IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハイドロ−ケベックの特許一覧

特開2022-44635金属めっきベースの電気エネルギー貯蔵セル
<>
  • 特開-金属めっきベースの電気エネルギー貯蔵セル 図1
  • 特開-金属めっきベースの電気エネルギー貯蔵セル 図2
  • 特開-金属めっきベースの電気エネルギー貯蔵セル 図3
  • 特開-金属めっきベースの電気エネルギー貯蔵セル 図4
  • 特開-金属めっきベースの電気エネルギー貯蔵セル 図5
  • 特開-金属めっきベースの電気エネルギー貯蔵セル 図6
  • 特開-金属めっきベースの電気エネルギー貯蔵セル 図7
  • 特開-金属めっきベースの電気エネルギー貯蔵セル 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044635
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】金属めっきベースの電気エネルギー貯蔵セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20220310BHJP
   H01M 4/40 20060101ALI20220310BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20220310BHJP
   H01M 6/18 20060101ALI20220310BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20220310BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20220310BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20220310BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20220310BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20220310BHJP
   H01B 1/08 20060101ALI20220310BHJP
   H01B 1/10 20060101ALI20220310BHJP
   H01G 11/56 20130101ALN20220310BHJP
   H01G 11/68 20130101ALN20220310BHJP
   H01G 11/30 20130101ALN20220310BHJP
   H01G 11/50 20130101ALN20220310BHJP
   H01G 11/02 20130101ALN20220310BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M4/40
H01M4/66 A
H01M6/18 A
H01M10/0562
H01M10/054
H01M4/134
H01M4/62 Z
H01B1/06 A
H01B1/08
H01B1/10
H01G11/56
H01G11/68
H01G11/30
H01G11/50
H01G11/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022001620
(22)【出願日】2022-01-07
(62)【分割の表示】P 2019500655の分割
【原出願日】2017-07-10
(31)【優先権主張番号】62/360,853
(32)【優先日】2016-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513138072
【氏名又は名称】ハイドロ-ケベック
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ビー. グッドイナフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー マーチソン
(72)【発明者】
【氏名】マリア エレナ スーザ ソアレス デ オリヴェイラ ブラガ
(57)【要約】
【課題】電池を含む電気化学的貯蔵セルを提供すること
【解決手段】 本開示は、電池を含む電気化学的貯蔵セルを提供する。前記電池は、アノードフェルミエネルギーを有するアルカリ金属アノードと、一般式A3-xOX(式中、0≦x≦1であり、Aはアルカリ金属であり、Xは少なくとも1つのハロゲン化物である)を有する、アルカリ金属を伝導できる電子絶縁性の非晶質乾燥固体電解質と、アノードフェルミエネルギーよりも低いカソードフェルミエネルギーを有するカソード集電体を含むカソードとを含む。電気化学的貯蔵セルの動作中、アルカリ金属を、固体電解質からアルカリ金属アノード上にデンドライトを含まずにめっきする。また、電気化学的貯蔵セルの動作中に、アルカリ金属をカソード集電体上にさらにめっきする。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、電気化学的貯蔵セル、および特に、電池、例えば再充電可能な電池、または組み合わせられた電池/スーパーキャパシタを含むことができる金属めっきベースの電気化学エネルギー貯蔵セルに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
電池
電池は、本明細書で使用される場合、電解質によって分離されている2つの電極、アノードおよびカソードを有するセルを指す。セルは、電気化学セルであり得る。電極における材料は、電子的および化学的の両方で活性であり得る。アノードは化学的還元体であり得、カソードは化学的酸化体であり得る。したがって、アノードおよびカソードの両方が、電池の「作動イオン」と称されるイオン、典型的には同じイオンを獲得および損失することが可能であり得る。電解質は、電子的に受動的でありながら、化学的に活性であり得る。電解質の化学的活性は、典型的には作動イオンであるイオンを獲得および損失する能力によって表される。電解質は一般に、電子絶縁体であり、電池内の電子の移動を促進し得ない。
【0003】
電池は、電子およびイオン性構成成分を有する2つの電極間の化学反応を介して動作することができ、それゆえに「電気化学反応」と呼ばれる。電解質は、セルの内側で作動イオンを伝導し、電子絶縁体として、反応に関与する電子が外部回路を通過することを可能にする。
【0004】
液体またはポリマーの電解質が電池に使用される場合、2つの電極と接触している電子絶縁体のままであるセパレータは、2つの電極がセルの内側で互いに電子的に接触するのを避けるために使用することができる。セパレータは、液体またはポリマーの電解質が通り抜けることで、2つの電極間のイオン伝導を可能にすることができる。一部の電池実装において、固体電解質は、セパレータとして使用することができる。固体電解質は、単独で、または一方もしくは両方の電極に接触している液体もしくはポリマーの電解質とともに使用することができる。固体電解質は、セパレータとして機能することもでき、その結果、別個のセパレータが必要とされない。
【0005】
電池は、しばしば、作動イオンにちなんで名付けられる。例えば、リチウムイオン(Li)は、リチウムイオン(Liイオン)電池における作動イオンである。ナトリウムイオン(Na)は、ナトリウムイオン(Naイオン)電池における作動イオンである。Liイオン電池は、電子装置、動力工具および電気車両において共通して使用されている。Liイオン電池は、放電状態で組み立てられることで、高電圧カソード、および金属リチウムを含まないアノードの調製を可能にする一方で、可燃性有機液体電解質が使用され得る。Liイオン電池における漸進的な改善は、複合電極形態の製作によって得られてきたが、炭素アノードは、制限容量を有し、そして過剰に高い充電速度の下、金属リチウムによってめっきされてもよい。加えて、酸素は、セルが過充電される場合、層状酸化物カソードから失われ得る。多くの充放電サイクルにわたって大量のセルを管理することは、大きなマルチセル電池、例えば電気車両において使用されるもののコストを増加させ得る。さらに、他の用途の中でも携帯電池に適用可能である電池の体積容量を増加させる能力は制限されてきた。最終的に、大部分のLiイオン電池にとって適切な有機液体電解質は可燃性であり、特に、電池がデンドライトを形成するまたは電池内のカソードとアノードと
の間の電子的接触を可能にする何らかの方式で損傷を受ける場合、安全リスクを引き起こす。
【0006】
スーパーキャパシタ
スーパーキャパシタは、電極-電解質界面での電子二重層の静電容量を利用し、ここで、正電荷および負電荷は、原子寸法によってのみ分離される。さらに、電解質が、電気双極子の存在の結果として大きい誘電率を有する場合、静電容量は、なおさらに増加し得る。スーパーキャパシタは、スーパーキャパシタが電気エネルギー貯蔵のファラデー構成成分を含有することができる場合でも、化学エネルギーとしてよりもむしろ静電荷として電力を貯蔵する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本開示は、電池を含む電気化学的貯蔵セルを提供する。電池は、アノードフェルミエネルギーを有するアルカリ金属アノードと、一般式A3-xOX(式中、0≦x≦1であり、Aはアルカリ金属であり、Xは少なくとも1つのハロゲン化物である)を有する、アルカリ金属を伝導できる電子絶縁性の非晶質乾燥固体電解質と、アノードフェルミエネルギーよりも低いカソードフェルミエネルギーを有するカソード集電体とを含むカソードを含む。電気化学的貯蔵セルの動作中、アルカリ金属を、固体電解質からアルカリ金属アノード上にデンドライトを含まずにめっきする。また、電気化学的貯蔵セルの動作中に、アルカリ金属を、カソード集電体上にさらにめっきする。
【0008】
電気化学的貯蔵セルは、明らかに相互排他的でない限り互いに組み合わせることができる下記の追加の特色の1つまたは複数を有することもできる:a-i)アルカリ金属はリチウム(Li)である;a-ii)アルカリ金属はナトリウム(Na)である;b)固体電解質は、酸化物、水酸化物および硫化物のうちの少なくとも1つを含むガラス形成添加剤をさらに含む;c)固体電解質は、酸化物、水酸化物および硫化物のうちの少なくとも2つを含むガラス形成添加剤をさらに含む;d)固体電解質は、Ba(OH)、Sr(OH)、Ca(OH)、Mg(OH)、Al(OH)、またはBaO、SrO、CaO、MgO、Al、B、Al、SiO、S、およびLiSのうちの少なくとも1つを含むガラス形成添加剤をさらに含む;e)固体電解質は、Ba(OH)、Sr(OH)、Ca(OH)、Mg(OH)、Al(OH)、またはBaO、SrO、CaO、MgO、Al、B、Al、SiO、S、およびLiSのうちの少なくとも2つを含むガラス形成添加剤をさらに含む;f)固体電解質は、2モルパーセント未満のガラス形成添加剤をさらに含む;g)固体電解質により、電池は、化学的および静電気的の両方で電力を貯蔵するように動作可能である;h)カソード集電体は、電池の文脈外で、アルカリ金属によって通常湿潤されない;i)カソード集電体は、銅(Cu)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)もしくは金(Au)の金属、またはその合金を含む;j)カソードは、カソード集電体上でのアルカリ金属めっきを補助する炭素を含む;k)カソードは、固体電解質に隣接するカソード集電体表面上に金膜を含む;l)カソードは、固体電解質に隣接するカソード集電体表面上に酸化物膜を含む;m)電池は、触媒レドックス-中心-リレー材料をさらに含み、電気化学的貯蔵セルの動作中、アルカリ金属を、触媒レドックス-中心-リレー材料の補助によりカソード集電体上にめっきするように、さらに動作可能である;n-i)触媒レドックス-中心-リレー材料は硫黄を含む;n-ii)触媒レドックス-中心-リレー材料はフェロセンを含む;n-iii)触媒レドックス-中心-リレー材料はケイ素を含む;n-iv)触媒レドックス-中心-リレー材料は硫化物を含む;n-v)触媒レドックス-中心-リレー材料は酸化物を含む;o)開回路電圧で、アルカリ金属のイオンを、固体電解質からアノード上にめっきすることで電池を自己充電する;p-i)電池は一次電池である;p-ii)電池は二次電池で
ある;q)電気化学的貯蔵セルは、スーパーキャパシタをさらに含む;r)電池は、内部電池抵抗Rb,disを有し、その結果、抵抗Rを有する電子装置に接続された場合に、損失Idis=R+Rb,disが、熱によって外部供給されるエネルギー未満であり、それによって連続Idisを作り出す。
【0009】
本開示は、例えば自己充電するために、または特に連続Idisを介して電子装置に給電するために、上記の電気化学的貯蔵セルのいずれかを使用する方法をさらに含む。
【0010】
本実施形態およびその利点のより完全な理解は、本開示の実施形態に関する添付の図面と併用される以下の記載を参照することによって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、触媒レドックス-中心-リレー電池の模式図である。
【0012】
図2図2は、エネルギーギャップEg=LUMO-HOMO、または最低非占有分子軌道(LUMO)-最高占有分子軌道(HOMO)を有する電解質エネルギーウィンドウを用いる、安定した電池のエネルギープロファイルの模式図である。
【0013】
図3図3は、硫黄(S)リレーを含有するLi/Liガラス/Cuセルの形態のLi/Sセルの放電電圧対容量のプロットである。
【0014】
図4図4は、リチウムアノードの容量と比較した図3のLi/Sセルの放電電圧対容量のプロットである。
【0015】
図5図5は、多数回のサイクルにわたって10時間の充電、2時間の停止、10時間の放電、2時間の停止の放電/充電サイクルを用いた場合の、図3のLi/Sセルにおける電力貯蔵の貯蔵効率およびクーロン効率のプロットである。
【0016】
図6図6は、銅集電体上にナトリウムをめっきするためのレドックス中心としてフェロセン分子を有するNa/Naガラス/Cuセルにおける電力貯蔵の貯蔵効率およびクーロン効率のプロットである。
【0017】
図7図7は、セルが自己充電されるLi/Sセルの時間と対比した充電/放電電圧プロファイルのプロットである。
【0018】
図8図8は、アルミニウムアノード上に金属リチウムをめっきすることによる、開回路における連続的自己充電での電力貯蔵のクーロン効率の100%を超える値への増加(挿入図)を示す、Al/Liガラス/Cuセルの充電/放電電圧プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本開示は、金属めっきベースの電気エネルギー貯蔵セルに関する。セルは、電池、特に再充電可能な電池、ならびに電池およびスーパーキャパシタの様々な組合せを含むことができる。より具体的には、本開示は、充電中のアノード集電体上にめっきされた金属のカチオンが電解質によって供給される全固体状態の再充電可能なセルを記載する。本開示による電池は、多数回のサイクルにわたって、高い充電速度および長い動作寿命とともに高いエネルギー貯蔵容量を有することができる。本開示によるスーパーキャパシタは、最適化されたまたは増加した体積貯蔵エネルギー密度を有することができる。
【0020】
本開示による電池およびスーパーキャパシタは、互いに平行に配向された電気双極子を
含有する固体電解質を含有することができ、電極または集電体が電気化学電位において大きなエネルギー差を有する場合、ファラデーおよび容量性電気エネルギー貯蔵の直列接続を組み込む電池セルは、増強されたエネルギー密度を呈することができる。炭素電極および層状酸化物カソードを有するとともに充電および放電の速度および程度において制限される伝統的なLiイオン電池とは異なり、本開示は、高い体積エネルギー密度、充電および放電の速い速度、ならびに長いサイクル寿命を提供することができる安全な全固体状態の電池またはスーパーキャパシタセルを提供する。
【0021】
本開示は、充電中にアノード集電体上にめっきされた金属のカチオンが電解質によって供給される全固体状態の再充電可能なセルを記載する。
【0022】
二次(再充電可能な)セルにおいて、カソード集電体上のアルカリ金属は、アノードデンドライトが形成することなくアノード上にめっきされて戻る。アノードデンドライトは、アルカリ金属が固体電解質表面を湿潤させると防止することができ、アノードには不動態化固体電解質相間(SEI)層がなく、その結果、固体電解質は、アノードのフェルミエネルギーであるμを上回るエネルギーで最低非占有分子軌道(LUMO)を有する。本明細書において開示されている通り、こうした固体電解質は、セルが安全であることを可能にすることができ、セル内の電気エネルギー貯蔵の効率は、長いサイクル寿命と共に100%に達し得る。
【0023】
本明細書において開示されている電池セルにおける化学エネルギーとしての電気エネルギーの貯蔵は、スーパーキャパシタの場合と同様に、静電エネルギーとしての電気エネルギーの貯蔵によって補充することができる。静電エネルギーは、電極-電解質界面での電気二重層の形成によって提供され得る。さらに、貯蔵される静電エネルギーの量は、電解質が電気双極子を含有する場合、特に、電気双極子が互いに平行に配向される場合、さらに増加し得る。本明細書において開示されているセルに貯蔵される静電エネルギーの充電および放電の速度は、高効率で相対的に高くてもよい。
【0024】
本開示の電気化学セル、例えば電池セルにおいて、固体電解質由来の金属がめっきされてもよい。めっきされた金属は、作動イオンの金属形態であってよい。例えば、金属は、アルカリ金属、例えばリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、またはカリウム(K)、またはマグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)であってよい。金属は、有益にはカソード集電体、例えば銅(Cu)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)もしくは金(Au)の金属、またはその合金のカソード集電体上にめっきされる。めっきは、デンドライトまたはエネルギー貯蔵セル性能に有害な他の金属構造が形成することなく行われ得る。
【0025】
図1は、カソード20、アノード30および電解質40を含む触媒レドックス-中心-リレー電池10の模式図である。電池10は、貯蔵されたエネルギーを放電の際に使用する負荷装置、または電池10が再充電可能である場合、充電の際に貯蔵されるべきエネルギーを提供する電源を含むことができる外部回路50に接続されてもよい。
【0026】
アノード30は、作動イオンを含むことができる集電体を含むことができる。集電体は単純に、作動イオンの金属であってよい。一部の例において、集電体は、作動イオンの金属と別の金属との合金であってよい。アノード30は、実質的に集電体と同じであってよい。一部の実施形態では、アノード30は、集電体以外の他のまたは異なる材料を含むことができる。
【0027】
電解質40は、単独でまたは液体もしくはポリマーの電解質と組み合わせて使用することができる固体電解質であってよい。したがって、電解質40は、アノード30における組成に対して、カソード20において同じまたは異なる組成を有することができる。固体
電解質は、有機液体電解質のイオン伝導度に匹敵するイオン伝導度、および互いに平行に配向され得る固体電解質における電気双極子と関連した大きい誘電率を有することができる。
【0028】
特に、固体電解質は、水溶媒和することができるとともに一価のカチオン、例えばLi、NaもしくはH、またはその混合物を伝導することができる、ガラスまたは非晶質固体であってよい。固体電解質は、電子絶縁体であってよい。固体電解質がLi、Na、またはその混合物を伝導する場合、固体電解質は乾燥されていてもよい。固体電解質がHを伝導する場合、固体電解質は乾燥されていなくてもよい。こうした電解質は、参照により本明細書にその全体が組み込まれるPCT/US2016/036661において詳細に記載されている。
【0029】
Li、Na、またはその混合物を伝導する乾燥水溶媒和ガラス/非晶質固体は、ガラス/非晶質固体の水溶媒和限界に等しいかまたはそれより少ない量の水を添加することによって、結晶性ナトリウムイオン(Na)または結晶性リチウムイオン(Li)電子絶縁体(または、水溶媒和ガラス/非晶質NaまたはLiイオン伝導性固体になる、酸素(O)、水酸化物(OH)にもしくは少なくとも1つのハロゲン化物に結合している少なくとも1つのNaまたはLiを含む、その構成要素前駆体)を転換することによって形成されてもよい。ガラス形成酸化物、硫化物または水酸化物も添加することができ、結果として得られた材料は加熱されることで、揮発性構成要素を放出することができる。結晶性電子絶縁体またはその構成要素前駆体は、一般式A3-xOXを有する材料を含むことができ、式中、0≦x≦1であり、Aは少なくとも1つのアルカリ金属であり、Xは少なくとも1つのハロゲン化物である。それは、酸化物、水酸化物および硫化物のうちの少なくとも1つまたは少なくとも2つを含むガラス形成添加剤を含むこともできる。ガラス形成添加剤は、Ba(OH)、Sr(OH)、Ca(OH)、Mg(OH)、Al(OH)、またはBaO、SrO、CaO、MgO、Al、B、Al、SiO、SおよびLiSのうちの少なくとも1つまたは少なくとも2つを含むことができる。乾燥水溶媒和ガラス/非晶質固体は、2モルパーセント未満のガラス形成添加剤を含むことができる。ガラス形成添加剤は、水溶媒和ガラス/非晶質固体のガラス転移温度Tを調整することができる。ハロゲン化物は、塩素(Cl)、臭素(Br)もしくはヨウ素(I)、またはその組合せを含むことができる。ハロゲン化物の少なくとも一部は、ハロゲン化水素ガスとして水溶媒和ガラス/非晶質固体を出ることができる。水酸化物は、ガス状HOとして水溶媒和ガラス/非晶質固体を出るHOを形成するように反応することができる。
【0030】
伝導性水溶媒和電解質は、カチオンに配位することでポリアニオンを形成する水酸化物(OH)アニオンに水が解離する一方で酸性酸化物およびポリアニオンの枠組みの中で可動性であるプロトン(H)にも水が解離することができるように、結晶性物質において溶媒和限界に等しいまたはそれより少ない量の水を添加することによって、少なくとも1つの酸性ポリアニオンに結合している少なくとも1つのアルカリまたはアルカリ土類カチオンを含む結晶性物質をガラス/非晶質固体に転換することによって形成されてもよい。酸性ポリアニオンは、(SO2-もしくは(PO3-または両方を含むことができる。
【0031】
伝導性水溶媒和ガラス/非晶質固体は、結晶性電子絶縁体の水溶媒和限界に等しいまたはそれより少ない量の水を添加することによって、少なくとも1つの酸性ポリアニオンおよび少なくとも1つのカチオンを含む結晶性電子絶縁体を水溶媒和ガラス/非晶質プロトン(H)伝導性固体に転換することによって形成されてもよい。カチオン(複数可)は、安定な水酸化物ポリアニオン(複数可)の形態で安定化されてもよい。酸性ポリアニオンは、リン酸(PO3-ポリアニオンもしくは硫酸(SO2-ポリアニオン
もしくは(SiO4-ポリアニオン、またはその組合せを含むことができる。カチオンは、バリウム(Ba2+)イオン、カリウム(K)イオン、ルビジウム(Rb)イオンもしくはセシウム(Cs)イオンまたはその組合せを含むことができる。安定な水酸化物ポリアニオンは、(Ba(OH)2-x、(K(OH)1-x、(Rb(OH)1-xもしくは(Cs(OH)1-xまたはその組合せを含むことができる。
【0032】
カソード20は、カソード集電体70を含む。カソード20は、カソード集電体70と電子的に接触している触媒レドックス-中心-リレー60も含む。触媒レドックス-中心-リレー60は、カソード集電体70を覆うコーティングまたは層であってよい。触媒レドックス-中心-リレー60によって、作動イオンがカソード集電体70上にめっきされるようにすることができる。触媒レドックス-中心-リレー60は、硫黄(S)などの元素、フェロセン(Fe(C)などの分子、またはリン酸鉄リチウム(LiFePO、式中、0≦x≦1である)などの可変化合物を含むことができる。
【0033】
カソード20は、集電体上に炭素などの表面伝導性膜(図示せず)をさらに含むことができる。
【0034】
カソード20、アノード30および電解質40における使用のための適当な材料は、電池および材料の電気および化学エネルギー特性に基づいて選択することができる。全体的に、組合せにおける材料の特性は、作動イオンが、カソード集電体70上にまたは、存在する場合に、カソード集電体70の表面を覆う伝導性膜上にめっきされることを可能にするような特性である。ある特定の分子(複数可)、膜、または添加粒子であり得る触媒-中心-リレー60は、存在する場合に、金属めっきをさらに容易にすることができる。
【0035】
放電の際、電池は、電流Idisを電圧Vdisで送ることで、2つの電極間の化学反応を完了するのにかかる時間Δtdisの間、電力Pdis(Pdis=Idisdis)を提供する。定電流Idis=dq/dt(q=充電の状態)で電力Pdisとして送られる化学エネルギーのセル密度は、
【数1】
によって与えられ、式中、Q(Idis)はセル容量である。開回路電圧Vocは、
oc=(μ-μ)/e (4)
によって与えられ、これは、アノードおよびカソードでの電気化学電位μとμとの間の差を電子電荷eの大きさeで除したである。セルの内側のオーム損失ηdis(I)は、
ηdis(I)=Idisb,dis (5)
によって与えられ、式中、Rb,disは、放電の際、セルの内側のセル化学反応のイオン性構成成分の移動に対する総内部抵抗である。電解質によって移動されたカチオンは、セルの作動イオンであり、R=Rct+Rは、電極/電解質界面を横切る作動カチオン(またはその前駆体)の電荷移動に対する抵抗Rctと、電解質における作動カチオンの可動性に対する抵抗Rとに相当する。
【0036】
一次電池セルの化学反応は可逆的でなく、二次電池セルの化学反応は、充電電力Pch=Ichch(ここで、
ch=Voc+ηch(I) (6)
およびηch=Ichb,ch)の適用により可逆的である。
【0037】
二次(再充電可能な)電池セルにおける電気エネルギー貯蔵の効率は、Pdis/Pchである。二次電池の一方または両方の電極での不可逆的化学反応は、連続的充電/放電サイクル数(n+1)およびnのときのセル容量Q(I)の損失を導入する。クーロン効率Q(I)n+1/Q(I)は、ΔEdisがその初期値の80%に低減される前に二次電池セルのサイクル寿命を決定する。
【0038】
電池の内側のイオン伝導度は、外部回路における電子伝導度よりも何桁も小さいので、電池セルは一般に、電極-電解質接触部分の表面積が大きいアノード/薄電解質/カソードセルとして製作され、ここで各電極は、電極から外部回路へまたは外部回路から電極へ電子を送るために金属集電体にも接触する。セルの両電極は充電および放電中に体積を変化させ、片側の電極および集電体と他方側の電極および電解質との間の強い界面の保持は、化学反応を維持することと関連する。体積制約は、電気道路車両に給電する電池にとっての性能指数である電極体積容量Q(I)を制限する場合があり、ここで電極は小粒子からなり、作動イオンが可逆的に挿入されもしくは合金にされて、または変換反応を経て、前記小粒子になる。
【0039】
電池セルの電解質は、液体、ポリマー、ガラス、セラミック、またはその複合体組合せであってよい。数千の充電/放電サイクルにわたって電極または他の電解質との良好な界面を保持する機械的に頑強な可撓性電解質の構築が望ましい。その構築は、ポリマーまたは液体電解質を用いるよりも、固体電極に接触するガラスまたはセラミックの固体電解質を用いるほうが困難であり得る。ガラスまたはセラミック電解質の複合体は、可撓性ポリマーを用いて作製することができ、それは頑強な可撓性複合体をもたらす。電極が、めっきされ、剥がされる金属である場合、または電極が金属集電体である場合、めっきが強い界面結合を伴うことができるとともに界面に対して垂直の寸法だけを変化させるので、固体-固体接触部分は多くの充電/放電サイクルにわたって安定であり得る。電極が、作動イオンと合金になるか、それによって変換されるか、またはそれによって挿入されるかのいずれかである固体粒子である場合、体積変化は3次元的であり得、固体粒子は、優先的に液体またはポリマーの電解質であってよい。リレーまたは電極が可溶性レドックス分子である場合、レドックス分子は、使用される溶媒中でカソード集電体に接触してもよい。
【0040】
伝統的な電池は、Hイオンを伝導する水性電解質を使用してもよく、水の水素発生反応と酸素発生反応との間のエネルギーギャップは1.23eVであり、これは、水性電解質の安定な貯蔵寿命を放電電圧V(q)≦1.5Vに制限し得る。
【0041】
Liイオン、NaイオンまたはKイオンを伝導する有機液体電解質は、長いサイクル寿命と共に安定な放電電圧V(q)≦3.0Vを有することができる。より高いV(q)を有する有機液体電解質電池は、電極-電解質反応を不動態化するために二次電池セルの一方または両方の電極の表面上での不動態化固体電解質相間(SEI)層の形成を必要とし、ここで、μ>LUMOかつ/またはμ<HOMOである。電解質のLUMOおよびHOMOは、それぞれ、電解質の最低非占有分子軌道および最高占有分子軌道である。エネルギーギャップE=LUMO-HOMOは、電解質のエネルギーウィンドウと称される。
【0042】
図2は、エネルギーギャップEg=LUMO-HOMOを有する電解質エネルギーウィンドウを用いる、安定した電池のエネルギープロファイルの模式図を示す。アノードのフェルミエネルギーはμ<LUMOであり、カソードのフェルミエネルギーはμ>HOMOである。不動態化SEI層が電極表面に提供されていない限り、フェルミエネルギー
μ>LUMOは電解質を還元し、フェルミエネルギーμ<HOMOはカソードを酸化する。
【0043】
図2に例示されている通り、μ>LUMOであるアノードは電解質を還元することがあり、μ<HOMOであるカソードは電解質を酸化することがある。しかしながら、固体電解質(ポリマー、ガラス、セラミック、またはこれらの組合せ)は、アルカリ金属アノードのμよりも高いエネルギーのLUMOおよび高電圧カソードμよりも低いエネルギーのHOMOの場合に大きなEを有することで、電極-電解質界面で任意の不動態化SEIを用いることなく高電圧の安全な電池セルを提供することができる。
【0044】
しかしながら、セラミック電解質を用いて電極-電解質界面を達成するのが難しいので、アルカリ金属アノードを有する従来の全固体状態の電池は、制限された容量、充電/放電の速度、およびサイクル寿命を有する。カソードが、サイクル中の不十分な電子伝導度および大きな体積変化を軽減するために小粒子からなる場合、カソード側の界面を達成することは特に難しい可能性がある。セラミック固体電解質における作動イオンの伝導度は、非常に低い可能性があるので、極めて薄い電解質が使用されてきた。ポリマー固体電解質は、大規模電池用途のための有機液体電解質を有するセルと競合的である全固体状態の電池セルを得るには、室温での作動イオン伝導度が低すぎる場合がある。
【0045】
本開示は、アルカリ金属アノード、またはアルカリ金属によってめっきされ得る金属アノード集電体を接触させる固体電解質を含む安全な電池セルを提供する。固体電解質は、アルカリ金属によって湿潤され、LUMO>μを有する。アルカリ金属は、フェルミエネルギーμcc<μであるカソード集電体上、またはμcc<μ<μである電気化学電位μを有する集電体上の表面伝導性膜、例えば炭素上のいずれかにめっきされ得る。任意選択で、レドックスμoxを有する触媒リレーは、μcc<μox<μである場合に使用することができる。触媒リレー(分子、膜、粒子)は、集電体と電子的に接触することができ、放電電圧でカソードとしてめっきするために集電体(表面膜を有する/有しない)に作動イオンをリレーする前にセルで作動イオンを還元することができる。触媒リレーは、表面膜が集電体に存在してもしなくても使用することができる。
【数2】
eは、電子電荷の大きさである。
【0046】
アルカリ金属アノードは、アルカリ金属によって湿潤された表面を有する液体、ポリマー、セラミック、またはガラス/非晶質電解質を用いて、デンドライトが形成することなく、可逆的にめっきされても剥がされてもよい。ガラス/非晶質LiまたはNa固体電解質(LiガラスまたはNaガラス)は、有機液体電解質の作動カチオン伝導度に匹敵する作動カチオン伝導度を有することができる。ガラス/非晶質固体電解質は、アルカリ金属アノードによって湿潤されてよく、大きい誘電率を提供するために互いに平行に配向され得る高濃度の電気双極子を含有してもよい。LiガラスおよびNaガラスの電解質は、図3~8に関して記載されている本開示の4つの実施形態について実践するために還元されていた。
【0047】
アルカリ金属によって湿潤されていない金属集電体上へのアルカリ金属のめっきは、集電体に達する前に作動カチオンが還元される場合、デンドライトがなくてもよい。カソードめっきのための触媒レドックス-中心リレーは、レドックスエネルギーμox>μcc(ここで、μccは金属集電体の電気化学電位(フェルミエネルギー)である)である場合、電池放電中のアノードからのまたはスーパーキャパシタ放電中の集電体からの電子は、レドックスリレー中心を介して作動カチオンに進むことができる。めっき電池/スーパ
ーキャパシタセルによって実現することができる開回路電圧は、
oc=(μ-μox)/e (8)
以下によって与えられる。
【0048】
レドックス-リレーが、集電体上にアルカリ金属をめっきするために必要とされる場合、開回路電圧は、
oc=(μ-μcc)/e (9)
によって与えられる。
【0049】
レドックス-中心リレーが必要とされない場合、eは電子電荷の大きさである。そのため、セル開回路電圧Vocを最適化するために、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、金(Au)、または代替として金属化合物、例えば遷移金属の酸化物または硫化物など、低エネルギーμccを有する金属集電体が選択され得る。
【0050】
本明細書において開示されている金属めっき電池/スーパーキャパシタセルは、化学エネルギーとして電気エネルギー貯蔵の高い容量、ならびに長いサイクル寿命および100%に達する貯蔵効率を有する極めて高い速度の静電エネルギー貯蔵の十分な容量を有する安全な高電圧電池セルを提供することができる。開示されている金属めっき電池/スーパーキャパシタセルは、LiガラスまたはNaガラスの電解質を有する全固体状態のめっき電池/スーパーキャパシタセルである。本明細書において開示されている金属めっき電池/スーパーキャパシタセルは、金属集電体と電子的に接触する触媒レドックス-中心-リレーの補助により、該金属集電体上にデンドライトが形成しない電池セルを提供することができる。本明細書において開示されている金属めっき電池/スーパーキャパシタセルは、セルの作動カチオンを還元するとともにめっきするためのカソード集電体に作動カチオンをリレーすることで一次電池セルを提供する触媒レドックス中心を任意選択で使用して、アノードの電気化学電位(フェルミエネルギー)よりも低い電気化学電位(フェルミエネルギー)のカソード集電体上にアノード金属をめっきすることによって放電されるアルカリ金属アノードにおける化学エネルギーとして電力を貯蔵する新規めっき電池セルを提供することができ、アルカリ金属が、充電の際にアノードに戻されることで二次電池セルを提供することができる。本明細書において開示されている金属めっき電池/スーパーキャパシタセルは、金属めっき電池の場合と同様に化学エネルギーとして電気を貯蔵することおよびスーパーキャパシタの場合と同様に静電エネルギーとして電力を貯蔵することを組み合わせる金属めっき電池/スーパーキャパシタセルを提供することができる。本明細書において開示されている金属めっき電池/スーパーキャパシタセルは、異なるフェルミエネルギーのアノードおよびカソード集電体を含むセルを提供することができ、ここで、貯蔵される電力は主に静電エネルギーであるが、アノード集電体上に金属として電解質の作動カチオンをめっきすることによっても貯蔵される。放電の際の負荷抵抗R、および内部電池抵抗Rb,disを用いて、めっきされたアノードの量は、エネルギーIdis(R+Rb,dis)が、セルに加えられた外部熱によって供給される場合、負荷を介して連続的放電電流Idisを得るために固定されたままでよい。セルを並列で有する電池は、適度な温度で持続作業出力Idisを得るのに十分小さいIdisを有することができる。
【0051】
本明細書において開示されている金属めっき電池/スーパーキャパシタセルは、有機液体電解質のイオン伝導度に匹敵するイオン伝導度、および互いに平行に配向され得る電気双極子と関連した大きい誘電率を有する固体電解質を、任意選択で一方または両方の電極に接触する液体またはポリマーとともに使用するめっき電池/スーパーキャパシタセルであり得る。本明細書において開示されている金属めっき電池/スーパーキャパシタセルは、二次めっき電池/スーパーキャパシタセル、高容量の一次めっき電池/スーパーキャパシタセル、またはアノード集電体上にめっきされた金属のカチオンが電解質によって供給
される金属めっき電池に、電気エネルギーの貯蔵を可能にすることができる。
【0052】
本明細書において開示されている金属めっき電池/スーパーキャパシタセルにおいて、セルの放電電流および充電電流は熱によって増大し得、それにより、電解質のイオン抵抗率Rならびに電極-電解質および存在する場合に任意の電解質-電解質界面を横切る電荷移動抵抗は減少する。
【0053】
本明細書において開示されている金属めっき電池/スーパーキャパシタセルにおいて、集電体上でのアルカリ金属のめっきは、めっき電池セルのカソードにおいて集電体が銅である場合に提供される(図3~6)。
【0054】
図3は、硫黄(S)リレーを含有するLi/Liガラス/Cuセルの形態のLi/Sセルの放電電圧対容量のプロットを示す。図3において、容量が、全てのSをLiSに還元する容量と比較して示されることで、初代セルとして作用するセルの容量が、SリレーをLiSに還元するよりもむしろアノードリチウムをカソード上にめっきするための容量であることを示す。
【0055】
図4は、硫黄リレーの補助によるカソード集電体上へのアノードのリチウムの最大90%までのめっきを示すために、リチウムアノードの容量と比較した図3のLi/Sセルの放電電圧対容量のプロットを示す。
【0056】
図5は、多数回のサイクルにわたって10時間の充電、2時間の停止、10時間の放電、2時間の停止の放電/充電サイクルを用いた場合の、図3のLi/Sセルにおける電力貯蔵の貯蔵効率およびクーロン効率のプロットを示す。図5におけるデータ収集が1000時間後に進行中であることが留意される。
【0057】
図6は、銅集電体上にナトリウムをめっきするためのレドックス中心としてフェロセン分子を有するNa/Naガラス/Cuセルにおける電力貯蔵の貯蔵効率およびクーロン効率のプロットを示す。
【0058】
図7は、セルが自己充電され、その最中に電解質からの一部のLiがアノード上にめっきされるLi/Sセルの時間と対比した充電/放電電圧プロファイルのプロットを示す。Li/Sセルにおいて、アノード上のLiのめっきは、各連続サイクルで貯蔵される静電エネルギーの容量を低減し、そしてそれにより電圧を低減する。自己充電から放電への電圧プロット上のデータポイントは、速い初期電圧変化(ここで、データポイントは獲得することができない)、続いて、電圧変化の測定可能な速度を示す。
【0059】
図8は、アルミニウムアノード上に金属リチウムをめっきすることによる、開回路における連続的自己充電での電力貯蔵のクーロン効率の100%を超える値への増加(挿入図)を示す、Al/Liガラス/Cuセルの充電/放電電圧プロットを示す。
【0060】
本明細書において開示されている金属めっき電池/スーパーキャパシタセルにおいて、リチウムアノード、ガラス/非晶質電解質、銅集電体、および集電体を炭素と接触させる元素硫黄レドックス中心リレーを有する一次めっき電池セルが提供される(図3、5、7および8)。
【0061】
本明細書において開示されている金属めっき電池/スーパーキャパシタセルにおいて、ナトリウムアノード、フェロセンレドックス-中心リレーおよび銅集電体を有する二次めっき電池/スーパーキャパシタが提供され(図6)、製作においてリチウムをアルミニウム集電体に添加していない、アルミニウムアノード集電体および銅カソード集電体を有す
るLiガラスセルが開示されている(図8)。
【0062】
本開示は、アルカリ金属カチオンがレドックス材料上にめっきされるまたは集電体にリレーされる前にアルカリ金属カチオンを還元することができる集電体を接触させるレドックス材料の補助により、アルカリ金属によって通常湿潤されない金属集電体上にデンドライトなしでアルカリ金属をめっきする方法を提供する。
【0063】
本開示は、電解質からアルカリ金属上にデンドライトを含まずにめっきされてよく、そしてレドックス中間材料の補助によりアノードのフェルミエネルギーよりも低いエネルギーのフェルミエネルギーを有するカソード集電体上にめっきされてよいアルカリ金属アノードを使用する、一次または二次のいずれかの金属めっき電池セルも含む。金属めっき電池セルの開示されている実施形態のいずれにおいても、カソード集電体上にめっきすることは、レドックス材料中間物の補助なく行うことができる。金属めっき電池セルは、レドックス中間物として硫黄を使用することができる。金属めっき電池セルは、レドックス中間物としてフェロセンを使用することができる。金属めっき電池セルは、レドックス中間物としてケイ素を使用することができる。金属めっき電池セルは、レドックス中間物として硫化物を使用することができる。金属めっき電池セルは、レドックス中間物として酸化物を使用することができる。金属めっき電池セルは固体ガラスの電解質を使用することができ、電力の化学的および静電気的貯蔵を組み合わせる。金属めっき電池セルは、カソード集電体として金属化合物を使用することができる。金属めっき電池セルは、集電体上の電極のめっきを補助するために集電体上に炭素を使用することができる。金属めっき電池セルは、カソード-コレクタ表面上に金膜を使用することができる。金属めっき電池セルは、カソード集電体上に酸化物膜を使用することができる。金属めっき電池セルは、めっき電池/スーパーキャパシタ二次電池セルにおいて使用され得る。金属めっき電池セルは、めっき電池またはめっき電池/スーパーキャパシタセルにおいて使用され得る。
【0064】
本開示は、カソード集電体のフェルミエネルギーよりも高いフェルミエネルギーのアノード集電体、ならびに充電の際に、アノード上に電解質作動イオンの一部をめっきすることによって静電エネルギーおよび化学エネルギーとして電力を貯蔵する高い誘電率を有する固体LiまたはNaガラス/非晶質電解質を含有する、電気化学も含む。開回路電圧で、アノード上の作動イオンのめっきが自己充電によって進行することで、セル放電の容量を増加させることができる。電気化学セルは、アルミニウムアノードおよび銅カソードを有することができる。電気化学セルにおいて、作動イオンの金属を、アノード集電体に添加することができる。電気化学セルにおいて、カソード集電体は、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、金(Au)、ケイ素、硫化物または酸化物であってよい。電気化学セルにおいて、大きな表面積の電子伝導材料が集電体であることで、静電気帯電を貯蔵するための電極-電解質接触面積を増加させることができる。電気化学セルは、LEDまたは電子装置など外部回路において小さい抵抗Rの負荷およびその上小さい内部電池抵抗Rb,disを有することができ、その結果、Idis(R+Rb,dis)損失が、熱によって外部供給されるエネルギー未満であり、それによって連続Idisを作り出す。
【0065】
上記に開示されている主題は、例示であって、拘束ではないと考えられるべきであり、添付の請求項は、本開示の真の趣旨および範囲内に入る全てのこうした修飾、増強、および他の実施形態を包含することが意図される。したがって、法律によって許容される最大範囲まで、本開示の範囲は、以下の請求項およびそれらの等価物の最も広い許容可能な解釈によって決定されるべきであり、前述の詳細な記載によって制限または限定されるべきでない。
【0066】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
アノードフェルミエネルギーを有するアルカリ金属アノードと;
一般式A 3-x OXを有する、アルカリ金属を伝導できる電子絶縁性の非晶質乾燥固体電解質であって、式中、0≦x≦1であり、Aは前記アルカリ金属であり、Xは少なくとも1つのハロゲン化物である、固体電解質と;
前記アノードフェルミエネルギーよりも低いカソードフェルミエネルギーを有するカソード集電体を含むカソードと
を含む電池を含む、電気化学的貯蔵セルであって、
前記電気化学的貯蔵セルの動作中、前記アルカリ金属を、前記固体電解質から前記アルカリ金属アノード上にデンドライトを含まずにめっきするように動作可能であり、
前記電気化学的貯蔵セルの動作中、前記アルカリ金属を、前記カソード集電体上にめっきするように、さらに動作可能である、
電気化学的貯蔵セル。
(項2)
前記アルカリ金属がリチウム(Li)である、上記項1に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項3)
前記アルカリ金属がナトリウム(Na)である、上記項1に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項4)
前記固体電解質が、酸化物、水酸化物および硫化物のうちの少なくとも1つを含むガラス形成添加剤をさらに含む、上記項1から3のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項5)
前記固体電解質が、酸化物、水酸化物および硫化物のうちの少なくとも2つを含むガラス形成添加剤をさらに含む、上記項1から3のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項6)
前記固体電解質が、Ba(OH) 、Sr(OH) 、Ca(OH) 、Mg(OH) 、Al(OH) 、またはBaO、SrO、CaO、MgO、Al、B 、Al 、SiO 、S、およびLi Sのうちの少なくとも1つを含むガラス形成添加剤をさらに含む、上記項1から3のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項7)
前記固体電解質が、Ba(OH) 、Sr(OH) 、Ca(OH) 、Mg(OH) 、Al(OH) 、またはBaO、SrO、CaO、MgO、Al、B 、Al 、SiO 、S、およびLi Sのうちの少なくとも2つを含むガラス形成添加剤をさらに含む、上記項1から3のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項8)
前記固体電解質が、2モルパーセント未満のガラス形成添加剤をさらに含む、上記項1から7のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項9)
前記固体電解質により、前記電池が、化学的および静電気的の両方で電力を貯蔵するように動作可能である、上記項1から8のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項10)
前記カソード集電体が、前記電池の状況以外で、前記アルカリ金属によって通常湿潤されない、上記項1から9のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項11)
前記カソード集電体が、銅(Cu)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)もしくは金(Au)の金属、またはその合金を含む、上記項1から10のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項12)
前記カソードが、前記カソード集電体上でのアルカリ金属めっきを補助する炭素を含む、上記項1から11のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項13)
前記カソードが、前記固体電解質に隣接するカソード集電体表面上に金膜を含む、上記項1から12のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項14)
前記カソードが、前記固体電解質に隣接するカソード集電体表面上に酸化物膜を含む、上記項1から13のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項15)
前記電池が、触媒レドックス-中心-リレー材料をさらに含み、前記電気化学的貯蔵セルの動作中、前記アルカリ金属を、前記触媒レドックス-中心-リレー材料の補助により前記カソード集電体上にめっきするように、さらに動作可能である、上記項1から4のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項16)
前記触媒レドックス-中心-リレー材料が硫黄を含む、上記項15に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項17)
前記触媒レドックス-中心-リレー材料がフェロセンを含む、上記項15に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項18)
前記触媒レドックス-中心-リレー材料がケイ素を含む、上記項15に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項19)
前記触媒レドックス-中心-リレー材料が硫化物を含む、上記項15に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項20)
前記触媒レドックス-中心-リレー材料が酸化物を含む、上記項15に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項21)
開回路電圧で、前記アルカリ金属のイオンを、前記固体電解質から前記アノード上にめっきすることで前記電池を自己充電する、上記項1から20のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項22)
前記電池が一次電池である、上記項1から21のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項23)
前記電池が二次電池である、上記項1から22のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項24)
スーパーキャパシタをさらに含む、上記項1から23のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。
(項25)
前記電池が、内部電池抵抗R b,dis を有し、その結果、抵抗R を有する電子装置に接続された場合に、損失I dis =R +R b,dis が、熱によって外部供給されるエネルギー未満であり、それによって連続I dis を作り出す、上記項1から24のいずれか一項に記載の電気化学的貯蔵セル。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】