(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044664
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】ワイヤグリッドポラライザ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20220310BHJP
G02B 1/111 20150101ALI20220310BHJP
G02B 1/113 20150101ALI20220310BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220310BHJP
G02B 27/28 20060101ALN20220310BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B1/111
G02B1/113
G02F1/1335 510
G02B27/28 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022003989
(22)【出願日】2022-01-13
(62)【分割の表示】P 2020088222の分割
【原出願日】2016-03-29
(31)【優先権主張番号】62/142,854
(32)【優先日】2015-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/190,188
(32)【優先日】2015-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/209,024
(32)【優先日】2015-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/216,782
(32)【優先日】2015-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/242,883
(32)【優先日】2015-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/265,773
(32)【優先日】2015-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/078,495
(32)【優先日】2016-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501218636
【氏名又は名称】モックステック・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ワンゲンスチーン、テッド
(72)【発明者】
【氏名】ニールソン、ステュー
(72)【発明者】
【氏名】レーン、フレッド
(72)【発明者】
【氏名】リンフォード、マット
(72)【発明者】
【氏名】ディワン、アナブハフ
(57)【要約】
【課題】複数のリブを腐食、酸化、機械的損傷および粉塵から保護する。
【解決手段】ワイヤグリッドポラライザ(WGP)(10)は、透明基板の表面上に位置する複数のリブと、前記複数のリブの少なくとも一部の間の複数のギャップと、前記複数のリブ上に位置するシラン共形コーティングであって、前記シラン共形コーティングは超疎水表面であり、キャシーバクスター状態において、前記複数のリブの表面上で水の保持が可能である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板の表面上に位置し、一方向に伸びており、アレイ状に配置された複数のリブと、
前記複数のリブの少なくとも一部の間の複数のギャップと、
前記複数のリブ上に位置する共形コーティングであって、
前記共形コーティングは酸化防止材および吸湿防止材を含む、異なる材料の2つの層を有し、
前記酸化防止材は酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、炭化ケイ素、レアアース酸化物またはそれらの組み合わせを含み、
前記吸湿防止材は酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、前記酸化防止材である前記レアアース酸化物とは異なるレアアース酸化物またはそれらの組み合わせを含み、
前記酸化防止材は、前記吸湿防止材と前記複数のリブとの間に位置する、ワイヤグリッドポラライザ(WGP)。
【請求項2】
前記吸湿防止材は酸化ハフニウムを含む、請求項1に記載のWGP。
【請求項3】
前記酸化防止材と前記複数のリブとの間に境界層が存在すること、および/または前記複数のリブの材料特性と前記酸化防止材の材料特性とに差異が存在することにより、前記酸化防止材は、前記複数のリブとは区別される、請求項1または2に記載のWGP。
【請求項4】
前記複数のリブの外面の材料は、25℃で1リットル当たり少なくとも0.015グラムの水溶性を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のWGP。
【請求項5】
前記複数のリブの外面の材料は、ゲルマニウムを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のWGP。
【請求項6】
前記酸化防止材は、酸化アルミニウムを含み、
前記吸湿防止材は、酸化ハフニウムを含む、
請求項1から5のいずれか1項に記載のWGP。
【請求項7】
前記酸化防止材は、少なくとも0.1ナノメートル以上10ナノメートル未満の厚さを有し、前記吸湿防止材は、少なくとも0.1ナノメートル以上10ナノメートル未満の厚さを有する、請求項1から6のいずれか1項に記載のWGP。
【請求項8】
前記酸化防止材は、少なくとも0.1ナノメートル以上の厚さを有し、前記共形コーティングの任意の位置での最大厚さは10ナノメートル未満であり、
前記吸湿防止材は、少なくとも0.1ナノメートルの厚さを有し、前記共形コーティングの任意の位置での最大厚さは10ナノメートル未満である、請求項1から7のいずれか1項に記載のWGP。
【請求項9】
透明基板の表面上に位置する複数のリブであって、前記複数のリブの少なくとも一部の間の複数のギャップと共に一方向に伸びている複数のリブのアレイを得る工程と、
前記複数のリブ上に共形コーティングの酸化防止材を蒸着により付着させる工程であって、
前記酸化防止材の層は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、炭化ケイ素、レアアース酸化物のうちの少なくとも1つを含む工程と、
前記複数のリブ上に共形コーティングの吸湿防止材を蒸着により付着させる工程であって、
前記吸湿防止材は酸化ハフニウム、前記酸化防止材である前記レアアース酸化物とは異なるレアアース酸化物および酸化ジルコニウムのうちの少なくとも1つを含む工程と、
を備え、上記複数の工程を上記順序で行う、ワイヤグリッドポラライザ(WGP)を製造する方法。
【請求項10】
前記吸湿防止材を付着させた後に前記共形コーティングの疎水層を蒸着により付着させる工程であって、前記疎水層を付着させる工程は、下記化学式
Si(R1)d(R2)e(R3)g
(式中、
dは1、2または3、eは1、2または3、gは0、1または2、かつ、d+e+g=4であり、
各R1は、それぞれ独立して、CF3(CF2)n(CH2)mであり、ここで、nおよびmは、1≦n≦4および2≦m≦5の範囲内の整数であり、
R2は、シラン反応基であり、
各シラン反応基は、それぞれ独立して‐OR6、‐OCOR6、または‐N(R6)2であり、
各R6は、独立してアルキル基、アリール基またはそれらの組み合わせである)
を有する化合物に前記WGPを曝露する工程を含む付着させる工程をさらに備える、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は一般に、ワイヤグリッドポラライザに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤグリッドポラライザ(WGP)は、光を2つの異なる偏光状態に分割するのに用いられ得る。一種の偏光状態ではWGPを通過し得、他方の状態では吸収または反射され得る。WGPの有効性または性能は、一種の偏光の非常に高いパーセントの透過率(場合によりTpと呼ばれる)および逆の偏光の最小透過率(場合によりTsと呼ばれる)に基づく。高いコントラスト(Tp/Ts)を有することは有益であり得る。逆の偏光の反射パーセント(Rs)も、ポラライザの性能の重要な指標であり得る。
【0003】
WGPの複数のリブまたはワイヤは、特に可視光または紫外光の偏光用に、ナノメートルサイズのピッチ、ワイヤ幅およびワイヤ高さがある小型の精巧な複数のリブを有し得る。WGPは、高い性能を必要とするシステム(例えば、コンピュータプロジェクタ、半導体検査器等)において用いられる。粉塵、複数のリブの腐食および複数のリブのへこみなど、WGPに小さくても欠陥があると、システムの性能を大幅に低下させ得る(例えば、コンピュータプロジェクタからの画像の歪み)。酸化は,コントラストまたはRsに悪影響を及ぼすことにより、性能を低下させ得る。したがって、複数のリブを腐食、酸化、機械的損傷および粉塵から保護することが重要であり得る。
【0004】
水は、WGPの限られた部分にのみ凝結または落下し得る。水は隣接する溝にではなく1つの溝に存在し得るので、水の中の力は、複数のリブを転倒させ得、したがって、WGPを損傷させ得る。
【0005】
WGPの性能は、腐食によっても低下し得る。水は、WGP上に凝結し得、毛管作用に起因して複数のリブ間の狭い溝に運ばれ得る。水は次に、複数のリブを腐食させ得る。腐食した領域は、コントラストが低減し得、Rsが変化し得、または完全に偏光させなくなり得る。
【0006】
複数のリブの酸化もWGPの性能を低下させ得る。例えば、アルミニウムワイヤが時間の経過とともに自然酸化物を形成するので、下にあるほぼ純粋なアルミニウムが消費される。したがって、これにより、ほぼ純粋なアルミニウムワイヤのサイズが減少し、WGPの偏光特性が変化する。
【0007】
保護コーティングは、当該コーティングを含有する水溶液にWGPを浸すことにより付着させられてきた。当該コーティングは複数のリブに付着し得、次に、WGPが水溶液から取り出され得る。米国特許第6,785,050号明細書において説明されるアミノホスホネートは一般的に、この方式で付着させられてきた。この方法による保護コーティングの付着は、例えばアルミニウムおよびケイ素などのいくつかのワイヤ材料については相当程度成功してきたものの、極限環境下にあるWGPの保護には不十分であり得る。ケイ素は選択吸収型WGPに用いられ、光の一種の偏光を吸収し、したがってRsを低減する。そのようなケイ素を含有するWGPの性能は、Rsの斬増により示されるように、時間の経過とともに低下し得る。
【0008】
保護コーティングは、ポラライザの性能に悪影響を及ぼし得る。例えば、当該コーティングは、Tpの低下を引き起こし得る。酸化または腐食からの十分な保護を提供するにはより厚いコーティングが必要になり得るが、当該コーティングによる性能の低下を最小化すべく、より薄いコーティングが好まれ得る。
【発明の概要】
【0009】
(1)ワイヤグリッドポラライザ(WGP)を酸化、腐食および粉塵から保護すること、(2)ワイヤグリッドポラライザをワイヤグリッドポラライザ上の液体の張力に起因する損傷から保護すること、および(3)時間の経過とともにワイヤグリッドポラライザの性能が低下するのを低減することは有利であろうことが認識されてきた。
【0010】
本発明は、保護コーティングを有するWGPの様々な実施形態およびこれらのニーズを満たす保護コーティングを有するWGPを製造する方法に関する。各実施形態は、これらのニーズの1つ、いくつかまたは全てを満たし得る。
【0011】
WGPは、複数のリブの少なくとも一部の間に複数のギャップを有する透明基板の表面上に位置する複数のリブを備え得る。共形コーティングは、複数のリブ上に位置し得る。共形コーティングは、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ハフニウムおよび酸化ジルコニウムのうち少なくとも1つを含み得るバリア層を有し得る。WGPを製造する方法は、バリア層をWGPの複数のリブ上に蒸着により付着させる工程を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態による、複数のリブ12上に位置する共形コーティング13を各々が備えるWGP10、20および30の側断面概略図である。
【
図2】本発明の実施形態による、複数のリブ12上に位置する共形コーティング13を各々が備えるWGP10、20および30の側断面概略図である。
【
図3】本発明の実施形態による、複数のリブ12上に位置する共形コーティング13を各々が備えるWGP10、20および30の側断面概略図である。
図1における共形コーティング13は、単一の層、つまり、遠位共形コーティング13
dを含む。
図2における共形コーティング13は、2つの層、つまり、近位共形コーティング13
pおよび遠位共形コーティング13
dを含む。
図3における共形コーティング13は、3つの層、つまり、近位共形コーティング13
p、中位共形コーティング13
mおよび遠位共形コーティング13
dを含む。
【
図4】本発明の一実施形態に従った、キャシー―バクスター(Cassie‐Baxter)状態において複数のリブ12の表面に水41を保持するよう設計された疎水層を有する共形コーティング13を備えるWGP40の側断面概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に従った、透明基板11の表面上に位置する複数のリブ12のアレイを備えるWGP10の側断面概略図である。複数のリブ12の各々は、異なる材料を含む異なる領域14および15を含み得る。1つの化合物を含む共形コーティング55は1つの領域15に付着し得、1つの異なる化合物を含む共形コーティング54は異なる領域14に付着し得る。
【
図6】本発明の一実施形態に従ったWGPの概略斜視図である。
【
図7】(1)本発明の一実施形態に従った、ゲルマニウムを含むWGPおよび(2)先行技術による、ケイ素を含むWGPにおける、一種の偏光(Rs)の波長と反射率との間の関係の点線グラフである。
【
図8】本発明の実施形態による広帯域選択吸収型WGP84を備える画像プロジェクタ80および90の概略図である。
【
図9】本発明の実施形態による広帯域選択吸収型WGP84を備える画像プロジェクタ80および90の概略図である。
【
図10】本発明の実施形態によるWGP104を含む集積回路(IC)検査器100を示す。
【
図11】本発明の一実施形態に従ったWGP114を含むフラットパネルディスプレイ(FPD)製造器110を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義本明細書において用いられるように、「アルキル」とは、分岐、非分岐または環式の飽和炭化水素基をいう。アルキルは、例えば、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、イソブチル、t‐ブチル、オクチルおよびデシル、ならびに例えば、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどのシクロアルキル基を含むが、これらに限定されない。「アルキル」は、例えば、一態様において炭素原子2個以上、別の態様において炭素原子3個以上、別の態様において炭素原子5個以上、または別の態様において炭素原子10個以上などと分子の全原子重量をみなした場合、概して比較的小さく、蒸着を容易にし得る。本明細書において用いられるように、「置換アルキル」とは、1または複数の置換基で置換されたアルキルをいう。「ヘテロアルキル」という用語は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子に置換されたアルキルをいう。そうでないと示されない場合、「アルキル」という用語は、非置換アルキル、置換アルキルおよびヘテロアルキルを含む。本明細書において用いられるように、「アリール」とは、(異なる芳香族環がメチレン部分またはエチレン部分などの共通の基に結合しているような)直接結合であれ、間接結合であれ、単一の芳香族環または互いに溶融した複数の芳香族環を含有する基をいう。アリール基は、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミンおよびベンゾフェノンを含む。「置換アリール」という用語は、1または複数の置換基を含むアリール基をいう。「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子に置換されたアリール基をいう。そうでないと示されない場合、「アリール」という用語は、非置換アリール、置換アリールおよびヘテロアリールを含む。 本明細書において用いられるように、「複数のリブへの結合部」という表現または同様の表現(例えば、「Zは、複数のリブへの結合部である」)は、化合物と複数のリブとの間の直接結合部、または複数のリブに直接もしくは他の層を通じて結合される中間層への結合部を意味し得る。したがって、これらの層は、他の共形コーティングであり得る。本明細書において用いられるように、「炭素鎖」という用語は、1列に並んだ少なくとも3個の炭素原子(例えば、‐C‐C‐C‐、‐C=C‐C‐等)を含む互いに結合した炭素原子の鎖を意味する。炭素鎖という用語は、一態様において1列に並んだ少なくとも5個の炭素原子、別の態様において1列に並んだ少なくとも10個の炭素原子、または別の態様において1列に並んだ少なくとも15個の炭素原子を含み得る。炭素鎖という用語は、エーテル結合(C‐O‐C部分)も含み得る。炭素鎖という用語は、単一、二重および三重の炭素同士の結合を含む。炭素原子は、任意の元素または分子に結合し得る。 「延伸され」という用語は、複数のリブ12の長さL(
図6を参照のこと)が実質的にリブ幅W
12またはリブ厚さT
12(
図1を参照のこと)超であることを意味する。例えば、紫外光または可視光用のWGPは、用途に応じて、20~100ナノメートルのリブ幅W
12、50~500ナノメートルのリブ厚さT
12および約1ミリメートル~20センチメートル以上のリブ長さLを有することが多くあり得る。したがって、延伸された複数のリブ12は、リブ幅W
12またはリブ厚さT
12の何倍も(時には数千倍も)大きい長さLを有し得る。本明細書において用いられるように、「ギャップ」という用語は、1つのリブを別のリブから分離する空間、開口部または分割部を意味する。そうでないように指定されない限り、ギャップは、真空、気体、液体または固体で充填され得る。本明細書において用いられるように、「sccm」という単位は、0℃かつ1気圧での毎分の立方センチメートルを意味する。本明細書において用いられるように、「基板」という用語は、例えばガラスウェハなどの基材を含む。「基板」という用語は、単一の材料を含み、例えば、ガラスウェハであって、当該ウェハの表面上に基材として一緒に用いられる少なくとも1つの膜を有するものなど、複数の材料(例えば、積層体、複合物等)も含む。 光学構造に用いられる多くの材料は、いくつかの光を吸収し、いくつかの光を反射し、かつ、いくつかの光を透過する。以下の定義は、主に吸収性、主に反射性または主に透明性の材料または構造の間を区別することを意図している。各材料は、対象となる特定の波長(例えば、光の紫外スペクトル、可視スペクトルまたは赤外線スペクトルの全てまたは一部)において主に吸収性、主に反射性または主に透明性であり得、かつ、対象となる異なる波長において異なる特性を有し得る。1. 本明細書において用いられるように、「吸収」という用語は、対象波長の光を実質的に吸収することを意味する。a. ある材料が吸収性かどうかは、ポラライザにおいて用いられる他の材料に関係する。したがって、吸収性構造は、実質的に反射性構造または透明性構造より多く吸収することになる。b. ある材料が「吸収性」であるかどうかは、対象波長に依存する。材料は、1つの波長範囲において吸収性であり得るが、別の波長範囲ではそうではない可能性がある。c. 一態様において、(ある吸収性構造が光学的に厚い膜である、すなわち表皮の厚さより厚いと仮定すると)当該吸収性構造は、対象波長の光の40%超を吸収し得、かつ、60%未満を反射し得る。d. 別の態様において、吸収性材料は、例えば一態様において0.01超または別の態様において1.0超など、透明性材料に対して高い吸光係数(k)を有し得る。e. 吸収性の複数のリブは、光の一種の偏光を選択的に吸収するのに用いられ得る。2. 本明細書において用いられるように、「反射」という用語は、対象波長の光を実質的に反射することを意味する。a. ある材料が反射性であるかどうかは、ポラライザにおいて用いられる他の材料に関係する。したがって、反射性構造は、実質的に吸収性構造または透明性構造より多く反射することになる。b. ある材料が「反射性」であるかどうかは、対象波長に依存する。材料は、1つの波長範囲において反射性であり得るが、別の波長範囲ではそうではない可能性がある。いくつかの波長範囲では、高反射性材料が効果的に利用され得る。他の波長範囲、特に、材料の劣化がより生じる可能性がある低波長帯では、材料の選択はより限られ得、光学設計者は、所望のものよりも低い反射率の材料を容認する必要があり得る。c. 一態様において、(ある反射性構造が光学的に厚い膜である、すなわち表皮の厚さより厚いと仮定すると)当該反射性構造は、対象波長の光の80%超を反射し得、かつ、20%未満を吸収し得る。d. 金属は、反射性材料として用いられることが多い。e. 反射性ワイヤは、光の一種の偏光を光の逆の偏光と分離するのに用いられ得る。3. 本明細書において用いられるように、「透明」という用語は、対象波長の光に対して実質的に透明であることを意味する。a. ある材料が「透明性」であるかどうかは、ポラライザにおいて用いられる他の材料に関係する。したがって、透明性構造は、実質的に吸収性構造または反射性構造より多く透過することになる。b. ある材料が「透明性」であるかどうかは、対象波長に依存する。材料は、1つの波長範囲において透明性であり得るが、別の波長範囲ではそうではない可能性がある。c. 一態様において、フレネル反射損失を無視すると、透明性構造は、対象波長または使用波長範囲の光の90%超を透過し得、かつ、10%未満を吸収し得る。d. 別の態様において、透明性構造は、対象波長または使用波長範囲で0.01未満、0.001未満または0.0001未満の吸光係数(k)を有し得る。4. これらの定義において用いられるように、「材料」という用語は、特定の構造の材料全体をいう。したがって、「吸収性」の構造は、全体として実質的に 吸収性の材料で作られている。これは、当該材料がいくつかの反射性または透明性のコンポーネントを含み得るとしてもである。したがって、例えば、光を実質的に吸収するよう十分な量の吸収性材料で作られたリブは、吸収性のリブである。これは、当該リブが、その中に埋め込まれたいくつかの反射性または透明性の材料を含み得るとしてもである。
【0014】
図1~6に示されるように、透明基板11の表面上に位置する複数のリブ12を備えるワイヤグリッドポラライザ(WGP)10、20、 30、 40、 50および60が示される。複数のリブ12は、実質的に平行なアレイ状に延伸され得かつ配置され得る。いくつかの実施形態において、複数のリブ12は、例えば、一態様において200ナノメートル未満または別の態様において150ナノメートル未満のピッチPなど、小さいピッチP(
図1を参照のこと)を有し得る。
【0015】
複数のリブ12の少なくとも一部の間には複数のギャップG(すなわち、1つのリブ12と隣接する1つのリブ12との間の1つのギャップG)が存在し得る。複数のギャップGは、一態様において空気で、別の態様において液体で、別の態様において透明性、固体、誘電体の材料で、またはそれらの組み合わせで充填され得る。
【0016】
図1~5に示されるように、共形コーティング13は、複数のリブ12上に位置し得る。共形コーティング13は、基板11の露出面上にも位置し得る(「露出面」は、複数のリブ12に覆われていない基板の表面を意味する)。共形コーティング13を用いることは有益であり得る。なぜなら、複数のリブ12の輪郭および基板11の露出面をなぞることにより、共形コーティングの厚さT
p、T
mおよびT
dが最小化され得、したがって、WGPの性能に対する共形コーティング13の有害な効果を低減し得るからである。共形コーティング13は、複数のリブ12の露出面を覆い得る。共形コーティング13は、バリア層、疎水層またはその両方を含み得る。バリア層は、酸化防止材、吸湿防止材またはその両方を含み得る。
【0017】
共形コーティング13は、複数のリブ12の全てまたは実質的に全てに亘って、単一の層(
図1)または複数の異なる層(
図2~3を参照のこと)を含み得る。共形コーティング13は、近位共形コーティング13
p、中位共形コーティング13
mおよび遠位共形コーティング13
dのうちの少なくとも1つを含み得る。複数のリブ12に十分な保護を提供すべく、および/または共形コーティング13の上層の基礎に十分な保護を提供すべく、共形コーティング13のこれらの層13
p、13
mおよび13
dの各々が十分な厚さT
p、T
mおよびT
dをそれぞれ有することが重要であり得る。したがって、近位共形コーティング13
p、中位共形コーティング13
mおよび遠位共形コーティング13
dの1または複数は、一態様において少なくとも0.1ナノメートル、別の態様において少なくとも0.5ナノメートル、または別の態様において少なくとも1ナノメートルである厚さT
p、T
mまたはT
dを有し得る。
【0018】
共形コーティング13により引き起こされるWGPの性能の低下を回避または最小化すべく、共形コーティング13のこれらの層13p、13mおよび13dの各々が十分に小さい厚さTp、TmおよびTdをそれぞれ有することが重要であり得る。したがって、近位共形コーティング13p、中位共形コーティング13mおよび遠位共形コーティング13dの1または複数は、一態様において2ナノメートル未満、別の態様において3ナノメートル未満、別の態様において5ナノメートル未満、別の態様において10ナノメートル未満、別の態様において15ナノメートル未満、または別の態様において20ナノメートル未満である厚さTp、TmまたはTdを有し得る。
【0019】
これらの厚さの値は、共形コーティング13の任意の場所での最大の厚さもしくは最小の厚さであり得、または単に共形コーティング13のある場所での厚さであり得る。共形コーティング13の各層は、単分子層であり得る。
【0020】
代替的に、
図5に示されるように、1つの化合物を含む共形コーティング55は1つの領域15に付着し得、異なる化合物を含む共形コーティング54は異なる領域14に付着し得る。複数の異なる共形コーティングの化合物は、異なる化合物を含むWGPの異なる領域が保護され得るよう選択され得る。疎水層の説明
【0021】
共形コーティング13は、疎水層を含み得る。疎水層は、下記化学式を含み得るホスホネート共形コーティングを含み得る。
【化1】
(式中、各R
1は、独立して疎水基であり得、Zは、複数のリブへの結合部であり得、R
5は、任意の適切な化学元素または化学基であり得る。)例えば、R
5は、ホスホネート反応基R
1またはR
6であり得る。ホスホネート反応基は、‐Cl、‐OR
6、‐OCOR
6または‐OHなどであるがこれらに限定されない、反応して複数のリブ12へのさらなる結合部Zを形成する可能性がある化学元素または化学基であり得る。各R
6は、独立してアルキル基、アリール基またはそれらの組み合わせであり得る。
【0022】
疎水層は、代替的にまたは追加で、下記化学式(1)、下記化学式(2)またはそれらの組み合わせを含み得るシラン共形コーティングを含み得る。
【化2】
【化3】
(式中、Rは、正の整数であり得、Xは、複数のリブへの結合部であり得、各R
3は、独立して化学元素または基であり得る。)各R
1は、上述のように、独立して疎水基であり得る。
【0023】
各R3は、シラン反応基‐H、R1およびR6からなる基から独立して選択され得る。R6は上記で定義された。各シラン反応基は、‐Cl、‐OR6、‐OCOR6、‐N(R6)2および‐OHからなる基から独立して選択され得る。
【0024】
R3および/またはR5は、例えば‐OCH3など、蒸着を容易にすることを可能にする小さい基であり得る。蒸着の利点は、以下に説明される。
【0025】
疎水層は、代替的にまたは追加で、下記化学式を含み得る硫黄共形コーティングを含み得る。
【化4】
(式中、Tは、複数のリブへの結合部であり得、各R
1は、上述のように、独立して疎水基であり得る。)
【0026】
図1~3に示されるように、各リブ12は、上リブ15および下リブ14などの異なる領域15および14を含み得る。下リブ14は、上リブ15と基板11との間に挟まれ得る。これら(下リブ14または上リブ15)のうちの少なくとも1つは、反射性(例えば、可視光用のアルミニウム)であり得、ワイヤと呼ばれ得る。これら(下リブ14または上リブ15)のうちの少なくとも1つは、吸収性または透明性であり得、ロッドと呼ばれ得る。例えば、リブ12側から光が入射する選択吸収型WGPでは、ロッドは吸収性であり得かつ上リブ15であり得、ワイヤは下リブ14であり得る。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,961,393号明細書を参照のこと。
【0027】
ロッドおよびワイヤの両方を保護することは、困難であり得る。なぜなら、一方に良く付着する保護化合物は、他方には良く付着しない可能性があるからである。シラン共形コーティング、ホスホネート共形コーティングおよび硫黄共形コーティングのうち少なくとも2つは、複数のリブ12に付着させられ得る。これらの一方はロッドに優先的に付着し得、他方はワイヤに優先的に付着し得、したがって、両方に効果的な保護を提供し得る。シラン共形コーティング単体の代わりにホスホネート化合物およびシラン化合物を用いることにより、金銭を節約し得る。なぜなら、ホスホネート化合物は現在、シラン化合物よりコストが低いからである。したがって、シランをホスホネートと結合させることにより、必要なコストは、シラン化合物より低くなる。例えば、ロッドは、上リブ15であり得かつケイ素製であり得、シラン共形コーティング55は、ケイ素製の上リブ15に優先的に付着し得、ワイヤは、下リブ15であり得かつアルミニウム製であり得、ホスホネート共形コーティング54は、アルミニウム製の下リブ15に優先的に付着し得る。
【0028】
Xは、ロッドへの結合部であり得る。例えば、Xは、‐O‐Siであり得る。Tおよび/またはZは、ワイヤへの結合部であり得る。例えば、Tおよび/またはZは、‐O‐Metal(式中、Metalは金属原子である。)であり得る。したがって、シラン共形コーティングは、優先的に1つの材料(例えばケイ素)に付着し得、ホスホネート共形コーティングまたは硫黄共形コーティングは、優先的に別の材料(例えば金属)に付着し得、リブ12の複数の材料を保護する。
【0029】
各々が複数のリブ12への複数の結合部T、Zおよび/またはXを有する分子を疎水層中の化合物が含む場合は、有益であり得る。各分子が複数の結合部Xを形成することにより、下に存在する表面(例えば、リブ12、近位共形コーティング13pまたは中位共形コーティング13m)がより結合され得、したがって、例えば水などの望ましくない化合物との結合または相互作用が不可能になり得る。また、当該表面への複数の結合部は、疎水層の弾力性を向上させ得る。なぜなら、複数の結合部Z/X/Tは、単一の結合部Z/X/Tよりも機能しなくなる可能性が低くなり得るからである。
【0030】
したがって、R
1は、下記化学式
【化5】
(式中、Aは、中心原子であり、R
7は、上述の疎水基であり得、gは、1から3の整数であり得、かつ、R
8は、部分(1)(下記化学式(1))、部分(2)(下記化学式(2))、部分(3)(下記化学式(3))またはそれらの組み合わせであり得る。)であり得る。
【化6】
【化7】
【化8】
【0031】
R3およびR5は上述された。中心原子Aは、一態様において、周期表中のIII族、IV族もしくはV族から選択され得、または別の態様において、炭素、窒素、リンおよびケイ素からなるグループから選択され得る。
【0032】
例えば、g=2、ホスホネート共形コーティングおよび部分(3)について、得られる化学式は、下記化学式であり得る。
【化9】
【0033】
疎水層内の分子が複数のリブ12への複数の結合部Zおよび/またはXを形成する別の方法は、R5をZに、および/またはR3をXにすることである。これは、付着させられたホスホネート化合物内でR5がホスホネート反応基である場合、および/または付着させられたシラン化合物内でR3がシラン反応基である場合、実現され得る。
【0034】
疎水基は、一態様において、炭素鎖であり得、または炭素鎖を含み得、別の態様において、炭素に結合した少なくとも1個のハロゲンを含み得る。炭素鎖は、一態様において少なくとも1個の炭素原子または別の態様において少なくとも3個の炭素原子を含む過フッ化基を含み得る。過フッ化基は、別の態様において20個未満の炭素原子、別の態様において30個未満の炭素原子、または別の態様において40個未満の炭素原子を含み得る。過フッ化基が少なくとも4個の炭素原子を有して疎水鎖を提供することは有益であり得る。十分に高い蒸気圧を維持して蒸着を可能にすべく、過フッ化基が過度に長くないことまたは過度に多くの炭素原子を有さないことは有益であり得る。
【0035】
例えば、R1の炭素鎖は、CF3(CF2)nを含み得る。フッ素の電気陰性度が高いので、炭化水素鎖を有することで過フッ化基をリンまたは硫黄から隔てることは有益であり得る。したがって、R1の炭素鎖は、CF3(CF2)n(CH2)m(式中、nは、一態様において0≦n≦20または別の態様において4≦n≦10の範囲内の整数であり得、かつ、mは、一態様において0≦m≦5または別の態様において2≦m≦5の範囲内の整数であり得る。)を含み得る。
【0036】
蒸着を可能にすべく、共形コーティング化合物のいくつかまたは全てが比較的より少ない分子量を有することは重要であり得るが、炭素鎖が十分に長く、十分な疎水性を提供することも重要であり得る。したがって、ホスホネート共形コーティング(複数のリブZへの結合部を除く)内の各分子、シラン共形コーティング(複数のリブXへの結合部を除く)内の各分子および/または硫黄共形コーティング(複数のリブTへの結合部を除く)内の各分子は、一態様において1モル当たり少なくとも100グラム、別の態様において1モル当たり少なくとも150グラム、別の態様において1モル当たり少なくとも400グラム、かつ、一態様において1モル当たり600グラム未満、別の態様において1モル当たり1000グラム未満、または別の態様において1モル当たり1500グラム未満の分子量を有し得る。
【0037】
疎水層において、ケイ素(Si)とR1との間、リン(P)とR1との間、および/または硫黄(S)とR1との間に強固な結合部を有することは、R1基がSi、PまたはSから剥離するのを回避するために重要であり得る。したがって、ケイ素(Si)とR1との間の結合部はケイ素―炭素結合(Si‐C))であり得、リン(P)R1との間の結合部はリン―炭素結合(P‐C)であり得、および/または硫黄(S)とR1との間の結合部は硫黄―炭素結合(S‐C)であり得る。
【0038】
複数のリブ12上に位置する疎水層は、化合物、ならびにピッチPおよびリブ幅W
12などの複数のリブの構造に応じて、超疎水表面であり得る疎水表面を提供し得る。
図4に示されるように、WGPおよび共形コーティング13は、疎水層を含み得、キャシー―バクスター状態において、複数のリブ12の表面上で水41の保持が可能であり得る。キャシー―バクスター状態においてWGP10上に水を有することは有益であり得る。なぜなら、水41は、実質的に複数のギャップGに入ったり複数のギャップGに残ったりせず、したがって、複数のリブ12の側面での腐食を回避または低減し、かつ、水の張力に起因する複数のリブ12の転倒を回避または低減するからである。また、水41がキャシー―バクスター状態にある場合、水41は、WGPの表面からより容易に流れ落ち得、塵埃粒子を運んでいくことが多々ある。水の接触角Aは、一態様において110°超、別の態様において120°超、別の態様において130°超、または別の態様において140°超であり得る。
【0039】
可溶性のWGP材料 上述のように、下リブ14または上リブ15のうちの少なくとも1つは、反射性であり得(例えば、可視光用のアルミニウム)かつワイヤと呼ばれ得、少なくとも1つは、吸収性または透明性であり得かつロッドと呼ばれ得る。ロッドは、可視光用の吸収性材料であるケイ素製であり得る。ケイ素を含有する選択吸収型WGPは、画像プロジェクタにおいて用いられてきた。選択吸収型WGPは、一種の偏光(例えばp偏光)の通過を実質的に可能にし得、逆の偏光(例えばs偏光)を吸収し得る。画像プロジェクタにおいて、p偏光は、画像を形成するのに用いられ得る。投影画像のゴースト現象は、WGPがs偏光を吸収することにより低減され得る。いくつかの画像プロジェクタは、光を3つの異なる光ビームに分離する。これらの光ビームのうちの1つは約450nmの波長を有し得、別の1つは約550nmの波長を有し得、3つ目は約650nmの波長を有し得る。各光ビームの偏光を最適化すべく、異なるWGP設計が、それぞれ異なる光ビームに用いられ得る。
【0040】
図7における各ケイ素点線グラフSiは、ケイ素を含む選択吸収型WGPの一種の偏光の波長と反射率(例えば、s偏光Rsの反射率)との間の関係を示す。第1ケイ素点線Si(1)は、450ナノメートル前後の最適(低)Rsについて選択されたケイ素厚さを有するWGPについてのものである。第2ケイ素点線Si(2)は、550ナノメートル前後の最適(低)Rsについて選択されたケイ素厚さを有するWGPについてのものである。第3ケイ素点線Si(3)は、650ナノメートル前後の最適(低)Rsについて選択されたケイ素厚さをに有するWGPについてのものである。3つ未満の異なるWGP設計が必要な場合は、より単純であろうし、製造誤差が回避され得る。
【0041】
図7には、ゲルマニウムを含む選択吸収型WGPの一種の偏光(例えばs偏光)の波長と反射率との間の関係のゲルマニウム点線グラフGeも示される。ゲルマニウムを含むWGPは、400~700nmの波長の3分の2に亘ってより良いRsを有する。したがって、ゲルマニウムを含むWGPの使用は、Rsが約500~700nmに向上するという恩恵をもたらし得る。別の生じ得る恩恵は、ゲルマニウム点線Geが平らであることに起因して、光ビームの少なくとも2つ(例えば550nmおよび650nm)について1つのWGP設計が用いられ得ることである。
【0042】
ケイ素を含む選択吸収型WGPの別の不利な点は、時間の経過とともにRsが増加(悪化)しがちなことである。これにより、画像投影の質が時間の経過とともに徐々に低下し得る。しかしながら、ゲルマニウムを含む選択吸収型WGPは、反対のこと、つまり、時間の経過とともにRsが減少(向上)することを示している。したがって、時間の経過とともに画像投影の質が低下することが回避される。可視スペクトル全体に亘って初期Rsが相当に良好であること、および時間の経過とともにRsが減少することに起因して、ゲルマニウムを含む単一の選択吸収型WGPが可視スペクトル全体に亘って用いられ得る。
【0043】
一実施形態において、選択吸収型WGPにおけるロッドは、ゲルマニウムを含み得る。例えば、ロッドは、一態様において少なくとも20質量パーセントのゲルマニウム、別の態様において少なくとも50質量パーセントのゲルマニウム、別の態様において少なくとも80質量パーセントのゲルマニウム、または別の態様において少なくとも95質量パーセントのゲルマニウムを含み得る。
【0044】
しかしながら、ゲルマニウム使用の難しさは、ゲルマニウムが可溶性酸化物を有することである(25℃で約4.5g/L)。ゲルマニウムまたはゲルマニウム酸化物を含むリブ12の外側と共にポラライザが水溶液に浸された場合、WGPの性能は減少し得る。そのような水溶液は、保護コーティングの付着用になり得る(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,785,050号明細書に教示されるアミノホスホネート)。そのような保護コーティングは、WGPの腐食を回避するのに重要であり得る。
【0045】
他の望ましいWGP材料は、ゲルマニウムと同じ問題を有し得る。それらの性能は、水溶液に浸すことにより低下し得る。そのような水溶性材料製のWGPも、共形コーティング13を付着させるための無水浸漬および/または蒸着から恩恵を受け得る。例えば、複数のリブ12の外側の材料が、一態様において25℃で1リットル当たり少なくとも0.015グラム、別の態様において25℃で1リットル当たり少なくとも0.02グラム、別の態様において25℃で1リットル当たり少なくとも0.05グラム、別の態様において25℃で1リットル当たり少なくとも0.5グラム、別の態様において25℃で1リットル当たり少なくとも1グラム、別の態様において25℃で1リットル当たり少なくとも2グラム、または別の態様において25℃で1リットル当たり少なくとも4グラムの水溶性を有する場合、無水方法は、役立ち得る。
【0046】
したがって、少なくとも、水溶性材料を含むWGPについては、無水浸漬または蒸着など、保護コーティングを付着させるための無水方法を有することは有益であり得る。蒸着方法の非限定的な例は、化学蒸着(CVD)、低圧CVD(LPCVD)、プラズマ強化CVD、物理蒸着(PVD)、原子層堆積(ALD)、熱反応拡散、電子ビーム堆積、スパッタリングおよび熱蒸発を含む。無水浸漬は、無水の溶液槽へのWGPの浸水を含み得る。リブ12の材料を溶解しないであろう溶媒が選択され得る。処理廃棄物処分問題がより少ないこと、健康上の危険がより少ないこと、すすぎでの望ましくない残留物がより少ない、または発生しないことが理由で、蒸着は、浸漬よりも好まれ得る。蒸着は、標準的な半導体処理機器で実行され得る。
【0047】
以下で説明される酸化防止材および吸湿防止材は、ALDにより付着させられ得る。疎水層のいくつかの実施形態は、十分に高い蒸気圧を有し、蒸着により付着させられ得る。
【0048】
酸化防止材および吸湿防止材 共形コーティング13は、バリア層を含み得る。バリア層は、酸化防止材、吸湿防止材またはその両方を含み得る。バリア層は、金属酸化物、または異なる金属酸化物の層を含み得る。
【0049】
WGPの複数のリブ12の酸化は、コントラストまたはRsに悪影響を及ぼすことにより、WGPの性能を低下させ得る。酸化防止材は、複数のリブ12の酸化を低減し得、したがって、そのようなWGPの性能の低下を低減または回避し得る。「酸化防止材」という用語は、第2材料を酸化させ得る第2材料への酸素の侵入を低減することが可能な第1材料を意味する。酸化防止材を複数のリブ12上に配置して、複数のリブ12を酸化から保護し得る。酸化防止材として用いられ得る化合物の非限定的な例は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、炭化ケイ素またはそれらの組み合わせを含む。
【0050】
WGPの腐食は、WGPの性能を低下させ得る。例えば、水は、WGPに凝結し得、毛管作用に起因して複数のリブ間の狭い溝に運ばれ得る。水は次に、複数のリブを腐食し得る。腐食された領域は、コントラストが低減しているか、Rsが変化している可能性があり、または完全に偏光させなくなり得る。吸湿防止材は、腐食に耐え得る。吸湿防止材は、複数のリブ12を水または他のものによる腐食から保護し得る。吸湿防止材として用いられ得る化合物の例は、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウムまたはそれらの組み合わせを含む。
【0051】
バリア層は、レアアース酸化物、例えば、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびルテチウムの酸化物を含み得る。これらのレアアース酸化物は、酸化防止材、吸湿防止材またはその両方の少なくとも一部であり得る。
【0052】
バリア層は、複数のリブ12とは別個であり得る。これは、(1)複数のリブ12とバリア層との間に境界線もしくは境界層が存在し得ること、または(2)複数のリブ12の材料に対してバリア層の材料にいくつかの差異が存在し得ることを意味する。例えば、自然酸化アルミニウムは、アルミニウム製の複数のリブ12の表面で形成され得る。酸化アルミニウム(酸化防止材)の層は次に、複数のリブに(例えばALDにより)付着させられ得る。酸化アルミニウムのこの追加された層は、重要であり得る。なぜなら、自然酸化アルミニウムの厚さおよび/または密度は、複数のリブ12(例えば、ほぼ純粋なアルミニウム)の中心を酸化から保護するには不十分であり得るからである。この例において、酸化防止材(Al2O3)は、複数のリブ12の表面(Al2O3)と同じ材料組成を有するが、酸化防止材は、(1)酸化防止材と複数のリブ12との間の境界層、および/または(2)酸化防止材の密度が自然酸化アルミニウムに対してより高いことなど、材料特性の差異に起因して、依然として別個であり得る。
【0053】
二酸化ケイ素共形コーティング
二酸化ケイ素共形コーティングは、シラン共形コーティングと複数のリブ12との間に位置し得る。二酸化ケイ素共形コーティングは、シラン共形コーティング14が複数のリブ12に結合するのを促進し得る。二酸化ケイ素共形コーティングは、近位共形コーティング13pもしくは中位共形コーティング13m、または中位共形コーティング13mと遠位共形コーティング13dとの間に位置する共形コーティング13の追加の層であり得る。
【0054】
複数の共形コーティング
酸化防止材は、腐食に耐える効果がより低い可能性がある。吸湿防止材および/または疎水層は、酸化に耐える効果がより低い可能性がある。したがって、吸湿防止材を有する酸化防止材および/または疎水層の両方を結合することは有益であり得る。
【0055】
吸湿防止材は、腐食に耐え得るが、結果的に分解し得る。したがって、吸湿防止材の水への曝露を最小化することは有益であり得る。疎水層は、WGP上で凝結した水による吸湿防止材の腐食を最小化または防止し得、したがって、吸湿防止材およびWGPの耐用期間を延ばし得る。疎水層が複数のリブ12を完全に覆っており、決して分解されない場合には、吸湿防止材は、必要でない可能性がある。しかしながら、製造の欠陥に起因して、疎水層により覆われていない、またはより低い密閉性で覆われている場所が複数のリブ12上に存在し得る。吸湿防止材は、これらの場所を保護し得る。また、疎水層は、時間の経過とともに分解され得る。吸湿防止材は、そのような分解の後の保護をし得る。したがって、吸湿防止材および疎水層の両方を結合することは有益であり得る。
【0056】
疎水層がキャシー―バクスター状態において複数のリブ12上に水を保持している場合には、そうでないと複数のギャップG内の水の張力により引き起こされ得るリブ12の損傷は、回避され得る。また、水は、WGPの表面から流れ落ち得、自己洗浄方式で塵埃粒子を運んでいくことが多々ある。これらは、酸化防止材または吸湿防止材によっては提供されない可能性がある、疎水層のさらなる利点である。
【0057】
したがって、WGP保護および/または共形コーティング13の上層の接着性を向上させるためには、共形コーティング13が酸化防止材、吸湿防止材、二酸化ケイ素共形コーティングおよび疎水層の少なくとも2つを含み得る複数の層を有することが有益であり得る。しかしながら、このさらなる保護は、無償ではない。共形コーティング13における各々の追加の層は、特に共形コーティング13の複数の層に付着させるのに複数の器具が必要な場合、WGPのコストを増加させ得る。したがって、共形コーティング13における層の数の決定は、所望の保護に対するコストを評価することにより実行され得る。
【0058】
図1におけるWGP10は、1つの層(遠位共形コーティング13
d)を有する共形コーティング13を含む。遠位共形コーティング13
dは、酸化防止材、吸湿防止材または疎水層であり得る。
【0059】
図2におけるWGP20は、2つの層(複数のリブ12および基板11により近く位置する近位共形コーティング13
pならびに近位共形コーティング13
pの上に位置する遠位共形コーティング13
d)を有する共形コーティング13を含む。近位共形コーティング13
pおよび遠位共形コーティング13
dは、酸化防止材、吸湿防止材および/または疎水層を備え得る。
【0060】
図3におけるWGP30は、3つの層(近位共形コーティング13
p、遠位共形コーティング13
d、および近位共形コーティング13
pと遠位共形コーティング13
dとの間に位置する中位共形コーティング13
m)を有する共形コーティング13を含む。近位共形コーティング13
p、中位共形コーティング13
mおよび遠位共形コーティング13
dは、酸化防止材、吸湿防止材および/または疎水層を備え得る。各図には示されないが、共形コーティング13には、3より多い数の層が存在し得る。
【0061】
共形コーティング層の順序 酸化防止材の上に吸湿防止材を用いることは有益であり得る(すなわち、酸化防止材が近位、吸湿防止材が遠位または中位)。したがって、吸湿防止材は、酸化防止材に腐食保護を提供し得る。酸化防止材は、吸湿防止材の堆積のための良好な基板を提供し得る。これにより、吸湿防止材の浸透性が低下する。したがって、同じ対水分保護が、比較的より薄い吸湿防止材により得られ得る。吸湿防止材はWGPの性能を低下させ得るのでこれは重要であり得るが、そのような低下は、吸湿防止材の厚さが低減することにより最小化され得る。さらに、吸湿防止材は、疎水層の取り付けのための改良された表面(用いられる場合)を提供し得る。
【0062】
水分が複数のギャップGに最も入らないようにすべく、かつ、共形コーティング13(例えば、遠位共形コーティング13p、また場合により中位共形コーティング13m)内の下にある層の水への曝露を最小化または排除すべく、疎水層がバリア層の上に位置することは有益であり得る(すなわち、疎水層は、近位共形コーティング13dであり得る)。
【0063】
画像プロジェクタ 本明細書において説明されるWGPは、画像プロジェクタにおいて用いられ得る。
図8に示されるように、画像プロジェクタ80は、光源81、色分割光学素子82、色合成光学素子88、投影レンズシステム85、1または複数の空間光変調器87および1または複数のWGP84を備え得る。
【0064】
光源81は、光83のビームを発し得る。当該ビームは、初めは偏光されていない可能性がある。色分割光学素子82は、光83のビームの少なくとも一部を受光するよう位置し得、光83のビームを、異なる色の複数の光ビーム(有色ビーム)83cに分割し得る。有色ビーム83cは、原色であり得る。
【0065】
色合成光学素子88は、有色ビーム83cの少なくともいくつかを受光するよう位置し得、有色ビーム83cの少なくともいくつかを合成ビームまたは最終ビーム83fに再合成し得る。色合成光学素子88は場合により、X立方体、X立方体プリズム、Xプリズム、光再合成プリズムまたはクロスダイクロイックプリズムと呼ばれる。色合成光学素子88は、コンピュータプロジェクタにおいて、光の異なる色を、投影される単一の画像に合成するために用いられる。X立方体は概して、1つの立方体を形成するよう互いに接合された、ダイクロイックコーティングを有する4つの直角プリズムで作られている。
【0066】
投影レンズシステム85は、合成ビーム83fを受光するよう位置し得、画面86に有色画像83iを投影し得る。他の投影レンズシステムが用いられ得るが、例示的な投影レンズシステム85が、その全体がここに参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,585,378号明細書および第6,447,120号明細書に説明される。
【0067】
1つの空間光変調器87は、色分割光学素子82と色合成光学素子88との間の各光路に、有色ビーム83cの1つを受光するよう位置し得る。各空間光変調器87は、複数のピクセルを有し得る。各ピクセルは、信号を受信し得る。信号は、電子信号であり得る。各ピクセルが信号を受信するかどうかに応じて、ピクセルは、入射光の偏光を回転させ得、または偏光における変化を生じさせることなく入射光を透過もしくは反射し得る。空間光変調器87は、液晶デバイス/ディスプレイ(LCD)であり得、透過型、反射型または半透過型であり得る。
【0068】
各WGP84は、本明細書において説明されるWGP設計の1つに従って、有色ビーム83cの1つの空間光変調器87への入射の前、空間光変調器87からの出射の後、またはその両方に位置し得る。WGP84は、WGP84の種類に応じて、かつ、各ピクセルが信号を受信したかどうかに応じて各ピクセルの光を透過、反射または吸収することにより、有色画像83iの形成を促進する。
【0069】
別の種類の画像プロジェクタ90が
図9に示される。画像プロジェクタ90は、光源91、投影レンズシステム85、空間光変調器87およびWGP84を備え得る。光源91は、異なる色の複数の光ビーム(有色ビーム)93を連続で発し得る。有色ビーム93は、原色であり得る。投影レンズシステム85は、有色ビーム93を受光するよう位置し得、画面86に有色画像83
iを投影し得る。投影レンズシステム85、空間光変調器87、WGP84、有色画像83
iおよび画面86は、上述された。
【0070】
空間光変調器87は、光源91と投影レンズシステム85との間の光路に、有色ビーム93を受光するよう位置し得る。WGP84は、有色ビーム93の空間光変調器87への入射の前かつ空間光変調器87からの出射の後に位置し得る
【0071】
IC検査器具 集積回路(IC)は、半導体材料製であり得、ナノメートルサイズの部品を含み得る。ICは、様々な電子デバイス(例えば、コンピュータ、モーションセンサ等)において用いられ得る。ICにおける欠陥は、電子デバイスを故障させ得る。したがって、ICの検査は、消費者による使用中の電子デバイスの破損を回避するために重要であり得る。そのような検査は、ICコンポーネントの部品サイズが小さいことに起因して困難であり得る。短波長を有する光(例えば紫外線)は、部品サイズが小さいコンポーネントを検査するのに用いられ得る。これらの部品サイズが小さいコンポーネントと欠陥またはそれらの周辺部との間に十分なコントラストを有することは、困難であり得る。偏光を用いることにより、集積回路(IC)の検査コントラストが向上し得る。IC検査に用いられる光の短波長(例えば紫外線/UV)を偏光させることは、困難であり得る。そのような短波長を偏光させ得かつ高エネルギー波長への露光に耐え得るポラライザが必要であり得る。
【0072】
本明細書において説明されるWGPは、光の短波長(例えばUV)を偏光させ得、そのような光への露光に耐える十分な耐久性がある材料で作られ得る。IC検査器具100が
図10に示される。IC検査器具100は、光源101、およびICウェハ103を保持するためのステージ102を備える。光源101は、ICウェハ103に入射光ビーム105(例えば、可視光線、紫外線またはX線)を発するよう位置し得る。入射光ビーム105は、光学素子(例えばミラー)によりウェハ103に向けられ得る。入射光ビーム105は、ウェハ103の面に対して鋭い入射角109を有し得る。検査コントラストを向上させるべく、(本明細書において説明される一実施形態に従った)WGP104は、入射光ビーム105内に位置し得、入射光ビーム105を偏光させ得る。
【0073】
検出器107(例えばCCD)は、ICウェハ103からの出射光ビーム106を受光するよう位置し得る。電子回路108は、検出器107からの信号(検出器107が受光した出射光ビーム106に基づく信号)を受光および分析するよう構成され得る。検査コントラストを向上させるべく、(本明細書において説明される一実施形態に従った)WGP104は、出射光ビーム106内に位置し得、出射光ビーム106を偏光させ得る。
【0074】
光配向 本明細書において説明されるWGPは、フラットパネルディスプレイ(FPD)の製造に用いられ得る。FPDは、配向ポリマー膜および配向液晶を含み得る。
図11に示されるFPD製造器110は、光源111、FPD113を保持するためのステージ112、および(本明細書において説明される一実施形態に従った)WGP114を備える。光源111は、紫外光115を発し得る。WGP114は、光源111とステージ112との間に位置し得、紫外光115を偏光させ得る。偏光された紫外光115にFPD113を曝露することにより、ポリマー膜を配向し得る。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,797,643号明細書および第8,654,289号明細書の両方を参照のこと。偏光された紫外光115にFPD113を曝露することにより、FPD113の修復を促進し得る。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,697,108号明細書を参照のこと。
【0075】
方法 WGPを製造する方法は、以下のステップのいくつかまたは全てを含み得る。ステップは、示される順序または代わりの順序で実行され得る。1. 透明基板11の表面上に位置する複数のリブ12を得る。複数のリブ12および透明基板11は、上述の特性を有し得る。複数のリブ12の少なくとも一部の間には、複数のギャップGが存在し得る。
図6を参照のこと。2. 紫外光および/またはオゾンにWGPを曝露する。a. このステップは、以下のもの、つまり、近位共形コーティング13
p、中位共形コーティング13
mおよび遠位共形コーティング13
dの1または複数を付着させる前に実行され得る。b. WGPを紫外光およびオゾンに曝露することは、連続で、または同時に実行され得る。c. このステップの持続時間は、一態様において2分未満、または別の態様において20分未満であり得る。3. 近位共形コーティング13
pを付着させる。
図2~3を参照のこと。4. 中位共形コーティング13
mを付着させる。
図3を参照のこと。5. WGPをプラズマ洗浄する。a. プラズマ洗浄は、表面(すなわち、複数のリブ12の表面、近位共形コーティング13
pまたは中位共形コーティング13
m)上により多くの反応基を発生させ得、したがって、遠位共形コーティング13
dの結合を向上させ得る。b. プラズマの非限定的な例は、O
2、H
2、ArおよびN
2を含む。c. プラズマ洗浄は、例えば140℃~200℃などの様々な温度で実行され得る。d. WGPの洗浄に用いられた1個のプラズマは、温度160℃、電力400W、5分間でO
2(流量15sccm)およびH
2(流量10sccm)を含んでいた。6. WGPを気体に曝露する。a. 気体は、水蒸気を含み得る。水蒸気は、100トル未満の圧力を有し得る。b. このステップにより、下に存在する表面(例えば、複数のリブ12、近位共形コーティング13
pまたは中位共形コーティング13
m)上の水酸基の数が増加し得る。これにより、疎水層のホスホネートの結合が向上し得る。c. 腐食を回避すべく、このステップの持続時間、圧力および温度は、リブの構造および下に存在する表面の性質に応じて慎重に限定される必要があり得る。7. 遠位共形コーティング13
dを付着させる。WGPをベーキングする。8. ベーキングは、疎水層の結合を向上させ得る。a. ベーキング温度の例 WGPは、一態様において100℃超、別の態様において130℃超、または別の態様において150℃超、かつ、一態様において300℃未満、別の態様において320℃未満または別の態様において400℃未満でベーキングされ得る。b. ベーキング時間の例 WGPは、少なくとも5分、別の態様において少なくとも10分、かつ、一態様において60分未満または別の態様において90分未満ベーキングされ得る。c. 150℃で15分間のベーキングが成功した。
【0076】
共形コーティング(近位共形コーティング13p、中位共形コーティング13mおよび/または遠位共形コーティング13d)の1つ、2つまたは全ての層は、以下の特性の1または複数を有し得る。1. 下にある層(例えば、複数のリブ12の露出面、近位共形コーティング13pまたは中位共形コーティング13p)を覆い得る。2. 原子層堆積、蒸着または他の無水堆積方法により付着させられ得る。3. 例えば、一態様において最低でも300℃、別の態様において最低でも350℃、別の態様において最低でも400℃、かつ、一態様において500℃未満または別の態様において600℃未満などの高温で付着させられ得る。4. 金属酸化物を含み得る。5. 酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、レアアース酸化物またはそれらの組み合わせを含み得る。6. Si(R1)d(R2)e(R3)g、(R1)iPO(R4)j(R5)kまたはそれらの組み合わせを有する化合物にWGPを曝露することにより付着させられ得る。(式中、a. dは1、2または3、eは1、2または3、gは0、1または2、かつ、d+e+g=4であり、b. iは1または2、jは1または2、kは0または1、かつ、i+j+k=3であり、c. 各R1は、独立して疎水基であり、d. R2は、シラン反応基であり、e. 各シラン反応基は、‐Cl、‐OR6、‐OCOR6、‐N(R6)2および‐OHから独立して選択され、f. R4は、ホスホネート反応基であり、g. 各ホスホネート反応基は、‐Cl、‐OR6、‐OCOR6および‐OHから独立して選択され、かつh. 各R6は、独立してアルキル基、アリール基またはそれらの組み合わせである。)
【0077】
疎水基、ホスホネート反応基、シラン反応基、R6、R3およびR5は、上述の特性を有し得る。シラン化合物およびホスホネート化合物は、連続で、または同時に付着させられ得る。
【外国語明細書】