについて、同時運用が実現可能とすること。
【解決手段】所定対象を管理する管理者の装置のうち、所定対象が管理される管理単位において、第1種管理単位と第2種管理単位とを区別管理している別情報処理装置と少なくとも通信をするサービス提供者サーバ1であって、バーチャル口座管理部51は、第1種管理単位の枠内で運営されるN個(Nは、1以上の整数値)のサービスの夫々に対して、サービス提供者サーバ1内における第1種管理単位がN個に区分された結果得られるN個の個別単位の夫々を対応付けて、N個の個別単位を管理する処理を実行する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定対象を管理する管理者の装置のうち、所定対象が管理される管理単位において、第1種管理単位と第2種管理単位とを区別管理している別情報処理装置と少なくとも通信をする情報処理装置であって、
前記第1種管理単位の枠内で運営されるN個(Nは、1以上の整数値)のサービスの夫々に対して、前記情報処理装置内における前記第1種管理単位が前記N個に区分された結果得られる前記N個の個別単位の夫々を対応付けて、当該N個の当該個別単位を管理する処理を実行する個別単位管理手段
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記所定対象は資産であり、
前記管理単位は、エンドユーザの取引口座であり、
前記第1種管理単位は、前記エンドユーザの投資一任契約管理下の資産である一任資産であり、
前記第2種管理単位は、エンドユーザの当該投資一任契約管理外の資産である非一任資産であり、
前記サービスは、運用サービスであり、
前記個別単位は、バーチャル口座であり、
前記個別単位管理手段は、
前記一任資産の枠内で運営される前記N個の前記運用サービスの夫々に対して、前記情報処理装置内における前記一任資産が前記N個に区分された結果得られる前記N個の前記バーチャル口座の夫々を対応付け、当該N個の当該バーチャル口座を管理する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記個別単位管理手段は、
バックオフィスシステムで発生した前記エンドユーザの前記一任資産に関わる全てのトランザクションの処理を実行することで、前記バックオフィスシステム内の前記一任資産と前記情報処理装置内の前記一任資産の一致の状態を維持するように管理する一任資産一致管理手段と、
前記一致の状態を前提として、前記N個の運用サービス毎に、夫々対応付けられた前記バーチャル口座を用いたトランザクションの処理を実行することで、前記N個のバーチャル口座を管理する個別単位管理手段と、
を有する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記個別単位管理手段は、
前記N個の運用サービスのうち所定運用サービスについての前記トランザクションの処理として、前記エンドユーザの操作に基づくトランザクションの処理を実行するエンドユーザトランザクション実行手段と、
所定運用サービスについての前記トランザクションの処理として、前記バックオフィスシステムで発生した前記トランザクションのうち前記所定運用サービスに係るトランザクションの処理を実行するバックオフィス発生トランザクション実行手段と、
を含む請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
所定対象を管理する管理者の装置のうち、所定対象が管理される管理単位において、第1種管理単位と第2種管理単位とを区別管理している別情報処理装置と少なくとも通信をする情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記第1種管理単位の枠内で運営されるN個(Nは、1以上の整数値)のサービスの夫々に対して、前記情報処理装置内における前記第1種管理単位が前記N個に区分された結果得られる前記N個の個別単位の夫々を対応付けて、当該N個の当該個別単位を管理する処理を実行する個別単位管理ステップ
を含む情報処理方法。
【請求項6】
所定対象を管理する管理者の装置のうち、所定対象が管理される管理単位において、第1種管理単位と第2種管理単位とを区別管理している別コンピュータと少なくとも通信をするコンピュータに、
前記第1種管理単位の枠内で運営されるN個(Nは、1以上の整数値)のサービスの夫々に対して、前記コンピュータ内における前記第1種管理単位が前記N個に区分された結果得られる前記N個の個別単位の夫々を対応付けて、当該N個の当該個別単位を管理する処理を実行する個別単位管理ステップ
を含む制御処理を実行するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金融資産の管理として、投資先の提案や管理をする技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-095724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1を含む従来技術では、金融機関個社における複数の運用サービスについて、同時運用が求められているが、出来ない状況であった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、金融機関個社における複数の運用サービスについて、同時運用が実現可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
所定対象を管理する管理者の装置のうち、所定対象が管理される管理単位において、第1種管理単位と第2種管理単位とを区別管理している別情報処理装置と少なくとも通信をする情報処理装置であって、
前記第1種管理単位の枠内で運営されるN個(Nは、1以上の整数値)のサービスの夫々に対して、前記情報処理装置内における前記第1種管理単位が前記N個に区分された結果得られる前記N個の個別単位の夫々を対応付けて、当該N個の当該個別単位を管理する処理を実行する個別単位管理手段
を備える。
【0007】
本発明の一態様の上記情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金融機関個社における複数の運用サービスについて、同時運用が実現可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態と比較するための従来の手法を説明するための図であって、個社バックオフィスシステムの区別管理の概要を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態と比較するための従来の手法を説明するための図であって、一任資産を管理する箱を拡張する形式の概要を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態と比較するための従来の手法の課題を説明するための図であって、サブアカウント方式における同時運用の課題の概要を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態と比較するための従来の手法の課題を説明するための図であって、サブアカウント方式における同時運用の課題の概要を示す図である。
図5】本発明の第1実施形態と比較するための従来の手法の課題を説明するための図であって、専用商品方式における同時運用の課題の概要を示す図である。
図6】本発明の第1実施形態のサービス提供者サーバを含む情報処理システムの構成を示す図である。
図7図6の情報処理システムのうちサービス提供者サーバ1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図8】本発明の情報処理装置の第1実施形態に係る図7に示すサービス提供者サーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図9図8のサービス提供者サーバの機能的構成のうち、バーチャル口座管理部の概要を説明する図である。
図10】バーチャル口座管理部における、一任資産一致管理部と個別管理部との概要について、図4の従来の手法と比較して説明する図である。
図11図8のバーチャル口座管理部のうち一任資産一致管理部の説明をする図である。
図12図8のバーチャル口座管理部の個別管理部のうち、エンドユーザトランザクション実行部の機能の一例として、エンドユーザからの申込に関する機能の一例を説明する図である。
図13図8のバーチャル口座管理部の個別管理部のうち、エンドユーザトランザクション実行部の機能の一例として、エンドユーザからの拠出に関する機能の一例を説明する図である。
図14図8のバーチャル口座管理部の個別管理部のうち、エンドユーザトランザクション実行部の機能の一例として、バーチャル口座開設に関する機能の一例を説明する図である。
図15図8のバーチャル口座管理部の個別管理部のうち、バックオフィス発生トランザクション実行部の機能の一例を説明する図である。
図16】第1実施形態のサービス提供者サーバ1が奏することが可能な効果の具体例として、本格的なゴールベース運用の提供の例を示す図である。
図17図16のゴールベース運用を提供する実現例を示す図である。
図18】本発明の第2実施形態と比較するための従来の手法を、サブアカウント方式を例として説明する図である。
図19】本発明の第2実施形態と比較するための従来の手法を、図18とは異なる例で説明する図である。
図20】本発明の第2実施形態と比較するための従来の手法の課題として、媒介送客の課題について説明する図である。
図21】本発明の第2実施形態のサービス提供者サーバを含む情報処理システムの構成を示す図である。
図22】本発明の情報処理装置の第2実施形態に係る図7に示すサービス提供者サーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図23】投資運用業者が運用する運用サービスについての投資一任契約の契約状態の管理手法の概要を示す図である。
図24】エンドユーザによる、投資運用業者との投資一任契約の申込みの流れの概要を示す図である。
図25】エンドユーザによる、投資運用業者との投資一任契約の解約の流れの概要を示す図である。
図26図22の機能的構成を有するサービス提供者サーバが実行するアクセス制御の概要を示す図である。
図27】運用サービスデータに対するアクセス制御に必要な、運用サービスと投資運用業者との紐付けの概要を示す図である。
図28】運用サービスデータに対するアクセス制御の概要を示す図である。
図29】エンドユーザデータの取得及び管理の概要を示す図である。
図30】エンドユーザデータに対するアクセス制御の概要を示す図である。
図31】金融機関個社と投資運用業者のハブ機能の概要を示す図である。
図32図22のサービス提供者サーバ1による運用サービスのバザール化によって提供可能となるサービスのうち、選択型運用サービスの具体例を示す図である。
図33図32の画面例で示す選択型運用サービスの裏側での投資一任契約申し込みに関わる流れの一例を示す図である。
図34図22のサービス提供者サーバ1による運用サービスのバザール化によって提供可能となるサービスのうち、バスケット型運用サービスの具体例を示す図である。
図35】運用サービスの概要を示す図である。
図36】投資一任契約書面のテンプレートの一例を示す図である。
図37】運用サービスと運用サービスIDの関係性を示す図である。
図38】エンドユーザと口座の関係性を示す図である。
図39】総合口座と取引口座の関係性を示す図である。
図40】総合口座と口座区分の管理の一例を示す図である。
図41】ファンド口座とバーチャル口座コードの関係性を示す図である。
図42】投資対象の取り扱いの一例を示す図である。
図43】新規拠出の流れの一例を示す図である。
図44】リバランスの流れを示す図である。
図45】ポータビリティとコマンドの関係を示す図である。
図46】投資一任契約の締結および付随する機能のプラグイン化を示す図である。
図47】書面の電子交付の接続方式の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。
【0011】
先ず、本発明の第1実施形態について説明する前に、従来手法とその課題について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態と比較するための従来の手法を説明するための図であって、個社バックオフィスシステムの区別管理の概要を示す図である。
【0012】
投資一任契約管理外の資産(以下、「非一任資産」と呼ぶ)を管理している金融機関個社において新たに運用サービスを開始するためには、投資一任契約管理下の資産(以下、「一任資産」と呼ぶ)を区別管理する必要がある。
一任資産と非一任資産の区別管理は、個社が保有する個社バックオフィスシステムで行なわれる。
区別管理する方法は、取引口座に紐づく一任資産を管理するサブアカウントを開設する方法(以下、「サブアカウント方式」と呼ぶ)、及び一任資産の専用商品を用意する方法(以下、「専用商品方式」と呼ぶ)の2つが存在する。
複数の投資一任契約を同時に締結したいとなった場合、従来手法として個社バックオフィスシステム内で一任資産を管理する箱を拡張する形式が取られていた。
区別管理とは、投資一任契約に基づき投資運用業者に運用が一任されている資産について、エンドユーザが投資運用業者のあずかり知らぬところで、売買や出金を行ってしまわないよう、制限を設けることを指す。
サブアカウント方式と専用商品方式の違いは現金の取り扱いによるものである(サブアカウント方式では現金は現金のまま取り扱う、専用商品方式では現金相当の証券(例えばMRF)に変換して取り扱う)。
【0013】
ここで、エンドユーザは総合口座を保有する名義人をいう。なお、名義人は、自然人または法人である。
エンドユーザが行う所定の行為の主体、通常エンドユーザであるが、エンドユーザから委託された他の者によるものであるものも含む。
委託された他の者には例えば、保護者、未成年後見人、成年後見人、運用サービスの販売会社の営業担当者などがある。
運用サービスの販売会社は金融機関個社の場合もあれば、金融機関個社へ媒介または代理する仲介業者などがある。
【0014】
図2は、本発明の第1実施形態と比較するための従来の手法を説明するための図であって、一任資産を管理する箱を拡張する形式の概要を示す図である。
【0015】
複数の投資一任契約を同時に締結したいとなった場合、従来手法として個社バックオフィスシステム内で一任資産を管理する箱を拡張する形式が取られていた。
この従来手法では、複数の運用サービスを一つの取引口座で同時に運用するという点(以下、「同時運用」と呼ぶ)に関して課題があった。
以下ではサブアカウント方式、専用商品方式における同時運用の課題を述べる。
【0016】
図3は、本発明の第1実施形態と比較するための従来の手法の課題を説明するための図であって、サブアカウント方式における同時運用の課題の概要を示す図である。
【0017】
サブアカウント方式では、複数の運用サービスを導入している既存サービスが存在する。
それら既存サービスでは、ファンド口座におけるバーチャル口座コードに相当する概念(例えば部店など)を使って、運用サービスの申し込みを受けてサブアカウントの開設を行なっている。
しかしながらこの手法では、バーチャル口座コードに相当する情報を事前に定義して、サブアカウントの開設を行なう必要があり、「任意の数の同時運用」を提供しているサービスは存在しない。
【0018】
図4は、本発明の第1実施形態と比較するための従来の手法の課題を説明するための図であって、サブアカウント方式における同時運用の課題の概要を示す図である。
【0019】
これは、個社バックオフィスシステムがその責務である様々な処理(例えば、譲渡益税の源泉徴収など)のために、次の第1処理乃至第3処理という流れを実装する必要がある。
第1処理とは、複数のサブアカウントを含む取引口座全体で発生したトランザクションや資産状況の把握のためのデータの集約の処理である。
第2処理とは、集約した取引口座全体のトランザクションやデータの処理(トランザクション作成)である。
第3処理とは、取引口座全体に対して作成されたトランザクションを、非一任資産や各サブアカウントに対するトランザクションとして分割、再作成し、実行する処理(適用)である。
このような第1処理乃至第3処理という集約と分割の流れを実装する必要がある理由は、取引口座とファンド口座という異なる粒度の処理を一つのシステムで表現することの難しさによるものである。
このシステム的な難度(コスト)からビジネス的に一定規模以上の販売が必要で、事前設定による運用サービスの同時運用を提供しているサービスは大手金融機関個社に限定されている状況である。
【0020】
図5は、本発明の第1実施形態と比較するための従来の手法の課題を説明するための図であって、専用商品方式における同時運用の課題の概要を示す図である。
【0021】
専用商品方式での同時運用の実現には、夫々の運用サービス毎の資産を区別管理するために異なる投資対象を用意する必要があった。
しかしながら、任意の数の運用サービスに対して異なる投資対象を用意しようとすることは、以下のような第1理由及び第2理由から現実的に不可能である。
第1理由とは、上場証券(例えば個別株やETFなど)は投資対象が自由に組成できないという理由である。
第2理由とは、非上場証券(例えば国内非上場投信など)はある程度のレベルまで組成が可能だが、組成のための期間と大きなコストを要するという理由である。
そのため、専用商品方式で複数の運用サービスの同時運用を提供している既存サービスは存在しない。
専用商品方式で複数種類の運用サービスを提供しているところはあるが、排他的であったり、取引口座の制約があったりして、同一取引口座で複数の運用サービスの同時運用が可能な既存サービスは存在していない状況である。
【0022】
次に、上述の従来手法が有する課題を解決可能な、本発明の第1実施形態について説明する。
【0023】
図6は、本発明の第1実施形態のサービス提供者サーバを含む情報処理システムの構成を示す図である。
【0024】
図6に示す情報処理システムは、サービス提供者により管理されるサービス提供者サーバ1と、金融機関個社Kにより管理される個社バックオフィスシステム2及び個社運用サーバ3と、エンドユーザにより管理されるエンドユーザ端末4とを含むように構成されている。
サービス提供者サーバ1、個社バックオフィスシステム2及び個社運用サーバ3、並びに、エンドユーザ端末4は、所定のネットワークNを介して相互に接続されている。なお、ネットワークNは、本実施形態ではインターネットとされるが、その形態は特に限定されず、その他例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、LAN(Local Area Network)等を採用することができる。
【0025】
図7は、図6の情報処理システムのうちサービス提供者サーバ1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
サービス提供者サーバ1は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0026】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0027】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0028】
出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
【0029】
記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(図6の例では、個社バックオフィスシステム2、個社運用サーバ3、及びエンドユーザ端末4)との間で通信を行う。
【0030】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0031】
なお、図示はしないが、図6の情報処理システムのうち、個社バックオフィスシステム2、個社運用サーバ3、及びエンドユーザ端末4も、図7に示すハードウェア構成を有している。
【0032】
次に、図8を参照して、図7に示すハードウェア構成を有するサービス提供者サーバ1の機能的構成について説明する。
図8は、本発明の情報処理装置の第1実施形態に係る図7に示すサービス提供者サーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0033】
サービス提供者サーバ1のCPU11においては、図8に示すように、バーチャル口座管理部51が設けられている。
ここで、バーチャル口座管理部51について、図9及び図10を参照して説明する。
【0034】
図9は、図8のサービス提供者サーバの機能的構成のうち、バーチャル口座管理部の概要を説明する図である。
【0035】
上述の図1乃至図5を参照して説明した従来手法の課題を解決し、同時運用を実現するための、本発明の第1実施形態の基本方針は次の方針1及び方針2である。
即ち、方針1とは、図9に示すように、個社バックオフィスシステム2で非一任資産と一任資産の区別がなされることである。
方針2とは、図9に示すように、運用サービス毎の一任資産を細分化したファンド口座(以下、「バーチャル口座」とも適宜呼ぶ)の管理システムがサービス提供者サーバ1に設けられる(個社バックオフィスシステム2からみたら外付けになる)ことである。
この方針2の「運用サービス毎の一任資産を細分化したファンド口座の管理システム」が、バーチャル口座管理部51である。
【0036】
上記方針1は、専用商品方式、サブアカウント方式のいずれかを採用することで、ほとんどの個社バックオフィスシステム2において実現が可能である。
よって、方針2を実現可能なバーチャル口座管理部51を採用することにより、ほとんどの個社バックオフィスシステム2において複数の運用サービスの同時運用が可能となる。
【0037】
換言すると、エンドユーザの資産を管理する金融機関個社Kの装置のうち、個社バックオフィスシステム2が、エンドユーザの取引口座において、エンドユーザの投資一任契約管理下の資産である一任資産と、エンドユーザの当該投資一任契約管理外の資産である非一任資産とを区別管理していることを前提とする(上記方針1)。
バーチャル口座管理部51は、通信部19を介して個社バックオフィスシステム2と通信をして、次のような管理を実行する。
バーチャル口座管理部51は、一任資産の枠内で運営されるN個(Nは、1以上の整数値)の運用サービスの夫々に対して、サービス提供者サーバ1における一任資産がN個に区分された結果得られるN個のファンド口座(図9の例では4個の一任資産A乃至D)の夫々を対応付けて、当該N個のファンド口座を管理する処理を実行する。
【0038】
具体的には、バーチャル口座管理部51には、一任資産一致管理部61と、個別管理部62とが設けられている。
図10は、バーチャル口座管理部における、一任資産一致管理部と個別管理部との概要について、図4の従来の手法と比較して説明する図である。
個社バックオフィスシステム2において、一任資産と非一任資産とが区別管理されている点は、図4の従来の手法と同様である。
しかしながら、図4の従来の手法では、個社バックオフィスシステム2の取引口座の枠組内で、運用サービス毎にサブアカウントが設定されて管理されていた。
これに対して、本発明の第1実施形態では、個社バックオフィスシステム2の取引口座においては、一任資産と非一任資産とが単に区別管理されているだけである。運用サービス毎の管理は、サービス提供者サーバ1内において運用サービス毎のファンド口座(図10の例ではファンド口座A乃至C)により個別に行われるのである。
このような管理を行う機能ブロックが、バーチャル口座管理部51である。
具体的には、ステップSAにおいて、一任資産一致管理部61は、個社バックオフィスシステム2との間でトランザクションの共有を図る。
ステップSBにおいて、個別管理部62は、ファンド口座毎にトランザクションの適用を図る。ここで、トランザクションの適用とは、取引口座全体に対するトランザクションをファンド口座単位に分割、再構成し、ファンド口座毎に個別のトランザクションの処理を実行することを意味する。
【0039】
さらに以下、一任資産一致管理部61及び個別管理部62の夫々について、その順番に個別に説明する。
【0040】
図11は、図8のバーチャル口座管理部のうち一任資産一致管理部の説明をする図である。
図11に示すように、一任資産一致管理部61は、個社バックオフィスシステム2で発生した一任資産に関わる全てのトランザクションを取り込み、同等の処理を行なうことで、図10のステップSAのトランザクションの共有を図る。
これにより、図11に示すように、個社バックオフィスシステム2内の一任資産全体と、サービス提供者サーバ1(バーチャル口座管理部51)内の一任資産全体との一致が得られる。その結果、個社バックオフィスシステム2は、必要な処理(例えば、譲渡益税計算等)の実施にあたり、ファンド口座内の区別を把握することは不要で、一任資産の合計を把握すれば十分となる。
なお、以下、個社バックオフィスシステムとサービス提供者サーバ1(バーチャル口座管理部51)の一任資産全体の一致の状態を「一任資産レプリケーション」と呼ぶ。
即ち、一任資産一致管理部61は、一任資産レプリケーションを維持する機能を有している。
【0041】
一方、個別管理部62は、サービス提供者サーバ1(バーチャル口座管理部51)内でのファンド口座の取り扱いを管理する機能を有する。
即ち、個別管理部62は、一任資産一致管理部61による一任資産レプリケーションを前提として、サービス提供者サーバ1(バーチャル口座管理部51)内で一任資産をより細分化したファンド口座を取り扱う機能を有する。
【0042】
ここで、サービス提供者サーバ1(バーチャル口座管理部51)内で個社バックオフィスシステム2よりも詳細なファンド口座を取り扱うことができるように、個別管理部62では、トランザクションの取り扱いが重要視されている。
即ち、運用サービスで発生するトランザクションは、大きく以下の3種類が存在する。
【0043】
1種類目のトランザクションは、エンドユーザによるトランザクションである。
このトランザクションは、例えば、ユーザ注文(新規拠出、追加拠出、部分解約、全部解約、投資スタイル変更、積立入金等)に伴うものである。
この1種類目のトランザクションをサービス提供者サーバ1(バーチャル口座管理部51)内で実行させる制御を行う機能ブロックが、エンドユーザトランザクション実行部71である。
【0044】
2種類目のトランザクションは、個社バックオフィスシステム2が生成したトランザクションである。
この2種類目のトランザクションをサービス提供者サーバ1(バーチャル口座管理部51)内で実行させる制御を行う機能ブロックが、バックオフィス発生トランザクション実行部72である。
【0045】
3種類目のトランザクションは、サービス提供者サーバ1(バーチャル口座管理部51)が生成したトランザクション(例えば、リバランスに係るトランザクション)である。
このトランザクションは、例えば、執行注文とその約定(サービス提供者サーバ1-執行注文 ―> 個社バックオフィスシステム2-約定 ->サービス提供者サーバ1)や、運用報酬徴収等に伴うものである。
また例えば、このトランザクションは、執行注文、即ち、投資対象の証券の買付、売付のためにサービス提供者サーバ1が生成する注文である。
この3種類目のトランザクションをサービス提供者サーバ1(バーチャル口座管理部51)内で実行させる制御を行う機能ブロックが、自身生成トランザクション実行部73である。
【0046】
さらに以下、エンドユーザトランザクション実行部71、及びバックオフィス発生トランザクション実行部72の夫々について、その順番に個別に説明する。
【0047】
図12は、図8のバーチャル口座管理部の個別管理部のうち、エンドユーザトランザクション実行部の機能の一例として、エンドユーザからの申込に関する機能の一例を説明する図である。
【0048】
運用サービスを提供するために、エンドユーザからの申込、搬出、解約等のトランザクションを、エンドユーザトランザクション実行部71は受付ける必要がある。
この種のトランザクションに対しては、エンドユーザトランザクション実行部71は、バーチャル口座コードの情報を付与して、連携する。
【0049】
例えば、エンドユーザが運用サービスAの新規申し込みをするものとする。この場合、次のような一連の処理を実行する。
先ず、エンドユーザが、エンドユーザ端末4を操作することで、例えば個社運用サーバ3により管理される個社運用サービスページにおいて、運用サービスAの「新規申し込み」を押下したものとする。この場合、ファンド口座開設指示が出されて、バーチャル口座コードAがサービス提供者サーバ1に連携される。ファンド口座開設指示には、エンドユーザの取引口座IDが含まれる。
エンドユーザトランザクション実行部71は、ファンド口座A(運用サービスAについてのバーチャル口座コードAのバーチャル口座)を開設する。
以降はサブアカウント方式の場合かつ初回のみであるが、一任資産一致管理部61は、個社バックオフィスシステム2とサブアカウント開設指示を連携させる処理を実行する。その結果、個社バックオフィスシステム2でサブアカウントが開設される。
【0050】
図13は、図8のバーチャル口座管理部の個別管理部のうち、エンドユーザトランザクション実行部の機能の一例として、エンドユーザからの拠出に関する機能の一例を説明する図である。
【0051】
次に、図12に示す申し込みを完了した運用サービスAに対して、エンドユーザが非一任資産を使った拠出を行なうものとする。
この場合、次のような一連の処理を実行する。
即ち、先ず、エンドユーザが、エンドユーザ端末4を操作することで、例えば個社運用サーバ3により管理される個社運用サービスページにおいて、運用サービスAの「拠出」を実行したものとする。この場合、搬出指示が出されるので、バーチャル口座コードがサービス提供者サーバ1において連携される。拠出指示には拠出金額とともに取引口座IDが含まれる。
一任資産一致管理部61は、当該搬出指示を個社バックオフィスシステム2と連携させる制御を実行する。個社バックオフィスシステム 2においては、サブアカウント方式であれば振替の指示が、専用商品方式であれば現金相当資産の買付の指示がなされることになる。
個社バックオフィスシステム2は、拠出指示に従って、非一任資産から一任資産へ拠出する。
一任資産一致管理部61は、個社バックオフィスシステム2からサービス提供者サーバ1へ拠出完了の連携を制御する。
エンドユーザトランザクション実行部71は、ファンド口座Aへの拠出処理を行う。
【0052】
図14は、図8のバーチャル口座管理部の個別管理部のうち、エンドユーザトランザクション実行部の機能の一例として、2個目のバーチャル口座開設に関する機能の一例を説明する図である。
【0053】
サービス提供者サーバ1では、金融機関個社が必要に応じて作成した任意のバーチャル口座コードに従ってファンド口座を開設することができる。
事前に定義のないバーチャル口座コードが連携された場合も同じ流れでファンド口座開設が可能である。ここで、「任意の数」とはシステムリソースなどのハードウェア的な制約を除き、原理的には無制限であることを指す。
そのため、金融機関個社のニーズに応じて任意の数のファンド口座の開設ができ、夫々のファンド口座で資産の区別管理を行なうことで「任意の数の同時運用」が可能となる。
即ち、先ず、エンドユーザが、エンドユーザ端末4を操作することで、例えば個社運用サーバ3により管理される個社運用サービスページにおいて、運用サービスAとは異なる運用サービスBの「新規申し込み」を押下したものとする。
この場合、ファンド口座開設指示が出されるので、バーチャル口座コードBがサービス提供者サーバ1に連携される。ファンド口座開設指示には、エンドユーザの取引口座IDが含まれる。
エンドユーザトランザクション実行部71は、ファンド口座B(運用サービスBについてのバーチャル口座コードBのバーチャル口座)を開設する。
このように、2つ目以上のファンド口座開設時は、個社バックオフィスシステム2側はすでに開設済みのサブアカウントが共有されるため、新たなサブアカウント開設は必要ない。
【0054】
以上、図8の個別管理部62のうちエンドユーザトランザクション実行部71について説明した。次に、個別管理部62のうちバックオフィス発生トランザクション実行部72について説明する。
図15は、図8のバーチャル口座管理部の個別管理部のうち、バックオフィス発生トランザクション実行部の機能の一例を説明する図である。
【0055】
例えば、一任資産の残高および売買にともない、個社バックオフィスシステム2内でトランザクションが発生したものとする。
個社バックオフィスシステム2内で発生するトランザクションは例えば以下のものがあげられる。
1つ目のトランザクションは、一任資産で保有する証券の配当金または分配金(以下、「配当金/分配金」と呼ぶ)である。
2つ目のトランザクションは、売却益に対する譲渡益税源泉徴収である。
一任資産レプリケーションの状態を維持するためには、これらのトランザクションをサービス提供者サーバ1に取り込む必要がある。
しかしながら、個社バックオフィスシステム2は取引口座全体に対する処理を担うため、サービス提供者サーバ1が管理するファンド口座とは粒度が異なり、変換が必要となる。
このような変換を行い、ファンド口座を単位とするトランザクションを実行する機能ブロックが、バックオフィス発生トランザクション実行部72である。
【0056】
例えば配当金/分配金の例であれば以下のような流れで処理が行われる。
ステップSC1において、個社バックオフィスシステム2は、投資対象証券からの配当金、分配金情報を登録する。
ステップSC2において、個社バックオフィスシステム2は、一任資産分の配当金/分配金を入金するトランザクション(以下手順では「配当金/分配金トランザクション」と呼ぶ)を作成する。ここで、配当金/分配金トランザクションに含まれる情報は、取引口座ID,証券ID,支払額,残高参照日,支払日,総権利保有数量等が存在する。
ステップSC3において、個社バックオフィスシステム2は、一任資産に配当金/分配金トランザクションの処理を実行(適用)する。
ステップSC4において、サービス提供者サーバ1の一任資産一致管理部61は、サービス提供者サーバ1において配当金/分配金トランザクションを連携させる制御を実行する。
ステップSC5において、バックオフィス発生トランザクション実行部72は、配当金/分配金トランザクションと各ファンド口座の残高参照日の証券残高から、ファンド口座毎の支払額を算出する。算出の方法としては、例えば支払額を残高参照日における各ファンド口座の証券残高で按分する方法を採用することができる。
ステップSC6において、バックオフィス発生トランザクション実行部72は、各ファンド口座に入金する。
【0057】
例えば譲渡益税の源泉徴収についても同様に、以下のような流れで処理が行われる。
ステップSD1において、個社バックオフィスシステム2は、売却約定を登録する。
ステップSD2において、個社バックオフィスシステム2は、売却損益と通算損益から譲渡益税の源泉徴収トランザクション(以下手順では「徴収トランザクション」と呼ぶ)を作成する。ここで、徴収トランザクションに含まれる情報は、取引口座ID、売却約定日、徴収/還付の別、精算額等が含まれる。
ステップSD3において、個社バックオフィスシステム2は、一任資産に徴収トランザクションの処理を実行(適用)する。
ステップSD4において、サービス提供者サーバ1の一任資産一致管理部61は、サービス提供者サーバ1において徴収トランザクションを連携させる制御を実行する。
ステップSD5において、バックオフィス発生トランザクション実行部72は、徴収トランザクションと各ファンド口座の売却約定から、ファンド口座毎の精算額を算出する。精算額の算出の方法としては、各ファンド口座の売却約定代金で按分する等の方法を採用することができる。
ステップSD6において、バックオフィス発生トランザクション実行部72は、各ファンド口座から精算額を徴収/還付する。
【0058】
上述の配当金/分配金と譲渡益税の源泉徴収の流れの通り、以下の2点が重要である。
1点目の重要な点は、一任資産に対するトランザクションがサービス提供者サーバ1に連携される点である。
2点目の重要な点は、サービス提供者サーバ1において保有するファンド口座毎のデータで按分可能である点である。
この2点が満たされることで、任意の数のファンド口座が存在したとしても、個社バックオフィスシステム2で発生したトランザクションを、サービス提供者サーバ1内で管理するファンド口座レベルのトランザクションへの適切な変換が可能となる。
【0059】
以上まとめると、第1実施形態のサービス提供者サーバ1は、個社バックオフィスシステム2と通信をする。この個社バックオフィスシステム2は、エンドユーザの取引口座において、一任資産と非一任資産とを区別管理する。
この場合、サービス提供者サーバ1のバーチャル口座管理部51は、一任資産の枠内で運営されるN個(Nは、1以上の整数値)の運営サービスの夫々に対して、サービス提供者サーバ1内における一任資産がN個に区分された結果得られるN個のバーチャル口座(ファンド口座)の夫々を対応付けて、当該N個のバーチャル口座を管理する。
【0060】
バーチャル口座管理部51は、一任資産一致管理部61と、個別管理部62とを有する。
一任資産一致管理部61は、個社バックオフィスシステム2で発生したエンドユーザの一任資産に関わる全てのトランザクションの処理を実行することで、個社バックオフィスシステム2内の一任資産とサービス提供者サーバ1内の一任資産の一致の状態を維持するように管理する。
個別管理部62は、上述の一致の状態を前提として、N個の運用サービス毎に、夫々対応付けられたバーチャル口座を用いたトランザクションの処理を実行することで、N個のバーチャル口座を管理する。
【0061】
個別管理部62は、エンドユーザトランザクション実行部71と、バックオフィス発生トランザクション実行部72と自身生成トランザクション実行部73とを有する。
エンドユーザトランザクション実行部71は、N個の運用サービスのうち所定運用サービスについてのトランザクションの処理として、エンドユーザの操作に基づくトランザクションの処理を実行する。
バックオフィス発生トランザクション実行部72は、所定運用サービスについてのトランザクションの処理として、個社バックオフィスシステム2で発生したトランザクションのうち所定運用サービスに係るトランザクションの処理を実行する。
【0062】
このような構成の第1実施形態のサービス提供者サーバ1は、いかに示す各種各様な効果を奏することが可能である。
即ち、第1実施形態のサービス提供者サーバ1の適用により、任意の数のファンド口座開設と運用サービスの紐付けが可能になる。
【0063】
具体的には例えば、図16に示すように、第1実施形態のサービス提供者サーバ1の適用により、例えば本格的なゴールベース運用の提供が考えられる。
図16は、第1実施形態のサービス提供者サーバ1が奏することが可能な効果の具体例として、本格的なゴールベース運用の提供の例を示す図である。
【0064】
即ち、エンドユーザMは、エンドユーザ端末4を操作することで、画面G1において、新しいゴールの登録を開始する。
エンドユーザMは、エンドユーザ端末4を操作することで、画面G2において、ゴール名、期間、運用開始額とともに、運用を一任する運用サービスを選択して申し込みをする。
金融機関個社K(個社運用サーバ3により管理される個社運用サービスページ)は、申し込みと同時にバーチャル口座コードを発行し、サービス提供者サーバ1に対してファンド口座開設指示及びバーチャル口座コードを連携させる。
サービス提供者サーバ1は、指示を受けて、ファンド口座を開設する。
エンドユーザMと投資運用業者Tとの間とで投資一任契約が締結される。
個社バックオフィスシステム2は、取引口座の非一任資産から一任資産へ現金を振替える。
サービス提供者サーバ1は、ファンド口座に新規拠出注文を登録する。
これにより、投資運用業者Tがファンド口座の資産の運用を開始することができる。即ち、エンドユーザ端末4には画面G3が表示される。
【0065】
図17は、図16のゴールベース運用を提供する実現例を示す図である。
【0066】
即ち、例示するシナリオとして、あるエンドユーザがすでに3つのファンド口座(老後資金、教育費積立(長男)、海外旅行積立2021年)を運用している状況において、新たに2022年の海外旅行用積立を一任運用ではじめるケースを想定する。
【0067】
このときの流れは以下のようになる。
ステップSE1において、エンドユーザは、エンドユーザ端末4の操作により、複数ある運用サービスから一つを選択して、新たな積立運用を申し込みする。
ステップSE2において、個社運用サーバ3は、申し込みを行うと、新たな運用向けにバーチャル口座コードDを付与し、サービス提供者サーバ1にファンド口座開設指示を行う。
ステップSE3において、サービス提供者サーバ1は、個社バックオフィスシステム2に運用開始額の拠出指示を行う。拠出指示を受けた個社バックオフィスシステム2は、非一任資産から一任資産へ拠出金額の資金振替を行う。
ステップSE4において、拠出完了後にサービス提供者サーバ1は、バーチャル口座コードDに紐づく新たなファンド口座を開設し、運用を開始する。
【0068】
また例えば、第1実施形態のサービス提供者サーバ1の適用により、開発難易度およびそれに起因するコストの低減が可能になる。
従来手法の課題で述べた通り、従来は単一のシステムで粒度の異なる処理を実装することの困難さが存在していた。
第1実施形態のサービス提供者サーバ1の適用により、取引口座全体のデータ処理を個社バックオフィスシステム2が担当し、ファンド口座へのデータ配布をサービス提供者サーバ1が担当することが可能になる。
第1実施形態のサービス提供者サーバ1を適用することで、以下の2点から、従来手法と比較して開発の難易度が低減されていると言え、コスト面での優位性が認められる。
1点目は、取引口座とファンド口座という対象の粒度(階層)違いでシステムが分割されている点である。
2点目は、個社バックオフィスシステム2にて、運用サービスを個別に(例えば1つのみ)運用する機能が活用可能である(再利用性の向上)点である。
【0069】
本発明が適用される情報処理装置は、第1実施形態のサービス提供者サーバ1に特に限定されず、各種各様な実施の形態を取ることが可能になる。
具体的には例えば、本発明が適用される情報処理装置として、
所定対象を管理する管理者の装置のうち、所定対象が管理される管理単位において、第1種管理単位と第2種管理単位とを区別管理している別情報処理装置と少なくとも通信をする情報処理装置であって、
前記第1種管理単位の枠内で運営されるN個(Nは、1以上の整数値)のサービスの夫々に対して、前記情報処理装置内における前記第1種管理単位が前記N個に区分された結果得られる前記N個の個別単位の夫々を対応付けて、当該N個の当該個別単位を管理する処理を実行する個別単位管理手段
を備える情報処理装置を採用することができる。
【0070】
ここで、第1実施形態のサービス提供者サーバ1に対応付けるならば、
前記所定対象は資産であり、
前記管理単位は、エンドユーザの取引口座であり、
前記第1種管理単位は、前記エンドユーザの一任資産であり、
前記第2種管理単位は、エンドユーザの非一任資産であり、
前記サービスは、運用サービスであり、
前記個別単位は、バーチャル口座である。
【0071】
ただし、繰り返しになるが、このような構成の情報処理装置は、第1実施形態のサービス提供者サーバ1に特に限定されない。
即ち、このような構成の情報処理装置の実施形態を適宜変更することで、例えば次のような適用範囲の拡張が考えられる。
例えば、非一任資産の資産マイグレーションにより、証券口座全体のバーチャル口座導入が可能である。
例えば、第1実施形態のサービス提供者サーバ1についても、投資委任契約の有無を必須としておらず、この点は他の実施形態でも同様である。
したがって、例えば一任資産レプリケーションを拡張して取引口座レプリケーションを維持することで、取引口座への拡張が可能となる。
例えば、取引口座レプリケーションとしては、一任資産のトランザクションのみならず、取引口座全体のトランザクションをサービス提供者サーバ1に連携して処理することもできる。
例えば、証券以外の資産への拡張もできる。
例えば、第1実施形態のサービス提供者サーバ1についても、トランザクションはその種類を限定しておらず、この点は他の実施形態でも同様である。
したがって、例えばトランザクションを現金やセキュリティトークン、暗号資産などへの拡張が考えられる。
【0072】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面を用いて説明する。
【0073】
先ず、本発明の第2実施形態について説明する前に、従来手法とその課題について説明する。
【0074】
図18は、本発明の第2実施形態と比較するための従来の手法を、サブアカウント方式を例として説明する図である。
【0075】
資産運用として広く利用されている投資信託は、数多くの投資信託委託会社が関与し、用途に合わせて組成を行なっている。
一方で従来の運用サービスへの投資運用業者Tとしての参加は基本1社による提供がほとんどである。
これはエンドユーザから見ると、口座と運用サービスがバンドリングされた状態(以下、「バンドリング」と呼ぶ)である。
このバンドリングのため、選択圧が発生せず、コストの低減や運用力の向上といったサービスの進化が促されにくい状況となっている。
第1実施形態で述べた通り、自社口座を使った運用サービスの提供は現状数の制約がある。
以下は、図18に示す第1実施形態で述べた従来手法のサブアカウント方式をベースに記載する。
限られた枠であることから、複数の投資運用業者Tを組み入れるインセンティブが乏しく既存サービスが存在していない。
インセンティブが乏しい理由の1つは、サブアカウント追加開設のコストが大きいことである。
サブアカウント追加開設のコストが高いため、経済合理性の維持のために金融機関個社自身またはグループ会社が投資運用業者となるケースが多い。
【0076】
図19は、本発明の第2実施形態と比較するための従来の手法を、図18とは異なる例で説明する図である。
【0077】
それ以外には、図19に示すように、システム提供業者またはそのグループ会社が投資運用業者T1,T2となるケースがある。
このケースはシステム提供業者がサブアカウント追加開設コストを負担することで、金融機関個社KA,KBへの負担が発生しないことがあり得る。
しかしながら、負担回収の主体がシステム提供業者に変わっただけで、本質的なインセンティブ構造は同じである。
インセンティブが乏しい理由の2つめは、新しい投資運用業者T1,T2の組み入れコストが発生することである。
従来手法では、金融機関個社が投資運用業者と直接接続するケースがほとんどである。
例えば、投資運用業者T1と投資運用業者T2が金融機関個社KAと金融機関個社KBに運用サービスを提供しようとすると、金融機関個社KA-投資運用業者T1,金融機関個社KB-投資運用業者T1,金融機関個社KA-投資運用業者T2,金融機関個社KB-投資運用業者T2の4つの接続が必要となる。
これは金融機関個社KA,KB、投資運用業者T1,T2の数が増えると、掛け算で接続が増えることを意味し、その接続のコストがバンドリング排除の障害の一つとなっている。
【0078】
図20は、本発明の第2実施形態と比較するための従来の手法の課題として、媒介送客の課題について説明する図である。
【0079】
バンドリングの課題を解消する方法として媒介送客がある。
媒介送客とは、例えば運用サービスを実施している金融機関個社KAが、運用サービスを行なっている別の金融機関個社KBにエンドユーザMを紹介する方式を指す。
媒介送客であっても、以下の第1乃至第3のハードルが存在する。
第1のハードルとは、送客元の金融機関個社KAにおける預り残高流出(資産流出)の忌避というハードルである。
第2のハードルとは、送客先との接続コストというハードルである。
第3のハードルとは、(自社サービスを含めた)もっとも利益率の高い運用サービスを推奨するバイアスがあるというハードルである。
このような第1乃至第3のハードルがあるという理由から、媒介送客でバンドリングの課題を一部解決するものの十分とは言えない。
【0080】
次に、上述の従来手法が有する課題を解決可能な、本発明の第2実施形態について説明する。
【0081】
図21は、本発明の第2実施形態のサービス提供者サーバを含む情報処理システムの構成を示す図である。
【0082】
図21に示す情報処理システムは、サービス提供者により管理されるサービス提供者サーバ1と、p(pは1以上の整数値)の金融機関個社K1乃至Kpの夫々により管理される個社バックオフィスシステム2-1乃至2-p及び個社運用サーバ3-1乃至3-kと、q(qは1以上の整数値)のエンドユーザM1乃至Mqの夫々により管理されるエンドユーザ端末4-1乃至4-qと、r(rは1以上の整数値)の投資運用業者T1乃至Trの夫々により管理される投資運用業者端末5-1乃至5-rとを含むように構成されている。
【0083】
なお、以下、金融機関個社K1乃至Kpを個々に区別する必要ない場合、これらをまとめて、「金融機関個社K」と呼ぶ。また、金融機関個社Kと呼んでいる場合、個社バックオフィスシステム 2-1乃至2-pをまとめて「個社バックオフィスシステム 2」と呼び、個社運用サーバ3-1乃至3-kをまとめて「個社運用サーバ3」と呼ぶ。
また、エンドユーザM1乃至Mqを個々に区別する必要ない場合、これらをまとめて、「エンドユーザM」と呼ぶ。また、エンドユーザMと呼んでいる場合、エンドユーザ端末4-1乃至4-qをまとめて「エンドユーザ端末4」と呼ぶ。
また、投資運用業者T1乃至Trを個々に区別する必要ない場合、これらをまとめて「投資運用業者T」と呼ぶ。また、投資運用業者Tと呼んでいる場合、投資運用業者端末5-1乃至5-rをまとめて、「投資運用業者端末5」と呼ぶ。
【0084】
サービス提供者サーバ1、個社バックオフィスシステム 2及び個社運用サーバ3と、エンドユーザ端末4、並びに投資運用業者端末5は、所定のネットワークNを介して相互に接続されている。なお、ネットワークNは、本実施形態ではインターネットとされるが、その形態は特に限定されず、その他例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、LAN(Local Area Network)等を採用することができる。
【0085】
なお、図示はしないが、第2実施形態の図21の情報処理システムのうち、サービス提供者サーバ1、個社バックオフィスシステム2、個社運用サーバ3、エンドユーザ端末4、及び投資運用業者端末5も、第1実施形態の図7のサービス提供者サーバ1に示すハードウェア構成を有している。
【0086】
次に、図22を参照して、図7に示すハードウェア構成を有する第2実施形態のサービス提供者サーバ1の機能的構成について説明する。
図22は、本発明の情報処理装置の第2実施形態に係る図7に示すサービス提供者サーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0087】
サービス提供者サーバ1のCPU11においては、図22に示すように、バーチャル口座管理部51が設けられている。
第2実施形態のバーチャル口座管理部51には、第1実施形態と同様の一任資産一致管理部61、個別管理部62、及びユーザインタフェース制御部63に加えてさらに、アクセス制御部64と、エンドユーザ管理部65と、運用サービス管理部66と、投資運用業者管理部67とが設けられている。
また、サービス提供者サーバ1の記憶部18には、エンドユーザDB81、運用サービスDB82、及び投資運用業者DB83が設けられている。
【0088】
ここで、上述の図18乃至図20を参照して説明した従来手法の課題を解決するための、本発明の第2実施形態の基本方針は次の方針1及び方針2である。
基本方針1とは、複数の金融機関個社(図20の例に対応させると金融機関個社KA,KB)が複数の運用サービスの同時運用を安価に実現できるという方針である。
基本方針2とは、複数の投資運用業者(図20の例に対応させると投資運用業者T1,T2)との接続を共通化し、これらの複数の投資運用業者が安価に組み込めるという方針である。
基本方針1の同時運用は、第1実施形態で実現可能になった取引口座への任意の数のバーチャル口座の手法をそのまま適用すればよい。このため、第2実施形態のサービス提供者サーバ1は、原則として第1実施形態のサービス提供者サーバ1が有する機能的構成、即ち第1実施形態と同様の一任資産一致管理部61、個別管理部62、及びユーザインタフェース制御部63をそのまま有している。
そこで、以下の説明では、基本方針2を実現させるための機能的構成として、適宜図23乃至図30を参照しながら、第1実施形態との差分である、アクセス制御部64と、エンドユーザ管理部65と、運用サービス管理部66と、投資運用業者管理部67とについて説明する。
【0089】
先ず、基本方針2を実現するためには、エンドユーザMと投資運用業者との間の投資一任契約が前提となる。そこで、投資運用業者との投資一任契約について、契約状態の管理、申込及び解約について、図23乃至図25を参照して説明する。
【0090】
図23は、投資運用業者が運用する運用サービスについての投資一任契約の契約状態の管理手法の概要を示す図である。
【0091】
前提として、運用サービス毎に投資一任契約がなされる。この投資一任契約は、エンドユーザMと投資運用業者Tとの間で締結されるものである。
ただし、金融機関個社Kが有価証券の預かりや買い付けや売りつけを行なうことから、投資一任契約の書面は連名で作成されるケースがある。
投資一任契約は、運用サービス毎に「投資一任契約書面テンプレートセット」(以下、「テンプレートセット」と呼ぶ)として管理される。
複数の投資一任契約を実現するために、図23に示すように、サービス提供者サーバ1のバーチャル口座管理部51は、投資一任契約を構成するテンプレートセットを管理サービス毎に区別して、管理画面やAPIを通して、投資運用業者Tがテンプレートセットの管理を行なえるようにしている。
【0092】
図23のような投資一任契約の契約状態の管理手法を実現するために機能する機能ブロックは、運用サービス管理部66とユーザインタフェース制御部63である。
運用サービス管理部66は、所定運用サービスについてのエンドユーザMと投資運用業者Tとの投資一任契約についてのテンプレートセットを含む当該所定運用サービスに紐づくデータを運用サービスデータとして管理する。なお、テンプレートセット以外の運用サービスデータについては後述する。運用サービスデータは、複数の運用サービス毎に運用サービスDB82に格納される。
具体的には例えば、運用サービス管理部66は、当該運用サービスデータ(図23の例ではテンプレートセットのみ図示)と、当該所定運用サービスを識別可能な運用サービスIDと、当該所定運用サービス(それと対応付けられたとファンド口座)とを紐付けて、N個の運用サービス(図23の例では3個の運用サービスA,B,C)毎に管理する。
ユーザインタフェース制御部63は、所定運用サービスの投資一任契約の締結時、契約中、又は解約時における、エンドユーザM又は投資運用業者Tが利用するユーザインタフェース(図23の例では管理画面やAPI)を、エンドユーザ端末4又は投資運用業者端末5に対して提供する。
【0093】
次に、エンドユーザMによる、投資運用業者Tとの投資一任契約の申込みの流れについて説明する。
図24は、エンドユーザによる、投資運用業者との投資一任契約の申込みの流れの概要を示す図である。
【0094】
サービス提供者サーバ1のバーチャル口座管理部51は、投資一任契約の契約状態の管理については、ファンド口座と運用サービスの組み合わせ毎に実施する。
例えば契約申込みの流れは以下の通りである。
即ち、ステップSF1において、エンドユーザMは、エンドユーザ端末4を操作して、金融機関個社K(個社運用サーバ3により管理される個社運用サービスページ)において、運用サービスを導入したいファンド口座を選択する。
なお、以下、エンドユーザMが、エンドユーザ端末4を操作して、金融機関個社K(個社運用サーバ3により管理される個社運用サービスページ)において所定行為を行うことを、単に、「エンドユーザMが、所定行為を行う」と略記する。
ステップSF2において、エンドユーザMは、ファンド口座の運用を一任する運用サービスを選択する。
ステップSF3において、エンドユーザMは、運用サービスを申込む。その際に、契約締結前交付書面等の確認と同意がなされる。
ステップSF4において、サービス提供1の運用サービス管理部66は、投資一任契約を申し込み中として運用サービスDB82に登録する。
ステップSF5において、投資運用業者Tは、投資運用業者端末5を操作することで、申し込み中の投資一任契約(データセット等の運用サービスデータ)を全て取得する。
ステップSF6において、投資運用業者Tが、投資運用業者端末5を操作することで、申込みを承諾する。
ステップSF7において、サービス提供者サーバ1の運用サービス管理部66は、申し込み承諾を受けて、投資一任契約(データセット等の運用サービスデータ)を締結済みとして運用サービスDB82に登録する。
ステップSF8において、サービス提供者サーバ1の一任資産一致管理部61は、金融機関個社Kの個社バックオフィスシステム2へ締結情報を連携させる制御を実行する。
ステップSF9において、金融機関個社K(個社運用サーバ3により管理される個社運用サービスページ)は、エンドユーザ端末4を介してエンドユーザMへ投資一任契約が締結されたことを通知する。なお、投資一任契約が締結されたことは、エンドユーザ端末4を介さず、電子メールや郵送により、エンドユーザMへ通知されてもよい。
【0095】
次に、エンドユーザMによる、投資運用業者Tとの投資一任契約の解約の流れについて説明する。
図25は、エンドユーザによる、投資運用業者との投資一任契約の解約の流れの概要を示す図である。
【0096】
サービス提供者サーバ1のバーチャル口座管理部51は、投資一任契約の解除については申込みと同様に、ファンド口座と運用サービスの組み合わせ毎に実施する。
例えば契約解除の流れは以下の通りである。
即ち、ステップSG1において、エンドユーザMは、エンドユーザ端末4を操作して、金融機関個社K(個社運用サーバ3により管理される個社運用サービスページ)において、運用サービスの解約申し込みをする。
なお、以下、エンドユーザMが、エンドユーザ端末4を操作して、金融機関個社K(個社運用サーバ3により管理される個社運用サービスページ)において所定行為を行うことを、単に、「エンドユーザMが、所定行為を行う」と略記する。
ステップSG2おいて、金融機関個社KAは、サービス提供者サーバ1に対して、対象の運用サービスの投資一任契約を指定して解約申し込みをする。この場合、ファンド口座と運用サービスで一意に投資一任契約が特定される。
ステップSG3において、サービス提供1の運用サービス管理部66は、解約申し込みを受けて、契約を解約中として運用サービスDB82に登録する。
ステップSG4において、運用サービス管理部66は、運用サービスが解約中の状態の契約の一覧を運用サービスDB82から取得する。
ステップSG5において、運用サービス管理部66は、解約中の契約に紐づくファンド口座の資産について、資産売却指示を作成する。
ステップSG6において、サービス提供者サーバ1の一任資産一致管理部61は、金融機関個社Kの個社バックオフィスシステム2へ、資産売却指示を連携させる制御を実行する。
ステップSG7において、一任資産一致管理部61は、金融機関個社Kの個社バックオフィスシステム2からの売却指示に伴う約定を連携させる制御を実行する。
ステップSG8において、運用サービス管理部66は、資産の売却にともなう全ての約定の受け渡し完了をもって、ステップSG9において、投資一任契約を解約済みとして運用サービスDB82に登録する。
【0097】
次に、第2実施形態の基本方針2を実現するために必要なアクセス制御について説明する。
図26は、図22の機能的構成を有するサービス提供者サーバが実行するアクセス制御の概要を示す図である。
【0098】
投資運用業者TX,TYは、投資一任契約を適切に履行するため、例えば以下のような第1乃至第3業務を行う必要がある。
第1業務とは、運用責任者の責務としての運用状況のモニタリングである。
第2業務とは、契約締結の主体の責務としての、契約の適切性の定期的なチェック(例えばアンチマネーロンダリングに関わるチェック)である。
第3業務とは、カスタマーサポートである。
投資運用業者TX,TYは、これらの第1乃至第3業務の遂行のためには、サービス提供1が保有するデータ、顧客情報や契約データや運用情報等を把握する必要がある。
当然ながら、投資運用業者TXが提供する運用サービスのデータを、別の運用サービスを提供する投資運用業者TYが参照することはNGである。逆に、投資運用業者TYが提供する運用サービスのデータを、別の運用サービスを提供する投資運用業者TXが参照することはNGである。
一方で、金融機関個社KXが運用サービスを提供するにあたっては、運用サービス全体のデータを参照する必要がある。
以上のことから、複数の投資運用業者TX,TYが運用サービスに参加するには、金融機関個社KAと投資運用業者TX,TYからのデータへのアクセスを適切に制御する仕組みを作ることが必要である。このようなアクセスの適切な制御の仕組み又は処理が、アクセス制御である。
アクセス制御は、図22のアクセス制御部64によって実行される。
【0099】
サービス提供1内で保有するデータは、以下の3種類が存在する
1種類目のデータは、運用サービスに紐づくデータである。
2種類目のデータは、エンドユーザMに紐づくデータである。
3種類目のデータは、その他のデータである。
【0100】
1種類目の運用サービスに紐づくデータが、運用サービスデータである。
即ち、運用サービスデータには、図23に示されるようなテンプレートセットの他、例えば、契約に関する情報や、ファンド口座内の運用情報が含まれる。
運用サービスデータは、上述したように、運用サービス毎に、図22の運用サービスDB82に格納されて、運用サービス管理部66により管理される。即ち、運用サービスには、それを識別可能な運用サービスIDが付されており、当該運用サービスIDが運用サービスデータに紐づけられて管理されている。
【0101】
2種類目のエンドユーザMに紐づくデータ(以下、「エンドユーザデータ」と呼ぶ)は例えば、エンドユーザMの氏名や住所などの顧客情報(いわゆる個人情報)である。
エンドユーザデータは、図22のエンドユーザDB81に格納され、エンドユーザ管理部65により管理される。即ち、エンドユーザMには、それを識別可能なエンドユーザIDが付されており、当該エンドユーザIDがエンドユーザデータに紐づけられて管理されている。
【0102】
3種類目のその他のデータは例えば、銘柄マスタや各種設定などが挙げられる。
また、投資運用業者Tに関するデータ(以下、「投資運用業者データ」と呼ぶ)もその他のデータの一例である。投資運用業者データは、図22の投資運用業者DB83に格納され、投資運用業者管理部67により管理される。即ち、投資運用業者Tには、それを識別可能な投資運用業者IDが付されており、当該投資運用業者IDが投資運用業者データに紐づけられて管理されている。
【0103】
アクセス制御は、1種類目の運用サービスデータと、2種類目のエンドユーザデータに対して必要である。
そこで、以下、運用サービスデータ、及びエンドユーザデータの夫々に対するアクセス制御について説明する。
【0104】
図27は、運用サービスデータに対するアクセス制御に必要な、運用サービスと投資運用業者との紐付けの概要を示す図である。
【0105】
運用サービスデータに対するアクセス制御の準備として、投資運用業者Tと、当該投資運用業者Tが提供する1以上の運用サービスの夫々との紐付けを管理するため、サービス提供者サーバ1は、まず運用サービスIDと投資運用業者IDとの紐付けを行なう。
これにより、運用サービスデータと、投資運用業者Tとの紐付けが可能となる。
【0106】
図28は、運用サービスデータに対するアクセス制御の概要を示す図である。
【0107】
例えば金融機関個社KAが提供する運用サービスのテンプレートセットのアクセス権限の有無を判定するおおよその流れは以下の通りである。
ステップSH1において、アクセス制御部64は、担当者が所属するロールを取得する。
図28の例では、投資運用業者TXの担当者TXTのロール、投資運用業者TYの担当者TYTのロール、又は金融機関KAの担当者KATのロールが取得される。
ステップSH2において、アクセス制御部64は、取得したロールが金融機関個社KAの担当者KATのものである場合には、処理をステップSH2-aに進め、それ以外の場合(投資運用業者Tの担当者のものである場合)、処理をステップSH3に進める。
ステップSH2-aにおいて、アクセス制御部64は、金融機関担当者KATに対して全てのテンプレートセットX-1,X-2へのアクセス権限を与える。これにより、アクセス制御の処理は終了となる。
これに対して、ロールが投資運用業者Tの担当者のものである場合、ステップSH3において、アクセス制御部64は、ロールが示す担当者が所属する投資運用業者Tの投資運用業者IDを取得する。
ステップSH4において、アクセス制御部64は、各運用サービスの運用サービスIDの夫々と対応付けられた投資運用業者IDを取得する。
ステップSH5において、アクセス制御部64は、ステップSH3及びステップSH4の夫々で取得された投資運用業者IDとが一致していれば、当該ステップSH4で取得された投資運用業者IDに対応付けられている運用サービスIDで特定されるテンプレートセットへのアクセス権限を、担当者に対して与える。
なお、ステップSH5において、不一致ならアクセス権限なしと判断される。
また、実際には実務におけるロール(リーガル担当か運用責任者かなど)に従って、参照権限の有無、更新権限の有無、削除権限の有無などのアクセス権限(CRUD)は細かく制御される。
【0108】
以上、運用サービスデータに対するアクセス制御について説明した。
次に、エンドユーザデータに対するアクセス制御について説明する。
図29は、エンドユーザデータの取得及び管理の概要を示す図である。
【0109】
エンドユーザMに関するデータは、口座開設等を通して金融機関個社KAが受領して、保管している。
サービス提供者サーバ1は、エンドユーザMのエンドユーザデータとして、投資一任契約の締結、維持に必要な個人情報を、以下の流れで金融機関個社KAから受け取って保管する。
ステップSI1において、エンドユーザMは、エンドユーザ端末4を操作して、金融機関個社KA(個社運用サーバ3により管理される個社運用サービスページ)において、運用サービスの投資一任契約の申し込みをする。
なお、以下、エンドユーザMが、エンドユーザ端末4を操作して、金融機関個社KA(個社運用サーバ3により管理される個社運用サービスページ)において所定行為を行うことを、単に、「エンドユーザMが、所定行為を行う」と略記する。上述したように、「エンドユーザMが、所定行為を行う」には、エンドユーザMと対面営業する営業員がエンドユーザMの所定行為を代理(委託)する場合を含まれる。
ステップSI2において、サービス提供者サーバ1の一任資産一致管理部61は、金融機関個社KAにおいて顧客情報が付加された投資一任契約申し込み指示を連携させる制御を実行する。
ステップSI3において、サービス提供者サーバ1のユーザインタフェース制御部63は、契約申し込みUIをエンドユーザ端末4に表示させる。
ステップSI4において、エンドユーザMは、契約申し込みUIから申し込みに同意する。
ステップSI5において、サービス提供者サーバ1のエンドユーザ管理部65は、申し込みに同意したエンドユーザMの顧客情報81と契約情報82とをエンドユーザデータとして取得して、エンドユーザDB81に保存する。
ステップSI6において、一任資産一致管理部61は、(契約締結後、一定期間毎に)金融機関個社KAとの間でエンドユーザデータ(顧客情報)を連携させる制御を実行する。
ステップSI7において、エンドユーザ管理部65は、ステップSI6の連携内容に応じて、エンドユーザデータ(顧客情報)を更新する。
【0110】
図30は、エンドユーザデータに対するアクセス制御の概要を示す図である。
【0111】
金融機関個社KA及び投資運用業者TX,TYの担当者の夫々によるエンドユーザデータ(顧客情報)へのアクセスは、以下の流れで権限判定される。
即ち、ステップST1において、アクセス制御部64は、担当者が所属するロールを取得する。
図30の例では、投資運用業者TXの担当者TXTのロール、投資運用業者TYの担当者TYTのロール、又は金融機関KAの担当者KATのロールが取得される。
ステップST2において、アクセス制御部64は、取得したロールが金融機関個社KAの担当者KATのものである場合には、処理をステップST2-aに進め、それ以外の場合(投資運用業者Tの担当者のものである場合)、処理をステップST3に進める。
ステップST2-aにおいて、アクセス制御部64は、金融機関担当者KATに対してエンドユーザデータのアクセス権限を与える。これにより、アクセス制御の処理は終了となる。
これに対して、ロールが投資運用業者Tの担当者のものである場合、ステップST3において、アクセス制御部64は、ロールが示す担当者が所属する投資運用業者Tの投資運用業者IDを取得する。
ステップST4において、アクセス制御部64は、エンドユーザMが申し込み済み(契約中含む、解約済みは含まない)の1以上の運用サービスの夫々の運用サービスIDを全て取得する。
ステップST5において、アクセス制御部64は、ステップST4で取得した申し込み済みの1以上の運用サービスIDに夫々紐づく1以上の投資運用業者IDを全て取得する。
ステップST6において、アクセス制御部64は、ステップSH3で取得された投資運用業者IDが、ステップSH5で取得された投資運用業者IDに含まれていれば、当該ステップSH3で取得された投資運用業者IDで特定される投資運用業者の担当者に対してアクセス権限を与える。
具体的には例えば、エンドユーザMが運用サービスX-1のみ申し込み済みで、他の運用サービスは未申し込みまたは解約済みの場合、投資運用業者TXの担当者TXTに対してはエンドユーザMのエンドユーザデータ(顧客情報)へのアクセス権限が与えられる。これに対して、投資運用業者TYの担当者TYT対してアクセス権限は与えられない。
以上のアクセス制御の実行により、運用サービスを提供する金融機関個社KA及び複数の投資運用業者T(本例では投資運用業者TX,TY)が参加する状況でのデータの保護が可能となる。
【0112】
次に、第2実施形態のサービス提供者サーバの適用で可能になる、金融機関個社Kと投資運用業者Tのハブ機能について説明する。
図31は、金融機関個社と投資運用業者のハブ機能の概要を示す図である。
【0113】
従来手法では、金融機関個社KA,KB,KCが投資運用業者TXと直接接続するケースがほとんどなことから、掛け算で接続が増えることによる接続コストがハードルの1つとなっていた。
このハードルを解消するため、第2実施形態サービス提供者サーバ1で金融機関個社KA,KB,KCと投資運用業者TXをつなぐハブ機能について説明する。
まず以前に定義した金融機関個社Kを特定可能な金融機関個社IDや、投資運用業者Tを特定可能な投資運用業者IDを、グローバルに一意な値となるように定義する。
グローバルに一意とは、サービス提供者サーバ1が管理する範囲内で同一の金融機関個社ID及び投資運用業者IDを持つ金融機関個社K又は投資運用業者Tが存在しないことをいう。
次に投資運用業者Tから各金融機関個社Kn(nは任意の値であり、図31の例ではA,B,Cのうちの何れか)の夫々に対応付けられたバーチャル口座管理部51nにアクセスするためのプロキシ部52が、サービス提供者サーバ1において機能するように用意される。
即ち、バーチャル口座管理部51は金融機関個社K毎に用意される。各金融機関個社Kのバーチャル口座管理部51は、サービス提供者サーバ1として別々の装置に設けられる場合もある。このため、投資運用業者Tが、金融機関個社K毎のバーチャル口座管理部51との接続を個別に確立するとコストが高くハードルとなる。
そこで、プロキシ部52は、金融機関個社K毎に用意されるバーチャル口座管理部51を透過的に扱うために用意される。
【0114】
例えば投資運用業者TXが複数の金融機関個社KA,KB,KCの中からアクセス可能なバーチャル口座管理部51を見つける流れは以下のようになる。
ステップSTU1において、投資運用業者TXは、投資運用業者端末5を操作して、自身の投資運用業者ID(X)でプロキシ部52に接続する。
ステップSTU2において、プロキシ部52は、事前に登録された各金融機関個社KA,KB,KCの夫々に紐づくバーチャル口座管理部51A,51B,51Cの夫々に対して、投資運用業者ID(X)がアクセス可能か否かを問い合わせる。
ステップSTU3において、各金融機関個社KA,KB,KCの夫々に紐づくバーチャル口座管理部51A,51B,51Cの夫々は、ステップSTU2において問い合わせがあった投資運用業者ID(X)がアクセス可能か否かを判定し、その判定結果をプロキシ部52に返却する。
ステップSTU4において、プロキシ部52は、各金融機関個社KA,KB,KCの夫々に紐づくバーチャル口座管理部51A,51B,51Cの夫々からの判定結果を集約して、投資運用業者TXがアクセス可能なバーチャル口座管理部51を取得する。
【0115】
なお、ステップSTU2及び3については、上述のように都度問い合わせではなく、事前にプロキシ部52と各バーチャル口座管理部51との間で投資運用業者IDの情報を共有する方式もあり得る。
アクセス可能なバーチャル口座管理部51が判明したあとは、プロキシ部52は、投資運用業者TXからのアクセスをバーチャル口座管理部51に中継することで、上述のアクセス制御等で説明した手順でバーチャル口座管理部51が保有するデータへのアクセスが可能となる。
このような金融機関個社Kと投資運用業者Tのハブ機能の採用により、金融機関個社Kと投資運用業者Tは、バーチャル口座管理部51またはプロキシ部52へ接続を一度確立するだけで、データへの適切なアクセスが可能となり、コスト低減の効果が実現できる。
【0116】
以上まとめると、第2実施形態のサービス提供者サーバ1は、自身の資産を用いてN個(Nは、1以上の整数値)の運用サービスの提供を受けるエンドユーザMにより管理されるエンドユーザ端末4と、エンドユーザMの資産を取引口座で管理する金融機関個社Kにより管理される個社バックオフィスシステム2等と、エンドユーザMと契約をすることにより、N個の運用サービスのうち少なくとも一部の運用を行うM(Mは、1以上の整数値)の投資運用業者Tの夫々により管理されるMの投資運用業者端末5と、夫々通信をする。
運用サービス管理部66は、例えば図23に示すように、所定運用サービスについてのエンドユーザMと投資運用業者Tとの契約の状態を示す契約状態データ(例えば図23のテンプレートセット)を含む当該所定運用サービスに紐づくデータを運用サービスデータとして、当該運用サービスデータと、当該所定運用サービスを識別可能な運用サービスIDと、当該所定運用サービスに対応付けられたファンド口座とを紐付けて、N個の運用サービス毎に管理する。
ユーザインタフェース制御部63は、所定運用サービスの契約の締結時、契約中、又は解約時における、エンドユーザM又は投資運用業者Tが利用するユーザインタフェースを、エンドユーザ端末4又は投資運用業者端末5に対して提供する。
この場合、バーチャル口座管理部51は、エンドユーザM又は投資運用業者Tのユーザインタフェースを用いた所定運用サービスに対する操作に基づいて、所定運用サービスIDに対応付けられたファンド口座において、運用サービスデータを用いた処理を実行する。
【0117】
また、第2実施形態のサービス提供者サーバ1は、次のようにして、図26に示すような運用者サービスデータに対するアクセス制御を実行することができる。
即ち、投資運用業者管理部67は、N個の運用サービスのうち、所定投資運用業者TがエンドユーザMと契約を締結した1以上の運用サービスの夫々の運用サービスIDと、当該所定投資運用業者Tの投資運用業者IDとの対応付けを、Mの資産運用事業者毎に管理する。
アクセス制御部64は、Mの投資運用業者Tのうち所定投資運用業者Tkからユーザインタフェースを用いた操作があった合、当該所定投資運用業者Tkの資産運用事業者IDと対応付けられた1以上の運用サービス識別子の夫々により識別される1以上の運用サービスデータへのアクセスを許可する。
バーチャル口座管理部51は、アクセスが許可された運用サービスデータを用いた処理を実行する。
【0118】
また、第2実施形態のサービス提供者サーバ1は、次のようにして、図27に示すようなエンドユーザデータに対するアクセス制御を実行することができる。
即ち、エンドユーザ管理部65は、エンドユーザMに紐づくデータをエンドユーザデータ(個人情報たる顧客情報)として管理する。
アクセス制御部64は、所定投資運用業者Tからユーザインタフェースを用いた操作があった場合、当該所定投資運用業者Tが運用するMの運用サービスの中に、エンドユーザMと契約を締結した状態のものがあるか否かを判定し、あると判定したときにはエンドユーザMのエンドユーザデータへのアクセスを許可する一方、ないと判定したときにはエンドユーザデータへのアクセスを禁止する。
【0119】
また、第2実施形態のサービス提供者サーバ1は、次のようにして、図31に示すような金融機関個社Kと投資運用業者Tのハブ機能を実現することができる。
即ち、P(Pは1以上の整数値)の金融機関個社K毎に、夫々専用のバーチャル口座管理部51が備えられている。
プロキシ部52は、所定投資運用業者Tの投資運用業者端末5からアクセスの依頼があった場合、所定投資運用業者Tと紐づけられた1以上の金融機関個社Kの夫々の専用のバーチャル口座管理部51と、当該所定投資運用業者Tの投資運用業者端末5との接続を行う。
【0120】
このような構成の第2実施形態のサービス提供者サーバ1は、以下に示す各種各様な効果を奏することが可能である。
即ち、第2実施形態のサービス提供者サーバ1の適用により、バンドリングのハードルが解消され、複数の投資運用業者Tによる任意の数の運用サービスの提供が可能な状態となる。
以下、この状態を、金融機関個社Kを市場、投資運用業者Tを商品を販売するテナントとみなし、「運用サービスのバザール化」と呼ぶ。
即ち、第2実施形態のサービス提供者サーバ1を適用することで、運用サービスのバザール化が実現可能になり、その結果、図32図33に示すようなサービスの提供が可能となる。
【0121】
図32は、図22のサービス提供者サーバ1による運用サービスのバザール化によって提供可能となるサービスのうち、選択型運用サービスの具体例を示す図である。
サービス提供者サーバ1は、第1実施形態で上述したように、任意のファンド口座を開設し、夫々運用サービスを紐づけることができる。これを拡張して、運用カテゴリーと運用サービスをエンドユーザMに選択させるサービスが実現可能になる。以下、このようなサービスを「選択型運用サービス」と呼ぶ。
【0122】
選択型運用サービスの具体的な流れは以下の通りになる。
即ちステップSK1において、エンドユーザMは、エンドユーザ端末4を操作して、画面G10において、ゴール登録時に運用カテゴリーを選択して、「運用サービスの選択に進む」を押下する。
ステップSK2において、運用カテゴリーに属する運用サービスと指標の一覧を示す画面G11が、エンドユーザ端末4に表示される。画面G11において、指標は、エンドユーザMが選択の際に基準として用いられる。具体的には例えば、指標として、シャープレシオや年率リターン、レーティング等が挙げられる。
ステップSK3において、エンドユーザMは、エンドユーザ端末4を操作して、画面G11において、一覧から投資一任契約を申し込みたい運用サービスを選択し、「運用サービスを申し込む」を押下する。これにより、エンドユーザ端末4に表示される画面は、画面G11から画面G12に進む。
ステップSK4において、エンドユーザMは、エンドユーザ端末4を操作して、画面G12において、投資一任契約前書面の「開く」を押下する。これにより図示はしないが、運用サービス「スマートファンド」の投資運用業者TであるY投資顧問が事前に登録した最新の書面がエンドユーザ端末4に表示される。
ステップSK5において、エンドユーザMは、契約締結前交付書面等を確認し、エンドユーザ端末4を操作して、画面G12において「同意して申し込む」を押下する。
ステップSK6において、サービス提供者サーバ1のバーチャル口座管理部51は、エンドユーザMが運用サービス「スマートファンド」を申し込み済というトランザクションを生成し、顧客情報のデータベースを更新する。
【0123】
図33は、図32の画面例で示す選択型運用サービスの裏側での投資一任契約申し込みに関わる流れの一例を示す図である。
本例では、エンドユーザMが申し込む運用サービスの一任資産は金融機関個社KAにより管理され、その処理は運用サービス提供者サーバ1の専用のバーチャル口座管理部51Aによりなされるものとする。
【0124】
ステップSL1において、投資運用業者TXは、投資運用業者端末5を操作して、テンプレートセットを入稿する。
ステップSL2において、エンドユーザMは、エンドユーザ端末4を操作して、運用サービスを申し込む。
ステップSL3において、バーチャル口座管理部51Aは、契約締結前交付書面等の交付用データを作成し、契約状態を申し込み済みとして登録する。このステップSL3の間、エンドユーザMにとっては図32のステップSK4乃至SK6が行われていることになる。
ステップSL4において、投資運用業者TXは、投資運用業者端末5を操作して、申し込み内容の確認を行う。
ステップSL5において、投資運用業者TXは、投資運用業者端末5を操作して、申し込みの承諾を行う。
ステップSL6において、バーチャル口座管理部51Aは、契約締結時交付書面の交付用データを作成し、契約状態を締結済みに更新する。
以降、運用の流れは、任意のファンド口座の開設、夫々運用サービスの紐づけを行う第1実施形態の説明として上述した通りである。
【0125】
図34は、図22のサービス提供者サーバ1による運用サービスのバザール化によって提供可能となるサービスのうち、バスケット型運用サービスの具体例を示す図である。
【0126】
運用サービスのバザール化が進んだ際には、選択肢が増えることによって、エンドユーザMに決定回避の法則が働きやすくなる課題が生じ得る。
例えば投資信託の場合、金融機関個社で多いところでは1000種類以上の運用サービスの購入が可能である。
投資信託の選び方を紹介するサイトが多数検索されることから、投資信託の売買では決定回避の法則が働いていると考えられる。
このような課題を解決可能なサービスが、「バスケット型運用サービス」である。
【0127】
バスケット型運用サービスの具体的な流れは以下の通りになる。
即ちステップSM1において、エンドユーザMは、エンドユーザ端末4を操作して、画面G201において、ゴール登録時に運用カテゴリーを選択して、「運用サービスバスケットの選択に進む」を押下する。
ステップSM2において、運用カテゴリーに属する運用サービスと指標の一覧を示す画面G202が、エンドユーザ端末4に表示される。
ステップSM3において、エンドユーザMは、エンドユーザ端末4を操作して、画面G202において、一覧から運用サービスバスケットに組み込みたい運用サービスを選択し、「運用サービスバスケットを申し込む」を押下する。これにより、エンドユーザ端末4に表示される画面は、画面G202から画面G203に進む。
ステップSM4において、図示はしないが、運用サービスバスケットに含まれる、全ての運用サービスに関わる契約締結前交付書面等が交付(エンドユーザ端末4に表示)される。
ステップSM5において、エンドユーザMは、全ての契約締結前交付書面等を確認し、エンドユーザ端末4を操作して、画面G202において、「同意して申し込む」を押下する。
【0128】
これにより、運用サービスのバザール化により運用サービスの数が増えたとしても、エンドユーザMに単一の選択を迫ることが不要となる。
また、運用サービスバスケットの拡張として、シャープレシオや年率リターンなどの運用サービスの指標を元に、定期的に傾斜配分を調整することが考えられる。
調整は金融機関からエンドユーザMへの助言、またはエンドユーザMからの委託を受けて金融機関が調整を行なうことが考えられる。
こういった各種サービス(調整の仕組み)により、より良い運用サービスが選択される選択圧がかかり、運用サービスの改善につながることが期待される。
【0129】
以上、本発明の第2実施形態について説明した。
【0130】
次に、図35乃至図41を適宜参照しつつ、上述の第1実施形態及び第2実施形態で登場した用語の定義について説明する。
【0131】
図35は、運用サービスの概要を示す図である。
【0132】
図35に示すように、運用サービスとは、エンドユーザMが投資運用業者Tと特定の投資一任契約を締結し、エンドユーザMの資産の運用を投資運用業者Tに一任する場を提供する一連の役務やそのためのシステムをいう。また、投資運用業者IDとは投資運用業者Tを一意に特定するためのものである。
即ち、図35に示すように、投資運用業者IDが付された投資運用業者T及びエンドユーザMは、投資一任契約締結前書面、投資一任契約締結時交付書面、投資一任資産の授受を、運用サービスにより提供される場を介してやり取りするものである。
【0133】
図36は、投資一任契約書面のテンプレートセットの一例を示す図である。
【0134】
図36に示すように、本サービスにより、投資一任契約書面のバージョン毎のテンプレートセットが管理される。
ここで、「投資一任契約締結前書面等」には、例えば以下のような文書が含まれることがある。
1.投資一任契約締結前書面
2.個人情報の第三者提供に係る同意書
3.電磁的交付に係る同意書
4.投資信託契約締結前書面
5.投資一任契約約款
また、「投資一任契約締結前書面等」は、全部または一部をまとめた書面の集合体として管理される場合もあれば、全て別々に管理される場合もある。
以下、本実施形態では、「投資一任契約締結前書面等」は、全部を一つの書面の集合体として管理されるものとして説明する。
投資一任契約には、投資一任契約前交付書面等と投資一任契約時交付書面が紐づけられて管理される。
投資一任契約前交付書面等と、投資一任契約時交付書面の夫々はバージョン管理され、その履歴や差分をまとめて「投資一任契約書面テンプレートセット」として管理される。
【0135】
図37は、運用サービスと運用サービスIDの関係性を示す図である。
【0136】
図37に示すように、運用サービスと運用サービスIDとは、対応付けられたものである。
即ち、運用サービスIDは、運用サービスを一意に特定するものである。
また、運用サービスは、投資一任契約を根拠として構築される。したがって、運用サービス及び投資一任契約書面テンプレートセットは、1対1に対応する。
【0137】
図38は、エンドユーザと口座の関係性を示す図である。
【0138】
金融機関KXには、当該金融機関KXを特定する金融機関個社IDが付される。
エンドユーザMは、金融機関KXで証券口座(総合口座)を開設する。
エンドユーザMには、金融機関KX内でエンドユーザMと保有する総合口座を特定するものとして、エンドユーザIDが付される。
このように、エンドユーザKXの金融機関KXにおける総合口座は、金融機関個社IDとエンドユーザIDにより特定される。
【0139】
図39は、総合口座と取引口座の関係性を示す図である。
【0140】
図39に示すように、総合口座に属するものとして、実際に取引を管理する取引口座が管理される。ここで、1つの総合口座に対して複数(図39の例においてはN個)の取引口座が属する。
例えば、一般口座や特定口座、NISA口座は、取引口座の一例である。
【0141】
図40は、総合口座と口座区分の管理の一例を示す図である。
【0142】
図39とは異なり、図40に示すように、総合口座と口座区分(特定口座or一般口座)の組合せを用いて、一般口座と特定口座を表現することもできる。これは、取引口座の表現の一例である。したがって、上述の本サービスを実現可能であれば、総合口座と取引口座は、何れの表現方法を用いて管理されていてもよい。
なお、投資一任運用の資産は、取引口座内で管理される。
【0143】
図41は、ファンド口座とバーチャル口座コードの関係性を示す図である。
【0144】
図41に示すように、1つの取引口座内において複数の投資一任運用を管理するため、投資一任運用の資産は、バーチャル口座コードを用いて管理される。
取引口座IDとバーチャル口座コードの組み合わせを用いて、一つの投資一任運用の資産を管理する仮想的な口座、即ち、ファンド口座が特定される。
なお、バーチャル口座コードは、個社が任意の数を定義することができる。
【0145】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0146】
例えば、上述の実施形態では、個社バックオフィスシステム2は、投資対象証券からの配当金、分配金情報を登録するものとしたが、投資対象の取り扱いは以下のようなものとすることができる。
【0147】
図42は、投資対象の取り扱いの一例を示す図である。
【0148】
図42に示すように、複数の運用サービス(図42の例では運用サービスA及びB)と投資対象を異ならせることができる。
バーチャル口座管理部51における、取引口座への任意の数のバーチャル口座の説明において、区別管理のための手法として、専用商品方式を改善するものとして説明した。その結果、運用を行なう単位であるファンド口座の資産の区別管理が可能となり、運用サービスごとに専用商品の用意は、不要となった。
換言すると、第2実施形態の効果により運用サービスが増えたとしても、投資対象を比例して増やす必要がなくなった。これにより、以下のような効果を奏する。
【0149】
第1に、上場有価証券のような専用商品の準備ができないものを取り扱うことが可能となる。
具体的には例えば、一つの企業を複数のテーマに出現させる、テーマ投資ができる。
【0150】
第2に、投資信託のような専用商品の準備が可能なものであっても、組成コストを抑えることができる。
具体的には例えば、TOPIXやS&P500など、メジャーなインデックスへの投資は、共通化させることができる。
即ち、図42に示すように、投資信託bは、運用サービスA,Bの両方で投資対象に含まれている一方で、投資信託a,cは、夫々運用サービスA,Bでのみ投資対象とされる。
【0151】
以下、共有された投資対象の取り扱いについて、具体例を用いて説明する。
ここで、前提として、投資一任契約の締結は完了済みである。また、個社バックオフィスシステム2内での一任資産の区別管理は、サブアカウント方式であるものとする。また、現金留保が発生しないものとする。
【0152】
図43は、新規拠出の流れの一例を示す図である。
【0153】
上述の運用サービスA,Bに対して、同時に新規拠出を行うケースを用いて説明する。
まず、ステップSN1において、エンドユーザMは、ファンド口座Kで運用サービスAに100万円、ファンド口座Lで運用サービスBに150万円の新規拠出を申し込む。
次に、ステップSN2において、サービス提供者サーバ1から個社バックオフィスシステム2へ、非一任資産から一任資産へ250万円の振り替えが指示される。具体的には例えば、専用商品方式の場合は、現金相当物の購入が指示される。
次に、ステップSN3において、個社バックオフィスシステム2にて、非一任資産から一任資産へ250万円の振り替えが実施される。
次に、ステップSN4において、サービス提供者サーバ1にて、ファンド口座K,Lで投資対象の買付金額(以下、「運用指図」とよぶ)が計算される。
具体的には例えば、ファンド口座Kは運用サービスAに従い、投資信託aにおいて40万円、投資信託bにおいて60万円、投資信託cにおいて0円が計算される。
また例えば、ファンド口座Lは運用サービスBに従い、投資信託aにおいて0円、投資信託Bにおいて100万円、投資信託cにおいて50万円が計算される。
次に、ステップSN5において、サービス提供者サーバ1から執行担当者KATへ運用指図が連携される。
次に、ステップSN6において、執行担当者KATにて、運用指図を元に買付注文が執行され約定処理が実施される。
次に、ステップSN7において、執行担当者KATにより個社バックオフィスシステム2に約定内容が登録される。
次に、ステップSN8において、執行担当者KATからサービス提供者サーバ1に買付指示で発生した約定内容が連携される。
次に、ステップSN9において、サービス提供者サーバ1にて、ファンド口座K,Lごとに約定処理が実施され、残高が更新される。
【0154】
なお、ステップSN5の運用指図連携には、ファンド口座K,Lの運用指図を集約する方式と、運用指示を集約しない方式が存在する。
具体的には例えば、夫々の方式において執行担当者KATに連携される内容は以下の通りとなる。
即ち、集約する方式においては、投資信託aにおいて40万円買付、投資信託bにおいて160万円買付、投資信託cにおいて50万円買付、の内容が連携される。
また、集約しない方式においては、投資信託aにおいて40万円買付、投資信託bにおいて60万円買付の内容が連携されると共に、投資信託bにおいて100万円買付、投資信託cにおいて50万円買付、の内容が連携される。
【0155】
図44は、リバランスの流れを示す図である。
【0156】
上述の運用サービスA,Bにおいて、以下に示す前提のように基準価額が変化し、それに伴うリバランスが行われるものとして説明する。
即ち、前提として、各投資信託の基準価額が、以下のように変化したものとする。
投資信託aの基準価格が10,000円から10,000円(変わりなし)となり、投資信託bの基準価格が10,000円から15,000円(+50%)となり、投資信託cの基準価格が10,000円から12,000円(+20%)となったとする。
この場合、基準価額の変動に伴い各投資一任サービスの組入比率が変化したため当初の比率に戻すように、以下のようにリバランスが行われる。
即ち、運用サービスAの比率は投資信託a:投資信託b=4:6となり、運用サービスBの比率は、投資信託b:投資信託c=2:1、となる。
【0157】
具体的には、以下に示す各ステップによりリバランスが行われる。
即ち、ステップSO1において、サービス提供者サーバ1にてファンド口座K,Lのリバランス運用指図が作成される。
具体的には例えば、ファンド口座Kは運用サービスAに従い、投資信託a=12万円買付、投資信託b=12万円解約、投資信託c=0円(売買なし)とする。また、ファンド口座Lは運用サービスBに従い、投資信託a=0円(売買なし)、投資信託b=10万円解約、投資信託c=10万円買付とする。
次に、ステップSO2において、サービス提供者サーバ1から執行担当者KATへ運用指図が連携される。
次に、ステップSO3において、執行担当者KATにて、運用指図を元にリバランス注文を執行し約定処理が実施される。
次に、ステップSO4において、執行担当者KATが個社バックオフィスシステム2に約定内容が登録される。
次に、ステップSO5において、執行担当者KATからサービス提供者サーバ1にリバランスで発生した約定内容が連携される。
次に、ステップSO6において、サービス提供者サーバ1にて、ファンド口座K,Lごとに約定処理が実施され、残高が更新される。
【0158】
なお、ステップSO2の運用指図連携には、ファンド口座K,Lの運用指図を集約する方式と、運用指示を集約しない方式が存在する。
具体的には例えば、夫々の方式において執行担当者KATに連携される内容は以下の通りとなる。
即ち、集約する方式においては、投資信託aにおいて12万円買付、投資信託bにおいて22万円解約、投資信託cにおいて10万円買付の内容が連携される。
また、集約しない方式においては、投資信託aにおいて12万円買付、投資信託bにおいて12万円解約ノン内容が連携されると共に、投資信託bにおいて10万円解約、投資信託cにおいて10万円買付、の内容が連携される。
【0159】
図45は、ポータビリティとコマンドの関係を示す図である。
【0160】
ここで、図45の説明に用いる各用語について補足説明する。
即ち、ポータビリティとは、特定の会社のシステムだけでなく、別の会社の同種類のシステムへの接続が可能となることをいう。即ち、複数の金融機関個社Kの夫々に対して接続が可能となることをいう。
個社とは、本サービスを導入する第一種金融商品取引業社や登録金融機関のことをいう。
また、副作用とは、投資一任運用に関わる何らかの処理に関連して発生する、本サービスに保有されるデータに対する作成、更新、削除などの変化のことをいう。
【0161】
これにより、以下の示す関係性がある。
即ち、証券口座の管理は複雑で、一般的にシステムの数が多くかつそれぞれが密に結合して作られているケースが多かった。これにより、証券口座管理に必須なバックオフィスシステムを中心としたラインナップが構築され、同一機能であっても他社サービスとの組み合わせが可能なことは稀な状況であった。
本サービスは、本サービスは投資一任運用を管理するシステムにおいて、個社バックオフィスシステム2との密結合を排除し、任意のシステムとの接続を可能とするポータビリティを有するものであると言える。
【0162】
具体的には、本サービスには、高いポータビリティ性能を実現するための工夫として、以下の3つのポイントが導入されている。
即ち、第1に、本サービスが持つデータへの副作用は全てコマンドを起因としている。具体的には例えば、コマンドが生成された経路(=生成主体)と副作用とが独立となっている。
また、第2に、コマンドの生成経路を個社バックオフィスシステム2、バーチャル口座管理部51のどちらでも可能なよう切り替えを可能としている。
具体的には例えば、個社バックオフィスシステム2の作りに合わせて、個社側仕様の取り込みとバーチャル口座管理部51の仕様での計算、個社仕様のレプリケーションなど、様々な方法が選択可能となった。
第3に、個社バックオフィスシステム2のデータからコマンドを生成する層が設けられている。
具体的には、各金融機関個社KXの仕様の差異を吸収する層を設けることで、様々なバックオフィスシステムとのつなぎ込みを可能としている。
【0163】
図46は、投資一任契約の締結および付随する機能のプラグイン化を示す図である。
【0164】
ここで、図46の説明に用いる各用語について補足説明する。
コンポーネントとは、本サービスのうち、契約の締結から解約、削除までの投資一任契約管理機能を提供するものである。
個社とは、本サービスを導入する第一種金融商品取引業社や登録金融機関のことをいう。
エンドユーザMとは、投資一任契約を締結し資産の運用を一任する、個人または法人をいう。
投資一任契約のライフサイクル、契約ライフサイクルとは、個社による投資一任契約の締結の代理から始まり、契約内容変更時の差分同意や解約および解約後のデータ削除までの契約に係る一連の流れをいう。
【0165】
これにより、以下の示す効果を奏する。
即ち、これまでの投資一任契約の締結および付随する機能を提供するシステムは、オンラインと対面のどちらの形式のサービスであっても販売画面と密に依存するものであり、契約ライフサイクルに係る機能を任意の販売画面に提供できる形式のものは存在していなかった。
しかしながら、本サービスにより、契約ライフサイクルに係る機能を販売画面から分離、任意の販売画面への組み込みが可能となった。
【0166】
具体的には、本サービスには、契約ライフサイクルに係る機能を販売画面から分離、任意の販売画面への組み込みを可能とするため、以下の3つのポイントが導入されている。
即ち、第1に、投資一任契約のライフサイクルに係るサイト作成機能の分離がなされている。具体的には、金融機関個社KXは注文、コンポーネントは契約ライフサイクルとそれぞれの責務を担うことが可能となった。
第2に、個社サイトおよびコンポーネントサイト間の遷移を転送方式としている。具体的には、コンポーネントがホスティングを担うことで、運用の独立性からのポータビリティの向上がなされている。
第3に、投資一任契約のライフサイクルに係るデータ保管機能が分離されている。具体的には、コンポーネントが保管し金融機関個社が参照するというそれぞれの責務を担うことが可能になった。
【0167】
図47は、書面の電子交付の接続方式の例を示す図である。
即ち、図47に示すように、エンドユーザMが交付書面の表示をリクエストした場合、認証認可後にリクエストされた交付書面のデータを連携し、リクエストされた書面が表示される。この時、コンポーネントにおいて、投資一任契約に関する書面の補完機能が提供される。
【0168】
また、図7に示すハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0169】
また、図8及び図22に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、特に図8及び図22の例に限定されない。
【0170】
また、機能ブロックの存在場所も、図8及び図22に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0171】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0172】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各ユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0173】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0174】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものである。
【0175】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
【0176】
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば、図8のサービス提供者サーバ1)は、
所定対象を管理する管理者の装置のうち、所定対象が管理される管理単位において、第1種管理単位と第2種管理単位とを区別管理している別情報処理装置と少なくとも通信をする情報処理装置であって、
前記第1種管理単位の枠内で運営されるN個(Nは、1以上の整数値)のサービスの夫々に対して、前記情報処理装置内における前記第1種管理単位が前記N個に区分された結果得られる前記N個の個別単位の夫々を対応付けて、当該N個の当該個別単位を管理する処理を実行する個別単位管理手段(例えば、図8のバーチャル口座管理部51)
を備えれば足りる。
【0177】
これにより、任意の数のファンド口座開設と運用サービスの紐付けが可能になる。また、任意の数のファンド口座の開設と運用が可能になる。
【0178】
さらに、
前記所定対象は資産であり、
前記管理単位は、エンドユーザの取引口座であり、
前記第1種管理単位は、前記エンドユーザの投資一任契約管理下の資産である一任資産であり、
前記第2種管理単位は、エンドユーザの当該投資一任契約管理外の資産である非一任資産であり、
前記サービスは、運用サービスであり、
前記個別単位は、バーチャル口座であり、
前記個別単位管理手段は、
前記一任資産の枠内で運営される前記N個の前記運用サービスの夫々に対して、前記情報処理装置内における前記一任資産が前記N個に区分された結果得られる前記N個の前記バーチャル口座の夫々を対応付け、当該N個の当該バーチャル口座を管理する、
ことができる。
【0179】
さらに、
前記個別単位管理手段は、
前記バックオフィスシステムで発生した前記エンドユーザの前記一任資産に関わる全てのトランザクションの処理を実行することで、前記バックオフィスシステム内の前記一任資産と前記情報処理装置内の前記一任資産の一致の状態を維持するように管理する一任資産一致管理手段(例えば、図8の一任資産一致管理部61)と、
前記一致の状態を前提として、前記N個の運用サービス毎に、夫々対応付けられた前記バーチャル口座を用いたトランザクションの処理を実行することで、前記N個のバーチャル口座を管理する個別単位管理手段(例えば、図8の個別管理部62)と、
を有することができる。
【0180】
さらに、前記個別単位管理手段は、
前記N個の運用サービスのうち所定運用サービスについての前記トランザクションの処理として、前記エンドユーザの操作に基づくトランザクションの処理を実行するエンドユーザトランザクション実行手段(例えば、図8のエンドユーザトランザクション実行部71)と、
所定運用サービスについての前記トランザクションの処理として、前記バックオフィスシステムで発生した前記トランザクションのうち前記所定運用サービスに係るトランザクションの処理を実行するバックオフィス発生トランザクション実行手段(例えば、図8のバックオフィス発生トランザクション実行部72)と、
を含むことができる。
【0181】
また、本発明が適用される情報処理装置(例えば、図22のサービス提供者サーバ1)は、
自身の資産を用いてN個(Nは、1以上の整数値)の運用サービスの提供を受けるエンドユーザにより管理されるエンドユーザ装置(例えば、図21のエンドユーザ端末4)と、
前記エンドユーザの資産を所定の管理単位で管理する資産管理者により管理される資産管理者装置(例えば、図21の個社バックオフィスシステム2)と、
前記エンドユーザと契約をすることにより、前記N個の運用サービスのうち少なくとも一部の運用を行うM(Mは、1以上の整数値)の運用者の夫々により管理される前記Mの運用者装置(例えば、図21の投資運用業者端末5)と、
夫々通信をする情報処理装置であって、
前記エンドユーザについて、前記管理単位の枠内で運営される前記N個の運用サービスの夫々に対して、前記情報処理装置内における前記管理単位が前記N個に区分された結果得られる前記N個の個別単位の夫々を対応付けて、当該N個の当該個別単位を管理する処理を実行する個別単位管理手段(例えば、図22のバーチャル口座管理部51)を備え、
前記個別単位管理手段は、
所定運用サービスについての前記エンドユーザと前記運用管理者との前記契約の状態を示す契約状態データを含む当該所定運用サービスに紐づくデータを運用サービスデータとして、当該運用サービスデータと、当該所定運用サービスを識別可能な運用サービス識別子と、当該所定運用サービスに対応付けられた前記個別単位とを紐付けて、前記N個の運用サービス毎に管理する運用サービス管理手段(例えば、図22の運用サービス管理部66)と、
前記所定運用サービスの前記契約の締結時、契約中、又は解約時における、前記エンドユーザ又は前記運用者が利用するユーザインタフェースを、前記エンドユーザ装置又は前記運用者装置に対して提供するユーザインタフェース手段(例えば、図22のユーザインタフェース制御部63)と、
を含み、
前記個別単位管理手段は、前記エンドユーザ又は前記運用者の前記ユーザインタフェースを用いた前記所定運用サービスに対する操作に基づいて、当該所定運用サービス識別子に対応付けられた前記個別単位において、前記運用サービスデータを用いた処理を実行すれば足りる。
【0182】
これにより、バンドリングのハードルが解消され、複数の投資運用業者Tによる任意の数の運用サービスの提供が可能な状態となる。
【0183】
さらに、
前記個別単位管理手段は、
前記N個の運用サービスのうち、所定運用管理者が前記エンドユーザと前記契約を締結した1以上の運用サービスの夫々の前記運用サービス識別子と、当該所定運用者を識別可能な運用者識別子との対応付けを、前記Mの運用者毎に管理する運用者管理手段(例えば、図22の投資運用業者管理部67)と、
前記Mの運用者のうち前記所定運用者から前記ユーザインタフェースを用いた操作があった合、当該所定運用者の前記運用者識別子と対応付けられた1以上の前記運用サービス識別子の夫々により識別される前記1以上の運用サービスデータへのアクセスを許可するアクセス制御手段(例えば、図22のアクセス制御部64)と、
をさらに含み、
前記個別単位管理手段は、アクセスが許可された前記運用サービスデータを用いた処理を実行する、
ことができる。
【0184】
さらに、
前記個別単位管理手段は、
前記エンドユーザに紐づくデータをエンドユーザデータとして管理するエンドユーザ管理手段(例えば、図22のエンドユーザ管理部65)、
をさらに備え、
前記アクセス制御手段は、
前記Mの運用者のうち前記所定運用者から前記ユーザインタフェースを用いた操作があった場合、前記所定運用者が運用する前記Mの前記運用サービスの中に、前記エンドユーザと前記契約を締結した状態のものがあるか否かを判定し、あると判定したときには前記エンドユーザデータへのアクセスを許可する一方、ないと判定したときには前記エンドユーザデータへのアクセスを禁止する、
ことができる。
【0185】
さらに、
P(Pは1以上の整数値)の前記資産運用者毎に、夫々専用の前記個別単位管理手段を備え、
所定運用者の前記運用者装置からアクセスの依頼があった場合に、当該所定運用者と紐づけられた1以上の前記資産管理者の夫々の専用の前記個別単位管理手段と、当該所定運用者の前記運用者装置との接続を行う接続手段(例えば、図31のプロキシ部52)
をさらに備えることができる。
【符号の説明】
【0186】
1・・・サービス提供者サーバ、2・・・個社バックオフィスシステム、3・・・個社運用サーバ、4・・・エンドユーザ端末、5・・・投資運用業者端末、11・・・CPU、20・・・ドライブ、31・・・リムーバブルメディア、51,51A,51B,51C,51n・・・バーチャル口座管理部、52・・・プロキシ部、61・・・一任資産一致管理部、62・・・個別管理部、63・・・ユーザインタフェース制御部、64・・・アクセス制御部、65・・・エンドユーザ管理部、66・・・運用サービス管理部、67・・・投資運用業者管理部、71・・・エンドユーザトランザクション実行部、72・・・バックオフィス発生トランザクション実行部、73・・・自身生成トランザクション実行部、81・・・エンドユーザDB、82・・・運用サービスDB、83・・・投資運用業者DB
図1
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図3
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